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医療に関する情報

溶け残った錠剤

胃のむかつきが続く80代の方が胃カメラを受けたところ錠剤が残っていました
胃カメラの日は基本的に薬を飲まないで来て頂きますが、血圧や不整脈、てんかんの薬など飲んできてもらうものもあります。

名称未設定 1この方は当日朝に2種類の血圧の薬を飲んできました。2時間以上経っていましたが、そのどちらかが残った可能性があります。
不良品だったのでしょうか。

まさか溶けないなんてことないだろうと思ったのですが、一応調べる必要がありそうです。というのも、この方は以前から後発品(ジェネリック医薬品)に変更していました。

かなり前ですが、まだ後発品がゾロと呼ばれて低くみられていた頃、一部に粗悪品が出回っているという噂がありました。飲んだ薬が溶けずにそのままお尻から出てくるなんていう冗談もあったくらいです。
今時そんなことはありませんが、思い浮かんだのはそうした不良品の可能性でした。

そこで、2つの薬についてメーカーに問い合わせをしました。
すると一方の薬剤が、徐放剤(ゆっくり溶ける薬)のためコーティングが水に溶けない工夫がされており、まれに錠剤の形のまま便から出ることがあると返信がありました。
この薬は三和化学のニフェランタンCRですが添付文書にも書いてありました。
徐放剤なので疑わしいと思ったものの、赤い錠剤なので違うと思っていましたが色は抜けてしまうそうです。
メールでの問い合わせでしたが、速やかに返答して下さり助かりました。勉強になりました。

ところで、速やかに解決したように見えますが、実はこの患者さんがどの薬を飲んでいるかはすぐにはわかりませんでした。というのも、本来、処方せんに書かれた薬を後発品に変更した場合、薬局から医療機関へ情報提供する義務があります。しかしこの患者さんが通っていた薬局は、ここ数ヶ月後発品変更の連絡を怠っており、どのメーカーに変更されているのかがわからなかったのです。

薬局には今後そのようなことがないようお願いしました。


doc_toyonaidoc_toyonai  at 13:30コメント(2) この記事をクリップ! 

C型肝炎:ハーボニーの先の新規薬剤~JDDW 2016 in 神戸~

28 今年もJDDW(日本消化器関連学会週間)に行ってきました。
 JDDWは消化器に関係した学会が5つまとめて行われる大きな学会です。

 今回は主に肝炎と発癌、C型肝炎、大腸内視鏡の精度管理についてみてきました。

 ここではお昼のセミナーで聴いた熊田先生(虎ノ門病院分院)のC型肝炎の話しについて書きたいと思います。

 C型肝炎はDAA(直接作用型抗ウイルス薬(飲むだけで治せる薬))の開発で、100%治ることが視野に入ってきました。10%も治らなかったインターフェロンの時代からは夢のような話しですが、更に新規の開発が続いています。

 もうすぐ発売されるエルバスビル / グラゾプレビル(elbasvir / grazoprevir)は耐性ウイルスに期待できそうです。リバビリンと併用にならなかったので、腎機能障害では使いにくいハーボニーと差別化ができ、ヴィキラックス(オムビタスビル/パリタブレビル)も腎機能障害がある方には使えますが、リトナビルが入っていることで併用薬に制限があります。そこでこのエルバ/グラゾに期待がかかります。

 最初に認可されたDAAであるダクラタスビル/アスナプレビルはやや著効率が低いことや耐性ウイルスが問題でしたが、この2剤にべクラブビルを加えた3剤の合剤ジメンシー(Ximency)が出てくるようです。

 更に注目すべきは、全ての遺伝子型に効く薬の登場です。これまでの薬のほとんどがgenotype1(今風にはGT1と書きますが)とGT2のためのものでした。グレカプレビル / ピブレンタスビル(glecaprevir / pibrentasvir(ABT-493/ABT-530))はGT1~GT6にまで効果があるようです。患者数は少ないものの日本にもGT1/2以外の方がいます。 日本での発売は早くて来年以降でしょうが、やっとDAAの恩恵にあずかれるようになりますね。(適応でGT1限定にならないことを願っています)

 抗ウイルス薬の進展はめざましいものがあります。しかしDAAは使い方次第では耐性ウイルスを作ってしまう両刃の剣であり、次の治療を閉ざしてしまいます。

 当院でもハーボニーやヴィキラックス、ソバルディなどのDAAは処方していますが、今後出てくる新規薬剤についてもっと勉強をしていきたいと思います。


doc_toyonaidoc_toyonai  at 09:45コメント(0) この記事をクリップ! 

充満胆石で手術

 胆石は腹部超音波(エコー)検査で比較的よくみつかる所見の一つです。今回は経過観察中に増えて手術に至った方を紹介します。

 そもそも胆石は痛みなどの症状がなければ、治療せず様子を見るのが基本です。
 胆石には薬(ウルソなど)で溶けるタイプのものもありますが、毎日飲む必要があること、溶ける可能性が半々であること、再発がよくみられることなどから、薬による治療は主流ではありません。

GBstone_pre 今回の方は60代の方で、B型肝炎キャリアのため定期的にエコー検査を行っており、その際に複数の胆石がみつかっていました。

 左がその画像ですが、胆石は最大のものは15mmでした。胆石の上の方には黒くみえるすきまが空いていることが分かります。
 身体の向きを変えると胆石が胆嚢の中を動くことが確認されます。胆のう炎や胆のう癌などはみられず、腹痛などの症状もないことから、治療せず様子をみることとなりました。

 1年半後に行った腹部エコー検査が次の写真です。
GBstone_post 胆石が胆のうの中に充満しており、隙間がありません。このように充満胆石になると体位を変換しても胆石は動きません。
 
 ところで、胆石による刺激が胆のう癌を引き起こす可能性が報告されています。しかしまだ明確な証拠とまではいかず、胆石と胆のう癌発生の関連は決着がついていません
 一方で、充満胆石は癌の原因だと単純には言い切れませんが、胆石が充満していると、癌ができても見つけにくくなってしまいます。
  そのため充満胆石は慎重な経過観察が必要とされ、たとえ症状がなくても手術を行うことがあります。

 このような経緯を説明し、ご本人が精査・加療を希望され、近隣の病院で手術をして頂きました。

 最近は腹腔鏡による手術が普及して、身体への負担が小さくなりました。今回の方は入院の翌日に手術を受け4泊5日で退院したとのことです。

 ただ、実際に胆石の方の経過観察をしていても、そうそう充満胆石になるわけではありません。今回の方は1年後の検査で充満して見えたものの、食事の影響だったのかもしれないと疑い、念のためその半年後に再検して改めて充満胆石を確認しました。

 1年でこうも見え方が変わる方は珍しいように思われました。充満胆石だけでなく、急激な胆石増加という点でも手術をしてよかったと考えます。
 

doc_toyonaidoc_toyonai  at 15:10コメント(0) この記事をクリップ! 

心臓突然死を防ぐ植込み型除細動器(ICD)

 今回は健診での写真です。毎年健診を受けている健康な40代の男性です。左が前年、右が今回の写真です。今回の写真には、胸に何か写ってます。

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「あれ、こんな若い人でペースメーカーの患者さんいたかな」と思いましたが、前回の健診の4ヶ月後、突発性心室細動で倒れたとのことでした。

 心室細動は心臓が細かく震えている状態です。震えていると言っても実際には血液を送り出すことができません。つまり心臓が止まったのです。放っておけば亡くなります。
 幸い倒れるところを奥さんが見ていたため、すぐに救急車を呼ぶことができました。搬送前にAEDで除細動(いわゆる電気ショック)で蘇生され息を吹き返し、幸運なことに麻痺も残りませんでした。

 そのまま搬送され、植込み型除細動器(ICD)を体内に埋め込まれました。レントゲンのあれはペースメーカーではなくこのICDだったのです。もしまた心室細動が起きても、このICDが自動的に作動して電気ショックをして助けてくれます。

前 同席した奥さんに、よかったねお手柄だね、と涙出そうになりながら話しを聞いていましたが、同時に僕は去年の健診の心電図が心配になりました。何せ健診の4ヶ月後の心臓発作です。何か異常を見落としたのではと不安になりました。
 しかし見直してみても発作前の心電図に問題はありませんでした。今回の健診も異常なしです。ホッとしました。

 ところで、この方には後日談があります。
 数週間後に健診結果を聞きに来るまでの間に、なんとまた発作を起こしたそうです。そして胸に埋め込んだICDが作動して救われたというのです。本当によかった!
  
 このように、事前に予期できない致死的な不整脈はあります。毎日200人年間7万人が心臓突然死するとのことです( 『減らせ突然死 ~使おうAED~』 )。しかし発作も何もない健康な人全てにICDを入れておくわけにもいきません。

 僕たちにできることは、突然の出来事の際、何をすべきか知識を身につけて備えることです(救急車を呼ぶ、心臓マッサージ、AEDなど)。自分で自分の心臓マッサージはできませんが、その知識はいつか大事な人に役立つでしょう。そして誰かの努力がいつか自分の命を助けてくれるかもしれないと思うのです。


doc_toyonaidoc_toyonai  at 09:45コメント(0) この記事をクリップ! 

デング熱  ~まずは風疹・麻疹の予防接種を~

 デング熱が70年ぶりに日本国内で確認されてにわかに注目されてます。

 デング熱の症状はネットで検索すれば出てきますが(←手抜きでごめんなさい(^^;))、高熱がみられるなどそれなりに苦しい病気ではありますが、予後は比較的よい病気です。デング出血熱といった重篤な病気になると、適切な治療を受けないと死亡することもありますが、通常デング熱のほとんどは対症療法のみで治ります。過度に心配する必要はありません。
 そもそもデング熱そのものを治す薬はありませんヒトからヒトへ感染しないので、デング熱であるとわかっても症状や身体の状態にあわせて治療をするのみです。

 テレビを見て、熱が出たら調べないといけないと思う方がないように書きますが、デング熱かどうかを調べるために右往左往する必要はないのです
(そもそも商業ベースで調べる方法はなく、発熱のみで検査する必要はありません)

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 実は10数年前にデング熱の方を2例受け持ったことがあります。
 1例目の方は内科学会関東地方会(第469回)で発表しましたが、その時の抄録が右です。入院するような方ですから重い症状の方でした。下痢や発疹・高熱ととともに血小板が下がるなど、命に関わるのではと思ったからこそ懸命に原因を探りました。治療に役立つことは何でもいいから情報がほしいと思いました。だからこそデング熱に行き着きましたが、この方の場合は退院後に判明したこともあり治療に役立つわけではありませんでした。(検査は国立感染症研究所に依頼しました)

 その1年後に2例目の方(30代女性)を受け持ちました。この方も下痢と発疹と高熱などがみられましたが、やはり診断がついたのは退院後でした。
 
 デング熱が簡単に検査できる体制があれば早期に発見できたかもしれず、そうすれば余計な抗生物質使わなくてすんだかもしれません。しかしそれを含めて考えても、検査が決定的な役割を果たしたかといえば、微妙だというのが僕の印象です。ましてや不安だからと言って調べる必要はありません。

 もちろん今回の代々木公園のような事例ではデング熱の現状を知るためにサーベイランスは必要です。保健所や東京都・厚労省は、プライバシーや余計な憶測に注意を払いながら検査・調査をすすめていただきたいと思います。
(当院でも保健所に一例相談していますが検査不要でした)

 一方僕たち現場は(有病率がかなり低い)現状ではデング熱の検査に振り回されることなく、患者さんの状態を把握して粛々と対処していくことが結果的にデング熱診療に寄与するのだと思います。
 なお、デング熱はデングウイルスが原因です。フラビウイルス属といわれる種類で、仲間には日本脳炎や西ナイル熱、黄熱病などのウイルスがあります。いずれも蚊によって媒介されますが、ヒトからヒトへは感染することはありません
 日本脳炎や黄熱にはワクチンがありますが、残念ながらデング熱にはワクチンはありません。流行国ではワクチン開発が期待されています。
 
 最後になりますが、デング熱も心配ですが、まずはワクチンが存在する日本脳炎や風疹、麻疹の予防接種をきちんと受けて予防できる病気の対処しましょう。(更に言えばB型肝炎のワクチンもお薦めします)
 
 今日はこれが言いたくてデング熱のことを書きました。


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