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腹部エコー

充満胆石で手術

 胆石は腹部超音波(エコー)検査で比較的よくみつかる所見の一つです。今回は経過観察中に増えて手術に至った方を紹介します。

 そもそも胆石は痛みなどの症状がなければ、治療せず様子を見るのが基本です。
 胆石には薬(ウルソなど)で溶けるタイプのものもありますが、毎日飲む必要があること、溶ける可能性が半々であること、再発がよくみられることなどから、薬による治療は主流ではありません。

GBstone_pre 今回の方は60代の方で、B型肝炎キャリアのため定期的にエコー検査を行っており、その際に複数の胆石がみつかっていました。

 左がその画像ですが、胆石は最大のものは15mmでした。胆石の上の方には黒くみえるすきまが空いていることが分かります。
 身体の向きを変えると胆石が胆嚢の中を動くことが確認されます。胆のう炎や胆のう癌などはみられず、腹痛などの症状もないことから、治療せず様子をみることとなりました。

 1年半後に行った腹部エコー検査が次の写真です。
GBstone_post 胆石が胆のうの中に充満しており、隙間がありません。このように充満胆石になると体位を変換しても胆石は動きません。
 
 ところで、胆石による刺激が胆のう癌を引き起こす可能性が報告されています。しかしまだ明確な証拠とまではいかず、胆石と胆のう癌発生の関連は決着がついていません
 一方で、充満胆石は癌の原因だと単純には言い切れませんが、胆石が充満していると、癌ができても見つけにくくなってしまいます。
  そのため充満胆石は慎重な経過観察が必要とされ、たとえ症状がなくても手術を行うことがあります。

 このような経緯を説明し、ご本人が精査・加療を希望され、近隣の病院で手術をして頂きました。

 最近は腹腔鏡による手術が普及して、身体への負担が小さくなりました。今回の方は入院の翌日に手術を受け4泊5日で退院したとのことです。

 ただ、実際に胆石の方の経過観察をしていても、そうそう充満胆石になるわけではありません。今回の方は1年後の検査で充満して見えたものの、食事の影響だったのかもしれないと疑い、念のためその半年後に再検して改めて充満胆石を確認しました。

 1年でこうも見え方が変わる方は珍しいように思われました。充満胆石だけでなく、急激な胆石増加という点でも手術をしてよかったと考えます。
 

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尿路結石による水腎症

 今回は水腎症の腹部エコーです。

 40代女性が右背部の激しい痛みで当院に駆け込んできました。
 5年以上前に尿路結石を指摘されており、3週間前にも血尿がありましたが痛みがなく放置していました。前日には右腹部~背部の痛みで他院を受診し、尿検査では蛋白と潜血が陽性でした。尿路結石が原因と診断され内服薬が処方されていました。
 しかし翌日また激しい痛みに襲われたのでした。

水腎症01 右背中を叩くと痛がります。これは尿路結石で特徴的な叩打痛(こうだつう)です。腹部エコー(超音波)で腎臓をみてみました。すると腎臓に黒いスペースがみられます。この黒い部分は流れなくなった尿で拡がった尿管や腎盂で、水腎症といいます。

 尿路結石というと腎臓の石を思い浮かべますが、実際に痛くなるのはそれが尿管に落ちて詰まった時です。そのため痛い時に腹部エコーで見ているのは原因の石ではなく、水腎症の所見です。

水腎症02 分かりにくいので色をつけてみました。青い線が腎臓の輪郭で、赤い線が腎盂と尿管です。流れは右下方向ですが、かなり太くなっています。石が尿管の先で詰まってしまい、尿管がパンパンになっています。

 実際の尿路結石の診断はこんなにはっきり分かるものばかりではありません。血尿があったりなかったり、レントゲンで写ったり写らなかったり色々です。 典型的な尿路結石の痛みは、(ちょっとした予兆があることはありますが)突然激しく起こることが特徴的で、救急外来でも派手に七転八倒したり、救急車でうなりながら運ばれてくることも珍しくなく重症感たっぷりなこともありますが、今回のようにはっきり分かると、痛がっている患者さんには申し訳ありませんが、診断がついてホッとします。

水腎症03 ちなみに左の写真が正常の腎臓です。同じ方の左腎ですが、尿管は拡がっていないことがわかります。

 なお、尿路結石と診断がついても、内科クリニックでは大した治療はできません。通常は痛み止め(内服の他に座薬や注射)でその日はお終いです。それと水分を多めにとっていただき自然に出ることを期待します。
 その上で原因が本当に石でいいのか、本当に落ちたのかを確認しするため泌尿器科に受診していただきます。結石が落ちないまま放置されてしまうと、腎臓に悪影響が出ることがあります。
 落ちない場合は超音波で破砕(ESWL(ドニエル社の機械が有名))することもありますが、詳細は泌尿器科で相談となります。

豊洲で受診できる泌尿器科
 昭和大学江東豊洲病院 泌尿器科 (要紹介状) 
 大久保クリニック 泌尿器科一般、女性泌尿器科 (紹介状不要)



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胆管過誤腫のエコー所見

 今回ご紹介するのは、あまり聞き慣れない病気、胆管過誤腫です。
 実は僕もあまり詳しくはないのですが、珍しいから載せてみました。参考になれば幸いです。

 胆管過誤腫はvon Meyenburg complexともいわれ、剖検(解剖)では1-5%くらい見つかると報告されています。僕の実感ではそんなに見つかるものではなく、剖検での発見率と画像検査での発見率は違うのかもしれません。

名称未設定 3 右のエコーは70代の方で背部痛の原因を調べているところでした。
 痛みの原因ははっきりしませんでしたが、肝臓の実質は粗くみえ、点状高エコーが散在して見えます(白いモヤモヤしたものが不均一にたくさん見えます)。一部は後方に増強エコーを認めますが肝内結石のようにはっきりしません。胆道気腫にしてはやや細かく、胆管に沿った所見でも認めません。これらの所見から、当初より胆管過誤腫が疑われました。

名称未設定 1 胆管過誤腫ならこのまま様子を見るだけでもよかったのかもしれません。しかし患者さんにとって初めてみつかった病変でもあり念のため精密検査を依頼することにしました。
 通常ならMRIを他院で撮ってきていただき説明は当院で行いますが、今回は綜合病院の消化器内科の外来に受診していただきました。

名称未設定 2 紹介先ではMRCP(MRIの一種)を行い、肝臓全体に多数の嚢胞(水ぶくれみたいなものです)のような所見がみられたようです。
 後学のためにMRI画像を見たかったのですが、外来への紹介だと画像そのものをいただけることはあまりなく、この方もレポートだけのご報告でした。(しかし画像のレポートをいただけただけでもありがたいです)

 放射線科医の診断は「胆管過誤腫」あるいは「多発肝嚢胞」でした。Caroli病のような所見もなかったようです。

 胆管過誤腫は肝硬変や肝臓がんと関係のある病気ではなく、予後がよい病気です。そのためあまり話題になることがなく知識習得が後手に回ってしまいます。実際にエコー検査を行った検査技師から「胆管過誤腫だと思いますが」と画像を見せられたとき、そういえばそんなのもあったなと思ったくらいです(頼りになる技師で助かります)。
 肝臓専門医として恥ずかしくないよう、更に研鑽を積みたいとと思います。


doc_toyonaidoc_toyonai  at 09:45コメント(0) この記事をクリップ! 

胆石発作のマーフィー徴候をエコーで確認

 以前コレステロール胆石を紹介しましたが、今回はまた違った胆石発作です。

 40代の男性が胃部不快感脇腹や背中の痛みがあって来院されました。以前にも胃痛などの症状がありましたが、ここ数日はずっと上腹部の痛みが続き、食事をとると膨満感を感じるとのことでした。痛み止めの効果は数時間で切れると再来されたため、予定を早めて腹部エコー検査を行いました。

01 右写真の茄子を逆さにしたようなのが胆嚢です。
 そのすぼまったところを頚部といいますが、頚部に2cm大の胆石がはまり込んでいることが分かりました。
 
 胆石が頚部にはまってしまうと、胆のうの中の胆汁は行き場を失い、痛みが出ます。エコーで胆のうを見ながら押してみると痛みが増し、やはり胆のうが痛いのだとわかります。
 また圧迫したまま息を吸ってもらうと痛みで息を吸えなくなります。これをマーフィー徴候と言って、胆石症や胆嚢炎のサインです。

 この方では、体位を変えて観察しているうちに、胆石が頚部から外れて胆嚢の真ん中へ移動しました。それが下の写真です。
 
02 この時は押しても痛みはなく、Murphy徴候もなく、これらの結果から腹痛の原因は胆石発作であったことが分かります。
 
 問題は胆のう炎を起こしているかどうかです。胆のう炎であれば、緊急手術やPTGBDといった緊急処置の適応となります。しかしこの時点では胆のうの壁の厚さはほぼ正常で、血液検査が問題なく熱もないことなどから明らかな胆嚢炎とまでは診断できませんでした。

 しかし、症状がある胆石は基本的に手術の適応があります。この方はこれまでの経緯を考えると早めの手術が望ましいと考えられ、すぐ近隣の外科に受診していただき手術の段取りとなりました。




doc_toyonaidoc_toyonai  at 10:30コメント(0) この記事をクリップ! 

胆のう結石 ~コレステロール結石~

 今回は胆石症の腹部超音波検査(エコー)の写真です。

 40代の男性が背中のはりと腹痛で来院されました。
 お腹を触ると、右上腹部に限局的に圧痛がありますが、腹膜炎などの手術が必要な状態になると現れる反跳痛はなく、黄疸や発熱もありませんでした。

GBstone01 その方のエコーの写真が右です。ちょっと写真が悪いのですが、真ん中に胆石がたくさん浮いています。
 といってもわかりにくいですね。右下の写真を見て下さい。青く囲まれているのが胆嚢で、その中に赤く囲まれて胆石が浮いています。

 このように浮いている胆石は コレステロール胆石と思われます。この特徴は教科書でもおなじみのものです。でも恥ずかしながら僕はこのような典型的なコレステロール結石はあまり見たことがありません。(なので嬉しくてここに載せているのですが(^^;))

GBstone02 検査した時点では胆石発作に特徴的な胆嚢の張りはありませんでしたが、胆石が痛みの原因となった可能性があると考えられました。
 教科書的には この手の胆石は薬で溶けやすいことが知られています。溶けてもその後再発することも多いのですが、試す価値があると考えて内服薬(ウルソ)を処方しました。

 今後消えるかどうか楽しみです。


doc_toyonaidoc_toyonai  at 16:59コメント(0) この記事をクリップ!