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食道潰瘍 ~ミノマイシンによる薬剤性食道潰瘍?~

 今回の内視鏡写真は20代の食道潰瘍です。
 1週間前から胸の痛みがあり、内科を受診して強力に胃酸を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬(PPI))などを飲んでも改善せず当院を受診されました。

 症状が強かったため、その日すぐに胃カメラを行いました。それが下の写真です。

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 食道の中間を中心に、白くえぐれた潰瘍が見られます。その潰瘍はほぼ全周性にみられました。
 食道の病気では逆流性食道炎が有名ですが、逆流性食道炎は胃に近い下(奥)の方にあることが特徴です。しかし写真右をみればわかるように奥はきれいで、典型的な逆流性食道炎とは違います。

 改めて話しを聞くと、症状が出る数日前に強いお酒をストレートで飲んだそうです。アルコールも原因になり得ますが、今回の原因としてはやや時期がずれている気がします。
 抗生物質や解熱鎮痛剤などの薬を水なしで飲んで、食道にとどまった場合に潰瘍ができることがあります。また農薬アルカリ系の薬品など腐食性の強いものも潰瘍の原因となりますが、そのような経過もありませんでした。

 食道潰瘍の原因を探るために、組織の一部を採取し(これを生検と言います)、顕微鏡で見る病理検査も行いましたが癌など特に変わった病気はみつからず、エイズによる潰瘍(サイトメガロウイルスなど)も念頭に免疫染色を依頼しましたがそれも問題ありませんでした。

 食道潰瘍の程度がひどいと、食事がままならず入院が必要になることがありますが、今回は水を飲むことができたため、経腸栄養剤と胃酸を抑える薬などでやり過ごすことができました(胃酸を抑えて効果があったのかははっきりしませんが)。また、潰瘍が一部全周性にみられたため、食道が引きつれて狭くなってしまうのではと心配しましたが、幸い問題ありませんでした。

 ところで原因ですが、よくよく話しを聞いてみると、抗生剤(ミノマイシン)を継続して飲んでいたことが判明しました。そしてたまに水なしで飲むことがあるとのこともわかりました。ミノマイシンによる薬剤性食道潰瘍の報告はこれまでにも知られており、原因の有力候補です。

 基本的なことですが、薬は水と一緒に飲むことが重要ですね。

doc_toyonaidoc_toyonai  at 08:45コメント(0) この記事をクリップ!