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ノロウイルス

ノロウイルスの迅速検査

 昨年暮れから嘔吐・腹痛・下痢の症状の方が多数来院されています。感染性腸炎や急性腸炎など呼び方は色々ありますが多くはウイルス性腸炎であり、ノロウイルスによる腸炎はそのうちの一つです。

BlogPaint このノロウイルスという名前はワイドショーではお馴染みですが、実際に健康保険でウイルスをチェックできるのはハイリスクである高齢者や乳幼児など限られており、医療現場ではほとんど調べません。

 「上司からノロか調べてこいと言われました。ノロなら治るまで出てくるなと言われてます」という会社員が時々来ます。
 当院にもすぐに判定できる迅速キットはありますが、自費であり、飲食業の方など限られた方以外にはお薦めしておりません
 
 というのも、インフルエンザに対するタミフルのような治療薬はノロウイルスにはなく、ノロかどうかわかっても治療方針があまり変わらないからです。

 ただ、調べて便利だと思ったこともあります。
 嘔吐や下痢などの症状が非常に激烈な患者さんに調べさせてもらったところ、たまたまかもしれませんが重症の方のほとんどがノロ陽性でした。
 中にはお腹が硬く、腹膜炎なのかな?お腹開けた方がいいかな?と思うような激しい症状を伴う方もいましたが、ノロウイルスが陽性と分かり、本人も僕も内科的に様子を見ることに納得してお帰り頂きました。

 また、飲食店にとっては、ノロウイルスが非常に感染性が強いということだけでなく、下痢が集団発生すると保健所はノロウイルス(だけではありませんが)をしっかり調べて営業停止処分を決めるため、スタッフの下痢がノロかどうかを調べておくことは一定のメリットがあるようです。(文末の厚労省の文書も参考にしてください)


IMG_1677 しかしノロウイルスが検出された場合、どのくらい休む必要があるのでしょう。症状がよくなってからも約1週間は糞便から排泄されるといわれ、長いと1ヶ月とも言われています。これが消えるまででしょうか。
 そもそも健康保菌者(ヘルシーキャリア/無症候性キャリア)と言って、無症状でウイルスを持っている人もいます。健康保菌者でよく問題になるのはサルモネラ菌ですが、食中毒防止のため無症状であっても食品従事者には抗生剤による治療がなされることもあります。

 一方でノロウイルスには抗生剤のような治療法はありません。食品従事者がノロが消えるまで食品に直接携わる仕事を控えることは合理的かもしれませんが、一般企業や学校までが一律に厳格な対処を行い始めたら社会的に大きな影響が出るでしょう。

 いい加減に聞こえるかもしれませんが、完全な治癒(ウイルス消失)まで出勤停止を求めるのはやり過ぎだと思います。当然感染予防は重要ですが、医療は社会とのバランスが必要です。全ての場所でなんでもハイレベルに対策することがベストではないでしょう。

 ノロウイルスの薬が登場すればまた変わるかもしれませんが、現状では「ウイルス性腸炎」に対してノロウイルスの迅速検査の必要性は乏しいと思います。(全く不要だとは考えてはいません)
 ウイルス性腸炎の職場復帰に関しては、模範解答ではないかもしれませんが、嘔吐や嘔気があるうちは自宅待機とし、下痢が少量あっても回数が少なくなれば十分な手洗いなど感染予防を条件に(食品従事者でなければ)職場復帰を検討することをお話ししています。
参考:食品従事者について
厚生労働省からの「大量調理施設衛生管理マニュアル」(元のリンクが切れたためリンクを張り直しました(2013.10))では、集団給食施設等では、10月から3月は必要に応じてノロウイルスも検査することがすすめられています。また、ノロと診断されたらノロが消えるまで食品に直接触れる作業を控えるなど、適切な処置をとることが望ましいとされています。


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