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子宮頸がん予防ワクチンの積極的勧奨の一時中止について

 ご存知の方も多いと思いますが、平成25年6月14日HPVワクチン(いわゆる子宮頸がん予防ワクチン)の積極的な勧奨を一時的に控えが通知されました(厚生労働省健康局長通知)。
 賛否ありますが僕の感じるところを備忘録的に書きたいと思います。長くてごめんなさい。

 HPVワクチン接種後に苦しんでいる方がいるのは事実です。中でも、持続的な疼痛をきたす複合性局所疼痛症候群(CRPS)については、病気そのものの詳細がわかっておらず、患者さんやこれからワクチンを打とうとする方々にとっては不安なことでしょう。今回の中止措置は、この情報収集のためになされたものです。

 一般にワクチンをはじめとした予防医療は、成功したこと(病気予防)は実感しにくく、失敗したこと(副反応)は大きくクローズアップされる傾向にあります。また紛れ込みといってワクチンに無関係な事も副反応としてカウントされてしまうこともあります。評価は感情的にならず、データに基づいてなされないといけないと思います。
(なので「副作用が○○件」といった報道は不十分です。頻度が大事です。)

 ここで厚労省の資料(各ワクチンの副反応報告)を見ると、HPVワクチンは他のワクチンと比較して重篤な副反応が多いようにみえます。しかし注意しなければいけないのは、他のワクチンは乳幼児を対象としているのに比べて、HPVワクチンは10代の女性がほとんどです。これが注射に対する失神などの副反応を増加させ、重篤な副反応の総数を押し上げている可能性があります。HPVワクチンそのものではなく、注射という行為そのものによる副反応であれば、別に対策を取ることができます。
 
 重篤な副反応の内訳は厚労省の資料(これまでの報告一覧)で確認することができます。失神やじんま疹のようなものから、胆嚢炎や脂肪肝のように因果関係に疑問の余地があるものまで入っています。これらが自然発生率との比較も加味して因果関係があるかどうか検討することになると思いますが、今回の一時中止はCRPSがそもそも自然発生率などの情報が乏しいのが一因です。結果を待ちたいと思います。

 厚労省はなるべく早期に収集したデータをまとめて公表してほしいと思います。そして、再開された際には打ちそこねがないようにキャッチアップを速やかにすべきです。

 当院では現在あえてHPVワクチンをお薦めはしていませんが、接種を希望される方には事情を説明した上で今でも打っています。特にセックスデビュー間近な世代では、夏を前に接種しておいた方がよい事例もあるでしょう。HPVワクチンを必要としている人はいます。

 そしてHPVワクチンに限りませんが、予防接種で不幸にして副反応に見舞われた方々に対して、十分な補償を行うことが大切です。頻度は低くても副反応はある一定の割合で必ずおこります。これをたまたまの不幸として個人の負担に帰結させてはいけません
 


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子宮頸がん予防ワクチンは9月末までに注射を!

 以前にも書きました子宮頸がん予防ワクチンの公費助成についてです。

 公費の対象となるのは本来は中学1年生のみですが、江東区では特別措置で中学2年生から高校1年生の女子も助成の対象となっています。この特別措置は様々な経緯で延長されてきましたが、来年度も延長されるかは今のところ不明です。延長されなければ来年度の対象者は現・小学6年生の女子だけとなります。

 そのため現在対象の方々が確実に公費で予防接種を行うためには、今年度中(平成25年3月末まで)に3回の注射を終える必要があり、逆算して9月末までに第1回目を接種開始する必要があります。

 現在中学1年生~高校1年生の女子で、まだ子宮頸がん予防ワクチンを受けていない方は、期限切れにならないようご注意下さい。
(ガーダシルは裏技があるので11月末まで可能ですが通常の方法をお薦めします)

 参考:サーバリックスかガーダシルか迷ったら
 
  なお当院では他のワクチンとの同時接種も行っています。特に日本脳炎は計4回の接種を終えていない方が多数みられ、よい対象となります。母子手帳でご確認下さい。

 また、当院ではB型肝炎ワクチンの接種を強くお薦めしています。B型肝炎ワクチンはまだ公費の対象になっていませんが「肝がん予防ワクチン」であり、「劇症肝炎予防ワクチン」でもあり、本来ならもっと評価されてもいいワクチンです。

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子宮頸がん予防ワクチンの公費助成が延長

 江東区からHPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)の公費延長が発表されました。

  平成23、24年度の子宮頸がん予防ワクチン接種費用助成のお知らせ (江東区)

 本来このワクチンは中学1年生のみが対象のようですが、開始当初の特別措置として高校2年生まで対象者が拡大されておりました。
 その特別措置は今年3月で終わる事になっていましたが、1年間の再延長が決定し平成25年3月31日まで継続することになったようです。

 しかし注意しないといけないのは現在高校1年生と高校2年生の女子です。

 もともと高校2年生は期限付きの延長でした。
 そのため現在高校2年生の女子は今年の3月までに3回目まで全て終了しないといけません。つまり今回の延長の恩恵はありません。

 また新しく高校2年生になる女子(現在高校1年生)も4月以降に開始することはできません。ただし、今年3月までに1回目の接種を開始していれば4月以降も公費助成で接種できます。

 中学2年生~高校1年生については終わる終わると言われながら続いていますが、再来年度も継続されるかは分かりません。またワクチンの性質を考えると早めに打つにこしたことはありません。
 HPVワクチンを公費で接種をお考えの方は、期限に気をつけて早めに接種開始するようお願いします。

 なお江東区では、助成券は新1年生には送付されますが、それ以外の方々は以前の助成券をそのまま使うようです。なくさないよう注意してください。

 参考:サーバリックスかガーダシルか迷ったら
     →『ガーダシルが公費助成開始。サーバリックスとどっちを選ぶ?』



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子宮頸がん予防ワクチンの公費助成:今月ならまだ間に合う!!

 今回は子宮頸がん予防ワクチンを公費で打ち損なった中学1年生~高校2年生の女子のお話です。

 子宮頸がんのワクチンの公費助成は、平成22年度から中学1年生~3年生の女子を対象として開始されました。その後高校1年生にまで拡大されましたが、ワクチン(サーバリックス)の供給不足によって年度内に接種が終わらなかったため、期限が1年間延長されています。

 そのため平成23年度の対象者は本来は中学1年生のみだったようですが、平成22年度に打てなかった方もあわせて中学1年生~高校2年生までとなりました。

gardasil それでは来年度はどうなるのでしょう。
 まだ何も決まっておらず、もしかしたら救済策がとられるかもしれませんが、震災の影響もあり先行き不透明です。最悪の場合、平成24年度の対象者は中学1年生(現在の小学6年生)のみとなり、現在助成券が送られている方は今年度がラストチャンスの可能性があります

 しかし、既に今年度の助成券の第1回の期限である平成23年9月30日は過ぎてしまいました。そのためもう間に合わないとあきらめている方がいることでしょう。

 ところがあきらめるのはまだ早いです。今年度の助成券で打つ方法があります。

 子宮頸がん予防ワクチンは3回の注射を6ヶ月間で接種することが基本ですが、9月に認可されたガーダシルは最短4ヶ月で終了することができます。
(以前当ブログでもガーダシルの利点として紹介しましたね)

 これは裏技ではなく、添付文書にも書かれている接種方法です。
 江東区のHPにも、10月以降に第1回目の接種が可能だと書かれています。11月に開始して3月末までの4ヶ月間で終える接種方法でも公費助成が受けられることは江東区に確認済みです。

 ですから、ガーダシルを希望される場合のタイムリミットは11月末になります。

 周りで中学1年生~高校2年生の女子がいたら、もう子宮頸がん予防ワクチンの予防接種を受けたか聞いて下さい。
 もしまだ受けてない方で、ワクチンを希望されている方がいたら、来年は公費助成を受けられない可能性があること、今月中ならまだ間に合うことを是非教えてあげて下さい。

 自費だと3回分で4~5万円かかるワクチンです。対象となる方は公費で打ちましょう。


doc_toyonaidoc_toyonai  at 21:13コメント(0) この記事をクリップ! 

ガーダシルが公費助成開始。サーバリックスとどっちを選ぶ?

 今回はHPVワクチン、いわゆる子宮頸がん予防ワクチンの話しです。
 現在公費でサーバリックスが接種されていますが、2011年9月15日からガーダシルも公費で接種できるようになります。
 違いは対応するHPVの遺伝子型で、サーバリックスはHPV-16HPV-18に効果がある2価ワクチンですが、ガーダシルはそれに加えてHPV-6HPV-11にも効果がある4価ワクチンということです。
(HPV-16とHPV-18は子宮頸がん患者の60%から検出されるといわれています)
 
 これまではサーバリックスしか選択肢がありませんでしたが、今後はどちらを打つか自分で決めないといけません。皆さんはどっちがいいと思いますか?今回のテーマはこの「どっちがいいか」です。

IMG_0898 ガーダシルで追加された2つの型はいずれも尖圭コンジローマなどに関係するHPVです。
 子宮頸がん予防だけを考えたら両者とも同じ16と18に対するワクチンであり、両者の効果(子宮頸がんの予防)を直接比較したデータはないことから、「子宮頸がん予防ワクチン」としての差はない(差を語ることはできない)のです。

 以上が結論です。

 、、、しかしこれではちょっと寂しいので、以下に僕が考える両ワクチンの特徴を書きます。あくまでも僕の視点ですので、参考程度として、詳細は主治医にご相談くださいね。
 

●ガーダシルの特徴・利点
  • 子宮頸がんだけでなく尖圭コンジローマも予防できる。
  • 必要があれば3回の接種を4ヶ月で済ませることができる。
 この2点ですね。後者は公費負担の期限で活きてきますが、これはまた別の機会に。 
尖圭コンジローマについてメモ書き
尖圭コンジローマの年間推定患者数は3.9万人(女性は2.1万人)。HPV-6,11が原因の90%を占めるとのこと。
尖圭コンジローマの妊婦から生まれた子どもにまれに発症する「再発性呼吸器乳頭腫症(RPR)」は、一度かかると、年間4-6回の手術を必要とする難治性の病気で、予防が望ましいことからこれはガーダシルの利点かもしれません
しかし、ガーダシルにRPR予防の適応があるわけでもなく、あくまでオマケとしておきます。  
 
●サーバリックスの特徴・利点
  • 免疫効果を増強する添加物(アジュバント)が独自のものであり、これによりガーダシルに比べてHPV-16.18に対する高い抗体価が得られる。(注1)
  • 2価ワクチンとされているものの、HPV-31,-33,-45に対する有効性が示され(交差予防効果)、EUでは適応が追加されている。(5価ワクチンに昇格?) (注2)
(注1) この点については補足が必要で、たとえ抗体価に差があっても、両者ともHPV感染を防ぐのに十分な抗体価を得られるので、最終目標の「子宮頸がん予防」で差が出るとは限りません。(抗体価を直接比較したデータはありますが、子宮頸がん予防を比較した試験はないのです)
しかしワクチンの効果はガーダシルよりもサーバリックスの方が長く続く可能性はあると思われます。
一方で、新しいアジュバントなので未知のトラブルがある可能性はあります。
(注2) 今後ガーダシルでも同様の交差予防効果が判明する可能性はあります。

 歯切れが悪い文章ですが、尖圭コンジローマへの効果があるガーダシル子宮頸がん予防だけに限ればサーバリックスも捨てたもんじゃない。というのが僕の感想です。
 ただ一番重要なことは、20歳から始まる子宮頸がん検診を必ず受けることです。

doc_toyonaidoc_toyonai  at 21:08コメント(5) この記事をクリップ!