2014年09月03日
デング熱 ~まずは風疹・麻疹の予防接種を~
デング熱が70年ぶりに日本国内で確認されてにわかに注目されてます。
デング熱の症状はネットで検索すれば出てきますが(←手抜きでごめんなさい(^^;))、高熱がみられるなどそれなりに苦しい病気ではありますが、予後は比較的よい病気です。デング出血熱といった重篤な病気になると、適切な治療を受けないと死亡することもありますが、通常デング熱のほとんどは対症療法のみで治ります。過度に心配する必要はありません。
そもそもデング熱そのものを治す薬はありませんしヒトからヒトへ感染しないので、デング熱であるとわかっても症状や身体の状態にあわせて治療をするのみです。
テレビを見て、熱が出たら調べないといけないと思う方がないように書きますが、デング熱かどうかを調べるために右往左往する必要はないのです。
(そもそも商業ベースで調べる方法はなく、発熱のみで検査する必要はありません)
実は10数年前にデング熱の方を2例受け持ったことがあります。1例目の方は内科学会関東地方会(第469回)で発表しましたが、その時の抄録が右です。入院するような方ですから重い症状の方でした。下痢や発疹・高熱ととともに血小板が下がるなど、命に関わるのではと思ったからこそ懸命に原因を探りました。治療に役立つことは何でもいいから情報がほしいと思いました。だからこそデング熱に行き着きましたが、この方の場合は退院後に判明したこともあり治療に役立つわけではありませんでした。(検査は国立感染症研究所に依頼しました)その1年後に2例目の方(30代女性)を受け持ちました。この方も下痢と発疹と高熱などがみられましたが、やはり診断がついたのは退院後でした。デング熱が簡単に検査できる体制があれば早期に発見できたかもしれず、そうすれば余計な抗生物質使わなくてすんだかもしれません。しかしそれを含めて考えても、検査が決定的な役割を果たしたかといえば、微妙だというのが僕の印象です。ましてや不安だからと言って調べる必要はありません。
もちろん今回の代々木公園のような事例ではデング熱の現状を知るためにサーベイランスは必要です。保健所や東京都・厚労省は、プライバシーや余計な憶測に注意を払いながら検査・調査をすすめていただきたいと思います。
(当院でも保健所に一例相談していますが検査不要でした)
一方僕たち現場は(有病率がかなり低い)現状ではデング熱の検査に振り回されることなく、患者さんの状態を把握して粛々と対処していくことが結果的にデング熱診療に寄与するのだと思います。
(当院でも保健所に一例相談していますが検査不要でした)
一方僕たち現場は(有病率がかなり低い)現状ではデング熱の検査に振り回されることなく、患者さんの状態を把握して粛々と対処していくことが結果的にデング熱診療に寄与するのだと思います。
なお、デング熱はデングウイルスが原因です。フラビウイルス属といわれる種類で、仲間には日本脳炎や西ナイル熱、黄熱病などのウイルスがあります。いずれも蚊によって媒介されますが、ヒトからヒトへは感染することはありません。日本脳炎や黄熱にはワクチンがありますが、残念ながらデング熱にはワクチンはありません。流行国ではワクチン開発が期待されています。
最後になりますが、デング熱も心配ですが、まずはワクチンが存在する日本脳炎や風疹、麻疹の予防接種をきちんと受けて予防できる病気の対処しましょう。(更に言えばB型肝炎のワクチンもお薦めします)
今日はこれが言いたくてデング熱のことを書きました。