トップページ » 麻疹
麻疹

麻疹の流行 2018年


32沖縄で麻疹が流行しています。
なぜ麻疹がこれだけ騒がれるかと言えば、とても感染しやすく重症化することがあるからです。

感染の仕方はインフルエンザのように飛沫感染や接触感染するだけでなく、空気感染します。ウイルスが空気中に浮いているため同じ空間にいるだけで感染します。

 また麻疹にかかると免疫機能が一時的におさえられてしまうため、他のウイルスや細菌による感染症が重症化します。1000人に1人の割合で死亡する可能性があるとされています。

 つまりインフルエンザよりも感染しやすく、インフルエンザよりも死亡率が高いのです。更に言えば麻疹ワクチンはインフルエンザワクチンよりも予防効果が高いです。2回接種するだけでかなりの発症リスクを抑えられます。

 GWを控え、麻疹ワクチンの問い合わせが増えています。間に合うでしょうかという問い合わせもあります。抗体がつくまで2週間くらい必要とされています。その意味では厳密には間に合わないかもしれません。しかし麻疹患者と接して緊急(72時間以内)にワクチン接種することで発症を防ぐ可能性があり、実際に行われています。また麻疹に感染するリスクは今回だけではありません。今後も考えれば時期に関係なく接種する意味はあるでしょう。

麻疹の抗体が十分あることを確認された方や、母子手帳などで2回予防接種を受けている方以外は予防接種を検討して下さい。1度も接種していない方は2回が理想的ですがまずは1回打ってください。2回目は1ヶ月後からできますが、流行期に急いで確実に免疫をつけたいとき以外はもう少し時間をあけた方がよいようです。

抗体を持っている人が繰り返しワクチンを打っても問題ありません。迷ったら抗体測定ではなくワクチン接種でよいと思われます。

また麻疹のワクチンには、麻疹単体のワクチンの他に、風疹と混合のMRワクチン、更におたふくも入ったMMRワクチンがありますが、通常はMRワクチンやMMRワクチン(当院ではPriorix)で予防接種します。

風疹の予防も重要です。麻疹と同様に流行が数年ごとにみられます。
必ず一緒に予防してください。

なおMMRワクチンは輸入ワクチンのため重篤な副作用の際に公費での救済措置がないのがデメリットですが、安全性はMRワクチンと変わらず一度の接種で3つの病気を防げることが大きなメリットです。世界的にはMMRワクチンが一般的で、麻疹単独のワクチンやMRワクチンはある意味ガラパゴス的なようです。



doc_toyonaidoc_toyonai  at 14:00コメント(0) この記事をクリップ! 

デング熱  ~まずは風疹・麻疹の予防接種を~

 デング熱が70年ぶりに日本国内で確認されてにわかに注目されてます。

 デング熱の症状はネットで検索すれば出てきますが(←手抜きでごめんなさい(^^;))、高熱がみられるなどそれなりに苦しい病気ではありますが、予後は比較的よい病気です。デング出血熱といった重篤な病気になると、適切な治療を受けないと死亡することもありますが、通常デング熱のほとんどは対症療法のみで治ります。過度に心配する必要はありません。
 そもそもデング熱そのものを治す薬はありませんヒトからヒトへ感染しないので、デング熱であるとわかっても症状や身体の状態にあわせて治療をするのみです。

 テレビを見て、熱が出たら調べないといけないと思う方がないように書きますが、デング熱かどうかを調べるために右往左往する必要はないのです
(そもそも商業ベースで調べる方法はなく、発熱のみで検査する必要はありません)

ICOPY000055
 実は10数年前にデング熱の方を2例受け持ったことがあります。
 1例目の方は内科学会関東地方会(第469回)で発表しましたが、その時の抄録が右です。入院するような方ですから重い症状の方でした。下痢や発疹・高熱ととともに血小板が下がるなど、命に関わるのではと思ったからこそ懸命に原因を探りました。治療に役立つことは何でもいいから情報がほしいと思いました。だからこそデング熱に行き着きましたが、この方の場合は退院後に判明したこともあり治療に役立つわけではありませんでした。(検査は国立感染症研究所に依頼しました)

 その1年後に2例目の方(30代女性)を受け持ちました。この方も下痢と発疹と高熱などがみられましたが、やはり診断がついたのは退院後でした。
 
 デング熱が簡単に検査できる体制があれば早期に発見できたかもしれず、そうすれば余計な抗生物質使わなくてすんだかもしれません。しかしそれを含めて考えても、検査が決定的な役割を果たしたかといえば、微妙だというのが僕の印象です。ましてや不安だからと言って調べる必要はありません。

 もちろん今回の代々木公園のような事例ではデング熱の現状を知るためにサーベイランスは必要です。保健所や東京都・厚労省は、プライバシーや余計な憶測に注意を払いながら検査・調査をすすめていただきたいと思います。
(当院でも保健所に一例相談していますが検査不要でした)

 一方僕たち現場は(有病率がかなり低い)現状ではデング熱の検査に振り回されることなく、患者さんの状態を把握して粛々と対処していくことが結果的にデング熱診療に寄与するのだと思います。
 なお、デング熱はデングウイルスが原因です。フラビウイルス属といわれる種類で、仲間には日本脳炎や西ナイル熱、黄熱病などのウイルスがあります。いずれも蚊によって媒介されますが、ヒトからヒトへは感染することはありません
 日本脳炎や黄熱にはワクチンがありますが、残念ながらデング熱にはワクチンはありません。流行国ではワクチン開発が期待されています。
 
 最後になりますが、デング熱も心配ですが、まずはワクチンが存在する日本脳炎や風疹、麻疹の予防接種をきちんと受けて予防できる病気の対処しましょう。(更に言えばB型肝炎のワクチンもお薦めします)
 
 今日はこれが言いたくてデング熱のことを書きました。


doc_toyonaidoc_toyonai  at 09:45コメント(2) この記事をクリップ! 

初めての共同作業が予防接種 ~麻疹風疹ワクチン~

 先日とても印象的な出来事がありました。カップルで麻疹風疹(MR)ワクチンを接種しに来られた方がいたのですが、名字が違っていたので僕は不躾にも「結婚予定ですか?」とお聞きしました。すると「入籍を済ませてきたところです」と言うのです。

IMG_1685 妊娠初期に風疹にかかると「先天性風疹症候群」と言って胎児に障害が起こることがあります。いつか生まれてくる子のために、二人の初めての共同作業が予防接種だなんて素敵だなぁと感動してしまいました。

 そこで風疹については昨年6月にもブログで取りあげていますが、改めて取り上げたいと思います。

 風疹の流行を伝える2月7日の東京都の発表では、男性では20代~40代女性では20代の割合が高いことがわかります。もともと風疹の定期予防接種は「先天性風疹症候群」予防が目的で女子中学生のみが対象でした。そのため男子の予防接種が開始されたのは平成7年(1995年)からと遅れ、30代以上の男性で風疹が流行する大きな要因となっているのはご存知の通りです。

 しかし予防接種されているはずの女性で20代のピークがあるのはなぜでしょう。
 一つは、平成7年(1995年)の男女定期接種への変更に伴い、接種時期が中学2年生から1~7歳(12ヶ月~90ヶ月)に変更されたため、移行期間のはざまで接種し損なっている女性がいたからだと思われます。

 そしてもう一つは、現在20代の女性の多くは1回しかワクチンを打ってない上に、予防接種後に大きな流行に晒されなかったため、追加免疫がされず抗体価が下がってしまった人がいることが考えられます。2回接種は男女定期接種開始の平成7年(1995年)からです。現在23歳以下の方は3期・4期の予防接種もあり2回接種の機会がありますが、約24歳以上の方は2回接種の機会がありませんでした。(3期・4期は以前のブログ記事を参照)
 そう考えると、冒頭に紹介したカップル(夫婦)が、奥様も一緒に予防接種を受けたことには大きな意味があると思います。
 当院ではMRワクチンは男性がほとんどで、特に奥さんの妊娠で来られる方が多いのですが、先天性風疹症候群の予防を考えれば、妊娠される前が望ましいことは言うまでもありません。既婚未婚に関わらず心当たりがある方は是非お近くの医療機関でご相談下さい。都内で予防接種できる医療機関は東京都医療機関案内サービスのこちらから検索できます。(2/18 20時に検索先を訂正しましたm(__)m)

 なお、MRワクチン接種後は2ヶ月間避妊が必要です。女性は月経中やその直後が確実です。(男性は避妊は不要とされています)
 また忘れられがちですが、不妊治療を検討している方は、抗体チェックやワクチンなど風疹対策も忘れないようお願いします。

 余談ですが、先のカップルに女性の2ヶ月の避妊を念押ししたにも関わらず、つい癖で「男性は避妊しなくても大丈夫ですよ」と言ってしまいました。新婚さんに意味深な言葉をかけて申し訳なかったと反省です(^^;。


doc_toyonaidoc_toyonai  at 14:55コメント(3) この記事をクリップ! 

麻疹ワクチン予防接種率が低い東京都 ~中1と高3は予防接種を!~

  今さらですが麻疹ワクチンの予防接種率の低さについて書きたいと思います。日本が麻疹(はしか)根絶後進国と知りながらワクチン接種率にあまり関心を払ってこなかったことに内科医としての反省を込めて・・・。

 ここに国立感染症研究所の感染症情報センターからの麻疹予防接種情報があります。2010年度の麻疹・風疹ワクチン(MRワクチン)の接種率を見ると、1期と2期は不十分とはいえ概ね90%以上の摂取率が確認できますが、3期は80%台がちらほらみられ、4期は全国平均で78.8%と不十分なことがわかります。
 しかし驚いたのは東京都の予防接種率の低さでした。3期が83.9%、4期が67.0%とほぼ最下位です。(3期、4期の意味については後ほど説明しますね)

 ところで僕は武蔵野赤十字病院で消化器内科のトレーニングを受けました。ここは感染症指定医療機関であり、腸チフスや細菌性赤痢、デング熱など伝染病も受け入れていました。
 当時、武蔵野赤十字病院には感染症科はなく、やむなく若手の内科医が順番に患者を割り当てられて担当していました。これは今思えば貴重な経験で、外国からの熱病の経験を積めただけでなく、それに紛れて転送されてくる麻疹の患者さんを主治医として診療することができました。しかしそれでもほんの数例で、それも診断がついた麻疹患者を受け入れただけで、その後はほとんど診ていません。情けないですがそれが内科医の僕にとっての現実です。

 その後時を経て2007年春、関東では大学生の間で麻疹が流行し、休校する大学が相次ぎ大きな問題となりました。カナダでは日本からの修学旅行生が麻疹を発症し、数十名が隔離されて帰国できませんでした。
 アメリカやカナダでは麻疹はほぼ根絶され国内発症はゼロです。日本は「麻疹の輸出国」だなんて厭味を言われて残念だと思ったものです。

 実はこの前年の2006年から麻疹の予防接種方法は変更されました。新しく認可された麻疹・風疹混合(MR)ワクチンを1歳(1期)と小学校入学前(2期)の2回行うことになりました。基本的に麻疹の予防接種は1回でもかなり免疫が付くようですが、1回では付かなかったり、免疫が弱くなったり、あるいは予防接種を受けなかった子のため2回接種となっているようです。

 しかしこれでは2007年に起こった高校生や大学生の麻疹騒動をすぐには防げません。
 そこで始まったのが2008年からの3期・4期の定期予防接種です。これは5年間の限定措置で、それぞれ中1と高3に相当する方にもMRワクチンを打とうというものです。5年間限定ですから3期と4期を両方受ける人はいません。この政策によって1990年4月2日以降に生まれた方全てが、2006年度の接種方法変更後のMRワクチンを受けたことになります。

 話しを戻しましょう。この3期と4期の予防接種率は満足いくものではありません。特に東京都は非常に低いです。これは大問題です。
 
 現在、中学校1年生と高校3年生の方は今年の3月中に必ず受けて下さい。
 現在、小学校6年生と高校2年生の方は、4月から受けられます。

 もちろん無料です


 最後になりますが、麻疹の予防接種以外のことを書きます。ちょっと脅かしてしまうかもしれません(^^;。

 麻疹ウイルスは空中に浮遊するため空気感染します。このため目の前で咳をされなくても、同じ部屋にいるだけで感染し、インフルエンザより感染力が強いと言えます。熱は38℃~40℃の発熱を伴う風邪様の症状、更に発疹や結膜炎、下痢などがあります。それでいて麻疹にはインフルエンザにおけるタミフルのように特別な薬があるわけではありません。10人に4人が入院するとされ、1000人に1人程度の死亡率が報告されています。後遺症が残ることもあり、稀ですが10年後に知能障害や運動障害で発症する脳炎を合併することもあります。

 しかし残念なことにワクチンには副作用があります。重篤なものでは脳炎が知られており、100万人に1人くらい起こると言われています。しかしワクチンから得られるメリットと比較すると、ワクチンを打たない方が危険度が高いと思われます。
 こうしたことを考慮の上、ワクチン接種を是非ご検討ください。
 

 なお、当院でもMRワクチン接種や麻疹抗体測定(自費)を行っておりますが、基本的に3期4期の方や成人の任意接種を対象としています。1期・2期をご希望の方は小児科にお問い合わせ下さい。


doc_toyonaidoc_toyonai  at 16:05コメント(0) この記事をクリップ!