強くなる必要があったのか、今でもわからない。結果的に強くなってしまって、恥じらいはどこかへわざと捨ててきて、そうでもしないと生きていけないくらいだった。満たされない執着心、たぶんきっと始まりはそれだけのために、数年間狂ったように狂った生活をしていたのは本当に面白い。おかげでたくさんの境地に辿り着いた。ただ、私はもともとそんな人ではない。悪口や軽薄なコミュニケーション、なんとなく人やものを小馬鹿にしてしまうその癖。心を鈍らせていく中で当たり前のようになってしまっていた汚さに気づいて、あなたは初めからずっと気高いな、と思う。私はもう垢に塗れきって、その場しのぎをずっとしてきて、きっと彼にもそんなような後めたさはあるのだろうけど、なににしろ心が真っ直ぐだよなと思う。頑固同士の意見の交わし合い、意見のぶつかり合い、話すことの無意味、までに達してしまうこと多々あり、お互いの違いを著しく感じた日には意味もなく名前を呼んだり、寝る前に自然にキスをしたり、しない。でもそれだけで、その時だけで、均衡に保たれている関係は丸いシャボンで落ち着く。優しくすれば優しくしてくれて、気にかければ機嫌が良くて、長くいればいるほど瞳が穏やかになる。私が何かを我慢する必要がなくて良かった。さらに欲張り、もう一声、あの頃みたいな真っ直ぐな綺麗な心にあともう一度戻りたい。