2018年10月01日

スカート「20/20」(2017年)

スカート最近気に入っている若いミュージシャンの筆頭がスカートだ。世代的には息子世代と言えるが、妙に70年代ミュージック・ポップな香りを放っている。しかしノスタルジーではなく、きちんと今の音を身に身に纏っているところが素晴らしい。

中学校時代に母親から「これを聞きなさい!」と渡されたのがXTCの「Drums & Wires」だとか、ムーンライダーズやカーネーションを聞いていたとか、幼少からのひねくれPOPSファンぶりが窺える。

「20/20」はデビュー3作目であり、初メジャー・デビューアルバム。まず、この哀愁をかなでるようなジャケ・デザインが良いですね。冒頭の1曲目「離れて暮らす二人のために」は、まさにジャケを表現したようなもの悲しい正統派ポップ・ソング。メロウな歌詞も胸がきゅんとする。2曲目「視界良好」も軽快なギター&ドラムが印象的。どの曲もなんだか聴いたことがあるような郷愁感を感じさせつつも、一方で新鮮なコード進行、魅力的なメロディーラインを備えている。POPSマジックとはこのことだろう。シンプルなギターポップ・アルバムに仕上がっている。

山下達郎、大滝詠一をPOPS第1世代、フリッパーズギターなどの渋谷系を第2世代だとすると、スカートはPOPS第3世代だ。先行世代が得た経験と蓄積を濾過し、さらに純化させたような味わいがスカートからは漂ってくる。









dogmoon33 at 13:45|PermalinkComments(0) 2010年代 | シンガーソングライター

STOMU YAMASHITA「GO TOO」(1977)

gotoo1977年作、ツトム・ヤマシタの『GO TOO』である。発表された当時のアルバムジャケットは、ヌードになった男女の肉体に「GO」のロゴマークがペイントされたもので、なかなかクールなデザインだったのだが、その後の再発では湖畔に浮かぶ和船と葦というけっこうジャパニーズなデザインに変更されてしまい、大分イメージが変わってしまった。

このアルバムは、ジュリアード音楽院を卒業し、当時欧州を中心に活躍していたパーカッショニスト、ツトム・ヤマシタのリーダーアルバム。今回改めて気がついたのですが、ツトム・ヤマシタは「TSUTOMU YAMASHITA」ではなくて、「STOMU YAMASHTA」なんですね。この方がローマ字読みよりも実際の発音に近いのでしょうか。

このアルバムは、1976年『GO』『GO LIVE』に続くGOシリーズの第3弾。
音楽の内容は、当時の言い方で言えば、クロス・オーバーとかフュージョンのジャンルに属するのでしょうか。プログレッシブ・ロック的な香りも多少残っている。フュージョンにオリエンタルな香りをまぶした感じか。そこが内省派ロックたる所以でしょうか。
アル・ディメオラ、ドニ・ハーヴェイ、ポール・ジャクソン、ブラザー・ジェイムスなど一流のセッション・マンを起用したスリリングな演奏に、当時このアルバムをNHKーFMで聴いて、あわててレコード屋に駆け込んだ記憶がある。リンダ・ルイスのキュートでパワフルな歌声が印象的だ。

残念ながらこの後、ツトム・ヤマシタの活動はぱったりと途絶えてしまったのだが、もう少しこの才能を楽しみたかった気もします。







dogmoon33 at 09:35|PermalinkComments(0) 1970年代 

2017年08月11日

SOGGY CHEERIOS『1959』(2013年)

6f40548c.jpg1959年生まれのミュージシャン同士が2013年の54歳に初めて邂逅、意気投合して作成したのが、このアルバム、ソギー・チェリオス『1959』である。

初めてと言っても、ワールドスタンダードの鈴木惣一朗と、カーネーションの直江政広という二人だ。片や鈴木は細野晴臣のワールドスタンダードレーベル出身、直枝はムーンライダーズ系のメトロトロンレーベル出身だから、家柄と血筋はごく近しいと言っていいだろう。

雑誌「レコードコレクターズ」のポール・マッカートニー『ラム』対談で初対面となった同世代が意気投合し、アルバム作成に至ったというが、同年齢で、音楽の好みも似通っているということもあるせいか、新ユニットとしての違和感は感じられない。

音楽的には飾り気のない、シンプルなフォークロックだ。まさに出会いの契機となった『ラム』的というか。一部ゲストミュージシャンもいるが、殆どの曲は二人の手で作詞、作曲、演奏が行われている。

出色なのはラストの『とんかつの唄』だろう。細野晴臣、鈴木慶一をゲストボーカルに迎え演奏されるこの曲は、1963年公開、『喜劇とんかつ一代』主題歌で森繁久彌が歌った曲だ。この曲を大トリに設定するあたりがベテラン・ミュージシャンたちの風格とふところの太さと言ってもいいんじゃないだろうか。




dogmoon33 at 14:51|PermalinkComments(0) 2000年代 | ジャパニーズ・ロック

森は生きている『森は生きている』(2013年)

6f40548c.jpgまたまた久しぶりのブログ投稿である。
 さあ、久しぶりに何のアルバムを紹介しようかと思って、真っ先に思い浮かんだのがこの「森は生きている」の1stである。

 もう何年前になるだろうか。東京駅前の丸善書店でこのアルバムが流れていて、なかなかいいなと思い、そのご近所にあるココナッツ・ディスクで買い求めたものだ。若い店員さんに「このアルバムいいですよねえ」と話しかけたら、まったく無視されてしまったのが残念でした。思い切って若い人にすりよったのに・・

 さて、このアルバム、他の評にも書かれているとおり、フォーク的というか、カントリーロック的なゆるーい浮遊感を感じるこの音楽は、はっぴいえんど的でもあるし、ビーチボーイズのペットサウンドにも通じるところもある。男性版の空気公団みたいでもある。

ボーカルの男性の声が、ちょっと裏声的で頼りなさげなところがいいのである。「昼下がりの夢」「雨上がりの通り」「光の蠱惑」など、なかなかの佳曲揃いだと思う。

しかし、この後もう一枚アルバムを発表したが、どうやら2015年には解散してしまったみたいである。勿体ないことである。






dogmoon33 at 11:26|PermalinkComments(0) 2000年代 | ジャパニーズ・ロック

2009年10月19日

空気公団『青い花』(2009年)

6f40548c.jpgわが敬愛する空気公団が7月に発売した最新シングル。フジテレビ放映のアニメ「青い花」のオープニング主題歌を含む4曲が入っている。

まずなんと言っても1曲目の「青い花」が素敵だ。昔ほどのヒネリは無い。シンプルなピアノのコードに加えて、ギター、ベース、ドラムがかぶったシンプルなメロディライン。昔の空気公団の音を知るものとしては、少し物足りなさを感じるものの、わかりやすくなったのは事実。そしてなによりもリズム強化が、空気公団の魅力をより一層わかりやすくしている。スタジオミュージシャン佐野康夫さんの力によるものだろう。

「青い花」に続いて、収められている曲は「グラデーション」。デビュー当時の大貫妙子を彷彿とさせる、傷つきやすく繊細な音楽性が魅力だ。

3曲目の「うしろに聴こえる」は、「あかさたな」や「退屈」に似たCMにでも起用されそうな軽快なメロディを持つ曲だ。

4曲目の「悲しみ知らん顔」は、夕日のかかる土手を俯きつつ散歩しているようなメランコリックな曲。「楽しい夜も/寂しい朝も/ひとつになって残るのさ 正しい気持ち/正しい生き方/本当はないんだな/素敵さ/あるようでないものを/追いかけて生きている あるようでないものを/抱きしめて生きている」。じーんときます。




dogmoon33 at 00:41|PermalinkComments(0) 2000年代 | ジャパニーズ・ロック

2009年06月29日

小沢健二『Eclecttic』(2002年)3

小沢健二フリッパーズ・ギターには痺れたものの、それ以降の小沢健二と小山田圭吾には、さほど関心があったわけではない。

小山田圭吾の音楽的才能、ポップ表現力には舌を巻いたが、さりとて自分自身には無くてはならない音楽世界ではなかったし、小沢健二に至っては、テレビでスチャダラパーとなにかやっている程度の認識で、音楽的な才に関は、彼ではなく小山田に分があるというのが僕の理解だった。

と言いつつも、なにか気になる存在。それが僕にとっての「小沢健二」。

当初この「Eclecttic」を手にしたときも、大きな期待があったわけではないが、妙に期待を膨らませたのがこのアルバム・ジャケット。まるで脱構築ミュージックやミニマルミュージックなど、現代音楽のジャケットのようではないか。アイドル然とした写真が中心にすえられた今までのアルバムと異なるなにか、決意のようなものがそこには感じられた。

内容を聞いてみて驚いた。全く想定したオザケン・ワールドとは異なり、これは完全にソウルの世界。ミュージシャンもNYのスタジオミュージシャンを起用し、隙の無い音楽を展開している。聞こえてくるバックヴォーカルも日本語じゃないみたい。

アルバムの完成度は、高くはない。なによりも小沢健二のヴォーカルに難ありだ。歌の表現力に欠けている、平板すぎるのだ。

しかし一方で、このアルバム世界はおそらく小沢健二にしか表現できなかった独自の世界。「官能的」という言葉で、このアルバムは語られているようだが、僕には「禁欲的」で「抑制的」で、沈黙の中のから生まれてきた音楽のように感じたのだった。

これはまさに、従来のソウル=魂の表現、というスキームとは全く逆の位相である。そこに目をつけた、というか、(おそらく)そこに行かざるを得なかった小沢健二の思想と音楽遍歴に僕は興味がある。

現在は目立った音楽活動は停止してしまったそうであるが、彼は、全く異なったフィールドから再び表れてくるような気がするのである。



dogmoon33 at 06:35|PermalinkComments(0) 2000年代 | 男性ボーカル

2009年05月17日

yusuf/ユスフ 『ロードシンガー』(2009年)4

9f35092f.bmpユスフこと、キャット・スティーヴンスのミュージック・ビジネス界復帰第2作。前作は28年のブランクもあり、習作的な作品も見受けられたが、本作はトータル・アルバムとして極めて完成度の高い作品となった。

かつてのキャット・スティーブンス時代の匂いを残しつつ、全体としてフォーキーな趣きが強い。レコーディングも、本格的なフォーク・サウンドを求めた結果ナッシュビルを中心に(加えてロンドン、LA、ドバイ)行われたようだ。

全体的な曲のイメージとしては、「モナ・ボーン・ジャコン」的な感じが中心であるが、時折「仏陀〜」以降により強く現われてきたリリカルなメロディも顔ものぞかせ、ある意味で新しいキャット・スティーブンス=ユスフを僕たちはここで体験することが出来る。

アルバムのテーマは、おそらくアルバム・タイトルともなっているとおり「旅」と「夢」。アルバム各曲の中でも、そのテーマで歌われたものが多い。両テーマの共通するメタファーは「人生」。彼は、それぞれの作品を通して、人生の色々な局面を教えてくれているのだ。しかし教訓めいた形ではなく、心をこめて。

アルバムで5曲共同プロデュースを行っているマーティン・テレフェは1969年ストックホルム生まれ。96年からロンドンで活動し、それ以降数多くのシンガーソングライター系ミュージシャンのプロデュースを行っている。代表的ミュージシャンとしては、ロン・セクスミス、ジャイムス・モリソン、マーサ・ウェインライト、アハ、ジェイソン・マーズなど。SSW系では旬のプロデューサーなんだろう。

yogiはLAのバンド、バックチェリーのギタリスト。クロスコーネルやロン・セクセスミスのバックギタリストなども務めている。彼自身もシンガーソングライターとして活動しており、ホームページで確認するとなかなか魅力的な曲だ。以前でいうと、キャットのパートナーであったアラン・デイビスの役割を彼が果たしていると言ってよさそうだ。




dogmoon33 at 03:05|PermalinkComments(1) 2000年代 | シンガーソングライター

2009年05月05日

センチメンタル・シティ・ロマンス『ホリディ』(1976年)3

holiday「はっぴいえんど」ゆずりの日本的叙情と、イーグルス的西海岸ロックのカラッとしたさわやかさを併せ持つユニークで特異な存在。それがセンチメンタル・シティ・ロマンスのイメージだ。

70年代半ばは、日本でもロックが徐々に市民権を得てきた時代。そこに大手レーベルのCBSソニーが満を持してプッシュしてきた期待感あふるる注目バンド。メジャー・デビュー当時のセンチはそんなイメージだった。
おなじみのロゴマークも、当時日本のバンドであんなカッコイイロゴを持っているバンドなんか無かったのでは?

加えてデビューアルバムのプロデューサー(最終的には音楽アドバイザーだっけ)が細野晴臣というのも、期待感創出には一役買いましたよね。

この1976年発表の「ホリディ」は、彼らの2枚目のオリジナル・アルバム。1枚目がどちらかというと西海岸テイストよりも叙情性が出ていたのに対し、このホリディは西海岸ぽさが中心。ひたすら気持ちの良い楽曲が並んでおり、発表当時はまだ見ぬウエストコーストを夢見つつ、なんどもこのLPをターンテーブルに乗せたものだ。

それから既に30年以上。メンバーは一部変わりつつも、中野督夫、告井延隆、細井豊を中心に活動を続けている息の長いバンドだ。長寿バンド&ヒット曲を持たないという点では、ムーンライダーズやブレッド&バターと立位置が同じような感じであるが、いずれのバンドも僕のお気に入り。また機会があればライブにも言ってみたいです。



dogmoon33 at 08:26|PermalinkComments(0) 1970年代 | バンド

2009年05月04日

ガロ『GOLDEN☆BEST/GARO アンソロジー 1971〜1977 』3

5dbe38dc.jpgオリジナル・アルバムを紹介するのが本ブログの基本ポリシーだが、ガロに関しては、オリジナル盤CDはすでに絶盤。仕方なくベスト盤を紹介する次第である。

ガロは、本来「日本のソフト・ロック」の草分けとして紹介すべきバンドだ。
残念ながら、一般的には「学生街の喫茶店」でお馴染みのフォーククループとして理解されてしまっている。

彼らが当初目指していたのは、確実に繊細なハーモニー・コーラスを主体としたCSN&Yやブレッドのようなバンドだったはずだ。

「たんぽぽ」「地球はメリーゴーラウンド」「水色の世界」「美しすぎて」などは、CSNカート・ベッチャーもかくやと思わせるソフトロックの名曲である。

悲しいことに、70年代初頭の日本のマーケットは音楽の良さがわかるほど成熟していなかった。(果たして現在は?)それが、その後のガロの運命を変えていくことになってしまう。

「学生街の喫茶店」も良い曲ではあるが、その曲自体の評価でなく、マークやトミーのルックス、ファッションが風俗的に語られてしまい、フォーク界のアイドルになってしまった事が彼らにとって悲劇だった。

このアルバムには、デビューから解散(76年)の主要ヒット曲が収められている。改めて聴いてみると初期の名曲のみならず、どの曲も味わい深い曲ばかりだ。




dogmoon33 at 06:11|PermalinkComments(0) ハーモニー/コーラス | 1970年代

2009年05月03日

キリンジ『ペイパードライヴァーズミュージック』(1998年)5

2e5a2189.jpg「上質な日本のポップ・ミュージック」。キリンジの音楽を表現する一言として、これ以外の言葉は見つからない。

1970年代から芽生えた日本のシティ・ポップスの流れ。ティン・パン・アレイや山下達郎、吉田美奈子、その他数多くのミュージシャンの成し遂げてきた日本語ポップスの歴史と成果を上手く掬い取り、さらにその成果を一段とレベルアップすることに成功している。生まれついてのポップス世代ならではの音楽力とでも言える表現力。

ニューミュージック第3世代の中では小沢健二と並び、彼らの才能は評されるべきだろう。

と、いささか誉め過ぎでもあるのだが、このファースト・アルバム。はずかしながら、誰かにもらってずっと手元にあったのだが、聴くことなくレコード棚の中に死蔵していたのだ。最近になって改めて聴いてみると、ドヒャー!何で聴いてなかったんだ!!と後悔の念しきりである。

1stアルバムにしてこの完成度。名曲揃い。「双子座グラフィティ」「風を撃て」「雨をみくびるな」などなど。多少のひねくれ具合も交え、ポップス好きにはたまらないメロディ・ラインである。

まだ彼らの音楽の全容はつかめていないのだが、これはまたコレクションするのが楽しみなグループがまたひとつ増えたなあ。




dogmoon33 at 18:02|PermalinkComments(0) 1990年代 | バンド
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