エジプトのイスラム国であるイスラム国シナイ州が今朝から総攻撃を開始しました。

シナイ半島にある15箇所のチェックポイント等に対して、自動車爆弾による自爆テロを3回、RPGや迫撃砲といった重火器を用いた攻撃、戦闘機に対しては地対空砲による攻撃を加えたとのこと。

既に犯行声明も出されています。
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犠牲者数はまだはっきりしていませんが、病院筋によると少なくとも軍人64人が亡くなっているようです。

シナイ半島、特にシェイフズウェイドとラファハ、アリーシュでのイスラム国とエジプト軍の間の戦闘は現在も続いており、エジプトはラファハを封鎖してガザとの国境域に援軍を派兵したとのこと。

先ほどもラファハで2回大きな爆発が起こったようで、これから犠牲者の数がどれだけ増えるか全くわかりません。

いくつかの軍駐屯地、チェックポイントに関しては、イスラム国が「完全制圧」を宣言しており、一部では「シェイフズウェイドの街はイスラム国の手に落ちた」という情報すら流れています。

・・・いよいよ本当に、エジプトの地にイスラム国の統治する州ができあがってしまうかもしれません。

少なくとも彼らが、領土支配欲をむき出しにしてきたのは間違いありません。

今日の攻撃は、エジプトが混乱状態に陥った2013年夏以降最大規模のものであり、軍人の犠牲者数も最多です。

エジプトのイスラム国はなぜか世界的には注目度が非常に低いのですが、これまで散々エジプト・ブログのほうで書いてきたように、この半年ほどで着実に力をつけ、確実にヤバさを増してきた恐るべき存在です。

もともとはアンサール・バイトゥルマクディスABMという名のローカル武装組織だったのですが、2014年11月にイスラム国入りを宣言、それからはエジプト軍人や地元住民の首を切るといったやり方で「イスラム国っぽさ」をあからさまにアピールするようになったほか、公開する動画のクオリティーも目に見えてアップし、最新型兵器や重火器を多数所有するなど、みるみるうちにパワーアップしてきました。

最近どこかのアラビア語ニュースチャンネルでやっていたのですが、イスラム国をはじめとするイスラム過激派は動画を作るとか、SNSを使って情報を流すといったメディア戦略にものすごいお金を使っているそうで、つまりイスラム国シナイ州がハイクオリティーな動画を作るようになったということは、それだけ資金が潤沢になったということを意味します。

ちなみにABMはもともと、エジプト当局に昔から恨みを持っているシナイ半島住民に同胞団が資金援助をし、ハマスが軍事訓練を施して出来上がった組織だと言われています。

イスラム国は同胞団のような中途半端イスラム組織が大っ嫌いですから、ABMがイスラム国入りしたということは、その時点で同胞団とはきっぱり縁を切ったということを意味します。まあ、単にスポンサーとしてだけでも、既にジリ貧状態の同胞団を切ってイスラム国に入った方が「お得」であることは、客観的に見て明白ですしね。

エジプトでは一昨日6月29日にカイロ市内で検事総長が爆弾テロで暗殺され、昨日6月30日にもシッタオクトーブル(10月6日)の警察署前で仕掛け爆弾2発が爆発して3人死亡、ヘルワーンでも警官が銃撃されて死亡するなど、甚大なテロが多発しています。

・・・いや、エジプトというのはテロが毎日多発するのが当たり前の国なのですが(一時期エジプト爆弾記録をつけていたのですが、疲れてやめました・・・)、それでもここ数日のテロはこれまでとは比較にならないほど大規模で、被害も相当なものになってきています。

正直、こわいです。

現状既にこわいですが、今後の展開を考えるともっとこわくなるし、ものすごーーーーーく嫌です。

6月末から7月、8月にかけては、エジプトでは第二革命の記念日やモルシ大統領追放日、同胞団員の座り込みデモを一掃した日など、同胞団員にとっては恨みがましい記念日が続くので、ただでさえテロのリスクは高まります。

しかも今は、ムスリムが信仰心を新たにし、いつも以上に善行(=ジハード)に励むラマダン月でもあります。

ラマダン月最後の10日間は、預言者ムハンマドに初めて神から啓示が下された聖なる期間でもあります。

とりあえずは、今のシナイのやばすぎる状況が収束するかどうかを注視していきます。

追記:これを書いていたら、新しい声明文が出されました・・・
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