イスラム国シナイ州がクロアチア人男性サロペック氏とみられる遺体画像を公開した後、クロアチアのプシッチ外相は同画像が同氏のものとはまだ特定されていないとはしつつも、会見で次のように述べました。

・サロペック氏は7月22日に強盗団とみられる集団によって拉致された
・そのあとその集団は、サロペック氏の働くフランス企業CGGに身代金の支払いを要求し
・8月5日にイスラム国がサロペック氏の映像を公開、それ以降身代金要求の連絡は途絶え、要求は「女性囚人の釈放」へと変わった
・ゆえに、サロペック氏は最初強盗団によって拉致され、その後イスラム国に引き渡されたとみられる

またサロペック氏の働いていたCGGはAFPの取材に対して、次のように答えています。

・7月30日に匿名のメールが送られてきて、サロペック氏の写真が添付され、身代金を要求する旨が記されていた
・身代金の金額については、特定されていなかった
・その後そのメールに、サロペック氏がまだ生きているという証拠がほしいと返信したが、犯人側からの返信はなかった
・ゆえに我々は、犯人側と交渉するまでには至らなかった

これらの内容からは、サロペック氏の誘拐は用意周到に計画・実行されたものではなく、おそらく偶然だったこと、強盗団は煩雑で時間のかかるCGGとの交渉より簡単に金が入手できそうだとふんで同氏をイスラム国に譲り渡したことなどが推測されます。

ただ、サロペック氏は5000ドル程度の現金を持っていたのに、それが放置されていたと言われており、もしそれが本当ならばこの強盗団は相当なマヌケか、もしくはやはり金目当てではない、強盗団ではない集団に拉致されたと考えられます。

イスラム国は過去の例をみても、外国人の人質を必ず自ら直接誘拐するわけではありません。

特にシリアは内戦中で失職者だらけ、たとえ1ドルであっても喉から手が出るほど欲しいという人々であふれています。おまけに武器は拡散し、特にシリア政府支配下以外の領域では強盗や誘拐があたりまえの日常です。

そういった状況下では、外国人はまさに「金のなる木」です。

なぜなら彼らはみな、イスラム国が外国人の人質を欲しており、現金で買い取ってくれることを知っているからです。

シリアはまあ、そういった状況がもう長く続いているので驚かないのですが、もしエジプトで、しかもカイロ近郊、ピラミッドからそう遠くないところで外国人が拉致され、イスラム国に売り渡されたならば、これはある意味、非常に深刻な事態です。

なぜなら、エジプトも治安の悪化にともない長いこと不況続きな上に、対アメリカドルでエジプトポンドのレートが急下降を続けているため、国内ではものすごい勢いで物価が上昇しており、とにかくお金に困った人で溢れかえっているからです。

エジプトにイスラム国のシンパがどれくらいいるのかわかりませんが、お金に困っている人の数はそれより確実に、しかも圧倒的に多いと言えます。

武器もシリアほどではないにせよ、かなり広く出回っています。

しかも、エジプトにはシリアとは比較にならないほど多数の外国人が居住しています。

「へー、外国人って誘拐してイスラム国に売り渡すとお金になるんだー」なんて思うエジプト人が、これから続出・・・とは言わないまでも、多少なりとも出てくる可能性は否めません。

エジプトではイスラム国問題発生以前から、外国人が誘拐される、レイプされて捨てられる、といった事件がざらに発生してきました。

それがいちいちイスラム国に売り渡されるかも・・・なんて考えると、とんでもなく恐ろしい事態です。