1983(昭和58)年12月18日投票された、
第37回衆議院総選挙から
1986(昭和60)年9月までの
日本の政界の動向を政治評論家の著者が描く。
当時、自由民主党内最大派閥の
田中角栄率いる田中派が、
政界を牛耳っていて、
しかも田中は”刑事被告人”でありながら
”闇将軍”として、
政権を作っていた。
第一次中曽根康弘内閣では
田中の絶頂期と同時に、
田中派内の不満が出てきた時期で、
竹下登と金丸信のコンビが
田中派の”乗っ取り”を
画策するのが進行していく。
自民党総裁任期切れ間際に、
田中派の二階堂進が福田赳夫、鈴木善幸に持ち上げられ、
「二階堂擁立構想」(第三章)が出てきたが、
金丸が話し合いで治めた。
その論功行賞で金丸が幹事長を射止める。
ここから田中の凋落が始まる。
この事件は、
当時野党だった民社党、公明党も巻き込んだ
大掛かりな仕掛けで、
田中に近いとされていた公明党も一枚噛んでいて
当時の委員長と書記長の会話(P222)は、
意外な感じがする。
この頃は、
次世代のリーダーとして
竹下、安倍晋太郎(福田派)、宮澤喜一(鈴木派)が挙がっていた。
それぞれ、派閥に所属していてまだ親分が健在という状況、
個々の政治家の思惑が絡み合って、
この時期の政治家は
”寝業師”が多かったなあと思う。
竹下は、創政会を立ち上げるが、
田中派内の派閥だけあり
田中逆鱗に触れ、切り崩しにあう。
が、その心労と不摂生から
田中は脳梗塞に倒れる(第五章)。
政治家の健康は、
最大の死活問題である。
以降田中の影響力は落ち、
田中派は徐々に数を減らし竹下派へと変貌していく。
そして、中曽根と竹下・金丸、他派閥の
新たな権力争いが始まる(第六、七章)。
権力争いは醜いものだが、
第三者の目線で読むと
これほど人間臭さいものはないと思う。