耐震壁ものがたり 









 今まで当たり前のように『耐震壁』という言葉を使っていましたが、この本を読んで、改めて『耐震壁』とは何か?を考えさせされました。そういった意味で、建築関連のお仕事をされている方には、ぜひ読んでほしい一冊です。

 『耐震壁』は、英語で「Earthwuake Resisting Wall」と書きますが、英語の辞書には載っていません。また、日本語で明確に定義されているかというと、広辞苑の「耐震」の中に、小さく「耐震壁」と書かれているのみです。さらに、建築基準法の中でも、「耐力壁」という語はありますが、『耐震壁』という語は見当たりません。これは、『耐震壁』そのものの歴史が比較的新しいからなのです。

 それでは、『耐震壁』という言葉が最初に使われたのはいつだったのでしょうか。

 それは、1923年、日本建築学会の「建築雑誌」1月号に掲載された、内藤多仲による「架構建築耐震構造論(四)」という論文でした。この論文で、耐震壁のある架構の設計法が確立されたと言われています。