面影 (集英社文庫 57-A)
芝木 好子
集英社
1977-11


 時々、過去に読んだおすすめも載せていこうと思いましてね。芝木好子「面影」です。

 特にこの作品が!ってわけでもないんですが、この「面影」が私と芝木好子の出会いだったもので……。

 少々自分語りになりますが、もう私ときたら大の読書好きでね。家や図書館にある本はもちろん、楽しみなのは新学期ね。(´∀`)

 新学期、国語の教科書が配られるじゃないですか。あそこに載っている物語を読むのがまあ楽しみで楽しみで。真っ先に国語の教科書は読んでしまう、という。で、抜粋されてる小説なんかは借りてきて全部読む、と。

 夏休みに本を何ページ読んだか書くっていう宿題があったんですけど、たくさん読んだからってたくさん書くのは恥ずかしいじゃないですか。自慢してるみたいで。だから、まあ長めの一冊だけ、ページ数を書いておけばいいや、なんつってね、「ソフィーの世界」読んだら(つまんなかったけど)それだけで読書量一位とかにされちゃってね、非常に恥ずかしい思いをしましたけど。



 まあ、そんな読書好きも大学受験をするわけですね。模試とか受けまくるわけですね。そこで出会ったのが、この「面影」です。

 ……え、意味がわからない? ほら、国語の模試にあるじゃないですか、小説パート。あそこに抜粋されてる小説に惚れてね、「あ、これもっと読みたい」なんてね、出典メモって買いに行きましたよ、「面影」。(´∀`*)

 模試の結果? まあ、いつも国語はできるんですけどね、他はほら、お察しの通りですよ。けど、「こんな出会いもあるから、模試を受けるのもいいもんだなー(違)」なんつって。帰って読んで。しっとりと落ち着いた、それでいて情熱的な文章に感服しましてね、手当たり次第読みあさりました。

 アマゾンなんて便利なものなかったし、書店に新品もなかったし、当時はブックオフでしたね。公民館の図書館も小さかったしなあ……ほぼ赤川次郎しか置いてねえの。あとは「マンガ日本の歴史」「マンガ世界偉人伝」とかね。マンガばっかりだっつーの。

 まあ、それはいいんですが、当時学生だった私にとって芝木好子の描く「自立した芸術家」である女性と、同じ芸術家の男性の関係は、何と言いますか、すごく遠い世界の出来事のようで「憧れ」というとまた違うんですが、繊細でいて強い感情を教えてもらったような気がします。

 ええ、ぶっちゃけて言えば、芝木好子の作品はそんなんばっかです。芸術家同士の恋(不倫)って感じですね。

 けど、決してチープじゃないんですよ。芝木好子という作家は何と1914年生まれですから、「女性の自立」というテーマがまだ少し未来であった時代のお話なんですね。1942年には「青果の市」で芥川賞をとっています。戦時下で、ですよ? その強さ。揺るぎない信念。それらが、彼女の作品を現代においても凜々しく立たせているのでしょう。

 この「面影」は人形作家の女性が主人公の物語ですが、模試に抜粋された中途半端な部分だけでも人を惹きつける力がありました。人形作りにおける忍耐強さと、これは芸術作品なんだという確固とした矜持、ひたむきさ。

 彼女の作品群において、主人公のほどんとがそんな気質を持っていますが、私はそれは芝木好子自身だと思っています。ひたむきに原稿用紙に向かい、一文字一文字小説を綴っていく忍耐強さ。作家としての矜持。

 芝木好子自身は1991年に亡くなっていますが、彼女はまだ小説の中に生きています。男と同じ土俵に立ち、けれども女であることに嫌悪を抱くことなく、ひとりの人間として立とうとするその心意気は、いまなお実現されていない男女の枠を越えたひとりの人間としての在り方を私たちに問いかけてくるはずです。女の生き様ならぬ、人間としての生き方。それを追求し続けた作家ではないでしょうか。

 食べものが人をつくるように、読んだ本も私の血肉となっています。この作家の作品はいまの私をつくりあげた、大きな要素といっても過言ではないでしょう。芝木好子、私の好きな作家のお話でした。

 それでは、また。 (*・ω・)ノ

面影 (集英社文庫 57-A)
芝木 好子
集英社
1977-11

 

 
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