どみなり屋

同人サークルどみなり屋の日記です。リリカルなのは関連の記事が多いです。

2017年01月

は荒ぶっていた。
年も明け世間が休暇との別れを惜しむ頃。ミッドチルダの住宅街、築40年は経ったであろう分譲マンションの一室には目を引く二つの物体が置かれていた。
一つは今年で齢28になるこの家の家主、青年Aである。
肉付きは良い方で、周囲から早くも中年太りなのではと心配されつつも、独り暮らしなのをいいことに好き放題ジャンクフードを貪る癖が治らず不健康生活まっしぐらといった、そんな駄目男であった。
そしてその傍らに転がるもう一つの物体。
ナイロンロープでぐるぐる巻きにされ口を粘着テープで塞がれた高町ヴィヴィオ(11)が必死の形相で縄を解こうと体を捩らせていた。

誰もがロリコンによる幼女誘拐事件を連想する構図だが、決して青年Aはロリコン趣味があるわけでは無かった。

時は既に新暦80年。
ミッドチルダでも物理的通信手段に頼らない電子ネットワーク、インターネットが盛んに活用されていた。
特に近年ではコミュニケーションツールとしてSNSも普及し、人と人との結びつきが以前の時代と比してより強固に、より高頻度で行われるようになっていた。
そんな中で、かつては日の目を見ることの無かった「隠れた才能を持った人々」が日陰から日向へ、影響力を持つようになっていく。
今まで知られていなかった能力ある人間が、ネットという名のライトによって明るく照らし出されたのだ。
力を見せつけ、社会に認められるようになった彼らはSNS内ではチヤホヤされ、ネットの外でも恵まれた環境に身を置くようになったのである。

しかし、青年Aは違った。
には隠れた才能も、秘めたる技術も無かった。
ネット社会に触れる以前はそこそこ優秀な勉学の才能のおかげで、友人の間では給料の良さを羨ましがられる充実した人生を送っていた。
が、SNSでひとたび広い社会を知ってしまうとの自尊心は鋭い刃でグサリグサリとメッタ刺しのズタボロ雑巾に。

頭が良い、ギャグが面白い、絵が上手い、給料が良い、可愛い彼女がいる、毎日旨い料理食べてる、乳がでかい、友達が多い、ゲームが強い…、
そんな能力値天井知らずの人間が五万とひしめいてのである。
何故自分はこんなに平凡なのか。非凡な才能に溢れる周囲との力の差を見せつけられた。

ショック!

そして泣いた。
才能ある人間を羨んで泣き、自分がただの一般人であったことを悔んで泣き、
そして、ついにその感情は憎悪へと変わった。

憎しみの矛先は偶然テレビで特集されていたDSAAの格闘技選手、高町ヴィヴィオ。11歳。
彼女は自身が恵まれない体で格闘技の才能が無いことを告げていた。
才能が無いから、その分努力して努力して技を磨いてきたのだと。
それを聞いて青年Aは苛立った。
「努力する才能はあるんじゃねえか」と。
努力という苦労を嫌がらずに積み重ねる、それこそ人には真似出来ない才能ではないか。
そう思うと、この小娘のことが無性に腹立たしくなってきた。


犯そう。
彼の中の悪魔がそう決意した。

それからは一瞬だった。
夕暮れ時の帰宅時間を狙って、人気の少ない路地で一人になったところを背後から魔力スタンガンで一撃。
眠らせ縛って布袋にポイ。そのまま抱えて自宅に帰ってきたのだった。


目覚めたヴィヴィオが涙目で藻掻く中、青年Aはゆっくりとズボンを下ろす。
テントが張られた下着から漂う邪気にヴィヴィオの背筋が凍る。
試合では急所を正確に把握し、即時に分析する彼女の「目」で見て理解した。
この男の股間はとても汚い。
いわば腐りに腐った上で更に雑菌を塗りたくったバナナである。

「ほら…おじさんのバナナ、食べたいだろう…?」

ヴィヴィオは全力で顔を左右に振るが、迫り来る青年ジャイアントエレファント
神に助けを求めるヴィヴィオ。あと20センチ…10センチ…
その瞬間―――

デデン!

「キサマのバナナ、ワシが貰い受けよう」

ドアを蹴破り顕現したるは、空腹の戦士、孤高の捕食者、フードファイター「F」
吹く風が彼女の髪を撫で上げる。

「誰だ貴様ァ!」

ヴィヴィオを手元に抱え、バタフライナイフを突き付ける青年A
人質を取られた形だが、落ち着き払ったフードファイター「F」

「怯えんでもええ。安心しろ。ワシはキサマの味方じゃ」

フードファイターは優れた嗅覚を持っていた。ハングリー精神の化身であるそれは時に、人の悩みや迷いまでもを嗅ぎ分ける。
あらゆる匂いを嗅ぎ分け究極の「食」を求めてきた彼女にとって、「悩」を把握するなど造作も無いこと。

青年の悩みを瞬時に理解した「F」。
ネットのおかげで劣等感に苛まれる青年、彼の傷付けられた心。その心を癒やすのもまた、フードファイターの使命である。

「よそはよそ、うちはうち」のように言ってしまうのは簡単である。
しかしフードファイターはそんな安直な解決は望まない。
そう、青年はネットの山の高みに立つ人間を羨んでいるのだ。

が、しかし彼は決して底辺ではない。
の下にもまた、数多くの無価値な人間が蠢いているのだ。
上ばかり見てはいけない。
自分より下等な人間を見て優越感に浸ればいい。

ネットには多くの人々がいるのだから。
上には上がいるが、下には下もいるのだ。人を見下せ。ゴミを嘲笑え。

そう、告げた。

すると青年Aは、

「うっうっ…そうだな…。お前の言う通りだ。俺が悪かったよ……」


ボロボロと泣き出し、ヴィヴィオを解放する。

冬のミッドチルダで起きた誘拐事件。
憎しみが霧散し穏やかな感情を取り戻した青年A
そんなの股間からは匂いが漏れ出ていたが、フードファイター「F」にとってその匂いは、透き通る青が美しい、甘く切ないブルーチーズの香りなのであった。

(完)

白馬の王子様とのロマンチックな恋に憧れる無垢なコロナ・ティミル(11)をキモヲタAが公園のトイレで無理やり脱がして犯してドッピュン!ドッピュン!
平和なミッドチルダの片隅で、そんな醜行が野放しにされる寒空の下、

デデン!

そこに現れる通りすがりのフードファイター「F」

「やいやいそこの姦邪。キサマのその薄汚れたソーセージをその娘から離せ。」

醜悪な笑みと共に目を輝かせるキモヲタA
どうやら彼の瞳には「F」の存在もまた獲物として映ったらしい。

汚れた下半身を晒したまま襲いかかろうとするA

だがフードファイターの異名を持つ彼女にとってそれは問題にすらならない。

「覇王・断空―――」

碧色に輝く右手の拳がキモヲタの顔面を捕らえる。
そのまま男の体は宙に浮き大便所奥の壁面に激突。そして重力に抗うこと無くズルズルと倒れ込むのであった。

一瞬の出来事だった。

男を殴った際に飛び散った白濁液を拭いながら「F」は言う。
「ワシに勝ちたいんじゃったらもっと大きいフランクフルトを持って来い。話はそれからじゃ。」

決め台詞のように言い終えると、トイレの隅で泣き崩れていたコロナを腕に抱え、公園を後にする「F」
白濁液の匂いが充満する空間にいたおかげで彼女の頭は一色に染まっていた。

「イカ焼きが食いたい。」

彼女は一言そう言って空を仰ぎ見ると、商店街の方に向かって駆けていくのであった。
イカ焼きへの熱い思いを馳せながら。

(完)

↑このページのトップヘ