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kokoyakyu
 この写真は準決勝の早稲田実と鹿児島工の試合なのだが、両校の選手が称え合う今大会の中でもとても印象に残ったシーン。中央の鹿児島の今吉に早実の斎藤が笑って答えている。試合自体は鹿児島の完封負けだったのだが、爽やかないい試合だった。

<高校野球>早稲田実 初優勝 駒大苫小牧3連覇の夢消える


 今年の高校野球決勝は本当に良い試合だった。一番のハイライトシーンは日曜日の15回表、斎藤が駒大の4番本間に対して投げた6球であったと思う。147km/hのストレートが続き、フルカウントからのフォーク。空振り三振に打ち取った後、ポーカーフェイスの斎藤が吼えた。

 斎藤は4連投、田中も3連投だが、この日程の過密さは酷すぎるものがある。今回のような引き分け再試合を一日空けてする、というのは応援団や選手にとって難しいものだとは思うのだが(実際応援団や関係者は宿泊場所確保に奔走したらしい)、準決勝と決勝の間に一日入れるとか、事前に選手の負担を減らす工夫はどうとでもできたはずだ。

 しかし見てて思うのだが、斎藤は相当手の抜き方を知っている。力を入れるところは入れ、抑えるところは抑える。プロの選手が経験を積んで会得していくような術をもう身につけている。
 もちろん駒大苫小牧の田中も力の入れ具合を変えているのだろうが、肝心な所で打たれてしまった所がある。リラックスして投げていた斎藤に対し、全体的に力んでいたようにも思える。

 おそらく春のセンバツでの経験が大きかったのだろう。斎藤はセンバツでも引き分け再試合を経験しているが、結局疲労のために次の試合では打たれてしまった。そのことからもっとスタミナをつける練習をした、と本人もインタビューで答えていたが、その練習には小さな力であっても最大限のパフォーマンスをする練習も入っていたに違いない。駒大苫小牧は不祥事で一度決まっていたセンバツに出ることができなかったが、そのことが、田中との経験の差となったかのもしれない。

 その甘いルックスと、青い小さなタオルで汗を拭う上品さ?から、マスコミが名付けたのかどうかは知らないが、ハンカチ王子と呼ばれている。ハンカチじゃなくてどう見てもタオルなのに。印象としては決勝か準決勝前後に急に注目され始めていたような気がするが、それまでニュースは駒大の3連覇ということもあったのだろうが、田中中心だったのが日曜日には一転して斎藤中心となっていた。少し変わり身の早過ぎる所がある。

 まあ、常に冷静沈着で、クールに投げ続けるのだが、ごくたまに見せる笑顔と、ここぞという時を抑えきった時の雄叫びに、秘めた熱い心を持っている。一言で言えばテレビ栄えするほどカッコイイということだ。

 実は予選の西東京大会の日大三高との決勝戦を見たのだが、あの時も延長13回くらいだっただろうか、斎藤が投げ続け、甲子園の決勝と同じくらい盛り上がっていた。その時はタオルを使った姿を見た覚えはないが、クールな投球術はそのままだった。
 
 それにしても、本当にあまり表情を顔に出さない人だが、おそらく故意に抑えているのだろう。どちらかと言えば、満面な笑顔や、闘志むき出しの方が高校生らしいかもしれない。早稲田実業と準決勝で対戦した鹿児島工業の今吉という選手がいるが、まさに前面に感情を押し出すタイプだ。

 早実は甲子園でこそ打線が生きてきたものの、春のセンバツ、西東京大会、あまり打てるチームではなかった。駒大の方は2連覇してきたという自信を選手たちは持っており、また田中以外にも菊池という他チームならばエースでもおかしくないほどの十分通用するピッチャーがいたのだが、早実にとっての投手は斎藤だけであり、チームの唯一の生命線であった。それだけ重責があったに違いない。だからこそクールにそれだけ抑えていた分、優勝決定後、一気にきたのだろう。それがどれだけ重かったのかはクールダウンのキャッチボール時のあの涙に集約されている。
 田中も良い表情をしていた。大会当初は自分の投球ができず、いらいらしたところもあったのだろうが、徐々に調子を上げることができ、決勝では時折見せる微笑が見えた。おそらく、全力投球ができることを、そして勝負を楽しんでいたのかもしれない。

 亀田興毅の時のように、スポーツに対するマスコミの報道が行き過ぎる(一日目の決勝後の報道は少々行き過ぎだったような気がする)ことや、選手の宿舎まで追い掛け回しているカメラマンや記者がいたことは少し残念だったが、試合は本当に素晴らしかったので、今回ばかりは何も言うことは無いだろう。

 視聴率は日曜日は平均で29.1%、瞬間では37.1%を記録したとのこと。 NHKのものだが、裏で同時に朝日系列でも放送されていたため、実質平均30%を軽く越えていたと言える。
 スポーツはやるのはもちろんのこと、見るのも楽しい。


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