『戦地の図書館 海を越えた一億四千万冊』

senchinotosyokan
                 モリー・グプティル・マニング 松尾恭子・訳

「一九三三年五月十日、ベルリンには霧雨が降っていた。」(冒頭)

その日、ベルリンのベーベル広場でナチスによる焚書があった。

アメリカでは第一次世界大戦当時、本が民間組織によって戦地の兵士たちに届けられていたが、その後陸軍に図書館が作られたり、アメリカ全土の図書館員などによる戦勝図書運動があり、1942年には出版社の協力で戦時図書審議会が立ち上げられ、本格的に書籍を戦地へ送る活動が始まった。

「兵隊文庫」と呼ばれる軽く小さく携帯性に優れた書物は、内容や体裁など兵士たちの為に考えられ作られた特別な本だった。
本は心の支えとなる。
戦地にあってその存在は、今の私たちには想像もできないくらい兵士たちに求められたと思う。

巻末の「兵隊文庫リスト」も興味深かった。

memo
アメリカ軍に供給された書籍の数は、ヒトラーが葬り去った書籍の数よりも多い。(p.249)

『キャンバス』

                     サンティアーゴ・パハーレス  木村 榮一・訳
kyanbasu

『螺旋』のあと新作を待っていた。その割には気が付くのが遅くなってしまったけれど。
油彩画の持つ一つの特性を拾い上げて、ストーリーの大事な展開に結びつけている。
お国柄か、熱い心の人間模様

memo
p.183 ・・・内面の世界があって、それを取り出して表現できる奇妙で驚くべき能力が備わっていた。それは情熱であり、純粋な描線だった。

p.214 凡庸な絵はあるが、凡庸な画家など存在しない。絵を描くというのは単純な行為で、これだけはどうしても描かなければならないと信じているものを描くことであって、その思い入れが大切なのだ。

『ストーナー』

                 stoner ジョン・ウィリアムズ  東江(あがりえ) 一紀・訳


貧しい農家に生まれたが、文学に魅せられ苦学の末学位を取得したウィリアム・ストーナー。
善良であり勤勉でもあり、親友となる友人に出会い、教師の職を得ることができて、望んだ結婚もするけれど、どことなく報われない。
でもそれが不幸かといえばそういうわけではなく、言ってみればそれはごくありふれた、ありがちな人生なのだと思う。その人生をストーナーは受け容れている。その姿勢はある意味美しく、人生の終盤に色濃く表現されていた。
ある一人の主人公の人生。
ふとダニロ・キシュの『死者の百科事典』を思い出した。

memo
p.131 教師とは、知の真実を伝える者であり、人間としての愚かさ、弱さ、無能さに関係なく、威厳を与えられる者のことだった。
p.295 見よ、わたしは生きている。
p.320 もどかしい思いで出立の日を待っている 

『低地』

teichi    ジュンパ・ラヒリ  小川 高義・訳

心にしみる小説を味わった、この感覚が読むことの楽しみだ。ちょっと久しぶり。
寡黙に描かれる人物たちの、さまざまな思いが想像される。耐えている人の、悲しみと、それを上回る静けさが心に残る。
精一杯生きることが、強くあろうとする人を鍛えているのか。そしてその先にいつか、自分自身が歩んできた道を認めることができるのか。

アメリカへ渡ったガウリが初めてクリームチーズを買う場面が好きだ。




memo
p.181 クリームチーズ ガウリ
p.294 手紙 ガウリ
p.296 影 ベラの母ガウリ
p.307 スバシュの母の死
p.451 この場所でいい。このために来たのだ。去るという目的で戻った。
p.461 ウダヤンが隣にいる。

『赤めだか』

akamedaka

                                 立川談春

落語のいろいろに明るくない私でも知っている談春さん。
高座以外の映像でも存在感あり、有り。

流石、面白いエピソードがいっぱいで、一気読み。
師匠の談志さんが、朝一番弟子たちに用事を言いつける場面が面白すぎて。

思うんだけど、あの型破りでド迫力の談志さんの愛を感じることができるのは一つの才能なんじゃないだろか?
師匠のやさしさを私たちにも感じさせてくれる。
揺るがぬ信頼と文章力もすごいもの。

当たり前ですが生易しいもんじゃないですね、師弟って。

Memo
・修業とは矛盾に耐えることだ
・根多
・芸は盗むものだと云うがあれは嘘だ・・・・盗めるようになりゃ一人前だ

談志楼さんの「談志が死んだ」に興味出る、そのうち。



『目眩まし』

                                      W・G・ゼーバルト  鈴木 仁子 ・訳
mukuramasi



ベール あるいは愛の面妖なことども
異国へ
ドクター・Kのリーヴァ湯治旅
帰郷

緩やかに関わりあう4編。
ストーリーが有るや無しやの語り。

通奏低音を伴う音楽を聴いているような気分になる。
心地よいけれどそれだけではない。
まさに今、感じ取ったものでさえ、次の瞬間にはぼんやりとしてしまうような。
迷路、夜道、記憶のかなた、そんな種類の不安にめまいを起こすような。

はまりそう、でも遠ざけたい。
そもそもカフカが、私にとってはそういう存在で。

『美しき廃墟』

                                       ジェス・ウォルター 児玉 晃二・訳

utsukusikihaikyo  

ストーリーのうねりにどっぷり。

廃墟の美しさは、滅びる以前の在り方がかもし出す気がする。

夢はかなわずとも、後悔のない人生がもたらす最後のやすらぎがいとおしい。


ウルトラ植物博覧会

ウルトラ植物
銀座のビルにちょっとした不思議空間、でも見るほどに面白く。

「ウルトラ植物博覧会」西畠清順と愉快な植物たち



二階のHIGASHIYAさんは月曜定休。

一個目の大掃除かな?

blog.「空模様」のvogelさんのところで、浴室の換気扇のカバーが外れることを知り
試さずにいられなくなってしまいました。
カバーは外れると思って引っ張ってみたら、簡単にはずれました。
ピッタリ天井にくっついていて外れるなんて知らなかったし
なぜか外そうと思ったことがありませんでした。

おかげさまでお掃除できました、ありがとうございました。
でも何しろ初めて中をみたもので、その汚れ加減に唖然。
中のブンブン回る部品がこれまた難物で、毛足の長いブラシでこするんですが
いつまでほこりが無くならないの?というありさまでした。
それも外せばよいのでしょうが、ちょっとしり込み。
分解して、元に戻せなくなったらコトです。

そんなことを夜の11時ごろから始めてしまったんですよ。
その無計画ぶりには、じぶんで呆れます。
でも、憑かれたようにやっちゃった。

『姥ざかり花の旅笠』 小田宅子の「東路日記」

                                      田辺聖子

ubazakarihananotabigasa
p9: 宅子さん、お伊勢詣りに行きまっしょうや
   他にも一人二人、「ウチも加(か)てて」ち、いいなさる
p10:まあ、女(おなご)ばっかりの旅、そりゃよござすなし

妹の本棚より拝借。これ面白い。
おせいさんも大したものだけれど、この登場人物たちはすごい。
天保11年(1840年)、あの時代、あれだけの旅を楽しんだ上に
たくさんの短歌で彩られた旅行記を残していたなんて。

赤間から宮島、赤穂、大阪を経て、それだけでも大変なお伊勢詣りと思いきや
思い立って善光寺さんにも詣るという。
足を伸ばすという距離ですか?と驚いていたら
何とその先、日光東照宮やらお江戸やら、どんどん予定も足も伸びてゆく。
そもそも出発地が九州ですから、本当に驚いてしまった。
半年に及ぶ大旅行、歩いています。
あっぱれ粋で知的な大人の女たちよ。
まこと、かっこうがよろしい。

題材のすばらしさに加えて、この作品を物した田辺聖子さんも素晴らしい。
おせいさんのすごさは随所に見られるが、善光寺のくだりが絶好調。
正統派文学少女が、幅や深みを増しながら、まんまおとなになった
というのが私の田辺聖子像。
間口の広い作家さんですが、古典にかかわる作品群に教養がにじみ出る。

わたくし的memo
p28:見送り
p47:道中着
p61:湯田温泉
p133:願はくは花の下にて
p135:京へゆくというので、ゆかりの人に手紙をことづけ
p142:善光寺詣りに出かけまっしょう
p164:イザベラ・バード
p180:多人数のツアーなれば協調性というという人柄も吟味されよう
p273:みやこ鳥
p280:江戸の芝居
p313:遊行寺
p342:有松 絞り染
p392:池田炭
p400:嬉しい髪を行燈で結う


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