遊歩道はこのように(左の写真)非常に整備されており歩きやすい。岐阜の繁華街の目と鼻の先だけあって、何人もの人とすれ違う。
数分も歩くと左側に小さな祠がある。この祠のすぐ下が「市上水道粕森ポンプ室」になっている。近くには、今は使われていないであろう簡易トイレもある。ポンプ室の下側は何やら意味ありげな石垣が段々状に作られている。何かの建物・設備があったのかもしれないがまるでわからない。
ここをもう少し下ると、このような見晴らしの良い場所に出る。ここが粕森公園である。眼下にはグネグネ道が広がる。
平日の昼間なので人は閑散としており、お年寄りくらいしかいない。早咲きの桜が目を引く。
某個人サイトではロマンスリフトの地上側の乗り場の写真も紹介されており、立地から考えるとそれはこのあたりだった可能性が高い。しかしその痕跡は全くない。
粕森神社方面に回ると螺旋階段が登場する。粕森神社は比較的大きな通りに面しているため、歩行者やチャリの高校生が頻繁に行きかう。粕森公園全体が比較的近年に整備されたようで、過去の施設の痕跡は見当たらない。遺物探しは諦めて螺旋階段を昇り、再び展望台まで向かうことにする。
さっき見た祠まで戻る。祠の正面に立ち右の方を見ると、微妙に奥に向かって歩けそうな感じがする。獣道すらない藪をなんとなく進むと、そこにはまたあの物体が・・。
ここにも展望台の下で見たものと同じ残骸がある。
これで確信できた。これはロマンスリフトの残骸であると。
立地的にもさっき見たものと合致する。これが終点まで続いているに違いない。写真のように残骸が残っている場所は平らに整
地されている。しかもここには照明の残骸もある。本当はこの場所に降り立ちたかったが、それは軽装の私にはやや無理目な行動に思えたのでやめておいた。
かつては多くの家族やアベックがこのリフトに乗り、この風景を眺めただろう。照明に照らし出される風景は人々の気分も盛り上げたかもしれない。だが役目を終えた今は、誰にも省みられることもなく藪の中でひそかに佇むのみ。
でもそれでいい。現在も遺跡のように現存する、それだけでいい。かつてここにあったことがわかれば。
全てが解明できたわけではないが、ロマンスリフトの残骸はかつての水道山の賑わいを幻視させるのに充分な存在だった。
娯楽施設はすっかり失われてしまったが、少なからぬ人々が散歩、休息、ウォークングなど様々な目的でここを利用している。派手ではないがこういう愛され方もある。それでいいのだと思う。