どんぐり山の会

私たちは、アルパインクライミング(岩・雪・氷)主体の山岳会です。アルパイン、フリー、ミックス、沢、雪山などなど楽しみながら登攀しています。 アルパインクライミングをやりたい!やってみたい方、集会にいらしてください。

海田

小西・神保の二人が北岳バットレス4尾根をやるというので一緒に登るかどうかしばし考えたが、指の調子がいまひとつなのとロートルが混ざると3人になってスピードが落ちることが心配だったので、トランシーバー持って北岳を周遊しながらサポートする、ということにした。

私は過去3回トライして一度も成功していない相性の悪いルートだとの思い込みもある。
一度はDガリー登って取り付きまでのブッシュで時間かかって敗退。
一度はBガリー登ってトラバース道を見失って直上してしまい岩雪崩に肝を冷やして敗退。
一度は前日の雨でリーダーが早々と中止を決め込んで広河原で昼寝を始めたので仕方なく一般道で北岳に登って帰っている。

ただ今回は二人ともにこのルートが始めてなのが心配ではあった。
普通は経験者+1人でやるもんだ。
だが、小西君はこのルートに情熱があって去年一人で下部取り付きまで偵察に来ているし、神保君は本チャン経験は少ないけどクライミングレベルはいまの会ではぴかイチだし、なにより二人とも若くて体力がある。少し「冒険」ではあるがなんとか成功して自信をつけて欲しいという願いがあった。
天気も梅雨明け発表があったにしては不安定だけど土曜日だけはなんとかもちそうだった。

結果は3時に御池を出発して15時にトップアウトしちょうど降り始めた雨の中を下山している。
よかったよかった。

私は彼らと同じ2時に起きて早い朝飯を食べて3時に見送り、少しテントを片付けたり、神保の食料の持ち方変わってるなあとか小西のはなるほどねとか俺のは酒が多いなあとか写真撮ったりして。
上から神保・小西・海田の食料(二人のは出発後なので1日分少ない)
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で、4時にテントを出てゆっくり大カンバ沢を登る。
4時35分二又
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4時50分雪渓が大きいなあ、でも左岸の夏道通しに登る。途中で買ったばかりのチェーンアイゼンを試してみるが、う~んいまひとつだなあ。剣には無理だな。せいぜい谷川くらいだな。
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バットレスのモルゲンロート。良い天気。二人の成功を期待する。
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5時10分、ちょこんと赤岳が見えている
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もうじき鳳凰三山から日が昇る
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6時、D沢下部からのバットレス
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ここからだと5尾根の陰になってDガリーが良く見えないので小西とトランシーバーで交信後ザレを登り中間尾根を登って下部取り付き近くまで行く。
1ピッチ目登攀中の神保
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1ピッチ目終了点の神保と登り始めた小西、6時50分。
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ここからではこの先が良く見えないので登山道へもどって八本歯へ登る途中から4尾根が見えるところから写真を撮ったりトランシーバーで交信したり「クッチャーネ」のエールを送ったりする。
Dガリーから右トラバースルートを探すのに時間がかかっている様子だ。
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怖いトラバースを終えてブッシュに入ってからもなかなか取り付きに着いた様子が無い。ヤキモキするが、あとで聞いたら「取り付きこっち」の印があったのでCガリーのヒドゥンスラブを登ったらしい。あちら側に廻り込むと声も電波も届かない。少しガスも出てきた。

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10時に八本歯のコルに着いてしまった。二人はこの頃やっと取り付きに着いたようだ。4尾根上に二人の姿が映っているだろうか?ガラケーのカメラじゃあ無理か?
うまくすれば山頂で二人と出会えるかと思っていたがこのペースでは4時間くらいは山頂で待つことになる・・・・

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ゆっくり時間かけて歩くが11時20分に山頂に着いてしまった。
何度目?
一度目は小六の息子と20年前の夏。
二度目はその翌年のGWに吊尾根から単独。
三度目は石田と二人で。
だから四度目だね。自撮り写真。
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大分ガスも濃くなって積乱雲が頭上に見える。早く登れよと気を揉むが真下に居る二人とは電波がうまくつながらない。切れ切れに交信しながら12時まで居たがこのまま待機するのもしんどいので(実は2800m過ぎからめまいと眠気を感じていた。呼吸障害で酸素不足になっているようだった)大きくエールを送ってから下山した。

肩の小屋12時40分。この頃からポツリポツリと落ちてきていた。いきなりザット来る感じではなかったが、切れ切れに聞こえてくる二人の交信は落ち着いて行動しているようなので何とかなるだろうと、下山を続けて14時30分頃御池のベースに着いた。小雨が続いて遠くに雷鳴が聞こえはじめた。
御池では電波が良く通じる。
15時に小西から「トップアウトしました!」と弾んだ声で交信があって実にホッとした。
ホッとして思わずメーリングリストで完登の知らせを会の皆に流した。

祝杯用のビールとワインを買う
雨はだんだん強くなり雷鳴も頻繁になる中18時30分二人が帰ってきた。
よかったよかった。

翌日下山

今回は芦安・広河原間は乗り合いタクシーを使った、1200円、バスよりちょっとだけ高いが快適で早い。


海田 単独

7月14日(金)奥多摩駅→鴨沢西~後山林道~三条の湯~飛龍~将監小屋・ツェルト泊
7月15日(土)将監小屋で終日停滞
7月16日(日)将監小屋~雁坂小屋・ツェルト泊
7月17日(月祝)雁坂小屋~甲武信~国師~大弛峠→花かげの湯→塩山→帰京

久しぶりに歩きトレで甲斐駒黒戸尾根にしようかもっと長い奥秩父にしようか、しばらく思案の結果電車とバスでのアプローチが楽な奥秩父縦走に行ってきた。
自分の記録を調べてみたらこのルートは1999年2月4日から7日の行程で西沢渓谷とくちゃん新道から甲武信に上がって大弛峠から牧丘方面へ延々と歩いてバス停にたどりついている。下りの雪の林道歩きがあまりにも長いので途中でビバークして下山が1日遅れて会社を休んでいる。稜線でゆるいのだけどずっと右からの風に吹かれていたので右耳たぶに凍傷を負ったことやテントでひとり酒を飲んでもまったく体が温まらなかったのを思い出した。国師の登りで雪に埋まった倒木帯で沈没しながらもがいたことや、夢の庭園あたりでリングワンデリングして青くなったことなどを思い出した。
18年前のことだった。
その後2・3度単独で危ない目に会ったので山の勉強をしないと命の危険を感じて9月にどんぐりの集会に顔を出したのでした。

7月14日(金)くもり時々雨
鴨沢西バス停~将監小屋(9h10m)

奥多摩8時42分発の鴨沢西行きのバスに乗る、9時20分頃到着ここで降りたのは私以外には1人だけ、運転手に最近の天気を聞いたら水曜日に時間40ミリの土砂降りがあったとか、今日以降も雷雨には充分気をつけるようにアドバイスもらう。
おにぎり1個たべてから9時30分歩き始める。10時20分ゲート。
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誰も居ない、久しぶりの後山林道を歩きながら息子と歩いた時のことやもう亡くなった友人家族と歩いた時のことなど思い出していた。
3時間で11時30分三条の湯到着、ここまでは休憩入れてコースタイム通りで来たので調子良いじゃんと思う。登山届けを小屋に出したりおにぎりを食べたりして12時出発。
ところが飛龍へむかう登りに入ってからまったくピッチが上がらない。その上とっても暑くて汗が目に入るのでてぬぐいで鉢巻をする。ときどき雨が降ったけどカッパを着るほどではなかった。コースタイムでは1時間でカンバ谷源流の水場に着くはずなのだが52分歩いて8分休むピッチを2回繰り返してもまだ着かない。コースタイムが間違ってるんじゃないかとか時計が狂ってるんじゃないかとか単独では良くある頭グルグル状態でやっとこさ急登が終わってカンバ谷源流の水場に14時20分に着いた。
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ここから30分歩いたところにも水場があってこちらのほうが水場らしく作ってある、どちらがカンバ谷源流の水場なんだろう?
この急登りではムシにも苦しめられた、特に谷筋はブユが多くて両耳・両手や首筋を数箇所やられて腫れ上がった。すぐにVG軟膏を塗ったが効果は不明で両手はドラえもん状態だ。
5日後自宅に帰ってもこんなに腫れてた
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北天のタルに15時20分到着
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飛龍権現に16時20分到着
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この標識の少し下には平坦地があってビバークには最適に見える。水は700ccはある。時刻は4時半。通常は行動終了の時間だ。目的地まで地図では水平道で2時間。さてどうするか?と考えたが行くことにした。
水平道はほんっとに長かった。長かったしブユにも更に襲われた。足腰ががちがちにこわばった。

将監小屋には18時40分到着。ぎりぎりでヘッデン無しでたどりつけた。
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三条の湯を12時に出ているので6時間40分。コースタイムでは5時間なので1.33倍!!
かつては夏道では休憩入れてもコースタイムで充分歩けていたのに・・・
おまけに腰が痛いは膝が痛いはでトイレに行くのも一苦労、テントで横になっても寝返りが打てない。
もしも杖が無かったらここまで歩けなかったと思う。
まだ全行程の四分の一の段階でこんな状態なのでこの先はあきらめて明日は下山になるかもしれない。
いやいや時間はたっぷりあるので明日1日ここで休んでから考えようか。

*将監小屋は無人だけど今回はヘルメット・ハーネス・ガチャ類で完全装備した人が何人か居る。どうやら捜索隊の詰め所になっている様子だ。捜索隊長さんと少し話したら7日前から捜索しているとか、群馬の女性(60歳台)が単独で小屋を出て竜喰・大常木・飛龍の稜線を通って水平トラバース道で帰ってくる予定だったのが行方不明になっているとか。通ってきたトラバース道で何か見ませんでしたか?と聞かれたが何箇所かあぶない場所はあったけど遺留物や滑落痕には気付かなかったと答えた。
息子さんも居て登山者にお茶を渡しながらなにか見つけたらお知らせくださいと頭をさげている。
私も昨年1月には中央アルプスで降りてこないヤツはあの辺にいるんだが・・と思いながらただじっと待つしかないつらい時間を経験しただけに身につまされる。
隊長さんからこのコースは今晩24時に青梅をスタートして清里ゴールのレースのコースになっているので明日は選手が走っているので気をつけてくださいねと言われる。
隊長さんはもちろん堤さんを知っていて最近はおとなしくなって手は出さなくなったよって自分では言ってるねえと言ってた。

7月15日(土)2日目 曇り時々はれ
今日は終日停滞して体力回復に努めることにした。幸い目覚めたときには膝と腰の痛みは少し和らいでいたのでこのままおとなしくしていれば明日は歩けそうだ。
それにしても暑い!まるで海辺に居るようだ。
夜露と結露でたっぷり濡れたツェルトがみるみる乾いていく。

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何もすることが無いので尺取虫と蟻の戦いなど観察して時間をつぶす。
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昨夜に引き続き低周波治療器で全身をほぐす。これは父親の形見、持ってきてよかった。
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昼前に峠まで10分ほど歩く、ゆっくりゆっくり、だが下りは少し膝が痛む。
昼前からちびちび始める。今回熊よけを兼ねたラジオは一日中かけっぱなしだ。

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昼頃レースの女性選手が水場に立ち寄っていた、青梅を0時にスタートして12時間で将監まで、早いですねと声をかけると「私いま2位です」との答え。

捜索隊は山の仲間たちも応援に来ている様子。一日中行動したが特に発見はなかったようだ。
夜は星が少し見える程度で雲は多いが明日も天気は大きくは崩れない様子。北のほうは悪そうだがこのへんまでは影響しないようだ。
レースの選手たちがツェルトにくるまってあちこちで横たわっている。

7月16日(日)曇り時々晴れ
将監小屋~雁坂小屋(8h00m)

6時に準備中の捜索隊長に声をかけて将監小屋を出発。
ゆっくり歩く、特に歩き始めは意識的にゆっくり歩く。これが長く歩くときのやりかただったよな。
山ノ神土から水平トラバースかとおもったら崩壊により通行止め、稜線通しのコースになる。
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唐松尾山頂7時30分
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水干(ミズヒ)尾根分岐9時10分
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この道もムシが多い。ますます腫れてくる。

多摩川・荒川分水嶺9時40分
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奥秩父らしいたおやかな山山と歩きやすい道が続く。
雁峠山荘は水が無くなったのかな?
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雁峠10時10分
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燕山10時55分
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古礼山分岐11時50分
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水晶山12時30分
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雁坂小屋14時00分
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将監から雁坂まではコースタイム6時間30分のところを8時間で歩いたので1.23倍。
やっぱりこんなペースではあるが、足腰の疲労は大したことは無いので明日はちょっとがんばってみようかな。
雁坂小屋では水場の一部をブルーシートで囲って水浴び出来るようになっていた。ありがたくつかわせてもらう。だって足が猛烈に臭いんですもん。立ち止まると自分の臭いがたちのぼってきてむせ返ってしまう。寝袋には顔は入れられない状態だったんです~。
軽量化の為に運動靴にしたのが良くなかったかも。雨と露と汗で乾く暇が無い。

持ち上げた1300mlの酒が少なくなっているのでカップ酒を4本と明日の行動食用にジフィーズ炊き込みご飯1つと秋刀魚缶1つ買う。

小屋の人に聞くと甲武信まで4時間、大弛まではさらに6時間強、合計10時間強とのこと。がんばろうっと。5時に出ればなんとかなるだろう。とっとと酒飲んでめし食って19時には寝た。
寝入りばなに「食事の済んだ方はマグカップ持って小屋にきてくださ~い、お酒飲みましょう!」とお誘いがあったけどスミマセン、寝ちゃいました。

7月17日(月・海の日)はれ
雁坂小屋~大弛(11時間45分)

3時15分起床、4時45分出発。
雁坂峠5時20分ちょっと雲が多い
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雁坂嶺5時55分
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富士に笠雲が出ているがその後消えた
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東破風山6時50分
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破風山避難小屋8時5分。なかなか立派な避難小屋。
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甲武信小屋9時25分。雁坂小屋から4時間40分、まあこんなところか。
でも甲武信小屋ってこんなに大きかったかなあ?
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甲武信山頂9時50分到着。良い天気で登山者も多い。
ここまでほとんど人に会わず1日3・4人でしかも単独のひとばかり。
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ここは携帯が入ったのでメールチェック。大成さんからの国師までは長いので甲武信でよくよく判断されよとの文面をかみ締める。かみ締めている間にバッテリー切れ。
甲武信~大弛は以前2月にも歩いたのでここで降りても良かったがまだ10時だから、今は雪無いし、足はまだもちそうだし、行きましょうよ。で、10時に山頂出発した。
バッテリー切れなので写真もこれ以降は無いです。

甲武信の手前から岩質が花崗岩に変わっていて道は白砂、生まれ育った瀬戸内の島々の道に似ている。海水浴の休みにみかん畑に登って枝に数珠繋ぎに居るクマゼミを虫かごに「そんなに詰めたら死んでしまうで~」といわれるまで詰め込んで持って帰ったことなど思い出す。

途中おそらく両門ノ頭と思われる展望の良いところで単独の男性と少し立ち話する。
あとでこの方にお世話になるのだが。

それにしても2400m前後の稜線歩きが長い長い。小さなアップダウンをこれでもかといわんばかりに繰り返す。コブの先にコブがあって何度も裏切られる。国師のタルに着いてももう一つ先にもコルがあって「どっちが国師のタルだ?」と思ってしまう。
このあたりで少しめまいと眠気を感じるようになっていた。休憩のたびに食べ物と水を補給していたがここではブドウ糖錠剤とアミノ酸を2袋飲んだ。少し頭がはっきりする。

国師の登りは倒木帯を左に左に逃げるように道が付けられている。2月に来た時はトレースが無かったので倒木帯にまっすぐ突っ込んでしまって苦労したんだな。

15時前に国師山頂到着と思ったら右に折れて下って登ってその先だった。
15時30分国師山頂到着。

立派な木道を下って大弛小屋到着16時30分。
ここで今夜と明日の食料を調達して1泊して明日金峰からみずがき山荘へ降りる予定だった。
ところが!!なんと小屋に食料がまったく無い!!
聞けば予約客分の食料しか仕入れないので他の小屋みたいに登山者にカレーやラーメンを出すようなことはやってないという。うちは他の小屋とは違うんだよ。って!!
がび~ん。
牧岡へ降りるバスもついさっき出ちゃったよ。
タクシー呼ぶ?1万5千円だよ。
歩く?25キロあるよ。川端下がちょっと近くて15キロかな。3時間歩くと金峰山小屋もあるよ。って。
がび~ん。
ツアーバスにもぐりこむ?それだめ。

結局マイカーで来ている登山者にたのんでヒッチハイクよろしく乗せてもらうことにしてそれらしい車を探したら、なんとさっき両門の頭で立ち話した男性が車に乗るところでした。
下のバス停まで乗せてください!ああさっきの人ね、いいよ。この水で手と顔を洗って、とキャンピング仕様の水タンクまで使わせてもらった。
この方、奥武蔵のirohaさん。超健脚の単独行者でした。黒戸尾根・北岳・早月尾根はみなワンデイで登って帰ってきちゃうらしい。

結局塩山方面へだいぶ下ったところの「花かげの湯」まで送ってもらって大助かりでした。

風呂の電話を借りて下山報告。
タクシー呼んで塩山まで2000円。塩山から中央線普通で高尾乗換えで帰宅できました。

最後に番狂わせがあったけどまずは楽しい4日間でした。













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