どんぐり山の会

私たちは、アルパインクライミング(岩・雪・氷)主体の山岳会です。アルパイン、フリー、ミックス、沢、雪山などなど楽しみながら登攀しています。 アルパインクライミングをやりたい!やってみたい方、集会にいらしてください。

日付 ルート エリア 分類 メンバ
2016年
9月10日・土
川乗谷本谷 奥多摩 沢登り 水木・海田・小西
2016年
8月28・29日・日月
北岳・間ノ岳 南アルプス 縦走・ハイキング 小西
2016年
8月14日・日
鷹ノ巣沢 奥多摩 沢登り 水木・小西
2016年
8月12・13日・金土
明神岳東稜 北アルプス 無雪期アルパイン 海田・OB石田
2016年
8月10~13日・木~日
八幡平・葛根田川北ノ又沢等 東北 沢登り A家
2016年
7月31日・日
秋川水系・小坂志川 奥多摩 沢登り 水木・海田・OB石田・小池(好山会)・ゲストKさん
2016年
7月25日・月
ヤマモリのテスト 奥武蔵 その他 海田
2016年
7月18日・月祝
日原川・倉沢谷 奥多摩 沢登り A家
2016年
7月17日・日
甲府幕岩 甲府 フリー 水木・海田
2016年
7月10日・日
丹波川本流 奥多摩 沢登り A家他
2016年
7月10日・日
東吾野・平戸の岩場 奥武蔵 その他 海田・水木・小西ほか4名・アルプス灯会2名・好山会1名・計10名
2016年
7月3日・日
一ノ瀬川・竜喰谷 奥多摩 沢登り A家
2016年
6月26日・日
松木沢ジャンダルム・直上ルート 北関東 フリー 水木・海田
2016年
6月26日・日
裏丹沢 神ノ川 金山谷 丹沢 沢登り A家
2016年
6月12日・日
三つ峠 御坂 岩トレ 海田・あい・小西・ゲストSさんKさん
2016年
6月12日・日
三つ峠 御坂 岩トレ A家
2016年
6月4・5日・土日
極楽平~檜尾尾根 中央アルプス 縦走・ハイキング 海田・小林・OB石田
2016年
5月29日・日
三つ峠 御坂 岩トレ 海田・あい・小西・ゲストSさん
2016年
5月28・29日・土日
三つ峠 御坂 岩トレ A家
2016年
5月22日・日
松木沢ジャンダルム・中央ルンゼ 北関東 フリー 水木・海田・Kさん(好山会)
2016年
5月22日・日
つづら岩 奥多摩 岩トレ A家
2016年
5月14日・土
二子山・中央稜 秩父 無雪期アルパイン あい・山田
2016年
5月8日・日
太刀岡山・左岩稜 甲府 フリー 水木・海田
2016年
5月5日・木祝
西黒尾根 谷川 残雪期アルパイン 海田・小林
2016年
4月24日・日
つづら岩 奥多摩 岩トレ 水木・小西
2016年
4月23日・土
つづら岩 奥多摩 岩トレ 平賀・山田
2016年
4月17日・日
アルパイン入門道場 奥武蔵 岩トレ 海田・Y田・水木・K西・OB(武井・石田)
2016年
4月6日・水
日和田 奥武蔵 岩トレ 海田・小林・OB石田
2016年
4月2日・土
つづら岩 奥多摩 岩トレ 平賀・山田

2016/9/10 奥多摩日原川水系川乗本谷
メンバー 水木(L記) 海田 小西

経緯
ひょんな話から、急遽決まった感のある今回の山行。
集会前日9/6 クライミングジムナッツに於て
「オレ、土曜から夏休みになったんだよね。日曜の夜から新潟行こうと思うんだけど、土日空いてるから、どっかの沢でも泊まろうかな」⬅ワテ

「そーいや、土曜俺も空いてるな…」⬅海田
「どっか行きます?夏も終わりだし簡単な沢でも」⬅水木
「うん。逆川行ってみたいな。行ったことないし…」⬅海田
「逆かぁ、まぁ、いーけど…」⬅水木

逆川➡川乗谷➡川乗本谷!(゜▽゜*)!!

「川乗本谷はどーです?あまり沢本なんかに紹介はないけど…」⬅水木
「ん、よく知らないけど、いーよ」⬅海田

簡単な沢でも ってトコから何故かハードルが上がった!
あそこはまさに “ザ・泳ぎ!” のハズ。

集会当日
計画を発表。
同日、小西くんへ
「突然やけど、土曜沢行かない?」⬅ワテ。
「行きます。最近のストレスを見かねて、妻がどっか行ってこいと…」⬅小西。

お、来るんかい!
沢二度目の小西くんには結構ハードルは高いが…
まぁ、いい経験になるだろう。
持論だが、怖い目に会う方が強くなれる。
まぁ、臆病になるのかな?
それが強さということ。

「じゃ、これ動画。多分前回の鷹ノ巣とは比べものにならないハードな部分があるよ。アプローチや退渓は楽だけどね」

こーして、決まった川乗本谷山行。
川乗橋から、聖滝、夫婦滝を経て、竜王橋で退渓の予定とした。

7:10新秋津駅➡9:10東京トラウトカントリー➡10:00川乗橋10:30入渓➡14:50退渓➡15:20トラウトカントリー➡帰路

アプローチは楽だし、行程も短い。
よって、ゆっくりスタートの7:00待ち合わせ。
色々あって川乗橋には10:00。
その前にこんな会話。
「今回のテーマは“突破”や!どんな事しても突破がテーマ!」( ^∀^)⬅水木

事実、ワテはゴーグルにシュノーケルなんかを持ってきた。

しかし、みんな顔はゆーほど明るくはない。
なぜなら、濁りこそないが、明らかに川は増水していたからだ…

「まあ、チームの力量考えたら、“敗退”込みやけどね」⬅元気づけてるのか?(((^_^;)


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日原本流の流れ。
平時より荒れていて、流れが早い。



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川乗橋上より、川乗本谷。
初っ端から泳ぎやん!





さて、早速泳ぎである。
「んなら行きますわ」
と早速泳ごうとしたが、いや、待てよ。
結構な水量やし、増水のこの流れ…ワテが行けても後続は来れないかも…小西くんは沢二度目やし…
ロープ引こう!
「まだスタートやし、聖滝つくまでに体力温存せんとアカン!ここはロープ引きます」⬅水木
「そのほうがいいかもな…」⬅海田
「今日は二人になんとか付いていくつもりです」⬅小西

「今回のテーマは“突破”やからな」⬅水木

改めてロープを引き、泳いで取りついた。
流れはかなりキツイ!
ロープを引いて正解やったな…かなりハードや。
右岸に取り付き、ナッツを決め、小滝を越えてビレイ。
トランシーバーをとばす。
「かなりキツイ流れだよ。心してかかって!」
セカンド小西 流れに鯉のぼりになりそうになりながらも、クリア!まぁ、1ドボンございましたが。
サード海田 うむ、いい引きだ!でかいの釣れてる!あ、ゴボウしとる!まぁ、テーマは“突破”やからね
(;・ω・)

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眠気覚ましの1st釜。
水は冷たかったが外気が暖かいので、そんなに寒くはなかった。


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前回の鷹ノ巣に引き続き頑張る小西くん





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全体的に岩のフリクションはよく、難しさは
感じない。




さてさて、ワテに至っては来る聖滝の練習のつもりで、沢を登っていったので、巻けるところも果敢に泳ぎ、なるべく悪いスタンス、ホールドを選択しながら上がって行った。
目的を持つと、色々簡単な場所にも意味が生まれ、楽しい!

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小さなリスにラープ、ボールナッツをきめて支点とり。
これも実際には練習の意味合いが強い。



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こんなん♪




そんな訳で、増水の中でも、3人は結構楽しく登れておりました。
歩きながらの会話
「まぁ、今回のテーマは“突破”やけど、誰かの唇が紫になってきたら終了やな」
みなニヤニヤしながらこんな会話。
後に紫になる人が…(´д`|||)

しばらく行くと釣り人が、邪魔しては悪いので、林道へ上がり巻く。
少し上へ行くともう一人。
また少し上がる。
再入渓し、ゴーロを歩いているとまた人が…
釣り人多いんだな…ん?
釣り人ではない!こりゃ、キャニオニングの拠点?
テントやらタープ、着替え用のテント。
ふーん、最近ジワジワ人気のキャニオニング。
金払わんでもできますよ(((^_^;)

そのまま通過し、気がつくと13:30くらいだった。
「腹減った!」⬅海田さん
見れば目の前にはアイツが!
そう聖滝の入口に鎮座するという岩
鹿の頭骨に見えるので、鹿岩と勝手に命名。

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まさに巨大な鹿の頭骨!
この先には死が待ち構えるかのように…



「もう目的の聖滝は目の前やし、メシ食うて体力つけましょか!」
メシにしながらGPSで現在地確認。
GPSはもう聖滝を指している。
あ、ほんまにすぐやん!
休みすぎたか?身体が冷えてきた。
いこう!
目の前のゴルジュに入るとすぐに釜で、聖滝のf1 f2 が見えた。
「目の前におるわー!聖くん!」

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荒れ狂うf2と、確認出来ないが間違いなくヒョングッてるf3の大量の飛沫。




もう笑うしかなかった。
「f2荒れ狂っとるやん!」
「おぉ、行くの?これ」
「…………」

各々胸に去来した思いは別だろうが、おそらく“敗退”の2文字はかすめているはずだった。

「よし、行くぞ!」⬅水木
「あれf1だって無理じゃねーか?」⬅海田
「見た感じ、f1 f2は行けますよ!f3は…ヤバいなぁ」⬅水木
「…………」⬅小西

小西くんはもはや震え始めていた。
「だいじょぶ?動画頼める?」⬅水木

ロープを結んだ。
「よし!気合い入った!気合いがないと、こんなん登れん!いくで!?」

泳ぐ!流れに逆らう!必死に左岸のお助け紐を掴む!様子を伺う!流れは巻いて落口方向に向かっている!いける!落口に近づける!飛び込む!へつる!予想通り流れは落口方向に!落口右にあるスタンスが見える!掴もうとする!さわる!流れはとまらない!そのまま滝に引き込まれる!かいて顔を出す!引き込まれる!また顔を出す!右岸のホールドを指にかける!足をたたむ!左岸方向のスタンスを足で探る!あった!立つ!ふぅ!

あ、立つまでにえらいかかってるようですが、まさに走馬灯!ここまで泳ぎ始めてから1分半くらいのことでしょう( ̄ー ̄)

“死”…死ぬとは思わなかったが、こりゃ死んでもおかしくない!と思っていた。
“死ぬ”とも“死なない”とも思わない、これは大事なニュートラル感覚かもしれない。

壁を観察すると、左岸側には顕著なホールドが落口とその途中にある。
落口のホールドは手で使えるが、もう1つに足を乗せるのが仕事だな!と見た。
上部滝の中はホールドはない!
突っ張りと水流のなかのフットフリクションに期待するしかない!
左手を右岸壁につき、右手は左岸側落口ホールド。
小さなスタンスに立った右足と左足を入れ替え、右足をさらにプアなホールドに!(正味ホールドというより、若干の傾斜)左足を顕著なフレーク状カチへ上げればカチ!あ、勝ち。
この態勢から左足をカチに乗せようとすると、滝に足を弾きとばされた。
侵入角度を替えたりしたが、滝に触れるだけで弾き飛ばされる!
すげー水圧!
右岸についた左手を微調整し、左足をねじこんだ!
よし!
あとは一気に滝中へ!
うおぉぉぉ!突っ張りにフットフリクションんん!
足が流され、30センチダウン!
両足この水流に入れててはまた引き戻される!
もうあの滝壺はゴメンだ!
左足を右岸につく!水流には右足が入っているだけだ!
後は左右突っ張りで身体を引き上げたいが、右岸壁がウナギのようで、なんのフリクションも感じない!
たわしを出そうとするが、ワンハンドで取れない!
落口上部にアックスをかけられそうだ!
しかし他のガチャが邪魔で同じくワンハンドで取れない!
くっ!
行くしかねー!
左手で巨大なウナギの肌を押す!
垂直意外の方向にベクトルが働けば、たちまち落ちるだろう!
体感で左右の手をしっかりホールドし、左足を上げた、よし!右足を滝上へ……

どわあぁぁぁ!疲れた!
しかし後々動画で見るとこれが3~4分の話。
マジで?めっちゃ闘ったで?わし。

↓動画はタップ!

https://youtu.be/uGJo036QR2s

後続へオッケーサインを送る、セカンド小西!

小西くん、だいじょーぶや、いざとなったらロープで引き上げたる!
そんなことを思っていると、身体中が震え始めた。
後ろではf2 f3 が狂犬のように唸っている。

小西くんが落口へきた。
やはり滝壺に引きづり込まれる!
ロープを引く!顔が出る!ロープを引く!水流に逆らっているので顔に水の壁ができる!呼吸できるか不安になる!さらに引く!顔が出る!足がついた!
落口に立った!ふぅ!

彼も走馬灯感を感じたハズ。
小西くんのトライ!
2、3回攀じるも、早々に諦めアッセンダーを引く!

それでいい…今回のテーマは“突破”やしね。
しかしそれが叶わない気はチーム全体がもう思っていた。

「小西くん良くやった!俺の後ろにまわれ!ここは流れが強すぎる!」
小西くんはガタガタ震えている。
「小西くん!」
「はい」
「敗退だ!」
「はい!限界です!」
「海田さんは登らせるけどな!」
小西くんニヤリとして、
「はい!」

海田さんへオッケーサインを送る。

同じだ滝壺に飲まれる。
ロープを引く。
海田さんは二人見ている。
どこにホールドがあるか見ていただろう、早目に立つ。
走馬灯は…どうかな?

敗退を決めた二人が待つ滝上に海田さんがトライしている、2度、3度、4度…
アックスを出し支点にかけ、身体を上げようとするもその先には何もない。
ウナギの肌が広がるだけ…
あれ?
勿論初っ端からゴボウした海田さんに、イジワル心がなかった訳ではないが、ここまで頑張るとは…
やはりやる以上、トライはしたかったのか(´・ω・`)

感心もしていたのだが、滝上の二人は身体ガタガタ震えまくり。
ここでゴボウしないんかい!
という的外れな怒りに変わりかけたところで、
「ひきあげてくれ!」
よっしゃ!
海田さんが滝上にきた!
ビショビショの濡れネズミで、ヘトヘトだ。
顔色も心なしか白い。

「海田さん!敗退しましょう!」
返事は頷くのみだった。

「で、どうする?どうやっておりるんだよ?」⬅海田
「とりあえず海田さんにこのままスライダーしてもらって…」⬅水木
「だよな」⬅海田
やはりさっき走馬灯見たかな?
小西くんの震えは止まらない。
長居は無用だ。
テーマは一転し、脱出となった。

この増水した悪渓、ここの脱出は容易ではない!
素直に流されればいい!なんてのは間違い。
あの鹿岩は獲物が来るのを待っていたのだ!
滝は複雑に巻き、獲物を逃がさない!
上部f4の洞窟には25年間閉じ込められた人もいるのだ。
日本人は怨念だとかそういうものに畏怖の念を抱く、私はそんなものは信じない、今ここにあるのは、この自然に生れた無限ループと自身、少し広げると我々チームと自然の対峙だ。

海田さんがスライダーして飛び込む!
キャニオニングのそれとは違い、悲愴感が漂う!海田さんが沈む!顔を出す!また沈む!ロープが流れに引かれ異様に出る!止める!巻いて取り付きに戻される!何か海田さんが叫ぶ!滝はずっと吠えている!お互いの声は聞こえない!ロープを引く!失敗だ!まずは海田さんの確保だ!海田さんはまた沈む!顔は一層白い!引き上げる!

走馬灯…見たよね。(((^_^;)


「海田さーん!俺が行こうかーっ!?」

海田さんはまた頷くのみだ。
海田さんをf1上へ引き上げる。
この悪条件でf1 2発。
得した!と思いましょう!( ^∀^)

「ゆっくりロープだして下さい」
取り付きに降りた。
流れを見る。
流れに乗るのは上手くない。
無限ループに引き込まれ、脱出不可能だ。
流れに逆らうしかない。
なるべくゆるい流れを…

選択したのはここf1 の取り付きに来るときのルートを逆になぞるルート。
流れに逆らい、お助け紐を掴めば脱出できる。

途中まではへつって流れに抗えたが、もうホールドもない!泳力にかかっている。
泳ぐ!
流れが早い!
壁に身体を寄せ、抵抗を減らした。
よし!紐をつかんだ。

ゴルジュの入口まで泳ごうかとも思ったが、ロープの長さ、滝上で震えてる二人の残り時間を考え、ここで二人を引き、脱出させることにした。

「ここで引く!小西くんにザック背負わせて!」
悪魔の声に負けず、声が届いたようだ。
指示通りの行動を滝上でしてくれている。
小西くんがスライダーする!滝壺に飲まれる!引く!小西くんが寄せられてくる!

小西くんは震えがひどい。

「体力あるならゴルジュの外まで泳いだほうがいいよ!冷えきってる!」

唇は紫だ。
撤退は間違いなかった。

海田さんへサインする。
スライダー 引く 海田さんも白い。

無事脱出した時、皆何を思ったろう?
ワテは命、自然、生きる、だった。

キャニオニングの天場から林道へあがり、トラウトカントリーまでの道のりは皆明るく、饒舌だった。
何を隠そう、ワテが一番そうだったと思う。
これも生きていることの確認行為の1つなのだから…
今回は大げさでなく命を張りました。
やはりクライマーって、変人だな。
自分の事だけど…
けど、どこかに“死ぬ”とも“死なない”とも思わない境地に至れたのは収穫でした。
どんな時も冷静に、ってのはありきたりな言葉だけど、どこか自分含め俯瞰して見つめるのは、正しい判断を生むと思う。

しばらくは思い出してニヤつき、満たされた気分になる山行でした。
平時のこの谷をもう一度やりたいです。
今年はおしまい。

海田さん、小西くん、spサンクスです。




海田・記 

いやあ~増水した聖のF1は厳しかった!

まず水木さんのヘルメットが取り付き手前で水面から消えたときには一瞬何が起こったのかわからなかった。すぐに浮上してもう一度水に沈んだときにやっと「呑まれてるんだ!」と判ったが咄嗟にロープを引くことは出来なかった「水死」のイメージが浮かんで硬直したのかもしれない。
でもすぐに水中の岩に立ち上がったのでホッとした。この間2・3秒の出来事だと思うが私の心拍数は確実に上がっていたと思う。

その後の激流の樋状スラブの処理はうまかったなあ、何手だろう、左足で水流の中のナナメカチを拾って右手はもっと薄いカチだよね、右足はヌメヌメでほとんど使えない、からの4手はみごとだね。体幹で持って行ってる。
そのあと両手足で突っ張ったままズリズリってしたときはそのまま滝つぼに飲まれるかと思って「耐えろ~~」って声だしたと思う。

ビレイしてても普通の岩登りと違って、中間支点が無いんだから祈るしかない。

この激流ではもしも落ちたら中間支点で止めるよりは反対に流れから引っ張り上げなければならない。
中間で止めたら水流の中で止めることになって危険だろうとおもう。

終了点に手が届いたときには本当にほっとしたよ。

2番手の小西君は水木さんのラインを見ていたからか一度はやはり引き込まれて水中に消えたけどすぐに足場の岩をとらえて立ち上がったね、そして樋状スラブを登れないと判断したらすぐにユマールを出してごぼうで登ったのは賢明だったと思う。
ただし、ロープとハーネスの連結はロープマンではもしも壷に落ちて回転流に巻き込まれたときに下流方向に引き戻すことが出来ないので、あれはクローブヒッチかバタフライかで固定しておくべきだったと反省しています。

さて3番手の私はというと泳ぎがへたなもんで下降流に足を持っていかれたときには本当に「泡を食った」。鼻から水を吸い込んでしまって死ぬかと思った。浮き上がろうとして足を掻いても浮力が無い。手でも必死で掻いてやっとこ水中の足場を手で探り当てて足を置こうとしても再び引き込まれて立ち上がれない。ロープを掴んでやっと立ち上がれたときにはゲホゲホいっていた。

引き込みの水流の力の強さに恐れおののいてしまう。

ここまででだいぶん心も体力も吸い取られてしまったが、二人が待っているビレイ点までは行かねばと思いホールドとスタンスを探すが滑る右足と極小カチの右手では左足の水流下のナナメスタンスに乗り込めない。2・3度やってみてだめなので真上を見上げるとハンガー無しのひん曲がったボルトがあったので細スリング巻いてあぶみで乗り越そうかと思ったけど、細スリングは泳いでいるうちにどこかへ行ったみたいだしあぶみは水木が持っていて激流の向こう側だし、ボルトの隙間にハンマーのピックを引っ掛けて体を上げようとしてもザック背負ってるとどうしても上がらなかった。しょうがないのでごぼうで上がった。

ビレイ点に着くと二人とも震えていて小西はくちびるが紫色だ。
水木:撤退しましょう
海田:うん

腿までの激流に体温奪われながら、さてどおやって降りる?
海田がスライダーで飛び込んでそのままロープを引っ張る。
おーけー
行きまーす。
スルッ・ドッボーン・・・・・・
うっ・浮き上がれない・・水中の水泡が目の前で暴れている・・方向がわからない・・プファっと顔を水面に出すと目の前で激流が落ちていて再び引き込まれる・・二度水没して結局取り付きの岩に立ち上がったときには・・・立ち上がって足元を見るとロープが何重にも巻きついているしネオプレーンの脚絆がずりさがってルーズソックス状態になっている。これじゃあ足の自由が効かないわけだし水を蹴っても浮力は得られないわけだ。手袋も手首のベルクロが剥がれてズルズルだ。
・・・・出られない・抜けられない・・・・・・絶望感に襲われた。

ロープは常に張った状態でしかも空中にあるようにしないと水流にたたきこまれて絡まってしまうのだろう。
水中の岩にでも絡まると一巻の終わりになってしまうだろう。

気を取り直してごぼうでビレイ点にもどった。

水に慣れてる水木君にロープを引いてもらうことにする。

さすがですね、スライダーしないでゆっくりロワーダウンして、巻いてる水流を読んで左岸をへつるようにしてお助けロープに到達。セルフビレイ。

ミッテルの小西君にザックを背負ってもらって上下からテンションかけながら小西もお助けロープに到達。そのまま足の立つところまで泳いで、出口に立った。

海田は小西に引かれて二度目のスライダー、ドンドン引かれて浅瀬に立った。

最後に二人で水木を引いて、三人とも無事に・・・脱出せ~こ~・・・・ああ・助かった。

がたがた震える膝で岸に上がりロープを畳み生還を喜び合うのでした。ホント。


貴重な体験をさせてもらいました。

聖滝さん、もうちょっと水流が落ち着いたときにリベンジさせてもらいに来ますよ。



小西追記
思っていた事を中心に

水曜日、仕事のゴタゴタで集会に間に合わず、いつもの居酒屋で合流。
週末にだれか時間ないかなぁと思っていたところにこのお誘い、渡りに船である。
当然の参加表明

その後木曜金曜の僅かな空き時間を使って情報収集、、、これ自分に登れんのか?笑
たぶん厳しいだろう、ということで自分のテーマは

手段を選ばず、とにかく付いていく

とした。
尺取り虫だろうと何だろうと経験は経験

で、土曜日
目覚めの泳ぎから始まる沢歩き、気温も程よく気持ちがよかった。

聖滝
釜の向こうにf1f2が見える。想像以上の水量
暴れ狂うf2
気温もぐっと下がり、身体が震え出してきた。
(こりゃビレイが一番きついからぐずぐずしちゃいかんな)

トップ水木さんを撮影しながらも度々震えがくる
取り付き手前でヘルメットが視界から消えたときは息をのんだ
カメラはそのままに録画時間のカウントを眺める

改めて動画を見るとほんの僅かな時間だがいろんな考えが頭に浮かんだ

ちゃんと息吸えたかなぁ?
カメラを放り出して引き上げるべきか?
無呼吸全力で水流に抵抗するのって何秒くらいで限界くるんだ? 
10秒?いや、5秒?気力次第か?
なかなか頭出さないけど大丈夫?
案外川底の水流に乗ってこちら側に戻ってきてたりし、お!

字面に起こすとこんなところ、なかなか凝縮されちょる


いざ自分の番!
お助け紐まではそれほど流れもきつくない
紐を掴んで観察
白い泡が渦巻いて川底が見えない、こわい
泡の動きと水木さんの動きを重ねて自分の動きをイメージ

腹をくくって泡の中に進む
(足場の位置は把握出来てるし意外とすんなり上がれるか?)
もう脚が付くかなというタイミングで流れに引き込まれた

何も見えない
滝の音も遥か遠くに感じ泡の弾ける音だけに包まれた


はっきりと"死"を意識すると同時にビレイの有り難さを感じた

全力で水を掻いて一呼吸
後はロープをつかんで半ば引き上げられる様に取り付きへ

いまだ慣れないフェルトソール
身体を持ち上げてもスラブを覆う水流に脚どころか体ごと持っていかれる
もう少し試してみたい気持ちもあったけれど突破にせよ、敗退にせよ、時間との勝負と思っていたのであっさりとユマーリング

※ここでの反省、ビレイ状態のままユマーリングしてしまったけどここは支点にフイックスしてもらうべきでした。
スラブを進むときにロープを通じて体のブレが伝わってきて少しこわかった、、、

水木さんの後ろ、f2寄りの場所でセルフ
「敗退だ!」
水木さんの決断に安堵した
「海田さんは上らせるけどな!」
いくつになろうと何事も経験である
皆で仲良く水流に引き込まれましょう

ところで背後で轟音をたてていたf2
あれは笑えるほどにこわかった
真ん丸の釜を反時計回りにものすごい勢いで渦巻いている
右岸側を進めるはずだが滝からの白泡がすごい勢いでこちらまで流れ込んでくる、足場は一切見えない
左岸側は深く流れが早い、泡がなくクリアな分、自分が回される姿をイメージしてしまう
嗚呼おそろしや

大量の水が太ももを撫でていく
冷えた血液が体の芯に流れ込んでくる
体の震えが自分ではもうとめられない
ガチガチ奥歯を鳴らしながら
(この震えがとまったときは本格的に低体温症だな)
と考えていた。

海田さん登る、海田さん下りる、海田さん登る、水木さん下りる、小西下りる

お助け紐のところで先に岸まで戻るかと言われたが、それよりも早く海田さんを戻さねばと思った、あそこは寒すぎる
冬山とは全く違う種類の寒さ、
ジワジワと熱が逃げていくのではなく
ガッと持っていかれる感じ、


生きるってだけでほんと素晴らしい事ですな。
寒さに震える事も、水中からでた最初の一呼吸も、生きてるからこそ
仕事のストレスなんてどんだけちっさい事か

今回お亡くなりになったのが自分のスマホだけでよかった
次回はネオプレンのパンツ用意してリベンジしたい。






参考までに装備は

ロープS/Dφ8.9-45m 1本
ハーネス・ヘルメット
フェルト靴(水木・小西)
運動靴(海田):フリクションが岩に合っていたらしく、フェルト靴はザックに入れたままだった。
       ただし細かいエッジには乗れないので聖F1では苦戦した。ということにしておこう。
       実はフラットソールもザックの中だった。
脚絆:  3人ともネオプレーン
ウェットスーツ水木のみ: でも寒かった。
海田小西はファイントラックのアンダー+ミドル+合羽
ライフジャケット: 無し・・・ゴルジュ&泳ぎの沢には必携ですな・・・・教訓。
ハーケン各種合わせて6本: 使わなかった
ハンマー2本 : 投げ縄にする魂胆だったが水流に流されてあらぬものに引っかかる可能性があったので
        投げ縄としては使わなかった
ラ―プ2枚  : 試しに一回使った
バードビーク : 使わなかった
ナッツ    : 試しに一回使った
あぶみ1セット : 結局使わなかった
たわし2個  : 使わなかった、というか、核心でからんでしまって片手で取り出せなかった
シュノーケル : 装着する余裕もなく・・・・
水中眼鏡  : 激流の中ではそんな余裕もなく・・・・
ザック防水35L-1個: トップとミッテルは空身
トランシーバー3台: 防水型ではあったがスピーカーの湿りと周囲の爆音で役立たず。
地図トポコンパス各1: 2度ほど使った 

2016/08/14(日) 奥多摩鷹の巣谷沢トレ
メンバー 水木(L記) 小西

やはりこの時期のトレは沢!
やし、高低差のある鷹の巣谷へトレ行ってきましたー!

経緯

前回の小坂志川で捻挫の為欠席した小西くん。
今シーズン中に沢デビューさせたい勝手なワテの親心。
集会前にメールのやりとりをした。

“水根沢はいかがでしょう?”⬅小西

“行ったことあっし、つまんねす”⬅水木

“俺行った事ねーし、ちょっちしんどいかもやけど、鷹の巣谷なんてどう?いちお、初級よ?しんどいかもやけど”⬅水木

“分かりました調べておきます”⬅小西
親心とかいいつつ、ほぼほぼツルの一声。
さーせん。m(__)m


(小西追記)以下(小)
沢の事などフワッとした知識しかもたない小西はこの一声が大変ありがたい!情報を仕入れながら楽しめてなおかつ程ほどにキツいだろうと想像を膨らませておりました。


ちなみに鷹の巣山にはワテのかつての愛犬が眠る地でもあり、墓参りもかねてかな。
世の中盆休みやし。

6:00新秋津駅集合➡7:50日原観光駐車場➡8:30入渓点8:50入渓➡13:45稲村岩尾根登山道(ヒルメシクイノタワ)➡14:00下降開始➡15:45日原観光駐車場➡帰

6:00に待ち合わせ、そのまま奥多摩へ。
一時間半くらいで行けるかなあ?と思ったが、やはり盆休み!
車がいつもよりはある!
そして、ホリデーな遅い車もチラチラ。
古里のセブイレで朝飯等を買い、日原の駐車場には7:50の着だった。
荷をだし、バス停にてトイレ、入渓点8:30。
沢装備装着。
さて、小西君は沢デビュー戦である。
慣れてないし、もちろん沢の詰めなんてのもどんなか知らない。
それに、沢足袋(フェルトソールではない)に更にかぶせて履くフェルトサンダルを使用。
これってどうなん?(;・ω・)
はいてる人見たことないしなぁ、足袋は足裏感覚がいいのが良い点。
しかし上からサンダルじゃ、感覚はなくなるし、一体型の沢シューズほどカッチリはしてないよなぁ……

とにかく今回は安全第一!
何かあったらすぐ止まる!
核心は詰めなので、一時間に一度は休憩を挟む事にした。
ゆっくり!あせらず!しっかり!ガンバ!
と都度都度言いました。

空は曇っている。
カンカン照りの中奥多摩で沢登りは暑いやろなぁ…と思っていたので、これは歓迎でした。

8:50入渓。

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ガスって稲村岩が…(´д`|||




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入渓点はこの朽ちた橋より。





さて、と。
入渓すると奥多摩らしい苔むした岩(о´∀`о)
直ぐに小滝が連続します。
ホールドを確認し、スイスイっと♪♪
そして直ぐに振り向く。
でや?小西君。濡れた岩場は?
やはり靴にまだ不安があるのだろう、おっかなびっくり登っている。
しかし顔は楽しそう。
良かった。(о´∀`о) 地獄は詰めやからね、ここは楽しんでもらわな!

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序盤の小滝のスラブを登る小西君。
ガンバ!



小滝の連続を超え、河原歩き。
しばらくするとまた小滝の連続。簡単な濡れたボルダーを繰り返しているようだ。
小滝の連続の前に小西君に聞く。DSC_0005

巻き道を指差し「こーいう踏みあとを歩きたい?」
滝を指差し「こっちで。」
オケイ!(*´∀`)
今回も前回同様。
時間かかってもよいから水線通しで!

じゃ、早速シャワークライム!

水流の中のホールドの見方を落口から教える。
このときには小西君に靴に対する不安感は失せていた。
あとはしっかり重心移動。または重心の分散。
(小)↓まずはお手本
DSC_0007

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意外と細かなスタンスも拾えていた小西君。
大ポカもなかったしね。

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トポを見ると、18㍍大滝の前に3段12㍍というのが2つある。
ここまではオールフリー。
ロープ出すのはこの12㍍からだろうと思っていた。
まあ、途中途中小西君のザックをつかんで確保しておこうか?と思う場面もあったが、小西君は危なげなく越えていった。
最初の1h毎休憩の後も、小滝の連続。
さてさて、12㍍はまだかいなー?って登ってるウチに18㍍大滝が顔を出す。
あれっ?
まぁ、手前の少し難しめなとこでロープを出したが…
あれが12㍍やったか?
あまりにも突然大滝が顔を出したので、これが12㍍かと思ってしまった。
しかし3段ではないし、12としてはデカイ!2段やし。(;・ω・)
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気を取り直してしっかりロープ。
登攀は簡単。
2段目は階段でした。
けどこの高さを登ると気ん持ちいーー!(о´∀`о)

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大滝をフォローする小西君。
うーんこの写真じゃ滝感ゼロやな。




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18㍍大滝さん

(小)大滝の先でカモシカと遭遇
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逃げる気配なし
こちらが先に進むと
自分もそろそろ行きますわ、と言わんばかりにのそのそ歩いて行った。



大滝の先の金佐小屋窪との分岐で2h目休憩。

DSC_0028



ここらからガスの中




源流っぽい渓相になっていき、ガレ、倒木が目立ってくる。
おまけにガスの中に入ってからは湿気がすごく、汗だらだら…
ちょっと前まで止まると寒いくらいだったのに。

(小)お迎えが来たのかと思うほど綺麗な木漏れ日でした。DSC_0027


12:00。
登山道まであと400㍍ほど登る。
一時間半あればこの急登なら稼げるだろう。
気がつけば汗だらだらと沢の水と泥でグチョグチョ。
だが、沢はこれが良い。
下界の毒を出して洗っている感じ。

最後の分岐を越え、コンパスで詰めのルンゼを探り、詰めて行った。

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振り返り詰めのパートを撮った。




本にも本格的な詰め、と書いてあった通り、高低差がある。
しかしワテは思ったよりはキツくなかった。
ハンマーを持たない小西君は少しずつ離れていった。

(小)サクサク登る水木さんDSC_0028


(小)足袋とフェルトサンダルの最大の欠点はキックステップが決められない事!
中盤までそのまま登るも堪らずサンダルを外す。
地下足袋は樹林帯で最強なんじゃないかと思うほどに楽になりました。


見える範囲の距離をキープし、13:40、ヒルメシクイノタワに到着。

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飯を食い、沢装備を解き、14:00下山開始。
ワテにとっては下山もトレ。
濡れた装備にロープを背負って稲村岩尾根を駆け下り、着地筋を鍛える。
小西君は見えなくなってしまった。
しかし一般道やし、道迷いもないやろ、と駆け下りる。

(小)その頃小西は詰めで消耗仕切った脚に不安を抱きながらすれ違ったカモシカの如くのそのそと歩いておりました。
登りでは慣れ親しんだ稲村尾根、確実に確実に

40分後、およそ600㍍駆け下り、稲村岩まで着いて小西君を待つ。
15分経っても現れない。
電話をするも出ない。
確か小西君はすぐ出せるところに携帯を持っていたハズだが……
まさか?なんかあったか?意識を失うような?
仕方ない、登り返そう、というタイミングで小西君が姿を現す。

「電話したんやで?」
「え?あ、すいません、音切ってました。」

やれやれ、ひとまずホッ(´O`)°゜

15:45日原観光駐車場着。
下山時から顔を出した太陽が、ヘロヘロの二人を射した。
林道には、その太陽にすっかり焼かれた車の列が、日原の鍾乳洞まで連なっていた。
コレより全然いいや…ぼんやりそう思いながら駐車場に着いたのだった。

噂通り体力ルートであった。
それだけにやった感はあり、心地良い疲れ。
いいトレでした!
小西君もデビュー戦でハードでしたが、良くガンバしたと思います。
お疲れ様(о´∀`о)
懲りずにまた!

(小)お疲れ様でした。
今度は例の沢行きましょう!



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