8月1-5日(水~日) 剣岳 チンネ左稜線+おまけ
メンバー:海田(L) 神保(記)

8月の休暇を使い、剣岳チンネ左稜線にチャレンジしてきた。
計画は 扇沢駅(1泊目)⇒室堂⇒剣沢⇒熊の岩(2泊目)⇒チンネ左稜線⇒熊の岩(3泊目)⇒はしご段乗越⇒黒四ダム⇒扇沢  (予備日1日)。

8月1日(水)(出発の日) 快晴
海田さんと1日の夜、新宿を出発。今回の移動は軽トラ。高速やガソリン代、リース代などがリーズナブルな上に荷台で仮眠ができる、という優れもの!である。21時に新宿を出て扇沢駅に翌1時に着。その日は軽トラの荷台で装備されていたブルーマットを布団にシュラフに包まって寝た。とても快適な寝心地だった。

8月2日(木)(長くツラかったアプローチ) 快晴
7時30分の始発のトロリーバスで黒四ダムへ。ロープウェイやバスを乗り継ぎ9時ころ室堂着。そこから雷鳥沢を経由して剣御前小屋までの急登。重いザックで早くも腰やら肩やらが疲弊し始める。12時になんとか剣御前小屋着。その後は徐々にペースが下がり剣沢小屋13時、剣沢雪渓の長次郎谷出合に15時、海田さんから大分遅れて、長次郎雪渓はふらふらになりながら登り、熊の岩着17時過ぎとなってしまった。。(足腰の弱さを痛感!悲)  熊の岩にはもう一張テントがあり、4人のパーティだった。明日は八ツ峰を登るとのこと。その日は明日に備えて海田さん持参のウイスキーを少し飲んだあと、早々に就寝。

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黒四ダムの放水         別山乗越 天気は快晴

注意喚起
途中、剣沢小屋で富山県警からの登攀情報が掲示してあった。
8月4日現在、チンネのアプローチで通過する長次郎谷右股は「クラック多数 困難!!』と書いてある。

雪渓
壮大な剣沢雪渓を下る。

扇沢     0730始発
室堂     0900着
劔沢小屋   1315着
長次郎出合い 1440
熊の岩    1700着

8月3日(金)(チンネの場所の誤解。からのチンネ登攀) 快晴
翌朝は3時半起床。外にでるとガスで視界が全くない。むむむ。。 
少し様子見たが状況は変わらないのでとりあえず5時30頃、長次郎雪渓右股を上がり池ノ谷乗越を目指した。
クラック
注意喚起図で書かれていた 長次郎谷右股のクラック。こんなのが段々に連なっていた。
クラック海田
クラックを避け、開いたシュルンド内の岩壁をへつりながら進む。
ガス
池ノ谷乗越。ガスで全然視界がない。
ここで大きな誤解をする。
自分も海田さんも事前の情報からは『長次郎谷を詰め、池ノ谷乗越へ出たら、池ノ谷ガリーを下る。そうすればじきに右側にチンネ左稜線が見えてくる』と理解していた(日本の岩場ではそう読み取れる)。しかし、池ノ谷ガリーに出ても視界が悪く、全然現在地の全景が把握できない。どうしようかとしばし悩む。悩んでも仕方ないので、過去の他山岳会ブログ記事を頼りに三の窓まで進んでみると、そこで初めてチンネ左稜線が三の窓雪渓に面しており、三の窓からみて右壁を構成する岩峰であることが理解できた。
チンネ取り付きから熊の岩まで
海田さんのGPSトレース。チンネ左稜線取りつきから熊の岩まで。チンネ左稜線は池ノ谷ガリーに対し直角に位置している(三の窓雪渓に沿っている)。アプローチは三の窓から回り込むことになる。

チンネ DSC00720
三の窓雪渓もへつりがある。
大分時間をロスしたが、ようやくチンネの取り付きへ。
ちなみに、チンネが面する三ノ窓雪渓は、同じく剱岳の小窓雪渓、立山の御前沢雪渓と共に2014年に初めて日本で氷河と認定された雪渓らしい。
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チンネ左稜線は『日本の岩場』によると全12P。
当初、つるべで登ろうとしたが、『こうゆうビッグルートはチャンスが少ないから先のある若手がリードしたほうがいいよ』と海田さん。
いやいや自分には大した先もなければ、十分中年です、と思いつつも、ありがたく全ピッチリードさせて頂いた。   
登ってみると、とにかく残置ハーケンが少ない。終了点はハーケンが2-3個のみ。スリングもなし。かなりアルパインなルートだと思った。(敗退の時は自分で捨て縄するしかない)

(チンネ左稜線クライミング)
1-4P:よく分からないが、少ないハーケンを頼りになだらか斜面を登っていく。
5P:草付きリッジを渡り、隣の岩峰へ移るイメージ。
6-7P:残置ハーケンほとんどなし。適宜カムが必要。
8-9P:リッジなので、途中でピッチを切らないとロープがスタックする。
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10P:(本来の9P)いわゆる『鼻』。遠くから見ると難しそうであるが、近くに来ると登りだしのテラスはしっかりしているし、ホールドもガバなので、難しくはない。しかしクライミングジム経験がないとフットスタンスが迷うのでやや難しい?
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10-15P:高度感のあるリッジを行く。やはりロープがキンクするので、途中でピッチを細かく切っていった。
ルートに迷いながら、なんやかんやで6時間。チンネピークは15時になった。
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懸垂ポイントはすぐ分かった。一つはピークの岩に留置してある懸垂点。もう一つは後から設置されたハイマツの太い幹にまかれたスリングの懸垂点。前者がかつてのofficialな懸垂支点だと思われたが、この懸垂支点を用いると途中の巨大な岩がロープで押され落下する危険が大である。おそらく、その危険を認識した人がのちにハイマツに懸垂支点を加えたと思われた。(危険なので、前者の懸垂支点は使わないでください!!)
懸垂3回で池ノ谷ガリーへ。 熊の岩には19時になった。

このルートは全般に支点が少ないので要注意である。難易度的には墜落するルートではないが、安全確保にはカムが必須だと考えて取りついた方がよい。今回使ったカムは#0.5 #0.75, #1, #2 の4つ。ひとつづつ用意すれば足りるだろう。 また、チンネ周囲はとにかく落石が多い。チンネ自体も登っていて浮石が多いので、フットホールドには十分注意して登らなければならない。自分も懸垂中に落石があり、ヘルメットに手拳大の岩が直撃した。シロッコが軽くえぐれており、九死に一生を得た。。当たりまえだが、行動中は絶対にヘルメットを脱がないことが大事だと身をもって実感。

熊の岩   0515発
池の谷乗越 0645
三の窓   0820
取り付き  0920
T5     1310
チンネの頭 1600
池の谷乗越 1740
熊の岩   1900着

主要装備 ダブルロープ50mx2本 ヌンチャク12本 アルパインヌンチャク4本 スリング長短各4 キャメ0.5・0.75・1・2 アイゼン12本爪 バイル各1 ハーケン4枚(使わず)ガス1個       ウィスキー1L

8月4日(土)
3日目のデプローチは時間的に余裕もなく、来たルートを戻り、室堂最終16時半のトロリーバスにて扇沢へ戻ってきた。

熊の岩  0800発
劔沢小屋 1210
別山乗越 1345
室堂   1600着 1630終バス
扇沢   1800着

さて、この後はどうしましょう。
まずは温泉で汗を流す。 

画像に含まれている可能性があるもの:1人以上、夜
その後、白馬ジャンプ台の麓で行われていた『大駱駝艦』の舞踏を鑑賞。
大駱駝艦は海田さんの古巣
まろさん
海田さん旧知の大駱駝艦代表 麿赤兒さん。
うわさに違わぬ圧巻の舞踏!これはぜひ、生で見るべきだと感動しました!!

KC
で、その夜はまたまた海田さんのつながりで広島大学山岳部OBが所有する山小屋(鹿島クラブ・KC)に1泊させてもらい翌日帰京した。

大充実の5日間でした。

(海田 記)
心強いパートナーに恵まれてやっと行くことが出来ました。3度目のトライだった。年齢と体力的にギリギリのタイミングだったかも。熊の岩まではほんとに長くてつらかった。でも天気の読みは当たって3日とも降らなくてよかった。例年8月も10日を過ぎると天気が不安定になって今までせっかく長く劔に入ってもろくに登れてなかったので今回は7月末か8月も第1週までということで計画したのが良かった。
反省点は、軽量化のために池の谷乗越にアイゼンをデポしたのはまずかったかな、チンネ取り付きがよくわからないまま三の窓雪渓をキックステップでトラバースするのは怖かったな。朝の雪渓は堅くてキックの回数が多くて疲れたな。高所ではアイゼンは担いでいたほうが良いな。