August 19, 2007
英国の有名シェフが見た日本の学校給食
■School meals in Japan
Early in 2007, School Food Trust board member Rob Rees travelled to Japan to learn about school food on the other side of the globe. (ソース:School Food Trust 2007年5月)
2007年年初頭に、School Food Trustの委員であるロブ・リーズが、地球の反対側の学校給食を学ぶために日本へ出張しました。 そして彼は児童数350人の千駄ヶ谷小学校を訪問し、文部科学省と自治体の幹部とも面会しました。 以下はロブの日本からのリポートです。
私が訪問した学校には食堂がなく教室だけでした。 英国の学校給食との比較において大きな違いと言えるでしょう。
日本ではこれを前向きに考えます。 食べ物は各教室に届けられ、到着すると児童たちはそれぞれの分担を決め役割を果たすのです。
彼らは、自宅から持ってきた自分のランチョンマットを広げ、カトラリー(あるいは箸)を置き、食事空間をセットします。
4人の児童は、割烹着(chefs's aprons)を着て配膳台の後ろに立ち配膳します。 別の児童はクラス中に聞こえるようにその日の献立を読み上げます。 それは食品グループや、味に関するクイズになります。 児童たちは楽しく対話形式且つ社会的な方法で静かに聞き入ります。
教師は児童たちと同じく机を並べ一緒に給食を食べます。 この学校をはじめ他の多くの学校で子供たちと食事を共にすることが業務分掌の中で定められています。 この日の献立は次のとおりです。
Salad of Spring Greens and Vegetables as Starter
Clear vegetable broth with barley as Middle Course
Sauté Baby Scallops with Vegetables and Rice as Main Course
Poached Peaches in Jelly for Pudding
この小学校において7歳から12歳まで児童の献立は同じものですが、学年によって量が多くなっています。 12歳までの昼食時間は50分で、中学校は45分です。 これは座って食べる時間であって昼休みの休憩全体の時間ではありません。
すべての児童が給食を食べ終わってから片付けます。 それはお互いを尊重しあうことを習得することになります。 食事中の会話はコミュニティ、友達や、子供たちの社会的責任が養われます。 「給食」自体が授業のカリキュラムでは補完できない課題を習得する機会なのです。 学校では時々行事給食や世界の料理が供されます。
学校の栄養士は、調理、提供と購買について管理しており、2005年の4月以降は彼らの一部が全ての学校のために自治体に雇用されています。 栄養教諭は児童、校長、給食業者、自治体の間に立って活動します。 文部科学省はこの制度を学校と家庭及び地域社会における食育の大切な要と位置づけています。
学校給食における調理員はよく訓練されており、そこにはプロの調理長が存在します。 自治体直営の調理部門は自治体における資格条件があり、全てのスタッフのために人材育成プランが整っています。 日本の全て学校調理スタッフのうち63%がレベル3の資格を保有しています。 各自治体の調理員も規定に基づき献立やアイデアを見直します。 学校栄養士は学校単位というよりも自治体の権限者として彼らとともに業務にあたっています。
良い食生活や、食材、調理技術に関する必要な能力については、学校の授業の中に組込まれています。 その基礎となる授業は「家庭科」と呼ばれ、12歳以上の全児童が対象となっています。 この科目には、栄養学、買い物の仕方、家計簿のつけ方が含まれています。 児童・生徒たちは適切な食品グループの中から食材をバランスよく選び献立を考え組み立てます。 彼らはゆで卵、オムレツ、炒め物などの生活の基本的なレシピを習います。 調理技術としては、蒸す、茹でる、グリルする、炒める、ローストすることも体験します。 これらの実習は、裁縫や電気配線などと同様に実生活のための基本的なパスポートとなります。 小さな子供たちの場合は教師や保護者と一緒に小規模の調理実習を行い、餅をついたり、スィートポテトや、豆腐料理などを作ります。
■視察の結果と成果
日本には3万5千校、1100万人の学齢期の子供がいます。 日本の学校給食制度の一環として全体の93.3%が学校給食を食べています。 その内訳は次のとおりです。
・小学校の完全給食実施率99.3%。700万人強
・中学校の完全給食実施率82.2% 300万人弱
・特殊教育諸学校の給食実施率90.6% 9万人強
・夜間定時制高等学校の給食実施率64% 6万1千人弱
何れの給食においてもそれ自体が教育的な体験とし、教師も含めた集団で実施されています。
「無償給食」は、そういった制度自体がないので存在しません。 これは全ての子供たちに温かい食事を供給すべきだという理由からではありません。 各自治体では就学援助という形で学校にではなく、低所得者層の保護者に直接給食費を支給しているのです。 その資金によって保護者が責任をもって行動することと、子供たちの潜在的な可能性を保障するためという考え方から行われています。 日本の自治体は、貧困な地域の状況を注意深く観察することができます。 文部科学省と各校の校長は、保護者が子供たちにとって様々な最善の決定を行うために保護者を啓蒙しする責任を負っています。 要するに、彼らはその就学援助を以って保護者の責任ある行動を信じているのです。
■持続可能性
日本の学校給食制度において、給食にかかる費用は全て地域が負担しています。 保護者は、食材費として1食90ペンス(約207円)を支払い、残りの経費は各自治体が負担します。 これを英国に置き換えた場合、1.5ポンド(約339円)から1.65ポンド(約374)に相当します。
文部科学省には今後3年間にわたり地域教育行政の活性化プログラムを実施します。 文部科学省は、家庭教育が安全で健康的で活発な子供たちを育む出発点であると位置づけます。 英国で行われている「Every Child Matters」とそれほど大きな違いはありませんが、唯一の差異をあげるとすると、日本における政府から自治体へのコミュニケーション・ルートと地域レベルにおけるコミュニティグループが極めてより明確であり強いという点です。
2005年度教育白書の英語翻訳版を読むと、若年層について「国際社会の中で活躍できる心豊かでたくましい人づくり」を目指し、また日本が持続的に発展を遂げていくためには、国家百年の計に立ち「教育・文化立国」の実現を目指すと書かれています。 そして「食」と「健康」が文書の1ページ目にリストアップされていることからもわかるとおり教育改革へのアプローチにおいて優先順位がた高いかがわかります。
日本は子供への責任に尻込みしていません。 それを挑戦として認識し、有効的な方針をそこで働く人々と思慮深く共有しているのです。
■学習体験
日本人には、昼食時間は家庭生活の延長であるという認識があります。 食材は旬のものや、地場産物が取り入れられています。 現在、学校給食で使われている食材のうち38%が各学校から近い距離から届けられており、政府は将来的には50%まで高めるとしています。 彼らはそのような活動を実施することにより、若者たちが食品がどこから来るのかを認識し、また家庭での食育を支援することになると考えて、提供しているのです。
英国と同じように、日本人も適切な食生活によって初めて健康的な生活が得られると信じています。 日本の教育では「運動」も同じように重要とされています。 但し「睡眠」があってこそです。 日本の学校における方針としてしばしば「早寝早起き」が奨励されます。 私が訪問した学校でもこの「早寝早起き」を具体的に奨励していました。 2006年には文部科学省が「早寝、早起き、朝ごはん」と名づけられたキャンペーンを展開しています。
えーと。 ハリーポッターの最新作の和訳版が出るのが原書発売から1年と言われていますが、ドニがこのレポートの存在を知ってから今日まで約1ヶ月かかりましたw。 ぬぅ・・・。 ひとえに英語力がなくて・・・。 やる気というか、暑かったり仕事が忙しかったりしてゴニョゴニョ・・・。
さて。 この日本の学校給食を視察しにきたロバート・リース氏をご存知ですか? 英国の有名なシェフです。 カタカナで書くとセテブリティ・シェフ。 The Cotswold Chefです。 日本にもイベント(Foodex 2007)のために英国食品協会から派遣され英国の食材や料理を紹介していたりします。 本も出しています。 彼のレシピも日本語で紹介されています。 あ、日本語のプロフィールもあった。
彼は英国の学校給食改革のときに設立されたSchool Food Trustの委員として英国の学校給食を良くするために日本の給食を視察しにきました。
それにしてもこの持ち上げようはなんなんでしょうw。 どんだけ文部科学省から接待されました? すいません、そんなことないですね。 はい。
文部科学省の中のヒトがかなり熱いブリーフィングしてくれたのでございましょう。 それにしても英国の料理人が日本の「教育白書」を読んでいるとは・・・。 負けちゃいられませんな。 ドニももっと勉強しなくちゃ。 でも、もう和訳は限界ですw。 日本だって教育白書の英語版がネットで読めるんだから英国だって和訳したの用意してくれたっていいジャマイカ。 まして「早寝早起き朝ごはん」という国家戦略が知られてしまうってどうよw。
英国人の学校給食のキーマンが見た日本の学校給食に関するレポートなんてのはけっこう珍しいのではないでしょうか。 しかも、最近のものですしね。 日本の今時の食育を見ることを目的として出張にくるのも初めてじゃない?
興味深いのは「無償給食」制度の話。 英国では低所得者層の保護者のために無償給食制度があります。 日本にも給食費を肩代わりしてくれる制度がありますが、英国の場合、自治体が学校給食業者に対して払うので保護者はスルーです。
ロブは日本の就学援助の制度を聞いて「親を信じているんだ・・・。」と驚いています。 すなわち英国では、親がその金を別の用途に使ってしまうことを懸念して直接給食費を給食業者に渡しているということです。
実は英国では「無償給食」制度によるイジメが問題になっていたりします。 基本的にキャッシュ・オン・デリバリー(COD)なので、毎日、一食分の給食費を支払うシーンが発生します。 払える子はキャッシャーで、お金を取り出して払います。 払えない子は払いません。 そこで、「払っていない子」がわかるのです。
だから、払えない子は外に行って安いジャンクフードを食べたり、食べなかったりします。 家庭でも与えるべき食事がない子供にこそ温かい学校給食を食べて欲しいものですが、それができていないのです。
一部の学校では親が指定口座にデポジットを払っておいて子供の指紋認証によって引き落とされるというシステムも導入されつつあります。 子供が現金を支払うという行為をなくすためです。 対外的には子供が現金をなくさないように・外でジャンクフードを買ってしまわないようにというのが目的ですが、無償給食の子供とわからないようにするためという目的もあります。
ロブはこのSFTとは別に、この日本の学校給食視察の報告書を寄稿しており、日本の就学援助制度における給食費の支給方法について報告書の最後に
Could we do the same here?
と、締めくくっています。そのレポートについては別の機会に紹介します。 だって今回のレポートよりかなり長いのです。
彼が受けたブリーフィングの中に給食費未納問題が含まれていたかどうか知りませんが、たぶん、日本人自身も今まさに親の責任ある行動が問われているような気がします。 くれぐれもパチンコ代にしないようにおながいします。
追記: いまどきの全国の自治体の就学援助の給食費の支給方法を調べてみたら、自治体→親からの委任に基づき学校長の口座→給食センターor学校給食会というパターンが多いようです。





