「経済植民地化が進んでる」と安田節子氏 5.11TPP抗議行動

 環太平洋連携協定(TPP)への抗議行動が11日夜、東京都千代田区の衆院第二議員会館前で展開され、食政策センタービジョン21主宰の安田節子氏が「米国による経済植民地化が確実に進んでいる」と報告し、「これを変えるには選挙で勝つしかない」と訴えた。

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「これを進めていけば、子供たちに手渡すまっとうな日本を残すことができない」と安田氏(右、2016.5.11筆者撮影)

 「TPPを批准させない5.11院内集会」の後開かれた抗議集会には、約200人の市民が集まった。呼び掛け人の山田正彦元農水相や3人の国会議員らとともに演説した安田氏は、TPP批准を待たずに国内法の整備が進んでいる現状を説明した。

 安田氏は、大島理森(おおしま・ただもり)衆院議長が4月29日渡米して下院議長に「秋の国会で結論を出す」と伝えたことを取り上げ、「TPPの本質が米国の意向に沿うためのものであることを表している」と提起した。

 現在、食の安全を守るための規制緩和が猛烈な勢いで進んでいて、農薬の基準が世界的に見ても極めて野放図な水準に緩められている上、食品添加物もさらに100品目を承認する作業に入っていることを紹介。TPPに言及した。

 「TPPには、これまでの自由貿易協定にない遺伝子組み換え食品に関する条項が入っている。まさに米国の多国籍企業、モンサント社などの食品を日本にさらに押し込むためのもの」と指摘。TPP批准により「遺伝子組み換え作物の国内生産が始まる」と警告した。

 「企業が農地を所有し、外資が農業をやっていく仕組みが内側から作られている。農家の隣で遺伝子組み換え作物を作っていて、日本の農家の畑に遺伝子が飛べば、特許侵害でTPPの知的所有権強化の条項が応用されて日本の農家が餌食になる」

 その上で、「国家戦略特区や規制改革会議など、あらゆる方向から日本を米国の都合のいいように経済的に取り込んでいく経済植民地化が確実に進んでいる。これを変えるには、政治に働き掛けるしかない。選挙で勝つしかない」と訴えた。

 今国会でTPP批准がなくなったことを受け、毎週水曜日の抗議行動は一旦中断する。同委員会はTPPを夏の参院選の争点にし、秋の臨時国会で廃案に持ち込みたい考えだ。

■参考サイト
#安田節子ドットコム
■参考記事
野党各党と市民が「安倍政権打倒」で気勢 オールジャパン平和と共生

「民進党は政権奪取の気概ない」と亀井氏 民衆の行動促す

 亀井静香衆院議員が7日、「さくらの木」構想に乗らなかった今の民進党について「政権奪取の気概がない」と酷評するとともに、安倍政権を倒すには民衆が民進党本部に抗議するなどの行動が必要との考えを示した。市民団体の集会で述べた。

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「歴史は一人ひとりにかかっている」と参加者に訴える亀井氏(2016.5.7筆者撮影)

 亀井氏は露木順一日大教授との対談に出席。4月に行われた衆院北海道5区補選の敗戦理由を尋ねられた亀井氏は、「今の民進党執行部がアホだから」と即答。公職選挙法上の「確認団体」を設立して民間人代表の下に結束する「さくらの木」構想をやれば勝っていたとの見方をした。

 民進党の党内事情についても「残念なのは、民進党の執行部でない議員もいいポストに就きたいから、執行部に徹底的に迎合し、自分の意見を貫こうとしない。野党でいいポストについて、何をやるのか」とやゆした。

 亀井氏は、民進党の中堅・若手に政策立案能力のある優秀な議員が多いことを挙げた上で、「政治家は行動し、それを実現するのが仕事。学者とは違う。今の民進党は昔の社会党と似ている。政権奪取の気概がない」と突き放した。

 安倍内閣の支持率が依然高い理由について「体の悪い安倍総理が世界中を飛び回って、死に者狂いにやっていることが国民の胸を打っている。それに比べ、野党には国民の心を打つものがない。だから、皆さんが一生懸命運動をやられても、無党派層は付いて来ない」と分析。

 状況を打開する方法として亀井氏は、「問題は皆さんの考え方。民進党の議員をねじ伏せてでも、ちゃんとやらせる努力をしなければ。今の執行部のやってることはけしからんと、党本部に押し掛ければいい」と行動を促した。

 さらに亀井氏は「国会前デモをするのもいいが、それだけではマスコミは取り上げない。面会を求めて本部に押し掛け、機動隊が出るまでやればいい。(刑務所に)ぶち込まれても。昔はそこまでやってた」と挑発。

 「暴れれば記事になる。誰がやるのか。皆さんがやるしかない。宇宙人が来てやってくれるのか。今、地球は文明の反逆を受けている。今決起しなければ、人類に未来はない」と鼓舞した。

【書評】『「ゆうちょマネー」はどこへ消えたか』菊池英博/稲村公望(彩流社)

 旧東京銀行出身の経済学者、菊池氏と旧日本郵政公社理事の稲村氏との新著。副題に「“格差”を生んだ郵政民営化の真実」と付されている。郵政民営化の反国民性を菊池氏は鋭い分析力から、稲村氏は実体験から告発する。

 構成は第1部が菊池氏、第2部が稲村氏の論文で、巻末に両氏の対談と日本郵政社長への提言が収められている。貫かれているのは、民営化の背景にある新自由主義への猛烈な批判である。


小泉改革に群がった利権屋たち
 菊池氏は新自由主義者の合い言葉を「破壊せよ、そこに利権がある」と断ずる。「彼らはレント・シーカーと呼ばれ(レントは政治的手段などで得る利権)、ポストを求める政治家、新たな商権や利益を狙う経済人、政権におもねる御用学者などが含まれる」。

 小泉構造改革以降見られるレント・シーカーたちの事例として、UFJ銀行つぶしと日本振興銀行への免許交付、首切りで潤うパソナを挙げている。

 UFJ銀行は04年、竹中平蔵氏が担当相を務めていた金融庁が資本不足に追い込もうとした。外資に譲渡する方針だったと伝えられ、創られた「行政リスク」を回避するため、同行は東京三菱に逃げ込んだ(このあたりの事情は菊池氏の07年著『実感なき景気回復に潜む金融恐慌の罠』に詳しい)。

 日本振興銀行は04年の開業からわずか6年5カ月で経営破綻し、戦後初のぺイオフが適用された。民主党・国民新党の連立政権下、菊池氏もメンバーに名を連ねる検証委員会が「妥当性を欠く不当な銀行免許」との報告書を提出した。

 しかし、竹中氏と、副担当大臣で後に大臣となる伊藤達也の責任は不問に付された。ペイオフに伴う預金保険機構の負担3500億円は金融機関の経費であり、最終的には預金金利の低下として国民の負担となっている。

 人材派遣会社、パソナはリストラを容易にした04年の労基法改正で躍進した。改正を促進したのが小泉内閣の閣僚だった竹中氏。パソナグループの会長を務める。最近ではグループ内に「日本雇用創出機構」という会社を設置。出資各社はこの「追い出し部屋」に人材を出向させてパソナの紹介を待っているという。

資産運用の転換で地方は停滞
 本題の郵政だが、菊池氏によれば「郵便局を通じて郵貯と簡保で集められたマネーは中央政府に集中され、中央政府が発行する国債の購入資金と財政投融資の原資として運用されてきた」。オリンピック不況からは建設国債も加わり、地方交付税と補助金も相まって、中央に集まった資金が地方に流れる好循環が実現していたのである。

 小泉内閣の頃、「郵貯は財投を通じて無用な特殊法人の原資になっているから民営化しなければ」という声をよく聞いた。しかし、01年4月、すでに旧大蔵省資金運用部に代わって財政投融資資金特別会計が財投債を一括発行する仕組みに変わっている。

 財投を批判したのは、米国である。日本の経済力の源泉と気付いたからである。同時に、対外債務国に転落した米国は、自国の国債の安定購入先として「ゆうちょマネー」に目を付けたのだった。これが『年次改革要望書』に明記した真意であると指摘する。

 日本国債の保有者は、郵貯と簡保を合わせた「ゆうちょマネー」で33%を占める。民営化でこの資金が海外に流れると、国債が売られ、長期金利の上昇となって日本経済に大打撃を与える。

 一方、米国債の海外保有者持ち分約2兆ドルのうち、約40%が日本。これを100%にすることを狙っていると、菊池氏はかねて指摘していた。

 不思議なことに、米国側の狙いに日本郵政幹部は応えようとしている。15年6月、日本のシティバンク銀行の前会長である長門正貢氏がゆうちょ銀行の社長に就任した。長門氏は資金の運用収益を上げるため、投資先を日本国債から株と米国債へ移す方針を示している。

 ゆうちょ銀行の資金量額は15年末で208兆円。うち107兆円が日本国債、32兆円が外国証券(米国債)で運用されている。後者の32兆円を60兆円に増やすとしており、日本国債への投資は28兆円減ることを意味する。そうなれば、日本国民は自国の金を自分たちのために使えなくなり、地域経済の停滞が進むのは必定だ。

 日本郵政株売り出しの主幹事11社の過半数が外資系証券会社なのは、安倍政権が国富を米国に差し出す姿勢の証左と指摘する。持ち株会社と金融2社の「親子同時上場」は明らかな利益相反だが、問題にするマスメディアもない。

永久占領体制に克つ人材育成を
 稲村論文は郵政を軸に据えながら、歴史や外交、メディアの問題など自在に往来し、さながら『黒潮文明論』の政治・経済版といったところか。特に筆に力を入れているのは、民営化の過程で露出した巨大な不正疑惑である。

 09年の政権交代で小泉・竹中の描いた郵政民営化が一旦止まった。菅内閣発足直前に発表された「日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会」の報告書で、かんぽの宿をはじめとする国民財産の私物化の動きが明らかになった。稲村氏は次のように記す。

 「そこでは郵政民営化の個別事案の検証結果の概要を、不動産関係、JPEX事案、クレジット事案、責任代理店事業、ザ・アール事案、西川社長時代の日本郵政の経営体制についてまとめている。しかし、それに対する責任追及は影を潜めてしまって全く放置された」

 郷原委員長は中間報告で、「何か問題があったことについて、責任追及を目的としているものではない」と明言し、刑事告発の材料にしないことを断っていた。振興銀の報告書同様、ハイエナ勢力の逮捕に使わなかったことが、小泉民営化の進展を許している。

 日本トラスティ・サービス信託株式会社を介した疑わしいお金の流れにも触れている。亀井党首を裏切り晩節を汚した自見庄三郎参院議員が09年2月に質問しているが、同社は旧郵政公社の130兆円に上る債権の管理業務を引き受けていながら、オリックスの筆頭株主になっている。しかも、オ社株は半年もたたない間に、9分の1まで落ち込んでいた。この大問題を取り上げた新聞はない。

 それにしてもなぜ、わが国の政治家や官僚は誰も彼も外圧になびくのか。稲村氏は海外留学では必ずしも「日本の国際派」は育てられないとして、次のように訴える。

 「『我こそは日本の国際派である!』と真っ先に名乗りをあげそうな外国勢力の案内人がいるが、日本の国際派とは、祖国日本に対する理解に根差した国際教養を持つ人物のことなのだ。新自由主義を鵜呑みにして、アメリカの一部勢力の手先となるような人物は失格である」

 その上で、「国際教養や独自の教育機関こそ、対米自立、つまり『永久占領体制の克服』の鍵」と説く。外務省に出向し、各国大使館に勤務した経験を持つ稲村氏からすると、郵政民営化は日本の指導層の敗北と映ったに違いない。

東芝不正事件と西室前社長の闇
 日本郵政社長への進言は、豪州の大手物流会社(トール社)の売却や郵政3社株式の追加売却の停止など4項目からなる。とりわけ目に留まったのは、4つ目の「日本国債から外債(米国債)と株」への投資先転換をやめるべしとの項目である。転換した場合、マイナス金利導入による「ゆうちょ銀行」の損失は年間60億円と試算。余剰資金は日銀保有分の日本国債買取に充てるのが賢明と主張する。

 長門社長は4月に持ち株会社、日本郵政の社長に昇格している。本当に日本のことを考えているなら、ぜひ提言を実行してもらいたい。

 本筋でないが重要な情報もあった。西室泰三前日本郵政社長は東芝社長時代に米国の重電機メーカー、ウェステイングハウスを約6000億円で買収した。菊池氏によれば、このうち約4000億円が「のれん代」とのこと。東芝の収益状況が厳しくなり、不正経理に走る一因になった。

 稲村氏によれば、東芝が粉飾決算を行っていた時期は、西室氏が東京証券取引所会長を務めていた時期と重なる。郵政民営化委員会の委員長も務めていたので、郵政持ち株会社の社長を務めるのは、明確な利益相反ではないか。

 ちなみに、日本郵政が6200億円で買収したトール社は、3000億円が「のれん代」だった。

 メディアの闇についても、対談は触れている。小泉純一郎氏が「税金の無駄遣い」と郵政民営化を説く街頭演説が全国のお茶の間に流れた。しかし、郵政3事業に税金は1円も使われていない。稲村氏がNHKに訂正を求めたが、一度も直さなかったという。

 さらに稲村氏は何度も全国紙に取材を受けたにもかかわらず、1行も載ったことがない。これは私が国民新党で毎週見てきた光景である。記者は無自覚にスパイ役を務めているというのが私の確信である。取材メモは、官邸とCIAに渡っているとみる。

信念を貫く男の生きざま
 同書は「ミスター郵便局」と呼ばれる稲村氏がどうしても書かなければならなかった本である。奄美諸島の郵便局の宿直室で生まれ、民営化に抗議して職を辞した。その思いが「まえがき」に表れている。

 数年前、稲村氏が小樽郵便局を訪ねた際、局長室に郵政創業者、前島密氏の額が掲げられていた。「清廉規志」と書かれている。民営化時に廃棄を命じられたが、関係者が秘匿して難を逃れたもの。『郵政百年史資料』も廃棄処分となったと聞く。

 稲村氏は「新自由主義の手法は、歴史と伝統の記憶を抹殺しようとすることが特徴」と悟り、次のように続けている。

 「郵政とは、郵の字の示すように垂水の邦の政事と心得ていただけに、地方をないがしろにして格差拡大を黙認する新自由主義の郵政民営化に抵抗することは、運命として受け止めざるを得なかった」

 同書を通し、わが国が直面している重要問題を知るだけなく、信念を貫く男の人生を見てほしい。

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監視者としてのマスコミ記者


「ゆうちょマネー」はどこへ消えたか [ 菊池英博 ]
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感謝

 4月7日KN様、4月25日SR様、ご支援ありがとうございました。
 励みになります。

「安倍総理は反省し、出直ししなければ」と亀井氏

 亀井静香衆院議員は27日、現在のわが国を「黒船が押し寄せている」と形容し、従米路線を強める安倍政権について「深く反省し、原点に立ち戻り、出直ししなければ」と政策変更を求めた。東京都内で開かれた、保守系言論誌『月刊日本』の創刊20周年パーティーで述べた。

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祖国日本の自主独立を追求する唯一の現職政治家、亀井氏(2016.4.27筆者撮影)

 冒頭、来賓の一番手として登壇した亀井氏は、同誌の南丘喜八郎主幹を「平成の頭山満」と持ち上げた。安全保障法制の整備や環太平洋連携協定、緊急事態法を盛り込む憲法改正など外圧に沿うだけの政権運営を念頭に「今、米国や諸外国の黒船が日本に押し寄せて来ている」と表現。

 「国権派と称する人が愛国者のお面をかぶって、靖国の社も占拠したまま、天皇陛下を中心にみんなで力を合わせてこの国を守り、みんなで幸せになろうという日本人の心はどこへ行った」と国民を犠牲にする与党政治家や官僚を批判した。

 一方で「民権派は国民一人ひとりの権利が守れなくて、国家による統制が強まっていくことに抵抗しない。残念ながら、民権派の力が非常に弱くなってしまっている状況」と分析した。

 弟分だった安倍首相について「こんな政治をやる男じゃなかった。おじいさん(岸信介)は東条英機総理に徹底的に抵抗した数少ない政治家じゃなかったか。お父さんの(安倍)晋太郎氏は大変な自由人で、私もかわいがってもらった」と吐露。

 亀井氏は首相本人にも忠告した話として「今の安倍総理は深く反省し、原点に立ち戻り、出直ししなければ、先祖にも申し訳が立たないだろう」と政治路線の転換を求めた。

 その上で、「われわれ民権派にとって『月刊日本』はただ1つの戦いの拠点」と結んだ。
 
 右翼と左翼の呼称がなかった明治時代、政府首脳を「国権派」、自由民権主義者を「民権派」と呼んだ。右翼の巨頭、頭山満は薩長藩閥中心の政府に敵対しながら民権派とも交流を持っていた。

 靖国神社はもともと、戊辰戦争の薩長側犠牲者を祭るために造られた。長州藩士、大村益次郎の銅像は、幕府の彰義隊のいた上野の山々をにらみつけている。

■参考サイト
『月刊日本』ホームページ

スティグリッツ氏はアベノミクス・TPP全否定 藤田議員が暴露

 3月16日に首相官邸で開かれた国際金融経済分析会合で消費増税延期を提言したノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ教授がアベノミクスとTPPを全否定していたことが分かった。21日、衆院第2議員会館内で開かれた「TPPを批准させない4.21院内集会」で民進党の藤田幸久参院議員が暴露した。

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院内集会で報告する藤田氏(2016.4.21筆者撮影)

 消費税引き上げをめぐるスティグリッツ氏の発言はマスコミで一斉に報じられ、緊急事態法を盛り込む憲法改正のための衆院解散の口実に使われつつある。氏のTPP批判は東京新聞と日本農業新聞が報じ、篠原孝衆院議員(民主)が紹介しているが、その背景が改めて明らかになった。

 藤田氏によれば、スティグリッツ氏の来日は「TPP阻止国民会議」で講演するため。同会議代表世話人を務めた故宇沢弘文東大教授はシカゴ大学時代の恩師で、一周忌に当たった。官邸での会合と旧民主党の「シンクネット・センター21」への招へいは便乗にすぎない。

 藤田氏は「スティグリッツ教授が内閣府に提出した資料では、アベノミクスを全否定していた。金融はうまくいってない、マイナス金利は格差を拡大する。消費税より炭素税をとの主張だった」と報告した。

 さらに3月17日の記念講演でスティグリッツ氏は「特にこれを話したい」と言って、TPPの問題を取り上げたという。次はその一部である。

 「自由貿易協定批准書なら3ページくらいで済む話。6000ページもある文書を読んだ人は誰もいないだろう」

 「これは自由貿易協定でなく管理貿易協定。特定の利益団体が恩恵を受けるために発効されるもの」

 「TPPは悪い貿易協定。国際企業の最悪な利己性が強調されている。米国議会では批准されないだろう」

 マスコミは国民に目隠しをしたまま、TPP批准のため安倍政権に力を貸す。労働法制の改正をはじめとする「第3の矢」はその国内法としての準備にすぎない。「財政危機」の宣伝とマイナス金利とあいまって国民は貧しくなる一方だ。

TPP「継続審議でなく廃案に」、4.20抗議行動

 環太平洋連携協定(TPP)の批准阻止に向けた抗議行動が20日夕、東京・千代田区の衆院第二議員会館前で開かれ、畠山和也(はたやま・かずや)衆院議員(共産)らが「継続審議ではなく、廃案に」と訴えた。

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日暮れとともに議員会館前に集まった市民(2016.4.20筆者撮影)

 抗議行動は同会館内での野党議員と市民との情報交換会の後、18時半から開かれた。この日は午前中、衆院特別委員会でTPP承認案と関連法案が審議されていた。

 冒頭、集まった約200人の市民が会館内に残る国会議員に向け、「TPPの批准はさせない」「TPPを日本に入れない」などとシュプレヒコールを上げた。

 あいさつに立ったアジア太平洋資料センターの内田聖子(うちだしょうこ)事務局長は、石原伸晃経済再生相の答弁拒否と西川公也委員長の不公正な議会運営による審議中断や、熊本地震を受けての延期と再開に触れ、「この1週間の国会対応は本当にひどい」と政府・与党を批判した。

 内田氏は「重要5品目」をめぐる19日の質疑に言及。「玉木雄一郎(民進)議員が『無傷だった品目は幾つか』と尋ねると、石原大臣は答えられないし、森山農水大臣も答えられず審議が止まった。何時間もたって『ありません』とは、ふざけるなと言いたい」と怒りをあらわにした。

 その上で、「これはもともと分かっていたこと。改めて国民の前に明らかにしたことで、(重要品目を除外または再協議の対象とするとした)国会決議違反であることがこれまで以上に明白になった」と強調した。

 畠山氏は2011年の東日本大震災のときの国会運営を振り返り、「あのときは与野党の情報交換の場を設け、困難を解決するため力を合わせた。熊本から大分に至るまで大きな地震が続発し、震災対応を優先すべきなのに月曜日に再開した」と政府・与党の対応を問題視。

 「ところが、開いたら答弁できない。『守られたものは無かった』と告白される始末。私の方からは7年後の再協議規定について質問したが、これは関税がゼロになることとセット、つまり引き換えのようにこの規定が置かれたことを石原大臣が認めた」と指摘した。

 さらに畠山氏は「4日間しか審議してないのに、国会決議が守られなかったことがはっきりした。情報公開でも、出てきたのは黒塗りの資料や西川委員長の暴露本の問題。国会に対して、あまりに不誠実。この法案は継続審議ではなく、廃案にすべき」と主張した。

 「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」の池住義憲(いけずみ・よしのり)副代表は、「TPPはやり方も中身も違憲。今、批准に向けた審議を国会でやっているが、議員をばかにし、有権者を無視したもの。データも出さないで審議しろと、とんでもないことがまかり通っている。先送りではなく、即時廃止を」と訴えた。

 主催者によれば、TPP批准阻止に向けた抗議行動は今後、毎週水曜日同刻同場所で開く予定。

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「4月中の可決成立は厳しいと報じられるが、気を抜いてはいけない」と内田氏(2016.4.20筆者撮影)

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「輿論(よろん)と論戦の力で廃案に」と訴える畠山氏(2016.4.20筆者撮影)

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自衛隊イラク派兵差止訴訟控訴審でも勝訴した池住氏。「TPPでも司法の判断を仰ぎたい」(2016.4.20筆者撮影)

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TPP参加拒否と審議への不信を意志表示する市民(2016.4.20筆者撮影)

傍聴妨害工作

 「TPP交渉差止・違憲訴訟」の第四回口頭弁論が十一日、東京地裁で開かれた。私は一連の裁判で、初めて傍聴券を逃した。覚悟していたことだが、考えるほど憂鬱(ゆううつ)になる。

 門前集会の後、「TPPテキスト分析チーム」に細かい質問をしていたため、整理券をもらうのが遅れた。列の最後尾に付くと、隣に中年男性が並んでいる。沈黙の気まずさから、声を掛けた。

 「一人で来たんですか」
 「一人に来まってんじゃないか」

 聞かなければよかった。すると、その赤ら顔の男が尋ねてくる。

 「何番」
 「百一番です」

 男性と話していると、すぐ後ろに長身の男が立っているのに気付く。リュックを背負った、学者風情の男である。年は四十代か。

 「あんた、ライターか。どういう裁判取材してんの」

 私が適当に答えると、学者風情は世界情勢を論じたA4判の論考を差し出す。

 「それでは抽選を始めます」

 アナウンスがあり、全員前へ進む。中年男は当たり、私と学者風情は外れた。学者風情は、すぐに消えた。仕方なく、衆議院第一議員会館内で開かれる勉強会に向かう。歩きながら、余計なことを考えた。

 〈読者の期待を背負った私が外れるのはおかしい〉

 先ほどの二人の男を疑い始める。番号を聞いてきた中年男は、向こうから話し掛けてきたのではなかったか。学者風情は、なぜ私の活動内容を聞いたのか。きりのないことを考えるのは、九年前の植草一秀教授の刑事裁判で不可解なことを経験したからである。

 二〇〇七年十二月から始まった京急事件の公判は、判決を含め十二回開かれた。われわれは緩やかな支援者集団をつくり、毎回十人程度で傍聴整理券を得ようと並んだ。しかし、二回だけ誰も入れない回があった。

 一回目は植草氏の性的志向を追及する検察側質問、二回目は弁護側目撃証言。両翌日の新聞各紙は「セーラー服痴漢プレイは?」「役立つ証言出ず」などと植草氏の変態ぶりをあげつらったり、同じ車両に乗り合わせたと名乗り出た目撃者の証言の無効性を宣伝した。

 後に、これらは事実に反することが判明している。特に後者は起訴状にある犯行時間帯に植草被告が誰とも接触しないでつり革につかまってうなだれていたことを証す、決定的に重要な回だった。

 一回目は抽選を待つ間、黒背広に白シャツ、短髪でノーネクタイの屈強な男たちが壁際にずらりと並び、こちらを観察していた。公安であることが疑われたため、二回目は分散して並んだ。

 「それでは受付を締め切らせていただきます。これから電子抽選で傍聴者を選びますので、しばらくお待ちください」

 アナウンスが流れると、斜め後ろの二人の携帯が同時に鳴る。振り返ると、男たちが整理券を見ながら何やら入力している。「よしっ」と言いつつ携帯をパチャと閉じた。メールをしたようだ。二人は先回壁際にいた連中と同じ格好をしている。列が動き出して発表掲示板の前に来ると、彼らは当たったようなしぐさをして建物内に消えた。

 二つの回で支援者が誰一人入れない確率は、ほとんどゼロである。裁判所は正義と公正を示す所だが、傍聴手続きにおいてすら、不正を行っているとみなさざるを得ない。

 今回、TPP違憲訴訟の抽選を待った光景が気持ち悪く思われてきた。赤ら顔の男も学者風情の男も、公安かもしれない。ぶっきらぼうに話せば、詮索されずに済む。学者風情が手にしていたビラは安倍政権の安保政策を批判しているが、高校生でも作れる代物だ。

 確率からすれば、外れたのは妥当な結果である。たった一人で、推定競争率二倍の抽選に臨んだのだから。それに、公安があのような貧しそうな汚れた風貌をしているだろうか。考えるほど分からなくなる。

 少なくとも言えるのは、出来事には意味があるということ。では、今回の外れはどんな意味を持つのか。議員会館に着くと、一つの回答が浮かんだ。植草事件の公判で見た不可解な光景を伝えることではないか、と。

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