ニュース研究 「ポケモンGO」報道の目的

 スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」の配信が始まったことを伝えるニュースが大量に流されている。この宣伝(プロパガンダ)の目的は文字通り、同アプリの普及宣伝であると解する。ただし、その意味は深い。

 22日に日本での配信が始まり、マスコミ各社はトップニュースで伝えた。トラブルを紹介したり安全喚起を呼び掛けるものもあったが、見出しと報道の主眼は「ポケモンGO大騒ぎ」「経済効果にワクワク」などと、このゲームの発売を好意的に伝えるものである。

 経済効果としては、アプリ会社と提携した日本マクドナルドがゲームを有利に進めるアイテム(道具)を置いたり、対戦を楽しめるなどして集客に期待を寄せたり、離島や四国霊場88カ所などへの観光客誘致につながると自民党IT戦略特命委員長が発言したり、「店内にポケモンがいます」などと客寄せする米国の飲食店の事例を紹介している。

 しかし、仮に効果があったところで、提携してない店やポケモンのいない所はどうなるのか。ゼロサムゲームで、客が減るだけである。

 一連の報道でマスコミが問題にしたことは何か。23日付の毎日新聞は一面の副見出しに「日本配信 世界で障害」を掲げ、「配信とゲーム参加が集中したため、この日夕方から世界各地でゲームが起動できなくなるなどのトラブルも一時発生した」と報じている。ゲームできなくなることがそんなに問題なのか。

 トラブルとしてはほかに、シャープ製のスマホでアプリがダウンロードできなくなったことや、熊本地震の被災地の立ち入り禁止区域に人が入った事例を取り上げ、歩きスマホなど安全面も課題だと指摘したもの、電池切れや熱中症に注意を喚起するものがあった。

 歩きスマホの問題に関する扱いは小さく、その他は全て、些末な問題である。一民間企業が発売したゲームが円滑に使えなくなることに、なぜNHKからスポーツ紙まで心配するのか。そもそも、このアプリは無料である。しかも、一部インターネット接続サービス会社は、「ポケモンGO」のデータ通信料を無料にすると発表した。このゲームの特徴は仮想現実と現実を混同させることにあり、普及の目的は異星由来のけだものへの抵抗感を払しょくすることと確信する。

 現在、銀河系の中心から高い振動数の電波的鼓動(パルス)が送られるようになってきていて、太陽系に変化を与え始めている。振動数の変化が進めば、人間にシェイプシフト(形態変化)していた爬虫類人(レプティリアン)が身を隠せなくなる。皆さんは信じられないかもしれないが、われわれの目の前に、グロテスクな生き物が、次々と現れるのである。

 地球を支配しているのは彼らで、ロスチャイルド家やロックフェラー家などの金融資本家たちは、彼らの血を一部受け継ぐ者たちである。ジョージ・ブッシュやメキシコ大統領だったミゲル・デラ・マドリードは、それぞれカメレオンやイグアナに変身したとの証言がある。

 東洋には龍や有翼の爬虫類の伝説が各地に伝わる。西洋にはドラキュラ伝説があり、東洋のカラス天狗そっくりだ。日本にはカッパの言い伝えが全国的にあり、娘が毎夜家を出るので後をつけたら、ヘビと逢い引きしていたとの民話が各地に残る。娘が懐妊していたので、菖蒲(しょうぶ)湯に入れると、無数のヘビの子が出て来たとのたぐいである。電波やフッ素など化学物質などによって、見えなくさせられているだけではないか。人間の想像力など、それほど豊かではない。

 グロテスクな動物に親和性を持たせるアニメや映画は、ハリウッドにあふれている。『バーニー』や『忍者タートル』、『ダイナウォーズ』など。テディベアに命を吹き込んだ『テッド』もそうだ。『テッド2』ではクマのぬいぐるみが市民権を勝ち取るため、同情を誘うプロパガンダとなっている。

 わが国でも、ゆるキャラが各地に定着しているし、かわいくもない青い生物のぬいぐるみがCMに大繁殖している。青い生き物は、古代シュメールに降り立った異星人の血統「ブルーブラッド」を暗示する。悪魔的演出をするきゃりーぱみゅぱみゅの登場や「モンスター」という語句の商品・作品名への多用は、爬虫類人に対する強引な中和宣伝にすぎない。

 1997年にテレビ東京放送のアニメ『ポケットモンスター』が光過敏性発作を引き起こす事件があったが、これは光線点滅兵器の実験だったと解す。「モンスター」と名が付くものには近付かないことだ。潜在意識に邪悪な攻撃を受けるのは必定である。

 アニメをわが国のソフトパワーにしようと説く麻生太郎財務相は、「引きこもりが外に出ていい」と同ソフトの登場を歓迎している。しかし、任天堂は日本の会社ではない。しかも、開発したナイアンティック社は世界的監視企業グーグルが発祥だ。日本発のつもりでいると、お化け屋敷化の張本人にさせられる。

 「ポケモンGO」と提携しているのが日本マクドナルドというのは象徴的である。ロゴの「M」は悪魔の数字13を表し、これが回転する塔看板は人間を監視する宣言である。遺伝子組み換えコーンやポテト、薬漬けの家畜の肉を使ったハンバーガーを提供し、日本人を断種する。

 このゲーム普及について幾つかの懸念が伝えられた。その中に、立ち入り禁止区域をゲームの対象から外すよう申し入れた例が紹介されているが、なぜか在日米軍基地には出ない。歩行者との接触や住民トラブルの懸念もあるなら廃止すればいいが、「マナーを守って使おう」との扱いですまされる。これは民衆監視端末であるスマホ本体が「廃止」の議論にならないのと同じ理由である。スマホは各人のデータを取るために普及させられていて、最終的には盗難やなりすましを口実にICチップを頭に埋め込む算段になっている。

 「日本盲人会連合」などは歩きスマホのさらなる増殖に懸念を示しているが、これへの対策として、任天堂はスマホを見ていなくても振動で近くにポケモンがいることが分かる腕時計型周辺機器を発売する予定だという。「ポケモンGO」がなくなっては困る証左ではないか。発売3日目ですでに多くの事故が起きているようだが、発売禁止への動きは皆無である。

 ご承知とは思うが、同ソフトはスマホの画面を見ながら街中を歩き、GPS(全地球測位システム)の位置情報を使ってポケモンを捕まえるゲームである。しかし、こうした技術はけだものがもともと持っていて、自分たちの露出を正当化するために機を見て解禁したにすぎない。一方、われわれ人類は場所も個人も特定され、いざとなれば捕まる側にある。ミイラ取りがミイラになるとはこのことである。

 「ポケモンGO」はこの星の支配者筋であるグロテスクなけだものに親近感を刷り込むための邪悪な宣伝道具であり、その普及を広めるマスコミ報道を真に受けては、人類のさらなる家畜化を後押しするだけだろう。

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TPP違憲訴訟に黄色信号、次回で結審か=第5回口頭弁論

 環太平洋連携協定(TPP)の違憲確認などを求める「TPP交渉差止・違憲訴訟」の第5回口頭弁論が20日、東京地裁(松本利幸裁判長)で開かれた。医療と農業分野について原告本人の意見陳述が実現したが、11月14日に結審する可能性が高まった。

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門前集会に臨む原告団。冒頭、池住副代表(中央)は「市民、国会議員、みんなが力を合わせ、国会承認を阻止しよう」と呼び掛ける(2016.7.20筆者撮影)

 昨年5月に提訴された同訴訟は1582人が原告となり、。圍丕亢定の締結無効■圍丕亢定の違憲確認を求めている。今回の口頭弁論は傍聴希望者が98の傍聴席を下回り、初めて抽選が行われなかった。

 今回の攻防点は2つ。原告2人による意見陳述が認められるか、もう2回の弁論期日が認められるかである。前者は「各人2分」の陳述が認められた。

国民皆保険は破綻、GMが食卓に
 最初に、北海道がんセンターの西尾正道名誉院長が、医療が受ける被害について証言した。米タイム誌が2013年に報じた米国におけるロビー活動費を引用し、医療業界は5300億円と、防衛業界の4倍近くに上ることを指摘。

 「1985年から米国は日本の医薬品市場に自由化を要望している。日本は皆保険制度をつくり、中央社会保険医療協議会が医薬品の公定価格を決めてきた。TPPの批准が可決されれば透明性を盾にこれが不可能になる」と述べ、医療費の高騰によっていずれ国民皆保険が破綻すると訴えた。

 さらに西尾氏は医師の立場から、ネオニコチノイド系の農薬とADHD(注意欠陥・多動性障害)や自閉症など子供の発達障害への影響に触れ、「TPPでは他国の利害関係者を検討に参加させなければならず、日本で基準を作れない」と指摘した。

 遺伝子組み換え(GM)食品の氾濫を懸念した上で、「世界的な遺伝子組み換え企業の社員食堂では、GM食品を出さない。自分たちは食べないで、国民に売っている。大豆を家畜の餌と考える米国と違い、日本人はみそやしょうゆなど、大豆をたくさん取る。まともな食生活と健康を守る観点から、ぜひ司法でご判断を」と仰いだ。

農水官僚が殺人外資を手引き
 千葉県の農事組合法人「さんぶ野菜ネットワーク」の下山久信事務局長は、農業に与える影響について証言した。まず「農薬村」利権に触れ、モンサントやバイエル、シンジェンタ、ダウ・ケミカル(昨年12月にデュポンとの合併を発表)の日本窓口である「農薬工業会」の専務理事が、農水省出身で同省の外郭団体「農林水産消費安全技術センター」の農薬検査部の理事だったことを紹介。殺人的巨大化学企業との癒着により、環境保全型農業への転換が不可能な原因を説明した。

 わが国では株式会社は農地取得できないが、農地法施行令第二条一イの特例を使い、「農事指導」の名目で前出の化学企業群がすでに農地を取得し、遺伝子組み換えの実験研究をしていることや、国家戦略特区の兵庫県養父市で企業による農業参入が進んでいる実態を紹介した。

 「安倍首相は15年度の農林水産物輸出が7500億円を突破したことを挙げ、TPPで輸出を大きく増やせると宣伝している。しかし、大部分は食品工業製品や水産物で、農産物は5%にすぎない。TPPを批准すれば、日本の農家は多国籍企業の奴隷になる」と警告した。

 その上で下山氏は、「ワタミやイオン、セブンファームなど、農業参入した企業はほとんど成功していない。『攻めの農業』と言うが、日本は亡国の道をたどる。TPPは反対だ」と主張した。

 続いて2人の代理人が金融サービスと労働分野に関する準備書面について陳述した。

資産は収奪、金融危機の可能性も
 和田聖仁弁護士は、TPP協定文11章にある「金融サービス」のうち、「マクロプルーデンシャル措置」の危険性を筆頭に挙げた。これは金融危機に陥った際、消費者や国民生活を守るために政府が行う金融安定対策のことを指す。

 同条は「締約国はプルーデンシャル理由に基づく措置の採用又は維持を妨げられない」と始めながら、第3文は「もし同措置が本協定上の諸規定に合致しない場合、同措置は同諸規定の下での締約国の責任及び義務を回避する手段として用いられてはならない」となっていると指摘。

 「事実上、原則と例外がひっくり返され、結果として同措置を断念させるようになっている。これは、第1文だけ示した政府の説明と相反する」と主張した。

 「TPPの根本思想は、資金の流れを、国境の壁を取り払い、阻害されることなく自由に流動させるという新自由主義である。それは、ウォール街の目が金融グループ(シティバンク、JPモルガン、ゴールドマンサックスら)の願望が実現されたものにすぎない。この結果、各国に国際金融資本の資金が流入してバブルをつくり、収奪して出て行く弊害が、より一層強まる。加えて再び金融危機が引き起こされる危険性もある」

 さらに和田氏は、「金融サービス分野における米国ウォール街の狙いは、ゆうちょ銀行・かんぽ生命の資産約270兆円や、JA共済の資産約50兆円、さらに年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の年金マネーや金融緩和による日銀マネーも含まれる。これらが国際市場に流出すれば、日本社会の一層の貧困化が進む」と指摘。

 その上で和田氏は、「日銀マネーが狙われるているのは、まさに『年次改革要望書』で郵貯・簡保が狙われたのと全く同じ。TPPは1993年から始まった同路線の集大成だ」と告発した。

労働者保護規定は告訴の対象
 19章の労働分野については、酒田芳人弁護士が批准による労働者へ影響を説明した。貿易協定に社会条項、すなわち特定の社会基準を満たす義務を交易開始の条件にしようとの提案は古くからあるが、途上国の側は導入に反対の傾向が強い。

 1986年から始まった「関税及び貿易に関する一般協定(GATT)ウルグアイ・ラウンドの交渉内容に貿易と労働基準の問題を含めようとの議論が起きたが、1996年にシンガポールで開かれた世界貿易機関(WTO)の第1回閣僚会合で、労働基準を扱う権威ある機関はILO(国際労働機関)であると決着している。
 
 しかし、TPP協定が批准されれば、ILOの存在意義が失われる恐れがあると問題提起した。もし、労働者の権利を保護する国内規定を設ければ、ISDS(投資家対国家紛争解決)条項に触れる可能性もある。

 さらに酒田氏は、米タフツ大学の世界開発環境研究所(GDAE)が1月に発表したTPP影響試算では、日本は10年後にGDPが0.12%減少し、7万4000人の雇用が失われるとの報告書を引用。解雇の金銭解決制度の導入も問題だと指摘し、補償金が高く貿易を妨げているとエジプトが訴えられた事例を紹介した。

「判断は次回期日で」と裁判長、国民的圧力を
 今回も、被告の国側から全く反論は出なかった。裁判長に今後の予定を尋ねられた原告側弁護団は、「次回期日までに補充の論点を主張したい」と答える。前回、裁判長は次回の口頭弁論があることを想定する発言をしていたが、「再反論の機会も考えていただきたい」と求めた。

 これに対し、裁判長は「主張も見て、判断したい。次の反論機会が必要かどうかも含め、次回期日でお伝えしたい」と述べた。政治問題にして、法的判断から逃れたい意図をうかがわせる。次回期日は11月14日14時30から同じ103号法廷で開くことが決まった。10月18日までに準備書面を提出することで同意した。

 報告集会で酒田氏は、「次回で終わりと言ったに等しい」と厳しい表情を見せた。「金融サービスや労働などの中身について、国側は議論していない。これ以上やっても仕方がないとの判断か」と分析する。

 「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」池住義憲副代表は、「次回結審の宣言に等しいとの印象は私も感じた。国側が内容的な反論・反証を全くしない。踏み込む知識を持っていないのだろうし、『その通りだ。でも私の立場からは言えない』というのが本音だろう。イラク訴訟のときも同じだった」と吐露した。池住氏は08年の自衛隊イラク派兵差止訴訟の原告団長を務め、名古屋高裁で違憲判決を勝ち取っている。

 報告会では、次回期日までにやるべきこととして、幾つかの提案が出された。準備書面提出に合わせて署名を集める、裁判官忌避、控訴、違憲行政訴訟を起こす、などである。違憲行政訴訟は「訴訟の会」幹事長の山田正彦元農水相から出された。アトピーやアレルギーを持つ子供や農業者などの当事者が、すでに生じている実被害を訴えるというもので、年内にも提訴を考えているという。「半年前から話し合っていて、適格な人を探している」と明かした。

 弁護団から裁判官に社会的なプレッシャーをかける必要性が相次いで指摘された。山田氏は8月20日、10時から明治大学講堂で全国でTPP反対に取り組む市民を糾合する集会を開くことを報告。この場で、反対運動を盛り上げ、裁判官に圧力をかけるための提案を持ち寄って議論しようと呼び掛けた。

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衆院第一議員会館で開かれた報告集会。壇上は酒田氏(2016.7.20筆者撮影)

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報告集会に臨む篠原孝衆院議員。「先の参院選は、安倍農政にノーを突き付けた」(2016.7.20筆者撮影)

権力に従順な不良たち

 不良若者はいつの時代も絶えない。グレる理由はさまざまだろうが、不良には独特の様式がある。背景をたどれば、社会に反抗しているつもりでも、実は権力に隷属していることがほとんどではないか。

 田舎生まれの私には、不良と言えば真っ先にツッパリ様式が浮かぶ。米国のヤンキーに倣い、リーゼントの頭髪にアロハシャツ。聴く音楽は米国のロックをぱくった和製バンドのもの。またがるバイクには、日の丸のステッカーが貼ってあった。日米安保条約への親近感を潜在的に刷り込んでいたのではないか。属国アメポチ意識を。

 一方、大学に進んだ不良気取りが聴くのは、ボブディランなどのフォークかプログレやハードロックなど、少々世をすねてる米国流行音楽。そうしてマルクス主義に共感を抱いていた。そもそも「科学的社会主義」はロスチャイルド家が欧州の王室国家をさん奪するためにマルクスとエンゲルスに研究させたもの。レーニンとトロツキーは、「クーン・ローブ商会」のジェイコブ・シフから革命資金を援助されていた。

 ファシズムと共産主義の対立は、新自由主義対グローバリズムの形で続いている。低学歴低所得の層は米国の安物ブランドのロゴの描かれたTシャツを自慢げに着て、イチローや田中将大選手の活躍を見て喜ぶ。中国や韓国が嫌いで、北朝鮮を笑ってストレスを発散する。社会に出れば、不祥事報道を見て「官僚はしょうがない」と怒る。「規制緩和でビジネスチャンスを広げるべきだ」などと受け売りの言葉を吐く。

 少々反抗心のある若者が聞く音楽は、ヒップホップやラップなど、同じ米国だが黒人由来のもの。見るスポーツは欧州サッカー。若い市民活動家は演説のとき、レゲエやラップのリズムに乗せ、黒人ラッパーのしぐさをする。ヘイトスピーチに反対し、市町村合併と地方分権を唱える。ベーシックインカムや学費無償化が持論で、控除から給付への流れを促す。そうして警察への謝辞を欠かさない。ヒップホップは黒人を民族運動に向けさせないために普及させられたと思っている。議会の縮小はEUのような官僚化を進めるだけだし、差別の創造や家族の解体、給付金への依存は、西側に共産主義を広めるフランクフルト学派のアジェンダにすぎない。

 規制緩和や関税撤廃を進めるのは、民衆を極限まで貧しくし、民の側から強力な管理社会を求めさせるのが狙いと確信する。つまり、新自由主義とグローバリズムを揚棄した先に用意されているのが世界統一政府(ニュー・ワールド・オーダー)であると。

 体制に迎合しない不良様式を私は知らない。着物をまとい方言を話し、テレビや新聞を見ず、働きもせず、預金口座も持たない人間こそ、真の不良ではあるまいか。世界権力が利用する余地がどこにもないからである。

【書評】『田中角栄を葬ったのは誰だ』平野貞夫(K&Kプレス)

 角栄ブームの最中、40年前の真実を白日の下にさらす書が出た。1976年の「ロッキード国会」当時、衆院議長を務めた前尾繁三郎の秘書だった平野氏が、対米隷属症候群に冒されたわが国の権力者たちが田中を葬ったことを論証している。


 ロッキード事件は、米上院の多国籍企業小委員会の公聴会で明かされた違法な政治献金疑惑が発端。ロッキード社の対戦哨戒機P3Cとトライスターの売り込みをめぐって、丸紅や児玉誉士夫らに賄賂が流れたというものである。

 お金の流れには、児玉が窓口となった「児玉ルート」と小佐野賢治が窓口の「丸紅ルート」があった。「児玉ルート」に流れた額は21億円、「丸紅ルート」では5億円が流れたとされる。田中は後者の受託収賄罪と外為法違反で起訴され、有罪判決を受ける。

 しかし、「児玉ルート」は、ロッキード社とコンサルタント契約を交わしていた児玉が報酬として受け取った5000万円が所得税法違反にされただけで、幕を引いた。その先には、当時自民党幹事長の中曽根康弘がいた。

 児玉は国会への証人喚問を求められたが、体の不調を理由に拒否する。国会医師団が派遣されるが、脳梗塞による意識障害という主治医の診断を追認する。こうして「児玉ルート」は永遠に闇に包まれた。

 国会運営の裏方として推移を見守った平野氏は、児玉の突然の体調変化を不審に思っていた。それが平成13年になって、主治医の下にいた助教授が週刊誌に衝撃的な事実を明かす。主治医が児玉にフェノバールとセルシンを注射したというのである。いずれも、強力な睡眠作用と全身麻酔作用がある。

 世田谷にある児玉の自宅には直後、セスナ機が突っ込む。長い月日を経て、平野氏は一連の出来事のつじつまがあったという。児玉は強大な権力によって口封じされ、田中は疑惑のスケープゴートにされたのだと。

 同書の題名への答えは、197ページに書かれている。「誰が田中角栄を葬ったかといえば、主役は当時の三木首相であり、共演が中曽根幹事長であった。そして彼らと共謀した検察であった」。「児玉ルート」もみ消しのキーマンは、児玉の秘書で中曽根の書生だった太刀川恒夫である。

 平野氏が謀略を確信したのは、近年である。平成18年に同書の基となる『ロッキード事件——葬られた真実』(講談社)を上梓した際、朝日新聞社会部から取材を受け、ゲラまで示されたが、掲載前夜になって取りやめにされた。太刀川へのインタビューが不調になったと聞かされたため、中曽根からの圧力と分かった。

 ロッキード事件の詳細や、前尾議長がなぜ国会を閉めなかったのかなどの理由はぜひ同書を読んでほしいが、私が目を見開いた点を挙げておく。第1は、中曽根と太刀川が存命であることだ。太刀川は現在、東スポの会長を務める。彼らはこの指摘に、何と答えるのか。

 第2は、巣鴨釈放組でCIAの工作員として働いていたはずの児玉を、なぜ米国が見捨てたのか。平野氏は有馬哲夫早大教授の著書を引用し、米国の意思を超えたからだと推論する。児玉は日本を独立させ、アジアの盟主として復活させるという目的を持っていた。

 第3は、昭和30年以降、25人の衆院議員が逮捕されているが、東大法卒はゼロとの指摘だ。ここにも「正義と公正」を唱える検察の偽善が表れている。田中は真っ先に葬る対象だったのだろう。
 
 第4は、石原慎太郎の偽善性である。巻末の対談で佐高信が触れているが、石原が都知事選に出るとき、田中にあいさつに砂防会館へ行く。『文藝春秋』に「君、国売り給うことなかれ」という論考を寄せ、田中氏の金権政治を批判した直後だった。それでも田中は招き入れ、軍資金を渡す。帰り際には「足りなくなったらまた来いよ」と励ましたと秘書が証言している。ところが、石原は『天才』という本で「金をもらわなかった」と書いている。石原の神経が理解できない。

 平野氏は、全章を通じ、「対米従属シンドローム」の打破を訴えている。つまり、米国に軍事・外交や経済の重要な決定を委ね、許された中で国内政治を行えばいいとの姿勢である。現在の角栄ブームは、対米隷属政権の下での閉塞感からきているのではないか。

 同書は主権国家を望む日本人が教訓にしなければならない魂の告発本である。

田中角栄を葬ったのは誰だ [ 平野貞夫 ]
田中角栄を葬ったのは誰だ [ 平野貞夫 ]

宇都宮氏の哀れは国民の姿

 東京都知事選に立候補を表明していた宇都宮健児氏が13日、出馬を取りやめた。野党4党が支持する鳥越俊太郎氏の出馬を受けてのことだが、宇都宮氏にとっても、都民にとってもやりきれないことである。

 鳥越氏の突然の出馬表明に、既視感を覚えた人が多いのではないだろうか。2014年都知事選の細川護煕元首相の土壇場での参上である。脱原発を掲げ、20年東京五輪返上を口にした。両者は宇都宮氏を都知事にさせないために送り込まれたと確信する。推薦人は加藤寛ゼミ出身で廃炉利権に邁進する小泉純一郎元首相だった。

 イエズス会の大学を出た細川氏は、首相になる前、ビルダーバーグの会議に参加している。海外から莫大な資金を提供され、日本新党を結成したと推察する。細川内閣がやった政策として真っ先に浮かぶのは、小選挙区制の導入とコメの自由化(食管法廃止)である。小泉氏と同様、マスコミが好印象しか伝えないのは、権力の手先である推測を補強する。

 細川氏の参戦により、反自民票は2分され、舛添要一氏が当選した。宇都宮氏は公示前、反自民候補の一本化を模索するため、細川氏に再三接触を試みたが、面談を拒否されたと講演会で吐露している。

 「鳥越さんは工作員ではないでしょう」。そうおっしゃる人がいるかもしれない。確かに、穏健な顔つきに見えるが、それはテレビを通しての情報ではないか。彼の不審な行動はネット上に散乱するが、私が不可解に思ったことが1つある。以前、小林よしのりが責任編集する月刊誌の対談で『年次改革要望書』が主題になった。鳥越氏は小林氏に促され、キャスターを務める民放報道番組でこの問題を取り上げることを誓約したが、ついにしなかった。

 極めて単純だが、私は郵政民営化に反対しなかった政治家を基本的に認めていないし、『年次改革要望書』に言及できないジャーナリストを信用していない。「テレビではできない」と言い訳するなら、肩書きを外してほしい(もっとも、これができたジャーナリストを知らないから、私は「反ジャーナリスト」を名乗っている)。

 昨年7月、NHKが一介の「ジャーナリスト」にすぎない鳥越氏の家系を英雄的に紹介する番組を放映しているのはなぜか。しかも、中身はねつ造である。支配権力が彼を守っている証左ではないか。

 今回の鳥越氏の立候補表明も、権力筋の誰かにそそのかされたのだろう。宇都宮氏は一本化を模索するため、鳥越氏と13日面会した。前回、細川氏と面談しなかったかどで散々たたかれたのは自身のせいでないが、再度の批判をかわしたいのも当然である。「まだ具体的な政策は決めていない」と言われたが、「憲法を守る」の一言で身を引いた。渡された「政策集は全部生かす」と応じたというが、小林氏との過去のやりとりから見て方便だろう。

 権力に担がれた鳥越氏にできることは知れている。「東京は憲法改正を許さない」と言っているが、国が決めたことを地方自治体が変えることはできない。それを知ってての発言と解す。もし支配権力の意向を超えようとすれば、桝添氏や猪瀬氏のようにされるだろう。

 マスメディアが特定の人物や団体を攻撃してきたら、支配権力に嫌われた証しだと思っている。桝添氏がたたかれ始めたとき、「どうせ権力が別の人に都知事をやらせたくなったのだろう。『東京五輪はおまえにやさせないぞ』と」と友達に告げた。すると、「じゃあ、小池百合子がなるんだ」と返された。ろくにテレビも見ていない私は、それだと直感した。

 もちろん、小池氏が当選する保証はない。しかし、メディアをも牛耳る権力が支援しているのは間違いない。「『ひるおび!』で自民党東京都連の通達に非難相次ぐ『自民党は北朝鮮か』」の記事もその1つ。小池氏に入れたら除名との「通達」が「北朝鮮か!」なら、郵政民営化反対議員を除名した自民党本部はとっくに北朝鮮である。小池氏はその代表的刺客ではなかったか。

 小池氏の背後に強大な権力が控えているのは、彼女の特異な経緯から分かる。日本新党で参院議員となり、細川氏と共に衆院にくら替えした。以来、政党を流転しながら、必ず受かる所から出馬している。小泉純一郎氏の愛人であることは公然の秘密である。

 宇都宮氏は国家戦略特区構想に猛反対していた。その「東京圏」は、わが国のGDPの4割を占める地域を租界化する内容である。猪瀬直樹元知事は徳洲会との関係で辞職に追い込まれたが、特区に「外国人向け医療の提供」「保険外併用療養の特例」などが含まれていたことが大きいと見る。

 政策があいまいで、言行一致に欠ける候補者のために立候補を降りる宇都宮氏は、やりきりないはずだ。後で名乗りを上げた得体の知れない人物を野党4党が推すところに、この国の闇を感じる。それでも自民系2候補に東京を任せないために鳥越氏に譲る潔さに、宇都宮氏の誠実な人柄が表れている。

 政策観、人格とも上で初めに名乗りを上げながら辞退を強いられた宇都宮氏は哀れである。それ以上に、報道を見せられて怒ったり、喜んだり、権力にもてあそばれているだけの都民、いや国民の姿は哀れである。

■参考記事
「おもてなし」は奴隷国家の宣言

選挙運動員に失望

 参院選が終わった。選挙期間中、失望することがあったので、記すことにする。小さな出来事だが、世界を覆う大きな動きにまるで無頓着な運動員らの姿勢に、もはや応援取材する気がうせてしまったからである。

 その日は午後、遅い昼飯を食おうと、繁華街のある駅前に向かっていた。と、聞き覚えのある声が聞こえてくる。某野党の現職議員が演説していた。候補者が私に気付いて近付いて来る。知り合いのビデオ配信者もこちらに手を振ってくれた。

 私は応援の意味で、とっさにかばんから取材ノートとコンパクトカメラを取り出して記録し始める。しばらくすると、しゃがんでメモを取っている私は肩をたたかれた。私鉄企業の子会社の警備員である。

 「ここは集会は禁止されています。立ってください」

 私は激憤した。民衆管理計画の一環として雇われていることも自覚しない警備員を平素から軽蔑している。しかし、私は長年の習慣で思うことが言えない。

 「…それは承服できません。何のための広場ですか」

 駅の敷地内には、演説を聴く市民が20人ほど立っている。私の隣には、ビデオ配信者の知人が座っているし、逆側にはどこかのテレビ局がカメラを回している。私だけ注意を受けたのは、弱そうに見えるからかもしれない。

 私よりさらにとつ弁らしき警備員が消えると、やがて候補者の秘書か運動員と思われる中年男女が現れた。

 「座られると困るんです。演説できなくなるので」

 驚いた。警備員に同調している。少なくとも世の中を正そうと政治に関与しているはずの彼らは、自分が何と闘っているか分からないのである。TPP参加を打ち出しながら、国会前の反安保デモを見て喜んでいた菅直人と同じではないか。私は言葉の詰まりを力で押しのけ、口を開いた。

 「あなたたちは、何と闘ってるんですか。戦争法を敷く本当の狙いは、こうした小さな自由の弾圧にあるんじゃないか」

 「困るんです。とにかく、歩道の方に移動してください」

 男が私の腕をつかむ。対話のできない彼らに失望した。

 「説明になっていません。それなら、テコでも動きませんから」

 逮捕されても構わないと思った。警備会社は警察の下請けだ。皆さんはにわかに信じ難いかもしれないが、こうした些細な規制が民衆の心を隷属させるために実施されているのを知っているからである。こういうことを許していると、いずれ自分の考えを述べることや、集まることも禁止される。

 警備員はこの15年間に激増した。製造者責任を問う事故報道のキャンペーンの結果であり、警備会社は警察官僚の天下り先になっている。ただし、これは世界的な現象で、明確な計画に基づいて実行されていると考えるべきである。

 英国では「市民執政官」制度を導入し、警察の職務権限を市民に代行させ始めている。代行するのは、警備員や駐車監視員、CCTVオペレーター、公園管理人など。ほとんど職業訓練もなく、身元調査も経ない人間が、車を止めたり、罰金を科したり、人々の写真を撮ったり、財産を没収したり、氏名と住所を尋問したりできる。

 例えば、路上にゴミを捨てた者が国家の代理人である彼らに氏名を告げるのを拒否すると、写真撮影され、指名手配犯のように地域の新聞に写真が掲載される事態にまで至っている。無学で粗暴な彼らに権力行使の権限を持たせるのは、まさに「気違いに刃物」の形容がふさわしい。

 すでに世界は、規制でがんじがらめになりつつある。差別用語禁止を名目にした言葉狩りは、ヘイトスピーチの創造と宣伝により強化されている。酒気帯び運転やシートベルト不着用に対する罰則強化、駐輪違反の摘発、ゴミの分別や冷暖房の温度設定のほか、言動がセクハラやパワハラに当たらないか、人々は細心の注意を払って日々を過ごすようになっている。これはわが国も同じだ。

 監視を強化する口実は、振り込め詐欺や痴漢、事件捜査など数あるが、最大のものはテロと戦争である。「不審物や不審な人を見かけたら、すぐに車掌または駅係員にお知らせください」と終日連呼することで、腕組みして民衆の流れを凝視することができる。

 大衆の心理操作は、電気ショックなどの虐待により行動を操縦された実験室のラットの迷路学習と同じ方法で展開される。「間違った」経路に行くとショックが与えられ、間違えることがなくなるまで継続される。そして最後にはショックを与える機器が撤去されても間違えなくなる。

 どこに行っても、何をしても、規制、規則、指示、命令がつきまとい、やけを起こして少しでも盾突けば、「反政府グループ」とみなされる。こうした支配がインチキだと主張すれば、「陰謀論者」の烙印を押されるのが落ちだ。人々が敗北を認め、支配構造に力を明け渡すならば、処罰の恐怖から解放される。それは権力への服従を意味する。

 ジョージ・オーウェルの『1984』によれば、戦争の本当の目的は、戦闘で人を殺すことではなく、本土の国民を弾圧することにある。その意味で、実際に交戦している必要はなく、スタジオ取りでも、CGでも効果は同じだ。オーウェルは漸進的社会主義運動を進めるフェビアン協会との交わりから、作品の題材を得ている。

 駅前で演説していた野党候補は「戦争法反対」を一生懸命訴えている1人である。その活動を支えたいなら、私鉄とはいえ駅前広場から民衆を排除しようとする警備員の行動に抗議しなければ本末転倒ではあるまいか。

 候補者の認識は分からないが、秘書や運動員はこんな意識でどんなに汗を流しても、自らを「鉄の檻」に押し込めるだけである。

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小林興起は舌好調、「米国の笑いが止まらない」

 さっぱり盛り上がらない参院選。しかし、胸のすく主張をする候補者がいないからではない。マスコミが報じないからにすぎない。05年の「郵政選挙」で現都知事候補の女刺客を送り込まれ、臥薪嘗胆(がしんしょうたん)を続ける小林興起元副財務相もその一人。恨み節も交じり反米全開の演説には、思わず快哉(かいさい)を叫ぶ。

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国民の怒りを代弁する小林候補(2016.7.7筆者撮影)

 「国民怒りの声」から東京選挙区に立候補した小林氏は連日、都内の駅前や商店街を丹念に回っている。7月7日夜、練馬区立旭丘小学校の体育館には市民約300人が集まった。小林氏の母校であり、同級生や後援会の面々が温かく迎える。

 北朝鮮による拉致被害者家族連絡会元副代表の蓮池透さんも応援に駆け付けた。「小林先生は郵政民営化に反対して自民党を追い出されたが、私も家族会を追い出された身。共に対米自立を勝ち取るため、力を合わせていきたい」と励ました。

 低い場所でマイクを取った小林候補は、旧通産省を辞めて初めて立候補して敗れた苦い体験や、自民党を追放され一時在籍した旧民主党での理不尽な扱いなどを明かした後、古巣の自民党について語った。

 「自民党は非民主的な政党だ。たった1つの法案に反対しただけで、私を追放した。今の自民党はどうか。中学生になれば、憲法を直すには国民投票が必要だと知っている。それを昨年、米国に言われて解釈で改正し、自衛隊を海外に送ろうと決めた。『それをやるなら、憲法を変えなければ』と総理に言った自民党議員がいたか」

 小林氏は所属する小政党の苦難を紹介した後、旧民主党の体質もやり玉に挙げる。

 「私共は、自民党とも民主党とも、全く意見が違う。日本では政権に入ると、恐ろしいことになる。民主党も米国からの完全な圧力で、政策がころころ変わった。鳩山(由紀夫)さんは沖縄のことも考えようとしたが、ひねりつぶされた。菅(直人)政権はたちまちTPP参加を言い出した。これは郵政民営化と同じこと」

 そうして、郵政民営化の本質について解説する。

 「民営化は、郵便局の中のお金を自由に使えるようにするためだった。国営・公社なら国民と政治家が監視していて、国会で質問されれば答えなければいけない。民営化すれば、好きに使え、誰が株主になってもいい。米国がどんどん株を買っていて、そのうち全部支配するようになる。民営化してから、アフラックがガン保険を売っているではないか。もうけはすべて米国に行く」

 政府による米国債保有問題にも触れた。

 「米国債をジャンジャン買わされている。国際収支は100兆円程度の黒字だが、ほとんどが外貨。全部、米国債で持っている。普通の国なら半分くらい金で持つ。東日本大震災のとき民主党は特別所得税(復興税)を導入したが、それを売ればすぐに十分すぎるほど復興に使えた。こんなことは絶対にテレビや新聞は書かないし、政治家も言わない」

 小林氏は通産官僚時代、通商交渉で米国と戦ってきた体験を披歴し、「自民党は小泉(純一郎)さんのときから、民主党は菅政権から米国にひれ伏すようになった」と振り返った。

 「日本には田中角栄や福田赳夫のように、戦前の魂を持った政治家がいた。占領下にあって悔しい思いもした。しかし、本当に負けたんじゃない、米国に対し、言うべきことは言おう、そういう政治家がいた。今の政治家は、米国に物を言おうなどと、初めから思っていない」

 「外人が『いい国』なんて言うのは、観光のときだけ。外交は顔で笑って、相手の国からどうもぎ取るか考えている。すさまじい圧力と抗争の中で、勉強して頑張らなければやられる。私のように。小泉さんのように抵抗する前に従えば、相手の思うつぼではないか。米国に『あれやれ、これやれ』と言われ、『ハイ、ハイ』と日本のお金をどんどん差し出して」

 さらに日本経済について、率直な評価を下す。

「国民総生産はもうすぐ米国に追いつくはずだった。今の日本は米国の4分の1。働かない米国人がどうして。みんな日本の金を持っていったから。昨年も総理がドーッともうけましょうと、皆さんの年金を株に入れた。日本の株式市場は日本にあるだけで、全部米国金融資本が管理している。上げ下げは自由で、下がったら買い、上がったら売る。たちまち10兆円消えた。それに対して、おかしいという野党も自民党議員もいない」

 財政赤字を連呼して消費増税を促す報道に触れ、「テレビと新聞は見ない方がいい」と促す。筆者のいつもの口癖ではないか。

 「大企業は円安で輸出してもうけながら、従業員にも分けないで、株主配当している。それなのに日経新聞などは法人税を下げろと書いている。米国の金融資本家が、皆さんの働いたものを誰にもあげずに米国に送っているのに。日本をだましてガッポガッポもうかって、米国の政治家から見れば、笑いが止まらない」と皮肉った。

 小林氏は政府派遣留学したペンシルバニア大学院時代の体験を紹介。「日本なら貧しい家庭に生まれても学校に行けるし、食べる物もある。かけそばだっておいしい。米国の貧しい人たちが食べる所に行ったら、とても食べられなかった。まずくて、油もぎとぎとして。そうしてすさまじい格差社会。折角すばらしい日本が米国のまねをして、正規雇用を非正規にしている。一体、何ですか。みんな仲良くやっていた社会を」と真剣な面持ちで訴えた。

 自身の公約の1つ、消費大減税を解説。「3%のときの税収は60兆円で最高額だった。田中角栄が生きていたら、すぐに下げるはず。民主党が3%に下げていたら、政権は続いていた。米国に行ってだまされ、『消費税を上げて法人税を下げろ』と言われたのだろう。自公民の3党合意により、政権が変わっても永久に消費税を上げていき、日本を絶対に成長しない路線が決まった」と批判した。

 その上で小林氏は、米軍基地問題に言及。「日米地位協定があるため、米軍基地を日本中の好きな所に置き、米兵が女性にいたずらしても無罪になる。沖縄県民が怒り心頭に発しても。占領軍だから、何でもオーケー。この期に及んでも、自民党と民進党は何も言わない。小林興起が国政に上がったら、第一線で論戦することができる。聞いたことのない意見を、国民誰もが聞くことができる」と支持を呼び掛けた。

 小林氏がテレビに出たら、スタジオが凍り付くのは間違いない。新聞は重要な問答を載せないが、国会でのやり取りを隠すのは難しいはず。権力の裏表を見た「手負いのトラ」を国会に送り込んではどうだろうか。

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      真っ向勝負の選挙ビラ

【書評】『泥沼ニッポンの再生−国難に打ち克つ10の対話−』植草一秀・伊藤真(ビジネス社)

 「オールジャパン・平和と共生」25%連帯運動を提唱する経済学者の植草氏と、同顧問も務め「一人一票」の実現を目指す伊藤弁護士による新著。参院選投票日目前に出た同書は、まさに主権者の必勝バイブルに見える。


 構成は「三権分立が機能していない日本」「緊急事態条項と本当の民主主義」「教育とメディアリテラシー」など10章からなる。それぞれのテーマについて2人が交互に見解をすり合わせていく展開で、第一級の見識と分析力を楽しめる。

 例えば、伊藤氏が「2000年のアーミテージ・レポートの頃からアメリカは日本政府に対して集団的自衛権の行使ができるようにとプレッシャーをかけてきた」と指摘すれば、植草氏は原発再稼働も集団的自衛権もTPP参加も同3次レポートが日本政府に要請したものと応じ、「アメリカの利益を極大化させるために行動しているというのが安倍政権の正体」と両断する。これを受け、伊藤氏は次のように述べる。

 「この国の為政者たちのなかには、戦前の明治憲法の時代の強い日本国でありたい、経済的にも軍事的にも強い国でありたいという思いを持っている人たちがいる。だが、彼らは同時にそれとは裏腹に、アメリカにモノを言えずに従属してしまっている。この不思議な矛盾がこの国の政治をわかりにくくしてしまっている」

 裁判に関する箇所は、法曹現場の第一線にいる伊藤氏と、冤罪(えんざい)被害と闘う植草氏の知見が最も発揮されている。原発や米軍基地をめぐる上級審での逆転判決は、三権分立の幻想を如実に物語る。

 司法権力が行政権力に従属する理由について、植草氏は「日本の裁判官は、元裁判官の森炎さんが『司法権力の内幕』(ちくま新書)で『パノプティコン』と表現しているように結局、権力から監視された状態に置かれているので、権力に迎合した、権力の意向を忖度(そんたく)した判決しか下せないのだろう」と説明する。

 憲法第76条の3項には「すべての裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法および法律にのみ拘束される」とあるのに、なぜ裁判官は主体的な判決を出さないのか。降格人事と給料・報酬を上げない嫌がらせが、最高裁事務総局の戦略であると伊藤氏は明かす。

 今回の参院選で改憲勢力が3分の2を確保すれば、真っ先に手を付けてくるのが緊急事態条項の発議であると植草氏は指摘する。自民党の「憲法改正草案」98条には緊急事態の要件に「大規模な自然災害その他」が入っているが、伊藤氏はこの意図を「まさに戦争をする国への一歩という意味でしかない」と警告する。

 「仮に迅速に対応できなかったとしても、それは憲法のせいではまったくない。災害対策の基本は、『準備していないことはできない』である。たとえば東日本大震災でもそうだったが、日本は法律でそのあたりはすべて整備済みで、実際には災害対策基本法、災害救助法などさまざまな法律のオペレーションの訓練をしていなかっただけ」

 全くその通りではあるまいか。さらに緊急事態条項は、立憲主義の二大特質である「権力分立」と「人権保障」を停止すると強調する。

 TPPについても1章割かれている。同協定が食の安全や農業、金融、医療、ISDSなど多岐にわたる問題を含んでいるのを読者諸賢はご存じだろう。痛快なのは植草氏の形容だ。「放棄する必要のない主権をタダで捨ててしまうようなもので、まったく馬鹿げているとしか言いようがない」。「戦争法」と合わせて「名実共に、日本の植民地化を日本政府が推進している」とやゆする。政策を見ていれば日本政府は国民の代表ではなく、適切な表現と言わざるを得ない。

 アベノミクスに対する評価では、植草氏の真骨頂が発揮されている。とりわけ衝撃的なのは、預金封鎖の可能性に言及していることだ。マイナス金利が市中銀行の一般預金にも適用されれば、取り付け騒ぎが起きかねない。すでに、現金の発行残高は急増している。極め付きは、財務省のたくらむハイパーインフレ。安倍首相も財務省も、国民の幸福など考えていない。

 日本はすでに格差大国に堕したとの発言を受け、伊藤氏はテロや戦争と経済との関係に触れる。「貧困、格差、差別、人権問題、教育不足、医療不足、疾病などが『構造的暴力』を引き起こす要因となってきた」と指摘し、「人間の安全保障」を基礎に据えるべきだと訴える。

 9章の「教育とメディアリテラシー」は、特に考えさせられる。日本の教育が重視してきたのは「覚える」「従う」だが、本来教育が目指すべきは「考える」「主張する」だと植草氏は主張する。誰しも思い当たる節があるのではないか。

 一方、「メディアを教育に」との掛け声がかまびすしいわが国だが、伊藤氏は幼少期を共に過ごしたドイツの友人が「子供にニュースは絶対見せない」と言っていた話を紹介している。アニメやお笑い番組と違い、子供には作為性が理解できないからである。個人的には、大人にもそうしてほしいくらいだ。

 同書はわが国を取り巻く諸問題を論じるだけではない。主権者国民勢力の結集を呼び掛けるのが真意と解する。植草氏は終章で共産党排除の策動を戒めるとともに、民進党内部の親安倍勢力の自公側への移籍を促す。その上で、次のように説く。

 「本当の決戦は年内にも実施されるかもしれない次の衆院総選挙だ。この選挙では、党派にかかわらず、5大基本政策についての政策公約を基軸に1選挙区1候補を主権者が主導して絞り込み、その候補者の全員当選を目指す。オールジャパン平和と共生はそのための情報提供と基本戦略の提供に力を注ぎたいと思う」

 伊藤氏はラテン語の「ゆっくり急げ」との言葉を紹介し、最後まで絶対あきらめない姿勢を持つべきと訴える。政権交代を含め、政治変革には時間がかかるため、市民には都度、チェックする忍耐強さが求められるからである。

 参院選がどのような結果になっても、われわれ主権者が政治を奪還する道は続く。迷わず目的地に着くため、同書は必携の道路地図ではないだろうか。

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