高橋清隆の文書館

 当ブログでは、マスメディアが伝えない情報や事象分析を発信しています。新聞やテレビがつくる「社会標準」から解放されれば、人類は本来の豊かな人生を送れると確信します。

TPP訴訟が結審、締結状況示さず[東京地裁]

 環太平洋連携協定(TPP)の違憲確認などを求める「TPP交渉差止・違憲訴訟」が16日、東京地裁(中村さとみ裁判長)で結審した。7回目の口頭弁論として更新弁論と原告による口頭陳述が行われたが、裁判長が突如「終結」を宣言。原告側が釈明を求めた締結状況は示されなかった。

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門前集会で締結状況確認の必要性を訴える池住代表代行(2017.1.16筆者撮影)

 2時間の弁論期日を確保した今回、最初の45分は更新弁論に充てられた。昨年11月の第6回弁論で、通知なく裁判長が変わっていたからである。更新手続きを要求した結果、今回は裁判長に対し、これまでの原告の主張の概要を改めて説明した。

 民事訴訟法249条が定める直接主義に基づき、酒田芳人弁護士がISDS(投資家対国家紛争解決)条項の問題点や食品、医療、農業、政府調達に及ぼす影響を説明。岩月浩二弁護士は過去の陳述を要約しながら、TPPが憲法の定める国民主権の原則をグローバル企業主権の原則に置き換えるものだと強調した。

 原告本人による陳述として、アジア太平洋資料センターの内田聖子(うちだしょうこ)事務局長と経済学者の植草一秀氏が合わせて20分ほど、批准による損害を証言した。

 内田氏は「英文で8000ページ以上の協定文の全容と問題点が今も明らかにされてない」と秘密主義を批判。「甘利−フロマンの交渉記録も開示されると真っ黒に塗られて出て来て、『外交上の秘密でお答えできない』という。国民の知る権利に対する大きな侵害がある」と指摘した。

 植草氏は、憲法が保障する国民諸権利を挙げて憲法が「国の最高法規」であると定める同98条を朗読。その上でTPPは,發燭蕕昂覯未不明確強い隠蔽(いんぺい)性を持つISDSにより主権が失われると指摘。は司法権をも奪うとくぎを刺した。

 山田正彦・和田聖仁両弁護士らが代理人として、漁業権への悪影響や越境サービス分野に生じる問題点を説明した。

突然の「終結」、締結状況への関心

 この日のもう1つの争点は今後の進行協議だった。原告弁護団は1つの戦略を持っていた。それは、TPP協定の締結手続きの現状を明らかにすること。TPP違憲訴訟は15年5月の提訴時に「交渉差し止め」も求めていたが、16年2月の署名を受け、この部分を「締結差し止め」に変更。それでも被告の国は「批准していないから権利侵害はない」と棄却を求めてきた。

 「批准」とは一般に、国が条約に拘束されることに同意を表明する行為を指す。門前集会で「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」池住義憲代表代行は表明していた。

 「締結には細かく閣議決定や天皇の認証があり、寄託国ニュージーランドに文書を出しているのか。報道を見ても、日本側が正式手続きを取っているのか分からない。それをきょう、法廷ではっきりさせましょう」

 被告の国が回答する状況によって、次の主張を準備書面に盛り込む構えだった。

 法廷では更新弁論の後、原告弁護団が釈明を求めた。「国はどこまで手続きを終えたのか」「ニュージーランドに何が寄託されたのか」。国側は答えた。「TPPの締結はなされていない」「寄託国のニュージーランドに、関連する国内法が完了した旨、通報はなされていない」。

 「閣議決定や天皇による認証は未整理か」(原告)
 「TPP協定は批准ではなく、寄託による。天皇による認証手続きはない。書面で寄託者に通報する」(被告)

 「閣議決定は必要ないのか」(原告)
 「この場では回答できない」(被告)
 
 原告本人陳述を挟み、原告弁護団は締結手続きの現状について「書面で質問する」と回答を求めた。被告の国側も「出された書面を見て回答するかどうか決めたい」と応じた。

 しかし、国側は続けて「きょうで終結していただきたい」と求めると同時に、「書面提出の意図はどこにあるのか。聞いて何をしたいのか」と尋ねる。原告は「権利侵害がどの段階にあるかは重要。時間的切迫性を明らかにしたい」と答えた。裁判長が発言する。

 「その必要性はない。審理は尽くした」
 「異議あり」

 原告側がもう1期日の設定を求め、膠着(こうちゃく)状態に。休廷に入る。

 5分ほどたって戻った裁判長は間髪入れず、告げた。

 「弁論を終結したい」

 その一言で退出する3人の裁判官に怒号が飛ぶ。
 「ひどい」
 「これが裁判かよ」

 「予想していたことだが、残念。審理は尽くされたと言うが、こちらが主張する実被害について、国は全く反論をしていない。棄却を求めるにも、批准手続きがどこまで進んでいるのか示す必要があった。結論ありきの判決」と原告側の三雲崇正弁護士は肩を落とした。

「司法が劣化」、裁判官忌避も

 元農水相で「訴訟の会」幹事長の山田氏は報告集会で、「日本の司法制度がここまで劣化したか」と嘆いた。一方で、「きょう明らかになったことは、批准できてないという事実」と成果を挙げた。

 岩月氏は「国会承認を急いだにもかかわらず、後の締結行為がされたとの報道がない」と指摘。内田氏は12日の産経新聞電子版「TPP手続き完了 政府、月内にもNZへ通告へ」の記事を取り上げ、「国会手続きの不要な政省令改正案などで意見公募手続きが進んでいるとあるが、全く私たちに見えていない。可視化が必要」と訴えた。

 原告は、3日以内に裁判官忌避の申し立てを行う予定。行政訴訟も検討している。国内政省令が権利侵害をしているとの論法である。

 同訴訟は15年5月、。圍丕亳鮠弔虜垢兄澆甅同交渉の違憲確認9餡版綵の3点を求め、原告1063人によって起こされた。2次提訴も行われ、原告は国会議員8人を含め総勢2290人(16年11月30日現在)に及ぶ。

 TPP協定文の第30章の5条によれば、発効には全原署名12カ国が寄託者(ニュージーランド)に国内手続き完了を通報するか、署名後2年以内に域内の国内総生産(GDP)合計の85%以上を占める6カ国以上が通報することを必要とする。

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ニュース研究 福島原発事故はサイバー攻撃か

 深刻な放射能汚染を引き起こしている2011年の福島第1原発の事故は、3月11日の地震と津波によって引き起こされたというのが政府の公式見解になっている。全マスコミはこれに倣って東電をたたいてきた。独立系ニュースサイト『ACTIVIST POST』は7日、福島原発の事故はスタックスネットを使ったサイバーテロの疑いがあるとの記事を掲載した。今回は、同事故に対する日本人の認識に一石を投じるこの記事を紹介する。

■HAARPや核兵器説も

 福島原発の事故原因が自然災害によるものでないとの主張は、これまでも米国人ジャーナリスト、ジム・ストーン氏が展開してきた… 続きは、本日のメルマガ『高橋清隆のニュース研究』1月16日号「福島原発事故はサイバー攻撃か」でご購読ください。

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ニュース研究 金づち殺人報道の目的

 金づちを使った殺傷事件の報道はやむことがない。16年12月31日、岡山県倉敷市で16歳の男子生徒が母親の頭部を金づちで殴り殺したとする事件が産経・読売両紙などで報じられ、同月18日には、福島県郡山市の日大東北高校で相撲部の顧問を務める教諭が部員をゴム製ハンマーでたたいたとする事件がNHKで報じられた。
 これら報道の目的は、大衆を黒ミサ儀式に誘導することにある。

■頻繁な金づち・鎌による殺人

 殺人事件は年に数回、テレビのトップニュースや新聞の一面で扱われることがある… 続きは、本日のメルマガ『高橋清隆のニュース研究』1月9日号「金づち殺人報道の目的」でご購読ください。

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ニュース研究 フェイスブックに見る検閲強化

 16年後半から、IT機器を通じた民衆監視の動きが強まっている。米大統領選で大手メディアが糾弾した「フェイクニュース」問題や殺人事件の捜査がその口実にされている。マスコミ報道があおる「問題」と政府が提示する「解決」策に乗せられていては、自らの自由を権力に譲り渡すだけである。

■「問題・反応・解決」手法に注意

 米大統領選で米4大メディアが応援する候補、すなわち世界権力の代理人であるヒラリー・クリントン候補が計画外の落選をしたため… 続きは、本日のメルマガ『高橋清隆のニュース研究』1月2日号「フェイスブックに見る検閲強化」でご購読ください。

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ニュース研究 電通過労自殺報道の真意

 電通の新人社員、高橋まつりさん=当時(24)=の過労自殺が10月からやかましく報じられた。1年前の死を遺族が公表したのが発端で、11月には東京労働局が電通東京本社を家宅捜査する映像が全国のお茶の間に届けられた。
 この報道の真意は安倍政権の進める「働き方改革」の宣伝である。その先には、時給1000円で奴隷のごとく働かされる日本人の悲惨な未来を予感する。

■新聞が教えた「改革」との関係

 このニュースがあふれたとき、環太平洋連携協定(TPP)の国内法整備の宣伝を最初に疑った… 続きは、本日のメルマガ『高橋清隆のニュース研究』12月26日号「電通過労自殺報道の真意」でご購読ください。

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【書評】『反グローバリズム旋風で世界はこうなる』植草一秀(ビジネス社)

 政治経済学者の植草一秀氏による最新の投資指南書。氏が執筆する会員制レポート『金利・為替・株価特報』の年度版に当たり、市場動向を占うため政治・経済に関する卓越した分析が行われている。


 同書は後半に「最強・常勝5カ条の極意」や「注目すべき株式銘柄2017」15などを掲載するが、大半は政治・経済分析に当てられている。「これらを読み抜くことなくして現実の経済を正確に予測することはできない」からである。

 12年の第2次安倍政権誕生以降、マスコミは「アベノミクスの成功」をもてはやしたが、本当か。日本の実質GDP成長率(年率換算)の平均値は民主党政権時代の2.0%に対し、安倍政権発足後は0.8%にすぎない。労働者の実質賃金は減少を続けていて、一人親世帯の相対的貧困率54.6%はOECD加盟33カ国中、堂々の1位にある。

 この1年間の金融市場変動で大きな注目を集めたのが中国株価調整=チャイナショックだった。15年6月以降に中国株価が下落に転じ、同年8月の人民元切り下げ措置実施後に世界市場に波及した際、麻生太郎財務相が中国バブルについて「何年も前から言われており、ついに来たかという感じで、みんな驚くことはなかったと思う」と発言した。

 しかし、植草氏がチャートを示して説明しているように「バブル崩壊」はたった1年間急騰した株価の一部が破裂したもので、「何年も前から言われて」いたことでは全くない。「日本の経済政策の司令塔にいる重要閣僚が、基本的な知識と情報を持たずに政策運営を行っていることは恐ろしい」と嘆く。

 うならされたのが、各種指標を使った株価動向の解説である。日経平均株価は2月12日と6月24日の1万4952円でダブルボトムを形成して現在に至る。15年6月を転換点に円高に連動した株価下落波動が始まったが、それに中国株下落という新たな要因が加わった。

 止めたのは2月末に上海で開かれたG20会合。世界経済の下方リスクを明示し、参加国の政策総動員方針を打ち出した。日経株価はニューヨーク株価、ドイツ株価とともに反転上昇する。6月24日に再び安値を付けた主因は、円高・ドル安の進行だった。

 6月3日に5月の米国雇用統計が発表され、雇用者増加数が3.8万人にとどまることが分かったからである。しかし、翌月8日発表の6月雇用統計で雇用者増加数が28.8万人に急増し、米国の追加利上げ実施観測が再浮上。ドルは反発し、これに連動して日経平均株価も反発したのである。

 同書を読んでいると、金融市場が実に論理的に推移していることが分かる。まさに目からうろこの連続。「ばらばらに見える経済指標と金融変動は、ジグソーパズルが1枚の美しい絵画に転じるように理路整然と理解し得るものになる」と植草氏。超一流の分析がそこにある。

 何度聞いても腹立たしいのは、国民資産を預かる政府の「失敗」である。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は直近1年間に11兆4197億円の損失を出した。14年10月の新運用方針で、外国株式や外国債券などリスク資産を65%に引き上げたのが裏目に出た。植草氏は「結果論で言っているのではない。そのプロセスにおいて、初歩的、そして致命的な過ちを犯している」と強調する。

 植草氏はドル円相場や日経平均株価、日本国債先物価格、NYダウの各種チャートを掲げ、株価が2倍に上昇した局面で株式の運用比率を大幅に引き上げていること、1ドル=78円が1ドル=112円に上昇した局面で外貨運用比率を大幅に引き上げていることを問題視し、「まさに、成績が最悪の素人の運用そのものである」と喝破する。

 さらに為替変動による外貨準備金の評価損は、この1年間に30兆円に上る。15年6月にドル円レートが125円までドル高になったとき、政府は米国債を売るべきだと植草氏はレポートやブログで主張していた。年金と外貨準備合わせて41兆円の損失。私には「失敗」でなく、わざとやっているとしか思えない。

 世界政治における16年の「3大ミステリー」を挙げている。すなわち(涜臈領選における異常なトランプたたき英国EU離脱国民投票におけるメディアのヒステリーF本のTPP前のめり対応である。

 これらの理解し難い動きを植草氏は「グローバリズムに対する、世界の各地から示され始めた狼煙(のろし)、反抗=レジスタンスのうねりに対する、巨大資本勢力、いわゆる1%勢力の動揺、あせりの裏返しである」とみる。

 は次期米大統領が「脱退」と言っているのになぜ突き進むのか。それは反グローバリズムのうねりの中で、1%勢力は窮地を打開すべく安倍首相に早期TPP批准の強行を命令したからではないかと推論している。
 
 同書の帯には「株価再躍動」とある。植草氏は17年が4、5年に1度の「大相場」になる可能性が生まれ始めていると記す。中国経済とともにわが国に強い影響を及ぼすのが米国経済の動向。FRB(連邦準備制度理事会)のイエレン議長は15年10月、「高圧経済“high-pressure economy”」という言葉を使って、緩和的政策を維持するのが得策との見解を示している。

 同書が可能性を示唆した通り、14日に米連邦公開市場委員会(FOMC)で1年ぶりの利上げが決まった。植草氏は直近レポートで、トランプ新政権の成長政策を背景に、「高圧経済」論に基づく金利引上げ路線が修正されて利上げが加速されるとの見通しを示しているが、09年のサブプライム危機から完全に立ち直っていない米国経済において、早急な金融引き締め策に慎重な姿勢を貫いてきたイエレン議長の手腕を評価している。

 懸念の1つは、トランプ次期大統領との関係だ。「トランプ新政権がFRBの真意を正確に理解し、FRBと良好な折り合いをつけて、米国経済の回復と安定的な金融政策運営、さらに世界経済の緩やかな回復実現に向けて、適正なマクロ経済政策運営の体制を構築することが強く望まれる」。

 17年は安定した内外の政治経済運営を願う。同書は資産運用だけでなく、激動する社会情勢を読み解くための羅針盤である。

反グローバリズム旋風で世界はこうなる [ 植草一秀 ]
反グローバリズム旋風で世界はこうなる [ 植草一秀 ]

ニュース研究 福島いじめ報道の目的

 「原発事故」のため福島県から自主避難している生徒が、「菌」「福島さん」などといじめられていたとの報道が13日から一斉にされた。ほかのいじめや暴言も含め、生徒や教師が加害者になる一連の報道は言動を怖がらせるために行われているとみる。何も言えなくして、人類を事実上のロボットにするために。

いじめに言葉が重要な役割

 13日配信の朝日新聞デジタルの記事は「『福島さん』といじめられ… 原発避難生徒におごり要求」と題し、東京都千代田区の区立中学校でのいじめを伝えた… 続きは、本日のメルマガ『高橋清隆のニュース研究』12月19日号「福島いじめ報道の目的」でご購読ください。

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【書評】『嘘まみれ世界金融の「超」最大タブー』安部芳裕・天野統康(ヒカルランド)

 敬愛する2友人による新著。過去の経済学が決して触れなかったマネーの仕組みと支配のからくりを暴露している。


 安部氏は08年に『金融の仕組みはすべてロスチャイルドがつくった』(徳間書店)を上梓し、「陰謀論」の根幹が決してうそでないことを明かした市民活動家で、山本太郎参院議員(自由)の秘書や三宅洋平参院議員候補の政策アドバイザーを務めてきた。

 天野氏は『世界を騙し続けた[詐欺]経済学原論』(ヒカルランド)や『世界を騙し続けた[洗脳]政治学原論』(同)、『サヨナラ! 操作されたお金と民主主義』(成甲書房)などを著し、講演活動を精力的に続ける民間研究者兼フィナンシャルアドバイザー。

 同書は7月に同社で開かれたセミナーでの2人による講演と対談を基にまとめられ、新たな書き下ろし論考が加えられている。

 第1章は「借金と利子が戦争をつくる! —銀行間の秘密カルテルから始まるお金の詐欺システム」と題し、安部氏がマネーを通じた民間銀行による支配の仕組みを解き明かす。通貨発行権はもともと国家が持っていたが、銀行がお金を創ることによって中央銀行を設立し、政府を凌駕(りょうが)するようになった。

 興味深いのは、「羊毛狩り」の仕組みである。これはウォール街の隠語で、略奪を指す。端的な例は1929年の大恐慌で、FRBは信用創造量すなわち貸し出しを増やした。担保に取ったのは株券で、株価がピークを迎えると一転、貸し出しを抑制する。株は暴落した。

 1931年に景気回復の名目で、米国民は金貨や金塊を財務省で紙幣と交換することを義務付けられた。FRBが金を回収すると、兌換(だかん)紙幣を廃止。合法的な金の強奪に成功した。

 第2章は「借金通貨システムのからくりを解く—250年にもわたる壮大な詐欺から抜け出せ!」の題で、天野氏が教育を通じた国民洗脳体制を告発する。国際銀行権力が知られてほしくない、マネーの仕組みに気付かせないためである。その仕組みとは、無から有を生み出す信用創造である。

 刮目(かつもく)すべきは、「アホノミクス」で知られる浜矩子(はま・のりこ)の素性である。毎日新聞はじめとしたマスコミで“反体制論客”としてコラムを連載する彼女は、同志社大学大学院の山口薫教授を首にしたとのこと。山口氏は通貨発行権や国際銀行権力の研究などに取り組んでいた。

 第3章の対談で思わず膝をたたいたのは、『21世紀の資本』で一世を風靡(ふうび)したトマ・ピケティ教授の評価。資本の収益率、すなわち金融経済の資産の増加率(r)が経済成長率(g)より高いから格差社会になるというのは、結果に過ぎない。なぜrの方が大きいかは語らず、問題の根本解決にはならないと指摘する。

 第4章は「嘘まみれ世界金融の超最大タブーからアベノミクスを斬(き)る—詐欺システムを目隠ししてきた主流経済学」の題で、天野氏が古典派経済学からマネタリズムまでを批判。リチャード・ヴェルナー理論を援用してアベノミクスの欠陥を暴く。

 第5章は「実用化へ待ったなし! 夢のエネルギーR水素—金と権力の独占もない、紛争や貧困もない未来へ」と題し、安倍氏が地球レベルの問題への処方箋として、R水素(再生可能水素)の活用を説く。

 R水素は水から取り出せ、地域で「つくって、ためて、つかう」ことのできる再生可能エネルギーと説明する。水や空気を汚すこともなく、地域でお金が回るように、地域を自立させるものとして注目する。独占できないため、紛争や貧困を引き起こすこともないという。

 同書は学校やマスコミによって固定観念の刷り込まれた人にこそ、読んでほしい一冊である。「タブー」の向こうに、明るい未来を予感した。

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【書評】『世界を騙し続けた[洗脳]政治学原論』天野統康(ヒカルランド)
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嘘まみれ世界金融の「超」最大タブー [ あべよしひろ ]
嘘まみれ世界金融の「超」最大タブー [ あべよしひろ ]

追記
 12月18日、東京都杉並区の方南会館で開かれる「ワールドフォーラム」に両氏が登壇します。終了後には忘年会と出版記念パーティーもありますので、ぜひご参加を。
詳細ページhttp://worldforum.jp/information/2016/12.html

ニュース研究 「フェイクニュース」の倒錯

 事実でないことを記事のようにしたインターネット上の偽ニュース「フェイクニュース」を信じた男がレストランに押し入って銃を発砲する事件が米国の首都ワシントンであったとNHKが7日、伝えた。この報道の目的が言論弾圧にあることは明白である。

ヒラリー敗北は「ピザゲート」?

 このNHKニュースは米国メディアの記事を紹介する形で報じられている… 続きは、本日のメルマガ『高橋清隆のニュース研究』12月12日号「『フェイクニュース』の倒錯」でご購読ください。

 2016年11月より、メールマガジン『高橋清隆のニュース研究』[月額:540円(税込み)/配信サイト:foomii(フーミー)]/を配信しています。
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「うそつき自民党」 TPP可決も声送り続ける

 環太平洋連携協定(TPP)承認案と関連法案が参院で可決・成立した9日、参院議員会館前では市民約300人が集まり、結果を覚悟しながらも「うそつき自民党」「採決するな」などと反対の声を上げ続けた。

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市民に議会報告する徳永氏(右から2人目。同3人目は紙氏・2016.12.9筆者撮影)

 午前10時、同会館前では同法案に反対する市民がすでに100人ほど集まっていた。参院特別委員会での審議・採決が終わる正午すぎには、約300人に膨れ上がった。

 集団の中には、元農水相の山田正彦氏や元外務官の孫崎享(まごさき・うける)氏、農水省内での審議会の休憩中に駆け付けた鈴木宣弘東大教授、衆院議員の篠原孝(民進)氏、アジア太平洋資料センター事務局長の内田聖子氏、「TPPに反対する弁護士ネット」呼び掛け人の和田聖仁(わだ・きよひと)氏、醍醐聰(だいご・さとし)東大名誉教授ら、わが国を代表する論客の姿もあった。

 午後1時から審議の始まった参院本会議場に向けて、市民らは「TPPは要らない」「採決するな」と声を送る。TPP法案の賛成・反対討論が始まると、山田氏が「われわれは3月から雨の日も、雪の日も、抗議の座り込みをやってきた。皆さん、腹の底から声を出して成立を止めよう」と鼓舞。「自民は割れろ」「政治家なら誠意を尽くせ」とコールを始めた。

 午後2時、TPP協定承認案の採決が始まると、シュプレヒコールは最高潮に達する。スピーカーを全て本会議場に向け、「うそつき、うそつき自民党」「頑張れ、頑張れ野党」と大音声をぶつけた。

 インターネット中継で自由党の山本太郎氏と森裕子氏が牛歩戦術を取り始めたのを知ると、「牛歩だ、牛歩だ山本太郎」「負けるな、負けるな森裕子」と賛辞を送る。2人を孤立させないためだ。

 承認案が賛成165対反対70で可決し、関連法案の採決に移るが、声は弱まらない。「全員で牛歩して」「すぐ出て来たら承知しないぞ」などと中にいる野党議員を叱咤(しった)激励した。

 午後2時30分、「関連法の施行はさせない」「採決無効」の声が響く中、採決を終えた野党議員9人が駆け付け、報告した。

 紙智子参院議員(共産)は「連日、力強く声を上げてくださってる皆さん、ありがとう」と謝辞を述べつつも、「数の力で採決を強行したことに、渾身(こんしん)の怒りを込めて抗議したい」と訴えた。

 紙氏は承認案について、30日ルールが適用される参院では協定案の問題点が国民に明らかになるよう審議を尽くしたが、委員長の職権で審議打ち切りになったことを「本当に許せない」と批判した。

 その上で、「この間の議論を通じ、国民の反対が多数になっている中、これで国会の意思を示したことにならない。TPPは発効しないのが明らかになっている中で、まだ闘いは終わらない」と引き続きの反対運動を呼び掛けた。

 徳永エリ参院議員(民進)は、集まった市民に「いつも中から声を聞いていた」と感謝を伝える。「TPPと国民の安全安心は両立しない。たとえ発効しなくても、承認すればここまではわが国が認めたことになり、2国間協定でTPP以上のものが求められる。日米のグローバル企業はウインウインかもしれないが、誰が痛みを引き受けるのか。普通の国民だ。本当に申し訳ない」と頭を下げた。

 徳永氏は、政府の規制改革推進会議で「農業改革」と称する農業破壊が着々と準備されていることにも触れ、「心ある仲間とともに、一生懸命阻止したい。皆さん、背中を押してください」と訴えた。

 本会議を傍聴した農民運動全国連合会(農民連)青年部事務局長の渡邉信嗣氏は開口一番、「怒りより、力が抜けた。悔しい。言葉にならない」と吐露した。「自民党は『公正な貿易ルールをつくる』とか『それが平和に役立つ』とか、同じことしか言わない。徳永さんが『国会決議違反』と主張したり、辰巳(孝太郎参院委員・共産)さんが『今問われているのは新自由主義』と向けたのに対し、いつもやじる自民党議員は全くやじれない。どっちに正義があるのか明らか。この暴挙に対し、農民の仲間を代表して全力で抗議したい。そして発効させないために、何としても闘い続けましょう」と唱えた。

 集会の呼び掛け人でもある内田氏は、先月の参院特別委中央公聴会で口述したことを振り返り、「TPP協定の承認に何の合理性もないことを、自民党議員も分かってるんじゃないか。目をそらし、下を向いて黙っていた。みんな分かってるのに、どうして止められないのか。ここに私たちの国の根本的な問題がある」と提起。「この間、いろんなひどい法案が通ってきた。これ以上、このようなことが起きるのを止めましょうよ、皆さん」と悪政に終止符を打つことを呼び掛けた。

 和田氏は「国会の安倍首相や閣僚の答弁を聞いていても、でたらめばかり。協定文第17章国有企業章の付属書犬砲弔い胴駘企業は11社しかないとか、独立行政法人は国有企業に当たらないとか、日米並行協議の内容は法的に拘束されないとか、全く違う。でたらめの積み重ねの中で国会審議と採決がなされた。無内容で、無効だ」と主張した。

 参加者たちは「TPPまだまだ反対」と唱和し、気を引き締めていた。

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参院本会議場に向けて声援を送る市民(2016.12.9筆者撮影)

亀井氏がトランプ当選や天皇譲位問題を語る

 亀井静香衆院議員は8日、東京・千代田区の憲政記念会館で開いた自身主宰の勉強会「日本をどうする!」で、米国大統領選でのトランプ氏当選や靖国合祀(ごうし)、天皇の譲位問題などについて語った。

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自分の意見が言える希有な政治家、亀井氏(右、2016.12.8筆者撮影)

 勉強会は石原慎太郎氏との対談形式で行われた。トランプ氏の当選を予見して大統領選中の11月上旬に面会を求めて渡米した亀井氏は、トランプタワー14階でトランプ陣営の最高幹部らと会談したことを報告した。

 選挙結果について「クリントン氏より、トランプ氏の方が日本にとって交渉相手としてやりやすい。安倍総理にも言ったが、日本が強いネゴシエーターを持っていれば」と歓迎した。

 幹部と論点整理をし、日本に対し安保ただ乗り論や核武装容認論を言わないことで同意を得たことを明かし、「(3日間)選対本部と一緒にいたことは、いろんな意味でプラスになったと思う」と意義を強調した。

 その上で、亀井氏は日本のマスコミ報道について「富裕層が自分たちの金でローアー(下層)の面倒を見るのは嫌だというエネルギーが働いたという解説は間違っている。ローアーの連中が現状打開できる男を担いで当選させたのが実態」と否定した。

 トランプ氏の経済政策について「評価できるのは、金融資本主義が行き過ぎてマネーゲームになっていて、それによって雇用が失われていると捉えていること。金融資本主義を是正して、産業資本主義、物作りを中心にやっていく国に変えようというのは正しい。日本も同じ」と共感を示した。

 トランプ氏の安全保障政策については「米国が世界の警察官をやめようと言うのは正しい」と評価。在日米軍は日本を守るためでなく、極東軍事戦略上必要な所に置かれた経緯を指摘する一方、ミサイル防衛の時代に入り、グアムに迎撃基地を置いていることを挙げ、「ミサイル防衛をやる上で日米はどういう協力をしていくべきかという観点で日本の防衛も考え直すべきとき。トランプ氏の登場は、それを考えていくいいチャンス」と提起した。

 石原氏が憲法の全面書き直しを主張したのに対し、亀井氏は「私を含め、日本人らしさを失っている今の日本人が、子々孫々に『これが日本の基本法だ』なんてものを作っていいのか。まず、われわれがちゃんとすべき。世界が分裂しながら個々に相争いながら進んでいるとき、日本が同じことをやっていくのか」と冷ややかに応じた。

 参議院で審議が続く環太平洋連携協定(TPP)については「米国が都合のいいように商売するために国を売る話。日本がばかげたことに『もっと、もっと』とのぼせているとき、当の言い出しっぺである米国のクリントンもトランプも『やめた』と言っている。日本ってどういう国か」と嘆いた。

 靖国神社の戊辰戦争の犠牲者に対する扱いに触れ、「死者を差別している。権力に従って死んでいった者は靖国に祭られ、それと戦った者は逆賊として靖国に祭られない。こんなばかなことがあるか」と改善を主張。自身が呼び掛けた合祀運動に首相経験者や議長経験者など、国会議員百十数人が賛同していることを報告した。

 天皇の譲位については慎重な考えを示した。「政治権力とは別な所にいらっしゃるのが日本の皇室。ところが、権威を自分たちの政治的権力の道具に使うのが日本の歴史で、江戸時代はじめ豊臣、北条もそうだった。国民を従わせるために。そういうことをやれないようにと、皇室典範ができた」と経緯を説明。

 「天皇陛下がそうおっしゃるなら、そうさせてあげなさいという意見が国民の8割以上だが、それでいいのか。天皇陛下や皇族が引かれるのをお決めになることができるようになったらどうなるのか。日本の歴史を見れば、権力者が恣意的に皇位を使っていく可能性が出てくる」と指摘。

 その上で、譲位について「これは大きな問題。特措法だけでやったらどうなるのか。今の皇太子が天皇陛下になって、『やっぱり俺は務まらない』とか『弟の秋篠宮の方がいい』とか。そういうことがどんどん起き出して、皇室は存続し得るか。非常に難しくなる」と述べた。

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著者プロフィール


反ジャーナリスト。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。ローカル新聞記者、公益法人職員などを経て、2005年から現職。      『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。  著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。           

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