2020年の東京五輪を控え、準備が着々と進められている。競技場だけでなく、外国人の慣習に沿った硬軟両面での整備が広範な分野で進む。「おもてなし」は、日本人が外国人のしもべとして尽くす宣言に聞こえてならない。

首都圏を租界化する戦略特区
 外国企業による日本侵略を促す制度に国家戦略特区があるが、「東京圏」は五輪を契機に「世界で一番ビジネスがしやすい環境を整備する」を目標に掲げる。政策課題は「グローバル企業に対する雇用条件の整備」「外国人向け医療の提供」「外国人の滞在に対応した宿泊施設の提供」など10項目あるが、外国人優遇策が目白押しだ。

 具体的には、外国人の起業や留学生の起業・就職を容易にする「高度外国人材の受け入れ推進」やメイドなど「外国人家事支援人材の受け入れ」、「外国人介護人材の活用」、医療では「保険外併用療養の特例」導入や医療ツーリズムの実施、外国医師が外国人患者を診る業務解禁、国際医学部の新設などが並ぶ。

 外国人滞在を支援するため旅館業法に特例を設けるほか、農地転用を容易にするため許可権限の農水大臣または知事から市町村長への移譲や、法人税減税の検討も盛り込む。

 一方、雇用については「雇用労働相談センター」を開設し、ベンチャー企業やグローバル企業を支援する。これは福岡市のいわゆる「解雇特区」でも出てきた機関で、企業側の運営で従業員を切りやすくする装置である。

 特区内の労働者は日本人である。しかも、外国人向け医療やカジノを日本人は利用できない。プライベートジェット機専用の滑走路を羽田に整備しろとの提案も出ている。まさに首都圏を租界化するプロジェクトである。特区で規制緩和をやれば、ラチェット条項で戻せない。

 注目すべきは、「特区」が政権交代に関わらず一貫して推進されてきたことである。小泉政権の「構造改革特区」に始まり、菅政権の「総合特区」、安倍政権の「国家戦略特区」に続く。もともと『年次改革要望書』に盛り込まれていたものであり、世界の支配権力がわが国を計画的に占有しようとの意図が見え隠れする。

太らせ刈り取る支配権力
 戦争で勝ちながら、技術を教え込んで去るお人好しの国などない。経済安定九原則やドッジ=プランで日本経済の自立を支援したのは何のためか。プラザ合意も構造改革も、初めから企図されていたと考えるべきではないか。

 国際的なスポーツイベントは支配権力が画策し、ブラックユーモアを世界に発信する場だ。1964年の東京五輪は、「わが国を太らせる宣言」だったのではないか。開会の10月10日はユダヤ教の祭日である。

 二回目の東京五輪は、「刈り取り宣言」と目する。「計画的に」との表現に反発を感じた読者もいるだろう。ならば、なぜわが国のインフラは安普請なのか。鉄道に枕木を使い、街路には電柱が立ち並び、電線がクモの巣のように張る。高速道路は国道や鉄道の高架の上をむき出しで走り、川をまたぐ。

 わが国の国民1人当たりGDPは世界1を記録しながら「ウサギ小屋」に住んできた。役員報酬も驚くほど少なく、一般の従業員と大差ない。物の値段が定価なのはなぜか。あくまで労働要員として、横領できないようにするためではないのか。礼儀正しく、行列をつくって順番を守り、サッカー場では来たときよりも美しく掃除して帰る。不平があっても跡を濁さず、にこにこして辞める。

 こうした立ち居振る舞い方は、外資による略奪を円滑にしたのではないか。そもそも、なぜ外国人がテレビや映画に普通に出ていたのか。商店のチラシもマネキンも、全部外人ではなかったか。舶来音楽と相まって、経済降伏に先立って文化的併合をさせたといえないか。

 ちなみに近年、「最近のマスコミはけしからん」という声を聞くようになった。5大紙とNHKはそろって消費増税、TPP、日米同盟の強化を主張しているからだろう。しかし、マスメディアは誕生時から民衆をだますために発明され、本来の役割を発揮してきたことは、戦前の反米報道や戦中の大本営発表、占領期のウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムを見れば一目瞭然(りょうぜん)のはず。1960年代から続く成長期、つまり「太る」段階においてはメディアと国民が利益共同体だったから気付かなかったにすぎない。ゆでられ始めたカエルは心地よい。

収奪者に尽くす主権者
 成長から「刈り取り」に転換する予兆はあった。その象徴が「秋葉原通り魔事件」である。すなわち、秋葉原が技術立国日本の陳列棚から奴隷と殺りくの舞台に転落したことを世界に宣伝する儀式だった。エプロンドレスに身を包んだ日本人が「ご主人様、お帰りなさい」と仕えるメイド「文化」は創られたものである。一般人の大量殺傷は、来る戦場行きを暗示した。

 本来主人である国民の奴隷化と、戦場行きは着々と進んでいるではないか。18歳以上への選挙権年齢の引き下げはすでに決まり、派遣労働の受け入れ期間の制限撤廃を盛り込んだ労働者派遣法改正、集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法案は今通常国会で成立する見通しだ。

 国民資産の略奪も完了寸前だ。三角合併の解禁で、主要企業の株式の7割は外国人の保有。GPIFの「より機動的な運用」で、年金基金はハゲタカに運ばれている。日本郵政の親子同時上場で、戦後の国民の汗の結晶である郵貯・簡保資金は国際金融資本家の手中に収まるだろう。

 一方、国民経済は財政赤字を理由に投資を手控え、税は直間比率をますますいびつにする。働く女性を礼賛して国民の残り半分にも課税しつつある。職場では英語を公用語とする企業が増えていて、「真性保守」を自認する安倍首相は小学6年生から英語を必修化する。

 主人とゲストの主客逆転は、すでに起きている。先日、九州新幹線に乗ったら、グリーン車と指定席は外国人ばかり。最下等の一般車に主権者の日本人がおとなしく座り、仕事をしていた。

 今や駅をはじめ、街の至る所に外国語表示がある。外国人に喜んでもらえるよう、言葉を覚え、地域を案内する講座を自治体が率先して開く。われわれは富を献上し、一層劣悪な条件で働きながら、大量に上陸する収奪者に尽くす。これが「おもてなし」の実態である。

 世界へ向けた「おもてなし」のプレゼンで占領儀式の開催を引き寄せた女性が、合いの子であることに注意する必要がある。「合いの子」の表現に抵抗感を抱く読者もいるかもしれない。しかし、差別を助長するとして「国際児童」などへの言い換えが定められているのは、彼らの増加を促す意図があるからではないか。偏見には共同体を守る歴史的英知が潜むとエドモンド・バークは指摘している。

 支配権力は来る東京五輪を、奴隷国家日本の誕生を祝う式典にしたいのだろう。この屈辱的儀式に景気回復やお祭り騒ぎを期待していては、悪夢の実現を後押しするだけだろう。

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