52年ぶりの獣医学部設置に絡み約50億円の補助金詐欺が疑われる愛媛県今治市で23日、国家戦略特区を利用した同事業に抗議する集会とデモがあり、約300人が岡山理科大を運営する加計(かけ)学園や市の責任を問うとともに、衆院解散により同疑惑を隠そうとする安倍政権を批判した。

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建設中の校舎前で補助金詐欺を告発する黒川氏(中央。左は山本氏、右は木村真・豊中市議、2017.9.23筆者撮影)

 主催した「今治加計獣医学部問題を考える会(考える会)」によれば、同市でデモが行われるのは30年ぶり。正午、同市郊外にあるしまなみアースランド駐車場には同学部新設に反対する市民が全国から集まった。

 山本太郎参院議員(自由)も駆け付けた。臨時国会冒頭にも予定されている衆院解散について、「この獣医学部に係る数々の疑義から逃げるために安倍首相自身が打った」と批判した。

 旧民主党政権時代を含め15回も特区に応募しながらはねられてきた提案が一気に進んだ理由を、「(加計孝太郎理事長が)40年来の友達という以外見つからない」と指摘。「36億円の土地を無償譲渡され、総事業費の半分の96億円を負担させられる皆さんが一番の被害者」と向けた。

 さらに山本氏は、「ここに来て分かったのは、建設費の水増し。50億円の補助金を上乗せするのは、大理石でも敷くのか。あり得ない」とやゆし、「国家権力が動かなければ、この事業はスタートしなかった」と突き放した。

 その上で山本氏は、「この問題は全ての公務員が全体の奉仕者であって一部の奉仕者でないことを定めた憲法15条違反。加計優遇と法人税減税を皆さんに付け回すことは、生存権を定めた憲法25条違反につながっていく」と述べ、憲法違反を強調した。

 集まった市民は「加計隠し解散絶対許すな」「加計孝太郎の証人喚問」などとシュプレヒコールを上げながら獣医学部A棟の建設が進む今治新都市開発予定地までデモ行進した。

 工事現場の前で「考える会」共同代表の黒川敦彦氏は、ライフサイエンス研究の専門家の建築図面に対する意見に基づき、「この施設が認可されれば、100%バイオハザードが起きる」と両断した。

 「バイオセーフティレベル3の研究施設を持ち、家畜などの感染症の研究をするとしている。しかし、5階の実験室は隔離されておらず、エレベーターを学生も使う。ウイルスが漏れた場合、下階に容易に感染した空気や廃液が流れ落ち、甚大な感染を引き起こす」と指摘した。

 52枚に及ぶ図面等を独自に入手した黒川氏は「何で市長は市民に説明しないのか。こう言ったら警察を呼ばれた」と、9月6日の体験を明かした。市役所に詰め掛けた市民38人が国家戦略特区特別委員会の傍聴を求めたら、「警察を呼ぶぞ」と脅された。終了後、特区・特別委員長の寺井政博市議に詰め寄ると、警察に排除されている。

 「沖縄の辺野古や高江で機動隊が市民を連れて行くような映像は見たことはあった。なぜ時の政権や市長に対し、『ちょっとおかしい』と言ったら警察に呼ばれるのか。市民はどうしたらいいのか」と問い掛けた。

 その上で、黒川氏は「そもそも加計学園はウイルス研究をする気などない。96億円を市に請求して、50億円くらい懐に入れるのが狙い」と分析。「まず、市長と加計孝太郎理事長に来て説明してくれと言いたい」と訴えた。

 約300人の市民は建設中の大学敷地に向かい、「説明責任果たしてないぞ」「市民に使え、加計に渡すな」「加計問題の幕引きさせるな」などと声を上げた。

 市内に住む69歳の男性は、「腹が立ってしょうがないから来た。安倍総理とつるんでるからできたんやろ。それに怒らんのがおかしい」と参加の動機を話した。周囲の反応について「今治は保守的な町だから、あまり人は言わない」と嘆きながらも、「大学は要らんよ」ときっぱり。

 「新都市に土地が余ったから、大学が来るのは構わんと思った。だけど、こういうやり方はいかん。税金の使い方がめちゃくちゃで、今治市民を、日本国民をばかにしている。安倍晋三そのものが」と顔をしかめた。

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姫井由美子元参院議員も岡山から参戦。加計氏の優遇について安倍首相を批判した(2017.9.23筆者撮影)

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ジャーナリストで元同志社大学教授の浅野健一氏は「この問題がマスメディアの変わる契機になれば」と期待を示した(2017.9.23筆者撮影)

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夕方、市役所から繁華街をデモ行進する市民(2017.9.23筆者撮影)