『週刊金曜日』掲載

 電車内で痴漢をしたとして東京都迷惑防止条例違反の罪に問われ上告中の植草一秀元教授(四七歳)が週刊誌『フライデー』の記事で名誉を傷付けられたとして損害賠償を請求していた訴訟の判決公判が七月二八日、東京地裁で開かれ、石井忠雄裁判長は発行元の講談社に一一〇万円の支払いを命じた。

 提訴していたのは、同誌二〇〇四年四月三〇日号掲載の記事。「植草一秀 ハレンチ犯罪に走った『もうひとつの素顔』」と題し、一九九二年と九四年にも逮捕歴があるほか七、八回「同様の行為」で厳重注意を受けていることを捜査関係者の話として紹介している。同号の発行は、植草元教授が品川駅で女子高校生のスカート内をのぞいた疑いで逮捕された直後で、起訴される前。事件は二〇〇五年に有罪が確定しているが、上告中の〇六年事件同様、無罪を主張している。

 裁判では記事を執筆した記者が証人尋問で、警視庁担当の新聞記者から情報を入手し、旧知の警察関係者から認知を得たと証言。警察内部で過去の犯罪歴にアクセスできる人からこの関係者が聞いたとしている。しかし判決は、記者と接触した警察関係者がいかなる内部情報を提供したか明らかでなく、犯罪歴にアクセスした人物が存在したかも疑問を持たざるを得ないとした上で、「報道関係者らの間のうわさに基づき、客観的な裏付けもないまま」記事を作成したことを糾弾した。

 判決後、原告代理人の梓澤和幸弁護士は「ここには、裏付けのない情報を広めながら誰も責任を取らなくていい構造がある。松本サリン型の報道被害を防ぐには、『○○警部補』などと発信元の個人を特定して記述する必要がある」と訴えた。

 植草元教授は〇七年四月から週刊誌四件とテレビ局一件を名誉棄損で訴えてきた。これまで『アサヒ芸能』の徳間書店に勝訴し、『女性セブン』の小学館と和解が成立している。