高橋清隆の文書館

 当ブログでは、マスメディアが伝えない情報や事象分析を発信しています。
新聞やテレビがつくる「社会標準」から解放されれば、人類は本来の豊かな人生を送れると確信します。

2009年08月

構造改革に抗議の出馬を決めた元郵政官僚、稲村公望氏に聞く(下)

(中)からのつづき
『骨太の方針』やめ、全国民が豊かに暮らせる社会を

−当選したら、どんな政権をつくりたいか
 「企業活動から個人の生活レベルに至るまで、分配のしくみをよくしたい。弱者のハンディーを大切にする心豊かな政策だ。努力しないでもうかるのはよくないが、貧富の格差を小さくすることが重要だ。国民の大多数の経済が悪化すれば、国は活力を失う。経済と道徳は車の両輪だ。
 また、権威と権力を切り離した方がいい。小泉改革の本質は、日本の国体の根本に触れる危うさがあった。タイやネパールでの動きは、同じ延長線で起きている可能性がある。権威は絶対守らなければならない」

−なぜ、出身地の鹿児島でなく、東海ブロックから出馬か
 「上司だった長谷川憲正氏(現参議院議員)に勧められ、応援したいという人もいたから。わたしは名古屋の東海郵政局に2回勤務していて、愛着を持っている地域だ。
 首相は『本当は郵政民営化反対なんです』と言いながら、鳩山邦夫総務大臣を更迭し、何もしようとしない。じゃあ、誰が直すのか。しかも、郵政だけが問題なのでなく、構造改革全般がいかさまだ。市場原理主義の政策が修正される保証があるのであれば、自分のような者が選挙に打って出る必要はないが、“義を見て為さざるは 勇なきなり”の心境だ」

−議員になったら、真っ先に何をやりたいか
 「参議院を一度は通っている郵政株式凍結法案を、衆議院で成立させたい。郵政民営化法では、民営化後10年以内に日本郵政が保有するゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式を売らなければならない。仕掛けた連中は前倒しで売りたいと思っているはずで、これを止める。バラバラになった郵便局インフラを再構築したい。悪しき改革の元になっている経済財政諮問会議を廃止したい。国会議員でない財界人の一部の声が国政に反映されてきた。『骨太の方針』もやめるべきだ」

−財政均衡主義についてはどう考えるか
 「2020年までに延長したプライマリーバランスを外す。政府が保有する金融資産を担保に、国を富ませることが重要だ。経済学者の菊池英博氏が言うように、5年間で積極的な公共投資をやって税収を上げ、財政赤字をなくす。この提案はクリントンが米国でやったものと同じ考え方。日本は逆に、お金を外へ持っていった。今のままで行くと、アルゼンチンやチリのようになる」

−理想となるような社会モデルはあるか
 「一番イメージしやすいのは、70年代初頭の日本。きちんとした財政政策をやれば、うまくいく。構造改革で大騒ぎする前まで、多少のバブルはあったが格差の小さい、豊かな社会が成り立っていた」

−地元の反応は
 「顔の見えない選挙が、わたしが出たおかげで見えるようになったと言われる。名古屋の昔の同僚には、『お前、年取ったなあ』とからかわれた。地方でおいしい名産を楽しむ。例えば三島に行くと、ウナギがおいしい。愛知、三重、岐阜、静岡と駆け巡れば、旧知の友人・知人に会う喜びもひとしおだ。地方の疲弊が手に取るように分かる。政治は総合的な学問であることを実感する」

−最後に有権者へメッセージを
 「この10年で貧富の差が拡大し、国の規模も小さくなった。一部の人が富む社会など、続くわけがない。健康な人も病気の人も、国民一人ひとりが、それぞれの人生をまともに豊に暮らせる社会に戻しましょう。今が、そのチャンスです」

■ 稲村公望:1948年、鹿児島県大島郡天城町に生まれる。東京大学法学部を卒業し、1972年に旧郵政省入省。八女郵便局長や在タイ王国日本大使館一等書記官、総務省政策統括官などを歴任。郵政公社常務理事のとき民営化反対を貫き、2005年に退任。中央大学大学院公共政策研究科客員教授を務める傍ら、『月刊日本』や森田実ホームページに論説を掲載中。

構造改革に抗議の出馬を決めた元郵政官僚、稲村公望氏に聞く(中)

(上)からの続き
求められるインテリジェンスの強化と外交官の養成

−海外経験が豊富だが、そこから見える政策課題は
 「わたしは米国の大学院で学び、外交官として東南アジアに3年半いたこともある。意外に思われるかもしれないが、国民新党には外国通が多い。長谷川憲正氏はフィンランド大使を務めていたし、自見庄三郎氏はハーバード大学で研究員をしていた。
 日本の外交に評価すべき所はたくさんあるが、海外と比較して感じるのはインテリジェンス(諜報(ちょうほう)活動能力)が弱く、訓練が不足しているのではないか。昔の陸軍中野学校のような養成機関をつくり、佐藤優氏のような人材が活躍できる体制を整備する必要がある。母校のフレッチャースクールは、アメリカが経済的に苦しい時代に創立されているから、日本でもできないわけがない」

−対外交渉では、負けてばかりか
 「旧郵政省にいたとき、通信資材調達の交渉をやったことがある。ある種の出来レースのようなところはあるが、言われっぱなしではない。
 一つの例を挙げれば、機器の仕様書を英文で出荷できるよう求めてきた。わたしは粘った末に『あなた方の提案を受け入れる』と言ったら、相手はびっくりしていた。後で『わたしが勝利した。日本でこれを見て、誰が注文するか』とささやいたら、嫌な顔をしていた。日本製品が外国で売れているのは、その土地の言語で分かりやすく書いた仕様書を付けているからだ」

−ほかに武勇伝があったら
 「電波の権利をオークションに掛けようとの提案が外国から出され、マドリードで会議が持たれたことがある。AOLタイムワーナーの社長や、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンを買ったフランスの会社の社長などが参加していた。
 わたしは『ノー』と言って、2時間半にわたる演説を続けた。弁士中止のヤジが飛んで、『あいつの原稿は際限がないから』と。オークションに国際的に反論したのが、国益を守ることになったと思う。世界的にも成功例はみあたらない。郵政民営化も同じことだろう。成功した例があるのかと言いたい」

−どうすればそのような官僚が育つか
 「官僚組織の人材養成は出世競争と関係ない所でやる必要がある。虚栄心や我欲ではなく、国民共通の利益のために働けるように。日本は金満大国だが、こうしたことにお金を使っていない。ヤルタ体制は崩れつつあり、自立・自尊の日本をつくることが、世界に貢献する。情報力を備えた、人材養成が基本である。 大来佐武郎(おおきた・さぶろう、所得倍増計画を策定した官僚で後に外相)先生を今でも尊敬している」

−国益が守られていないということか
 「象徴的なものの1つは、日本の自動車メーカーの駐在員の子供さんたち。州の学校では毎朝、外国国旗を前に忠誠を誓わせられている。日の丸も掲揚してほしいと思うが、ただ、あまり強く言うと偏狭になるから、気を付けないとけない。寛容の精神も持たないと。
 いいところは学んで入れて、充実させるのが日本のお国柄。郵便制度だって、19世紀末に欧州で勉強して来て入れたもの。大化の改新と同様、オリジナルでも何でもない」

■稲村公望:1948年、鹿児島県大島郡天城町に生まれる。東京大学法学部を卒業し、1972年に旧郵政省入省。八女郵便局長や在タイ王国日本大使館一等書記官、総務省政策統括官などを歴任。郵政公社常務理事のとき民営化反対を貫き、2005年に退任。中央大学大学院公共政策研究科客員教授を務める傍ら、『月刊日本』や森田実ホームページに論説を掲載中。

構造改革に抗議の出馬を決めた元郵政官僚、稲村公望氏に聞く(上)

 中央大学大学院客員教授の稲村公望氏(60)は7月、衆議院比例区東海ブロックから、国民新党の公認で立候補することを表明した。旧郵政省に入り、総務省政策統括官を務めた後、日本郵政公社常任理事として郵政民営化に反対し、退任を余儀なくしている。稲村氏に出馬の真意を聞いた。

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稲村公望氏(撮影:高橋清隆、7月31日)

市場原理主義の三大虚妄を正せ、潮目は変わった

——今回、立候補を決めた動機は
 「世界では国際金融資本がダボス会議などを通じて各国の政治を差配している。当時の竹中平蔵金融相と米通商代表部のゼーリック代表が17回も会っていたとされるが、会談の中身も公表されていない。これは今も大きな問題だ。
 わたしは反米ではない。米国では政権が変わり、政治の方向性としてはむしろオバマ新政権に賛成する部分が多い。
 日本は十数年にわたって『赤字だ』『赤字だ』と言って緊縮財政を続けて来た。一方で、海外資産を幾ら持っているのか。貧しい国を助けるならいいが、外国国債などを通じ勤労の成果を貢いできた。
 金融危機が起きたが、元本の10倍、100倍の投資を可能にするレバレッジは間違えている。ネズミ講は論理では成立しても、現実には成立しない。そのような政策には、「ノー」と言わなければならない」

——旧郵政省出身ということが、思いの根底にあるのか
 「マスコミの人によく『官僚上がり』と言われるが、これは侮辱だ。官僚であるほど中立的な立場を求めたし、私利私欲はない」

——出馬は市場原理主義への抗議か
 「市場原理主義に『ノー』との意思表示だ。日米構造協議を発端に要求された構造改革という蜃気楼(しんきろう)に対して。その意味でわたしはドン・キホーテのつもりだが、ただの抗議ではない。実際の政治過程に参加することで、ある種の主導権を握りたい。自分を疑い皮肉る余裕は持つようにしているが、構造改革への反対はあながち間違いではないと思う。
 郵政民営化、規制緩和、公共政策の削減という、市場原理主義の三大虚妄に対して、反旗を翻す官僚が出てくると思ってたが、ほとんどなかった。役人には生活がかかっており、『抵抗勢力』として黙って生き延びた人もいるかもしれないが、大体はしっぽを振った。
 政治家にも『市場原理主義と決別する』との発言もあったが、現実の政策となっていない」

——官僚を辞められた経緯を
 「郵政公社になったとき、『民営化等の見直しは当分の間行わない』と書いてあったから郵政公社に志願した。ところが、1年もたたない間に郵政民営化準備室がつくられ、職員を派遣することになった。わたしはこの人事を拒否し、はんこを押さなかった。
 その間、わたしは対日レポートや外国政府による郵政民営化に関する資料をつぶさに読んでいた。だから『改革』の背景は分かっていた」

——この外圧は、ずっと続きそうか
 「アメリカで『チェンジ』があったせいか、圧力はもう感じない。一昨年、『月刊THEMIS(テーミス)』にマイケル・ムーア監督の映画『シッコ(SiCKO)』の評論を書いた。アメリカは公的な健康保険制度がなく、医療の質は世界で37位と書いたが、オバマ大統領は公的医療保険制度の導入を公約している。様変わりだ。昨年9月15日のリーマンショックで完全に潮目が変わった。
 わたしは反米を言う気はない。日本の市場原理主義の手先が問題なだけだ。『上げ潮派』は、暗礁に乗り上げたのだから、『引き潮派』と呼ぶべきだ」

■稲村公望:1948年、鹿児島県大島郡天城町に生まれる。東京大学法学部を卒業し、1972年に旧郵政省入省。八女郵便局長や在タイ王国日本大使館一等書記官、総務省政策統括官などを歴任。郵政公社常務理事のとき民営化反対を貫き、2005年に退任。中央大学大学院公共政策研究科客員教授を務める傍ら、『月刊日本』や森田実ホームページに論説を掲載中。

「私は自殺しない」と植草一秀元教授、収監で

『PJニュース』2009年8月4日掲載

 懲役4月の実刑判決を受けている経済学者の植草一秀元教授(48)が3日午後1時半、東京高等検察庁に出頭した。東京都葛飾区の東京拘置所に収監される。

 植草氏は2006年9月に京浜急行電車内で女子高生の尻を触ったとして、逮捕・起訴された。6月の上告棄却によって1、2審が支持され、実刑が確定していた。132日間の未決勾留(こうりゅう)期間を算入した2カ月間、同拘置所内の執行受刑者用の舎房で服役する。

 この事件の起訴内容は2004年の品川駅事件と同様、矛盾が多く、植草氏は一貫して無実を主張してきた。被害者が一度も出廷ない上、誰とも接触していないことを証言する目撃者も現れている。

 こうした事実をマスコミが一切報じない中、植草氏は自身で潔白を明かす本を出し、ブログも開設。読者は1日5万人を超え、ネットを中心に逮捕の不当性を訴える声が広がっている。6月には副島隆彦教授との対談本も出し、大型書店の売り上げも上位にランクされている。

 事件をめぐっては、これまでマスコミが植草氏に対する執ような人権侵害を繰り返してきた。収監に伴い、植草氏の民事事件を担当する「名誉棄損事件弁護団」は報道各社に要望書を提出した。

 「今後植草一秀氏に対する事実無根の報道や、事実に基づかない誹謗(ひぼう)中傷的報道などをなされないよう強く要望する」と記した上で、植草氏が自身のブログで「私は自殺しないことをここに宣言する」と宣言したことを紹介。「植草一秀氏が刑の執行を終了の上、再び充全な言論活動を開始されることを心から期待している」とつづっている。
新聞に載らなかったトンデモ投稿
亀井静香―最後の戦いだ。
亀井静香が吠える 痛快言行録
偽装報道を見抜け!世論を誘導するマスメディ…
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       高橋清隆

郵便局からのお振り込み
【記号】13160   
【番号】10900411

銀行からのお振り込み
【口座】ゆうちょ銀行  
【店名】三一八(読み:サンイチハチ)
【店番】318     
【預金種目】普通預金  
【口座番号】 1090041 
【口座名】盒鏡粁粥  

著者プロフィール


反ジャーナリスト。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。ローカル新聞記者、公益法人職員などを経て、2005年から現職。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。  著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。           

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