高橋清隆の文書館

 当ブログでは、マスメディアが伝えない情報や事象分析を発信しています。
新聞やテレビがつくる「社会標準」から解放されれば、人類は本来の豊かな人生を送れると確信します。

2010年10月

東京のダイナミズムは使い捨てのサイン

 ひところ、日本橋の景観が論争を呼んだ。日本の道路網の拠点が、高速道路の高架の陰に隠れている状況でいいのかと。小泉政権のときの首相の発言だから、外資の開発利権が絡んでいたのかもしれない。突然、そんなことを言うのはおかしい。

 論争が熱を帯びたころ、建築評論家で現東北大学大学院教授の五十嵐太郎氏が毎日新聞にコラムを寄せたことがある。日本橋の現況を肯定するほぼ唯一の論客として。パリ生まれの彼は、立体交差だらけの東京こそ世界に例を見ないダイナミックなエネルギーがほとばしる芸術的な景観であり、日本人はむしろこれを誇るべきだと主張した。

 なるほど、東京の都市景観は躍動的である。ビルの間を高速道路が擦り抜け、その下段に幹線国道、さらに地上には一般国道が走る。地下には地下鉄が縦横に延びる。これらが皇居のお堀をまたぎ、鉄道の線路をくぐり、デパートの中を貫通する。

 町じゅうに電信柱が立ち並び、空には電線がクモの巣のように張り巡らさせている。こんな国はほかにない。しかし、このユニークさは誇るべきものなのだろうか。歴史的文脈を考えると、わたしは決して喜べない。

 わが国の経済は、1997年を頂点に縮小を続けている。この年513兆円あったGDPは、09年には471兆円足らず。自殺者は年間3万人超が12年続き、失業率は5%台から下がる見通しがない。不況下にありながら、経済政策の基本中の基本である財政出動をしないからである。マスメディアは正論を唱える学者を排除し、事業仕分けを礼賛するばかりだ。

 空前の成長を遂げた日本経済が変調を来したのは、バブルとその崩壊である。1985年、当時の竹下登蔵相と日銀の澄田智総裁がニューヨークのプラザホテルに呼び出され、円高容認と超低金利政策、緊急の大規模投資をのまされた。行き場をなくした資金は国内を環流し、地価や株価をつり上げる。虚構が崩れた後は一転、国際会計基準の導入や規制緩和を実施し、優良企業を二束三文で外資に譲り渡した。

 これらは偶然の出来事だろうか。バブルの発生同様、構造改革は米国の要求による。米軍の駐留と経済復興を優先する「吉田ドクトリン」や池田勇人の「所得倍増計画」も、米国が全面支援したもの。複雑な東京の都市景観は、1964年の東京オリンピックに合わせてつくられたが、世紀のイベント開催日は10月10日。ユダヤ教の贖罪(しょくざい)日である。

 毎日見る東京の景観は、わたしが上京した27年前と同じ。世界を牛耳る金融資本家たちは、日本をこれ以上発展させる気がないのだろう。テレビは「テント村」を移しながら、「ばらまき予算」を糾弾し、派遣をやめさせようともしない。

 一方で、中国は開発ラッシュにわく。高速道路が延び続け、高層ビルが次々と建つ。金融センターの上海には、ロスチャイルド銀行の子会社が林立し、潤沢な資金を供給する。種をまき、太らせ、刈り取り、ほかへ移るのが彼らの常とうだ。安普請の交通網は「ウサギ小屋」と呼ばれた集合住宅同様、使い捨てにされる運命を物語るのではあるまいか。

 時給870円の皿洗いのバイトの帰り、見飽きた高架のコンクリートはすすけるばかりだ。

郵政改革法案つぶしの世論喚起に注意を

 10月から始まった臨時国会は、郵政改革法案の成立を最優先することで国民新党と民主党が確認書を取り交わして準備してきた。しかし、ここに来て、またもや審議を阻む世論喚起が活発化している。

マッチポンプの郵便不正事件
 郵政つぶしの世論誘導の筆頭は、郵便不正事件である。厚労省の職員が障害者向けの郵便割引制度を悪用したい団体にうその証明書を偽造しようとした罪に問われたもので、起訴された村木厚子元局長に9月10日、無罪判決が出た。

 これを受けて同21日夜には前田恒彦大阪地検特捜部の主任検事がフロッピーディスクを改ざんした証拠隠滅の疑いで逮捕。10月1日の大坪弘道前部長と佐賀元明前副部長の逮捕へと続く。その都度、日本新聞協会に加盟する日刊紙は一斉にトップ記事にし、国会での追及を促す環境をつくった。

 そもそも、郵便不正事件は自民党の凋落とともに郵政見直しへの機運が生まれていた2009年5月に発覚した。名前の通り、従来の郵便制度への悪印象を大衆に刷り込むことに貢献する。そして今回の無罪判決以降は一転、マスコミは検察捜査の在り方を疑問視するキャンペーンを張り、臨時国会で郵政改革法案の審議を脇へ追いやりたいかの勢いだ。これは検察とマスコミの合作によるマッチポンプではないか。

ビデオで引っ張る中国漁船衝突事件
 郵政つぶしのその2は、中国漁船衝突事件である。9月7日に尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突し、那覇地検が船長を早々と釈放したことをめぐり「政治介入があったのでは」との声がマスコミを賑わす。衝突時のビデオ映像を国会に提出することを10月13日、衆議院予算委員会の全会一致で決めた。

 船長の保釈後に中国外務省が「謝罪と賠償」を要求し、フジタの社員を拘束したことも、国民の怒りを喚起する重要な要素になっている。中国側の強硬姿勢に対するわが国の態度を「弱腰」とののしる野党側の批判を各紙が紹介し、国会での審議項目に滑り込ませようと必死だ。

 この事件の背後には、どん欲な米資本の影がちらつく。乗組員拘束中の9月15日、仙谷由人官房長官はリチャード・アーミテージ元米国務副長官と会い、事件のことで意見交換している。アーミテージ氏は憲法9条改正などを求める『超党派リポート』を編み、第二次レポートでは公然と中国封じ込め戦略を提起する。その一方で、米石油メジャー3位のコノコ・フィリプスの筆頭社外役員に就任。エネルギー資源探査会社ミトラエナジーを設けて南シナ海・南沙諸島海域での米中両国の権益調整に乗り出している。

 アーミテージ氏の在任中、米国は『年次改革要望書』で郵政民営化を再三命じてきた。衆議院へのビデオ提出は「国会の強い要請があれば前向きに考えていく」との仙谷氏の発言が決定打になった。策を伝授されたのではないか。

小沢氏追及は万能兵器
 3つ目は、小沢一郎民主党元代表への証人喚問論議である。東京第5検察審査会は10月4日、「土地購入資金の4億円を収入として書かなかった」罪で小沢氏起訴の議決書を公表した。検察の告発内容に含まれていない案件だ。しかも、議決書は民主党代表選のあった9月14日付。なぜ、20日も公表されなかったのか。

 小沢氏は亀井静香前郵政改革・金融担当相と仲が良く、郵政改革法案成立に前向きだ。小沢氏が選出されれば、即日公表して降ろす算段ではなかったのか。「落選」の結果、国会での郵政審議を阻むカードに使っている。

 検察すら起訴を断念した無理筋の事案を起訴した審査会には疑問点が多い。告発した市民団体は「在日特権を許さない市民の会(在特会)」代表の桜井誠氏との情報がある。桜井氏が自身のブログで告白している。しかし、検察審査会法第2条2項、30条で定める告訴者、被害者などに該当しない。

 在特会は8月10日、京都朝鮮第一初級学校に対する威力業務妨害で京都府警に逮捕されているが、このことと合わせて公表するべきではないか。審査員11人の平均年齢は「30.9歳」と発表されたが、20歳以上の選挙人名簿からくじ引きでこの年齢になる確率は0.06%。インターネット上で問題になり始めると、「33.91歳」に訂正した。そもそも、審査会は開かれたのか。

宣伝経費は略奪金のごくわずか
 朝鮮学校への攻撃と郵政つぶしは、ともに米国資本の意に沿うものだ。アジアに分断と対立をもたらすことが大国の安定につながり、金貸しの利益になる。郵政民営化は収奪の手段だ。

 2005年の「郵政解散」の際は、米保険業界が5000億円の広告費をわが国の民営化宣伝に投じたと指摘されている。350兆円の金融資産を略奪できると思えば、何のことはない額だ。ならば、大阪地検の一角を非難させたり、中国の「横暴さ」を演出させたり、小沢氏をたたかせたりするくらい、朝飯前ではあるまいか。

 これら3点セットで今臨時国会での郵政改革法案を流すことを請け負った議員たちが、作られた世論で増長している。マスコミが次々と提示する「問題」に惑わされていたら、戦後60年余の汗の結晶である郵貯・簡保が横取りされてしまう。

亀井代表がTPPめぐり民主幹部に苦言

http://www.pjnews.net/news/490/20101028_2

亀井代表が貿易自由化協定参加に反対を表明

http://www.pjnews.net/news/490/20101021_1

菅沼光弘氏の講演会(10/22)

 元公安調査庁第二部長、菅沼光弘先生の講演会を開きます。テーマは北朝鮮情勢。参加ご希望の方は『月刊日本』までご連絡ください。

『月刊日本』特別講演会

講師 菅沼光弘

演題 激動の北朝鮮情勢

場所 赤坂区民センター

日時 10月22日(金) 18:00〜

会費 千円

Tel 03-5211-0096
mail gekkan.nippon@gmail.com
『月刊日本』編集部ブログ・案内ページ
新聞に載らなかったトンデモ投稿
亀井静香―最後の戦いだ。
亀井静香が吠える 痛快言行録
偽装報道を見抜け!世論を誘導するマスメディ…
Archives
記事検索
ご支援のお願い
 このブログでは、マスコミが伝えない社会の動きや事象分析を紹介したいと考えています。取材・執筆には時間と労力がかかります。     つきましては、当ブログの記事に賛同いただける皆さまに寄付を賜りたく、お願い申し上げます。少額でも助けと励みになりますので、ご理解とご協力をいただければ幸甚の至りです。

       高橋清隆

郵便局からのお振り込み
【記号】13160   
【番号】10900411

銀行からのお振り込み
【口座】ゆうちょ銀行  
【店名】三一八(読み:サンイチハチ)
【店番】318     
【預金種目】普通預金  
【口座番号】 1090041 
【口座名】盒鏡粁粥  

著者プロフィール


反ジャーナリスト。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。ローカル新聞記者、公益法人職員などを経て、2005年から現職。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。  著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。           

メールはこちらから
livedoor プロフィール

donnjinngannbohnn