高橋清隆の文書館

 当ブログでは、マスメディアが伝えない情報や事象分析を発信しています。
新聞やテレビがつくる「社会標準」から解放されれば、人類は本来の豊かな人生を送れると確信します。

2013年04月

ニュース解説 祭り事故報道の真意

 あらゆるマスコミ報道は宣伝(プロパガンダ)である。ある報道が何の目的で発しられたかを「ニュース研究」の表題で推論してきた。今回は祭り事故をめぐる報道の真意を説明する。意図が余りに明白なので、「ニュース解説」とする。それでも取り上げるのは、この刷り込みに気付くことが重要だからだ。

img_1288966_40091394_0(ブログ「日々燦々 − はぁ〜、のんびり のんびり –」様より拝借)


土着的風習を一貫して攻撃

 8日、兵庫県の淡路島で祭りのだんじりを押していた男子中学生(13)が死亡したとの報が、 NHKをはじめとするマスメディアで一斉に流された。福良八幡神社の秋季例祭として、約50人の男たちが市道を練り歩いていた。

 だんじりとは、日光東照宮の陽明門のような屋根の形をした山車で、重さは1.5トンもある。男子中学生は、このタイヤに頭部をひかれた。

 この報道の目的はずばり、土着的伝統を破壊することである。祭礼は地域住民のきずなを深め、先人たちの英知を無意識裏に伝承する貴重な機会である。権力は集団を恐れる。民衆を完全に奴隷化するには、地縁・血縁を中心とした結合を解き、「支配機構対1個人」の関係に再編する必要がある。

 この報道に接した国民は、「祭りって、野蛮だ」「無意味」「もうやめたらいいのに」と反応するかもしれない。それなら支配権力の思惑通りである。

 なるほど、祭りは不合理に満ちている。先ほど「練り歩く」と書いたが、男衆が全速力で引き回すと言った方がいい。だんじり祭りは近畿地方各地にあるが、大阪・岸和田のだんじりなどは重さ4トンを超える。街路でこれが疾走すると、屋根瓦をたたき落とし、店の看板を壊し、電信柱を倒す。死人が出るのは織り込み済みだ。

 祭りが無意味に見えるのは、近代合理性に毒されているからにすぎない。文化人類学や経済人類学を学んだ者なら分かるはずだが、祭礼は破壊と蕩尽(とうじん)に主眼に置いた非日常の場であり、生産に没頭する日常を刺激する。交換を通じて村落共同体の紐帯(ちゅうたい)を強め、結果として集団を豊かにする。

 伝統破壊が目的との指摘を疑う読者のために、この手の報道が繰り返されていることを記す必要がある。10年10月10日、大阪府泉大津市で会社員の男性(28)がだんじりの間に頭部を挟まれ死ぬというニュースがあった。時事通信によれば、長さ3.6メートル、重さ約4トンのだんじりを300人で引き、止まっている別のだんじりに衝突させる「濱八町祭礼」という行事の最中だった。

 祭礼のしきたりにはこうした危険な動作が含まれており、報道は「野蛮な」と人々がこぼすことを狙っている。野蛮と言えば、ほかに「けんか祭り」がある。これも当然、権力の抹殺対象にある。09年10月、兵庫県姫路市の「灘のけんか祭り」に参加していた市職員(49)がみこしに挟まれて死亡したとの報道を各社がした。

 「けんか祭り」は佐賀県から秋田県まで、広く伝わる。各地区に別れた男衆同士が衝突するのが最大の見せ場。「灘のけんか祭り」は「本宮」で「屋台」と呼ばれるみこしをぶつけ合い、新居浜太鼓祭りでは「太鼓台」と呼ばれる担ぎ者をぶつけ合う。「鉢合わせ」が起きれば、けんかの始まりだ。

 「新居浜けんか祭り」が1997年に多数の死傷者を出した際は、TBSテレビ『ニュースの森』がトップニュースで伝えるなど、マスメディアはこぞって悪宣伝を展開した。新居浜の祭りでの乱闘は、昭和30年代まで当たり前だった。神様は騒げば騒ぐほど、つまりけんかするほど喜んだと言われる。死者は神への生け贄(にえ)ととらえるべきだ。

 祭りの期間はけんかや未成年の飲酒は無礼講で、古くは性交が奨励されたと察する。しかし、大報道と警察の一斉摘発により、全国的に衝突を禁止し、開催期間も短くする動きが起きている。


祭りに絡むすべてが告発対象

 「でも、死者が出たのは事実。だからマスコミが報道するんじゃないか」

 こう反論する人もあるだろう。しかし、わが国における年間の殺人事件は1100〜1300件(死亡者数も同程度)。ほかに、警察が扱った変死体が14万〜15万体ある。それに対し、マスコミが報じる死亡事件は驚くほど少ない。何らかの意図を持った宣伝として行われていると見るべきではあるまいか(大半は「無理筋」の容疑者を犯人に仕立てるためだが)。

 祭り事故報道が土着風俗の抑圧として展開されている論拠として、本番での事故以外にも悪宣伝が張られていることが挙げられる。例えば、11年9月に大阪府堺市で高校生を監禁し、重傷を負わせて財布を奪ったとして造園業見習い(21)ら5人の男が逮捕されたとのニュースが一斉に報じられた。高校生と5人は同じだんじり祭りの青年団に所属する。5人は「だんじりの練習に来なかったから頭にきてやった」とする一方、「財布のことは知らない」と供述しているという。

 この事件を報じる時事通信の見出しは、「だんじり休んだ高校生リンチ=仲間5人逮捕、『頭にきた』——大阪府警」となっている。記事を読んだ人の多くは、「強制じゃないのに、なんで殴られなきゃいけないの」「祭りって暗い。ばかみたい」「廃止したらええねん」などの感想を抱くのではあるまいか。

 今年1月8日には、「白山天山(はくらくてんやま)保存会」が前理事長を相手取り、1100万円の損害賠償を求める訴訟を京都地裁に起こしたとの記事が大手各紙などに載った。原告は京都・祇園祭で巡行する山鉾(やまほこ)の一つを保存する団体で、前理事長が保存会の預金を東京電力株の購入に使って損害を与えたとしている。

 この提訴は昨年8月7日付。記者がたまたま知ったから報じたと推測される。記事によれば、理事長は「理事会で承認を得ており、保存会の訴えは不当だ」と主張。同会のホームページには「公益財団法人白楽天山保存会として再出発します」と記載があり、すでに再建が図られたと思われる。報道が悪意に裏付けられている証左ではないか。

 退屈してきた読者には、次の記事を捧げる。08年9月に石川県内の祭り会場で起きた事件だ。全文を掲げる。

秋祭り会場にかま持ち乱入 1人死亡、6人重軽傷

 13日午後10時20分ごろ、石川県白山市鶴来桑島町の桑島神社境内で、祭りの終了後にかまを持った男が乱入し、周囲の男性7人を次々に切り付けた。うち30代の男性が死亡し、1人が重傷、5人が軽傷。
 鶴来署は殺人未遂の現行犯で、現場にいた露天商新井敏明容疑者(42)=金沢市法光寺町=を逮捕。容疑を殺人に切り替えて調べている。
 新井容疑者は調べに「祭りで露店を出していたが、客にからかわれて頭にきた」と供述。露店を閉めて金沢市の自宅アパートに軽トラックで戻り、車で現場に戻って切り付けたらしい。負傷者は祭りの関係者の可能性があるという。
 当時、現場には20−30人がいた。客の1人が同日午後10時半ごろに110番した。
 近所に住む50代の主婦は「テントか何かが倒れるような音がして、その後パトカーや救急車が次々と駆けつけてきた。祭りは毎年春と秋に開かれ、子供もたくさん参加する。知り合いが巻き込まれていないか心配だ」と話した。
2008/09/14 01:56 【共同通信】


 「祭りって、怖い」「もう行きたくない」。記事は、このような反応を期待している。マスメディアは伝統破壊の兵器である。これは比喩(ひゆ)ではない。土着因習を葬るというアジェンダがあるなら、「偏向報道」はもちろん、素材自体を作ることもあると確信する。


伝統破壊のためには殺人も創作

 この視点を授けてくれたのは、『悪魔の生贄殺人』(第一企画出版)を著した有賀祐士氏である。権力は事件を起こすことにより、法改正を遂行する。メディアは大衆をたきつけ、民の側から改正を要求させるためにあるという。

 わたしはこの指摘に共感し、近年大報道された殺人事件と法改正との関係を『偽装報道を見抜け——世論を誘導するマスメディアの本質——』(絶版、公共図書館で借りることを勧める)で詳述した。林眞須美畠山鈴香両死刑囚をはじめ処刑された宮崎勤氏神戸の「少年 A」も無実であり、秋葉原の通り魔事件はやらせと確信する。真犯人は大手を振って街を歩いている。

 有賀祐士氏は「有賀裕二」「ロバートオッペンハイマー」の名前でも傑作を世に出しているが、版元の第一企画出版はその後なぜか解散している。彼が「ロバートオッペンハイマー」の名で投稿サイト『阿修羅』に寄せた「NO.6悪・魔・の・世・論・操・作」には、卓越した眼力の片鱗を見ることができる。

 この投稿では、村落共同体を破壊するために実施されたキャンペーンとして、1938年に岡山県で起きた「津山30人殺し事件」と1961年の「名張毒ぶどう酒殺人事件」、1961年の広島県「因島まんじゅう毒殺事件」を紹介している。いずれも村人全員が仲むつまじく暮らす村落共同体のイメージを粉砕し、住民たちを個に分解することに主眼が置かれた。

 有賀氏は別の書著で、「阿部定事件」も娘が名家に女中奉公する前近代的な慣習をなくすためにでっち上げられたと解説している。

 逮捕されるのはスケープゴートだ。有賀氏は『悪魔が日本を嘲笑っている』の中で、米国の軍人軍属とその家族を守るために警察予備隊として発足させた自衛隊の内部組織を使って数々の謀略事件を起こしてきたと推論している。日本の警察はこの特権集団に手を出せないのである。

 犯行現場を見た警察の副署長は、一目で素人の殺人でないと分かる。『冤罪はこうして作られる』小田中聰樹(講談社現代新書)には、1984年に再審無罪が確定した「松山事件」で警察がスパイを使った事実が紹介されている。一般人を犯人に仕立てなければならないから、こういうことが起きるのだ。

 先に見た石川県の祭り殺人も、秋葉事件同様、実行犯は別にいるか、権力筋にそそのかされた後、はしごをはずされたと考える。

 現在、マスコミ各社は体罰とイッキ飲み禁止に力を入れる。体罰禁止は日本人を心身ともに弱体化させるが、イッキ飲み禁止同様、人間同士の密な結びつきを消滅させることが究極の目的と考える。マイナンバー制度が人間を権力と個人との関係だけに置き換えようとしていることと合わせて考える必要がある。

 伝統行事の暗部をお茶の間に披露するニュースを見て、「こんな時代遅れなしきたり、やめればいい」と怒っている大衆にぞっとする。

【参考ページ】
暴露されたフリーメーソン。NO.1すべてを疑え!
NO.2 坂本弁護士事件の怪
NO.3 容器の形状に関する証言は様々
NO.4 免田事件について
NO.5 証拠の捏造・隠滅
NO.6 殉教者を作り上げるパタ−ン
NO.6 悪・魔・の・世・論・操・作・
NO.8 フリーメーソン・カレンダ−(END)

偽装報道を見抜け!−−世論を誘導するマスメディアの本質偽装報道を見抜け!−−世論を誘導するマスメディアの本質 [単行本(ソフトカバー)]
著者:高橋 清隆
出版:ナビ出版
(2008-10-01)

【書評】『金利・為替・株価大躍動——インフレ誘導の罠を読み抜く——』植草一秀(ビジネス社)

金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く
金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く [単行本]


 第一級のエコノミストで、人気ブロガーでもある植草一秀氏の最新著。金融はもとより、政治や歴史にも精通した経済学者としての真骨頂が表れている投資指南書である。投資のための基礎知識を伝授するとともに、判断の根拠となる政治経済状況を鋭く分析する。

 同書は「ウエクサレポート」のいわば番外編に当たる。正式名称は「金利・為替・株価特報」で、会員制ニュースレターとして20年以上の歴史を持つ。最近では、12年11月の野田前首相による解散表明前に円安・株価上昇への転換可能性を予見し、今年に入ると日銀総裁人事を言い当ててきた。

 13年度の金利・為替・株価動向を読むため、わが国を取り巻く政治経済上の出来事を考察する。例えば、米国の「財政の壁」問題や、欧州債務危機、中国権力中枢における主導権争い、日中国境紛争の真相などである。「アベノミクス」の実効性を見抜く上での予備作業とも言える。

 植草氏のいつもながらの明快さにうなってしまうのは、「失われた20年」の政策分析の個所だ。最初の暴落は、バブル崩壊。2番目は、橋本政権による消費税引き上げを含む13兆円の実質増税。3番目は、小渕首相の再浮上への大転換を水泡に帰す、森・小泉両首相による緊縮策と構造改革だった。そこから資産デフレが続く。

 ほかにも目を見張った解説が幾つかある。08年以降の日経平均株価の推移は円ユーロレートに連動しているとの指摘は、その一つだ。欧州政府債務危機問題が浮上すると、ユーロ高の時代は終わった。円ドルレートが大幅変動しない中、急激な円高ユーロ安は製造業に打撃を与え、経済全体の浮沈を差配しているという。2つのグラフの相似性に驚いた。

 12年11月に解散表明がされてから、金融緩和期待の高まりが円安と株価上昇をもたらしている。こうした動向の予想は、安倍氏の政策が正しいか否かを判断することではない。市場参加者が金融市場変動をどう予想するかを予測できるかが鍵になる。いわば「美人投票の理論」で、自分の好みの問題ではない。円が下落し、株価が上がると市場参加者が予想するだろうと予測する場合に、それを見越してドルや日本株を買う。この行動が実際に円安、株価上昇をもたらすことになる。

 野田首相誕生の背景も告発する。11年8月の民主党代表選で野田氏を勝たせたのは、財務省だという。彼は09年総選挙前、「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」と演説していた。公約撤回は、首相の座に押し上げられることと引き換えだった。

 財政赤字がうそであることの説明も明快だ。政府の財務状況は、純債務残高の GDP比で見る必要がある。10年12月末時点で資産1073兆円に対し、負債は1037兆円。わずかではあるが、資産超過の状態にある。わが国は経常収支が黒字で、国債発行のすべてを国内の余剰資金が賄う。さらに余剰資金が海外に供給されている。それに対し、PIGS諸国はすべて経常収支赤字国である。

 投資のための手引き書として、「7つの極意」が収められている。ここで披歴するのは惜しいので、同書を読まれることを勧める。「極意その1」だけ紹介しておくと、第一は「負けないこと」である。具体的には、損切りルールを決めておくこと。すなわち、損失上限を3%なり、1%なり、5%なりと設定する。最初は「売られすぎの陰の極」に合わせるのが鉄則である。

 今後の市場動向はどうか。植草氏は「アベノミクス」の問題点を挙げ、警鐘を鳴らす。「デフレ」という言葉が広く流布されてきたが、そこには長期にわたる日本経済低迷の責任を日銀に転嫁したい財務省の振り付けがある。「デフレからの脱却」を「インフレ誘導」に置き換えて、最終的にはハイパーインフレで国の借金を棒引きにしたい思惑があるという。

 インフレが引き起こされて景気後退が続くなら、最悪だ。物価上昇で喜ぶのは、借金をしている人である。円安の進行で喜ぶのは、輸出企業と外貨建て資産を保有する人だ。預金をしている人は、インフレで預金が目減りする。円安が進行すれば、ガソリン価格も灯油価格も跳ね上がる。一般の国民は、インフレと円安で得るものは少ない。

 植草氏は日銀の独立性を排除する動きを批判した後、次のようにつづる。「金融緩和=円安=株高の循環が、円安=金利上昇=株安の循環に、いずれかの時点で切り替わる恐れが高まる。2013年秋以降の展開として、このリスクも念頭に入れていかなければならない」。

 同書が外交問題の真相から政権交代の裏側まで目を光らすのは、市場の実態を見抜くためにほかならない。「あとがき」で著者は吐露する。「世論を知り、真実を知る者だけが、市場の変化を予測し得る。現代日本の大きな特徴は、メディアが伝える情報が真実とかけ離れている点にある」。

 誰かの宣伝に振り回されたくない投資家と国民一般にお薦めの一冊である。

金利・為替・株価大躍動 [ 植草一秀 ]
金利・為替・株価大躍動 [ 植草一秀 ]

【書評】『「モンスター食品」が世界を食いつくす!』船瀬俊介(イースト・プレス)

「モンスター食品」が世界を食いつくす!  遺伝子組み換えテクノロジーがもたらす悪夢
「モンスター食品」が世界を食いつくす! 遺伝子組み換えテクノロジーがもたらす悪夢 [単行本]


 『買ってはいけない』(金曜日)で知られるジャーナリスト、船瀬氏の最新刊。副題に「遺伝子組み換えテクノロジーがもたらす悪夢」とある通り、自然に反した動植物が世界の環境を破壊するとともに、人類の体をむしばむ現実を告発する。

 多くの人はスーパーで食品を買うとき、「遺伝子組み換えでない」の表示が大半であることに安心する。しかし、油断は禁物だ。世界の作物に占める遺伝子組み換えの占有率(栽培面積)は、すでに大豆77%、トウモロコシ26%、綿実49%、ナタネ21%などとなっている。わが国の2番目の貿易相手国、米国に限れば大豆93%、トウモロコシは86%に及ぶ。別ルートでわれわれの口に入っている。

 遺伝子組み換え食品の代表格は、米モンサント社の「キング・コーン」だろう。害虫が付かず、5倍もの収穫量がある。直接口にするとまずいが、飼料用・加工用として生産を拡大している。牛や豚、鶏などの肉、魚や牛乳、卵あるいは加工食品や医薬品を通じてわれわれの体の一部になっている可能性が高い。

 評論家の立花隆氏は「遺伝子組み換え食品は安全だ。僕は進んで食べている」と公言しているが、本当にそう思っているのだろうか。1988年に米国で起きた「トリプトファン事件」は、動かぬ証拠だ。日本の昭和電工が遺伝子組み換えによって必須アミノ酸「トリプトファン」を生成し、ダイエット食品として販売したところ38人が死亡、少なくとも1500人が健康被害を受けている。

 「キング・コーン」も遺伝子組み換え過程で発がん物質が生成された可能性があるし、害虫を殺す有毒成分が含まれていると考えられる。英国の分子生物学者が200匹のマウスに「キング・コーン」を与えたところ、50〜80%にがん腫瘍が現れた。体からゴルフボール大の膨らみが幾つも突き出たマウスもいる。カナダのシェルブルック大学病院の調査では、妊婦女性の93%から、胎児の80%から「キング・コーン」の有毒成分が検出された。

 除草剤による汚染も考えられる。「キング・コーン」は除草剤「ラウンドアップ」と抱き合わせで販売される。「キング・コーン」はこれへの耐性を持つ。「ラウンドアップ」の起源は、ベトナム戦争で使われた「オレンジ剤」という枯れ葉剤にさかのぼる。大量散布された場所では1970年代以降、流産や奇形、皮膚疾患、がんなどが多発した。

 食肉はさらにひどい状況にある。米国最大の食肉企業、タイソン社の鶏のひなは、50年前の半分の日数で育つ。“品種改良”で胸肉が肥大化し、太陽光も差さない真っ暗な鶏舎で、極端にひしめき合って飼われている。運動不足で感染症にかかりやすいため、餌に抗生物質を混入する。やがて抵抗力を増してくるため、薬剤はより強力に。この薬まみれの鶏肉を食べた人の体は、間違いなく汚染される。

 奴隷化されるのは、家畜だけではない。タイソン社は農家に初期投資として多額の借金を負わせる。高額の新規設備や機械類などを押し売りし、断ることができない。米国の平均的な養鶏農家の借金は約50万ドル超(約4500万円)だが、年収は1.8万ドル(160万円)にすぎない。

 この鶏たちが食べるのは「キング・コーン」だ。モンサント社は遺伝子組み換えトウモロコシの生産を加速する「農業法」を通すため、議員たちに大金をばらまいた。さらに「備蓄のできる穀物の生産を優先する」ため「食糧法」が追加された。「キング・コーン」は同法に最適な作物だった。

 魔の食肉は、鶏だけではない。わが国でBSE(牛海綿状脳症)が騒がれたとき、肉骨粉が問題にされた。これは病死した牛や豚などの家畜、道端で死んだ犬、サーカスで死んだ象、スカンク、ネズミそしてヘビまで、あらゆる動物の死骸をミンチ状にしたもの。死んだ仲間の死体を食べて育った家畜を、われわれは食べさせられている。折しも、政府は米国の求めに応じ、全頭検査を月齢48カ月超のざる状態に緩和したところだ。

 家畜に投与される薬は、抗生物質だけではない。米国では牛を短期間で肥育させるため、6種類もの成長ホルモンが使われている。中でも「rBGH」は遺伝子組み換えによって生成された。米国産牛肉の残留エストロゲンは和牛に比べ、赤身で600倍、死亡で14倍も高い。しかし日本政府は米国の圧力に屈し、「3倍程度であるので健康には影響しない」と輸入を許可してきた。

 この成長ホルモンには強い発がん性がある。わが国の牛肉消費量は1960年代から5倍に増えているが、子宮がんもそれに比例して7倍に増えている。日本人の卵巣がんのピークは40〜50歳だ。著者の船瀬氏はこの理由を、「マクドナルドが進出し、家庭でも焼き肉やハンバーグが頻繁に食べられるようになった」からだと指摘する。

 遺伝子操作は、グロテスクな動植物を生み出す。カリフォルニア州のカルジーン社は「腐らないトマト」を開発した。これはFDA(米食品医薬品局)の認可を得たが、風味上の問題から生産を打ち切った。しかし、猛毒を合成するサソリの遺伝子を組み込んだキャベツが開発された。農薬を節約するためである。幸い、現時点では許可は下りていない。

 体長が2倍の“怪物サケ”は「近日中に承認される」。遺伝子組み換えヤギの乳を用いた血栓予防薬は認可された。羽をむしる手間を省いた“ヌードチキン”は生物特許を取得し、流通していると推測される。開発したイスラエルの学者が「遺伝子組み換えでない」と主張しているため FDAの審査がないが、英国の新聞は「この遺伝子組み換えチキンは羽がない」と報じている。

 ほかにもゲップをしない牛や人の母乳を出す「人間牛」、抗がん剤入りの「魔法の卵」、糞尿が肥料になる「エコ豚」、ホタルと合体した「光るタバコの葉」、「光る魚」や「光る豚」、乳から「クモの糸を出すヤギ」などが開発し終え、審査を待つ。食糧メーカーや種子メーカーの幹部が回転ドア人事で政府の所管官庁のトップに収まる米国では、承認は時間の問題と思われる。

 わが国は安倍政権がTPPにまっしぐら。経団連の米倉弘昌会長は菅政権時から参加を働きかけてきた。米倉氏はご存じの通り、モンサント社と業務提携する住友化学の会長である。TPPに参加すれば、遺伝子組み換え動植物が雪崩を打って入ってくるのは見えている。

 遺伝子組み換え食品の影響はすでに現れているかもしれない。米国ではアレルギーが急増し、糖尿病や肥満が増えている。わが国では「花粉症」が横行し、不妊が激増してる。これらは農薬や化学肥料、遺伝子組み換え食品によるものではないのか。マスメディアはワクチン接種や不妊治療などを一生懸命紹介するが、原因について掘り下げることはない。

 なぜ遺伝子組み換え作物を普及させるのだろう。管見では、人口削減と思考力の低下が目的だと思っている。同書はこの部分に触れていない。ただし、中国でモンサントが害虫被害の影響でビジネスとして成立していないことを紹介している。同社は自然環境を壊すことに最大の関心があるとしか思えない。

 くしくも、同書はバイオ化学企業と製薬企業のマッチポンプな関係に触れるときに、デーヴィッド・アイク氏の著作を頻繁に引用している。ご存じの通り、彼は「爬虫類人(はちゅうるいじん・リプティリアン)説」の第一人者。けだもの勢力による人類支配を告発してきた。そもそも、同書の題は「モンスター食品」だ。悪行の企画者をほのめかしたい意図がうかがわれる。

「モンスター食品」が世界を食いつくす! [ 船瀬俊介 ]
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       高橋清隆

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【記号】13160   
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【口座】ゆうちょ銀行  
【店名】三一八(読み:サンイチハチ)
【店番】318     
【預金種目】普通預金  
【口座番号】 1090041 
【口座名】盒鏡粁粥  

著者プロフィール


反ジャーナリスト。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。ローカル新聞記者、公益法人職員などを経て、2005年から現職。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。  著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。           

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