高橋清隆の文書館

 当ブログでは、マスメディアが伝えない情報や事象分析を発信しています。
新聞やテレビがつくる「社会標準」から解放されれば、人類は本来の豊かな人生を送れると確信します。

2014年04月

「このままなら日本はアウト」、亀井氏が安倍政権を批判

 亀井静香衆議院議員は21日夜、東京都内で開かれた『真相Japan』(橘匠主宰)の講演で安倍政権による外交・内政をめぐる右傾化政策に触れ、「このままいけば日本はアウトだ」と批判した。

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自社さ政権の樹立など、これまでの政治体験を語った上で政権の右傾化を批判する亀井氏

 安倍政権は集団的自衛権を認める憲法9条の解釈改憲や国家安全保障会議の設置、特定秘密保護法の整備、道徳教育の特別教科化など、戦争への布石とも思える政策を次々に打ち出している。

 亀井氏は安倍首相の国家観について「鎮守の森を中心とした村社会のような日本をつくるべきで、晋三総理も異存はない」としながらも、「右バネが利き、なれそうもない総理になったから、その延長線でいかないと自分の地位が危ういという潜在意識が強い。小泉の新自由主義を推進した連中が周りを取り囲み、こいつらの言うことを聞かなければいけなくなった」と分析。「このままいけば、日本はアウトだ」と批判した。

 亀井氏は安倍首相に電話や面会で数度にわたって苦言したことを明かし、「『あなたは日本の総理になっただけじゃない。地球、世界をどうするか、リーダーの立場であなたがやらなければ』と聞かせた。中国や韓国、北朝鮮とけんかだけは駄目だ」と述べた。

 自身が究めた合気道を引き合いに「合気道の極意は、敵が正面から来たら、さらりとかわして脇に入ること。相手の力を利用して。ガチンコ、ガチンコでいったら不測の事態が起きる」と警告したという。

 「保守」を名乗るメディアが道徳教育の復活や教科書に政府見解を書き入れる動きを礼賛しているが、亀井氏は「保守だからといって戦前が楽園みたいなことを言ってはいけない。今、戦前に回帰するのが保守という空気が強くなっているが、間違いだ」と主張。「中学校に軍人が配置され、政府批判したら治安維持法で引っ張られた。一切、批判できる状況になかった」と指摘した。

 当時の大政翼賛体制について「政党政治でもなければ、議会も機能していない。抵抗したのは三木武吉(みき・ぶきち)と鳩山一郎、中野正剛(なかの・せいごう)の3人だけ。北朝鮮と同じ。ああいう社会が日本にとって良かったのか」と、自由な議論を封じ込める現在の動きをけん制した。

亀井御大が来る!

 日本の用心棒、亀井静香衆議院議員が『真相Japan』の主催で講演します。昨年の参院選後、人前で話すのを断ってきた御大としては異例のこと。マスコミが伝えないラストサムライの叫びに耳を傾けませんか。

日時:2014年4月21日(月曜日) 午後6時30分〜  閉会9時
会場:中野サンプラザ 8階  第2研修室

限定 80名
前売り 2500円
当日  3000円

問い合わせ先
shinsou.japan@gmail.com

『真相Japan』の告知ページ

戦略特区の危険露わに=識者5人がシンポ

 弁護士の宇都宮健児氏や立教大学の郭洋春(かく・やんちゅん)教授ら法律や経済に明るい有識者5人が13日、東京都内でシンポジウム「危ない! 国家戦略特区〜雇用・医療・暮らしはどう変わるのか〜」を開き、全国6カ所で始まる国家戦略特区の危険性を指摘した。

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第3部のパネルディスカッション(2014.4.13筆者撮影)

議会の外で意志決定、老人は奴隷に?
 初めに基調報告として前大田区議の奈須りえ氏が国家戦略特区の概要について説明した。「まちづくり」は東京の一極集中をさらに強め、「雇用」は最低賃金をさらに低くし、「医療」は保険の負担を増やすと指摘した。「教育」は学校を民間委託し、「税制」は法人関係の税金をさらに減税。「農業」は農地の株式会社保有を認めるという。

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基調報告する奈須えり氏(2014.4.13筆者撮影)

 特区は3月28日、第1弾として東京圏、関西圏、新潟市、兵庫県養父(やぶ)市、福岡市、沖縄県が指定された。奈須氏は「特区は特別な地域なはずなのに、首都東京がなっている。GDPで日本の4割を占める地域で、幾つもの法律を変える民主的な手続きを省いて一気にルールが変更される」と批判した。

 TPP(環太平洋経済連携協定)との関係にも触れ、「国際条約を結んでも、国内法を変えなければ私たちの暮らしに影響は及ぼさない。TPPが停滞しているように伝えられるが、交渉が進まなくても戦略特区で進む」と警告した。

 安倍政権の独創のように思われることもある国家戦略特区だが、その始まりは小泉政権下の「構造改革特区」にあり、菅政権の「総合特区」を通して引き継がれたものであることを指摘。その狙いが民間への財源移譲から、権限移譲に発展していることを強調した。

 「構造改革特区」と「総合特区」では、事業主体はあくまで地方自治体だったのが、国家戦略特区では民間事業者になる。区立保育園を株式会社が自治体のお金を使って運営するといったものから、今度の大阪市のように水道事業を民営化しようとする動きが特区とは別に起きており、グローバル化を背景とする規制改革の流れになっている。

 「総合特区」からは規制緩和に加え、税制優遇や利子補給なども取られるようになっている。この飛躍が物議を醸さずに決められた理由について、奈須氏は「東日本大震災が起きた直後の2011年4月に成立した。被災地にも特別な支援をとのことで、税財政措置が盛り込まれた」と分析する。

 評価手法のいびつさも指摘する。福祉、医療、教育も売り上げや投資が増えれば評価され、全国展開へ。 TPPに入れば、特区で規制緩和を一度やれば、ラチェット(自由化不可逆)条項で戻せない。奈須氏は「特区による生活への影響について報道がない。『景気がよくなる』との報道ばかりで、何が行われているのか知らされていない」とマスコミの姿勢にも苦言を呈す。

 そもそも特区は、憲法95条に抵触する疑いがあるという。憲法95条には次の下りがある。

 「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない」

 安倍首相は規制改革を進めるに当たって「既得権益層に立ち向かう強い政治力が必要」と発言した。既得権益者とは誰か。「法に守られた国民ではないか」と奈須氏は指摘する。「規制が岩盤なのは、日本国憲法の下、根拠を持って法律や制度が積み上げられてきたから」。

 意志決定過程にも、重大な問題が潜む。民間議員の竹中平蔵氏が「ミニ独立政府ができた」と喜んだ。国家戦略特区諮問会議の議員は「2分の1が規制緩和の構造改革の推進に優れた見識を有する者。内閣総理大臣が任命」と定められている。定員は最大10人。「議長を1人出すので、緩和したい人たち5人を入れれば好きなようにできる。民主主義の外側に意志決定の機関を作ってしまった」と奈須氏。

 今回選定された6カ所の特区のうち、奈須氏が特に警戒するのが養父市だ。高齢化した中山間地での農業振興が目的だが、「最低賃金以下の高齢者雇用の仕組みを全国的に展開しようとしているのでは」と分析する。現行のシルバー人材制度は高齢者が余暇を活用して週20時間以内の仕事を請け負うもので、最低賃金法にかからない。これに補助金を入れて20時間以上の作業をさせようとの計画だ。

 奈須氏は「なぜ、普通の雇用形態に補助金を下さいと言わないのか、意図的なものを感じる。そのうち、高齢者たちが農業を再生したという美しい報道が展開されるのが見えている。高齢者以外にも波及するから、全国展開されたら大変なことになる」と予見する。

形変え再登場した「解雇特区」
 各分野からの報告として、首都圏青年ユニオン非正規労働センター事務局長の河添誠氏は、昨年秋に示された「解雇特区」構想と新たな「雇用指針」を中心に説明した。

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河添誠氏(2014.4.13筆者撮影)

 「解雇特区」は_鮓枉魴錣鬚△蕕じめ雇用契約に盛り込めば即解雇できる△△訥度の年収があれば労働時間の規制をなくすM期雇用契約で5年以上働いた労働者は申し出により無期契約に転換させる労働契約法の規定を適用除外にする——というもの。

 これは労働組合や朝日新聞などのメディアが批判して見送られた。しかし、今度は「雇用指針」の形で同じことをやろうとしている。労務管理手法を「内部労働市場型」と「外部労働市場型」に分け、グローバル大企業は後者に当たり、解雇しやすいと説明するための指針として作成された。

 雇用をめぐる企業や労働者の相談には、特区内に設置される「雇用労働相談センター」が当たる。しかし、河添氏は「規制を緩和するのが目的であり、企業側の運営になるのは間違いない」と推測する。

 その上で河添氏は、特区は全ての分野で進む規制緩和の1つの突破口として見ることが重要だと主張する。

 「労働者派遣法は、派遣労働者を3年から無期限に使えるよう改悪した。しかし、法律で突破するのが難しいものは特区で自治体を定め、岩盤をドリルで開けていく。使い分けされていることを見なければ」

貧困と格差助長する東京圏
 宇都宮氏は、東京圏の構想の内容を紹介。目標に「2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックを契機に世界で一番ビジネスがしやすい環境を整備する」を掲げ、「世界から資金・人材・企業等を集める国際的ビジネス拠点を形成するとともに、創薬分野等における企業イノベーションを通じ、国際競争力のある地域を創出する」ことを目指す。

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宇都宮健児氏(2014.4.13筆者撮影)

 政策課題には「グローバルな人材・資金等の受け入れ促進」「女性の活用を含めた多様な働き方の確保」「グローバル企業に対する雇用条件の整備」「まちなか賑わい創出」「外国人向け医療の提供」など10を掲げる。

 宇都宮氏は「創薬」がなぜか強調されている点や、「まちなか賑わい創出」に描かれている「東京シャンゼリゼプロジェクト」に特に注目。「容積率を緩和して高層ビルを造ると、一番喜ぶのがゼネコン。大手デベロッパーが早くから計画に関与している」と指摘した。

 東京都が財政的に最も豊かであることを挙げ、「都民の暮らしのために使わず、予算の大半を大型開発に使っているために貧困と格差が広がっている。今回の戦略特区は一番手薄な保育所や都営住宅、特別養護老人ホーム、若者の雇用の問題を解決する方法ではない」と批判した。

三位一体で日本は52番目の州に
 郭氏は韓米FTAの経験を踏まえ、国家戦略特区の本質を告発した。「TPPと戦略特区はメダルの裏表。内容がばれないように特定機密保護法案を作った」と3者の一体性を指摘した。

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郭洋春氏(2014.4.13筆者撮影)

 戦略特区は安倍政権が考えたのではなく、米国が言っていることや、先進国である日本では経済社会発展につながらないこと、FTAを結んだ韓国は学校や病院が株式会社化され、恩恵は外国人投資家に配当の形でもたらされただけであることを説明。

 その上で、特区の問題点としてヽ飴颪悗陵益誘導格差社会の助長9餡箸量魍篳棄、を挙げた。「米韓FTAのとき、アメリカの官僚が言った。『本当の目的は企業の自由な経済活動を保障することではない。韓国の法律、制度、習慣を変えることにある』と。実際、FTA締結に当たり、60以上の法律を変えた」。

 郭氏は「それを日本に押し付けるのがTPP。日本はアメリカの52番目の州になる。51番目は韓国だから」と苦笑した。

“侵略特区”で国の土台揺らぐ
 長野県の佐久総合病院医師の色平哲郎(いろひら・てつろう)氏はへき地医療を担う立場から、医療をめぐる自由化の危険性を訴えた。「多くの人が医療制度が複雑すぎると不満持っているが、最近意見を変えた。これだけ複雑なら、なかなか外資が入ってこないだろう。これこそ最大の非関税障壁だ」とわが国の医療制度をたたえ、「国家戦略特区は外国企業侵略特区では」と皮肉った。
 
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色平哲郎氏(2014.4.13筆者撮影)

 TPPの特徴の1つとして、薬価上昇を挙げ、「薬価が2、3倍になり、製薬会社は知的所有権でもうかる。医療機関にかかる皆さんが苦しみ、医者も保険会社に査定されて苦しむ」と指摘。寸劇を交えながら「長野がバーチャン、ジーチャン特区ならいいが、なぜ大東京に憲法番外地をつくる」とやゆした。

 『コミック 貧困大国アメリカ』堤未果著・松枝尚嗣画(PHP研究所)を手に、「TPPは農業の問題ではなく、都市近郊の普通の庶民の老後を直撃する。営利を旨とする企業の論理に委ねれば、合衆国のように公教育や医療、福祉制度といった国の土台が揺らぐ」と規制緩和の動きをけん制した。

特区は憲法で止められる
 内田聖子NPO法人アジア太平洋資料センター事務局長がコーディネーターを務めるパネルディスカッションでは、特区の動きを止める方法について示唆があった。宇都宮氏は住民投票が意思表示手段になることを認めながら、論拠として憲法95条が有効であるとの見解を示した。

 さらに、雇用の問題については労働基準法や労働組合法、労働契約法などを念頭に、「他の地域で保障されている権利がその地域だけ保障されてないのは、『法の下の平等』を定めた憲法14条に反すると争う余地がある」と述べた。

稲村公望氏、郵政を後に 思いを語る(後半)

(上)からの続き

郵政の宿命
——日本郵政グループは身を削るような改革をしているが、郵政には宿命とも言える問題がある。いわゆる「見えない国民負担」約1兆円で、かつては特殊法人への補助金が環流して郵貯に入ってきた。郵貯の金は旧大蔵省理財局の資金運用部に預けていたが、このときの預託金利は必ず国債の金利より高いからだ。財政投融資改革の結果、01年には郵貯の金は財投から完全に切り離された。その上がり約1兆円が郵便事業を支える構図があった。
 さらに民営化で法人税や固定資産税、グループ会社間取引の消費税、預金保険機構への保険料なども負担するようになった。民間と違ってユニバーサルサービスを果たさなければならない郵政は、どこでこのコストを調達すればいいのか。

稲村 当時、預金保険機構が大赤字を出していたことが気になる。民営化して、民間銀行が出した大穴を、郵政のカネで埋めようとした気配もある。郵政を民営化して税金を取ろうという発想もあったと思う。
 財投は戦後日本の復活を支えた大きな制度で、つぶす必要があったか疑問だ。新幹線やダム、学校など、優れたインフラも造った。うまい汁を吸った人がいるのも事実だが、資金供給源として郵貯が果たした役割は大きい。にもかかわらず、郵政は財投関連の特殊法人に一切天下りを出してこなかった。うまい汁を吸ったのは使う人で、貯金を集める人ではなかった。
 郵貯が国債を引き受けてきたから暴落せずに済んでいるのであって、感謝されても文句を言われる筋合いはない。民間に投資するより分が悪いが、それでも私が郵政公社の理事を辞めるとき、トヨタより利益は大きかった。
 企業が持続的な発展を続けて収益を上げるには、新たな設備投資が必要だ。郵便局のコンピューターなどには、投資が行われていない。局舎も10年間何もしてないから、ぼろぼろ。先日、私費で小樽に行ってきたが、100年前に建てた市内の明治建築はきれいにしてあるのに、20年前に建てた局舎はメンテナンスがなく、悲惨だった。
 コンピューターなどのネットワーク機器も、最新鋭のものを入れるべき。

——頼みの新規事業がなかなか認められない。

稲村 大きな公的企業体として、何をすべきかという議論でなく、銀行と同じことをすればいいという発想が駄目。もうかる所だけやることになってしまう。他の銀行と一緒に住宅ローンをやるようだが、金利が高い。学資保険は100万、200万だが、ご家族がお亡くなりになったらすぐにキャッシュで差し上げて葬式代になるというのが本来の簡保で、それいうのをやめている。ユニバーサルサービスとは何かとの定義づけをおろそかにしているのではないか。

郵政の未来
——2月の大雪の際、豪雪地帯では民間の宅配業者が配達を諦めて郵便局に持ち込んだと聞く。

稲村 私が名古屋にいたときも、三重で大雪が降り、民間の宅配業者が郵便局にどっと持ってきた。拒否するのも問題だから引き受けたが、苦しいときだけ持ってくる。新聞社も第三種郵便を使い、ものすごく安い料金で山間へき地や島しょ部を配らせている。民営化に賛成したのに、そこの部分だけは味方する。

——どうすれば職員の士気が上がるか。

稲村 もっと自由に仕事をさせなければ駄目。コンプライアンスとか言ってマニュアルを作り、がんじがらめにしてきた。例えば、土曜日に自分の郵便局に入って仕事をすると怒られる。監視カメラが付いていて「何しに来た」「泥棒しに来たのか」と言われるから、落ち着いて机で作業できない。
 一方で、郵政監察制度をなくした。捜査権を持っていたが、これをなくすことにより、犯罪が増えたはず。大きな組織だから犯罪も定量的にはあり得る。それを抑制する制度はあっていい。各国とも郵政監察制度は依然あるし、国鉄も民営化の際、鉄道公安職員を鉄道警察隊として残した。郵政民営化のときには、小泉政治が怖いから監察制度を廃止した。郵政警察は消えてしまった。

——日本郵政グループはパート・アルバイト化や契約社員化が進み、今や日本一の非正規労働者雇用企業になった。

稲村 民営化して一番残念なことの一つ。かつては格差の大きな企業ではなかったものを、意図的にやったと思う。格差をつくることで支配する側とされる側に分ける外国企業の統治手法で、日本の国柄には合わない。それで士気も下がった。

取り巻く政治状況
——旧郵政公社を辞められてから、政権が2度代わった。政治をどう見ているか。

稲村 09年の民主党による政権交代で郵政民営化の見直しに大いに期待したが、全くの期待外れに終わった。菅首相が登場し、小泉・竹中政治を引き継いだだけだった。今の安倍政権の中にも新自由主義の外国勢力と緊密な関係にある人がいるので、危機感を持つ。「第3の矢」はまさにこの路線で、やめなければいけない。
 安倍政権は「自立した日本をつくる」「戦後レジームの克服」と言ったのに、なぜ外国勢力を経済政策の中心に据えるのか理解できない。

——TPP参加による影響は。

稲村 戦略特区などを見ると、米国内で認められないから日本の中でつくってしまえとやっているように見える。郵政に関しては、お金を持って来いという話だから、阻止すべき。『月刊日本』4月号に書いたが、郵政民営化で日米関係はよくなったか。かえって相互の信頼を悪くした向きもある。
 私はボストンの学校を卒業したが、日米関係はお互いの立場を尊重すべきで、ギブ・アンド・テイクでやるのが本来。2国間交渉で一方的に要求を押し付けるだけというのは、正常な関係ではない。
 日本郵政の再生を心から祈り、願っている。

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慣れ親しんだ霞が関の街を後にする稲村顧問(2014.3.31、筆者撮影)

稲村公望氏、郵政を後に 思いを語る(前半)

 「ミスター郵政」の稲村公望氏が3月31日、常任顧問に就いていた日本郵便を退職した。旧日本郵政公社理事のとき民営化に反対して退任を余儀なくされたが、2012年10月に日本郵便副会長として復職を果たす。今また、政治の混乱に巻き込まれて古巣を後にする稲村氏に、思いを聞いた。

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日本郵便の副会長に就任して1年半後、また古巣を去る稲村顧問(2014.3.31、筆者撮影)

今回の辞任劇について
——坂篤郎・前日本郵政社長の顧問就任「問題」が発覚し、道連れで辞める形になった。今の心境は。

稲村 辞め時だと思っている。昨年6月、私を散々辞めさせようとする勢力がいた。常任顧問という名ばかりの、天下りと思われるような肩書きのポストにいるというのは、内心忸怩(じくじ)たるものがあった。

——昨年6月というと、坂前社長が更迭されたときでは。

稲村 そうだ。会長職をなくすので、副会長も辞めてもらうと。ただ、私は民主党政権で郵政に来たのではなく、民営化見直し法案が通った後に、頼まれて復帰した。小泉・竹中政治の民営化の手先だった方々がたくさん残っていて、旧郵便事業会社が1000億円の赤字を出しながら、本来責任のある人たちが残っていた。私が来たというのは、彼らからすれば非常に目障りだったはず。

——今回、23人の顧問が一斉に辞めると伝えられるが、会社は内容を一切発表してない。

稲村 顧問は私を含めて、3人しか知らない。1人は広島県の副知事をしていた旧自治省のOBで、旧郵政公社のときに来られた方。もう1人は私の部下だったこともあり、日本郵便の監査役を経て顧問になっていた。この方々は私同様に巻き添えだが、一方で「民営化万歳」とやった人もいたに違いない。辞職は社長から「たってのお願いだ」と言われた。私は民営化の片棒を担いだ連中と相打ちなら辞めてもいいと思った。今回辞める全ての顧問の親元や、報酬額などを公表すべきだ。

この1年半について
——社内での実際の立場はどのようなものだったか。

稲村 日本郵便の副会長に就任したとき,当時の日本郵政の社長がこう言った。「あなた、総スカンですからね」。人事発表のとき、名簿の一番下に「副会長」と記されているのを見て、閑職と予感していた。権限がなく、役員でも何でもない。会議にも出させてくれないのに落胆した。

——仕事は与えられていたか。

稲村 国際担当ということで、言外に「国内は出張しないでくれ」と言われた。私は部下を大事にする姿勢を貫いている。あちこちで民営化の問題点などを言われると困るのだろう。酒を飲んだふりをして作業上の問題点を聞き、直したりするから。以前は自分の金で国内の郵政関係者を回っていたが、復帰して逆に、回る回数が少なくなった。
 その合間を縫って、福島県・郡山郵便局の元旦の年賀状配達の出発式にも出たし、仙台で開かれた東日本大震災の慰霊祭にも日本郵政代表として出席できた。副会長になったかいがあったと思った。そのとき花輪1万5000円を公費で出してほしいと言ったら「出せない」と言うから、私はポケットマネーで出した。

——「国際担当」という肩書きについて、当時の斎藤次郎社長に「これは閑職ではないのか」と記者会見で尋ねたら、「そんなことはない。あの人は英語が堪能で、国際事業はこれから収益を伸ばせる分野だから期待している」というように答えた。今振り返ってどう思うか。

稲村 日本郵政の社長にそう言っていただいたとは大変ありがたいが、郵便会社は私にそれを期待しなかった。海外に出掛けるのは結構だが、「偉いことを言うな」という感じで。
 ただし、スイスの記念式典にも招待されたし、トルコの国際郵便シンポジウムに出て45カ国の関係者と会ったり、タイやマレーシアにも行った。タイは若いとき大使館に勤めていたことがあり、当時の通信公社総裁とも電話で話すことができた。感謝している。タイは OBを大切にしているが、日本ではそうした社風はすっかり失われている。

郵政3事業の現状について
——民営化とは何だったのか。

稲村 民営化は完全な失敗だ。郵便も貯金も業績は下がっている。そもそも、民営化は外国の一部の連中に国民資産の支配を渡すたくらみで、経営をよくするという発想ではない。
 会社をバラバラにしたのは、売り払おうとしたから、なぜ「かんぽの宿」がかんぽ生命でなく持ち株会社の資産になったのか。わずか1万円で売られた施設もあった。しかも、売った側に一切おとがめがない。不正だ。
 世界を見ても民営化で成功した郵政はない。ニュージーランドは惨憺(さんたん)たるものだったし、ドイツは民営化してDHLという運送会社を買収したが、成功していると思えない。スイスは国が全部株を持っている事業体。彼らは民営化とは言わず、「事業体化(corporatization)」と言っている。私有化ではなく、経営の自由度を高めるための策だ。オランダは民営化してうまくいかなかったし、象徴的なのは米国で、国営を維持している。日本は民営化して、自由度が低下した。

——職員の士気の面ではどうか。

稲村 低下したと思う。先ほど慰霊祭の話をしたが、公社時代だったら弔いの献花は公費で出したはずだ。一番問題なのは、冠婚葬祭がおざなりになって、訃報があっても連絡がないこと。名古屋にいる私の部下が死んで、知ったのは3カ月後だった。日本の企業が強かったのも、人の絆があったから。若い親が死んだら、残された子供のために奨学資金をみんなで集めるという美風があった。そういうのを一掃するのがいいことだとされている。郵政でも社員の名簿をなくした。
 郵便局長の部屋には『郵政百年史』という本が置かれてたが、銀行から来た社長のとき、「焼いて捨てろ」という指令が出た。支配するには歴史と文化をなくすのが一番簡単だから。先日、とある所に前島密の額が隠してあるのを見せてもらった。民営化の際、焼却処分を命じられたものが、何とか隠して残った。カンボジアのポルポトの虐殺手法と同じだ。
新聞に載らなかったトンデモ投稿
亀井静香―最後の戦いだ。
亀井静香が吠える 痛快言行録
偽装報道を見抜け!世論を誘導するマスメディ…
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       高橋清隆

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著者プロフィール


反ジャーナリスト。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。ローカル新聞記者、公益法人職員などを経て、2005年から現職。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。  著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。           

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