高橋清隆の文書館

 当ブログでは、マスメディアが伝えない情報や事象分析を発信しています。
新聞やテレビがつくる「社会標準」から解放されれば、人類は本来の豊かな人生を送れると確信します。

2019年02月

先生の気持ち

 六カ月強アルバイトした英語学習塾を今日、辞めた。高齢化した両親への孝行のため、田舎に帰るからである。帰ったところで、立派なことをするわけでもないのだが。

 塾の労働を選んだのは、少しでも知識取得につながればとの軽い理由からだった。それでも週六日、半年も通うと、生活の一部になっていた。もう明日行かなくていいのかと思うと、不思議な気がする。最後、「先生は国に帰ります。北朝鮮じゃなくて、その向かい側にある新潟に。北島は、紅白を卒業します」などと、受けない冗談を言ってさよならした。

 気になる生徒はいた。新興の進学校で成績上位であるのを鼻に掛けているふうなのに、私の活動内容を聞こうとしてくる高二男子や、一見あか抜けない風貌で雑談一つせず、一心不乱に机に向かう中三女子など。しかし、指導マニュアルには「生徒は公平に扱うこと」とあり、本心にふたをしてきた。最後、前者の男子に署名した拙著を、後者の女子に教訓めいた言葉をつづった一枚の便せんを贈った。彼女から、「母からです」とお菓子が入ったような袋を渡される。

 翌日休みとなれば、迷わず飲みに行くのに、なぜか寄り道する気が起きない。生徒たちとの接触を汚したくないからなのか。午後九時すぎ、独りの部屋に帰ると、何もする気が起きない。ラジオニュースを聞くのも、読書をするのも、ネット動画を見るのも、気が進まない。彼らとの別れが寂しいのだろうか。

 私は小学校から高校まで、先生を泣かせてきた。小学四年生のときいじめた新任の女性教諭は二年後、自宅に招待してくれたのに、私は格好悪いと思い、断った。先生は毎年毎年、どんな思いで子供たちと離別を繰り返すのだろう。亀井静香元金融相だって、辞任会見で「みんなと別れるのは寂しいが・・・」と涙ぐんだ。

 いろいろな別れの場面が次々と頭に浮かび、ブアーッと涙が出てきた。
 

「職員は恥ずかしくないのか」、東洋大前で反竹中デモ

 立て看事件で頰かむりを続ける東洋大学前で2月22日、未来投資会議民間議員を務める同大の竹中平蔵教授を批判する抗議集会が開かれ、市民100人が集まった。参加者は「職員は恥ずかしくないのか」「早く竹中平蔵を追い出そう」などと訴えた。

IMG_4462
竹中批判にやって来た市民(2019.2.22、東洋大前で筆者撮影)

 集会は「みちばた興業」『ピープルパワーTV』が主催し、午後5時半から2時間開かれた。左右を超えた国民運動を理念に、右翼団体「一水会」の構成員も日章旗を持って駆け付けた。日没とともに人は増え続け、5日の第1回から参加者は1桁増えた。

 「みちばた興業」の黒川敦彦代表は、「これが反グローバリズムの民衆運動の契機だと思う。竹中氏はその片棒を担いだ中心人物。学生の立て看事件がその運動のきっかけになっている」と企画した意図を語る。

 1月21日に「竹中平蔵による授業反対!」の立て看を掲げた学生を2時間半にわたって恫喝し、「退学」で脅した大学側は、同学生の公開質問状に対し期限が過ぎても無回答なままでいる。黒川さんは「本来なら答えるべき。今回のデモは、竹中氏を雇っている大学への批判も含めている」と当学生、船橋秀人さんを応援する構えだ。

 ミュージシャンNao Lionさん作曲『Bye Bye 売国 竹中平蔵』の曲が流れる中、主催者と参加者の中から希望者が明かりのともる大学に向かってスピーチをした。

 保守系言論誌『月刊日本』編集長の坪内隆彦さんは、「われわれは小泉政権以来、一貫して竹中氏をたたいている。ようやく東洋大学で動きが出て来た。東洋大の看板を利用して政府の諮問会議に入り、自分のお仲間企業に利益誘導し、それがいまだにまかり通っている。こんな男が大学で教えている。学生の皆さん、恥ずかしくないのか」と挑発。「早く、竹中平蔵を出しましょう」と呼び掛けた。

IMG_4468
『月刊日本』の坪内さん(同)

 同誌は同日発売の3月号で「政商竹中平蔵の大罪」と題する特集を組み、船橋さんのインタビューも掲載している。

 続いて、静岡市内から来たという74歳の男性が前に出る。用意した原稿を手に、「陰で利権を使ってパソナやオリックスなど、自分の関わる会社にお金が回るようにしている。水道民営化や労働者派遣法改正、加計学園問題など、許せないことばかり。竹中教授は辞めろ」と訴えた。

IMG_4471
原稿を手に演説する静岡の男性(同)

 その上で、「このままでは将来が危ない。若い人たちはだまされないで、少し考えてみないか。政治に興味を」と語り、4月の統一地方選、7月の参院選への投票を促した。

 参加者に次々とマイクが渡る。「職員は恥ずかしくないのか。あなた方が一番罪深い。死ぬときのことを考えてみろ。人生、お金じゃない」「娘が就職したミサワホームは竹中平蔵の兄に乗っ取られた。経団連の奥田(碩・ひろし元)会長が、産業再生機構入りを手引きした」「竹中氏の授業はほとんど休講だと聞く」などと告発した。

 四十数分たったころ、パトカーが来た。第1回と同じである。警察官は黒川さんに「うるさいと近所から苦情が来ている」と注意した。直後、大学構内から作業服を着た2人の職員が出て来て数秒、警官と立ち話をした。戻り際、筆者が「あなたが警察に通報したんですか」と向けると、「いや、私はしていない」と否定。「どんな話をしたんですか」と詰問すると、「人だかりがあるから、ちょっと歩きづらいですねと話した」と釈明する。

IMG_4506
警察官が駆け付け、押し問答する(同)

 開始直後も、道路のはす向かいに、公安警察官が2人立って監視しているのを目撃している。筆者が遠景を撮影しようと歩いていたら、出くわした。一水会の幹部に顔が似ていたので、不用意に「あれ、一水会の方ですか」と尋ねた。すると「えっ、一水会来るの?」と一瞬慌てるのが分かった。身元を明かしてただすと、「うちは公安です」と明かした。「大学は交通事故とか、いろいろ相談を受けているからね」とお茶を濁した。

 警官と膨れた聴衆に囲まれる中、黒川さんがマイクを取る。「われわれは法律を犯しているわけではないので、続けます。近所の住民の方、迷惑されている方もいらっしゃると思いますが、竹中平蔵が生きていることによって何千万人の人たちが迷惑している」と抗弁すると、「そうだ」「行け」と歓声が沸く。

IMG_4517
演説する黒川さん(同)

 さらに「2001年からの小泉構造改革で、小泉(純一郎元首相)と竹中が日本を壊し始め、その流れを安倍晋三が引き継いだ。この20年で庶民の暮らしはどうなったか。給与はどんどん下がり、今20代の6割が貯蓄ゼロ。少子高齢化なんだったら、若い世代にお金を回しましょうよ。誰がお年寄りを面倒見るんですか。そのお金を全部外国に持っていく。すごいな、竹中平蔵!」と褒め殺した。

 人垣の一番外に、男子学生が2人立っていた。文学部の2年生だという。立て看事件を知っているかと聞くと、「大学のホームページで見た」と答える。船橋さんの行動について「自分でおかしいと思ったことを主張するのは悪いことじゃない」と評する一方、大学の対応については「間違っていないと思う」と話した。

 筆者が「退学をちらつかせて恫喝したと本人は話している」と向けると、「そうなんですか。それはどうか……」と首をかしげる。竹中教授への評価を求めると、「よく知らない」と返る。

 労働者派遣法の改正で4割近くが非正規雇用の現状をつくったことや、私企業の役員を務めながら政府の諮問会議で派遣法改正や入管法改正、農業改革などを提案して自分の企業に利益誘導していることを説明すると、「そうなんですか。今回の騒動があって調べれば良かったが、今、こうやって説明されるまで、知らなかった。そんな方だとは思わなかった」と驚いた表情を見せる。ただし、続けて「大学が講師にしたことについて、僕の一意見で言えることではない」と評価をためらった。

 退勤する40代の教員(自称准教授)に事件への感想を求めると、「事実が分かってないので、簡単にコメントできない。われわれもその件については、あまり知らされてない」と打ち明けた。立て看の設置については「まあ、表現の自由ですよね。いいんじゃないですか。内容によると思うが」と補足した。

IMG_4478
集まった聴衆を前に、スピーチと演奏が続く(同)

 兵庫県加古川市から、このために来た54歳の主婦もいた。「本当におかしいから、いても立ってもいられなくなって。人でなしが大学教授になってしまう世の中がおかしい。大学も、政治も」と吐露した。船橋さんの行動については「かっこいいと思う。一人で」と賞賛する。

 大学側が期限の11日までに回答していないことについては、「それで、済むと思ってるんじゃないか。何もなかったように。大人の感じで。今、みんなそうですよね。政府の(毎月勤労)統計も。悪いことしても、時間がたてば、国民は忘れてしまうだろうと」と批判した。

■関連記事
「大学が終わっていく」、立て看掲げた東洋大生(前)
「大学が終わっていく」、立て看掲げた東洋大生(後)
立て看事件の東洋大学、期限まで無回答

『月刊日本』3月号が竹中平蔵批判を特集!

 保守系言論誌『月刊日本』3月号(2月22日発売)が「政商竹中平蔵の大罪」と題する特集記事を載せている。ジャーナリスト森功・経済学者植草一秀の両氏とともに、東洋大学に立て看を掲げた同大4年生船橋秀人さんのインタビューも収める。


 船橋さんが立て看を掲げた動機と経緯のほか、同誌が同大に提出した質問への回答も紹介されている。と言っても、回答は「このような取材はお受けしておりません」との素っ気ないものだった。社会的影響の広がりに慌てた大学は、恫喝をなかったことにしたいのかもしれない。

 小泉内閣以来、政権が変わってもグローバル資本の手先として、またその国内的おこぼれを頂だいしようとするハイエナとして政府内に潜伏し続ける犯罪人(普通に背任)の実像を短時間で知るには、格好の冊子になっている。

 普通に暮らせる日本に住みたいと思っている人は、ぜひ手を取ってみてはいかがだろうか。

立て看事件の東洋大学、期限まで無回答

https://www.data-max.co.jp/article/27969

「牛歩は8割、野党側への抗議」、山本太郎氏が明かす

 『Net IB News』に拙稿が載りました。
https://www.data-max.co.jp/article/27901?rct=nation
新聞に載らなかったトンデモ投稿
亀井静香―最後の戦いだ。
亀井静香が吠える 痛快言行録
偽装報道を見抜け!世論を誘導するマスメディ…
Archives
記事検索
ご支援のお願い
 このブログでは、マスコミが伝えない社会の動きや事象分析を紹介したいと考えています。取材・執筆には時間と労力がかかります。     つきましては、当ブログの記事に賛同いただける皆さまに寄付を賜りたく、お願い申し上げます。少額でも助けと励みになりますので、ご理解とご協力をいただければ幸甚の至りです。

       高橋清隆

郵便局からのお振り込み
【記号】13160   
【番号】10900411

銀行からのお振り込み
【口座】ゆうちょ銀行  
【店名】三一八(読み:サンイチハチ)
【店番】318     
【預金種目】普通預金  
【口座番号】 1090041 
【口座名】盒鏡粁粥  

著者プロフィール


反ジャーナリスト。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。ローカル新聞記者、公益法人職員などを経て、2005年から現職。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。  著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。           

メールはこちらから
livedoor プロフィール

donnjinngannbohnn