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 日米貿易協定・デジタル貿易協定の両承認案が参議院外交防衛委員会で審議されている26日、参院議員会館前で両協定の批准に反対する集会が開かれた。寒風吹く中、市民約30人が「亡国の政治は許さないぞ」などと抗議の声を上げた。

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国会に向け協定の批准阻止を訴える市民(2019.11.26筆者撮影)

 集会は「『TPPプラスを許さない! 全国共同行動』TPPプラス阻止アクション実行委員会」と「国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)」の共催で、午前10時から開かれた。小雨が降り、のぼりが倒れそうな強風が襲う。

 主催者を代表して、全国食健連のメンバーで全農協労連の砂山太一委員長があいさつ。「当初、与党がもくろんでいた日程は大幅に狂わせてきている」と述べ、相次ぐ閣僚の辞任などで12月9日とされる会期内での自然成立を阻んだ成果を挙げた。

 「桜を見る会」の大騒動に触れ、「その一方で国民が危惧する法案審議が淡々と進んでいる。市民と野党の共闘で倒さなければと思っているが、一部の野党内にも市民の声に関心を持っていない状況があるのでは。われわれと一緒に闘えという声を、しっかり野党に届けていく必要がある」と参加者を鼓舞した。

 関係者のスピーチの後、集まった市民は委員会審議が続く国会に向け、「日米貿易協定反対」「資料をちゃんと出せ」「亡国の政治は許さないぞ」などとシュプレヒコールを上げた。

 午後は委員会所属議員の部屋を回り、両承認案の廃案もしくは継続審議を求める要請書を手渡す。

 両承認案は10月24日に衆院で審議入りし、11月19日に可決。翌20日に参院に送られた。両協定の来年1月1日からの発効を目指す政府は、今臨時国会で成立させたい構えだ。

 安倍晋三首相は「自動車は関税撤廃が前提とされている」(10月24日衆院本会議)、「わが国の国益に反するような合意を行うつもりはない」(11月20日参院本会議)などと意義を強調するが、日本車・自動車部品について関税撤廃の明記もない上、農産物ではTPP(環太平洋経済連携協定)12を上回る譲歩が判明している。

 同実行委員会が今国会に提出されている日米貿易協定案に反対する主な理由は、次の点だ。

 まず、セーフガード(緊急輸入制限・SG)の発動が困難であること。農産物では「SG措置が取られた場合には、発動水準(の数量)を一層高いものにするため、協議を開始する」となっている。例えば、牛肉では最初に24万トンのSGを設定するが、超過輸入された場合、すぐに高くする協議を開始するので、SGの意味をなさない。しかも、TPP11の発動基準は米国が抜ける前のままになっていて、両協定により合計数量が過大になってもSGを発動することができない。

 農産物のさらなる市場開放を容認していること。協定書の付属書気法嵎胴颪肋来の交渉において、農産品に関する特恵的な待遇を追求する」とあり、今回の協定にはないコメや乳製品などについて、今後市場開放を求められることを許している。

 農業への影響試算がされていない。政府は影響試算を「暫定版」として公表しているが、野党の求める「日米、TPP、日欧EPAの3協定での影響と国内対策を行わない場合の試算」提出を拒んでいる。

 日本車・自動車部品の関税撤廃は何も約束されていない。英文しかない協定の付属書兇如峇慇播映僂亡悗垢觜垢覆觚鮠弔梁仂櫃砲覆襦廚箸琉貳姪表現にとどまり、関税引き下げの具体的スケジュールを定める譲許表に何も記載がない。

 米国の関税撤廃率は世界貿易機関(WTO)協定違反。貿易協定は関税撤廃率90%以上の場合のみ認められているが、約束のない日本車・自動車部品を除いた関税撤廃率の公表を拒んでいる。

 政府は、日本車の数量規制と追加関税回避の「約束」に関する記録の提出を拒んでいる。

 9月25日の日米共同声明は「協定発効後4カ月以内に協議を終え、サービス貿易・投資、その他の課題交渉を開始する」としている。これは米政府が議会に対して示した22項目について本格交渉が始まることを示唆し、日米FTAの交渉入りを宣言したのと同義だ。

 28日は午前中、外交防衛委員会と農水委員会の連合審査会が開かれ、午後には参考人質疑が行われる。東京大学の鈴木宣弘教授とアジア太平洋資料センターの内田聖子共同代表の出席が予定されている。

 同実行委員会は28日も参院議員会館前の座り込みや院内集会を予定するほか、地元選出議員に「慎重審議を」「今国会で批准するな」のFAX要請や、地元事務所での直接要請を呼び掛けている。

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