埼玉県議会が6日、種苗法改正に反対する請願書の採択を否決した。環境農林委員会の委員長を除く10人のうち、自民・公明両党所属の6人が反対した。請願書は市民団体「子どもたちのために食の安全を考える会・埼玉」(子と食埼玉・川村準代表)が2月20日に提出していた。

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採決時、起立で賛成の意思を示す野党議員(左、2020.3.6筆者撮影)

 請願書は「種苗法の改定に関する意見書を国へ提出することを求める請願書」と題され、3日提出され月内にも国会で審議が始まる種苗法改正案に反対するもの。’清伴圓砲茲訶佻辛兵錣亮家採種・増殖を原則自由とし、許諾料が発生しないよう措置する公共品種でも農業者に自家採種・増殖の権利を認める新品種登録の審査機関に農家や農民団体の推薦する代表者や生物学者が関われるよう措置するぜ鑄腸饉劼砲茲詬霑碧瓢澆里燭瓠権利侵害の立証は現物主義を原則とし、特性表を用いる場合でも第三者機関などを設置し、農業者を訴える前に事前通告する制度を設けることを求めている。

 審議で4人の議員が意見を述べた。小川真一郎氏(自民)は反対の立場から、「,狼諾性にすることで登録品種の違法な海外流出を防ぐ公共品種の扱いも農水省の有識者会議(検討会)で意見を聞いて決めた審査員は経験豊富な者から選定され、厳正に審査されているで誠緇覆陵識者会議で検討されている」などと主張した。

 石川忠義氏(無所属県民会議)は賛成の立場から、「改正で許諾制になると、種苗入手のための金額が増え、農家に不利益を来す」などと訴えた。

 木村勇夫氏(埼玉民主フォーラム)は「流出防止の観点から法改正は理解できる」としながらも、「農業者が払う費用が高くなることを懸念する」「懸念を払拭し、中小零細農家を守るものでなければならない」などと述べ、賛成の意思を示した。

 紹介議員の1人でもある守屋裕子氏(共産)は賛成の立場から、農家の費用負担発生に懸念を示した上で、「種子の権利」を規定した2018年2月の国連「小農と農村の働く人々の権利に関する宣言」に言及。「この精神を踏みにじるもの。個人農家の首を絞め、離農に拍車を掛ける。グローバル企業に日本の農業文化や伝統技術を独占され、種の多様性も失われると強く懸念する」などと主張した。

 採決の後、飯塚俊彦委員長(自民)は「ゝ諾性は違法な海外流出を防ぐ∋拆磴ないよう法改正の準備が進むげ善が検討されている」などと説明した。

 審議を傍聴した「子と食埼玉」の碇正義(いかり・まさよし)氏は「反対の議員さんは理解するよりは政府がこう言ってるから賛成だというふうに聞こえる。国会前でも『これは本当は自民党が反対しなきゃいけない法案なんだよ』と叫んでいた女性がいたが、農業は自民党の地盤のはず。農業の衰退を招く」と肩を落としていた。

 同県は2018年2月定例議会で、廃止された種子法に代わる条例を新潟県とともに全国に先駆け、全会一致で成立させている。

 「子と食埼玉」は2019年11月、山田正彦元農水相が地元で講演したことに触発された有志が結成した。川村代表は「国会にも請願を直接出したい。何としても、種苗法改正を阻止したい」と闘う構えだ。

 「日本の種子(たね)を守る会」(会長・八木岡努JA水戸代表理事組合長)によれば、神奈川県藤沢市では2月に同様の請願が提出されたが、建設経済常任委員会で不採択となった。東京都狛江市では2月6日に「『種苗法改定の撤回を求める意見書』の提出を求める陳情」が提出され、社会常任委員会で審議が予定される。三重県内にも請願が提出されている自治体があるという。

 今回の種苗法改正案は、品種登録した農産物について農家が収穫物の一部を種苗として使う自家増殖に育成者権者の許諾が必要と定めている。悪質な違反には、10年以下の懲役か1000万円(法人は3億円)以下の刑事罰を科す。

 現在の種苗法は第21条で登録品種の育成者権を定めながらも、自家採取(同法では「自家増殖」)を原則認めている。ただし、品種の知的所有権を保護するUPOV条約締結(1991年)後は同法を大幅改定し、TPP(環太平洋経済連携協定)協定署名後、省令が定める同条第3項の例外品目は82から2019年3月には387に激増した。

 アジア・アフリカ地域の国々では、2010年代に入って「モンサント法」と呼ばれる自家採取禁止法案が次々と出される一方、わが国も2016年12月の農業資材審議会(第16回)の種苗分科会で「主に欧州各国では、基本的に自家増殖が原則禁止で、一部自家増殖が認められている。日本の現状は反対の方向にある」との提言がされ、憶測を呼んでいた。

 農林水産省は2019年3〜9月「優良品種の持続的な利用を可能とする植物新品種の保護に関する検討会」を開き、利害関係者や学者から意見を聞いてきた。

 今回の改正について農水省は、シャインマスカットなどわが国の優良な育種知見が中国や韓国などに海外流出するのを防ぐためだと説明している。

 これに対し、山田氏は「韓国は91年条約を批准しているが、農水省知財課が2017年に文書で育種知見の海外流出を防ぐことは物理的に不可能なので、その国で育種知見の登録をすることが唯一の方法であると述べている」「シャインマスカットの場合には、(独)農研機構の登録品種だから、政府は農研機構の代理人として韓国で育種登録の手続きをすれば差止め裁判もできたはず」などと反論している。

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