対魔忍ユキカゼ催眠CD~ゆきかぜの甘い囁き~

サークル「Lilith [リリス]」さんの催眠音声作品。
数多くのアドベンチャーゲームを作られている商業系のサークルさんです。

本作品はリリスさんの人気作品「対魔忍ユキカゼ」に登場するキャラを使った物語で
すくりぷてっどこねくしょんさんの中の方が、シナリオ等を全面監修されています。
つまりキャラ以外はほぼすくりぷさんが作られているわけで、にわかではありません。

内容も暗示を中心としたすくりぷさんらしい進め方で
ゆっくりと時間をかけて聴き手の頭をとろとろにしていきます。
元作品は結構エロエロな展開のゲームのようですが
こちらは非常に催眠を重視した作りの作品ですから
催眠特有の心地よい感覚を十分に楽しむことができるでしょう。



ゆきかぜとの甘いひと時
水城ゆきかぜに催眠をかけてもらい、その後エッチな事をするお話。

「このお話は 私があなただけのために一晩一緒に過ごす そんなお話」
ゆきかぜはちょっぴり気の強そうな声だが、口調は優しい女の子。
射精のような刹那的な快楽では終わらない、濃密なSEXをするために
催眠を使って主人公が彼女の事をより深く愛せるようにしていきます。

元ネタのある作品につきまとうキャラや背景への事前知識については
本作品では特に必要を感じません。
「対魔忍ユキカゼ」未プレイの私でも違和感なく聴けました。
忍法を使ったりもしませんし、ほんとキャラと声優さんが同じだけって感じです。

催眠は24分30秒ほど。
まずはお馴染みの深呼吸と脱力をすることで、催眠に入りやすい状態を作っていきます。

脱力は両腕、両足を左右別々に行っていく「分割弛緩法」というよく使われる方法で
右腕「血液の流れとともに すーっと力が抜けていく 抜けていく どんどん抜けていく」
左腕「血液の流れに従いながら すーっと力が抜けていく 自然に抜けていく」

このように同じ腕でも暗示の内容を微妙に変えてあるきめ細かい作りです。
さすがすくりぷさんといったところでしょうか。

「力の抜けていく感覚がわからなければ だらーんとしてればいいから」
また、初心者を意識したセリフを織り交ぜてあるのもいいところ。
この作品で初めて催眠音声に触れる方もおそらくいるでしょうから
そういった方への配慮を欠かさない点は素晴らしいです。

「嬉しい ただ嬉しい 声を聞いているだけで嬉しい」
軽く全身を脱力した後はイメージ誘導に移ります。
光の輪を体の上から下へ通すことで心を浄化させ、不安を消し去りましょう。
最初にうまく脱力できなかった人も、この辺で手足に重さを感じ始めるはず。
そんな心地よい感覚に包まれながら、徐々に彼女の声を体に染み込ませていきます。

「いいの 何も見えなくて 私だけを見ていてほしい」
そして最後は先ほどとは違ったイメージをさせて軽く不安を煽ってから
救いの手を差し伸べるかのように彼女が優しく語り掛けてきます。
彼女の声を聞くと安心、だから彼女の言うことはすべて聞いてしまう。
そうなりやすい状況をわざと作り上げることで、聴き手を無意識に誘導しています。
私の場合ここで延髄のあたりに何か温かいものが下りていく感覚がありました。

ここまでをすべて暗示のみで行っている、まさにすくりぷさんそのものな催眠です。
今回はいつもにも増して噛んで含めるような丁寧な運びとなっており
聴き手の心理を流れるような手際で操りながら
要となる「彼女の声を聴くのは気持ちいい、幸せ」という暗示を刷り込んでいきます。

たとえシナリオ担当の名前が伏せてあったとしても、少なくとも私にはわかったでしょう。
それくらい特徴的な作りをしています。



全身に流れるピリピリとした痺れ
エッチシーンはおよそ15分間。
プレイはSEXのみです。
(エッチなプレイとしては他に催眠導入部分で1分程度の軽いキスシーンがあります)

エッチな効果音はありません。
セルフもありません。

「いいよ 気持ちよくなろう もっともっと気持ちよく」
暗示の力で主人公の頭の中をとろとろにしたゆきかぜは
もっともっと気持ちよくなるために、更なる暗示で感度を上昇させていきます。

エッチシーンも引き続き暗示を重ねていく催眠重視なプレイです。
うまく催眠状態に入っていれば体中をピリピリとした痺れが襲うでしょう。
長時間正座をした時に足が痺れる感じに近いです。
途中で試しに手を指で突いてみたら「パチッ」と軽く電流の流れるような感覚が走りました。
あくまでは「私は」ってことで、皆さんとは違った感覚なのかもしれません。

「あなたの上に乗っかる 温かい太ももが あなたの腰に触れる」
本格的なSEXシーンは8分ほど。
客観的な描写とゆきかぜ自身のセリフを織り交ぜる形で進められています。
だから直接的なエロとは若干違う感じですね。

プレイはぎゅっと抱き合ってお互いの鼓動を感じたり
挿入後も最初は敢えて動かさずに、性器の密着具合を確かめ合う愛のあるSEXで
今まで蓄積されてきた感覚が大きいほど、心に湧きあがるものがあるはずです。
更にここでもゆきかぜの声に対する暗示を軽く入れるなど
催眠状態を維持させるための配慮がされています。

「す す す す 凄いぃぃひぃぃ おまんこ壊れちゃうぅぅ」
しかしピストンが始まると一転してエロの割合が高まり
ゆきかぜの荒い吐息と艶めかしい喘ぎ声が股間を刺激します。
さすが商業系エロゲーメインの声優さんなだけあって演技力が高いなと。

「イっちゃう イっちゃうぅぅぅ びゅるびゅるびゅるぅ」
そして最後は彼女に中出しする形でのフィニッシュを迎え
心も体も繋がったままで深い眠りへと落ちていきます。

とても催眠音声らしいエッチと言えるでしょう。
客観的な描写の中にもきっちりと暗示を組み込んで心を縛ってきますし
プレイ中も女体の温かさを連想させたり
敢えて無音の時間を入れることでその余韻に浸らせたりします。

ちなみにエッチシーンでもカウントは一切行いません。
このへんもすくりぷさんならではですね。



暗示の秀逸さが目を引く作品
最近よくある催眠風音声作品などではなく
催眠を非常に重視した丁寧さの光る紛うことなき催眠音声です。

すくりぷさん最大の武器である暗示を十二分に活用しながら
体の自由を奪い、頭を心地よい感覚で満たし、感度を上昇させ、絶頂へと導いてくれます。
暗示同士の連結も問題なくきちんとした流れがありますし
編集だけリリスさんがやられたとのことで、事前に唯一懸念していたセリフの間も大丈夫。
催眠効果を期待して聴くのならば、まず間違いなく楽しめます。
作中で一度もカウントを挟まないのも見事としか言いようがありません。

催眠経験者向けにもっとわかりやすく言うと
すくりぷさんのフリー作品「はぴねすひゅぷの」に作りや表現方法が似ています。
同作品が好きな方なら尚楽しめるでしょう。

エッチは感度上昇からのドライ絶頂と催眠を意識した作りです。
催眠でできあがった心地よい感覚を甘い抱擁で十分に味わわせてから
ゆきかぜの声に押される形で少しずつ高みに上り詰めていきます。

フィニッシュがカウントではないため、合わせるのに若干慣れが必要かもしれませんが
イク瞬間は半ば叫ぶような声でパワーを与えてくれますし
股間を中心に突き抜けるような快感が走りやすいのではないでしょうか。

…と、ここまでは催眠音声としての良い点をピックアップさせていただいたのですが
この作品に水城ゆきかぜを登場させる必要性については疑問を感じます。
キャラものならファンは彼女らしい催眠の手法やプレイを期待して聴くのではないかなと。
そういったオリジナリティが見られなかったことだけが残念です。

注意点が一つ。
本作品の最後は眠りにつく描写となっており、解除音声らしいことは行われません。
そのため、寝る前に聴かれる場合以外は
別作品から解除音声を調達してきちんとそれを聴いてください。
特に聴いた後に出かける用事などがある方は絶対にそうしてください。

CV:氷室百合さん
総時間 43:58


オススメ度
■■■■■■■□□□ 7点


体験版はこちらにあります

追記
作品自体の評価は8点。
コスパを考慮して-1してあります。
もしこの作品がキャラものでなかったら+1してました。

あと総評部分にある「はぴねすひゅぷの」は12/20時点ではレビューを閲覧できません。
私が忘れないようにリンクを貼っているだけで、割と近い未来に公開されます。


2020年7月16日追記
再レビューをアップしました。
http://doonroom.blog.jp/archives/83420351.html