ドーパルフィン代表アカザヒトシが徒然なるままにしたためます。
6d922981.datインド古典パーカッションにタブラという太鼓がある。10〜13世紀頃に北インドで成立した「ムガール帝国」の時代、イスラム教と ヒンドゥー教の音楽が融合して、宮廷において発展したという「ヒンドウスタニ ミュージック」の 楽器として誕生したらしい。”タブラ”とはアラビア語起源の言葉で“太鼓”を意味し、高音と低音のふたつの太鼓を、指や手のひらで叩く。ヒットする場所によっていろいろな音色がでるようにつくられ、それぞれの音に呼び方があり、叩きかたを言葉で憶えてゆくという仕組みになっている。また、低音の太鼓(バヤ=左)の皮を手で押さえたり、擦ったりして、歌のような表現が出来るように、いろいろな技術が考えられている。
とまぁノウガキはこの辺にして、本題に移ろう。ちょっと前に”シャクティー”というバンドのライヴに行って来た。ザキールフセイン&ジョンマクラフリン率いる4人編成のグループで、今回は男子ヴォーカリストもゲスト参加していた。メンバー全員凄まじい技術と度量に満ちあふれた素晴らしいバンドで、始めから終わりまで開いた口が閉まらない思いで観戦してきたのだが、今日ここで取りあげたいのはバンドリーダーを務めるザキールフセインである。歴史的なタブラ奏者であるアララッカを父に持つ天才パーカッショニストで、父に継いでラビシャンカール(ノラジョーンズのパパね)の伴奏も務めたいわゆるサラブレット中のサラブレット。演奏が素晴らしいのは言うまでもない。演奏が始まって15分もした頃だろうか、開きっぱなしで乾いた口を空で飲み込み「うーん」と唸りをあげていた僕の目に驚く光景が飛び込んで来た。目にも留まらぬ指/手さばきで複雑なインド古典音楽由来のリズムを操りながら、なんと彼はよそ見をして何か探し物を始めた。2、3度横や後ろに顔をやると何とは無く、あ、あったあったとばかりに右手で小さなハンマーを拾い上げて、事も有ろうに「カツーン!コンコン!カーンカーン!」とタブラの横の部分を叩きだしたではないか。もちろんバンドのグルーヴは緊張感のまっただ中、ジョンマクラフリンのギターも超絶プレイの真っ最中である。どうやら叩いているタブラのチューニングが気に入らなかったらしく、あるいは照明設備からくる皮の弛みかもしれないが、悠長にもタブラのチューニングをしているのだ。しかし、さすがにそこはサラブレット・フセイン、バンドのグルーヴにはまったく支障がない。西洋音楽では解析不可能とも言われる複雑なリズムの上に効果的とも言える響きを加えている様にしか聞こえないのである。ひとしきりチューニングが満足いくとまた何も無かったかの様にハンマーをその辺に転がしてグルーヴに興じていた。それまで5cm程開いていた僕の口は7cm程に広がり、おかげで二時間の演奏が終わった頃には口に握り拳が入りそうな間抜けな顔になっていた。結局演奏中のチューニングは4〜5回行われたが、メンバーを始め会場(初台オペラシティー)のオーディエンスに不快な音を聞かせる事は一度も無かった。あれだけの凄まじい演奏をしていても、どこかで冷静かつ厳しい耳でバンドの演奏を客観的に捉えている様は、驚きであり非常に勉強になった。GRATEFUL DEADのJERRY GARCIAも言っていたが、演奏中にはある意味二重人格にならなくてはいけないのかもしれない。一人は音そのものにのめり込み、奏でるという行為に集中している自分、もう一人は非常に客観的に演奏を見つめている自分。我らがDopalfinも是ありたいものである。

Comments

    • TOR's comment
    • 2005年04月13日 12:41
    • ある方のお宅でザキールフセインのビデオを見せて頂きました。
      ビデオですら開いた口がふさがらない釘づけ状態でしたのに、、。
      チューニングすらも効果的な音に変わってしまう☆
      あいにくオペラシティには行かれず、そのころよくベッドにもぐりこみCDかけて堪能しておりました。
    • tomo's comment
    • 2005年06月06日 01:45
    • ZAKIR HUSSAINのTABRA MATRIXっていうのがまたカッコ良かった〜☆
    • MACRRAF's comment
    • 2015年04月28日 17:28
    • マクラフリンも演奏中にチューニングする猛者ですww

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