2012年02月10日

フランスの有名女性サイクリスト、Jeannie Longo ジャニー・ロンゴ(フランス語のニュースソースで聞くと、「ジェニー」と発音しているようにも聞こえる)の夫で、トレーナーでもあるPatrice Ciprelli パトリス・シプレッリと、ロンゴの友人で、スキークロス・フランス代表チーム監督、Michel Lucatelliが、血液ドーピングの一種であるEPOを輸入したとして拘束され、2月8日にシプレッリの自宅が家宅捜索を受けた。(スキークロスはフリースタイルスキーの一種)
Home of Top Female Cyclist Searched - NYTimes.com


現在53歳のロンゴは、元スキーのダウンヒル競技の選手で、大学時代には学生チャンピオンに3度輝くなど、スキーヤーとして将来を期待されていたが、後に夫となるコーチのPatrice Ciprelliの強い勧めがあって、自転車競技に転向し、53歳の現在に至るまで現役生活を続けている。
スキーから転向した自転車競技においても、わずか21歳にしてフランスのロードレースのチャンピオンに輝き、また、1996年アトランタ五輪の自転車ロードレース金メダリストになったのをはじめ、女子自転車競技において12回も世界チャンピオンになり、これまでに数十個のメダルを保持してきた。
Jeannie Longo - Wikipedia, the free encyclopedia


Ciprelliの弁護士がAFP通信に語ったところによると、Ciprelli自身はEPO購入を認めた上で、「自分自身で使うために買った」と述べているらしい。
"Patrice Ciprelli admits buying EPO for his own personal use because he has been the subject of repeated cycling accidents these last few years," his lawyer Pierre Albert told AFP.
Longo's husband bought drugs 'for own use' | Bangkok Post: news

またフランスの有力紙レキップの取材によれば、Ciprelliが購入したのは中国製のEPOで、2007年4月にアメリカの元サイクリストJoe Papp (Joseph M. Papp)の助けを借りて、アメリカのウェブサイトを通じて購入したらしい。
This followed a report in L'Equipe newspaper alleging that Ciprelli had bought Chinese-made samples of the banned blood-booster EPO in April 2007, using a US website and with the help of retired US cyclist Joe Papp, who was banned for doping himself.
Longo's husband bought drugs 'for own use' | Bangkok Post: news


CiprelliのEPO購入を手助けしたと言われている元プロ・サイクリストのJoe Papp自身も、現役選手時代の2006年にテストステロンの陽性反応によって2年間の出場停止処分を受け、EPOおよびHGH(ヒト成長ホルモン)の摂取を認めている上に、その後、EPOとHGHをインターネット上で販売した禁止薬物の拡散行為によって有罪判決を受けている。(アメリカ反ドーピング機関USADAは、中国の代理店を通じて広く禁止薬物を売買していたとして当初はJoe Pappに永久追放処分を下していたが、捜査に協力的だったとして8年間(2015年8月31日まで)の出場停止処分に軽減した)
USADA witness Joe Papp admits conspiracy to sell EPO, HGH

このPappはかつてフランス紙レキップの取材に
「EPOをシプレッリに2007年4月ごろに販売した。彼が直接我々のサイトへアクセスし、具体的にEPO 80,000IUをフランスに送るのに掛かる費用を問い合わせてきた。その際彼はこれが彼の妻のためのものだと言っていた。彼との直接のやり取りの中で、EPOを彼の妻のために必要としており、彼自身が支払いは行うが発送先は第3者にしてほしいと言ってきた。」
と語ったことがある。
Ciprelli aurait achet��� de l'EPO - Cyclisme-Dopage - L'EQUIPE.FR

Papp Reportedly Sold EPO To Longo's Husband | Cyclingnews.com

パップに有罪判決が下る : CYCLINGTIME.com

ジャニー・ロンゴに対するドーピング捜査網が広がる : CYCLINGTIME.com

カブレイラ、尿サンプルの不正操作で出場禁止処分 : CYCLINGTIME.com


自転車とスキー、といえば、あのオーストリアにおけるウィーン血液銀行ドーピングスキャンダルを思い出さないわけにはいかない。
あの事件でも、オーストリア代表スキーチームの監督であるワルター・マイヤーが、友人で自転車コーチであるステファン・マッチナーを介して、自転車とスキー、2つの分野の選手たちに血液ドーピングを施していた。
今回のジャニー・ロンゴの夫パトリス・シプレッリの血液ドーピング件はここ数年報道され続けてきた件でもあるが、その反面で、フランス代表スキークロスチームの監督が逮捕されているところに、フランスでも「自転車とスキーの血液ドーピングにおけるつながり」を予想させるものがあることは否めない。

dope_impact at 13:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││自転車 | EPO,CERA

2012年02月07日

クレンブテロール(Clenbuterol)を食事によって意図せず摂取してしまったと主張し、争い続けてきたスペインのサイクリスト、アルベルト・コンタドールのドーピングを、CAS(スポーツ仲裁裁判所)が認定。2012年8月5日まで、2年間の資格停止処分が下された。
Latest news - General Information - Tribunal Arbitral du Sport - Court of Arbitration for Sport
これでコンタドールの2010年ツール・ド・フランスでの優勝記録は抹消され、また2011年ジロ・デ・イタリアの優勝記録も抹消になり、さらに、グランツール出場機会6連続優勝という記録も抹消されることになる。
今回の処分は2年間資格停止という重い処分だから、もし次にドーピングが発覚されれば永久追放になることだろう。

アルベルト・コンタドールAlberto Contador stripped of 2010 Tour de France title - More Sports - SI.com


コンタドール ドーピング年表
2010年7月21日 ツール・ド・フランス中にコンタドールの尿検体からクレンブテロール検出
2010年11月   国際自転車競技連合(UCI)、スペイン自転車連盟に懲戒手続き開始を要請
2011年2月    スペイン自転車競技連盟 コンタドールに無罪裁定
2011年3月24日  UCI、CASに告訴
2011年3月29日  WADA、CASに告訴
2011年11月    スイス・ローザンヌでコンタドールへの審問
2012年2月6日   CAS、コンタドールに2年間の資格停止判決


CASがどういう認定の仕方をしたのかは裁定内容をよく確かめないとわからないが、基本的には、この件に関してこのブログでずっと書き続けてきたことが正しかったということだろうと考えたい。
ディープインパクト、ドーピング事件。:2010ツール・ド・フランス総合優勝者コンタドール、禁止薬物クレンブテロール陽性。あまりにも稚拙すぎる自転車業界の言い訳。

ドーピングというルールにおいては

故意にであろうと、なかろうと、そんなことは関係ない。
食べたのがステーキだろうと、コーンフレークだろうと
領収書があろうと、なかろうと、
検体からクレンブテロールが検出された時点で、
コンタドールは明白に「ドーピング」だ。

どういう経緯があろうと、なかろうと
検体にクレンブテロールが検出されてはならない
のである。

何か、自分の主張が通ったような気分だ。
ようやくスッキリしない事件のひとつにケリがついた。
だが、スペインの自転車界の問題がこれで全て終わるわけではない。



スペインにおける大規模ドーピング事件というと、日本ではほとんど知られていないが、Operacion Galgo オペラシオン・ガルゴがある。
ディープインパクト、ドーピング事件。:スペインの新たなドーピング・スキャンダル、「Operacion Galgo オペラシオン・ガルゴ」まとめ(作成中)

オペラシオン・ガルゴで摘発されたフエンテス医師は、かの有名なオペラシオン・プエルトに関与した、あのフエンテスだが、彼のメモとして「ドーピングで挙げた利益を、協力者たちの間で、誰に、どのくらい配分するか」が具体的に数字で示されているメモが発見されている。
このメモには、自転車界で通称グランツールと呼ばれる自転車3大レース、ツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャでドーピングを施す場合の「特別料金」と思われる数字が並んでいるのである。
アルベルト・コンタドールの事件は、スペイン自転車競技における氷山の一角に過ぎない可能性が高い。

フエンテス医師の生々しい「ドーピング収益配分メモ」

Dr Fuentes Caught Up In Another Spanish Doping Investigation | Cyclingnews.com

dope_impact at 07:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││自転車 | クレンブテロール

2012年02月03日

国際陸連IAAFは、2011年に韓国テグで開催された世界選手権(いわゆる世界陸上)で尿と血液のドーピング検査を実施したが、このうち尿検査のA検体で、韓国とポルトガルの2選手、男子400メートルリレーの臨熙南(韓国)と、女子3000障害のサラ・モレイラ(ポルトガル)が陽性反応を示し、さらに同年11月には、B検体でも陽性が確認されたとの報道がなされていたが、その後処分内容が決まったという報道はなかった。
資料→ディープインパクト、ドーピング事件。:韓国世界陸上で、韓国とポルトガルの2選手がB検体陽性

それが2012年2月になって、ようやく国際陸連IAAFが2選手を出場停止にしたというニュースがでた。
(総数400あまりの尿検査は終了しているが、1800あまりの血液検査のほうはまだ作業が続いているらしい。血液検査のほうでもドーピングが発覚する可能性はある)


このニュースには不透明な点、問題点がいくつもある。


まず、検出された薬物が禁止薬物が「メチルヘキサアミン」であり、当初の報道と違っていることについてだ。

このドーピング事件で検出された薬物名はなぜか日本では報道されていない。そうする理由はまったくよくわからないことだが、それはさておき、海外のAP電によれば、2選手から検出されたのが、このところドーピング事件が多発しているメチルヘキサナミンであることはハッキリしている。

事件発覚当初、韓国の臨煕南のドーピングで検出された薬物名については、韓国側ニュースソースを中心に「WADAの禁止薬物リストにはないクレアチンの検出」と伝えられていた。また、国際陸連IAAFがドーピング発覚を韓国陸連に通知していたにもかかわらず、臨煕南が競技会へ出場し続けている、との報道があった。
だが、今になって実際に検出されていたのは、禁止薬物メチルヘキサアミンであったことがわかったわけで、この間の韓国陸上界での不誠実きわまりない対応ぶりの経緯を、日本のメディアはきちんと流れを追って報道していない。

また臨煕南がメンバーの一員として世界陸上400メートルリレー予選で記録された韓国新記録は、もちろん取り消されるべきだが、この処分についても、いまだに明確な話が聞こえてこない。

2011年に「クレアチン」と報道したニュースソース
【世界陸上】韓国選手がドーピング陽性、記録取り消しか - MSN産経ニュース
韓国の聯合ニュースによると、同選手が服用した薬物はクレアチンで、それ自体は禁止薬物ではないが、服用を繰り返せば、興奮剤と似た作用があるとしている。処分は予備のB検体の結果待ち。予選でマークした400メートルリレーの韓国新記録(38秒94)は取り消される可能性がある。IAAFからの通知後も同選手は国内大会に出場しており、韓国陸連の対応にも批判が集まっている。


もうひとつ問題なのは処分の長さだ。

メチルヘキサアミンについての処分が続いているが、そのうち問題になるだろうと思っているのは、メチルヘキサアミンによる処分の重さが、競技によって大きくバラついてしまっていることだ。

メチルヘキサアミンによる処分例
2年間 トライアスロン ディミトリ・スミルノフ(カザフスタン)
1年間 テニス ロバート・ケンドリック(アメリカ)
最低3か月 サッカー コスタディン・ストヤノフ(ブルカリア)

競技によって3か月から2年間と、出場停止期間に大きなバラつきが存在するが、メチルヘキサアミンがつい最近年禁止薬物になったばかりの新しい薬物だからこそ、毅然とした対応がないと、ドーピング処分の権威の根幹がゆるがされかねない。

基本的には、禁止薬物が検出されたという事実に対しては最も重い処罰を課すべきだ。でないと、ドーピングの重さ自体が軽くみられてしまいかねない。最低でも1年の資格停止とかにしないと、実効性が薄い。


今回の世界陸上における臨熙南(韓国)とサラ・モレイラ(ポルトガル)の処分の長さだが、かつて2011年11月にロイター通信は「2年」と報道していたにもかかわらず、2012年2月のAPでは「6か月」と報道されている。
「2年」と一度報道されたものが、なぜ「6か月」になったのか、納得のいく理由説明はどこにもなく、この不透明さは不快と言わざるをえない。

2011年11月に「2年間」と報道したロイター
陸上=ポルトガルと韓国の2選手、世界選手権で薬物陽性反応 | スポーツ | Reuters

2012年2月に「6か月」と報道したAP
IAAF confirms Lim Hee-nam and Sara Moreira received 6-month bans for doping at worlds - The Washington Post

スポーツナビ|世界陸上 2011|ニュース|陽性2選手に6カ月停止


処分の重さがもし仮に2011年10月の競技後から「6か月」だとすれば、臨煕南が4月10日、モレイラは3月7日で出場停止期間が終わってしまい、B検体の検査が終わる頃には彼ら2人の資格停止期間が終わってしまっている、という、なんとも間の抜けた話になる。

これでは、実質的にはほとんど処分されなかったのと同じような印象を与えるし、また、メチルヘキサアミンの処罰で1年から2年の処罰を与えている他の競技との整合性が問われかねない。(もしサッカー ブルガリア代表のコスタディン・ストヤノフの処罰が3か月の短さだったら、それも同じように短すぎるだろう)


もう一度書くが、メチルヘキサアミンを禁止薬物としてリストに加えた以上、毅然とした態度で処罰を加えるべきだ。

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2012年02月01日

2006年にA代表としてプレーしたこともあるブラジル人ミッドフィルダー、ダニエウ・カルヴァーリョ, Daniel Carvalhoが、2004年から2010年まで所属したCSKAモスクワ時代の生々しいアナボリック・ステロイド使用の実態を明かした。

ちょっとビックリするような生々しい内容だ。カルヴァーリョのコメント部分を一部訳出しておく。
(参考までに、このニュースを報道した日本語サイトのリンクも挙げておくが、この日本語記事はおそらく下記の英語記事を元に訳したものと思われる。このブログでは、日本語サイトを翻訳時の参考資料にはせず、元記事から直接訳している。スポーツナビ | サッカー|ニュース|CSKAモスクワの元選手「僕らはステロイドを投与されていた」 一部翻訳結果が違う。翻訳結果は人によって異なることは往々にある)

Carvalho reveals anabolic steroid use at CSKA Moscow | ITV Sport - Football


"In Russian football there isn't any [anti-]doping," he said. "There were needles put into my vein, and on the sixth or seventh injection I stopped taking them because I discovered that it was going straight into my heart.
「ロシアサッカーにはドーピング意識なんてものは存在してないんだ」と彼は言う。「(ステロイドの)静脈注射があるんだけど、6回目か7回目の注入で、薬剤が心臓に直接作用するのがわかったんで、僕はやめることにした。」

"I told them I didn't want to take it any more."
「僕は彼らに、注射はもう金輪際やりたくない、と言った。」

"I left Brazil thin, very thin," Carvalho said. "Then I went to Russia for six years, and they gave me steroid injections, and after six months I'd put on eight kilos."
「ブラジルを後にしたとき俺は痩せてた、すごいガリガリだったんだ。」とカルヴァーリョ。「それから、6年を過ごすことになるロシアに行ったわけだけど、彼らが俺にステロイド注入をしたことで、半年後には体重が8キロも増えていた。」


あまりにも生々しい。というか、気分が悪くなるような毒々しい話だ。

そしてCSKAモスクワといえば、もちろん日本代表の、あの選手が所属しているクラブである。


CSKAモスクワの選手がドーピング問題を起こす、あるいは発覚するのは、これが初めてではない。
2009年のチャンピオンズリーグでは、マンチェスター・ユナイテッド戦で、セルゲイ・イグナシェビッチアレクセイベレズツスキー、2人のディフェンダーにドーピング規約違反があったとして、1試合の出場停止処分が下されたが、その後メディカルスタッフの不手際として処理され、UEFAから2万5000ユーロ(約300万円)の罰金がクラブに科された。
さらに2010年1月には、利尿剤フロセミドが検出されたとして、ゴールキーパー、ルトゥール・ニグマトゥリンが同年12月までの出場停止処分になっている。


今回のカルヴァーリョ証言で明らかになったことは、かつてのセリエAがそうだったように、反ドーピングが全く無いどころか、クラブ側がむしろ選手にドーピングを「むしろ奨励している」のではないか、という疑惑だ。

dope_impact at 15:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││サッカー | 筋力増強剤、アナボリック・ステロイド
サッカー ブルガリア代表のKostadin Stoyanov(コスタディン・ストヤノフ)と、Rumen Trifonov(ルメン・トリフォノフ)、Todor Yanchev(トドル・ヤンチェフ)の計3名から、世界アンチ・ドーピング機関(WADA)の規定で興奮剤に分類される禁止薬物メチルヘキサナミン(methylhexanamine)が検出され、最低3か月の出場停止となる模様。
3人はいずれも、ブルガリアで最も人気があるサッカークラブ、PFC CSKAソフィア所属。メタンヘキサナミンが検出されたのは、昨年行われたブルガリア国内でのリーグ戦において。
クラブ側はこの件に関して、クラブドクターを解雇するとともにプレーヤーに禁止薬物を投与したとして告訴しているが、この事件が本当にドクターの責任なのかどうかなど、詳細は不明。

3 CSKA Sofia players receive 3-month doping bans for banned stimulants - The Washington Post

3 CSKA Sofia players banned 3 months for doping - ESPN


DMAAとも呼ばれるメチルヘキサナミンは、ジメチルアミルアミンという化学物質で、2009年末にWADAが禁止薬物に加えたばかり。
ドーピング薬物としては新しいものだが、気軽に服用してしまいがちなサプリメントやスポーツドリンクにも広範囲に含まれているため、アスリートはよほど注意していなければならない薬物だ。
Methylhexanamine - Wikipedia, the free encyclopedia

メチルヘキサナミンは本来は、鼻づまり治療のための鼻孔充血抑制薬だが、ディープインパクト事件で解説したように、イプラトロピウムのような気管支拡張剤がドーピング目的で「興奮剤」として流用されたり、クレンブテロールなどの喘息治療薬が「筋肉増強剤」として流用されたりと、薬物が本来の開発目的とは全く違う目的に流用するドーピング事例はけして少なくない。
メチルヘキサナミンも覚醒剤であるエフェドリンに似た効果があることが知られている。検出されれば、もちろんドーピングだ。


過去のメチルヘキサナミンによるドーピング騒動

Damola Osayemi(ナイジェリア 陸上スプリンター)
2010年10月にインドのニューデリーで行われたコモンウェルス・ゲーム(=英連邦競技会)の100m陸上で、優勝者がフライングで失格になったことで、繰り上げで金メダルを獲得。しかし、後にメチルヘキサナミン陽性と判定され、棚ボタの金メダルを剥奪された。
BBC Sport - Second Nigerian tests positive at Commonwealth Games

Rui Costa(ポルトガル プロ・サイクリスト)
2010年10月18日、実弟であるマリオ・コスタとともに、陽性反応が確認され、出場停止。
Rui Costa And His Brother Test Positive | Cyclingnews.com

Chiliboy Ralepelle
Bjorn Basson
(ともに南アフリカ ラグビー選手)
2010年11月のイングランド遠征中に発覚し、南アフリカラグビー協会は、彼ら2人の遠征帯同を中止させ、南アフリカに帰国させる騒動に。後になって、スポーツドリンクに成分が含まれていたものと判明。
BBC Sport - Rugby Union - South Africa pair Ralepelle and Basson fail drug tests

Martin Gleeson(イギリス ラグビー)
元イングランド代表。メチルヘキサナミン陽性により2年間の資格停止。
COVER-UP: A guide to the biggest doping scandal in English rugby « Sporting Intelligence

Robert Kendrick(アメリカ テニス)
2011年5月の全仏オープン遠征中に受けた検査で陽性反応。ケンドリックは「時差ボケ解消サプリメントにメチルヘキサナミンが入っていた」と自己弁護したが、国際テニス連盟(ITF)は、ケンドリック側の主張を受け入れたものの、同時に、「各選手は禁止薬物が体内に入らないようにする自己管理の責任を各自持っている」と説明し、ケジメある処分に踏み切った。
ディープインパクト、ドーピング事件。:アメリカ人テニスプレーヤー、ロバート・ケンドリック、メチルヘキサナミン検出により約1年間の出場停止。

Mike Rodgers(アメリカ 陸上短距離)
2011年7月にイタリアで行われた競技会で陽性反応。アメリカ反ドーピング機関は暫定的に資格停止とし、代表に選ばれていた韓国での世界選手権を欠場した。ロジャースは「スポーツドリンクで割ったウオッカを飲んだせいだ」と主張したが、後に処分を受け入れた。
Former U.S. sprint champion Michael Rodgers accepts provisional doping ban - ESPN

Aaron Rathy(カナダ ウェイクボード・ライダー)
メキシコのグアダラハラで行われた2011年パンアメリカン競技大会のウェイクボード競技(=水上スキーの横乗りバージョン)で銀メダルを獲得したが、失格。原因はメチルヘキサナミンを含有している市販サプリメントを服用したため。
Canadian medallist tests positive at Pan Ams

Reggie Williams(アメリカ 野球)
セントルイス・カージナルスのマイナーに所属し、センターを守るスイッチヒッター。50試合の出場停止。
Cards decline options on Furcal, Dotel | cardinals.com: News

Dmitry Smirnov(ディミトリ・スミルノフ カザフスタン トライアスロン)
2011年6月の中国の試合でのドーピングで、2年間の資格停止。
ITU Suspends Dmitriy Smurov Two years For Anti-Doping Violation

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2012年01月31日

去年11月に禁止薬物である利尿剤が検出されていたウクライナのサッカー選手(ゴールキーパー)オレクサンドル・リブカ, Oleksandr Rybkaが、ヨーロッパサッカー連盟(UEFA)から、UEFA圏内の試合に関する2年間の出場停止処分になった。処分は2014年1月14日まで。UEFAは、国際サッカー連盟(FIFA)に対して処分をワールドワイドに拡大することを要請している。(元記事はAP)

Shakhtar keeper Rybka suspended over failed dope test - club - Yahoo! Eurosport

Ukraine and Shakhtar goalkeeper Rybka gets 2-year ban for doping, will miss Euro 2012 - The Washington Post

Ukraine keeper Oleksandr Rybka gets 2-year doping ban - ESPN

ウクライナは今年ポーランドと共催で、サッカーのヨーロッパ選手権であるEURO2012を開催するが、当然のことながら、リブカが出場することはなくなった。

dope_impact at 12:51|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││サッカー | 利尿剤
ドイツ反ドーピング機関(GNADA)が、28人のアスリートに対して、血液に関するドーピングの疑いで調査を開始した、というニュースが日本で流れはじめている。


事件の概要としては、ドイツ中央部の町エアフルト(Erfurt)に、German Olympic Sports Confederation (DOSB)、つまり、ドイツの公的なオリンピック機関が運営するトップアスリートのみを対象にしたトレーニングセンターがあり、そこに勤務している医師Andreas Frankeが、アスリートから採取した血液に紫外線を照射し、体内に戻すという行為を行っていた、というもの。

医師側は「競技力向上の効果はなく、ドーピングには当たらない」と反論している。

報道で名前が挙がっているアスリートは、女子スピードスケート金メダリストで、かつてドーピングで2年間出場停止になったことのあるクラウディア・ペヒシュタイン、陸上男子800m金メダルのニルス・シューマン、成長著しいサイクリストJakob Steigmiller、ジャマイカの走り幅跳び銀メダリスト、ジェームズ・ベックフォードなど。

クラウディア・ペヒシュタインは、金メダルを5個も獲得した有名スケーターだが、知ってのとおり、血液ドーピングで2011年まで2年間の出場停止になって、2010年のバンクーバー五輪に出場できなかった前歴がある。
ディープインパクト、ドーピング事件。:ペヒシュタイン を含む記事



だが、このニュース、オーストリア、スペインなどに続く新たな大規模ドーピング・スキャンダル勃発と決めつけるのは、性急すぎる。
というのも、海外では既に、世界反ドーピング機関(WADA)がこのドイツにおけるUV blood treatmentの件に関して「2011年までのものについては処分しない」というようなニュアンスで行った(と受け取れる)コメントが報道されているからだ。
WADA states German UV blood treatment was not banned until 2011

日本の報道機関が、十分に海外の報道やWADAの今後の対応、コメントも確かめて報道してないのがどうも気になる。
この「血液への紫外線照射」は、年度ごとに変わるドーピング規程や、静脈注射そのものの是非、血液への紫外線照射が競技能力に与える影響の有無の確認、そもそも本当に紫外線を当てていただけなのか、他にやっていたことがないのかの確認など、現時点では、あまりにも不確定な要素が多すぎる。


問題は多々ある。

例えば「血液に紫外線を当てる」という手法だが、今回調査対象になったドイツ人医師が主張するように、「血液に紫外線を当てる行為が本当に競技能力を高めることは無い」のかどうかは、まだしっかり確かめられていない。

また、サッカー選手がニンニク注射とか称する静脈注射をしたことが問題になったときにも書いたことだが、「アスリートは、自由に静脈に何かを注入していい」わけではない。注入するのが、紫外線を照射した血液であれ、生理的食塩水であれ、注入するモノが何かを問わず、静脈注射という行為を行うについては、なんらかの正当性がなければならない。「正当な医学的理由もないのにアスリートが静脈注射を行うこと」そのものは禁止されている。

WADAのコメントはまだ詳しく分析していないが、ザッと読んだ印象だけを言えば、近年、ドーピング摘発技術とドーピング手法、両面の技術的進化で、ドーピングの規定が年々変わりつつある中で、「このUV blood treatmentは、今年以降新しくなった規定なら処分することができるが、昨年までに起きた案件については、ドーピング規定が現在と異なるために、処分できない」とでもいうような複雑なニュアンスのようだ。
したがってこの件についてはWADAのコメントを詳細に確かめてから発言する必要がある。



さらに、付け加えなければならないのは、「血液を対外に取り出して、紫外線を当て、体内に戻す」という手法そのものは、血液フォトセラピー療法や、血液紫外線照射療法など、統一されていない各種の呼称で呼ばれる、医学的な療法だ、ということ。
参考資料:血液フォトセラピーとは | 一般社団法人 日本酸化療法研究会
血液に対する紫外線照射療法は、がん、気管支喘息、細菌感染、敗血症、ウィルス(C型肝炎、AIDS、ポリオ)感染、血栓性静脈炎、うつ病、デトックスまで、幅広い対象をもつらしく、アメリカ、ドイツ、ロシア、イタリアなどで行われてきた歴史があるらしい。


では、だからといって、血液に紫外線を当てることで競技能力が向上しないとも限らない。もし競技能力が向上するなら、当然ドーピング行為になる。


さらには、この事件が起きたドイツの隣国、オーストリアでは血液ドーピングにまつわる大ドーピング・スキャンダルである、ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダルが大きな問題になり、ワルター・マイヤー、ステファン・マッチナー、ベルンハルト・コールはじめ、トリノ五輪がらみの逮捕者・処分が大量に出て、オリンピック委員会の委員長まで辞任に追い込まれた。この事件はドイツでも大きく取り上げられ、当初はドイツ人アスリートの関与も噂されたりしたが、結局ドイツのテレビ局のフライングに終わったという経緯もある。
また国民的ヒロインだったはずのクラウディア・ペヒシュタインがドーピングで罰せられたことでバンクーバー五輪に出場することすらできず、この「血液紫外線照射事件」にも名前が挙がっている。
ドイツ国内でも、「ライン・コンヴォイ」事件というドーピング・スキャンダルが起こり、ドイツの人気スポーツのひとつである自転車競技には常に暗い影が落とされた。
こうしたさまざまな事件の連続から、ドイツ人が、血液ドーピングに対して非常にセンシティブになっている部分がある。
ディープインパクト、ドーピング事件。:ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダル

ディープインパクト、ドーピング事件。:2007年のフライブルク大学ドーピングスキャンダル、いわゆる「ライン・コンヴォイ」事件年表(作成中)


まぁ、とてもこみいった、非常にやっかいな話だ。

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2012年01月27日

ワシントン・ポスト紙によれば、かつてMLBコロラド・ロッキーズのドラフト1位指名投手で、シアトル・マリナーズのマイナーにいたこともあるオハイオ州出身の右投手Chaz Roeと、ハバナ出身の外野手Smaily Borgesが、マイナーリーグのドラッグテスト違反により50日間の出場停止処分。
2人の処分理由は、Chaz Roeが、アンフェタミン、いわゆる「覚せい剤」の検出。Smaily Borgesが、ドラッグテストの拒否。

Chaz Roe - Wikipedia, the free encyclopedia

Smaily Borges Minor League Statistics & History - Baseball-Reference.com


Free agents Chaz Roe and Smaily Borges suspended in minor league drug program - The Washington Post
Right-hander Chaz Roe and outfielder Smaily Borges have been suspended for 50 games each under baseball’s minor league drug program.

Rose tested positive for an amphetamine, the commissioner’s office said Thursday. Borges was penalized for refusing to take a drug test.

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2012年01月25日

2011年2月27に開催された東京マラソンのドーピング検査で、女子優勝者のタチアナ・アリャソワ(Tatiana Aryasova, ロシア)から、ドーピングの痕跡を消すための隠ぺい物質として禁止されているヒドロキシエチルデンプンが検出され、優勝が取り消された。
アリャソワは1979年4月2日生まれで、2008年ロサンゼルス・マラソン、2010年ダブリン・マラソンなどの優勝歴をもつ。
Tatyana Aryasova - Wikipedia, the free encyclopedia


下記の新聞記事によれば、「国際陸連などの手続きが完了し、東京マラソン以降の成績も失効、2011年4月29日から2年間の出場停止処分を受けている」と書かれているが、このブログ記事を作成している現在の時点では、国際陸上競技連盟IAAFのウェブサイト上を見るかぎり、まだ競技記録は抹消されず、外部から閲覧可能な状態になっている。
競技記録の抹消について、主催者は断固たる処置をとるなら、IAAFにウェブ上の個人記録の抹消を求めるべきだろう。
IAAFのサイト: iaaf.org - Athletes - Khmeleva-Aryasova Tatyana Biography

東京マラソン女子優勝取り消し…ドーピング隠し (読売新聞) - Yahoo!ニュース

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2012年01月22日

昨年から八百長発覚が続くサッカー界で、また八百長事件が発覚した。

スペイン紙によれば、現在トルコのオルドゥスポルを率いるアルゼンチン人監督エクトル・クーペルが、かつて八百長に関与していたことを認めた。クーベルはかつてスペインのバレンシア(1999年〜)、イタリアのインテル(2001年〜)、スペインのマジョルカ(2004年〜)などの監督を歴任しているが、今回八百長を認めたのは、アルゼンチンとスペインのリーグ戦2試合ずつ、合計4試合について。
クーベルはイタリア検察当局の取り調べに対し、イタリア・ナポリのマフィアから20万ユーロ(約2000万円)を受け取ったことを認めている模様。

なお、八百長が行われた試合や対戦相手などの具体名は、いまのところ明かされていない。

エクトル・ラウル・クーペル - Wikipedia


韓国
昨年7月には韓国で、代表選手を含む50数人にも及ぶ元・現プロサッカー選手が、サッカーくじTOTOを悪用した八百長に関与したとして起訴された。
この「50数人」という人数は、約600人あまりが(外国人を除く)所属している韓国プロサッカー連盟所属のプロ選手のうち、ほぼ1割にあたるほどの数。
韓国検察は、2010年6月〜2011年4月の合計21試合について、選手が金銭を受け取り故意に試合に負けた事実を確認したといい、崔成国(チェ・ソングク)イ・サンドク廉東均(ヨム・ドンギュン)ら韓国代表経験者やKリーグ各チームの看板スターまでもが、八百長首謀者から買収されたり脅迫を受けることで八百長にかかわった。今回摘発はされなかったものの、以前にも八百長が行われていた可能性も排除できないという。


イタリア
2011年8月、元イタリア代表で、セリエAアタランタの元主将クリスティアーノ・ドニが、セリエAにおける八百長で逮捕された。ドニはイタリアサッカー協会から3年半の資格停止処分を受け、アタランタには勝ち点マイナス6の処分が下された。
ドニは、ボローニャ、ブレシア、アタランタ、サンプドリアなどのセリエAのチームに所属した選手だが、スペインのマジョルカに2005-2006シーズンに所属していた。
ドニがスペイン・マジョルカに所属していた2006年2月までマジョルカの監督をつとめていたのが、今回逮捕されたアルゼンチン人のエクトル・クーペルであったことは、けして偶然とは思えない。


トルコ
2011年はトルコでもサッカーの八百長が摘発されている。
イスタンブールの警察が行った大規模な八百長捜査で、30人以上が逮捕され、その中には、トルコの最有力チーム、フェネルバフチェのアジズ・イルディリム会長、有力チームのトラブゾンスポルのネブザト・サカル副会長や、ウミト・カランら現役3選手も含まれており、またフェネルバフチェの副会長、フェネルバフチェのMF、トルコの有力解説者も取り調べを受けた。
現地の『アナトリア通信』は、トルコリーグの運営団体が、2008年から2010年までの少なくとも17試合で八百長が行われていたと結論づけたと報道した。
この騒動により、トルコでは、フェネルバフチェとベジクタシュによるスーパーカップがキャンセルされ、またリーグ戦開幕が1カ月延期。さらには、フェネルバフチェはUEFAチャンピオンズリーグへの出場停止処分を受けた。


トルコでの国際試合2試合における
ボスニア人、ハンガリー人審判、計6名の永久追放

2011年にトルコで行われた、エストニア対ブルガリア、ラトビア対ボリビアの2試合の国際親善試合では、ゴールすべてがペナルティーキックによるものだったが、国際サッカー連盟FIFAは八百長に関する調査を行い、その結果、ボスニア人審判シニシャ・ズルニッチら3名、ハンガリー人審判のクリスティアン・セレメツジら3名、計6名のレフェリーを永久追放にした。FIFAはこれらの試合に関する押収書類を公表している。

dope_impact at 03:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││サッカー | 八百長事件

2011年11月10日

2011年3月のドーピング検査で陽性反応が出てイングランドサッカー協会によって6ヶ月の出場停止処分になっていたイングランド・プレミアリーグのサッカー選手、コロ・トゥーレから、クラブ側が6週間分の報酬額に相当する罰金を徴収することになった。額は約74万ポンド(約9250万円)。

この件で問題は3つある。

ひとつは、陽性反応が出た薬物名が明かされていないこと。prohibited substanceでは、なんのことかわからない。
もうひとつは、ドーピングをした動機について「日頃からダイエットに悩んでいて、妻の市販のダイエット薬に手をつけてしまった」という、コロ・トゥーレ側の子供じみた説明。
3点目は、サッカー界では、自転車競技などのように血液検査が行われず、アナボリック・ステロイドや大麻といった古くからあるドーピング薬物しか検出できない尿検査しか行われていないこと。

コロ・トゥーレが使用した「妻のダイエット薬」というのが、具体的にどんな薬物なのかはわかっていないわけだが、もしそれを言葉どおりに受け取るとすると、「一般人が簡単に入手できて、しかもそれがドーピングにおける明らかな禁止薬物になる」という条件で考えられるのは、ネット通販で入手されたアナボリック・ステロイドである可能性は高い。
というのも、タテマエとして「ダイエット用」として市販されているアナボリック・ステロイドは数多くあるからだ。
そして、それを非常にたくさんの一般人が利用してもいる。例えばステロイド大国アメリカなどでは、一説ではユーザー数100万人を越えているという。日本の怪しげな海外通販サイトなどでも、そうした海外でなら市販されていて入手可能な「ダイエット薬というタテマエのステロイド」等が海外から「ダイエット用」というタテマエで個人輸入されているわけだが、そうした海外から個人通販によってもたらされたドーピング薬物が、必ずしも女性のダイエット用に使われるとは限らず、なんらかの競技をやっているアスリートが使用する場合があることくらい、誰だって知っている。
だからコロ・トゥーレの「言い訳」は子供じみていると言うのである。

30代に入ったコロ・トゥーレが、薬物のおかげで20代のときの隆々とした筋肉が維持できるのなら、アスリートとしてこんな楽なことはない。2回目のドーピング陽性で引退させられないように、コロ・トゥーレは「ドーピング無しの身体」で精々頑張ることだ。
ドーピング無しのコロ・トゥーレ」の今後のパフォーマンスがあまりにも低下するようなら、これまでもたいして練習せずに実は薬物に頼って球を蹴っていただけの選手と言われてもしかたがないだろう。

血液検査には、尿検査の何倍もの時間と費用がかかるが、コロ・トゥーレには痛みの少ない罰金などではなく、毎月尿検査と血液検査を課す、くらいの特別な罰が必要だろう。
6週間分のサラリーくらいの金は、このクラスの大金を稼げる選手なら、プレーさえ続けていればすぐにリカバリーできてしまい、実質的に痛みにはならない。本当に「妻のダイエット薬に手を出しただけ」なのかどうかは、その程度の意味のない罰でわかるわけはないのだ。

dope_impact at 14:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││サッカー │

2011年11月09日

重量挙げ、というスポーツで強いのは、どこの国?と質問されても、この競技に対する知識が全くないので即答できないのだが、オリンピックの男子重量挙げ最重量クラスにあたる105キロ超級で連覇を達成しているホセイン・レザザデという名選手の存在、あるいは2011年の重量挙げ・世界ジュニア選手権での初優勝を見る限り、イランという国がこの競技では中国などと並んで、一目置かれる存在のひとつであるのは確かなようだ。

だが、たいへん残念なことに、2006年にドミニカで行われた世界重量挙げ選手権を前にして、イランナショナルチームは世界アンチドーピング機関(WADA)及び世界重量挙げ連盟(IWF)から、9人もの筋肉増強剤によるドーピング違反者を出した過去がある。
イラン人重量挙げ選手9名がドーピング検査で陽性 ハムシャフリー紙
9人とも出場停止 重量挙げイラン代表



そして、今回スポーツ司法裁判所CASは、イランのウェイトリフターAli-Hosseinの2度目のドーピングに対して、永久資格停止処分を下した。
Iranian weightlifter Ali-Hosseini has lifetime ban for 2nd doping offense cut to 12 years - The Washington Post

Ali-Hosseinの永久資格停止において指摘された禁止薬物は、経口メタボリック・ステロイドのひとつ、メタンジエノン, methandienone (=メタンドロステノロン, Methandrostenolone)だが、この「メタンドロステノロン」を開発したのは、アメリカの医師、ジョン・ジーグラーJohn Bosley Ziegler(ツィーグラーと表記されることもある)であり、メタンドロステノロンという薬物は重量挙げという競技の歴史と切っても切れない過去がある。
Methandrostenolone - Wikipedia, the free encyclopedia
John Bosley Ziegler - Wikipedia, the free encyclopedia

Methandrostenolone

wikiによれば、医師ジーグラーは、第二次大戦中にナチスが蓄積していたステロイド製造に関する情報を知ることのできる立場にあったらしい。また彼自身が重量挙げ選手だったこともあって、さまざまな縁から1954年にオーストリアのウィーンで行われた重量挙げ世界選手権に遠征するアメリカナショナルチームに同行するチームドクターになり、このときであった当時のソ連チームの重量挙げ関係者から「テストステロン」の存在を教えられたらしい。
ジーグラーは帰国後、自分自身と、自分の周囲にいた重量挙げ選手を実験台にテストステロンを実際に投与し、その「著しい効果」を痛感した。彼は、テストステロンの副作用を取り除くため、彼自身の手によって、新しいアナボリック・ステロイドである「メタンドロステノロン」を開発するに至った。
ジーグラーは、自分の開発した「メタンドロステノロン」を、1960年のローマオリンピックに出場するアメリカ重量挙げナショナルチームに投与したが、アメリカはそこまでしても当時のソ連チームに勝つことはできなかった。

当時のアメリカの超有名ボディービルダーで、重量挙げ選手でもあったジョン・グリミックJohn Grimekが、筋肉増強目的でアナボリック・ステロイドを常用していたことを告白しているが、それはまさしくグリミックと親交のあったジーグラーが作った「メタンドロステノロン」を指している。(ミッチェルリポートによれば、元阪神タイガースのセットアッパージェフ・ウィリアムスが在籍中に購入したとする薬物のひとつも、このメタンドロステノロンらしい)


こうして「メタンドロステノロン」という薬物の過去を眺めてみると、この薬物がずっと重量挙げという競技につきまとってきた影のような存在であることは、わかってもらえただろうと思う。本当に残念なことだ。
メタンドロステノロン」は最初のアナボリック・ステロイドとして、アメリカのスポーツの一部がアナボリック・ステロイドまみれに汚染されるきっかけを作った罪深い薬物でもある。今回のイランの重量挙げ選手の永久資格停止でもわかるとおり、スポーツはいまだにこの何十年も前の薬物との悪しき縁を断ち切ることができない。

dope_impact at 02:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││その他のスポーツ | 筋力増強剤、アナボリック・ステロイド
国際陸連は、2011年夏に韓国テグで行われた世界陸上におけるドーピング検査結果の一部として、2選手がB検体でも陽性反応を示した、と発表した。
一人は、男子400mリレーに出場したイム・ヒナム(臨熙南 韓国)。もうひとりは、女子3000m障害のサラ・モレイラ(ポルトガル)。2人とも、既にA検体だけでなく、B検体でも陽性と発表されているから、「普通なら」なんらかの出場停止なり、資格停止なり、記録抹消なりの処分が下される「はず」だ。

「はず」だ、などと曖昧な表現をとったのは、最近さまざまな国単位の国内スポーツ統括団体で、国際機関からドーピング陽性判定が出ている場合でも、直ちに該当選手の大会出場を禁止するなどの常識的な仮処分措置をとらず、むしろ、のらりくらりと曖昧に対応して、結果的に厳しい処分を避けようとする往生際の悪い動きがあちこちでみられるからだ。

この韓国の陸上選手にしても、国際陸連が2011年10月に既にA検体でのドーピング陽性を通知しているにもかかわらず、韓国の陸上競技連盟がそれを隠そうとしたことが後で発覚して問題なったらしい。この選手は、この秋に開催された日本でいう国体にあたる国内大会に出場し続けているらしい。(資料:【現場から】マラソンコース離脱、ドーピング波紋…問題続きの陸上連盟 | Joongang Ilbo | 中央日報

この際、国際陸連は見せしめの意味でも厳しい処分を下すべきだろう。


世界陸上で韓国選手がドーピング陽性反応 - 陸上ニュース : nikkansports.com

陸上の世界選手権(大邱=韓国)で男子400メートルリレーに出場した韓国の臨熙南がドーピング検査で陽性反応を示していたことが14日、分かった。関係者によると、国際陸連(IAAF)が韓国陸連に通知し、韓国アンチ・ドーピング機構の幹部も「A検体で陽性を示したのは事実」と認めた。
韓国の聯合ニュースによると、同選手が服用した薬物はクレアチンで、それ自体は禁止薬物ではないが、服用を繰り返せば、興奮剤と似た作用があるとしている。処分は予備のB検体の結果待ち。予選でマークした400メートルリレーの韓国新記録(38秒94)は取り消される可能性がある。
IAAFからの通知後も同選手は国内大会に出場しており、韓国陸連の対応にも批判が集まっている。

dope_impact at 01:10|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││陸上 │
最近、弟子の十両・隆の山(チェコ出身)へのインスリン投与問題が週刊誌によって報道され去就が注目されていた鳴戸親方が突如死去した。

世界反ドーピング機関(WADA)はインスリンを禁止薬物に指定している。インスリン注射がなぜドーピングになるかといえば、血糖値を下げて食欲を増進させることで体重増加と筋力増強につながるからだ。

だが、ドーピング規程への取り組みがほとんど停止したままになっている日本相撲協会の規定ではインスリンは禁止されていない。

インスリンは、禁止薬物であるとはいえ、もともと人間の体内でも分泌されている物質でもあるために、もともとチェックが難しい。さらに、ヒト成長ホルモンなどの非常に高いコストがかかるといわれているドーピング手法と違い、インスリンは大量生産されているためにコストが安く、その結果、誰にでも手を出すことができてしまう。


八百長問題の発覚で地上波の放送が一時無くなって、あれほど揺れに揺れた相撲界だが、喉元過ぎれば熱さ忘れるで、ドーピング問題については「ささいなこと」として無視することにするつもりなのだろうか。

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2011年08月20日

クレンブテロールによる処分者がまた出た。どういうわけかアメリカと、自転車業界に多い。

顔面にマオリ族のタトゥーをいれていることで有名になったアメリカ人サイクリスト、デイヴィッド・クリンガーは、2009年に既に一度、テストステロンの使用で2年間の出場停止処分になっていて、今回のクレンブテロールが2回目で、アメリカの反ドーピング協会USADAは、彼を永久出場停止にし、クリンガーもそれを受け入れた。

彼はかつてWebcorというチームに所属していた時代に、タトゥーが原因でレースに出場できなくなり、レーザーによるタトゥー除去手術を受けていた時代があるのだが、いつのまにかタトゥーが入ったままレースに出るようになった。だが、もうこれで彼がタトゥーを除去する必要そのものがなくなったわけだ。
Clinger Given Lifetime Ban For Second Doping Infraction | Cyclingnews.com

USADA: Cyclist David Clinger accepts lifetime ban after second doping offense - The Washington Post


近年のクレンブテロールによるドーピング事件

メキシコの複数のサッカー選手

ゴールドカップ
ディープインパクト、ドーピング事件。:サッカー、ゴールドカップで、メキシコの複数の選手にクレンブテロール陽性反応。

アルベルト・コンタドール
2010ツール・ド・フランス総合優勝者
ディープインパクト、ドーピング事件。:2010ツール・ド・フランス総合優勝者コンタドール、禁止薬物クレンブテロール陽性。あまりにも稚拙すぎる自転車業界の言い訳。

ジェシカ・ハーディー 
女子100m平泳ぎの元世界記録保持者
ディープインパクト、ドーピング事件。:クレンブテロールで北京五輪出場断念。女子100m平泳ぎの元世界記録保持者ハーディー

dope_impact at 06:06|PermalinkComments(3)TrackBack(0)││自転車 │
かつてのディープ・インパクト事件や、ツール・ド・フランスでの対応ぶりでもわかったことだが、フランスはドーピングに厳しい国のひとつだ。
ラグビーW杯で初めてドーピング検査が実施されたのは、2007年フランス大会であることからもそれはわかる。フランス代表と南アフリカ代表へ行われた検査が、ラグビー界初のドーピング検査らしい。

たしかにフランス自体はドーピングに厳しいお国柄だが、では、ラグビーというスポーツという視点ではどうかというと、2007年からようやくドーピング検査に取り組んだ、というのでは、全スポーツを見渡してみたときに、取り組みが早かったとは、とても言いがたいことは、以前も指摘した。

フランスはラグビー強豪国のひとつだが、2010年に初キャップを得たばかりの新鋭ウィンガー、ヨアン・ウジェが、いわゆるドーピングに関する所在場所申告義務違反を3度犯したために、ドーピングに厳しいフランスのアンチ・ドーピング機構(AFLD)からドーピング防止規則違反とみなされ、3ヶ月間の出場停止処分を受けた。ウジェは既に代表を辞退している。9月にはワールドカップが開幕するため、フランスチームにとっては大きな痛手となった。
AFP: French winger Huget handed three-month doping ban
日本のW杯対戦国フランスに痛手 新鋭WTBがドーピング防止規則違反|NEWS|RUGBY REPUBLIC(ラグビー共和国)

dope_impact at 05:49|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││ラグビー | 所在場所確認申告
Mayer was sentenced to 15 months in jail, with 12 months of that sentence suspended for a period of three years. Of the remaining three months, he has also already served several weeks in custody following his arrest.
Former Austrian ski coach given jail sentence | Reuters

他に AFP: 15 months jail for disgraced Austrian ski coachなど


オーストリアの大規模ドーピング・スキャンダルの主犯のひとり、元・オーストリア・ノルディックスキーチームのヘッドコーチ、ワルター・マイヤーに、懲役15ヶ月の執行猶予つき判決が下りた。(ただし、取調べ中の拘留期間が3ヶ月ほどあるために、実際の懲役期間は15ヶ月ではなく、3ヶ月減じた12ヶ月になるらしい)
国家の名誉を損なう大規模ドーピングスキャンダルに揺れたオーストリアは、これをきっかけにドーピング違反者を最高で懲役10年の刑に処することのできる新法を制定したが、この法律が対象としているのは2010年1月1日以降の処分が対象であり、ワルター・マイヤーに対する今回の判決は、その量刑からみて、ドーピングに関する新法は適用されていないようだ。
かつてこのブログで「かつてオーストリアのスポーツ界の超大物だったオリンピック委員会のレオ・ウォルナー会長が辞任に追い込まれるほど大きなスキャンダルだから、オーストリアの国家当局がドーピング違反者に対して、いきなり実刑を科すような重い刑罰にする可能性は大いにあると思う。」と書いたのだが、やはりオーストリア政府の処分は、残念ながら軽いものだった。

ディープインパクト、ドーピング事件。:ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダル

ディープインパクト、ドーピング事件。:ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダルのキーマン、ワルター・マイヤー(=ウォルター・マイヤー)

ディープインパクト、ドーピング事件。:オーストリア、ドーピング違反者に10年以下の懲役を科す法律を2010年から施行の見通し

Doping: IOC welcomes Austrian coach Mayer's conviction | Sport | Reuters

dope_impact at 05:31|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダル | ウインタースポーツ
<大リーグ>3A選手、ヒト成長ホルモン使用で解雇 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース
米大リーグ機構(MLB)は18日、禁止薬物に当たるヒト成長ホルモン(HGH)に陽性反応を示したロッキーズ傘下の3Aに所属するマイク・ジェイコブス内野手(30)に50試合の出場停止処分を科すことを明らかにした。HGHの検出は、北米4大スポーツでは初の事例となり、処分を受けて球団は同日、同選手を解雇した。
筋肉増強作用があり、負傷からの回復を早める作用があるHGHは使用の痕跡が残りにくい。検出にはドーピング(禁止薬物使用)検査で広く普及している尿採取ではなく、血液採取が必要。MLBは昨年から北米プロスポーツでは初めて、マイナー選手だけを対象にした血液検査を導入していた。

1990年代から乱用が指摘されてきたヒト成長ホルモン(Human Growth Hormone: hGH)の検出方法の確立は、反ドーピング活動の中で最大の懸案と言われてきたが、検査法確立が技術的に困難をきわめたために、これまでは筋肉増強剤として使い放題になっていた時代があった。
世界で始めて使用を摘発されたのは、2009年11月のラグビー元イングランド代表フッカー、テリー・ニュートン。彼は2年間の出場停止処分を受けた後、自宅で自殺している。この悲惨なニュースはどういうわけかほとんど日本のウェブ上にはマトモに資料が残されていない。
他には、過去にテストステロンで陽性になり1年間の競技停止処分を受けたことのあるドイツ人プロサイクリスト、パトリック・シンケビッツが、2011年3月に陽性になっている。
Former Great Britain hooker Terry Newton found dead | Sport | guardian.co.uk
On 26 September 2010, Newton was found hanged in a house on Harswell Close. Terry Newton - Wikipedia, the free encyclopedia

HGHの違反が発覚した例は過去にもある。しかし、税関で押収されたり、捜査を受けた選手が自ら告白したりしたケースなどで、検査で陽性反応を示して突き止めたケースはなかった。
HGHは人の脳下垂体から分泌されるホルモンで、だれもが体内にもつ。そのため、遺伝子組み換え技術を使って人工的につくられたものと区別するのが難しい。早く代謝されてしまうことも検出を困難にしていた。
検査法開発のために国際オリンピック委員会(IOC)や欧州連合(EU)、WADAなどが計10億円以上の資金を拠出。研究が進んだ。検査は2004年アテネ五輪で初めて導入。だが、投与後48時間以内でないと見つけられないという不完全なものだった。
06年トリノ大会、08年北京大会も陽性はゼロ。検査の実効性を疑問視する声もあった。検査用キットの生産が進まず、検査態勢の整備が停滞した時期もあったが、20年近い関係者の努力がようやく実った。
朝日新聞2月24日朝刊


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2011年08月12日

このニュースにはいくつもおかしな点、わからない点がある。

1 山中選手本人いわく、使用したのはミクロゲンパスタという「軟膏」であるとにもかかわらず、「飲んだ」と表記しているソースがみられる。というのも、メチルテストステロンには錠剤もあるから。
2 そもそも検出された禁止薬物(あるいは代謝物)が「メチルテストステロン」なのかどうか、いまひとつハッキリしていない
3 仮にヒゲを生やすために軟膏を塗ったという告白が本当だとしたら、尿にメチルテストステロンの代謝物が検出されるほどの量になるのかどうかが明確でない
4 山中選手はメチルテストステロンの錠剤を飲んでいたのではないか? という疑問について、きちんとした回答はどこにも明示されていない

ソース1
検出された薬物を「メチルテストステロン」と特定したソース
口ひげ発毛の養毛剤で薬物反応!山中 2年間の資格停止 ― スポニチ Sponichi Annex ラグビー
4月の代表候補合宿(宮崎)に参加した山中は9日の抜き打ち検査で筋肉増強作用のあるメチルテストステロンに陽性反応を示した。蓮沼隆理事によると、口ひげを伸ばすため理容室から市販の塗り薬ミクロゲンパスタの使用を勧められ、1月に薬局で購入した。宮崎で4日から3日間連続で使い合宿前と合わせ使用量は2グラム。

ソース2
検出されたのは薬物の代謝物で、薬物は「メチルテストステロン」「メタンドリオール」のどちらか、というニュアンス
ラグビー:育毛剤「陽性」の元代表・山中、資格停止2年 IRB処分決定 - 毎日jp(毎日新聞)
「検出されたのは筋肉増強効果のあるステロイド剤系の成分で「メチルテストステロン」か「メタンドリオール」で、どちらかは特定できなかった。」


メチルテストステロンとジヒドロテストステロンの違い

メチルテストステロンとジヒドロテストステロン(DHT)は、ドーピングの禁止薬物としての意味も、育毛剤としての意味も、まったく違う意味をもつ。

メチルテストステロンは、筋肉増強剤(アナボリック・ステロイド)だ。
蛋白同化作用、つまり、摂取したタンパクを細胞の組織(主に筋肉)に変える働きを、人為的に強化する。現在もドーピングにおいては今も現役の禁止薬物だ。病気の治療に用いられるメチルテストステロンは、経口剤(あるいは舌下剤)として処方される。
なぜ名前に「メチル」とつくか、というと、テストステロンはたとえ飲んだとしても肝臓ですぐに代謝されてしまうからで、肝臓で代謝されにくいようにするためにテストステロンの分子構造を変えて作られている。
そのため、長期に渡る服用では肝臓に対する強いダメージがある。また、極めて怒りっぽくなるという副作用も報告されており、プロレスの選手で過去にいくつもの凄惨な暴力事件が報告されているのは、この薬物の使用のせいだといわれている。

ジヒドロテストステロン(DHT)は、人間の体内でテストステロンからつくられる。かつてはドーピング隠蔽剤になるという意味で禁止されていたが、現在ではリストからはずされている(理由は後で説明)
DHTがドーピング隠蔽剤として用いられていたのは、人間のカラダにホルモンバランスを保とうとするフィードバックと呼ばれる仕組みがあるからだ。もしDHTが体内に過剰に存在する場合、人体はバランスを保つ意味で、逆にテストステロンを生成を抑制する、これが「フィードバック」だ。テストステロンを不正使用したアスリートが大会直前にDHTを過剰摂取すると、DHTのテストステロン生成抑制作用によって、体内のテストステロンが急激に減少するため、ドーピング検査でのテストステロン検出を逃れられる、という仕組み。

このがなぜ禁止薬物リストからの除外されたかについて、一部ウェブサイトでは「フィナステリドにはテストステロンを抑制する効果が無いことがわかった。だから、リストからはずれた」という意味にもとれる曖昧なニュアンスの説明がなされているが、それは正確ではない。
フィナステリドが禁止薬物リストからはずれたのは、あくまで分析技術の進歩で、たとえフィナステリドを使用していようともテストステロン使用の有無を判別できるようになったためだ。


人口的な男性ホルモンであるメチルテストステロンと、男性ホルモンの働きを抑制するフィナステリドでは、育毛剤としての意味も、まったく逆になる。体毛の育毛にはメチルテストステロン、頭髪の育毛にはフィナステリドということだ。

ミクロゲンパスタのようなメチルテストステロンを含む軟膏は、男性ホルモンとして作用し、眉毛などの「体毛」の育毛を促すが、頭髪の育毛とは関係がない。
一方、フィナステリドは錠剤で、テストステロンからDHTが生成され、脱毛症が引き起こされるプロセスを阻害する。そのため男性型脱毛症の大部分を占めるAGA、頭髪の、それも若ハゲに唯一効果がある薬剤とされている。


ちなみに、DHTの生成を阻害する大量の飲酒習慣が、回りまわって、アルコールに弱くなる原因を作る、ということもあるらしい。これは、大量の飲酒習慣は、いったんはDHTの生成を阻害するが、長年にわたる大量飲酒にはテストステロン産出能力に深刻なダメージを与えるために、DHT産出が強まると、DHTによる肝臓のアルコール分解能力にダメージを与えて、その結果アルコールに弱くなりアルコールを飲まなくなると、さらにDHT産出がますます強まる、という仕組みらしい。
また、育毛目的で長年にわたってDHTを抑制すると、かえって「ハゲる」という報告もある。つまり、DHTを抑制し続けると、ホルモンバランスを保とうとする人間のカラダの作用で、DHTの原料であるテストステロンの生成が阻害され、かえって「ハゲる」という仕組みらしい。
男性ホルモンの摂取を続けると、かえって女性化するという副作用もある。


人体のバランスを保つ仕組み、というものを、舐めてかかると怖いことになる。

dope_impact at 14:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││ラグビー | 筋力増強剤、アナボリック・ステロイド

2011年08月05日

アメリカ西海岸のプロテニスプレーヤー、ロバート・ケンドリックは全仏オープン遠征中の5月22日に受けた検査で、禁止薬物メチルヘキサナミン(methylhexanamine, メチルヘキサンアミンと表記されることもあり、どちらも間違いではない)が検出され、2012年5月21日までの出場停止処分になった。

国際テニス連盟(ITF)は、「時差ボケを解消するカプセルの成分に含まれていた」というケンドリックの主張を受け入れたものの、同時に、「各選手は禁止薬物が体内に入らないようにする自己管理の責任を各自持っている」と説明し、ケジメある処分に踏み切った。

Kendrick doping ban harsh - Yahoo! Eurosport UK

Robert Kendrick's ban showcases flaws in anti-doping - Jon Wertheim - SI.com


メチルヘキサナミンは、2010年からWADA(世界アンチドーピング機構)禁止物質リストに興奮薬としてリストアップされたばかり。
ゼラニウムなど、植物にも含まれている成分でもあり、「ゼラニウム油」や「ゼラニウム根エキス」という名称で、市販のサプリメントにも普通に含まれている

だから、別の言い方をすると、2010年にメチルヘキサナミンが禁止薬物に指定されて以降は、「試合前にサプリメントを服用する場合、なんの気なしに気軽に服用するのではなく、非常に注意して服用しなければならない。それは、アスリートの誰もが持つべき責任になった」という意味でもある。

たとえば、日本自転車競技連盟では、緊急にウェブサイトに記事を掲載し、サイクリストに注意を喚起している。
というのも、メチルヘキサナミンはもともとゼラニウムなどの植物に含まれている植物由来成分であり、これが花油などとして、サプリメントやスポーツドリンクなどに含有されることがある。その場合、成分表記には、「メチルヘキサナミン」と表記されているのではなく、「植物名」が表記されたりすることがある。
だから、よく確かめもせずにサプリメントを服用すれば、結果として「意図しないドーピング」になってしまう場合があるのだ。
ドーピング禁止物質に関する緊急情報2011 | 日本自転車競技連盟 WEB SITE


他に、この記事を書くにあたって、下記の奇妙すぎる記述を発見した。
2010年9月5日に発生したドーピング事例について&私の考え しんどい、痛い、つらい。マスターズ兇離戰鵐船廛譽/ウェブリブログ
どうやらウエイトリフティングで、メチルヘキサナミン服用で2年間の出場停止処分になった事例があったようた。この選手の場合、「試合での集中力を増す」事を目的に、試合前にカフェインを主成分とした輸入サプリメントを服用していたらしく、そのサプリメントにメチルヘキサナミンが含まれていたようだ。

正直、上で紹介したサイトの記述はあまりにも見苦しい。
言い訳にすぎないことが大量に書き連ねられている。
「サプリメントに入っていた」「サプリメントは昔買ったもの」
「知らされていなかったから、しかたがない」「故意ではなかった」

何度も書いてきたことを、また書かなければならない。うんざりするがしかたがない。

ドーピングの原理は、故意であろうと、なかろうと、関係ない。ドーピング行為が故意であるかを問う方向にわざと論点をシフトさせることで誰かを救おうとする弁護士的思考は、ドーピングの本筋とまったく関係ない。
また、ドーピングおよび世界のスポーツにおいて「市販の医薬品や、市販のサプリメントにも、禁止物質が含まれていること」は、とっくに常識レベルの話であり、あらゆるアスリートと、それを支援する人々が常識にしていなければならないレベルだ。
まして、サプリメント大国アメリカのサプリメントは、成分にかなり強烈なものが含まれていることで非常に有名であり、十分すぎるくらい注意して服用しなければ競技生命にかかわることくらい、常識。そしてこのことは、アメリカのサプリメントをやたらと多用してきたウエイトトレーニング関係、ダイエット関係の人々なら、むしろ他の誰より詳しいはずだ。


さらに、カフェインについての誤った発想も問題。
日本体育協会は公式ウェブサイトで次のように指摘している。
カフェインは、2004年以降の禁止表において禁止物質からはずれ監視プログラムに移行しています。したがって、お茶やコーヒーに特別の注意をはらう必要はなくなったといえます。
ただし、カフェインなどは監視対象としてモニターされ、その結果によって再び禁止される可能性もあり、注意しておきたいところです。
出展: Q&A / ドーピング防止 - 日体協

カフェインはたしかに2004年に禁止薬物のリストからはずれている。
だが、「試合前」、「試合への集中力を高めるため」、「カフェインの入ったサプリメント」を摂取するような、「薬物作用で試合結果に直接プラスに働く行為」は、基本的な発想からして、どうかしていると思う。

そもそも、ドーピングは、「薬物など、トレーニング以外の人為によって、試合結果をプラスに導く不正行為を禁止しよう」という発想が原点のはずだ。
カフェインが大量に入ったサプリメントを服用すれば落ち着いて試合できる、という発想そのものが、すでにドーピング的な発想であって、本筋からズレすぎている。正直、議論の対象にすらならないと思う。

ちなみにカフェインという薬物が、あらゆる分野で禁止薬物でなくなったわけではない。
競馬の場合、いまだに立派に代表的な興奮剤として禁止薬物リストに入っている。なぜなら馬にとってのカフェインは、十分興奮剤として作用するからだ。馬と人間は生理的構造が違うので、人間のように、カフェインが必ずしも沈静剤になるとは限らない。
また射撃競技では、薬物によって気持ちを落ち着ける沈静化行為についても、さまざまな薬物が厳しく禁止されている。ちょっと気持ちを落ち着けるのだからカフェインくらいいいだろうと安易にはいえないことも頭に入れておくべきだ。。


何か、いつまでたっても勘違いしていらっしゃる方が多いようだ。
禁止されているのは、薬物などのトレーニングとは無縁の人為的手段によって、ありえない筋肉や、ありえない持久力をつけたり、興奮したり、逆に落ち着かせたりなど、競技結果へのプラス効果を不正にもたらそうとする行為、ドーピングなのであって、薬物の種類など、ドーピングの手段が問題なのではない。
例えば、カフェインが禁止薬物ではないにしても、ちょっと前まで禁止薬物だったカフェインを、サプリメントとして服用して気持ちを落ち着かせようとする行為の発想そのものは、「ドーピング的発想そのものに近い」といわざるをえない。
また、ちょっと前まで禁止薬物だったカフェインが禁止リストからはずれたのは知っていて、しかも利用するほどの知識があるのに、その一方で、メチルヘキサナミンが禁止リストに入ったことは知りませんでした、許してください、などという都合のよすぎるロジックには、誠意も合理性も欠けている。


最近のドーピングには「わけのわからない言い訳」がたくさん見られるようになってきた。
自転車のコンタドールは、料理にクレンブテロールが入っていたといい、ロバート・ケンドリックは、時差ボケ解消サプリメントにメチルヘキサナミン入っていた、と言い訳した。
こんな言い訳だらけのドーピング時代だからこそ、国際テニス連盟が、時差ボケの薬うんぬんというロバート・ケンドリックの言い訳に惑わされることなく「各選手は禁止薬物が体内に入らないようにする自己管理の責任を各自持っている」と、処分に踏み切ったことは、非常に正しい判断だ。

高く評価したい。

dope_impact at 19:17|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││テニス │

2011年08月04日

ドーピングで世界水泳への出場があやぶまれていたブラジル人初の世界大会ゴールドメダリスト、セザール・シエロ・フィーリョが2011世界水泳で起こしていた騒動は、日本ではほとんど報道されなかった。

簡単な経緯
5月 禁止薬物の利尿剤フロセミドが検出
フィーリョ、栄養補助剤に含まれていたと主張
ブラジル水連は出場停止にせず、警告処分にとどめる
国際水泳連盟がスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴
7月21日 CASから出場を認める裁定(時事ドットコム:シエロフィリョ、世界水泳出場へ=CAS
世界水泳2011で、50m自由形、50mバタライで二冠達成


金メダルを獲得したレースについて、日本のメディアなどは「レース後はコースロープにまたがり、祝福の大歓声を全身で浴びた」などと暢気に書いているが、真相は違う。
セザール・シエロ・フィーリョが暢気にコースロープにまたがったとき観客席にいたのは、ただの観客だけではなくて、他の国から参加している水泳選手たちであり、彼らの一部は、フィーリョの金メダル獲得にブーイングを浴びせる意味でホイッスルを鳴らし続けていたからである。
ほかにも、世界水泳の期間中、他の競技者がフィーリョをどういう扱いをしていたかは、例えば以下の記事を読めばわかる。
いわゆる「親指を下に向ける動作」を、フィーリョの面前でやった選手すらいたらしい。
AFP: US swimmer Phelps side-steps Cielo doping row


礼儀の問題はともかくとして、フィーリョが世界水泳に出る許可を出したのは、明らかにおかしい。

何度も書いてきたように、ドーピングの規定というものは、故意に使用したかとか、偶然摂取したものに混入していたとか、そういう恣意性の有無を問わない。CASは、フィーリョが「栄養補助剤の中に入っていた」などという子供のような言い訳を認める結果になるような裁定を下すべきではない。
人に面と向かって無礼な行為をすることの礼儀の上での是非はともかくとして、他の国のアスリートたちにしてみれば、「そんな馬鹿なことがあって、たまるか」という気持ちになった裁定であったのは、間違いない。

dope_impact at 15:32|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││水泳 | 隠ぺい剤
エリスロポエチンは、もともと人間の体内にある物質(主に腎臓で産生されるペプチドホルモン)で、赤血球を増やす働きがある。

陸上のアスリートなどが持久力アップを目的に高地トレーニングを行うことがあるが、これは、人間のカラダには低酸素状態に遭遇すると体内により多くのエリスロポエチンを作り出し、赤血球を増やして酸素をたくさんカラダの中で流通できるようにする働きがあることを利用している。
つまり、わざと低酸素状態の高地に長期間滞在すると、人間のカラダは自然とたくさんのエリスロポエチンを生産して赤血球が増えるので、結果的に持久力アップになるのである。
これは、人工的に作られたエリスロポエチンを摂取するのとは、意味が違う。


人工的なエリスロポエチン剤は、このプロセスを貧血の治療などの目的で人工的に行う薬剤。かねてから、血栓塞栓リスクがあることが指摘されており、投与された患者に脳卒中や心臓発作の発症例が報告されている。
米2学会が貧血治療薬エリスロポエチンに関する最新ガイドラインを発表:日経メディカル オンライン

血液中の赤血球の割合はヘマトクリット値(HTC)であらわされるが、HTCを高地トレーニング(もしくはEPO)で50%前後に高めても、大きな健康リスクはない。
だが、ヘマトクリット値55%以上になると、リスクが上昇するといわれている。赤血球濃度が増えすぎて、血液がジャムと同じくらいの粘度になるらしい。

要するに、人工的に赤血球を増やしすぎた結果、血管の中に「固まり」、つまり「血栓」ができて、血管が詰まってしまい、血流が止まってしまうことがある、ということだ。
血栓ができたのが心臓なら心臓発作、脳なら脳卒中が起きる。



人工的なエリスロポエチン剤のスポーツでの使用は、欧州サッカーでは1990年代から、持久力アップの目的で使用されてきていたといわれている。いわゆる「血液ドーピング」だ。
かつて、イタリア・セリエA、ペルージャのガウチ会長が、所有するセリエC1のビテルベーゼで選手に服用するよう指示した疑惑があると報じられたのも、同じセリエA、ユベントスで、クラブ・ドクターのリカルド・アグリコラ医師が有罪判決を受けたのも、このエリスロポエチンだ。
また、ツール・ド・フランスのような自転車の大レースでも、1998年に選手に伴走するコーチの車から大量のアンプルが発見されるなど、たびたび摘発者を出している。自転車ロードレースのドーピングでよく名前を聞くCERAは、持続性エリスロポエチン受容体活性化剤Continuous Erythropoiesis Receptor Activator) のことで、これもエリスロポエチンの一種。
かつて陸上の長距離界を席巻した中国の「馬軍団」がオリンピック直前になって中国代表から外され、五輪に出場できなかったのも、このエリスロポエチン使用が原因といわれている。


かつては、もともと人間の体内にある物質だから、ドーピングをしていても判別は難しいだろうと言われていたが、近年では検出技術の進歩により、尿と血液の両方を調べて比較するなどの方法で検出が可能になった。
ドーピング薬物「EPO」、分析期間を3分の1に短縮 日本の研究所+(1/2ページ) - MSN産経ニュース

今でもこっそりエリスロポエチンを服用している人間はいることだろうが、そういう人々はエリスロポエチンには、血液がジャムのようになって血管が詰まり、心臓発作や脳卒中を起こすリスクがあるということをきちんと把握しているのだろうか。
他人事ながら心配になる。

dope_impact at 13:56|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││EPO,CERA │

2011年07月12日

2011年になって、ドーピング事件では、ステロイドや血液ドーピングのニュースは一時ほどの頻度の高さではなくなり、かわりに、クレンブテロールがどういうわけか主役になりつつある。(自転車のコンタドール、ゴールドカップにおけるメキシコのサッカー選手、など)


かつて大規模なドーピング・スキャンダルの主役だった各種のステロイドや、血液ドーピングは、明らかに「ドーピングの主体的意思を示したドーピング手法」である。
だから、ひとたび陽性が確定すれば、選手の責任は火を見るよりも明らかと、激しく非難され、複数年の出場停止などの厳罰が下されることで、選手生命は明らかに断たれる方向に事態は進む。
こうした、ステロイドや血液ドーピングなどの「ヘビー・ドーピング」の検出技術が、科学技術の進歩でかつてなく進んでいるし、選手やコーチ間に今は「ヘビーなドーピングは、バレやすい。いま手を出すのはマズい」というリスクヘッジ意識が働いているのかもしれない。


だが、かわりに、久しくドーピングの主役から遠ざかっていたと思われていたクレンブテロールのニュースをよく聞くようになった。


クレンブテロールという薬物は、以前から指摘しているように、豚を飼育する際に大量に与えられる薬剤で、豚の飼育・輸出が盛んな中国やメキシコでは、これまでに何度も豚肉を食べた人の中毒騒ぎが起きて、投与禁止措置などもとられたが、実際には、クレンブテロールの家畜投与はまったく無くなってなどいない。

ディープインパクト、ドーピング事件。:クレンブテロール clenbuterol
●中国のクレンブテロール中毒
中国では塩酸クレンブテロールを投与された豚肉を食べた300人以上が、
めまい、疲労感、頻脈、筋肉のけいれん等の症状を訴えて入院したという。クレンブテロールは、赤身肉を作る「赤身肉薬」として知られ、
中国では90年代に投与が禁止されている。
http://project.jica.go.jp/mexico/2451084E0/p_info/index.html
http://jp.epochtimes.com/jp/2006/09/html/d94892.html
●メキシコのクレンブテロール中毒
メキシコでは肥育牛にクレンブテロールが違法に投与されて
ヒトに中毒を起こすことがしばしばあり、社会問題となっている
http://project.jica.go.jp/mexico/2451084E0/p_info/index.html


http://project.jica.go.jp/mexico/2451084E0/p_info/index.htmlによれば、
クレンブテロールは、赤身肉を作る「赤身肉薬」として知られ、
中国では90年代に投与が禁止されているが、まだ広く用いられていると報告されている。
通常出荷数週間前に投与をやめるらしい。

http://jp.epochtimes.com/jp/2006/09/html/d94892.htmlによれば
「豚の場合は、同化学物質を大量摂取し、
肝臓・肺・腎臓に蓄積しても中毒しない、」というが
「塩酸クレンブテロールは人体対して、目まい、吐気、
手足の振るえ、心悸亢進をもたらし、最悪の場合は心拍停止になり
、死亡に至る場合もあるという。
特に不整脈、高血圧、緑内障、糖尿病および
甲状腺機能亢進等持病を持つ患者には極めて危険であることから、
現在はすべての国において、
同化学薬品は飼料添加剤として禁止されている。」としている

クレンブテロールの家畜の体内からの排泄は、組織によって違い
たとえ肺の残留濃度が低下しても、
眼球など、別の部位には高い濃度のクレンブテロールが残留する。
http://jliadb.lin.go.jp/bunken/cgi-bin/bunken_show.pl?54095


ディープインパクト、ドーピング事件。:「豚」「インフルエンザ」で連想する「クレンブテロール」「中国」「メキシコ」


血液ドーピングは「もし明るみに出れば言い逃れなどできないドーピング」だが、コンタドールがやったのは「食べた肉に、たまたまクレンブテロールが入っていて、それが検出されただけだ。俺は潔白だ」という「言い逃れ」である。
地元のスター選手を保護したいだけのスペインの自転車競技連盟が、この幼稚園児じみた稚拙な言い訳を擁護するおかしな対応をしているばかりに、メキシコのサッカー連盟も、全く同じ手法をとろうとしており、クレンブテロールへの対応の甘さは世界的に拡大する気配をみせている。

スペインの自転車選手、メキシコのサッカー選手にしてみれば、「血液ドーピングは言い訳できないが、クレンブテロールの場合、言い訳次第でなんとかなるさ」というわけだ。


クレンブテロールが「公然と言い逃れできる安易なドーピング手法」になってしまうのは絶対に避けるべきだ。基本的なドーピング規定だけで簡単に逃げ道をふさぐことができるはずだと思うが、ここまでくると、あえて逃げ道を徹底的にふさいでおくために、あえてクレンブテロールに対しては、「どんな理由があっても、検出されたら大会から排除する」など、もっと厳格な検出や処罰規定を設けるべきだろう。


本来のドーピング規定からして、何度も書いているように、クレンブテロールの検出は「検出された時点で、クロ」で「理由は関係ない」のである。
本来のドーピングのルールからして、「どんな方法で体に入ったかは、本来関係ない」「食べたモノの中に偶然あろうが、わざと摂取しようが、経緯は関係なく、検出された時点でドーピング」というのが、「ドーピングの基本ルール」だ。

もういちど書いておこう。
故意にであろうと、なかろうと、そんなことは関係ない。
食べたのがステーキだろうと、コーンフレークだろうと
領収書があろうと、なかろうと、
検体からクレンブテロールが検出された時点で、
コンタドールは明白に「ドーピング」だ。

どういう経緯があろうと、なかろうと
検体にクレンブテロールが検出されてはならない
のである。

ディープインパクト、ドーピング事件。:2010ツール・ド・フランス総合優勝者コンタドール、禁止薬物クレンブテロール陽性。あまりにも稚拙すぎる自転車業界の言い訳。

時事ドットコム:WADAも異議申し立て=コンタドールの処分解除で−自転車


WADAは今後のクレンブテロールによる「言い訳の蔓延」という事態を招かないよう、コンタドールの言い訳を絶対に許すべきではない

dope_impact at 13:22|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││クレンブテロール │
北中米およびカリブ海諸島地域の大会であるゴールドカップで、メキシコの複数のサッカー選手がクレンブテロール陽性反応を示した件については、メキシコサッカー連盟が処罰をしない方針と言い出した。
AFP: Mexicans will not punish dope probe players

CONCACAFゴールドカップ - Wikipedia

同じくクレンブテロールが検出され、ずっと処罰について揉めてきたサイクリスト、コンタドールについて、スペイン自転車競技連盟も今年2月に処分撤回を表明し、WADA、国際自転車連盟(UCI)双方が、CASに異議を申し立て、コンタドールは異議申し立て状態のままツール・ド・フランスに参加するという異常事態。
スペイン車連が処分取消を正式決定 コンタドールが本日レース復帰 | cyclowired

時事ドットコム:WADAも異議申し立て=コンタドールの処分解除で−自転車


時事ドットコム:新たに4選手がドーピング=サッカー・メキシコ代表
先月末まで行われたサッカーのゴールドカップでのドーピング(禁止薬物使用)検査で5選手が陽性を示したメキシコ代表から、別の4選手からも陽性反応が出ていたことが1日、分かった。国際サッカー連盟(FIFA)の医事責任者が同国のテレビ番組で明らかにした。
検出されたのは、いずれも食肉用の家畜に成長促進作用があるクレンブテロール。メキシコ連盟は当初の5選手について、薬物が残留した肉を食べて陽性反応を示したとして、米ロサンゼルスの施設で精密検査を受けさせていた。

AFP: Four more Mexicans embroiled in doping probe

dope_impact at 12:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││クレンブテロール | サッカー
ヒドロクロロチアジド11日、ツール・ド・フランス第5ステージで、アレクサンドル・コレブネフ(ロシア)が、ドーピング検査で利尿剤のヒドロクロロチアジドの陽性反応を示したとして大会から除外。国際自転車連合(UCI)によると、6日に採取された尿サンプルが陽性反応を示した。

Russian tests positive for diuretic at Tour de France - USATODAY.com

コロブネフがツール・ド・フランスのドーピング検査で陽性に | cyclowired


ヒドロクロロチアジドは、運動能力向上効果のない利尿剤だが、ドーピングのマスキング剤になるためWADA(世界ドーピング機関)が禁止薬物としている。

使用可能薬リスト&禁止リスト / ドーピング防止 - 日体協

ヒドロクロロチアジド - Wikipedia

dope_impact at 12:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││自転車 | 利尿剤

2011年07月09日

サッカーは世界的な競技だとよくいわれるスポーツのひとつだが、どこの国でも行われるようになってきたとはいえ、それでもまだ男性だけに偏った競技ではあった。
その偏りから脱皮して、女子の競技としても拡大展開したいのがFIFAのマーケティング方針だろうが、その女子に早速ドーピング問題が浮上するのだから困ったものだ。

Colombia women's keeper fails drug test - Scotsman.com Sport

AFP: IOC concerned about North Korean doping scandal

女子W杯 コロンビアGKがドーピング検査で陽性反応 ― スポニチ Sponichi Annex サッカー
国際サッカー連盟は28日、女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会に出場しているコロンビアのバロンがドーピング検査で陽性反応を示したため、暫定的な資格停止処分を科したと発表した。
控えGKのバロンは25日にレーバークーゼンで検査を受け、A検体が陽性反応を示した。

女子W杯出場の北朝鮮2選手が薬物陽性 ― スポニチ Sponichi Annex サッカー
国際サッカー連盟(FIFA)は7日、女子ワールドカップ(W杯)北朝鮮代表のDFソン・ジョンスンとチョン・ポクシムがドーピング検査で陽性反応を示したと発表した。
2選手は北朝鮮の1次リーグ3戦目のコロンビア戦に先発予定だったが、キックオフ直前に検査結果が出て出場停止処分となった。FIFAは検出された薬物を明らかにしていない。コロンビア戦後に残りの19選手全員がドーピング検査を受けた。

なお、海外メディアでは北朝鮮のドーピングは「アナボリック・ステロイド」と特定されており、IOCも関心をもっているというから、オリンピックへの出場資格に影響が出る可能性がある。

dope_impact at 10:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││サッカー | 筋力増強剤、アナボリック・ステロイド
イギリス政権を揺るがす事件にすら発展しつつあるルパート・マードック氏所有の英日曜大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」の盗聴事件は、直接スポーツに関係しない事件ではあるが、かつてイタリアのセリエAが八百長やドーピング問題で揺れ続けていた時代に噂された「盗聴疑惑」を思い出させる。
当時の首位ユヴェントスと、2位ミランが、カルチョ・スキャンダルの発覚によってポイントを剥奪され、それによって3位インテルにタナボタ式にスクデット(セリエAの優勝)が転がり込んできたわけだが、優勝したインテルが関係の深いイタリア最大の電話会社テレコム・イタリアなどの力を借りて、有名選手の素行調査などを行っていた、などと噂され、ユヴェントスの選手がインテルの優勝の剥奪などを訴える泥仕合になった経緯がある。
テレコム・イタリアは過去にもイタリア政財界のトップらを盗聴した疑惑を持たれ、スキャンダル化したことがある。

英大衆紙廃刊、マードック帝国に批判 首相元側近を逮捕 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

テレコム・イタリア盗聴スキャンダルとインテル - Tifosissimo!!! fuori casa - 楽天ブログ(Blog)

CINEMA TOPICS ONLINE|映画『ヤバい経済学』から日本の経済を斬る!〜ジャーナリスト・上杉隆氏が語る!

dope_impact at 10:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││サッカー │
大規模な八百長が発覚した韓国サッカーで、選手46人とブローカーら計63人を摘発し、うち57人が起訴。自殺者も既に出ている。もちろん、この件はさらに拡大することだろうし、そうでなければ浄化などされない。
ゴールキーパーが相手チームが得点しやすいよう防御のタイミングを微妙に遅らせたり、ディフェンダーが、ボールを奪うふりをして振り切られたように装い、相手チームの得点を促したというから、酷いものだ。

もっと驚くのは、この件に関与した選手のかなりのパーセンテージが、「ナショナルチーム経験者」で占められている、という事実。韓国のサッカー界で「八百長が当たり前のことのように行われる空気があった」ということになる。
かつての日韓ワールドカップでのイタリアと韓国のゲームのあまりにも酷い判定の歪みを、あらためて思い出さずにはいられないサッカーファンは多いだろうが、あのゲームの後、多くの強豪国が韓国とのマッチメークを拒否し、韓国サッカーの弱体化につながったことを考えると、彼らは自分たちのやってきた行為を本気で反省すべき時が来たことを思い知るべきだろう。

韓国サッカーの八百長、摘発は選手ら63人に : サッカー : スポーツ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

衝撃のKリーグ八百長、加担者半分が「国家代表出身」 | Joongang Ilbo | 中央日報

知りたい:大揺れ韓国サッカー界 失点演出、巧妙八百長 - 毎日jp(毎日新聞)

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2011年01月19日

フエンテス医師の生々しい「ドーピング収益配分メモ」オペラシオン・ガルゴにおいて、フエンテス医師のもとで発見された非常に生々しいメモ。「ドーピングの利益を、協力者たちの間で、誰に、どのくらい配分するか」が、具体的に数字で示されている。
また、それだけでなく、メモ最下段には、自転車3大レース、ツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャでドーピングを施す場合の「特別料金」と思われる数字すら並んでいる。
Dr Fuentes Caught Up In Another Spanish Doping Investigation | Cyclingnews.com


ライン・コンヴォイ事件に続いて、スペインの「Operacion Galgo オペラシオン・ガルゴ」をまとめている。
日本語と英語で普段表示させているブラウザでは、スペイン語の母音のアクセント表記がどうにもうまく表示できないので、以下、英語のアルファベットで代用している。あらかじめご承知おきいただきたい。
元資料:Operacion Galgo - Wikipedia, the free encyclopedia


オペラシオン・プエルトの「続編」ともいうべきオペラシオン・ガルゴ
2006年のオペラシオン・プエルトでは、よく知られているように、非常に多数の、それも、さまざまな国籍の自転車選手の名前が取り沙汰されたわけだが、オペラシオン・ガルゴでは、その多数の人物のうち、主にスペイン人、それもスペインの陸上競技に関連した人物だけが集中的に摘発されているようだ。
というのも、オペラシオン・プエルトの2006年当時、スペインの反ドーピング関連の法律整備は間に合っていなかった。そのために、スペイン国内での処罰は見送られた。
オペラシオン・プエルトでツール・ド・フランスへの出場停止などの処罰が実現したのは、あくまでツール・ド・フランスを主催するフランス側の処罰であって、スペインでの処罰ではないのだ。
こうした背景から、オペラシオン・ガルゴは、ある意味でスペイン当局にとっては、かつてあまりにも消化不良な結果に終わったオペラシオン・プエルトの尻拭い、帳尻あわせ、とでもいう性格をもつのだろうと思う。


Galgoとは、スパニッシュ・グレイハウンド(犬の種類のひとつ)のことで、オペラシオン・ガルゴは、稀に英語系サイトではOperation Greyhoundと表記されていることがある。Operation Galgoとは、スペインの警察組織のひとつであるGuardia Civilが指揮したスペインでのドーピング摘発捜査のコードネームである。

スペインの警察機構の仕組みはどうも日本とはかなり違うらしく、Guardia Civilという組織がスペイン国内の行政機構でどういう位置づけにあるのか、よくわからない。多少検索して調べてみたものの、正直なところ、よくわからなかったので、解説するリンクだけを挙げておく。
スペインの警察について


関与した人物

マルタ・ドミンゲス Marta Dominguez

Marta Dominguez

2006年のオペラシオン・プエルトに関与したことで知られ、2009年世界陸上の3000m障害では優勝した、波乱万丈な経歴をもつ35歳のスペインの女子陸上選手。
今回の事件では、その疑惑だらけの経歴に「オペラシオン・ガルゴ」が加わった。この事件では「他のアスリートへドーピング薬物を提供した」といわれ、家宅捜索ではパソコン、書類、たくさんの薬物、さまざまな証拠を押収されている事件の堂々たる主要人物である。
2006年のオペラシオン・プエルトに関与しているにもかかわらず、この人物、なんとSpanish Athletics Federationの副会長職にあるらしい。(記事作成時点で、副会長職は停職処分中)
Spanish Athletics Federationは、この事件への関与が取り沙汰されているヌリア・フェルナンデス Nuria Fernandezを2010年のベスト・アスリートに選んで物議をかもしているわけだが、元を正せば、Spanish Athletics Federationの副会長がドーピングの供給源というのでは、まったくもって洒落にならない。
BBC Sport - Athletics - World champion Marta Dominguez suspended in drugs probe
ドーピングに関するニュース | 日本アンチ・ドーピング機構

フエンテス医師 Doctor Eufemiano Fuentes
オペラシオン・プエルトでも主役だった、あの医師である。
いまだにこうしてドーピング事件に名前を連ねること自体が不思議な話だが、当時のスペインではアンチ・ドーピングを取り締まる法律がなかったため、フエンテスは結局オペラシオン・プエルトで、なんの処罰も受けていなかった。
Eufemiano Fuentes - Wikipedia, the free encyclopedia
Eufemiano Fuentes arrested in new Spanish anti-doping raids

ヌリア・フェルナンデス Nuria Fernandez
2009年のベルリン世界陸上で1500m4位になったスペインの女子陸上選手。ヌリア・フェルナンデスのオペラシオン・ガルゴへの関与が取り沙汰されているなかで、Spanish Athletics Federationは、この選手を2010年女性ベストアスリートに選んだらしいが、その姿勢に世界中が首をかしげている。
Spain awards doping-case suspect Nuria Fernandez top honor - ESPN
Spain awards athlete implicated in doping case - USATODAY.com

Alberto Garcia スペインの陸上選手、クロスカントリー選手。2005年の5000mヨーロッパチャンピオン。2003年にもEPOの使用で、2年間の出場停止処分になっている。
Reyes Estevez スペインの男子陸上選手。98年の1500mヨーロッパチャンピオン。
Alemayehu Bezabeh エチオピア生まれの男子陸上選手、クロスカントリー選手。クロスカントリーで2009年にヨーロッパチャンピオンになっている。
Cesar Perez スペインの元3000m障害の選手。引退後に、オペラシオン・プエルト、オペラシオン・ガルゴでドーピングを摘発された3000m障害選手Marta Dominguezのコーチに就任した。
Manuel Pascua フィットネス・トレーナー
Maria Jose Martinez Guerrero
Jose Alonso スペインの元400mハードル選手、クロスカントリー選手。
Alberto Leon 元MTB選手。オペラシオン・プエルトでも逮捕され、このオペラシオン・ガルゴで二度目の摘発となった。摘発後、自ら命を断った。
Spanish mountain biker Alberto Leon committed suicide - ESPN

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2011年01月16日

これは2007年にドイツのフライブルク大学(フライブルク大学は通称。正式名は、アルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルク)の大学病院を舞台に起きたドーピング・スキャンダル、いわゆるライン・コンヴォイ(Rhine Convoy)事件の簡単なまとめである。情報ソースが多くない事件でもあることだし、事実関係については必ず自分で細部まで確め、その上で自らの責任において判断してほしい。


この事件の留意点と
フライブルク大学病院の関与について


ライン・コンヴォイ事件は、フライブルク大学の大学病院の医師(ゲオルグ・フーバーGeorge Huber、ローター・ハインリッヒLothar Heinrich、アンドレアス・シュミットAndreas Schmidなど、スポーツ科所属の数人)が、ツール・ド・フランスに出場するドイツ・テレコムチーム(後のT-モバイルチーム)のドイツ人サイクリスト数名に血液ドーピングを施していたとされている事件で、大学ぐるみといわれていたドイツの大規模ドーピング・スキャンダルである。

ゲオルグ・フーバーとはどんな人物か
オーストリアのウィーン血液銀行ドーピングスキャンダルで逮捕されたワルター・マイヤーは、単に個人的にドーピングの機会を提供していたわけではなく、彼はトリノ五輪などでオーストリア・ナショナルチームのスキーコーチを務めるほどの実力者であり、その立場から、自転車に限らず様々な複数競技のアスリートにドーピングを提供していた。
フライブルク大学病院のゲオルグ・フーバーもまた、単に大学病院の研究者のひとりなのではなく、ドイツの冬季五輪におけるチーフ・ドクターという要職にある人物であり、また、驚くことに、ドイツのアンチ・ドーピング機構の一員ですらある。

Dr. Georg Huber
Chief medical officer of the German Olympia team
at the Olympic Winter games 2006 in Turin

Dr. Georg Huber is the chief team physician of the German Olympia team. He is specialized in occupational and sport medicine, working as an internist and expert for neural therapy.

As the assistant medical director at the University of Freiburg he is in charge of the rehabilitative and preventative sport medicine departments.

As the team doctor Dr. Huber participated in the Olympic Winter games of 2002 as well as at six Olympic Summer games, five Paralympics and three Deaflympics.

Since 1980 he is responsible for the equipment of the Olympia pharmacy. Until its closure Dr. Huber was member oft the anti-doping-commission for NOK and DSB. Afterwards he joined the newly founded National Anti-Doping- Agency (NADA) and is a member of the medicine & analytic taskforce.

As a medical supervisor Dr. Huber also accompanied many bike and motorbike events as for example the bike world championship and various bike tours. Since 1982 he is chief medical coordinator of the German bike league.

Since 1995 Dr. Huber is team doctor of the DSV- Ski alpine and DBS / NPC-Anti-Doping-commissary.
出展:GE Healthcare-Company Information -Media Event February 19

この事件には、いくつもの留意しなければならない点がある。
例えば、当初サイクリストを告発した関係者証言の中には、後になって発言主旨が二転三転したケースがある。例えば、当初はこの事件への関与が強く取りざたされ、関与したという証言もいくつかありながら、アンドレアス・クレーデンは、後にドイツ検察によって証拠不十分とされ、処分されずに終わっている。

関与が指摘されたドイツ人サイクリストのうち、数名は自ら記者会見を開いて事実を認め、また数名は否定し続けたまま現在に至っている。
事件の解明については不透明さが残ったままであり、完全に解明されたとは到底いえないが、フライブルク大学の大学病院がこのスキャンダルがもとでスポーツ科自体を閉鎖し、数名の医師を解雇していることから、フライブルク大学病院側の関与は確定的とみていい。


また注意しなければならないのは、その国の検察機構が不起訴にしたからといって、ドーピング事件の処分を最終的に決着させるのが、当該国の国内の検察だとは限らないないことだ。
ドーピング事件の処罰に決着をつける裁定を行うのが、個々の国の検察や国内法による裁定ではなく、IOCが設立した裁定機関であるスポーツ仲裁裁判所(CAS: Court of Arbitration for Sport)であることも近年少なくない。
例えば、長年オーストリアで組織的なドーピングを指摘され続けてきたワルター・マイヤーの不正行為は、オーストリア国内の司法機関では「ワルター・マイヤーには非はない」という裁定が何度も行われきていて、ドーピング行為が看過されてきた。だが、トリノ五輪にまつわるイタリア警察の粘り強い捜査やWADAによる長年の追求によって、最終的には逮捕・拘束されている。

国際的な機関でなく、国内機関では、どうしても自分の国のアスリートを甘やかす判断が下されることも多い、という人間的な事情もある。
また、ドーピングの処罰規定の整備は、たとえそれがスポーツ先進国といえども、各国国内で法や倫理規定として整備されたのが近年になってからのことであり、国内法ができる前に起きたドーピング事件については、各国の国内では処罰しきれない、という事情もある。
たとえばアメリカのMLBにはかつてドーピング処罰規定がなかった。そのため、バリー・ボンズの過去のドーピングについての処罰は、ドーピングとしての審理ではなく、公聴会での偽証罪が対象になっている。


ライン・コンヴォイ事件は、事実関係や、誰にどう責任があるのかについての解明が十分に追求されきっていない印象がある。バルコ・スキャンダルや、オペラシオン・プエルト、ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダルと違って、ライン・コンヴォイ事件は事件の全体像が必ずしも明確でないのである。
だが、ドーピングを提供する特定のラボ(多くは私企業ではなく、公的機関だったりする)と、長年に渡って暗躍する特定医師という「ドーピング供給者」の存在(ライン・コンヴォイ事件の場合はフライブルク大学病院と、そこの医師)、そのラボを頻繁に利用して試合に勝って名声と金を稼ごうとする「ドーピングアスリート」(この場合は、ドイツ人サイクリスト)という構図そのものは、他の大規模ドーピング事件とまったくかわりない。
ライン・コンヴォイ事件は「事実無根な事件」ではなく、また「冤罪事件」でもない。れっきとした大規模ドーピング事件である。



困ったことに、「ライン・コンヴォイ事件」は、2006年にスペインで摘発されたドーピング事件「オペラシオン・プエルト」と混同しやすい。
というのも、「ライン・コンヴォイ事件」で問題になった自転車レーサーの主要人物が、「オペラシオン・プエルト」でも名前が挙がったドイツ人レーサーのヤン・ウルリッヒ(Jan Ullrich)であるためだ。
「オペラシオン・プエルト」でのドーピング供給者は、かの悪名高いフエンテス医師だが、「ライン・コンヴォイ事件」でのドーピング供給者は、フライブルク大学の大学病院で、2つの事件を混同してはならない。
オーストリアを舞台にした「ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダル」は、自転車専門メディアを除けば日本国内メディアによる報道はほぼ皆無だったが、「ライン・コンヴォイ事件」の場合は、国内の情報ソースが多少無いわけではなく、いくつかはウェブ上にニュースが存在する。


ドイツの自転車ブームを作ったヤン・ウルリッヒ

ヤン・ウルリッヒが、90年代以降のドイツ人にとってどういう存在だったかは、以下のサイトに非常に丁寧にまとめられている。一部引用させていただいておく。
ドイツの事件、スキャンダル
(以下 引用)
90年代にドイツ人がtour de franceで優勝した事をきっかけに、一気にブームに火がついた。tour de franceの季節になると、毎日、延々3時間も生中継、さらに同じ日に再放送が3時間、それでも足らず、夜になるとスポーツ番組でその日のトップイベントとして延々と取り上げられている。おかげでこれまでは名前さえ知られていなかった選手はスター扱い。ドイツの大企業と膨大な額の宣伝契約を結んで、コマーシャルに登場するようになる。自転車のレースで金持ちになる事がわかると、さらに自転車人気に拍車がかかり、スターを目指して自転車のレーサーになる若者が相次いでいる。
ところが、ドイツで自転車競技の人気が高まるに比例して、ドイツ選手が競技会で優勝する事が稀になっていく。歴史上、唯一のドイツ人として1997年にtour de franceに優勝して、自転車人気の発信源となったJan Ullrich氏は、その後も毎年tour de franceに参加、ドイツ人は二度目の勝利を期待してテレビの前に釘付け。しかし 、2度と勝利の栄光に輝く事はなく、最後にはewiger Zweiter(2番にしかなれない人)と呼ばれるようになる。
(引用終わり)


ドイツ・テレコムおよびT-モバイルのチーム変遷史と
3つの事件の「連鎖性」


ヤン・ウルリッヒなど、ライン・コンヴォイ事件に関係したレーサーたちが所属していたチーム(ドイツ・テレコムおよびT-モバイル)のスポンサー、所属選手、チーム成績の複雑な変遷と、チーム内のゴタゴタは、下記のリンク先に要領よくまとまっている。
チームコロンビア-HTC:バランスの取れた多彩なタレント集団 : CYCLINGTIME.com

ライン・コンヴォイ事件と、ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダルは、まるっきり無関係というわけではない
元ドイツ・テレコムに所属し、ソウル五輪銅メダリストのドイツ人自転車選手クリスティアン・ヘンは、2007年になって、95年から引退までにわたってEPOを使用し続けていたことを告白したが、彼はその告白後、ゲロルシュタイナー、ミルラムと、ドイツの2つの自転車チームの監督を歴任していて、そのうちゲロルシュタイナーでは再びドーピング違反者を出した。
同様に、ドイツ・テレコム所属時代のドーピングを告白したウド・ボルツは、告白時点ではゲロルシュタイナーでスポーツ部長を務めており、告白後にゲロルシュタイナーを自ら辞めている。
つまり、ゲロルシュタイナーの指導スタッフは「ドイツ・テレコム時代のドーピング経験者ばかりだった」とでもいうことになる。

ゲロルシュタイナーの選手のほうはどうだろう。
ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダルで引退したオーストリア人のベルンハート・コールは、そのゲロルシュタイナーの選手だった。
ゲロルシュタイナーにはそのほか、2008年ツール・ド・フランスでのドーピングで、全世界のレースを出場停止処分になったドイツ人のステファン・シューマッハー、北京五輪で銀メダリストになりながらCERA陽性が判明したダヴィデ・レベッリン、2009年にドーピング陽性が判明したドイツ人オラフ・ポラックがいた。
2008シーズンをもって、ゲロルシュタイナーは自転車レースから撤退した。

こうしてドイツ・テレコム、T-モバイル、ゲロルシュタイナーと続いたドイツ関連チームでの「ドーピング連鎖」は、ドイツにおいて自転車というスポーツに完全に汚れたイメージを植え付け、ドイツでの自転車ブームにとって完全に致命傷になった。その結果、ドイツからツール・ド・フランスにトライするチームの消滅を招いた。
「ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダル」は、そもそもドイツの隣国オーストリアを舞台にした事件だが、当時、この事件はどういうわけかドイツ国内で非常に高い関心を呼び、連日報道され続けていた。というのも、スペインでの「オペラシオン・プエルト」、2006年ドイツでの「ライン・コンヴォイ事件」、2007年オーストリアの「ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダル」と、3つの大規模ドーピングスキャンダルにまたがる形で常にドイツの選手たちが関わっていたからで、誰の目にも、これらの事件が相互にどこかしら連鎖する部分が直感されたからだ。


ライン・コンヴォイ事件年表(仮)

1997年 ヤン・ウルリッヒ ドイツ人として初のツール・ド・フランス優勝。以降ドイツで「ツール・ド・フランス」が大ブームに。

2006年6月30日
オペラシオン・プエルトへの関与疑惑により、T-モバイル・サイクリング・チーム(=ドイツ・テレコムはT-モバイルの前身チーム)はツール・ド・フランス開幕前日という土壇場になって、ヤン・ウルリッヒを出走停止処分にし、さらに同7月20日解雇した。
チームは、ウルリッヒにかわるチームのエースに、アンドレアス・クレーデンを据えた。

2006年7月 ツール・ド・フランス開催
この年のT-モバイル内で、誰が、どこへ行って、何をしたのか、その動きのあらましついては、2009年4月にドイツ有力紙シュピーゲルの書いた詳細なレポートがある。このレポートはもちろん、この年のツール・ド・フランスにおけるT-モバイルの組織的なドーピングについての疑惑から書かれている。(Telekom Cycling Scandal Widens: Commission Report Alleges Systematic Doping at German Hospital - SPIEGEL ONLINE - News - International

2007年5月23日
元ドイツ・テレコムに所属し、ソウル五輪銅メダリストのクリスティアン・ヘン、95年から引退までEPOを使用し続けていたことを告白。
クリスティアン・ヘンは後に、ゲロルシュタイナー、ミルラムと、ドイツの2つのチームの監督を歴任したが、ゲロルシュタイナーは再びドーピング違反者を出した。
ゲロルシュタイナーは、ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダルで引退したベルンハート・コール(オーストリア)、また2008年のツール・ド・フランスでのドーピングにより、全世界のレースを出場停止処分になったステファン・シューマッハー(ドイツ)の所属チーム。2008シーズンをもって、ゲロルシュタイナーは自転車レースから撤退した。
Latest Cycling News for May 23, 2007 www.cyclingnews.com - the first WWW cycling results and news service
新スポンサー獲得断念、ゲロルシュタイナーの解散決定 : CYCLINGTIME.com
ディープインパクト、ドーピング事件。:ドイツ人ロードレーサー、ステファン・シューマッハ、世界全レースの出場停止
Wegmann Fights Doping With Milram | Cyclingnews.com

2007年5月
T-モバイルは、ドイツ・テレコム時代に組織的なドーピングが行われていたとの関係者の告白を受け、フライブルグ大学所属のチーム・ドクターを謹慎処分に。
元T-モバイルの選手で、ドーピングを告白したのは、エリック・ツァベル、ロルフ・アルダグ、ブライアン・ホルム、ビャルヌ・リース、ウド・ボルツ、クリスチャン・ヘン。

2007年05月24日 T-モバイルGMボブ・ステイプルトン(Bob Stapleton)が、ドイツ・テレコム時代のロルフ・アルダグのドーピングを指摘。
ステイプルトンGM アルダグ氏のドーピング使用を告白 国際ニュース : AFPBB News

2007年05月24日 ヤン・ウルリッヒの元チームメイトである2人のドイツ人プロ・サイクリスト、エリック・ツァベル(Erik Zabel)、ロルフ・アルダグ(Rolf Aldag)が記者会見を行い、90年代のエリスロポエチン(EPO)使用を認める。アルダグは94年から98年、2002年から2003年におけるドーピングを、ツァベルは96年のEPO使用を認めた。
T-モバイルの前身テレコム チーム主導でドーピングの可能性 国際ニュース : AFPBB News

2007年05月27日 ウルリッヒの所属していたドイツ・テレコムチームの元トレーナー、Jef d’Honが、ヤン・ウルリッヒが1992年から96年の間にEPOを使用していたと、ドイツ週刊紙に告発
元トレーナーがウルリッヒのドーピングを告白 国際ニュース : AFPBB News

2007年7月31日 T-モバイル所属のパトリック・シンケヴィッツ、ツール・ド・フランスでのリタイヤ後、Bサンプルでテストステロン陽性。その後1年間の出場停止処分。後に、ライン・コンヴォイ事件への関与も認める

2008年 ゲロル・シュタイナー、自転車レースから撤退

2009年4月
同年5月に正式発表されたフライブルグ大学の独立機関の調査を元に、2006年ツール・ド・フランスのプロローグの日の晩、フライブルク大学内のクリニックにおいて、当時同じT-モバイルチームに属していたパトリック・シンケヴィッツ、マティアス・ケスラー、アンドレアス・クレーデンの3人が血液ドーピングを行っていたと報道
www.cyclingnews.com - the world centre of cycling
ドーピング疑惑「ラインのコンボイ」にクレーデンの名が挙がる | cyclowired

2009年10月 事実の立証が困難であるとして、ドイツ検察当局とクレーデンの弁護側の間で捜査の終了が合意
Kl���den, German Prosecutors Agree To End Investigation | Cyclingnews.com

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2011年01月15日

タイトルを「告白」ではなく、「自白」としたのには意味がある。

2009年のジロ・デ・イタリアで、Bサンプルでも陽性が確定し、ドーピング(CERA)が既に確定しているにもかかわらず、ダニーロ・ディルーカはこれまでドーピングの事実を否定し続けてきた。

否定し続けて、その結果がこれだ。
「いやぁ、僕ちゃん、ドーピングしてました」。
「告白」では生ぬるい。手ぬるい。
こういう男には「自白」という単語こそふさわしい。

ディルーカ、ドーピングを告白 : CYCLINGTIME.com


関連記事によれば、ディルーカはようやくドーピングを認めただけでなく、人前でこんなことすら言ったらしい。
「どうやって堕落するかは重要ではない。しかし、どうやって再び立ち直るかが重要なんだ。なぜ、僕はやったのか? それはいい質問だ。自分が組織の一員であるとき、結局はミスを犯すんだ。僕は裁判官にすべてを話した。ある意味それが僕を自由にしたんだ」

なんだ、このグチグチした馬鹿馬鹿し過ぎるコメント。
厚顔無恥にも程がある。


この男、こんなことも言い放ったらしい。
「今、僕は胸を張って復帰する覚悟があるし、インチキなしで勝てると信じている」
「10年前は無理だっただろう。何の証拠もないけど、ほとんどの選手がドーピングしていたと思う。今は事情が変わった。僕はそのことについて他の選手と話をしたし、才能ある選手のためにクリーンになったと信じているんだ」
「僕はいつもと同じ、あるいはそれ以上の情熱を持って2ヶ月間懸命にトレーニングしてきた。再びレースするのが待ちきれないからね。僕が一番恋しいものはアドレナリンだ。もう一度勝つよ。それは信じてくれていい」

よくまぁ、こんなこと言えるものだ。
こんどはインチキなしで勝つ、だと? 「10年前よりドーピングの隠蔽技術が進んだんで、こんどはバレないインチキを使うから、35歳の高齢サイクリストでもデカい大会を勝てると自信をもって公言できる」とでもいうのか。

どのコメントを読んでも、その耳を疑うような言い訳がましさには、本当に胸がムカムカしてくる。まだウィーン血液銀行ドーピングスキャンダルで引退したベルンハルト・コールのほうが潔く見える。それほど、そのコメントぶりは汚れている。

こんな選手、アスリートとしては認めることなど、必要ない。4年間の出場停止でも足りないくらいだ。
ディルーカは「僕はまた勝てる。自信がある」とか悠長なことを言っている。内心、「どうせ僕はまたレース界に復帰できるさ。だって、それが自転車という世界だろ?」とでも思っているのだろう。

バルコ・スキャンダルに関連したアスリートですら、こういうことは言わなかったものだ。「クレンブテロールの入ったステーキを食ったので血液中にクレンブテロールが入った」だの、最近の「自転車業界」の言い訳のレベルの低さにはちょっと呆れ返る。


コンタドール、再び引退の危機に : CYCLINGTIME.com
(以下 記事引用)ライバルのアンディ・シュレクを筆頭に、何人かの選手たちが、コンタドールは無罪であり、テスト陽性は食物汚染された肉を食べたからだとコメントを発表した。しかし、有罪であろうと無罪であろうと、現行のルールにおいては全面的な責任を取り、最低でも2010年のツール勝利は剥奪されるのではないかとみられている。(引用終わり)

コンタドールのドーピングについても、あいかわらず自転車業界の人はまだドーピングという「ルール」のことがよくわかっていないらしい。先日の記事でも書いたが、もう一度かきとめておく。

故意にであろうと、なかろうと、そんなこと関係ない。
食べたのがステーキだろうと、コーンフレークだろうと
領収書があろうと、なかろうと、関係ない。

どういう経緯があろうと、なかろうと
検体にクレンブテロールが検出されてはならない。
それがドーピングの「ルール」だ。

検体にクレンブテロールが検出されたことが確定すれば、
コンタドールはドーピングである。
食べたステーキ肉のせいにすることはできない。


続々とレース復帰を果たすドーピング・サイクリスト

Category:ドーピング違反の自転車選手 - Wikipedia

ミカエル・ラスムッセン
2007年ツール・ド・フランスで追放処分
ラスムッセンがコンチネンタルチームと契約 : CYCLINGTIME.com

エセキエル・モスケラ
2010年ブエルタ・ア・エスパーニャで、Bサンプルからドーピングのマスキング剤として使われる禁止薬物ヒドロキシエチル・スターチ陽性
プロツアー1年目のシーズンに挑むヴァカンソレイユDCM、ドーピング陽性のモスケラもメンバー入り : CYCLINGTIME.com

リカルド・リッコ
2008年ツール・ド・フランスでドーピングによりレースから除外。
プロツアー1年目のシーズンに挑むヴァカンソレイユDCM、ドーピング陽性のモスケラもメンバー入り : CYCLINGTIME.com
ディープインパクト、ドーピング事件。:ツール・ド・フランスでドーピングの、イタリア人リッコが自白

ダヴィデ・レベッリン
CERA陽性反応で北京オリンピックの銀メダルを剥奪された。2011年4月27日に出場禁止処分が切れるために、レース復帰を目指しているらしい。
ダヴィデ・レベッリンにエリスロポエチンの陽性反応 : CYCLINGTIME.com
ディープインパクト、ドーピング事件。:北京五輪で、陸上1500mの金メダリストのラハド・ラムジ(バーレーン)、自転車ロードレース銀メダリストのレベッリンなど5人、CERAでメダル剥奪・失格処分。
2011年の世界戦を目標に復帰を計画するレベッリン : CYCLINGTIME.com

dope_impact at 14:49|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││自転車 | EPO,CERA

2010年11月08日

またしても、ツール・ド・フランス。そして
またしても、クレンブテロール、である。
ディープインパクト、ドーピング事件。:クレンブテロール


ドーピングの規定については、これまでも何度となく書いてきたわけだが、
自転車に関係する人たちはいったい、
ドーピングの規定というものを、そもそも知らないのか?
それとも、規定を無視したいだけ、なのか?

この事件が判明して、だいぶ経つが、アルベルト・コンタドールのドーピングについて、ここまで幼稚な議論が続くとは思わなかった。こういう事件の本質を勘違いしている人がいまだにいそうなので書いておきたい。


コンタドールはあたかも自分には責任がないんだ、と言わんばかりに、「汚染された肉を食べたことで血液中に入った」と主張した。

だが、ドーピングというものは規定上、故意にであろうと、なかろうと、禁止薬物が検出されてはいけない、のである。コンタドールがいつ、どこでステーキを食おうと、食事の領収書があろうと、なかろうと、そんなこと、事件の本質にはなんの関係もない。

もう一度書く。

故意にであろうと、なかろうと、そんなことは関係ない。
食べたのがステーキだろうと、コーンフレークだろうと
領収書があろうと、なかろうと、
検体からクレンブテロールが検出された時点で、
コンタドールは明白に「ドーピング」だ。

どういう経緯があろうと、なかろうと
検体にクレンブテロールが検出されてはならない
のである。



これまで、あれほど何度となくドーピング問題を起こして、自ら名誉を汚し続けてきた自転車業界の人たちの議論のやり方は、領収書があるだの、ないだの、ちょっと度が外れてレベルが低い。そこまで議論の質を落としてでも、コンタドールを守りたいのかと、呆れてモノが言えない。
そもそもクレンブテロールがなぜ体内に入ったのか、説明するなり、証明するなりする責任は、WADA側にあるのではなく、違反を犯したコンタドール側にあり、コンタドール側が子供じみた否定を続けるだけでは、処分をまぬがれることはできない。そしてさらに、たとえ体内に入った経路が特定されようと、処分をまぬがれることはできない。
つまり、体内に入った経路や恣意性など、問題の本質にはなんの関連もない。「体内に入った経路」について熱心に議論するのは、単なる「論点のすりかえ」である。

問題なのは、検体から検出されたこと、そのものだ。
当たり前のことだ。

そもそも、昔よりはるかに検出技術が高まったこの時代に、日常の食事や投薬の段階から気をつけて生活していなければならないことくらい、どんな分野のアスリートだって、わかっているのが当たり前である。
コンタドールが食べたものに本当にクレンブテロールが含まれていたかどうかわかっていないが、もし仮にクレンブテロール入りの肉を食ったとしても、それ自体は「自己責任」である。
自己責任でステーキを食べておいて、後で自分の食事に責任をなすりつけるような低俗な議論の連続は、見ていて、哀れさしか感じない。そういうレベルで議論することが、いかに馬鹿馬鹿しいか、わからないのか、と言いたい。


近年のツール・ド・フランスにおけるドーピング

2006年
オペラシオン・プエルトと呼ばれる大規模なドーピング・スキャンダルが発覚。中心人物は、2006年5月23日に逮捕されたカナリア諸島出身の医師エウフェミアノ・フエンテスら。イヴァン・バッソ(イタリア)をはじめ、非常に多数のサイクリストが巻き込まれた。
オペラシオン・プエルト

2007年
優勝大本命とされていたアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン)が第13ステージ個人タイムトライアル後のドーピング検査で血液ドーピングの陽性反応が出て、チームによって棄権。さらにコフィディスのクリスティアン・モレーニ(イタリア)筋肉増強剤テストステロンによるドーピング。さらに総合優勝をほぼ確実にしていたラボバンクのミカエル・ラスムッセン(デンマーク)も検査に際して居場所の虚偽報告でドーピング疑惑をかけられ、チームを解雇される形で棄権(後にCASにより2年間の出場停止処分)
この影響でアスタナ、コフィディスはチーム全体が棄権した。
ディープインパクト、ドーピング事件。:CAS、自転車ラスムセンの訴え棄却。2年間の出場停止確定
CYCLINGTIME.com : ドーピング違反の罰金を初めて支払うことになったモレーニ

2008年
総合優勝争いに加わっていたサウニエルドゥバル・スコットのリカルド・リッコ(イタリア)が、第11ステージ終了後の検査でCERA陽性が発覚。チームはツールから撤退し、リッコを解雇。
この年、ドーピング陽性反応が現れた選手はリカルド・リッコ(CERA レース追放)の他、ベルンハルト・コール(オーストリア)(CERAなど 永久追放、引退)、シュテファン・シューマッハ(ドイツ)(CERA 世界全レースの出場停止)、レオナルド・ピエポリ(スイス)(リッコと同じサウニエルデュバル所属 CERA)、マヌエル・ベルトラン(スペイン)(CERAなど レース追放)、ディミトリー・フォフォノフ(カザフスタン)(興奮剤ヘプタミノール)など、7人にも及んだ。
ディープインパクト、ドーピング事件。:ドイツ人ロードレーサー、ステファン・シューマッハ、世界全レースの出場停止
ディープインパクト、ドーピング事件。:CAS、自転車ラスムセンの訴え棄却。2年間の出場停止確定
ディープインパクト、ドーピング事件。:コール、シューマッハ、レベッリンに続き、また元ゲロルシュタイナー所属のレーサーがドーピング陽性。オラフ・ポラック(ドイツ)
カザフスタン人でCAのフォフォノフが陽性 - mas.ciclismo小ネタ通信

2010年
2年連続3度目の総合優勝を達成したアルベルト・コンタドールに、クレンブテロールの陽性反応。


近年のジロ・デ・イタリアにおけるドーピング

2007年
アレサンドロ・ペタッキ(イタリア)
第11ステージのドーピング検査で、持病の気管支喘息の治療薬で、脂肪燃焼効果と骨格筋増強作用のある気管支拡張剤サルブタモールの過剰摂取が判明。1年の出場停止処分を求めるCONI(イタリア五輪委員会)と、処分不要と主張するFCI(イタリア自転車連盟)の意見が対立した。正式な処分は出ないまま、2か月間レースへの出場を見合わせ、ツール・ド・フランス出場を直前にキャンセルした。

2008年
マッテーオ・プリアーモ(イタリア)
2008年ジロ・デ・イタリア、1勝。CERA陽性。一度はイタリア国内のアンチ・ドーピング裁判所(TNA)によって無罪になるが、スポーツ調停裁判所(CAS)に上告が通り、4年間の出場停止。
ディープインパクト、ドーピング事件。:イタリア人サイクリスト、マッテーオ・プリアーモ、スポーツ調停裁判所によって4年間の出場停止に

エマニュエーレ・セッラ(イタリア)
プリアーモのチームメイト。2008年ジロ・デ・イタリアでステージ3勝および山岳賞。2008年8月、競技外検査でドーピング陽性が判明。2008年のジロ・デ・イタリアでプリアーモからCREAをもらって使用したと自白。アンチ・ドーピング当局に協力したことにより、2008年12月に1年間に短縮された出場停止処分を受けた。

2009年
ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
ジロ期間中の2回のドーピング検査で採取された血液サンプルから、CERA陽性が発覚。暫定的に出場停止状態。2010年2月1日、イタリア五輪委員会はこの問題を受け、ディルーカに対し2年間の出場停止処分と28万ユーロの罰金を課した。これに伴い、ジロでの総合2位の成績及びポイント賞は剥奪。

クリスティアン・ファンベルガー(オーストリア)
ジロ・デ・イタリア直前のレース外検査で、2004年のドーピングに続き、2度目のドーピングが判明し、レースを除外。後にオーストリアの反ドーピング機関によって永久追放という厳しい処分が下された。


UCI、コンタドールの処分決定は「間もなく」 : CYCLINGTIME.com

世界アンチドーピング機構(WADA)によると、コンタドールのクレンブテロールの検出量はわずか50ピコグラム(0.000 000 000 05グラム)に過ぎず、この数字はWADAが認める含有量の400分の1以下の数字。このことからコンタドール側は、スペイン産の食肉を摂取した際に汚染されたものだと訴えたが、WADAはこれを却下した。
WADA Dismisses Contador’s Contaminated Meat Claims | Cyclingnews.com


レディオシャックの中国人レーサー李富玉(リー・フユ)は、3月のドワールス・ドール・フラーンデレン終了後に採取されたAサンプルにおいて、極微量のクレンブテロールの陽性反応が出たことが4月22日に判明。同年8月1日、Bサンプルでも陽性反応が出たため、2年間の出場停止処分。
レディオシャックのフユ、Bサンプルでも陽性反応 : CYCLINGTIME.com

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2010年08月31日

パキスタンはいまクリケットの八百長問題で大揺れ。もちろんクリケットの本場のひとつイギリスでも、BBCのトップニュースになるほどの騒ぎだ。
もちろん、日本では、オーストリアとドイツを中心にあれほど大騒ぎになったウィーン血液銀行ドーピングスキャンダルと同様に、まるで報道されていないのだが。

クリケットでは、2007年にワールドカップが行われたが、そこで世界ランク4位のパキスタンがアマチュアレベルのチームに敗れるという波乱があって、その夜にパキスタンチームのイギリス人コーチボブ・ウールマー Bob Woolmerがホテルの部屋で死亡しているのがみつかるという怪事件があり、このときもさんざん八百長との関わりが疑われたばかり。(このときの死因もいまだにきちんと解明がされていないようだ)

クリケットというと、紳士の国イギリスの発祥のスポーツだけに、紳士のスポーツとか思われがちだが、このスポーツもかつてリーグ全体を巻き込んだ大規模な八百長が行われたイタリアサッカーのセリエA同様に、頻繁に八百長の疑惑が囁かれているスポーツであることは、言い添えておかなければならない。
Cricket match-fixing: test series mired by allegations - Telegraph


このニュースの英文はいろいろと八百長関連用語が出てきて、ちょっと読むのがややこしい。

ポイントは、クリケットというスポーツについて、賭け事の好きなイギリス人が「ブックメーカーにどう賭けているか」である。
イギリスではネット上のブックメーカーが公認されている。クリケットについての賭けは、「試合全体の勝敗」に関してだけ行われているのではなくて、例えば「ボールを落球するか、しないか」などというような、非常に細かいプレーにも賭けが行われているらしい。
そのため、クリケットにまつわる八百長行為においては、match fixing、つまり「試合全体の勝敗をあらかじめ決めておく」という、いわゆる勝ち負けの八百長行為以外に、spot fixingと呼ばれる「個々のプレーでの八百長」もあるようなのだ。
つまり、選手に報酬を渡して、試合中にわざと落球させるような、「細かい八百長行為」も存在するということだ。


ちょっとややこしくなったが、ちょっと八百長に関連するニュース英語を能力の及ぶ範囲で解説してみる。

fixing
「八百長」という日本語をネット上の和英辞書で引くと、match fixingという表現が出てくるが(注:ハイフネイトしてmatch-fixingと綴ることもある)。これは訳語として多少問題はある。
上に書いたように、match fixingというのは、厳密にいえば「試合の勝ち負けに関する八百長」であって、様々なバリエーションをもつ「八百長」の全体像と完全にイコールではないからだ。
だからfixingと、単独で使われているとき、これが「八百長」という意味で使われているケースが少なからずある。
fixingは、「固定する」という意味の言葉fixからきているが、「結果は神のみぞ知るはずのスポーツの試合結果を、選手やレフェリーへの不正な報酬であらかじめ固定してしまう行為」とでもいうことになる。

match fixing
クリケットの八百長では、試合の勝敗の不正な操作だけでなく、さまざまなバリエーションがある。「試合の勝ち負けに関する八百長」は、match fixing。またmatch fixerといえば、「八百長に関係している者」「八百長の元締め」とでもいう意味になるのだろう。
使用例:Cricket match-fixing: test series mired by allegations - Telegraph

spot fixing
試合の勝ち負けに関する八百長ではなく、個々のプレーに関する細かい八百長がspot fixingだ。下手に説明するより、ムンバイの怪しげなブックメーカーが語ったインタビューを読んでもらったほうがいいだろう。
By 'spot-fixing', we mean selecting a certain player and then asking him to do specific things.
A Mumbai bookie explains 'spot-fixing'
使用例:Pakistan match-fixing claims: tourists urged to drop quartet of suspected spot-fixers - Telegraph
使用例:Spot-fixing explained | Cricket365 | Cricket News

spot
この言葉が実にややこしい。扱いに困る。
普通は「小さな領域」「点」などを意味する言葉だ。たとえばスポットライトといえば、全体に照らすのではなく、部分的に照らす照明ということになる。
だがspotには「サイコロの目」の意味もあり、また欧米にはサイコロを使ったギャンブルも少なからずある。だからspot fixingという言葉が「サイコロの目を、不正に操作する」という意味になることから転じて「八百長する」という意味になるのか?とも思ったが、ネット上に適切な説明がなく、これについてはちょっとわからない。

trainspotting
これはクリケットの八百長とは関係のない余談だが、spotには「最高の場所」という意味もある。
trainspottingトレインスポッティングという96年のイギリス映画があるが、この場合は「スコットランドの首都エディンバラのリース地区に、長らく廃線になったまま朽ち果てるままに放置されていた鉄道の操車場があり、いつしかドラッグ中毒の人々が集まる場所になった。これをエディンバラのリース地区のローカルジョークで『奴らはトレインスポッティングだ』と呼ぶようになった」という説がネット上で紹介されている。
「トレインスポッティング」の意味についての正しい理解 - *The Best of Both Worlds*
trainspotterといえば、普通は、鉄道の型式やナンバーを言い当てられるような鉄道オタクを指す。最近の言葉でいえば、「鉄っちゃん」にあたるだろうが、どうもspotという単語はスラングっぽい用例が多すぎて、とにかく意味がわかりづらい。

rigging
この言葉も、この手のニュースでよく使われている。
riggingはもともと「株価などを不正に操作する」とか「談合する」という意味の言葉。

bookies
bookは、この場合、「帳簿」とか「台帳」の意味。bookmaker(ブックメーカー)は「帳簿をつける人」だが、「客からの賭けの注文を受けて帳簿につける人」、つまり「賭けの胴元」を意味する。このbookmakerを短縮した言い方がbookie(ブッキー)。

dope_impact at 17:41|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││その他のスポーツ | 八百長事件

2010年06月30日

米国反ドーピング機関、USADAは、ジャマイカの元陸上短距離選手で、コーチとしてもリレー競技を中心にアメリカの陸上選手を多数指導してきたレイモンド・スチュアートを永久資格停止処分にした。
レイモンド・スチュアートは、現役の陸上スプリンターだった時代にジャマイカの陸上100mの国内記録を10年以上にわたって保持し続け(9秒96)、1984年のロサンゼルス五輪では、4×100mリレーで銀メダリストになっている。
また陸上コーチとしては、アメリカのテキサスで、下記に挙げたような有力選手について指導してきた履歴をもつ。
今回の永久資格停止処分は、レイモンド・スチュアートがアスリートに対して禁止薬物の供給を行っていたことによるもの。

Raymond Stewart holds strain on reported lifetime ban

Olympian and track coach Raymond Stewart banned for life for drug trafficking



トレバー・グラハムとレイモンド・スチュアートの深すぎる共通性

アメリカにおける最も有名なドーピング・スキャンダルのひとつであるBALCOスキャンダルで、マリオン・ジョーンズらアメリカの有名陸上選手にドーピングさせて永久資格停止になった陸上コーチはトレバー・グラハムだが、このトレバー・グラハムレイモンド・スチュアートは、ただ同じジャマイカの元陸上選手だというだけでなく、出場していた種目も似ていて、競技者として非常に奇妙な共通の経歴をもつ。
レイモンド・スチュアートは1984年のロサンゼルス五輪のジャマイカ4×100mリレーチームの銀メダリストであり、トレバー・グラハムは、1988年ソウル五輪のジャマイカ男子4×400mリレーの銀メダリストで、経歴がソックリ。
そして2人とも、現役引退後はアメリカの陸上競技選手のコーチをやり、また2人とも、彼らの指導選手がシドニー五輪のリレー種目でドーピング事件を起こしている。

参考:ディープインパクト、ドーピング事件。:陸上コーチのトレバー・グラハム、永久追放に



陸上コーチとしてのレイモンド・スチュアートが指導したアメリカの選手は以下のとおり。


ジェローム・ヤング Jerome Young
1998年に4x400mリレーのメンバー(マイケル・ジョンソン、2008年にドーピングを告白したアントニオ・ペティグルー、タイワリー・ワシントン)として、世界記録を樹立。
1999年に筋肉増強剤ナンドロロンについて陽性となったが、通例下されるべき2年間の資格停止処分を免れて、2000年シドニー五輪に参加し、4x400mリレーで金メダルを獲得した。
しかし、のちに1991年から2003年にかけてのドーピングが発覚し、五輪への参加資格そのものが無いことが判明し、シドニーでのメダルも剥奪された。
五輪の前年に薬物使用、ヤングの「金」はく奪へ : 運営・話題 : ニュース : アテネ五輪 : Yomiuri On-Line (読売新聞)


ジョシュア・J・ジョンソン Joshua J. Johnson
2003年世界陸上におけるアメリカの4×100mリレーチームの一員として、金メダルを獲得。2007年に大阪で行われたスーパー陸上の招待選手としての来日など、来日歴も数回ある。
Joshua J. Johnson - Wikipedia, the free encyclopedia


Kenny Brokenburr
2000年シドニー五輪にむけた、アメリカ4×100mリレーチームの選手選考レースにおいて、8人中5位となり、4名で構成されるチームの正式選手からは漏れたが、「補欠ランナー」となる。(USATF - Events - 2000 U.S. Olympic Team Trials - Track & Field)
彼はシドニー五輪の決勝レースのメンバーではなく、本番を走っていないが、いくつかのトライアルレースを走ったため、チームの努力によりチームの一員として金メダルを獲得した。
Athletics at the 2000 Summer Olympics – Men's 4 x 100 metre relay - Wikipedia, the free encyclopedia
Kenneth Brokenburr - Wikipedia, the free encyclopedia



トレバー・グラハムとレイモンド・スチュアートのかかわったシドニー五輪におけるアメリカの陸上リレーチームは数々のドーピング事件を引き起こしている。

BALCOスキャンダルのキーパーソンのひとりマリオン・ジョーンズのいた女子4×100m、女子4×400mの金メダルについては、既に記事にしたようにトレバー・グラハムの指導していたマリオン・ジョーンズのドーピングによってメダル剥奪処分となっている。

また、男子の4×400mリレーも金メダルを獲得したが、2008年8月にリレーメンバーのひとりであるアントニオ・ペティグリューがドーピング違反を証言して失格となったため、メンバー全員が金メダル剥奪となった。(アントニオ・ペティグリューは米国で裁判の証人として、1997年からヒト成長ホルモン(HGH)やエリスロポエチン(EPO)を使用したと証言した。
そのため、レイモンド・スチュアートの指導したジェローム・ヤングと、2008年にドーピングを告白したアントニオ・ペティグリューなどがメンバーの一員となって1998年に樹立した4×400mリレーの世界新記録もダークな記録と考えられている。



リレー競技では、1人のドーピングでリレーチーム全体が失格となる。五輪3大会で計5個の金メダルを獲得した有名な400mランナー、マイケル・ジョンソンのメダル数も1つ減ることになるが、マイケル・ジョンソンがドーピングを犯したわけではないので、誤解のなきように。

dope_impact at 15:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││陸上 | 筋力増強剤、アナボリック・ステロイド

2010年06月28日

2003年に既に引退している陸上競技選手に、7年もたった2010年になって「2年間の厳しい資格停止処分」が下された。もうとっくに引退している選手をわざわざ処分するのだから、この事件、いかに背景が尋常でないかがわかる。
そんじょそこらに転がっているありふれたドーピング事件ではない。


日本の記事と、USA Todayの記事を読みくらべてもらうと、この事件が日本と欧米でまるで理解度が異なることがよくわかる。両方の記事ともソースは同じ「AP電」、つまり同じAP通信社の配信情報であるにもかかわらず、日本メディアの記事ではまったく「Humanplasma(ヒューマン・プラズマ)」のことについて触れられていない。
そもそも日本では「ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダル」が全く報道されなかった。そのために、とっくに引退しているシュテファニー・グラフ<の不可思議な「2年間出場停止の厳しい処分を受けた」ことの意味は、たぶんほとんど理解されることはない。

だが、USA TodayではHumanplasmaについてしっかり触れられており、また、あのオーストリアで起きた大ドーピングスキャンダルである「ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダル」のことも触れられている。

オーストリアの血液バンクにあたるHumanplasma(ヒューマン・プラズマ)がからむ「ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダル」とは、長年ドーピングの噂が囁かれながらオーストリアの冬季オリンピックのスキーチームのコーチを長年務めたワルター・マイヤー、プロサイクリストで、この事件で引退したベルンハルト・コール、コールの自転車コーチで、ワルター・マイヤーの親友でもあったステファン・マッチナーを中心に、スキー自転車トライアスロン陸上など、オーストリアの複数のスポーツにまたがって起きた巨大な血液ドーピング・スキャンダルである。

このブログでは、かねてから、オーストリアの血液バンクにあたるHumanplasma(ヒューマン・プラズマ)とオリンピックが舞台となった巨大なドーピングスキャンダルについて取り上げ続け、独自にこの事件を「ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダル」と呼んできた。
ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダル」の理解なくして、シュテファニー・グラフの処分の意味も、理解されないと思う。

関連記事:ディープインパクト、ドーピング事件。:ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダル



事件の背景も意味もわからない
日本メディアの記事

グラフを血液ドーピング資格停止に/陸上 - スポーツ - SANSPO.COM
シドニー五輪の陸上女子800メートルで銀メダルを獲得したシュテファニー・グラフ(オーストリア)が、血液ドーピングをしたとして2年間の資格停止処分を受けた。オーストリア反ドーピング機関が22日に発表した。グラフは2004年のアテネ五輪前に引退している。(AP)

USA Today
事件にオーストリア・ウィーンのHumanplasma
(=このブログでいうところの「ウィーン血液銀行」)が
からんだ事件であることを報じている

(太字はブログによる)
Retired Olympic medalist c banned - USATODAY.com
VIENNA (AP) ― Sydney Olympic silver medalist Stephanie Graf was banned two years for doping, a ruling that comes six years after the Austrian runner retired.

The National Anti-Doping Agency said Tuesday that Graf had blood taken at a controversial Vienna laboratory at least once for doping purposes. The agency said the ban took effect Monday.

The 37-year-old Graf has said she had blood taken at the Humanplasma lab in 2003 but denies it was re-injected. That would be a violation under international doping rules.

Humanplasma said in March that its facility had been used by several coaches to help about 30 athletes with blood doping from 2003 to 2006.

Graf finished second in the 800 meters at the 2000 Games. She won the 800 at the European indoor championships that year and collected three silver medals at world championships before retiring shortly before the 2004 Athens Games.



ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダル年譜

2000年 シドニー五輪
      陸上競技でマリオン・ジョーンズで5個のメダル獲得(のちにドーピングにより全メダル剥奪)
      シュテファニー・グラフ、800mで銀メダル
2003年 シュテファニー・グラフ、アテネ五輪を前になぜか引退

2006年2月18日 イタリア警察によるトリノ冬季五輪でのオーストリア・スキーチームのドーピング捜査
2006年6月2日  オーストリア・スキー連盟「明らかな証拠がない」として「無罪」と発表
2007年4月    IOC、トリノ五輪でのオーストリアチームのドーピングに関する公聴会を開催
2007年4月25日 IOC、6人のオーストリア人選手を五輪永久追放
2007年5月    AOC(オーストラリア五輪委員会)はトリノでのドーピングに関与した14人のチーム役員を永久追放
2007年5月25日 カジノ・オーストリアの年次総会で、レオ・ウォルナー会長退任
2007年6月4日  IOC評価委員会、2014年冬季五輪開催立候補の3都市について報告書発表
2007年7月    オーストリア・スキー連盟、コーチのウォルター・マイヤーらを永久追放
2007年7月5日  2014年冬季五輪の開催地にロシアのソチ(Sochi)が決定。有力と言われていたオーストリアのザルツブルク落選
2007年11月4日 WADA(世界アンチ・ドーピング機関)代表のディック・パウンド氏、オーストリアスポーツ庁長官Reinhold Lopatka氏に書簡を送り、ヒューマン・プラズマがドーピングに関与したと疑うに足る十分な理由があると述べる
2008年11月   自転車のプロロードレーサー、ベルンハルト・コール、オーストリア反ドーピング機関によって2年間の出場停止処分。マイヤーを仲立ちにしたスキーと自転車への血液ドーピング事件があらわになりはじめる
2009年2月22日 オーストリアのザルツブルクが立候補していた2014年冬季五輪招致での不正経理疑惑に関与したとして批判されていたAOC(オーストリア・オリンピック委員会)ハインツ・ユングビルト専務理事、辞任
2009年3月27日 オーストリアのトライアスロン選手、Lisa Hütthalerが、ドーピング告白。EPO供給先をステファン・マッチナーと名指し
2009年3月31日 ベルンハルト・コールのコーチで、ワルター・マイヤーの友人でもあるステファン・マッチナー逮捕。オーストリア・ウィーンで開かれた記者会見で、コールは「ウィーンのヒューマンプラズマ研究所を訪れ、血液注入を受けていた」ことを明らかに。
2009年4月2日  コールとマッチナー、血液ドーピングへの関与を認める。コールは後に引退。
2009年6月    イタリア検察当局、トリノ五輪の血液ドーピングに関してオーストリアスキー連盟会長Peter Schroecksnadel氏、元オーストリアスキーナショナルチームのコーチ、ウォルター・マイヤーら10人を起訴
2009年9月4日  レオ・ウォルナー氏、AOC(オーストリア・オリンピック委員会)会長職を辞任

2010年6月 シュテファニー・グラフ、血液ドーピングで2年間の資格停止処分

dope_impact at 12:27|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││ウィーン血液銀行ドーピングスキャンダル | 血液ドーピング blood doping
ただの噂話だとばかり思っていた「機械式ドーピング」に、どうやら新しい展開が出てきた。
ツール・ド・フランスで、自転車の内部に「機械」が仕掛けられていないかどうかを、スキャナーを用いて検査する、というのだ。

正直いまだに半信半疑だが、こういう検査をわざわざ実施するということは・・・・・、と、やはり思ってしまうわけである。


ツールで機械ドーピング摘発する車体検査 - スポーツ - SANSPO.COM
国際自転車連合(UCI)は18日、自転車に隠して装着したモーターで助力を得る「機械ドーピング」を摘発するため、7月のツール・ド・フランスでスキャナーを用いた車体検査を実施すると発表した。
違法なモーター使用は、元選手が試したことを証言するなど疑惑が強まっていた。UCIは「検査はフレーム内に隠された装置でも発見できる」と自信を示している。(共同)



dope_impact at 11:57|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││自転車 │

2010年06月15日




なんとも出来の悪い造語である。
機械ドーピング」、というのは、要は
プロサイクリストが自転車にエンジンとなる機械を仕込んでレースをやった、というような意味で、今の時点ではまだ、ただのエイプリル・フール風の噂話である。

疑惑どころか、エイプリル・フールかもしれない話で、疑惑の目を向けられているチーム名やサイクリストの個人名をいまここであげつらう必要はないだろう。興味があれば調べたらいい。彼らはもちろん、この降って湧いた噂を完全否定している。
サイクリングニュース : CYCLINGTIME.com

ありえなさそうな話なのに、BBCの公式サイトにすらこの話が載っているのには訳がある。上に挙げた動画のせいである。
動画で、このエンジンつき自転車の仕組みを説明しているクチのよく回るイタリア人は、元プロのサイクリストで、イタリアの国営放送局RAI(イタリア放送協会 Radiotelevisione Italiana)の相談役Davide Cassani。
彼はジロ・デ・イタリアの試走レポートをするような自転車界の有名人なはずだが、なぜまたこういう動画に顔を出して説明までしているのか、さっぱり意図がわからない。
なにはともあれ、自転車の世界に影響力のある彼がこの動画に登場しているせいで、この噂は世界中に広まっていっている。

mechanical doping - Google Search

BBC Sport - Cycling - Cycling hit by 'mechanical doping' claims

dope_impact at 18:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││自転車 │

2010年06月10日

鼻炎薬から覚せい剤 自宅で密造容疑、イラン人2人を逮捕  日本経済新聞
「鼻炎薬などを原料に自宅の屋根裏部屋で覚せい剤を密造したとして、警視庁組織犯罪対策5課は10日までに、神奈川県相模原市緑区大島、溶接工、アリ・バフィ・モハマド容疑者(46)らイラン人の男2人を覚せい剤取締法違反(営利目的製造)容疑で逮捕した。覚せい剤を原料から製造した事例の摘発は極めて異例。(記事 一部略)
逮捕容疑は昨年7月30日ごろから今年4月21日にかけ、モハマド容疑者の自宅の屋根裏部屋で、鼻炎薬やほかの化学薬品を調合するなどし、営利目的で相当量の覚せい剤を製造した疑い。(記事 一部略)
原料成分は「塩酸プソイドエフェドリン」で、国内で市販される風邪薬や鼻炎薬にも少量含有。含有量が10%を超えると覚せい剤原料とみなされ、所持や輸入が禁止される。同課は原料の入手経路や背後関係などを調べている。」


以前、喘息薬が麻薬として使用される場合があることについて書いたことがある。そのときに書いたニュアンスは「かつて鼻炎薬を一度に大量に飲んだりすることで麻薬を使用したのと同じ効果を得ていた、そういう時代があった。だが薬物の成分に処理を加えたり、成分の量を減らすなどして、今はそういう行為はなくなりつつある」というニュアンスで書いたのだが、認識が非常に甘かった。

記事によると、市販薬を使って、成分の抽出やら濃縮やらというようなことをしていたらしい。

いずれにしても、元の記事で言いたかったことは、
ディープインパクト事件などの競馬がらみの事件で喘息薬の名前が挙がることがあるが、「喘息薬だから、許されるべきだ」などということにはならない、ということだった。

残念ながら、はからずも最初のときの話を裏付けるような事件が起きてしまった。

ディープインパクト、ドーピング事件。:魔の喘息薬エフェドラ

ディープインパクト、ドーピング事件。:喘息薬の「合法ドラッグ」という側面

ディープインパクト、ドーピング事件。:覚醒剤の原料になる喘息薬もある

dope_impact at 16:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││大麻以外の麻薬 | 喘息薬(ぜんそく薬)

2010年01月18日

「(薬物なしでも70本塁打を)間違いなく打てた。そう信じている」と答えた。
マグワイア氏薬物認めた、円滑復帰狙いか - MLBニュース : nikkansports.com


この、マグワイア氏の発言について、日米問わず他の多くの方と同様、たいへん怒りを感じた。
McGwire's confession falls short - MLB News - FOX Sports on MSN
"Mark McGwire is still living a lie." Ken Rosenthal


ドーピングをして金メダルを剥奪された陸上競技選手が「私はドーピングをしていなくても、間違いなくオリンピックで勝てた」とか言うだろうか?ドーピングをしているサイクリストが「俺はドーピングしてなくても、間違いなくツール・ド・フランスは勝てた」などと発言するだろうか。(陸上や自転車の例をあげたのは特に意味はない。ただの例だ)
もし、そんな発言を聞いたら、普通どう思うだろうか。

そうした発言を聞いたら、「ふざけるのもいい加減にしろ」と感じるのは間違いない。だからこそ、マグワイア氏の会見内容は、きちんとした謝罪とは言いがたい。かつてステロイドに関する暴露本を出版したホセ・カンセコ氏が怒りまくるのもよくわかる。
中日スポーツ:カンセコ氏言いたい放題!! 「マグワイアにステロイド打った」:大リーグ(CHUNICHI Web)


現在カージナルスの監督ラルーサ氏は、マグワイア、カンセコ両氏がアスレチックスに在籍した時代のアスレチックスの監督であるが、こんなことでは、擁護発言までしてマグワイアをカージナルスのコーチとしてMLBの現場に復帰させることをめざすのは、今の時点は無理がありすぎると言わざるを得ない。
ラルーサ監督「問題なし」マグワイア氏擁護(野球) ― スポニチ Sponichi Annex ニュース

dope_impact at 07:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││野球 | 筋力増強剤、アナボリック・ステロイド

2010年01月12日

MLBの元カージナルスのホームランバッター、マーク・マグワイアが、過去のステロイド使用を認めた。

マグワイアが、裁判で係争中のバリー・ボンズロジャー・クレメンスなどと同様に、いわゆる「ステロイダー」であることは、大リーグファンの間ではすでに規定事項になっている。つまり、彼らのドーピング自体は誰もが「クロ」だと思っていて、それほど高い関心があるわけではないらしい。
むしろMLBファンの関心があるとしたら、ボンズやマグワイアがドーピングをしていたかどうかより、彼ら自身が認めるかどうか、そして彼らの過去の記録がどうなるか、だろう。

彼らのホームラン記録などが今後どういう扱いになるかは、いまのところわからない。最近も他にアレックス・ロドリゲスマニー・ラミレスアンディ・ペティットなどの有名選手も薬物使用による出場停止処分を受けるなどしたが、彼らの過去の成績が記録から抹消されたという話は、いまのところ聞こえてこない。
ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアなどでは、過去の優勝記録などは抹消されたりしているわけだが、MLBでのドーピングに対する処分の甘さは常々指摘されてきているところである。
野球がオリンピックにおける競技種目からはずされ、なかなか戻れそうにない現状があるわけだが、その一因に、こうしたドーピング違反者(野球風に言うと「ステロイダー」)の処分の甘さがあることは明らかだ。

だが、同時に、野球だけが繰り返しドーピング問題を起こしてきた歴史をもつスポーツではないということも、言い添えておかなくてはならないだろう。
例えば過去に、陸上競技、サッカー、自転車などでは数多くのドーピング問題がくりかえし繰り返し指摘されてきたが、それでもドーピング多発を理由に陸上競技やサッカー、自転車をオリンピック種目からはずす、という話にはなっていない。他の競技も同様である。
だから、野球の五輪復帰に関しては、野球の世界的普及度の低さを問題にするのならともかく、ドーピング問題だけを理由にオリンピック種目からはずし続けるのは明らかに公平な判断とはいえない。


MLBの機構側が五輪に復帰したいのかどうかわからないが、復帰したいとすれば、当面の課題は例の「ミッチェル報告」をきちんと処理した形にすることだろう。いまのようにミッチェル報告をいつまでも宙ぶらりん状態にしておくようではダメだとは思う。

元大リーグのマグワイア氏、薬物使用認める(産経新聞) - Yahoo!ニュース
1990年代に米大リーグを代表する強打者として活躍したマーク・マグワイア氏(46)が11日、現役生活の間にステロイド(筋肉増強剤)を使用していたことを認めた。AP通信に送った声明で、マグワイア氏は「心から後悔している。ばかげた過ちだった」と、沈痛な調子で当時を振り返った。
マグワイア氏は声明で、90年代を通じて断続的にステロイドを使用していたことを告白。シーズン本塁打記録を打ち立てた98年にも使っていたという。
動機として、90年代なかごろに相次ぐ故障に見舞われたことを挙げ、薬物の使用が回復に役立つと信じていたと述べた。マグワイア氏は声明送付直後に行ったAP通信とのインタビューでも同様に、薬物の使用は健康のためで、記録を狙ってのことではないと強調した。
同氏は「長い間、私は薬物使用の事実を告白したいと思ってきた」と述べるとともに、「“ステロイド時代”ではない時代にプレーしたかった」と悔恨の情をあらわにした。(以下略)

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