メゾフォルテからあなたへ

ちょっと違う視点から歴史を語りたい。

鴎外の奈良五十首から続けて

38.大安寺今めく堂を見に来(こ)しは餓鬼のしりへにぬかづく恋か

今めく堂というのは、鴎外が訪れたときに大安寺が再建されたばかりであったからとのこと。

また、万葉集608に笠女郎の大伴家持に贈った歌の1つに

   相思はぬ人を思ふは大寺の餓鬼の後方に額つくごとし

があるという。
前出 鷗外「奈良五十首を読む」によれば、この笠女郎の歌の意味は
「自分が思っているほど自分を思ってくれない相手を恋いしたうのは、たとえてみれば、自分の恋しているのは本当は四天王なのに、その四天王が踏みつけている餓鬼に、しかも正面からではなくて背面から額ずくようなものだ。あゝ馬鹿らしい。」

したがって、38は
「大安寺という寺は、かつては東大寺にも匹敵しうるほどの大寺だったと聞き、私はあこがれて来た。ところが、現実に来てみると、みすぼらしい今年建ったばかりのお堂があるだけである。そんな寺にあこがれて来た自分の気持は、たとえてみれば、昔笠女郎が家持に贈った歌のように、はかない片思いというべきであろう。」

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芥川龍之介は森鴎外の作品をかなりの深読みをしたはず。
芥川龍之介の俳号は、我鬼であったということを思い出して、「餓」「我」を漢和辞典で調べてみた。
「我」は刃先がぎざぎざしたほこ(戈)の形にかたどっている。
「餓」は食べ物がなくなってやせ、骨のぎざぎざがあらわれること。
古代は、我という考えに否定的であったということであり、飢餓は日常見られることであった
ということらしい。
芥川龍之介は福祉といった考え方がなかった時代に多人数の家族を抱えて苦しんだということだろうか。軍や宗教に対して批判めいた作品を書いたため、ということがあったのだろう。
あるいは一時期はアイドルのような人気作家であったから額づかせることもあったために恨まれたとか?
森鴎外がもう少し長生きをしていれば、苦境を逃れる方法を授けたかもしれないけれど・・・・

森鴎外はこの歌で、大安寺と笠女郎を示したのではないだろうか。
大安寺は別名南大寺であって、聖徳太子ゆかりの寺だとのこと。→ こちら
笠女郎については こちら

どこかの時代で、笠郎女が笠女郎になったようである。それはなぜか。
森鴎外主宰の新声社同人による訳詩集「於母影」の題名は
笠女郎の別の歌である万葉集396
陸奥(みちのく)の 真野の草原(かやはら) 遠けども 面影にして 見ゆちふものを
からであるという。
森鴎外は笠女郎の歌にこだわっているようである。

南相馬には隠された平安時代初期の歴史があるらしい。→ こちら

なるほど、芥川龍之介が森鴎外からバトンを渡されて苦しむことになり、
太宰治が、相馬藩家老の孫である志賀直哉に噛みついた理由が見えて来たというか・・・・

今や、日本の歴史は、あらゆることを含めて資産だと思われる。
隠してきたことも価値に感じられるというか。



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あちこちに書いておりますが、15年も前に
地震や何か災害が起こりそうなときにネットの掲示板に書き込むことを勧められて・・・・

今ごろになって、これは私はパブロフの犬になっているんじゃないか
と気がつきました。(泣 ・・・いている場合じゃないですよね)

気を取り直して、条件反射→パブロフの犬 だけの知識を広げるべく検索してみることに。

イワン・パブロフとは こちら
Ivan_Pavlov_LIFE

写真はwikipediaより

1910年に研究用の防音効果を備えた研究室「沈黙の塔」の建設を始める
との記述がありました。
そういえば森鴎外「沈黙の塔」も1910年の発表です。

イワン・パブロフのドイツ留学の時期に、森鴎外と重なる部分があります。
両人とも軍医であった・・・・・

100年を過ぎてようやく沈黙が破られたとして、何が語られるのでしょうか。
まだ、語ることはできない、だったりして。

森鴎外「沈黙の塔」について以前の記事 太宰治を読む〔133〕はこちら
鷗外の横顔〔10〕は こちら

双方にとって、情報収集・提供の関係にあったのかもしれません。
鴎外が歩くところに歴史の扉がある、といった気がしてきました。

自分には残された時間がない 誰かにこれだけは伝えたい、という気持ちの
奈良五十首だったかもしれませんね。




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