日程:2019年8月30日~9月3日

参加者:CL須見(4)、斎藤OB

文責:須見
写真:須見

 

残り僅かな学生生活。学生のうちしかできないような重厚長大な沢登りをやっておきたく、今回の計画を実行した。

天候やその他諸々の事情により本命のルートには取り付くことはできなかったが、プランBも準備しているのが我々のNUKEMENASA。

 

8/30

広島~京都~番場島

私は未だ運転免許を取得しておらず。つまり斎藤さんにずっと運転していただき番場島へ。本当に今年中に絶対取ります。すみません。
こぎれいな台湾料理屋で斎藤さんに奢っていただく。やはり中華料理屋にハズレはない。

ブナグラ取水堰堤に駐車しようとしたが、ゲートがなぜか閉まっていたため、仕方なく番場島に駐車。眠る。

 

8/31 晴れのち曇り

6:35番場島

7:07白萩川入渓

12:55赤谷山と2269のコル

14:20赤谷山

15:54ブナグラ峠

17:20折尾谷1350m

斎藤さんとおしゃべりしながら林道に導かれるままに歩く。そして何も考えず入渓。

黒部の沢はガリガリ君だ。薄く青い色づき、膨大な水量、そして体の芯まで冷える水温の低さ。ただ一点、お手軽ではないという点においては異なるが。

1年ぶりの黒部の沢にキャーキャー言いながら2時間ほど遡行した頃、重大な事実に気付く。谷を一本間違えていたのだ。ブナグラ谷を遡行するはずが、なぜか我々は白萩川を遡行している。顔から血の気が引くのが自分で分かった。私たちはどうしようもない愚か者だ。
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▲白萩川

改めて地図を読んで策を考える。白萩川の枝沢である2269mJPと赤谷山のコルに突き上げる沢を遡行するのが計画ルートへ復帰するための最も労力の少ない登路に思われた。
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▲2269mJPと赤谷山のコルに突き上げる沢

だが結局、4時間の懺悔の藪漕ぎと贖罪の400mUPを強いられ、閉口。

その後の折尾谷の下降でも藪を漕ぐ。

安定して水が流れ始めた辺りで水流脇の適当な砂地にタープを張る。もそもそとα米を口に詰め込んで、2人とも口数少なく就寝。

 

 

9/1 晴れのち曇り

6:32折尾谷1350m

9:41西谷と小黒部谷の出合

12:30祖父谷入渓

16:30祖父谷1050m

小黒部谷に近づくにつれて折尾谷の水量が猛烈になっていく。水量だけで言えば黒部の沢の中では殊更多いわけではないのだが、沢幅が狭く、1000m以降はスクラムを組んでも全く歯が立たないほどの水流に変わった。そのためひたすら水線脇の藪を漕ぐ。折尾谷はもっと河原が発達している快適な沢だと思っていたのに…。
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▲折尾谷

小黒部谷と合流し、間もなく西谷とも合流。すると渓相も変わる。沢幅が広くなり、河原が出現し始めた。一時歓喜するも、その後も厳しい髙巻きや渡渉を強いられ全く油断できない。最下流をヒーヒー言いながら尾根を乗越して大きく巻いて欅平へ。
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▲西谷と小黒部谷の出合

観光客をかき分け祖父谷へ。堰堤を4つ越えるのが中々手間だが、今までの沢に比べて人が入っている谷であるので巻きもうっすら踏み跡あり。堰堤以降、地図上では両岸断崖だが、実際はそれほどでもない。時々足元を魚影がピュンピュン走る。本日竿を出さないとただの竿歩荷になってしまうので何とか釣りたいものだ。
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▲中々の水圧

最後の堰堤を越えてから1時間30分ほどでゴルジュ内の泳ぎ&ヘツリポイントに到着。ここで入山してからの疑惑が確信に変わる。事前に調べた記録の写真と比べて明らかに水量が多いのだ。やはり入山前の連日の降雨の影響だろう。プランBに変更してよかった。肝心の泳ぎ&ヘツリはというと、私がリードで行くつもりで準備していたのだが、あまりに白濁した暴力的水流に日和り、斎藤さんにリード権交代。漢としての格の違いを見せつけられた。その後のヘツリは私がリードで問題なく通過。
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▲怖い泳ぎ

支流が釣れるという情報を信じ、猿猴沢出合まで行こうと粘るもタイムアップ。猿猴沢出合手前のわずかな河原に幕営。沢に近すぎて若干怖かったが、焚火もできた上、懸念していた雨も降らず、存外に快適な夜を過ごすことができた。

しかし、時間がいっぱいいっぱいで竿は出せず。
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▲2日目幕営地

 

 

9/2 曇りのち雨

6:40祖父谷1050m

7:13猿侯沢出合

10:11奥不帰谷と中ノ谷の出合

14:43中ノ谷1900m

16:15中背尾根

17:20中背尾根2290m

朝イチで寝覚めの藪漕ぎ。ゴルジュを巻いて少し歩くと猿猴沢出合に着いた。中ノ谷の入り口は通過が難しいゴルジュのため、再び髙巻く。私がトップで藪漕ぎしているとスズメバチの群れに囲まれて絶叫退避。遠回りするハメになる。
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▲通過難しめゴルジュ

中ノ谷入り口を巻いた後は、徐々に斜度の強いゴーロ帯になっていき、やがて涸れ沢となった。奥不帰谷出合は堰止湖となっており、その手前の3.400mは純然たる藪に覆われている。つまり、我々は源頭ではない沢筋を辿っているにもかかわらず藪漕ぎを強いられるのだ。そして私はジバチと思しき黒色の蜂に手の甲を刺されてしまい、以降30分元気が無くなった。
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▲藪

奥不帰谷出合の堰止湖をへつったり泳いだりしながら中ノ谷の水線復帰を目指す。水は透き通っているが少しばかり臭い。魚は見かけなかったが、小さなサンショウウオらしき生き物は目撃した。このあたりからポツポツ雨が降り始める。
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▲堰止湖を泳ぐ

中ノ谷本谷を詰める。ネット上の記録では途中から右俣へ逃げるものしか見かけないが我々は忠実に中ノ谷を詰めることにする。途中5段40mの滝が出てくるがロープを出すまでもなく突破。その後の雪渓をバックにした15mほどの滝もノーザイルで突破。今思うと後者の滝はロープを出したほうが良かったかもしれない。
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▲15m滝

そろそろ焚火のできる良い幕営地でゆっくりしたいな~と思い始めたころ、ゴルジュを擁した4.50m滝が出現。こんなものは髙巻くしかない。
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▲無理の滝

高度を上げても滝を巻ききれない。濡れと標高からくる寒さで震えは止まらず、連日の長時間行動により疲労は溜まっており、日没は近い。谷に戻って不確定な状況に身を置くよりは、いっそこのまま高度を上げ切って尾根に乗って藪漕ぎしたほうが楽なのではないか。というわけで尾根に上がり少し歩いたコルにて幕営。近くの水たまりの水を汲み、ガスを空焚きし温まる。疲れた。

この夜は一晩中雨が降り、脆いツエルトの膜を貫通して中は0.5㎜/hの状態。地面は水路となり背中がピチャピチャしていた。
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9/3 曇り時々雨

5:32中背尾根2290m

9:30白馬鑓温泉

12:30猿倉

12:57中山沢入渓

13:57猿倉

もう我々に谷に戻るという選択肢は無く、無心で中背尾根の藪を漕ぐ。幸い日が昇るとともに雨は止んだ。2時間ほどで森林限界を突破し快適なガレの登高になり、間もなく一般道へ。白馬鑓温泉まで一般道を駆け下りる。
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▲藪

さて本来の計画であれば湯ノ入沢を下降して下山することになっている。しかし、天気は濃霧と雨。湯ノ入沢は六左ヱ門滝を擁する急峻な谷だ。視界のない状態で突っ込むのはあまりにもリスキーである。予備日は1日残されているが、翌日の天気も全く芳しくない。
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▲霧と雨
これはもう下山である。

しかし、「沢登り黒部横断」と銘打ったからには沢で始まり沢で終わるべきだ。気力を絞り出して、猿倉から中山沢をちょっと下降し、この合宿を締めた。
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▲中山沢

この計画、体感5割の行動時間は藪を漕いでいた。