org3373103


350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/06/28(木) 01:40:25.37 ID:HkCWWpDfo

照「」パクパクパク

京太郎「…その…良かったら、俺と、お付き合い…して……欲しいかな…って…その…」

照「」パクパクパク

京太郎「…む、昔っから、さ。その…好き…だったんだ。実は」

照「」パクパクパク

京太郎「照ちゃん、その、今東京だしさ。…二つも年上だし、その、今更俺みたいな田舎のガキ、その、男として見てもらえないかも…と思ったんだけど」

京太郎「ご、ごめんな。いきなりこんな事言っちまって…迷惑かもしれないけど……ど、どうしても、我慢出来なくて…」

京太郎「もし良かったら…なんだけど…さ…返事…くれないか…?」

照「な、なん…で…?」

照(なんで京ちゃんが、私の事を!!?)

京太郎「…正直、もう二度と会えないと思ってた」

照「…」

京太郎「…照ちゃんがいきなり俺の目の前から居なくなって、もう何年も過ぎて…さ」

照「…」

京太郎「…正直、すっげー寂しかった。あと、ショックだった。あんなことあった後だし、やっぱ避けられちゃってんのかと思って…」

照「っ!!」

京太郎「自惚れかもしれないけど、照ちゃんの前では俺、結構格好いいところも見せられてたとか、その、傲慢で打算的な考えかもしれないけど、そういうのも考えちまってたし…」

照「そ、そんな事無い!!私、京ちゃんの事避けてなんか…!!避けてなんか…無い…」

京太郎「…ありがとう。その言葉だけで、俺、救われた気分だ」

照「…」

京太郎「…けど、さ。それだけじゃ我慢出来ないってのも…確かなんだ。照ちゃんの事…好きなんだ。大好きなんだ。大大大大好きなんだ」

照「きょ、京ちゃん…」

京太郎「その…どう…かな…東京の男みたいにおしゃれでも、スマートでも無いし、照ちゃんみたいな美人と、今更釣り合わねーかもしんねーけど…良かったら…」

京太郎「その…お、俺と、お付き合いしてください!!!」

京太郎「…ははは。情けねーな、俺。もっと言わなきゃいけない事いっぱいあるはずなのに、こんな事しか言えない…」

照「わ、私…私…その…!!」

照(嬉しい…!)



照(嬉しい…!)


照(嬉しい…!)

照(嬉しい…!)

照(嬉しい…!)

照(嬉しい…!)
照(嬉しい…!)
照(嬉しい…!)
照(嬉しい…!)
照(嬉しい…!)

照(嬉しい…!)
照(嬉しい…!)



照(嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!嬉しい…!)


照(嬉しい…!!!!!!)


351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/06/28(木) 01:58:45.65 ID:HkCWWpDfo

照「わ、私…その…」

照(嬉しい!うれしい!嬉しい!!)

京太郎「…うん」

照(京ちゃんが私のこと…好きだったって…私の事好きだったって!!!)

照「そ、その…あの…」

照(うれしい!うれしい!うれしい!うれしい!うれしい!うれしい!うれしい!嬉しすぎて、死んじゃいそうだ!!)

京太郎「…うん」

照(私も!私も好きだよ!京ちゃん!!大好きだよ!!京ちゃん!!!!)

照「わたし、わた、わたし…わ…」

照(あとは、『うん』って!『うん』って言ったら、それだけで私達は両想いなんだ!!!)

照「えっと…あの…!その…!!」

照(『うん』って!!)

京太郎「…」

照「あの…わ、わたし…は…その…!」

照(『うんっ!!』)

京太郎「…」

照(『うんっ!!!!!!!!!!!!!』)

照「…」

照(あ、あれ…?)

照「えっと…!あ、あう…あ…あう…あ…あっ!うう…うう…!」ジワッ

照(な、何やってるの!?私!)

照「あ、あう…あうう…あ、あう…!ううー!」グスッ

照(な、なんで…?)

照「ううー!うううー!!」ポロポロポロ

照(なんで、一言、『うん』って、出てこないのぉ!?)

京太郎「…」

京太郎「…うん。悪い、照ちゃん。変な事言っちゃって。…今の、忘れて」

照「!!!」

京太郎「…そうだよな。いきなり昔の友達に会って、そんな、久しぶりに会って告白なんて…訳わかんねーよな…ごめんな…ほんとごめん、照ちゃん…」

照「あうっ…あっ!あっ!!」ポロポロポロ

照(ち、違うの京ちゃん!!)

照「そ、その…あの…」

照(わ、私!もっ!京ちゃんの事!!)

プルルルルルルル

『東京行き、新幹線間も無く発車しまーーーす』

照「あっ!」

照(あっ!で、電車!けど、あっ!うわっ!!)

京太郎「っ!」

『ドア、閉まりまーす』

照(か、帰らなきゃ!)


355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/06/28(木) 02:06:55.28 ID:uciC9Zifo

乗れよおおおおおおおおおおおおおおおおお


356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/06/28(木) 02:07:04.70 ID:8qB6I4JYo

そして始まる白糸台編


 
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/06/28(木) 02:09:31.29 ID:HkCWWpDfo

照「京ちゃんごめんっ!!」ダッ

京太郎「あ…」

プシューッ

京太郎「      っ!!   !!         !!?     !!!」

照「…っ!!!!」ダダダダダッ

京太郎「    !!!」

照「うわああああああああああああああああああああん!!!」

照「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!」

照「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!」

照「馬鹿!!馬鹿!!馬鹿!!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!私の馬鹿!!!!!」

照「ごめんね!!!ごめんね!!!ごめんね!!!ごめんね!!!ごめんね!!!ごめんね!!!ごめんね!!!」

照「ごめんね!!!京ちゃん!!!!!」



京太郎「待ってくれっ!!また!!また会えるよな!!?照ちゃん!!!」

京太郎「照ちゃん!!!」

京太郎「…」

京太郎「…」

京太郎「…」

京太郎「…」

京太郎「…」

京太郎「…」

京太郎「…」

京太郎「…」

京太郎「…」

京太郎「…」

京太郎「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

京太郎「…」

京太郎「…くそっ!!」

京太郎「…馬鹿野郎…!!」

京太郎「馬鹿野郎馬鹿野郎馬鹿野郎馬鹿野郎馬鹿野郎馬鹿野郎馬鹿野郎馬鹿野郎馬鹿野郎!!!!」

京太郎「…………俺は…………馬鹿だ…………!!!」


 
 
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/10(火) 21:41:39.00 ID:PSGhBR+go

照が長野から逃亡(3度目)した翌日・放課後
白糸台高校麻雀部部室前の廊下


淡「ふー!やっと授業終わったーっと。さて部活部活ー…って…あれ?どうしたんですか?皆さんお揃いで」

菫「ああ、淡か。いや何ちょっと…な」

淡「?」

尭深「…うん。ちょっと…」

誠子「ちょっと…ね…」

淡「変な先輩方…っていうか、もう早い人部活始めてる時間ですよね?どうしたんですか一体」

菫「今日は、レギュラー以外は皆休みだ」

淡「はあ?この時期に!?」

菫「…ちょっと、例のお姫様が変なんでな」

淡「…」ヒクッ

菫「…今部室の中に居る」

淡「ここから覗いてみても大丈夫ですか?気付かれたら襲いかかってきたりしませんか?あと、噛まれたりしません?」

菫「問題無い。何なら触っても大丈夫だと思うぞ」

淡「触ってもって…」

菫「見た感じの機嫌自体はな。すこぶる良いんだ。否。良すぎる。気持ち悪いくらいに」

淡「…え?」

尭深「あれはブチギレてる証拠。ただし、自分自身に」

誠子「1年は知らないかもだけど、試合で納得いかない麻雀をした日の翌日とかたま~になるんだよ。最近はそういうのもほとんど無かったんだけど…こりゃ過去最大級かもね」

菫「周りに自分の不機嫌を悟られまいと不自然に周囲に愛想を振りまく」

尭深「記者会見でも無いのに全方位営業モード」

淡「うわぉ…」

誠子「まったく…怪我を悟られないために自然に振る舞う野生動物みたいだ。他の部員も気味悪がってさ」

菫「だから私が皆を帰したんだ。…まあ、淡ならアイツの奇行には馴れてるし大丈夫だろう。ためしに話しかけてみればいいさ」

淡「はあ…」

菫「さあ、行け」クイッ

淡「…もしかして、皆さんで廊下に居たのって、私に先陣を切らせるためじゃ…」

菫「そうだ。行け」

尭深「がんば」

誠子「悪いね」

淡「せめて誤魔化すくらいはして欲しかった…」

淡「…わかりましたよ。じゃあ、骨は拾って下さいね。あと、皆さん今日は帰りに私に一個ずつお菓子を奢ること」

菫「善処する。どら焼きでいいか」

尭深「抹茶プリンあげる」

誠子「私はマックでなんかセットでも」

淡「…約束しましたからね」

淡「…はぁ」

淡「…」

淡「おっはよーございまーーーす!」ガチャッ


415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/10(火) 22:03:49.74 ID:PSGhBR+go

照「ん?ああ、淡!お疲れ様!」キラキラ

淡「ひっ!?」ゾワワワッ!!

照「もう、遅いじゃない。菫が今日は大会も近いから、レギュラーだけでミーティングだって言うからずっと待ってたのに…」

照「みんな、私がずっと待ってるのに来ないんだもん。不安になっちゃう!」プンプン

淡「す、すみません…じゅ、授業が長引いちゃいまして…」

照「そうだったの?なら仕方ないね。部活も大事だけど、あくまで私達学生の本分は勉強だもんね!」ニコッ

淡(だ、誰だこの人ーーーーーーーー!!?)

照「それにしても、来たのは淡だけ?菫達は知らない?」

淡「…」チラッ


菫「…」カキカキ

菫「」サッ

メモ『近くに居るって言ったら殺す』


淡「…」

照「淡?」

淡「は、はい!…すみません、私も良くは知りませんので…おそらくみなさんもうすぐ来るとは思うんですが…」

照「もうっ!相手は全国で地区予選を勝ち抜いてきた手強い高校ばかりなんだよ?しっかりミーティングして、相手を研究しなきゃ、油断してたら足元すくわれちゃうんだから!」

淡(言ってることは正論なのになんでこんなに心に響かないんだろう…)

照「あ。そうだ淡。ところで、お腹すいてない?」

淡「は?」

照「大切なミーティングの前に、糖分補給。ちゃんと頭回らせておかないと、ミーティングの内容が頭に入らないぞっ☆」

淡(なんだろう。本人は大真面目なのかもしれないけど、凄く馬鹿にされている気がする…)

淡「は、はあ…まあ、甘いモノは大好きですが…」

照「そうでしょ?だと思って、淡にプレゼント!」

淡「…」

照「あとでみんなが集まってから出そうと思ってたんだけど、みんなが遅いんだししょうがないよね」ゴソゴソ

淡「…」

照「…はい!じゃ~~ん。東京ばな奈~!しかも4箱も!」

淡「…おうふ」

照「ね!ね!ね!私達でみんなが来るまでに1箱食べちゃわない?実は私これ大好物なんだー」

淡(やばい…意識が遠のいてきた…)

照「…淡?」

淡「あ、す、すみません…そうですね。食べましょう。いただきます。ありがとうございます…」

照「ふふ。淡は面白いな。はいどうぞ」スッ

淡「いただきます…」

照「…」

淡「はむはむ…うん。おいひい」モグモグ

淡(なんかアレであるけど…まあいいか。東京ばな奈自体は嫌いじゃない)

照「…」

淡(うーむ。この柔らかい食感と濃厚なクリーム。流石高いだけあって結構なお味…)ホワホワ


417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/10(火) 22:28:32.34 ID:PSGhBR+go

照「…」シュン

淡「?宮永先輩、どうかしました?」

照「あっ!ご、ごめんごめん!淡が美味しそうに食べてくれるものだから、ついつい見ちゃって…」

淡「はあ…」

照「本当に、ごめん…」

淡「…?」

照「ごめん…ごめん…気持ち悪いよね私…ごめん…」

淡(なんか一気にダウナー系!!?)

淡「い、いやいや!そんな事ないですって!ただ宮永先輩は食べないのかなーって思っただけなので!」

照「えっ!?あ、そ、そう!?いや、ごめんごめん。そうだったね。それじゃあ私もいただきますっ」

淡「」ホッ

照「はむっ!もぐもぐ…」

照「」ホワ~~ン

淡(おお。マジで美味しそうな顔。口元が緩んでる)

照「うん、美味しいね」

淡(ここは話に乗って、良い感じにご機嫌を取っておこう)

淡「そうですね、最高に美味しいです。私東京ばな奈大好き!」

照「ふふ。私もだ。東京ばな奈は、昔長野に居た頃から憧れのオヤツだったんだ」

淡(口調が戻ってきた!機嫌が治ってきた?よしこの調子で)

照「だから、こっちに来て早速、初めて買って食べて、予想通り…いや、それ以上に美味しくて嬉しくて…いつか、大好きな人とこの大好きなオヤツを一緒に食べるのが夢で…」

淡「…?」

淡(…あれ?)

照「先日、ついに居ても立ってもいられなくてその夢を叶えようと勇気を出して、その人に会いに行って…いつでもいっしょに食べるチャンスは一杯あって…」ジワッ

淡(ま、マズい。地雷を踏んだ?)

照「そうしたらあんな事があって、凄くびっくりしたけど、本当に嬉しくて、けど気が動転しちゃって、何をすれば良かったのかも私は訳がわからなくなってしまって…」ブツブツ

淡(うわああああ!これはヤバイ!本格的にヤバい!怖い!面倒くさい!なんとか話題を逸らさないと…)

照「本当に…痛感したよ。私は救いようのない馬鹿だ。…いっそ死んでしまいたい」

淡「な、何言ってるんですか!!!」

照「…淡?」

淡「み、宮永先輩は馬鹿なんかじゃないです!」

淡「そりゃたまには…て言うか、しばしば…結構…かなり…アレでソレな所もありますし、私には特に実害も結構な頻度で及んでて勘弁して欲しいなーこの人とか思うことも良く有りますけど!」

淡「この私に対する偉そうな態度がムカツクんでいつか麻雀で徹底的にボッコボコにして悔しがってるを写真に撮ってネットでばら撒いてやりたいとかも思ったりしますけど!」

淡「な、なんだかんだいいところは一杯有りますよ!宮永先輩は!ほら…その…角とか…」

照「淡…具体的に褒めたとこが角だけ…」

淡「と、兎に角!そんな欠点も含めて!麻雀の強さや人格も含めて!私は宮永先輩のことは、その…嫌いじゃない…んで…」

淡「し、死ぬとか…そういうのは…無しで…お願いしたいんですが…」

淡「…なんか悲しくなっちゃいます。私を悲しませないで下さい。先輩なんですから」

照「…ごめん」

淡「まったくです」

照「…」


418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/10(火) 22:54:36.30 ID:PSGhBR+go

照「…」

淡「…」

照「…」

淡「…」

淡(し、しまったーーーーー!何恥ずかしいこと言ってるんだ私!アホか!!しかも今の何にも考えずに口から出たって事は、本音か!!アホだ!!)

照「…」

淡「…」

照「…」

淡「…」

淡(しかも会話無くなったし!)

照「…」

淡「…」

照「…」

淡「…」

淡(ううううう…沈黙が重い…)

淡(な、なにか…話題…話題は……あっ!)

淡「あ、あれ?宮永先輩」

照「…何?」

淡「い、いえ。その…卓の上に置いてある携帯…」

照「ああ。それがどうした?」

淡(あ、口元が緩んだ。これはやっぱり、聞いて欲しいからわざわざこんなところに置いたんだろうな。と言う事は私のこれからする質問は間違ってない!)

淡「可愛いストラップが着いてますけど、こんなの持ってましたっけ?」

照「あ…ああ、それは…。ちょ、ちょっと入手までの経緯に複雑な事情があるんだけど…」

淡(おお、珍しい。はにかむような、困ったような、嬉しいような、悲しいような…こんな複雑な表情も出来たんだこの人)

淡「えー?なんですか?複雑な事情って。あ、もしかして好きな人にでも貰ったとか?」

照「な!!?お、おい淡。お前なんでそんな…いや、そういう訳では…えっと…その…」オロオロ

淡(おおおー!?なんだこの反応!乙女か!!まさか弘世先輩の言ってた、例の幼馴染君の話なのかーーーーー!?)

照「あ、あの…ね?淡。こ、こういう話はちょっと恥ずかしいから…特に菫にはナイショにしておいて欲しいんだけど…」

淡(はは。まさか酒に酔わされてすでに自白済だとは思うまい。同情しますよ。宮永先輩…)

淡「えー!聞きたい聞きたい!教えて下さいよ宮永先輩!この、ハート型のストラップを受け取った経緯!」スッ

照「…は?」

淡「へー。プニプニしてるんだ。面白いですねコレ」プニプニ

照「…」ビキッ

淡「それによく見たら顔が付いてる。あはは、ブサ可愛い感じで結構いいかもー…」プニプニ

照「…淡?」

淡「なんか、この安っぽい感じがいい味出してますねー。メイドイン・チャイナって感じで…」プニプ…

照「…おい、貴様何してる」ガシッ

淡「…へ?」プニッ?

照「誰が触って良いと言った」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

淡「…えーっと…」プニプニ…


419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/10(火) 23:20:50.45 ID:PSGhBR+go

照「」ガタッ

淡「…あ、あの…宮永先輩…?」

照「」ギュインギュインギュイン

淡「なんか、その…腕にサイクロン的な何かが集まってるような幻影が…」

照「死ね!」ブンッ

淡「おわあっ!?」サッ

照「避けた!?」

淡「な、何するんですか!いきなり殴りかかってくるなんて!」

照「五月蝿い!無断でそのストラップに触るな!それは私のものだ!」ブンッ

淡「ひょわぁ!?お、落ち着いて下さいよ!」サッ

照「くっ…ちょこまかと…!!」

淡(あわわ。宮永先輩が運動音痴だから助かってるけど、このまま避けてるだけじゃいずれ捕まる…)

照「逃がさない…」ジリジリ

淡「ぐううう…」

照「ふん!!」ブンッ

淡「わっ!」サッ

照「たあ!」ブンッ

淡「やば、避けれな…」

淡「きゃぁ!」サッ

バキッ

照「痛っ…」

淡「~~~っ…」プルプル

淡「…」

淡「…はれ?」

照「いたたた…」

淡「あれ…殴られてない…?って…あ。無意識に先輩の携帯盾にしちゃったんだ…」

淡「…げ」

照「くっ!淡!お前、よくも私の携帯を…」

照「…」

淡「…まず」

照「あ…」

淡「えーっと…」

照「あああ…」

淡「その~…」

照「ああああああああああああああああああああああああ!!!」

淡「す、すみません…ストラップ…千切れちゃいました…ね…」

照「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!」

淡「うあー…」

照「わあああああああああああああああああああああん!!わあああああああああああああああああああん!!わああああああああああああああああああ!!!」

淡「…こ、これはどうしたものか…」


421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/07/10(火) 23:30:37.76 ID:wQAXses/0

かわいそうなてるてるかわいい


423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/10(火) 23:39:42.09 ID:PSGhBR+go

照「うええええええええええええええん!ええええええええええええええええええええええん!!えええええええええええええん!!!」

淡「こんな泣きまくってる宮永先輩初めて見た…ど、どうしよ…」

菫「まったく…何をやってるんだお前は」スタスタ

誠子「あーあ。可哀想に…」スタスタ

尭深「泣ーかした泣ーかした」テクテク

淡「せ、先輩方…」

菫「いじめっ子め」

淡「え…何ですかこの雰囲気。まるで私が悪いみたいな…」

照「ええええええええええええええええええええん!ええええええええええええええええん!!淡のばかあああああああああああああああああああ!!」

淡「私が悪いの!!?」

菫「ほら、照。落ち着け。大体、さっきから変だぞお前。何があったか一から話してみろ」ユサユサ

照「ヒッグ…ううえええ…す、すみれえぇええええええええ…うええええええ…」

誠子「よしよし、大丈夫ですよー。宮永せんぱーい。私達で良ければいつでも力になりますからー」

照「ええええええん。あ、ありっがとっ!せい゙ごぉおおおおおおおおおおお」

尭深「はい、冷たいお茶。落ち着いて…」

照「たかみ゙~~~~~~~~~~~!!」

尭深「ん」ナデナデ

淡「なんだこれ…」

菫「よしよし。落ち着いたら話聞いてやるから。な?ほら。特別にだっこしてやる」ギューッ

照「うん。うん。ありがと…うん。ごめんねすみれ…うん…」スンスン

菫「はいはい。そしたらちょっと休めお前」ナデナデ

照「すみれのおっぱいやわらかい…」ギューッ

菫「わかったわかった。お前は硬いな。はいはい」ナデナデ

照「…」ギューッ

菫「はぁ…」

淡「幼児退行してるし…」

照「…」ギュッ

照「…」

照「…」コックリコックリ

照「…」

照「すー…すー…」

淡「寝た」

菫「…ま、ざっとこんなものだ」

淡「…おみそれしました」

尭深「淡には、おっぱいが足りない…」

淡「ほっといて下さい!!」

誠子「まあ、なんにせよ話はこの人が起きてからだね」

淡「はあ…」

照「すやすや…」


424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/11(水) 00:06:05.88 ID:pPzXhE8Yo

10分後

菫「落ち着いた?」

照「…うん。すまない菫。尭深。誠子。ついでに淡」

淡「ついで…ぐぬぬぬ。まあ、私もすみませんでした。その…色々失礼なこと言ったりやったり」

照「いや。私の方こそすまない」

菫「よし、お互い謝罪は終わったな?それじゃあ、話してもらおうか。照、お前、日曜に…いや、ここ数日に何があった?」

照「…」

菫「話せ。お前、ここ数日の自分の奇行を誰にも疑問視されてないと思っていたのか?」

照「…」

菫「全国の近いこの時期にエースに身も心もあっちへフラフラこっちへフラフラされては私達も堪ったもので無いんだ。もういい加減話してくれてもいい時期だろう」

誠子「それに、私達だって、宮永先輩にはなんだかんだお世話になってきてますから。恩返し…じゃないですけど、力になれる所は、なりたいんですよ」

尭深「魚の干物のお礼もまだ。お返ししたい」

照「…」

淡「わ、私も…」

照「…淡?」

淡「私も…宮永先輩には、その…悲しい顔似合わないって言うか…その、そんな顔されてたら調子狂うって言うか…」

照「…」

淡「…その…げ、元気だして欲しいから…」

照「…」

照「…わかった」

淡「…」

照「…何があったか話す」

菫「…そうか。ありがとう」

照「けど、その前に」

菫「ん?」

照「尭深。お茶淹れてきて」

尭深「?…わかりました」

照「はい皆。東京ばな奈。みんなに均等に渡るように。あ、余った分は私のだからな。買ってきたのは私だし」

誠子「へ?」

淡「何やってるんです?」

菫「さあ」

尭深「淹れてきた」

淡「早っ!」

照「ありがとう。それじゃあみんな。聞いて欲しい。私の犯した馬鹿な間違いの話を」

菫「馬鹿な間違いねえ」

照「で、ついでに相談に乗って欲しい。これから私はどうすればいいか。何をすべきなのか」

誠子「何をって…まあ、出来る限りで」

照「でも、その前に、もう一個聞いて欲しい事がある」

尭深「もう一個?」

照「ああ。これは、最近の話じゃないんだけど…」


425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/11(水) 00:30:06.54 ID:pPzXhE8Yo

照「私の初恋の話」

淡「!!」

照「そして、私がこっちに来る前の、長野に居た頃の話」

照「私が、それまで一体どんな人間だったのか…」

照「それまでどんな人生を歩んできていたのか…」

照「どんな事を考えてきていたのか…」

照「物凄く恥ずかしい話なんだけど…」

照「もしかしたら、私の事を馬鹿にしたり軽蔑するようになるかもしれないけど…」

照「凄く凄く話すのが怖い話なのだけど…」

照「今まで、誰にも言えなかった話なんだけど…」

照「…でも、みんなには聞いて欲しい」

照「…お願いだから、聞いて欲しい」

淡「えっと…」

淡(なんかすっごく重そうな…だ、大丈夫なのかな私こんな話聞いちゃっても…)

誠子「おっ!もったいぶりますねー!」

尭深「なんだかワクワク。B級映画か糞アニメみたい」

淡「えっ。いや、お二方そんな軽い感じな…ってか、渋谷先輩今さらっと酷い事言いましたね」

菫「是非も無いさ。お前がそうやって大袈裟に言った相談事が私に本当に手に負えなかった事は無いんだ。今までもそうだったのなら、これからもそうだ」

淡「弘世先輩まで!?」

菫「話してみればいい。その口ぶりだと、どうやらその話は今までお前にとって随分と重荷だったらしいが…」

菫「お前のような麻雀以外ポンコツ女が一人でえっちらおっちら運んできた荷物など、我々5人で抱えればどれほどのものでも無くなるさ」

淡「…」

菫「それが仲間って奴だろう?まあ、柄じゃないがな」

淡「…」

淡「ま、私だって宮永先輩よりはしっかりものな自信ありますし。ちょっとくらいなら心の支えにはなれると思いますが」

照「…ありがとう。あと淡、あとで覚えてろ」

淡「…えへ」

照「…ふふ。それじゃあ長くなるから、お茶でも飲みながらゆっくりと話していこうか」

照「…」

照「…すーっ…」

照「…はーっ…」

照「…」

照「…あれは、私がまだ中学生だった頃の話だ…」

照「そう。たった数年前の話…」


465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/20(金) 19:50:02.46 ID:iIxw/YeAo

淡(その日私が聞いた話は、まるで遠い世界の、知らない人の事のようでした)

淡(なぜなら、お話の中に出てくる宮永先輩は私の知ってる宮永先輩と全く違う人のようで…)

淡(途中で「年月はこうも人を変えるんですね」と素直に溢しちゃった私は、亦野先輩にゲンコツを食らったりもするんですが、まあそれは置いといて…)

淡(兎にも角にも、それはほんのちょっっぴりむかしのはなしです)

淡(牌に愛され、高校生史上最強のチャンプとまで言われ、まるで神に選ばれたかのような才能を誇る少女の、意外な昔話)

淡(妹想いで、優しくて、どん臭い、普通の女の子の話)

淡(それは宮永照が中学3年生の頃の話でした)


466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/20(金) 19:53:11.47 ID:iIxw/YeAo

3年前・ある夏の日
宮永家リビング

そこには、ソファに腰掛け、物憂げに本を読む宮永照の姿があった

照「…ふう」

照「…もう、5時か…」

照「…咲、遅いな」

一息ついて深呼吸。ふと気になって壁掛けの時計を見やると、呟く
普通の中学生1年生の女の子が帰って来る時間としては、それほど遅い時間では無い。部活をやっていたり、友人と遊んでいればこれくらいの時間に帰ってくるのは寧ろ早いくらいだ

照「…大丈夫かな」

…だが、照はソワソワと不安そうに窓から外を覗くばかりだ。妹の帰りを待つその姿はどう見ても普通の様子では無い。過保護も過ぎるように見受けられるが…

照「…あっ」

タッタッタッタ…

小走りに狭い歩幅の足音が聞こえ、安堵した声を漏らす照。雑誌をコーヒーテーブルに置き、立ち上がる。急いで玄関まで向かう

照「…」

ガチャッ

果たして玄関に辿り着くとほぼ同時、勢い良く宮永家のドアが開かれた

照「…おかえり、咲」

優しい笑顔でおかえりの挨拶を告げ、そっと腕を広げながら、靴も履かずに土間へ降りてゆく。膝を曲げ、目線を妹の高さに合わせる。足が汚れるが知ったことか。それよりも今は…

咲「…ヒッ…ヒック…ヒック…」

照「…また、いじめられたの?」

咲「…」コクン

照「そう。頑張ったね。もう大丈夫だよ」ギュッ

咲「うわああああああああああああああああああああああああん!!」

照「よしよし。もう大丈夫。もう大丈夫。もう怖くないから、大丈夫だよ」ナデナデ

咲「おねえちゃああああああああああああん!!!」

この大切な妹を、慰めてあげなくてはならない。この、最愛の、妹を

照「お姉ちゃんがついてるから。大丈夫だから。大丈夫。大丈夫だよ…」

咲「ええええええええええええええん!!えええええええええええええん!!!ええええええええええええええええええええええん!!!!」

照「…」ギュッ

妹は

咲は、いじめられっこ

臆病で

人見知りで

どん臭くて

いじめられて当然の…いじめられっこ

いじめられ、泣いて帰ってくる咲を慰めるのが、この頃の照の日常


467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/20(金) 19:54:12.28 ID:iIxw/YeAo

泣き続ける妹を抱き締めながら、いつからこんな事になったんだろう、と考える
深く思い返すまでも無い。そう、あれは咲が中学生になって間もない頃の事だ

4月のある日、照が学校から家に帰ってくると玄関に咲の靴が置いてあったので、先に帰ってきていた妹とおしゃべりをしようと、部屋を訪ねることにした
(中学生にあがって一人部屋を貰って、咲は大喜びしていた)

ノックしてドアを開けて貰おうと手を差し伸ばした瞬間…部屋からすすり泣く妹の声が聞こえたのだ
その瞬間、気付けば部屋に飛び込んでいた。いつドアを開けたのかすら記憶にないくらいだった。今でもはっきりと覚えているのは、部屋の隅で小さくなって泣いている妹の姿
思わず激しい剣幕で何があったのかを問い正し、咲がいじめにあったのを知ったのは、それからすぐの事だった

大した理由など無い。強いて言うなら、ただ弱そうな獲物が目に入ったからいじめる事にしたのだろう。子供のいじめなどそんな程度のものだ
泣きじゃくる妹の前で、ただ呆然と立ち尽くすしか出来なかったその日から、咲と照にとってひたすらに辛い日々が始まった


468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/20(金) 19:55:52.32 ID:iIxw/YeAo

しばらくして咲が泣き止んだのを見計らい、極力優しい様に声をかける

照「…もう、大丈夫?」

咲「…うん。ありがとうお姉ちゃん」

気丈に答える咲。目は真っ赤で、頬はクシャクシャだ。無理をしてるのがはっきり分かる。照の胸にまたチクリと鋭い痛みが走る

照「…そう」

自分の無力さに目眩を覚える

咲「お姉ちゃんが、慰めてくれたから…」

照「…」

咲「大丈夫…ありがとう、お姉ちゃん…」

照「…」

そういって笑う咲の笑顔が、悲しい

照「…ごめんね、咲」

咲「ふぇ?」

照「私がなんとかしてあげられればいいんだけど…」

咲「…」

無力感に打ちひしがられながら、思わず呟く。一度咲の担任に掛け合った事もあるが、巧妙に行われるいじめを暴く事は、照には出来なかった
照自身がいじめっ子に話を着けることも事も考えたが、逆に照が居ない時にいじめが激化する可能性を考え、それも出来なかった
親に相談するのは、二人とも考えもしなかった。最近両親の仲がギクシャクしているのには気付いている。今余計な問題を抱えさせて、これ以上二人の仲が悪くなるのだけは避けたい

照「ごめんね…ごめん…ごめん…」

だから、強く強く…ギュッと咲を抱き締める。せめて、この子の心の痛みを少しでも和らげられるように

咲「あはは…いたた…痛いよ、お姉ちゃん…」

照「ごめん…ごめん…ごめん…ごめんね、咲…」

咲「お姉ちゃん……お姉ちゃん……お姉ちゃん…うええええ…」

照「咲…咲…咲…」

そんな地獄のような日々を送っていた二人に、思わぬ救いの手が現れたのは、それから少し経ってからだった


469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/07/20(金) 20:00:56.88 ID:24cdTj2vo

いじめ問題はこころにはりをつきたてられるようだ…


470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/07/20(金) 20:26:39.99 ID:f1z6jLu60

タイムリーやな


471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/20(金) 20:34:22.02 ID:iIxw/YeAo

照「…遅くなっちゃった。咲は、もう帰ってきてるかな」

早足で帰路に就きながら、そんな事を呟く照
友人から遊びに誘われ、断っている内に結構な時間が過ぎていたのだ

最近は咲の為にとなるべく早く帰宅しようとしているので、友達と遊ぶ事も少なくなった
さっきはそれで最近付き合いが悪いと非難を浴びていたところだ

理由を尋ねられても、妹がいじめられているからなど、友人に話せるような内容ではないので、はぐらかして謝るしか無い
ここで適当な嘘を付けないのは照の美徳でも有り、欠点でもあった

照「早く咲を慰めてあげないと…」

ようやく家の前まで辿り着いた。逸る気持ちを抑え、呼吸を整える。殊更ゆっくりと玄関を開け、靴を確認すると、咲の靴が有る。帰ってきてる

照「…すぅー…はぁー…よし」

咲の前では余裕を持って接しよう。ここで自分まで余裕を失っては、咲の心の拠り所が無くなってしまう。そうだ、今、咲には私しかいないのだから…
リビングに咲の姿を確認し、優しく、元気に挨拶の声をかける

照「た、ただいま!咲…」

咲「あ、お姉ちゃん!おかえりっ!」

照「…え?」

咲「えへへ。今日は遅かったね。久しぶりに私の方が早く帰ってきたもんね」

照「あ、そ、そうだね…」

咲「今日も暑かったね。汗かいてない?冷凍庫にアイスが有ったから、持ってこようか?」

照「えっと…」

咲「あ、でもお姉ちゃん、ちゃんと手洗ってうがいした?アイスはその後だからね!」

照「うん…」

咲「うんっ!じゃあ私、お姉ちゃんが洗面所から戻ってくる前にアイス用意しておくから、早く戻ってきてね!」

照「さ、咲…?」

咲「ん?どうしたの?お姉ちゃん」

照「ど、どうしたの…?その…」

咲「うん」

照「なんだか今日は…その…凄く嬉しそう…だけど…」

いつも苛められて帰ってきていた貴女が、今日に限ってなんでこんなに嬉しそうなの?
そんな想いを、どうやって伝えようか迷っていると、咲が察して、いや、実は言いたくて言いたくて堪らなかったのだろう。自分から話してくれた

咲「えへへ。聞いて聞いて、お姉ちゃん!実は今日ね…!」

咲の話は、興奮していた為か、ややまとまりに欠けるものだった

いつものようにいじめっ子にちょっかいを出されて泣いていたら、一人の男の子に助けられた
割りと背も高めのその子は一度も話した事の無かったクラスメートで、放課後に咲がいじめられていた現場に、偶々立ち寄ったらしい

その子は同学年の女子とはいえ複数の悪そうな子達相手でちょっと怖気づいていた様で、「いじめ、カッコ悪い。by前園」と結構ふざけた感じで注意してくれた
いじめっ子達もその間抜けな注意に毒気を抜かれたのか、それとも男子相手では分が悪いと思ったのか、引っ張っていた咲の髪を離してスゴスゴと退散していった
余りにもあっさりとしたその撤退に、咲自身も拍子抜けしてしまったくらいだ

それよりも、いじめっ子達が完全に立ち去ってから小さな声で「やーいやーい!弱い者いじめしてるんじゃねーよ、この臆病者どもー!」と急に強気?な態度で悪口を言い始めた男の子の姿が余りに滑稽で

咲は、泣きながら大笑いしてしまったという


472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/07/20(金) 20:43:45.62 ID:5nnTEsAw0

こら京ちゃんは咲さんのヒーローですわ…


473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/20(金) 20:52:45.65 ID:iIxw/YeAo

京太郎「ああー!何笑ってんだよ、人が折角いじめっ子ども追い払ってやったのに!」

咲「あはははは!グスッ。ご、ごめんなさい!け、けど、だって、みんな居なくなってからそれって…あははは…!グスッ…ヒック」

京太郎「せめて泣くのか笑うのか、はっきりしてっ!」

咲「…ヒック…ヒック…ご、ごめんなさ…ヒック」

京太郎「…訂正。やっぱ笑ってもいいです」

咲「うぇ…ご、ごめん…なさ…ヒック…ヒック…うええええ…」

京太郎「おいおいおい。なんか、俺が泣かしたみたいになってるし…勘弁してくれよ。ダチに見つかったら俺が殺されちまう…」

咲「ううん。ごめんね。須賀君は悪くない…ありがとうね…ありがとう…ありがとう…」

京太郎「…」

咲「ありがとう…ありがとう…ありがとう…ありがとう…」

京太郎「…いじめられてたのか」

咲「…」

京太郎「そっか…」

咲「…」

京太郎「…あー…」

咲「…」

京太郎「…その、なんだろ」

京太郎「…あ、そうだ。あいつらって、クラスの連中だよな」

咲「…うん」

京太郎「…だよな」

咲「…うん。あと、隣のクラスの子も何人か。中学の時一緒だったんだって」

京太郎「はぁ。参ったなぁ。まさか自分のクラスでいじめが有ったとは。こえーなー」

咲「…」

京太郎「あ、悪い。えっと、別にお前が悪いって言ってるんじゃ無いぞ?」

咲「うん…」

京太郎「えっと…宮永だっけ」

咲「…うん」

京太郎「…ま、元気だせ」

咲「…」

京太郎「…」

京太郎「しょ、小学校の頃とか、こんなの無かったんだけどなー…」

咲「そうなの?私の学校は小学校でも有った」

京太郎「…お前もいじめられてた?」

咲「ううん。…私は、怖くて見てるだけしか出来なかった。…下手に手を出したら、私もいじめられるんじゃないかって…」

京太郎「そ、そうなのか」

咲「うん。…誰も助けてあげれなくて…遂にその子、転校しちゃった」

京太郎「おお、ヘヴィ…」

咲「…罰が当ったのかな。私があの時、あの子を助けてあげなかったから、私もいじめられるようになったのかな」

京太郎「…」

咲「…だからみんな、私の事助けてくれなかったのかな」


475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/07/20(金) 21:24:16.85 ID:qv8BmUwTo

そら(こんな出会いをすれば)そう(余裕で惚れる)なるよ


476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/20(金) 21:26:06.68 ID:iIxw/YeAo

京太郎「あー…」

京太郎「いや、ただ単に知らなかっただけじゃね?」

咲「…え?」

京太郎「いや、だって。現に俺、今助けたじゃん」

咲「…須賀君みたいな人、中々居ないよ。私も須賀君みたいに勇気が有ったら…」

京太郎「有っても、宮永じゃどうにもならねーだろ」

咲「…だよね」

京太郎「…」

咲「…」

京太郎「えっと…ま、まあ、今回は女子相手だったし…俺でもどうにかなりそうかなって思っただけだし」

咲「…」

京太郎「う、運が良かったんだよ。もしあれが番長グループみたいのだったら、俺だってどうしてたかわかんないし…」

咲「…番長グループなんて有るの?この学校」

京太郎「…いや、流石に無いでしょ」

咲「だよね」

京太郎「…お前、結構ツッコミ上手いな」

咲「ごめん」

京太郎「…と、とにかく!怖いものは怖いんだ。そうやって、いじめられてた子を気にしてやれるだけ、お前は優しくていい奴なんだろ」

咲「けど…結局その子は…」

京太郎「その子を救うためにやりようとかは有ったのかもだだけどさ。だからって、宮永みたいな子にそんな、他人のために全てをかけていじめっ子と戦えなんて、言えないだろうし…」

京太郎「大体、その子だって転校して転校生デビューしてるかもだろ!」

咲「だったらいいけど…」

京太郎「だったら、その先はその子次第だ!あー!もうこの話やめやめ!暗い話しても良い事無いって!明るい話しようぜ!」

咲「明るい話って…」

京太郎「例えば、最近したおもしろい遊びとか!」

咲「最近…いじめられるから、なるべく早く帰るようにしてた。お昼休みとかは、教室で寝たふりして…」

京太郎「ですよねー!俺が悪かったですすみません!!」

咲「…」

京太郎「あう…」

咲「…えっと…」

京太郎「…うん」

咲「す、須賀君は…どんな遊び…とか?」

京太郎「…あー…そうだなー…」

咲「…」

京太郎「…例えば、この間の金曜に生物の授業で、先生が川の生き物の話してたろ。ほら、トビケラの幼虫がどうのって」

咲「うん。ザザムシの事だね。長野くらいなんだよね、あれ食べるの。たまにスーパーに置いてるけど、気持ち悪い…」

京太郎「…次の日にダチと川に行って釣りしてたんだ。そこでなんとなく石ひっくり返したらザザムシが居て…」

咲「…まさか、食べた?」

京太郎「じゃんけんして負けたほうが食べるって話になったんだけど、食べ方が分からなくて…取り敢えず揚げれば食えるだろうって焚き火起こして素揚げしてみたら、爆発した」

咲「なにそれ怖い」


477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/20(金) 21:48:16.78 ID:iIxw/YeAo

京太郎「いや、マジで大惨事だったぜ。飛び散ったなんかの汁と油が驟雨の如く降り注ぎ横殴りに俺ら…ああ、全部で4人いたんだけど…を襲ったから」

咲「いきなり難しい言葉使い出した」

京太郎「そんで慌てて一旦避難しようとしたら、ダチが袖に油入れた小鍋引っ掛けて」

咲「大事件じゃん」

京太郎「それをかわそうとしたら俺、ジャケットに火が燃え移る」

咲「うわ」

京太郎「ダチ爆笑」

咲「爆笑なんだ」

京太郎「慌てふためく俺に、ダチが叫ぶんだ。川に飛び込め!!」

咲「脱ぐって選択肢は無かったの?」

京太郎「もう必死で」

咲「なるほど」

京太郎「で、飛び込んだはいいんだけど、水深がメチャクチャ浅くて、膝までしか濡れなくて」

咲「駄目じゃん」

京太郎「また友人爆笑」

咲「愛されてるね」

京太郎「どうすんだよこれ!!って半切れで叫んだら、全員でバケツに入った水ぶっかけて来やがってさ」

咲「最初からそれで良かったよね」

京太郎「そのあとでみんなして俺を抱えて一番水深深くて急流なとこに投げ込みやがった」

咲「男の子って凄い」

京太郎「為す術もなく流される俺」

咲「自然の脅威だね」

京太郎「10mもせずに岩に引っかかる俺」

咲「自然の優しさだね」

京太郎「必死こいて岩に手を着いて、ビショビショの服でみんなのとこに戻ってさ」

咲「よく風邪ひかなかったね」

京太郎「その後はもう乱闘よ。全員川に流してやったぜ。俺も流されたけど」

咲「私のいじめって、なんだか大したこと無かった気がしてきた」

京太郎「ちょっとは気が楽になったか?」

咲「え…もしかして、そのために…」ドキッ

京太郎「いや、ちょっとこの間の武勇伝を話したかっただけ」

咲「ぷっ…」

京太郎「…ま、ちょっとでも喜んでくれたんなら…」

咲「あはははははははははは!!」

京太郎「…」

咲「あははははははっはははははははははははははは!!けほっ!!ふはっ!げほげほ…っあはははははははははは!!」

京太郎「…」

咲「あははははははは!!須賀君っておもしろっ!!あはは!!あはははははははは!!」

京太郎「お、おう…」

咲「くふっ…あはは!あはははははははは!!ご、ごめ…ツボに入った…あははははは!!」


478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/20(金) 21:57:14.03 ID:m0wmRV790

ワイルド過ぎ、吹いたwwww


479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/20(金) 22:06:49.51 ID:iIxw/YeAo

咲「はぁはぁ…」

京太郎「落ち着いた?」

咲「うん」

京太郎「そっか」

咲「うん……………………きゅふふふふ…」

京太郎「変な忍び笑いしやがって…ま、いいや。宮永って、結構明るい奴だったんだな」

咲「え?」

京太郎「お前がこんなにコロコロ表情変えてるの、初めて見た」

咲「そう…かな?」

京太郎「ああ。今のお前くらいアグレッシブな奴相手なら、誰もいじめには来ないだろ。普段人と話す時もそれくらい明るいキャラでいけよ」

咲「…けど、友達居ないし…誰とでも仲良く話せる訳じゃ…」

京太郎「…もしかして、宮永って人見知り?」

咲「…」

京太郎「…っぽいな」

咲「…うう。他人とお話する時は、どうしても気構えしちゃて…」

京太郎「…の割に、なんかお前俺相手には結構息合うよな。きもーち毒舌だし」

咲「だ、だって…なんか、その…」

京太郎「?」

咲「なんか、須賀君って、その、話やすいし…」

京太郎「初めて言われた」

咲「そう…?」

京太郎「…うーん。でも、確かにな。俺も宮永とは話ししやすいって言うか…テンポが合うんだよな」

咲「…」

京太郎「とても初めて会話したとは思えない、むしろ長年の知り合いのような…」

咲「…」

京太郎「…ああ、良い事考えた」

咲「え?」

京太郎「幼馴染」ビシッ

咲「は?」

京太郎「宮永、今から俺の幼馴染設定な」

咲「はい!?」

京太郎「実は、小さい頃から面識が有ったのです」

咲「須賀君、頭大丈夫…?」

京太郎「殴るぞ」

咲「ごめん」

京太郎「だから、俺の知り合いはお前には初めて会った人間でも、ただの他人じゃ無い」

京太郎「逆に、俺の知り合いから見ても、へー幼馴染居たんだー。じゃあこれから仲良くしてねー的な?」

咲「そう上手く行くかな…」

京太郎「大丈夫だって。俺の知り合い馬鹿ばっかだし。…それに、女の子の幼馴染って欲しかったし」

咲「それが本音!?」


480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/20(金) 22:22:58.23 ID:iIxw/YeAo

京太郎「やべっ!!」

咲「…」ジーッ

京太郎「い、いやいや!そ、そそそそそんな事有りませんぞ!?」

咲「…ふふっ」

京太郎「…宮永?」

咲「…幼馴染だったら、いじめっ子から守ってくれる?」

京太郎「…」

咲「幼馴染だったら…私が泣いてる時、助けに来てくれる?」

京太郎「…」

咲「幼馴染だったら、私が困ってる時…ピンチの時…駆けつけてくれる?」

京太郎「…それって、幼馴染ってより、ゲームのお姫様と騎士の関係じゃ…」

咲「…あれ?そうかな…」

京太郎「…ま、いいけどさ」

咲「…」

京太郎「幼馴染だからな。守ってやるよ」

咲「…じゃあ、私達、今日から幼馴染だ」

京太郎「…なーんか、力関係が理不尽なことになってる気がするんですけど…」

咲「…ふふっ♪」

京太郎「…ま、いっか。それじゃあ、これからよろしくな。『咲』」

咲「!!」

京太郎「…ん?」

咲「ううん!よろしく!『京ちゃん』!!」

京太郎「うげ、京ちゃん?なんだその間抜けっぽいあだ名。初めて言われたぜ」

咲「えー。いいじゃん。可愛いあだ名だよ!」

京太郎「だって、なんだか恥ずかしい…」

咲「いいじゃんいいじゃん。京ちゃん京ちゃん京ちゃ~ん♪」

京太郎「うおーっ!なんかむず痒い!」

咲「へっへっへ~」

京太郎「覚えてろ、こうなったらこっちにだって考えがある」

咲「な~に?どうしたの、京ちゃん」ニヤニヤ

京太郎「ん。なんでもねーよ。それより、もう下校時間だ。帰らねーの?

咲「あ、そっか。そうだね。それじゃあ私はそろそろ…」

京太郎「」ニヤリ

京太郎「姫、家までお送りいたしましょうか?」

咲「」ピシッ

京太郎「」ニヤニヤ

咲「…はい?」

京太郎「姫」

咲「…ひ…め…?」

京太郎「はい。お姫様」



482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/20(金) 22:30:44.16 ID:iIxw/YeAo

咲「あ、あううううう…」カアアアアア

京太郎「ぷぷっ」

咲「な、ななななななあ…」

京太郎「あははははは!なーにそんな顔真っ赤にしてんだよ!」

咲「なっ!なに言ってるのー!」

京太郎「あはははは!照れてら。可愛いぞー、ひめー」

咲「~~~~~っ!!」プルプル

京太郎「お?どうした?ひーめ!ひーめっ!宮永姫!」

咲「うわあああああん!もうっ!もうっ!もうっ!もうっ!」バシッバシッバシッ

京太郎「あはははは!いてっ!いてててて!こらやめろ姫!」

咲「う~~~~っ…」

京太郎「ん?どした?ひ…」

咲「うわああああああああああああああああん!京ちゃんのばかあああああああああああああああああああ!!」ダッ

京太郎「あー…やりすぎたか」

咲「いじわるーーーーーーーーーーーーーーーー!!」タッタッタッタ…

京太郎「咲ーーーーーー!気を付けて帰れよーーーーー!!また明日なーーーーーーーーー!!」


483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/20(金) 22:50:10.11 ID:iIxw/YeAo

咲「…と、こんな感じ」

照「そっか。良かったね、咲…」

咲「うん!」

照(良かった…うん。本当に良かった…咲に、味方が…)

咲「えへへへ。ちょっとおっちょこちょいでイジワルだけど、本当格好良かったんだよ」

照「そう…良かったね…良かった…良かった…」

咲「お姉ちゃん…?」

照「うっ…うっ…うっ…」ポタ…ポタ…

咲「お姉ちゃん?なんで泣いてるの…?」

照「良かったよぉ…本当に良かったよぉ…嬉しい…こんなに嬉しいのは生まれて初めてだよぉ…本当に…良かった…」

咲「お姉ちゃん…」ギュッ

照「うええええええええええええええええええええええん!!」

咲「…ありがとう、お姉ちゃん。…私のために泣いてくれて」

照「えええええええええええええええん!!えええええええええええん!!!ええええええええええええええええええええええええええええええん!!」


その後、イジメはぱったりと止んだ。例え傍に京太郎が居なくてもだ。要は切掛だったのだ
いじめっ子に怯えずに立ち向かう意志さえ見せれば、たった一握りの勇気さえ示せば、それだけで打ち勝てたのだ

その日から咲は少しづつ変わってゆく

京太郎を通じ、いつしか友人が出来た
その友人から紹介され、更に友人が出来た
そして遂には、咲は自分から友人を作ることにさえ、成功したのだ

泣いてばかりいた弱虫は、いつしかその名の通り、花の咲くような満面の笑顔を浮かべるようになっていた

まるで今までの分を取り戻すように、今、彼女の前には沢山の「楽しい事」ばかりが広がっている

そして

だから

だから

咲は、気付かない

気付かなかったのも、仕方ない

仕方ない

仕方ない

咲は、悪くない

悪く、ないんだ…


484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/07/20(金) 22:53:47.58 ID:/zj0VLnko

>咲「うん……………………きゅふふふふ…」

この笑い方はあかん
 

488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/20(金) 23:15:18.58 ID:iIxw/YeAo

数ヶ月後、咲はすっかりクラスに馴染み、家でも照に嬉しそうに友人の話をするのが日課になっていた
国語の点数で良い点を取った事、次から体育の授業がマラソンなので嫌な事、クラスで図書委員に立候補した所、満場一致で当選できた事、休み時間に友達としたおしゃべりの事…
嬉しかったことも、楽しかった事も、嫌な事でさえも、目をキラキラと輝かせながら、大好きな姉に語る咲

特に、『京ちゃん』の話題では、その目の輝きが一層増し、照には眩しいくらいだった

穏やかな気持で咲の話を聞き、相槌を打つ照


咲「それでね!それでねっ!京ちゃんったら…」

咲「その時、京ちゃんってば…」

咲「そうしたら京ちゃんが…」

咲「京ちゃんのお陰で…」


照「ふふ。咲は、本当に京ちゃんの事が大好きだね」

咲「んなっ!」ビクッ

照「ははは」

たまにからかってやると、ゆでダコのように顔を真っ赤に染める妹が愛しい

咲「…」

照「咲?」

咲「…私、将来は京ちゃんのお嫁さんに…」

照「そ、そう…か。あはは」

ガチ過ぎた

咲「そ、その…お姉ちゃん?あの、やっぱ、付き合う時って、やっぱり、その、わ、私から告白した方がいいのかな…」

照「…ねえ、咲」

咲「うん?」

『京ちゃん』

咲にとってのヒーロー

照「…須賀君の事、ちゃんと捕まえておかないと駄目だぞ」

咲「うん!!」

ならば、当然照にとってだって、ヒーローだ

照「そうだ。今度家に呼んだら良いよ。お姉ちゃんにも、須賀くんを紹介して欲しいな」

咲「もちろんだよ!!」

…最愛の妹を救ってくれたのだから

照「じゃあ、明日学校が終わったら連れておいで」

咲「えー!そ、そんなに急に!?こ、心の準備が…」

照「ふふ。そんなこと言ってていいの?」

咲「?」

照「なるべく早く彼氏にしちゃわないと、誰かに取られちゃうかも」

咲「っ!それは嫌!!」

照「でしょ?だったら、少しでも早く、沢山、仲良くならないと。…ね?」

咲「うん…」

照「大丈夫。咲は可愛いよ」

咲「…」

照「私が保証する。がんば」


 
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/20(金) 23:34:25.41 ID:iIxw/YeAo

咲「お姉ちゃん…」

照「…ね?」

咲「…ん。じゃあ、明日京ちゃんを連れてくる」

照「うん」

咲「けど、お願いがあるの、お姉ちゃん」

照「何?お姉ちゃんに出来る事なら、なんでも聞いてあげる」

咲「京ちゃんにお姉ちゃんを紹介したいから…明日は、早く帰ってきて」

照「…」

咲「最近、お姉ちゃんたまに遅いから…一応、お願い」

照「…」

咲「…大好きな人を、大好きなお姉ちゃんに紹介したいから。大好きなお姉ちゃんを、大好きな人に紹介したいから…だから、明日は早く帰ってきて欲しいの」

照「…」

咲「…駄目?」

照「…うん。わかった。なら、明日は急いで家に帰るよ」

咲「本当!?」

照「うん。…ふふ。大好きな妹の、大好きな人だもん。紹介してくれるのを楽しみにしてるよ」

咲「やったあ!ありがとう、お姉ちゃん。…私、頑張るね!」

照「うん。頑張れ、咲」

咲「…うう。けどなんか緊張してきた」

照「はは。大袈裟だよ」

咲「むうー!だってだって!」

照「咲」

咲「…どうしたの?お姉ちゃん」

照「…」

咲「?」

照「お姉ちゃんは、いつだって咲の味方だから」

咲「…ありがとう。けど、お姉ちゃん。私だって、いつだってお姉ちゃんの味方!」

照「…そう。ありがとう、咲」

咲「えへへ。あ、そうだ。あとね、お姉ちゃん。もう一個お願い」

照「ん?」

咲「今日、お姉ちゃんと一緒の布団で寝てもいい?」

照「…またか。中学生にもなって咲は甘えん坊だな」

咲「えへへ。だって、お姉ちゃんあったかいんだもん」

照「ふふ、仕方ないな。それじゃあ、一緒に寝ようか。お風呂に入って着替えておいで。私はその間に宿題を終わらせるから」

咲「うん!じゃあ、お風呂入ってくる!」

照「ああ、行ってらっしゃい」

照「…」


翌日、咲は約束通り京太郎を家に連れて来た

自慢の姉を紹介する、と言って

だがしかし、その日、午後6時に京太郎が家を出るまでに照が帰ってくる事は無かった


491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/21(土) 00:01:16.14 ID:5Znp/k5ko

翌日放課後
咲が京太郎を家に誘っているのと同時刻

照(授業、終わった…!!)

帰りの挨拶と共に、弾かれたように椅子から立ち上げる照

照(早く、帰らなきゃ。今日は咲が『京ちゃん』を連れて来るんだ!早く…!早く帰らなきゃ!!)

授業道具はホームルーム中にこっそりと鞄に詰め終わっていた。そそくさと教室の後ろ側のドアへと向かう

照(急げ…急げ…急げ…急げ!!)ガラッ

教室のドアを開ける。さあ、あとは廊下を一目散に駆けるだけ…

「はーいちょっと待った、宮永さん」

…肩を強く掴まれた

照「痛…」

「あ、ごめんごめーんねー。けど、そんなに急いで帰ることないじゃんさー」

「そうそう。私らとー遊んでこうよー」

「あんたの付き合いが悪いから、こうしてわざわざ無理矢理にでも遊びに誘ってやってるんだよ。喜べよ」

「いつもの遊び場に行こうか。屋上ね」

照「…離して」

「あ?」

照「…お願い。今日はどうしても大切な用事があるの。明日だったら付き合うから…お願いだから、今日は許して」

「ざけんなっつーの。アンタの都合なんて知ったこっちゃねーんだよ」

「今日は私らの機嫌が悪いの。そんだけだから」

「遊び道具が生意気な口聞いてんじゃねーぞ」

照「…」

「なに?その目」

「調子にのってるんじゃ…」

照「っ!!」バシッ

「うわっ?」

照「…!!」ダッ

「逃げた!!」

「このガキ…!捕まえろ!」

「こいつ!」ガシッ

照「きゃっ!離して!お願い!お願いだから!!」

「うっせー!おい!早く連れてくよ!」

照(なんで…)

「なんだよお前ら!こっち見んな!」

照(なんで、いつも誰も助けてくれないの…?)

照「いやっ!」

「うぜえ!」パンッ

照「…っ!」

「黙った?よーし、それじゃあ行っくよー」

「ったく。普段抵抗なんてしない癖に…おもちゃの分際で…」ブツブツ


497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/21(土) 00:22:20.87 ID:5Znp/k5ko

そう

少し前から、照はいじめられていた

運動は出来ないが、頭が良く、器量も優れ、人格者

そんな照が、友人達から距離を置き(実際には当時いじめられていた咲のために家に早く帰るようになっただけだが)、孤立した

あんなにムカツク女が一人ぼっちだ

なら、今の内にいじめてしまえ

そうして少しずつクラスの不良達にいじめられ始めた照は、徐々に友人達から本当に距離を取られ始め

今では、完全無欠のいじめられっ子

そして、いつしかその不良達の彼氏がカラーギャングだと言う噂が流れ始めた頃

照の味方は誰も居なくなっていた

まるで、いつかの妹のように

不良達にサンドバックにされながら、照は考える

照(ごめん、咲。お姉ちゃん、今日、間に合いそうにない…かも…)

髪を掴まれながら、考える

照(ごめんね。ごめんね。咲。お姉ちゃん、馬鹿だよね…昨日あんな事言っておいて…ごめんね…)

腹を殴られながら、考える

照(折角咲が勇気出してくれたのに、ごめんね。『京ちゃん』と、仲良く遊んでてね。お姉ちゃんのせいで気まずくなったり、しないでね…)

倒れ伏し蹲りながら、考える

照(…はは。ごめん…ごめんね。ごめんね。咲…お姉ちゃん、最悪だ)

背中を蹴られながら、考える

照(…お姉ちゃん、咲が…ちょっと、羨ましいって思っちゃった…)

考えるのは、絶望に潰れそうな自分を支える唯一の希望

大切な妹がくれた、不確かな希望

『いつか、誰かが私を助けてくれないかな』

『いじめっ子を追い払って、私をここから助けだしてくれる人が』

『泣いてる時に助けに来てくれて、困ってる時、ピンチの時に駆けつけてくれるゲームに出てくる騎士みたいな人』

『友達を作ってくれて、笑わせてくれて、勇気をくれる人が…」

『いつか、私にも『京ちゃん』が現れてくれないかな…』



522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/25(水) 01:57:20.88 ID:i39PO7izo

その日、照が家に帰り着いたのは、夜の8時を過ぎてからの事だった
結局、不良達が照への暴力に飽きて彼女を開放したのは、午後6時半を過ぎた後

不良達も心得たもので、面倒を避ける為に顔などの傍目に見える部分に痣を付けることはしないでくれていたが
鍛えていない照の身では、殴られたダメージが抜けて歩けるようになるまで、そしてその足で家まで帰り着くまでには、1時間強の時間を有したのだ

照「咲…咲…」

未だ痛みの引かない身体を引きずって、うわ言のように妹の名を呼び、帰宅する照

どういう訳か、日の落ちたこの時間にも関わらず、家の中は暗く、光が漏れてこない

照「二人とも、まだ帰って来てないのかな…」

最近帰りの遅い両親が、今日もまだ帰宅していないのだろうかと考える

照「…けど、咲は今日、『京ちゃん』を家に連れて来てるから家に居るはずだし…」

ズキン。頭に鈍い痛みが走る。思考が上手く回らない。まあいいや。早く家に帰って、ゆっくり休もう。ズキン。ああ、お腹も痛い。思いっきりパンチされたし…

照「…畜生、あいつらめ…」

不良達のニヤニヤとした厭らしい笑いが頭から離れない。ズキン。鈍い痛みが増してきてイライラする
ああ、なんてどうしようもない奴なんだ私は。咲との約束を破っておいて、こんな怖い顔をして家に帰るつもりか
こんな、こんな…ああ、マズい。駄目だ。お腹が痛い。頭が回らない。イライラする。ズキン。痛い。腹が立つ。痛い。痛い。痛い。ズキン…

ガチャッ

扉が開く。痛い。マズい。咲だ。急げ。平気な顔を作れ。ズキン。ああ痛い…痛い…疲れた…痛い…

照「…」

咲「あ、お姉ちゃん…」

照「…咲」

咲「…おかえり」

照「…ごめんね。遅刻しちゃった」

咲「…」

照「きょ、『京ちゃん』は、連れて来れた…の?」

咲「…うん。もう帰ったけど」

照「そっか…」

咲「…うん」

照「そっか…うん。そっか……」

咲「…ねえ、お姉ちゃん」

照「うん?」

咲「…どうして遅れたの?」

ズキン



照「…」

咲「…」

照「…」

咲「…」

沈黙が痛い。重い。息苦しい。この沈黙は、咲が怒っている証だ。こうなった咲はしつこい。なんとか誤魔化さなきゃ。それに、今日の結果も知りたいし

照「それは…」

咲「それは?」

照「…」

咲「なんでそこで黙るの?」


523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/25(水) 01:58:52.44 ID:i39PO7izo

照「えっと…」

ああ、けどマズいなこれは。頭とお腹が痛くて、思考が全然まとまらない。咲に真実を知られるのだけは避けたいし…

照「その…」

咲「なにさ」

けど、どうやって言い訳しよう。咲は人の気持ちには鋭い子だ。下手なこと言ったらすぐに感づかれちゃうよ。こんな事なら帰る前に言い訳を用意しておくんだった

照「あの…」

咲「言えないような事なの?」

照「いや、そういう訳じゃないんだけど…」

咲「なら早く教えてよ…!!」

ああ、マズい。マズい。咲が苛ついてるよ。ごめんね咲。だけどお姉ちゃんも今結構いっぱいいっぱいなの。早く横になって痛いのを回復させなきゃ…

咲「なんで黙ってるの!!」

ああ、咲がなにか言ってるよ。怒ってる。当然だよ、私が悪いんだから。ごめん咲。ごめんね、咲。駄目なお姉ちゃんでごめんね。本当にごめんね

咲「お姉ちゃん!!」

いじめられるのって、こんなに辛いんだね。痛いんだね。ごめんね、咲。お姉ちゃんが悪かったよ。あの時、咲がいじめられていた時、私は強引にでも咲を助けるべきだったんだ

咲「…お姉ちゃん?」

私が助けてあげるべきだったんだ。あの時、咲がいじめられてるって知った時、その瞬間にでも、いじめっ子の家にでも殴りこんで、取っ組み合いしてでも、咲をいじめから救うべきだったんだ

咲「お姉ちゃん!」

だって、こんなにも、こんなにも、いじめは辛いものだったんだから。痛いものだったんだから。咲の立場を思いやってる風に見せかけて、結局私は自分が可愛いだけだったんだ
最愛の妹を見殺しにして、『京ちゃん』が現れなきゃ、咲は未だにいじめられてて、私は友達と仲良くやってて、それで、それで…

……………そ れ で 私 は

咲「お姉ちゃん!!!」

ドサリ


目が覚めた時、照は自室のベッドに眠っていた
傍には泣きじゃくる咲の姿。…取り敢えず、気付いたことを知らせようと声をかける

照「…咲」

咲「お姉ちゃん!?気付いた!良かった!」

照「…私、は…」

咲「心配したんだよ!?いきなり倒れたから…大丈夫?」

照「ん…あいたたた…」

起き上がろうとして身体に痛みが走る。起き上がるのを断念して、もう一度横になる
…と、そこである事に気付く

照「…寝間着になってる。咲が着替えさせてくれたの?」

咲「…うん。汗が凄かったから」

照「…」

咲「…」


524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/25(水) 01:59:54.73 ID:i39PO7izo

照「…って、言う事は…」

咲「…うん」

照「…」

咲「…」

照「あの、さk…」

咲「…あの、お姉ちゃん、その…み、見ちゃった…んだけど…」

照「…」

咲「…」

照「…」

咲「…お、お腹とか…青くなってて…」

照「…」

咲「す、すり傷とかも、いっぱい有って…」

照「…咲」

咲「そ、その…み、見覚えって言うか、その…経験が有る痣って言うか…」

照「…」

咲「…お姉ちゃん、いじめられてるの?」

照「…」

咲「なんとか言ってよ!」

照「咲」

咲「なんで!?いつから!?あんなに友達がいっぱいいたお姉ちゃんが!なんでいじめられてるの!!?」

照「咲!」

咲「わけわかんないよ!私みたいに友達の居なかった子ならまだわかるとして、お姉ちゃんはクラスの中心だったじゃない!ちょっと前までは友達だっていっぱい連れて来てて!!」

照「咲!」

咲「そういえば、お姉ちゃんが友達連れて来なくなったの、私がいじめられてるのをお姉ちゃんが知ってからだよね!?ずっと気になってたの!もしかして、私がいじめられてたのに関係してるんじゃ…」

照「咲!!!!」

咲「っ!!」ビクッ

照「…関係ないよ。それは」

咲「…嘘」

照「本当」

咲「嘘だよ!!だったらなんで目を伏せたの!?お姉ちゃんの嘘を吐く時の癖…」

照「咲、質問に答えて」

咲「…っ」

照「…お父さんとお母さんには、連絡した?」

咲「…うん。した。二人ともすぐ帰るって」

照「なんて言って?」

咲「えっと…お、お姉ちゃんがいきなり倒れたって…」

照「そう。なら、咲。口裏を合わせるんだよ。私は貧血で倒れたの。いい?いじめの事なんて絶対言っちゃ駄目」

咲「で、でも…」

照「咲だってわかってるでしょ?今、お父さんとお母さんは凄く難しい状態にあるの。二人に余計な心配をかけちゃ駄目」

咲「け、けど、お姉ちゃん、その痣けっこう酷いよ…?私の時なんかと比べ物にならない位酷い怪我。最近たまに帰ってくるのが遅いのって、もしかしていじめにあってたからなんじゃ…」


525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/25(水) 02:00:42.97 ID:i39PO7izo

照「…咲は賢い子だね。そのくらい賢いなら、わかるでしょ?今二人に私がいじめにあってるなんて知られたら、また喧嘩になっちゃう」

咲「けど!!」

照「…最悪、二人が離婚しちゃうかもしれないんだよ!!!!」

咲「…え?」

照「…」

咲「…り、りこ…ん…?」

照「…っ」

咲「り、離婚って…な、なにそれ…なんでお姉ちゃんがそんな事…」

照「…まだ決まったことじゃないけどさ。…二人が、離婚の話ししてるの、この間聞いちゃった」

咲「そ、そんな…」

照「…ねえ、咲。今私がいじめられてるなんて知られちゃったらさ。…私をいじめから遠ざけるとかそんな口実にされて、二人が別居なんて事にも…」

咲「そ、それ…は…」

照「…それは嫌でしょう?」

咲「い、嫌だよ!そんな…そんな事…」

照「じゃあ、やる事は一つしかないんだ」

咲「…」

照「…ね?」

咲「お姉ちゃん、大丈夫なの…?」

照「大丈夫だよ。今までは咲の言ってたように、私は人気者だったんだ。こんないじめ、一過性の物だよ。そうだ。はしかみたいなものだよ」

咲「…」

照「それより、京ちゃんとは、どうだったの?」

咲「へっ!?」

照「ふふ。うちで二人きりだったんでしょ?なんか素敵な事なかったの?」

咲「な、なんにもなかったよ!いきなり何言ってるのお姉ちゃん!」

照「ははは。何だ残念。咲、なら、もう一回連れておいでよ。今度はいじめにあってじゃなくて、普通にすっぽかしてあげるから」

咲「へ?」

照「二人っきりのチャンスはあんまりないかもよ?」

咲「~~~~~~~~!!」ボッ

照「あはは。顔真っ赤だ」

咲「もう!お姉ちゃんのいじわる!もう知らないんだから!!」

照「ごめんごめん。…さ、それじゃあ、咲もそろそろ寝る準備しておいで。お母さんたち帰ってきたら、私から説明はしておくから」

咲「…」

照「咲」

咲「…うん。わかった」

照「いい子だ」

咲「…」

照「心配しないの」

咲「…」

照「…ね?」


526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/25(水) 02:01:12.80 ID:i39PO7izo

咲「…うん。わかった」

照「ん。じゃあ、おやすみ。咲」

咲「…」

咲「…おやすみ。お姉ちゃん」タタタタタ

照「…」

照「…ふう」

照「…」

照「…ごめんね。咲」


こうして、日常は守られた。それは子供たちが家族の離散の危機を防いだ事を意味し、同時に照の受難の日々が続く事も意味する
いじめは続く。受難は続く。万人に悪者をやっつけてくれる都合の良いヒーローが駆けつけてくれるなんてお伽話は無い

『京ちゃん』は現れない

照はいじめられ続ける

いじめは次第にエスカレートし、照は、次第に精神を病み始める。イライラすることが増え、性格も捻くれ始めて来る

やり場の無い怒りが彼女自身を飲み込み始め、次第に周囲への態度が変わり始める

自分の生まれた土地が憎い。周囲の人間が憎い。今の内に精々喜んでおけ。いつか必ず見返してやる、この田舎者共め…

そんなある日、照は遂に出会うのだ

彼女にとっての救いの神に

ヒーローに

彼女だけの、『京ちゃん』に


550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/29(日) 03:34:56.34 ID:0eMm+Hk+o

それは、ある秋の放課後の出来事だった

この日、照は教室の掃除当番で、いつものように誰とも会話する事無く、黙々と掃除を終わらせてすぐ、そっと消えるように教室を出た

今日は不良達は昼から何処かに遊びに行ったのか姿を見せず、照にとって久しぶりの恐怖を伴わない幸運な数時間を味わえた。無事に一日を終えられた事にほっと一息を吐く

とは言え、既にこの教室には彼女が友人と思える人間は居ない

自分を不良達からのスケープゴートにして青春を謳歌する同年代の人間達を心の底で呪いながら、帰宅の準備を早々に済まし教室を後にする

掃除で遅れた分、早く帰りたい。この腹立たしい同年代共の顔を見ずに住む場所へ。唯一の味方が居る場所へ

一刻も早く、帰りたい

そう考え、近道をしようと大通りの公園を通り抜けようと考えたのが悪かった

「おっ。宮永じゃん」

「本当だ」

照「っ!?」

照は知らなかった。その公園が最近、不良達の溜まり場になっていた事を

「馬鹿な奴だねぇ。うちらがこの辺で遊んでんの、知らなかったんだ」

「いじめて欲しくて来たじゃないの?いじめられ過ぎてドMに目覚めたとか」

「けけけけ!きもっ!」

照「……」スッ

「おい、どこ行くんだよ」

「無視しないでくれますぅ~?宮永さん」

ニヤニヤと不快な笑みを浮かべ、照を四方から囲む4人の不良達。随分と手馴れている。大方こうやって弱そうな獲物を囲ってカツアゲでもしていたのだろう

照「…どいて」

「ああ?」

「何言ってんのコイツ」

イライラが爆発し、勢い余って強い口調が出てしまう。言った瞬間にしまったと思った

「何偉そうな口利いちゃってる訳?」

「学校外だから殴られないとでも思ってんの?」

「調子のんなよ」グイッ

照「あっ…!」

案の定、すぐに実力行使が来た。4人の内一人が、徐ろに照の髪を引っ張ったのだ。慣れた痛みだが、思わず細い悲鳴が出てしまう。…悔しい

「ノコノコいじめられに来やがって。丁度いいや。金よこせよ。恵まれない子供達に愛の募金ってやつ」

照「やだ…!」

「この雑魚が!反抗してるんじゃねぇよ!」グンッ

照「あぐっ!?」

髪の毛を掴んだまま振り回される。プチプチと何本か髪が抜ける音と、激痛が走る

そこが限界だった。今日は久しぶりにいじめられない筈だったのに。早く帰って咲とゆっくりお話する筈だったのに
自分の情けなさに腹が立つと同時に、遅ればせながら目の前の4人に対する怒りが鎌首をもたげてきた

照(なんで私が、こんな底辺みたいな屑共らにいいようにいじめられなきゃいけないんだ…!!)

照「やめてよっ!!」バシッ

「うわっ!?」

「こいつ!!」

照「も、もうやめてよ!!どっか行ってよ!!なんで私をいじめるの!!!他の人でもいいじゃない!!!」


551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/29(日) 03:35:55.68 ID:0eMm+Hk+o

「うるせえ!お前がムカツクからいじめるんだよ!!」

「理由なんかあるか!!」

照「いい加減にしてよ!!!」

何を言っているのかよくわからなかった。口から出るのは、今まで腹の底に溜まっていた黒く卑屈な感情。憎悪。自分でも驚くぐらい醜い言葉が次々に飛び出す

照「ムカツクって言うなら、他のクラスの奴らだってムカツク奴らいっぱい居るでしょ!?私なんてもう貴方達に逆らったりもしてないよ!?他の人をいじめてよ!!」

「はぁ?何言ってんだコイツ」

照「どんなに殴られても、いじめられても!今まで私、貴方達にそんな気に触るほど反抗したことあった!?敵対したことあった!?」

照「お金だってそんなに持ってないし!いじめる意味無いじゃない!!」

照「お金欲しいならもっとお金持ってる子にたかってよ!ストレス解消したいなら、もっとなんの取り柄もないような弱い子いじめてよ!!」

照「私『達』ばっかり狙わないでよ!!」

「うっぜ。何だコイツ」

「顔面行っとく?」

「いいね。やろやろ。最近コイツ殴られてもスカした顔する様になってきたから、生意気だったんだよね。いきなりキレられてマジムカツクし」

照「っ!!」

照(なんで…!どうして…!どうして私達ばっかり、こんな目にあうの!?私ばっかり不幸な目に会うの!?なんで!?どうして!!?)

「おい、宮永」

照「な、なに…?」

「どうしてお前をいじめてるか教えてやろうか」

照「…」

「お前が『お前』だからだよ。特に理由なんて無いの。強いて言うなら、浮いてるからかな?誰からも距離があるから、いじめやすいんだよ」

照「…っ!!」

「ねーねー。後で彼氏に連絡しようか?何人か飢えてるの連れてきて、ハメ撮っちゃおうよ。高く売れるかも」

「おっ。いいねー」

照「ひっ!?」

「さ、そんじゃやりますかー」

照「い、いや…」

照「来ないで…」

照「誰か…」

照「助けて…」

金髪「何してんの?」


552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/29(日) 03:36:56.98 ID:0eMm+Hk+o

照「…えっ?」

「…ああ?なんだこの金髪」

金髪「いや、お姉さんたち何してんのって」

「すっこんでろよチビ。格好付けてナイト気取りか?お姫様よりちいせー奴がなにしてもダッセーし、そんなんしてもモテねーんだよキメーな」

金髪「いや、そんなつもりじゃねーし」

「見てわかんないのかよ、アタシら今、カツアゲやってんだよ。わかったらとっととどっか行けよガキ」

金髪「いや、カツアゲにしてはちょっとバイオレンス感多くねえっすか?」

「ふざけたガキだな。お前からも毟ってやろうか?」

「ナマ言ってんじゃねーぞ?アタシの彼氏はカラギャンやってんだぞ。テメーなんか速攻ボコられるからな」

金髪「…」

「何黙ってんだよ」

金髪「早くどっか行けよ。俺はこの子に用が有るんだよ」

「ああ!?」

金髪「怒るぞ」

「ふざけんなよ。今から彼氏呼ぶわ。ボコって貰うから覚悟しろよ」

金髪「いいのっかなー」

「なんだよ」

金髪「俺は『あの』佐藤さんに可愛がって貰ってるんだぜ」

「!?」

「さ、佐藤さん…!?」

「『あの』佐藤さんって、もしかして『あの』福西組の佐藤さんの事…か?」

「あ、『あの』狂犬で有名な佐藤さんか…」

「や、やべえな…」

金髪「そうそう。その佐藤さんに可愛がって貰ってる俺が、どこの誰だか知らねーがお前らの彼氏?にやられたって言ったらよ。お前、そのカラギャンごと潰されるかもよ」

「くっ…」

金髪「ほら、今ならまだ無かった事にしてやるから。早くどっか行け馬鹿野郎」

「…くそっ!行くぞ!」ダッ

「あ、待ってよ!!」ダッ

照「…」

金髪「…行ったか」

照「…」ポカーン

金髪「…ふう」

照「あの…」

金髪「…佐藤・鈴木・田中はどこにでも居る…」ボソッ

照「…はぁ?」

金髪「ふへぇ…流石にビビったぁ!福田組ってなんだよ。あれか、爽やかヤクザか。マジビビったわー。退いてくんなかったらどうしようかと思ったよ」

金髪「女とは言え、俺より年上だし4人だしなぁ…」ブルブル

照「君…」

金髪「あ、すみませんねお姉さん。本当はもっと格好良い助け方したかったんですけど、4人相手はちょっと…」

照「…どうして私を助けてくれれたの?」


553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/07/29(日) 03:37:24.78 ID:0eMm+Hk+o

金髪「へ?ん~…なんでって…」

照「…」

金髪「…なんとなく?」

照「…」ズルッ

金髪「…」

金髪「…うん、なんとなくだ。なんとなく…」

京太郎「…なんとなく、お姉さんが知り合いに似てたもんだから……」


それが、照と、『照の京ちゃん』との出会いだった


587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/03(金) 23:20:37.51 ID:1AlMYZ1/o

照「…」

呆気にとられ固まる照に、声をかける京太郎。心配そうな様子の中にも、少しだけ得意気な表情が見え隠れしており、それが幼い感じがして、照は可愛いらしいと思う

京太郎「…ところで、うわ。お姉さん、大丈夫?怪我してない?」

照「…」

京太郎「ああ、ほら。ちょっとそこのベンチに行って座ろうか。消毒液と絆創膏が鞄の中に入ってるから、怪我してたら言ってくれたら使っていいから」

照「…」

京太郎「ほら、な?歩ける?」

照「…うん」コクン

京太郎「そっか。よし、それじゃあ行こう。な?」

照「…」

京太郎「…」

照「…」

京太郎「…どうかした?」

照「…やっぱりあるけない」

京太郎「…そうっすか」

腰が抜けていた

照「…」

京太郎「…参ったな」

照「…」

京太郎「…ほら。手貸すから、ゆっくりで良いから歩こう?な?…ここに居たら、目立ってしょうがない」

照「…うん」

京太郎「ん」スッ

照「…」スッ

京太郎「よし、それじゃあゆっくり歩くよ?」

照「…」コクン

スタ スタ スタ

京太郎「…」

照「…」

照「…初めてだ」ボソッ

京太郎「…ん?なんか言った?」

照「…ううん。なんでもない」

京太郎「…そっか」

照「…うん」

照「…初めて男の子に手、握られちゃったなって」

京太郎「って!なんでもなくねーじゃんか!」ズサッ

照「…ふふ」

京太郎「え、ちょ、お、おれ、その、そんなつもりじゃなくって!その!」ワタワタ

照「冗談だよ。もう一人で歩けるから。…ありがとう」

京太郎「…うう。なんか、いきなり気恥ずかしくなってきちまったじゃんよー…」ブツブツ

照「…ありがとうね」


588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/03(金) 23:23:40.49 ID:1AlMYZ1/o

京太郎「…」

照「…初めて、誰かに助けて貰ったなって…」

京太郎「…そっか」

照「…」

京太郎「…ん。ベンチ、着いた。お姉さん、座る。傷見せる」

照「なんでカタコト?」クスッ

京太郎「…」プイッ

照「…照れてるの?」クスッ

京太郎「むっ。…って、俺、一応恩人ですよね?お姉さんの」

照「はは。ごめんごめん」

京太郎「…ったく。これだから年上は苦手なんだよ…」ブツブツ

照「そういう君は、一年生?」

京太郎「そうっすよ。はい、傷無いか見せて下さい」

照「今日は大丈夫だよ。髪の毛掴まれただけだし」

京太郎「…『今日は』?」

照「あっ…」

京太郎「…」

照「…」

京太郎「…今日だけじゃないのか」

照「…」

京太郎「…いじめられっ子ってやつ?」

照「…」

京太郎「…そっか」

照「…」

京太郎「…あの、俺…」

照「あっ!!」

京太郎「うおっ!?」ビクッ

照「お、おもいだした!今日ははやく家にかえらないといけない用事があったんだった!」

京太郎「棒読み…」

照「というわけで、ごめんね!わたしはこれで帰るから!」

京太郎「あ、ちょっと…」

照「本当にごめん!それじゃあバイバイ!!」ダッ

京太郎「ちょっと!お姉さん!?おーーーーーーーーーーーい!!」

照「~~~~~~~~っ!!」タッタッタッタ

京太郎「…」

照は逃げた

その金髪の少年との会話を打ち切って、逃げてしまった


589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/03(金) 23:31:42.07 ID:1AlMYZ1/o

照「何故そうしちゃったんだろうね」

淡「…」

照「彼が、会って間もない自分の問題に、深くまで踏み込もうとした気配を察したからかな」

照「正直に話しても、どうせいじめられっ子な自分を馬鹿にされるのがオチだと思ったのかも?」

照「ううん。違う。きっと、幻想を抱きたかったから」

照「この世には、私の悩みなんて何の問題でもない風に振る舞って、どんな困難からでもあっさりと私を救ってくれるヒーローが存在するんだって、そんな都合の良い幻想を信じていたかったんだ」

照「いじめから守ってくれて、孤独から救ってくれて、友達を作ってくれて、一緒に笑い合ってくれる。そんなヒーローが居ると信じていたかった」

照「私さえ拒絶しなかったら、そんな救いは有るんだって、私にも『京ちゃん』が出来る可能性はあったんだって、未だに信じていられるからって」

照「今思えば、結局彼の事を信じていなかったんだろうなって思う。どうせ気まぐれで私を助けてくれただけなんだって…その時は、まだ」

照「けど、私はその瞬間、同時に浮かれてもいたんだ。まるで全ての悪い事が、この瞬間に解決されたんだって勘違いしたってくらいに」

照「家に帰った時、私は満面の笑顔だったらしい。妹が、お姉ちゃん、どうしたの?って聞いてきてさ」

照「クスクス笑う妹を不思議に思った私が逆に尋ねたら、お姉ちゃんなんだか嬉しそう!…って、あの子まで嬉しそうに笑ってて」

照「笑顔の理由は教えてあげなかったけどね。まだこの記憶を独り占めしていたかったんだ。思えばこれがまたややこしい事になった原因かもしれないんだけど」

照「…けど、その日は。その日だけは本当に嬉しくて、久しぶりに二人で笑い転げまわったよ」

照「…本当に楽しかった」

照「しかも次の日、珍しい事にいじめっ子達は私を無視したんだ。…そうだな。訂正しよう。私と咲が楽しく過ごせた期間は、もう少し長かった。数日ほどかな。相変わらず友達は居なかったけどね」

照「そうだ。数日ほどいじめは無かった。私はホッとしたよ。あれがきっかけで、遂にいじめが無くなったんじゃないかと」

照「…けど、そうじゃなかった。いじめが再開したのは、彼に出会ってから4日後の事だ」

照「どうやら、いじめっ子達は彼が私の味方であるのかを探っていたらしい。行きがかりに助けられただけの関係だというなら怖くないとばかりに、数日間の分を取り戻すようにいじめられたよ」

照「この頃から、痣になる暴力が増えだした」

照「私は耐えたよ。もしかしたらあの時彼と話をしていたらいじめから開放されたんじゃないかって、何度も自分を呪った。けど、その度に自分に言い聞かせた」

照「いじめっ子達の彼氏が本当にカラーギャングなら、彼を巻き込むわけにはいかなかっただろ?って。私がいじめられて済むなら、それで良かっただろ?って」

照「ふふ。自分を誤魔化す言い訳ばかり上手くなっていたよ」

淡「…」

菫「…」

照「…そして、それから更に事が起こったのは、数日後の放課後だ。私は一時期のように授業が終わると同時に教室から一目散に逃げ出すのが日課だった」

照「この頃のアイツらは蛇みたいだったよ。今までは学校の外まで逃げ切れば私の勝ちだったけど、学校の外まで追いかけてくるようになったんだ」

照「勝率は…5分5分ってところかな。アイツらは明らかに楽しんでいた。鬼ごっこのつもりだったんじゃないかな。捕まったら適当な所に引き釣りこまれてボッコボコ」

照「この日は駅までの途中で捕まって、前回の時の公園に引きずり込まれたんだ」

照「…殴られながら彼がまた助けに来てくれないかって、うっすら思ったけどね。そうそう都合は良くなかったよ」

照「随分盛り上がっちゃったらしくて、ボロ雑巾みたいにされて。アイツらの気が済んで立ち去った後、私はもう立ち上がる気力も無かった」

照「このまま夜までここで寝てたら、危険だってのは気付いてたんだけどね。もうどうにでもなれって思って、そのまま意識を落としちゃった」

照「…目を覚ました時、私は真っ暗な公園のベンチで横になっていた。傍にはあの時の少年が座ってた。…その時の気持ちは…なんていうか、言葉では言い表せない感じだったな」

照「…複雑だったけど、いじめっ子達に対する感謝の言葉すら、脳裏を過ぎったよ」


590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/03(金) 23:38:01.31 ID:1AlMYZ1/o

全身に鈍い痛みを感じ、照は意識を覚醒させる。傍に誰かの気配を感じるが、嫌な感じはしない。むしろ、優しい気配に守られているようで、安心する

照「…ん」

京太郎「…あ」

照「いたた…あ、あれ?私…」

辺りを見回すと、ここはさっきの公園のようだ。但し、自分がいじめられていた場所とは少し離れている
横になっているのに視線が高い事と、背中の硬い感触で、自分がベンチの上で横になっていることに気付いた

京太郎「お姉さん、大丈夫?」

照「君は…」

隣の気配の正体にも気付く。…この間の彼だ。ゆっくりと身を起こし、彼の顔を見る。今にも泣きそうな、心配そうな顔だ

京太郎「そうですよ。この間の奴です。お姉さん、またアイツらにやられたんですか?」

照「ぐ…」ズキッ

そうだった。私はまたアイツらにやられたんだ。さっきまでの殴る蹴るの暴行を思い出し、身体が痛みを思い出す
その様子に、心配そうだった彼の表情が険しさを増す。怒気を孕んだ彼の形相に、思わず照の身が縮こまる

京太郎「ひっでぇ怪我だ…。この間の比じゃねぇ。幾らなんでもやり過ぎだろうが…!!」

照「…」

京太郎「なあ、今までずっとこんないじめされてたのか!?」

照「…うん」

京太郎「なんで黙ってるんだよ!」

照「…」

京太郎「先生だったり!友達だったり!相談してみろよ!!」

照「…嫌だ」

京太郎「はぁああ!?」

照「…みんな、信用出来ないもの」

京太郎「何ふざけたこと言ってんだよ」

京太郎「黙ってたらやられっぱないに決まってるだろうが!!なんで誰にも頼らないでほっといてんだよ!こんなボロボロにされといて、いい加減洒落で済まねーだろうが!!」

照「嫌だ…!いじめっ子も嫌いだけど、あんな奴らも信用出来ない!!」

京太郎「どうしてだよ!!」

照「どうしてもだよ!!!」

京太郎「…」


591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/03(金) 23:46:49.17 ID:1AlMYZ1/o

彼の激しい口調には情緒不安定になった照の神経を逆なでし、応える照の口調も荒くなる。溜まりに溜まったイライラが、遂に発散場所を求めて噴出する
かつての友達連中にも、先生にもぶつけられなかった怒り。いじめっ子には怖くて口をつむぎ、不仲の両親には遠慮して、咲には隠すしかなかった泣き言を、行きずりの少年にぶつける

…自分でもわかっていた。これはただの八つ当たりだ。彼は何も悪くないのに。むしろ助けてくれた側なのに。手を差し伸べようとすらしてくれたのに

照「今まで、何回だって相談した!妹の時に何度もしたよ!!けど、先生たちはずっと黙ったまんまだった!助けてくれなかった!!」

照「私の友達だってそう!今までずっと仲良くしてたのに、私がいじめられてるの知ってて、それでも黙ったまんま!いじめられてるの見ても、見て見ぬ振り!!」

照「そんな人達の事、どうやって信じればいいの!?」

京太郎「…」

照「逃げても逃げても追ってくるいじめっ子達、それを見て目を逸らす友達だった人!先生達は妹がいじめられてた時、私が掛けあってもなんにもしてくれなかった!」

照「どうせみんな私達の事なんてどうでもいいんだ!自分の事が可愛くて、怖い人には逆らえなくて、面倒な事には関わりたくない!人間なんてそんなもんなんだ!他人なんて信じられるもんか!」

照「君だってあの時、最初からアイツらがカラーギャングの関係者だって知ってたら、助けてくれた!?」

照「本当は女の子ばっかりだったから、自分でもなんとかなるって、そんな程度の軽い気持ちで助けただけじゃないの!?」

照「さっき、今までの比じゃない怪我って言ったよね!?そうだよ!君がつまんない正義感で下手に手助けしてくれたばっかりに!こんなにもいじめがエスカレートしたんだよ!?」

照「君のせいだ!!君のせいで私はこんなにいじめられてるんだ!!」

照「どうせ下手に希望を抱かせるくらいなら、気まぐれに助けないでくれれば良かったよ!中途半端に助けないでよ!!いい迷惑だよっ!!」

京太郎「…」

照「…はぁ…はぁ…っ!!」

京太郎「…」

照「…なんとか言ってみなよ!」

京太郎「…わかったよ」

照「…?」

京太郎「…アンタ、ガキだな」

照「…ガ、キ…?」

京太郎「うん。ガキ」

照「は?何言ってるの?君。君こそまだ1年生でしょ?私3年生だよ?そっちがガキじゃない。それにチビだし」

京太郎「身長は確かにまだアンタよりは低いけど…っていやいや。何だよその言い草。それにまるで俺が悪いみたいな」

照「だって、本当にあの後いじめが酷くなったし…」

京太郎「それに、この間だってなんか言い訳していきなり逃げたのそっちだ」

照「…うぐ」

京太郎「ありがとうも言わないで、さ。助けてもらってアレはないだろ」

照「…」

京太郎「ガキー」

照「うるさいチビ」

京太郎「…恩知らず」

照「恩着せがましいよ」

京太郎「ひねくれ者」

照「マセガキ」

京太郎「…はぁ」

照「…」

京太郎「…あ゙ーーーーー…」

照「…」

京太郎「…アンタ、名前は?」


592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/03(金) 23:50:14.99 ID:1AlMYZ1/o

照「…」

京太郎「…おーなーまーえー。なんて言うんですかー」

照「…先にそっちが名乗るのが礼儀だよ。子供はそんな事もわからないの?」

京太郎「子供だからわかりませーん。それに、子供だからいーやーでーすー」

照「…」

京太郎「…」

照「じゃあ私も名乗らない」プイッ

京太郎「あ、そ」プイッ

照「…」

京太郎「…」

照「…」

京太郎「…」

照「…照だよ」ボソッ

京太郎「…ん?」

照「…なんでもない」

京太郎「あっそ」

照「ん」

京太郎「…」

照「…」

京太郎「…」

照「…」

京太郎「…そっか」

照「ん?」

京太郎「照って名前なのか」

照「…っ!」

京太郎「なるほどねー。照ってのかー。ふーん。で、名字は?」

照「て、『照』!?」

京太郎「ん?どうした?照」

照「こ、コラ!君!」

京太郎「んー?」

照「な、なに!?その呼び方!」

京太郎「ん?何って、何が?」

照「わ、私は年上だよ!?呼び捨てにしないでよ!ちゃんと敬意を払って!」

京太郎「つっても、いじめられっ子相手に敬意払えって言われてもなー」ツーン

照「この…!」イライラ

京太郎「ま、どうしてもって言うなら?わかったよ。それじゃあこう呼ぶことにするわ。てーる『ちゃん』」

照「はぁああああ!?」


593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/03(金) 23:57:45.27 ID:1AlMYZ1/o

京太郎「ん?どうした?照ちゃん」

照「ちゃん!?ちゃんって何!?もうっ!もうっ!もうっ!!」

京太郎「うん。ぴったりだわ。照ちゃんって。ガキっぽいし」

照「むぅうううううううう!!」

京太郎「あはは。むくれてやんの。可愛いぞ?照ちーゃん」

照「か、かわ…」

京太郎「照ちゃん可愛い」

照「あああああああああああああ!」

京太郎「照ちゃん可愛い」

照「こらっ!馬鹿にして!」

京太郎「照ちゃん可愛い」

照「ああっ!こら!こら!こら!!君っ!もう!こらっ!」

京太郎「あはははは。おもしれーなー照ちゃんって」

照「ああもおおおおおおおおお!馬鹿ぁあああああああ!!」

京太郎「で、照ちゃんの名字はなんてーの?」

照「だ、誰が教えるもんか!」

京太郎「あ?なんでだよ照ちゃん」

照「ま、まだ照ちゃんって…!…じゃなくって!君の方こそ名前教えてくれてないじゃない!」

京太郎「だーかーら。名字教えてくれたら俺の方も教えてやるよ照ちゃん」

照「んもー!またぁあああ!」

京太郎「あはははは!」

照「うううう…」

京太郎「…で、名字」

照「…教えません」プイッ

京太郎「えー?なんでだよ」

照「どうしてもです」プイーーッ

京太郎「だったら、俺も名前おしえませーん」

照「…」

京太郎「…」

照「いじわる」

京太郎「いじわるです。ガキなので」

照「…本当にガキだ」

京太郎「名字は?」

照「教えるもんか」

京太郎「ガキー」

照「クソガキ」

京太郎「貧乳」

照「うるさい馬鹿」

京太郎「馬鹿です。ガキなので」

照「…」


594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 00:03:31.92 ID:4anUqhDwo

照「…じゃあ、君の事なんて呼べばいいの?」

京太郎「んー?そうだなー。それじゃあ、ア・ナ・タ(はーと)とか」

照「発想がおっさん臭いよ」

京太郎「…」

照「…ふんっ」

京太郎「…じゃあ、通称きょ「本名じゃないなら、やっぱり言わないでいい」」

京太郎「…ん?」

照「…君がちゃんとした自分のフルネーム言うまで、『君』って呼ぶから」

京太郎「…」

照「わかった?『君』」

京太郎「…強情すなぁ」

照「そっちこそ。自分の本名言うだけだよ?」

京太郎「照ちゃんが名字言ったら教えるけど」

照「やだ」

京太郎「年上の余裕見せてもいいんじゃない?」

照「年長者に敬意を払ってよ」

京太郎「だかーらー…って…」

照「…?」

京太郎「…照ちゃん」

照「…なに?」

京太郎「…へへ。やっと笑顔になったな」

照「…え?」

京太郎「顔、笑ってる」

照「…」ペタペタ

照「…」

京太郎「…俺さ。照ちゃんよりチビだし、ガキだし、大したこと出来るかはわかんないけどさ」

京太郎「けど、あの時からいじめが酷くなったていうなら、確かに俺にも責任あるだろうしさ」

京太郎「それに折角友達になれたんだし、それなら俺は照ちゃんの事助けたいよ。なんか手を貸せることあったら、なんだって言ってくれよ」

京太郎「…力になりたいんだ」

照「…」

京太郎「…照ちゃん?」

照「…とも…だち…?」

京太郎「ああ。…友達だよな?」

照「友達…」

照「…友達」

照「…友達?」

京太郎「え。もしかして嫌っすか」

照「…」

照「…ううん。嬉しい」

京太郎「…ほっ」


595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 00:12:38.49 ID:4anUqhDwo

京太郎「それじゃあ、明日っから放課後は一緒に遊ぼうぜ?この公園でさ」

照「え…け、けど、この公園は…」

京太郎「アイツらの溜まり場だってか?だからいいんじゃん。この間は俺にビビって撤退したんだし、俺らがきまぐれで助けた関係じゃなくて仲良しだって知ったら、きっとアイツらも手出さなくなるって」

照「そう…かな」

京太郎「そうそう!」

照「けど…怖いよ?」

京太郎「怖いけど」

照「アイツ等女の子だけど、沢山居るよ?喧嘩になったら君一人で勝てる?」

京太郎「いざとなったら照ちゃん手伝ってよ」

照「えー…」

京太郎「『えー』じゃ無しに!いじめっ子との喧嘩は、相手にめんどくさい奴って思わせたら勝ちなんだから」

照「けど、殴られたら痛いよ?」

京太郎「今と何違うんだよ」

照「…」

京太郎「…」

照「…ああ」ポン

京太郎「…」

照「確かに」

京太郎「…照ちゃんって、見た目と違って天然なんだな」

照「…?」

京太郎「…まあいいや」

照「はあ」

京太郎「あとは、あいつ等のバックにカラーギャング?が居るんだって?」

照「…うん。そいつ等が来たらどうする?」

京太郎「…まあ、そいつ等が来たら任せろよ」

照「…大丈夫?」

京太郎「…ん。まあ、一応考えはある」

照「おおー」

京太郎「…」

照「…ねえ」

京太郎「…ん?」

照「…頼っても、いい?」

京太郎「…」

照「……いい?」

京太郎「ああ。任せろって!」

照「…うん。じゃあ」

照「頼っちゃう」


596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 00:21:16.43 ID:4anUqhDwo

翌日の放課後、照は必死に走って公園まで辿り着く。そこには、タバコを吸って缶ビールの缶を足元に転がした彼の姿。少し幻滅する
それでも兎に角いじめっ子から逃れたい一心で彼に話しかける。居心地の悪い気分でつまらない雑談を続けていると、しばらくして後をつけていた筈のいじめっ子達の気配が消えた
頃合いを見て、京太郎が呟く

京太郎「…連中、行ったっぽい?」

照「…うん」

京太郎「ま、ざっとこんなもんってな」

照「…けど、びっくりした。君、タバコ吸うんだ。それに、お酒も…」

京太郎「ん?あー。これ?ははは。これはさ」

照「…」

京太郎「本当は吸わないんだけど、さ。ダチに貰ってきたんだ。まっずいわコレ。あと、空き缶はそこのゴミ箱から漁ったやつね」

照「…」

京太郎「ふふん。どーよ?対いじめっ子への威嚇用ってやつ?不良っぽさの演出とも言うかな」

照「…ぷっ」

京太郎「ふふ。どうだい?悪っぽいだろう。くくくく…」

照「あはははは!」

京太郎「あははははは!」

照「あはははは!バカみたい!」

京太郎「へ?」

照「だ、だって!不良っぽく見せるための小道具にタバコとお酒って!」

京太郎「あれ…へ、変だった?」

照「変って言うか…発想が子供っぽいよ!」

京太郎「…」

照「あはははは!可愛いなぁ、君は!子供っぽくて!あはははは!」

京太郎「…くすん」

照「あははははははは!」


再びいじめっ子から開放された照。けれど、照は連日、放課後になる度に急いで教室を飛び出す
原因はいじめっ子では無く、友達。クラスに馴染む気はもう無かった。彼女にとって唯一の友達に会うために今日も照は教室を飛び出す。そして益々クラスから浮く

けど、どうでも良かった。楽しい日々は続く。胸には、未だに名前を教えてくれない意地悪な少年への確かな友情と、微かな恋心

絶対に私が名字を教える前に、向こうに名乗らせてやる。そんな子供っぽい感情を示す事が出来る相手は、今の照には彼しか居なかった

何をするでもなく、二人公園で会話を続ける日々

いじめの事も、クラスからの孤立も、両親の不仲も忘れて、夕方まで一緒に笑い合う

歯車が狂った事に照は気付かない

いつ狂い始めたのかも分からない

いや、もうとっくに狂っていたのだろう。ずっとずっと前に

けど、それが明らかになったのは、それからしばらくして

季節は巡り、秋

その頃、照は進学する高校に迷っていた


597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 00:24:45.83 ID:4anUqhDwo

10月27日

京太郎「へっくし!…ふー。寒いなー。今日は」

照「そうだね。もうすっかり秋だ。そしてもうすぐしたら冬」

京太郎「げっ。思い出させるなよ。雪積もったら嫌だなぁ」

照「地面が凍ったら嫌だね。私、毎年転んじゃうんだ」

京太郎「あー。俺も俺も。去年なんて、折角一度も転ばずに雪解け迎えれそうだってのに、何にもないトコで後ろからダチに突き飛ばされて完全試合達成ならずだったんだぜ」

照「ふふ。それは残念」

京太郎「それにしても…冬が終わったら、俺も2年生かー。そして照ちゃんは進学だ」

照「え?」

京太郎「どこに行くの?」

照「そ、それは…」

京太郎「うん」

照「…」

照(…なんて答えよう。未だに迷ってるんだよね。風越女子に進学して麻雀部をやってみたい気もするし、近い清澄でもいいかなと思ってるし…あとは…)

照「えっと…」

京太郎「…もしかしてまだ迷ってる?」

照「…うん」

京太郎「早く決めちゃえよ」

照「わかってるけど…」

京太郎「…照ちゃんが進学したら、流石にもうこうして会うのは難しくなるのかな」

照「…」

京太郎「…それまでに名字教えてくれていいんだぜ?」

照「き、君こそ、随分と強情だな!そろそろ名前教えてよ」

京太郎「えー?だから言ってるだろ?照ちゃんが名字教えてくれたらって」

照「私の台詞だよ!」

京太郎「ちぇー」

照「…もうっ!」

京太郎「…へへ。ま、そうだなぁ。そしたら、照ちゃんの進学校名でもいいかな」

照「…え?」

京太郎「照ちゃんが進む高校決めて、それ教えてくれたら俺の名前教えてあげる」

照「…」

京太郎「もし照ちゃんが遠くの高校に行く事になって何処に進むかわからなかったら、このままじゃ連絡の取りようも無くなっちゃうだろ?」

照「…うん」

京太郎「だから、さ。流石に進学と同時にハイサヨナラじゃ、寂しいしさ」

照「…」

京太郎「…へ、偏差値近かったら、同じ高校目指すかも…」ボソッ

照「…え?」

京太郎「…」プイッ

照「ねえ、君、今なんて…」

京太郎「な、なんでもねー!」


598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 00:27:01.93 ID:4anUqhDwo

照「…そっか」

京太郎「そ、そう!」

照「…じゃあ、さ。受験受かったら教えてあげるよ」

京太郎「っ!」

照「けど、受かってからだからね。言っておいてそこ落ちたら格好わるいし」

京太郎「わ、分かった!絶対だぞ!」

照「…うん」

京太郎「頑張れよ!応援してるからな、照ちゃん!」

照「うん。ありがとう。それじゃあ、今日はちょっと大事な用事有るから、私はもう帰るね」

京太郎「あ…そういえば今日はなんかあるって言ってたっけ。駅まで送ってこうか?」

照「大丈夫だよ。最近はいじめっ子達も大人しいし」

京太郎「…本当に?」

照「うん。ありがとう。それに、買い物もしたいし」

京太郎「んー。まあ、照ちゃんがそう言うなら…」

照「それじゃあ、私は帰るね。バイバイ」

京太郎「ん。じゃーなー」


599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 00:32:39.96 ID:4anUqhDwo

照「…さて、と」

照「…」

照「…あは」

照「…偏差値が近かったら、私と同じ高校を目指すかもっ…か。あはは」

照「…うん。決めた」

照「進学校は、清澄にしよう」

照「風越と違って共学だし、近いし、学力はそこそこ。麻雀部は無いけれど、そんなのどうだっていい」

照「2年したら、もしかしたら、あの子と一緒の高校に通えるんだ」

照「こんなに楽しみな事は無いよ」

照「ああ、楽しみだな。あの子と同じ校舎に通えるんだよ?あの子の先輩になれるんだよ?」

照「素敵だな…とても素敵だ」

照「…おっといけない。早くお店に予約していた玩具を取りに行かないと」

照「今日は咲の誕生日だもんね」

照「最近あんまり元気が無かったよな。最近あんまり話を聞いてあげてなかったけど、京ちゃんと喧嘩でもしたのかな?」

照「最近は私も放課後帰るのが遅くて、いっぱい構ってあげられてないから。今日こそは盛大に祝ってあげなくちゃ…」

照「早く玩具を受け取って、急いで帰って、パーティーの準備を手伝わなきゃ」

照「今日は早めに帰ってくるように伝えておいてあるし、急いで準備しなきゃ」

照「ふふふふふ…」


600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 00:34:42.76 ID:4anUqhDwo

京太郎「…行っちゃった、か」

京太郎「…はぁ。俺ってば情けない」

京太郎「さっさと名前くらい教えればいいのに」

京太郎「そしたら照ちゃんももっと打ち解けて心許してくれるだろうになぁ…」

京太郎「そ、そんでもって…こ、告白も…」

京太郎「…しっかし、今更切欠も無しにこっちから名前告げるのもアレだったてのはわかるけど、なんだよ進学校決まったら教えるって」

京太郎「つまりそれまで名前伝えれないって事じゃん」

京太郎「名前も知られてないのに告るわけにいかないし…」

京太郎「…先延ばしかよカッコ悪い。臆病もんだわ俺…はぁ」

京太郎「…帰ろう」

京太郎「おお、そういえば、こんな早くに帰るの久しぶりかも。最近は放課後照ちゃんとダベってばっかだったしなー」

京太郎「…ダチとの付き合いも蔑ろにしちゃいかんよな。うん。アイツら、俺が年上の女の人と会ってるって知ってから俺に冷たいんだよなー」

京太郎「…しゃーない。咲に説得と橋渡し頼むか。アイツら、咲の言う事はちゃんと聞くし」

京太郎「…そう言えば、咲とも最近、放課後遊んで無かったなー」

京太郎「…って」

京太郎「…」

京太郎「…」

京太郎「…コンニチワ」

「コンニチワ」

「おい、なんだ?このガキ。お前、知ってんのか?」

「結構前に話した事あったんだけど、覚えてない?私らのイジメ対象庇った生意気なガキの話」

「ああ。コイツが」

「もーアイツなんかどーでも良かったんだけどさ。偶然会っちゃったんなら仕方ないよね」

「なになに?どうすんの?コイツ」

「折角だしやっちゃってよ。喧嘩、得意なんでしょ?」

「一捻りだな」

「そういえば、佐藤さんの件、嘘だったんでしょ?ムカつくし、またいじめ再開しようかな」

京太郎「あ、ヤバいこれ…」

京太郎「…」

京太郎(…はぁ。仕方ない。奥の手、使いますか)

京太郎(これだけは使いたくなかったんだけどなー…)


601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 00:36:28.51 ID:4anUqhDwo

咲「…」テクテク

咲「…今日は誕生日、か」

咲「…はぁ」

咲「結局、京ちゃんは今日も放課後すぐにどっかに行っちゃった」

咲「ここしばらく、ずっとだよ。確かに友達は他にもいっぱい出来たけど…私は、京ちゃんと1番遊びたい…」

咲「…寂しいなぁ。誕生日だっていうのに、寂しいよ…」

咲「…京ちゃん」

咲「…」

咲「…ん?なんだろう、救急車…?」

咲「公園のほうだ。何かあったのかな?ちょっと見に行ってみよう」


602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 00:38:52.27 ID:4anUqhDwo

宮永家

照「…咲、遅いな。まったく。どこほっつき歩いてるんだか」

照「…でもまあ、昔は考えられなかったことだよね。友達と放課後遊ぶようになったって事だし、京ちゃんには、感謝しなきゃだ」

照「でも、今日くらいは早く帰ってきて欲しいだけどな。咲の誕生日だし」

照「…あ。でも、もしかしたら京ちゃんにお祝いしてもらってるのかも?それなら遅くなるのもしかたないのかも」

ジリリリリ

照「…ん?電話だ」

照「はい、宮永ですが」

照「ああ、咲か。どうしたの?え?今病院?」

照「ちょっと、落ち着いて話して。何があったの?うん、うん」

照「え?京ちゃんが喧嘩で怪我した?」

照「…だから落ち着いて、咲。大丈夫。大丈夫だから。うん。今お姉ちゃんも行くね。うん。それじゃあ待ってて。すぐ行くから。うん」

照「大丈夫だよ、咲。泣かないで。お姉ちゃんがついてるから」

照「うん。うん。それじゃあ、今から行くから、待ってて」

照「…」プツッ

照「…」

照「…咲、待っててね。すぐ行くからっ!」


608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 02:22:15.84 ID:4anUqhDwo

病室

咲「ヒック!…ヒッ!ヒック!!」

京太郎「…」

咲「うえええ…えええええ…えええええ…」

京太郎「…」

咲「京ちゃん…京ちゃん…京ちゃああああん…うえええええええ…」

京太郎「…ん」

咲「!!」

京太郎「…あれ、俺…」パチッ

咲「京ちゃん!!」

京太郎「…あ?…ここ…どこ…」

咲「京ちゃん!ここ、病院だよ!京ちゃん、悪い人に殴られて…」

京太郎「あー…頭痛てえ…くっそ」ボー…

咲「京ちゃん!京ちゃん!!」

京太郎「…あれ。照ちゃん」

咲「…」

咲「…え?」

京太郎「…?なんで俺の名前…?言ったっけか?」

咲「え?」

京太郎「…あはは。そんな泣くなよ照ちゃん。ひっで~顔してるぜ…いたたた」

咲「…京…ちゃん?」

京太郎「悪い、嘘。まだ目がまともに動いてないわ。頭打ったからかな。グラグラしてるんだ。気持ち悪い」

咲「京ちゃん…」

京太郎「ぐう…悪い、ちょっと目閉じるな。本格的に気持ち悪い。ああ、そうです。俺、京ちゃん…ははは。なんだか、アイツに言われてるみたいで変な感じだなぁ」

咲「ねえ…京ちゃん?何のこと?それに照ちゃんって…」

京太郎「…ほら、前にも話した事あんじゃん。俺の幼馴染の子でさ。ドン臭い奴がいるんだーって。宮永咲って言うんだけど、照ちゃんにそっくりでさ」

京太郎「…初めて会った時も、最初一瞬アイツがいじめられてるのかって思っちまったくらいなんだぜ。まあ、アイツはチンチクリンだけど。…はは。これナイショな」

咲「…京ちゃん」

京太郎「…ああ、ごめんごめん。会った事も無い奴の事言われてもどうしようもねーよな」

咲「…」

京太郎「あ~…しっかし、どっかのタイミングで名前言っちゃったっけなー。くっそぉ。ごめんなさい。覚えてねーや…」

咲「…」

京太郎「くっそ。畜生。格好悪いなぁ。なんかモヤモヤするし、改めて自己紹介させてくれないか?照ちゃん」

京太郎「…俺、須賀京太郎って言います…ヨロ…シ…ク…」

咲「…」

京太郎「……ごめん。ちょっと眠いから、寝るわ」

咲「…」

京太郎「…すう…すう…」

咲「…」

咲「…」


609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県) [sage]:2012/08/04(土) 02:24:58.58 ID:Kb55b6xy0

これはアカンで京ちゃん・・・


610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 02:25:08.08 ID:4anUqhDwo

咲「…」

咲「…」

咲「…」

咲「…」

ガチャッ

照「…咲?病院の人にこの部屋だって聞いたんだけど…」

照「…って」

照「この子は…!!」

咲「…」

照「…咲?」

咲「…やっぱり」

咲「…知ってるんだ」

照「…咲」

咲「…ねえ、お姉ちゃん。お姉ちゃん、この子の事、知ってるんだ」

照「…」

咲「ねえ、お姉ちゃん。答えてよ。知ってるんでしょう?」

照「…」

咲「当然だよね。だって、さっきこの子、私の顔見て、『照ちゃん』って言ってたもん」

照「…っ!」

咲「ねえ、お姉ちゃん。ねえ。ねえ、答えてよ。なんでさっきから黙ってるの?ねえ」

咲「ねえ、知ってるんでしょう?お姉ちゃん、『京ちゃん』の事」

照「…この子が」

照「…『京ちゃん』だったのか」

咲「っ!!ふざけないでよ!!!」

照「咲」

咲「なにそれ!?なんなのそれ!!?ふざけてるの!?馬鹿にしてるの!!?ねえ!!」

照「咲、落ち着いて」

咲「落ち着け!?落ち着けって何さ!!この状況でどうして落ち着いていられるの!!!」

照「咲、京ちゃんが起きちゃう」

咲「うるさいっっっっ!!!!!」

照「…」

咲「ねえお姉ちゃん!お姉ちゃん!!なんで私がこんなに怒ってると思う!?ねえ!?お姉ちゃん!!」

照「…」


咲「お姉ちゃんが私にナイショで京ちゃんに会ってたからだと思う!?最近お姉ちゃんが私にあまり構ってくれてなくなってた原因がそれだったからだと思う!?京ちゃんと知り合ってたのを私に黙ってたからだと思う!?」

咲「違うよ!!全部違う!!そんな事よりも、もっと酷いよ!!そんな事全部どうだって良くなるくらい酷い!!!」

咲「京ちゃんがなんで怪我したと思う!?私聞いちゃったよ!最初に救急車を呼んでくれた人が、一部始終見てたって!!」

咲「京ちゃん、不良の人に散々に暴行受けてたって!!殴られながら、蹴られながら!!必死に土下座してたって!!なんでだと思う!?原因はお姉ちゃんだよ!!」

咲「お姉ちゃん、前にいじめてた人の彼氏がカラーギャングだって、話してくれたことあったよね!?その人だよ!!きっとその人に、復讐されたんだ!!」

咲「京ちゃん、言ってたらしいよ!!いくら殴ってくれてもいいから、これで手打ちにしてくれって!!この通りです、この通りですって!!頭地面に叩きつけながら必死に叫んでたって!!!」

咲「何もかも全部お姉ちゃんのせいじゃない!!!」


611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 02:26:13.49 ID:4anUqhDwo

照「そ…そんな…」

咲「お姉ちゃんのせいだよ!!!お姉ちゃんのせいで京ちゃんがこんな目に合ったんだ!!!」

咲「いじめられてるからって!!京ちゃんに助けを求めたから!!!」

咲「お姉ちゃんなんかが…お姉ちゃんなんかが京ちゃんに近づくからいけなかったんだ!!!」

照「…」

咲「出てって!!!」

照「……さい」

咲「出てってよ!!!」

照「……さ…」

咲「今すぐここから出てけ!!!!」

照「五月蝿い!!!!!」

パンッ

咲「……」

照「さっきから黙ってたら…なにさ…!!」

照「咲は、私の気持ちなんか知らないんだ」

咲「…」

照「すぐに京ちゃんに会えて、仲良くなって。すぐにいじめも無くなって。友達だって出来て、学校で嫌なこと有ったって帰ったら私に泣きつけばいいんだ」

咲「…」

照「咲ばっかりズルい!私には京ちゃんと一緒に居る権利すら無いって言うの!?一生いじめられてろっていうの!!?そんなの不公平だ!!!」

咲「っ!!よく言うよ!私にずっと黙って京ちゃんと密会してたくせに!しかも自分の素性も隠して!?私の姉だって事も説明しなかったの!?」

照「だから、私はこの子のことを京ちゃんだって知らなかった!!」

咲「信じられるわけ無いじゃない!!!」

照「っ!!」

咲「ねえ…」

咲「…それとも、私のお姉ちゃんだって、知られるのが嫌だったの…?」

照「…」

照「…ああ。そうだよ」

咲「…」

照「お前なんかの姉じゃなければ良かった…」

照「お前なんか、妹じゃない!!!」

咲「~~~~~っ!!!」

咲「っ!!帰る!!!」ダッ

照「あ…」

バタンッ!!!

照「…」

照「…あ」

照「…ああ」

照「…ああああ」

照「ああああああああ!!」

照「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 02:26:53.73 ID:4anUqhDwo

数時間後
照は、まだ病室に居た
先ほどの姉妹喧嘩の騒ぎを聞きつけて遅れ馳せながらにやってきた看護婦に叱られて、追い打ちのように意気を消沈させた照は、項垂れたまま備え付けの椅子に座り続ける

途中、京太郎の両親がやってきた。眠っている息子の顔を見て、ほっと一息吐く彼の両親に、申し訳ない気持ちでいっぱいになり、涙が零れた

挨拶もそこそこに、医者と話をしに行くので出来れば様子を見ていて欲しいと頼まれた照は、また所在無さげに椅子の上で京太郎の顔を見る

布団の上からでもわかるのは、包帯でぐるぐる巻きにした額だけだ

他にどんな怪我があるのだろう、後遺症は残らないだろうか、と心配でまた涙が溢れる

両親が戻って来た

肋が数本折れていたらしい。他にも打撲、内出血などは無数にあるが、後遺症になりそうな怪我は無し。ただし何週間かは入院することになるらしい

説明を受けて、次に照が咲から聞いた事情を話した。彼らは黙って聞いていた。途中何度も嗚咽が止まらなくなり、辿々しくもなんとか説明を終えた頃、今度は京太郎が目を覚ました

京太郎本人から、照の話とは全く違う、彼が絡まれた喧嘩に乗ったという話を聞いた彼の家族は、子供達に何も言及する事無く、今は入院に必要な道具を取りに家に戻っている

照は、動けない

固まったまま椅子に座り、じっと俯いたまま、何も話せない

照は泣いていた

声もなく、泣いていた

しばしの逡巡の後、京太郎は意を決したように、照に話しかける


613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 02:56:52.14 ID:4anUqhDwo

京太郎「…なあ、照ちゃん」

照「…」

京太郎「…照ちゃん」

照「…」

京太郎「…泣かないで。照ちゃん」

照「…無理、だよ…」

京太郎「…」

照「…全部、聞いたよ。なんで、逃げなかったの?なんで、そこまでしてくれたの?なんで、お父さんたちに、嘘の原因、教えたの?」

照「…なんで。なんで、なんで私を助けてくれるの?そこまでして」

照「なんで私なんかのために。なんで私なんかのために。なんで、どうして…」

照「なんで…なんで…なんで…?なんで?なんでそんなに優しいの?」

京太郎「…俺もさ。実は、昔いじめられっ子だったんだ」

照「…え」

京太郎「…ずっと前な。小学校低学年とかそんくらい。ちょっと体弱くってさ。まあ、照ちゃんみたいにひでーもんじゃなかったけどね」

照「…」

京太郎「…で、その後急に身体丈夫になって。割とヤンチャな友達も増えて…はは。その後、どうなったと思う?」

照「…わかんない」

京太郎「…いじめっ子になった」

照「…」

京太郎「…嘘だと思う?」

照「…」

京太郎「そう。マジ話ね、これ。…話すの、照ちゃんが初めてなんだぜ?」

照「…そう」

京太郎「何考えてたんだかね。あの頃は」

照「…」

京太郎「…ああ。本当、何考えてるんだかなぁ俺。こんな話して、照ちゃんに嫌われそうだって思っちゃった。当たり前だ。いじめから助けてようとした友達は、実はいじめっ子でしたってか。ああ、俺の馬鹿」

照「…」

京太郎「…ごめんな。けど、なんかどうしても話したくなっちまって」

照「…」

京太郎「…懺悔でもしてるつもりなのか俺は」

京太郎「…ああ。本当、馬鹿…」

京太郎「…馬鹿…馬鹿…馬鹿野郎…」

照「…本当だよ」

京太郎「…だよなー…」

照「うん」

京太郎「…」

照「…そんなので、私は『京ちゃん』を嫌いにならないよ」

京太郎「…」

照「…そりゃあ、びっくりしたけどね」

京太郎「…」


614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 03:09:32.15 ID:4anUqhDwo

京太郎「…いじめられて、いじめて、いじめて、いじめて…で、ある日いきなり気付いたんだよな。『あ、俺コイツの事別にいじめたくていじめてるわけじゃねーわ』って」

京太郎「…ノリでやってたんだよ。いじめられてる間は一体どんな深い理由があって!とか、色々原因考えたりもしたけど、やる立場になって分かった。…いや、全員が全員ってわけじゃないのかもしれないけど、さ」

京太郎「…気付いて、駄目になった。もうそいつの事いじめられなくなった」

京太郎「同時に、今までいじめてきた奴らの事を振り返って怖くなった。俺はコイツらに一体どれだけの嫌な想いをさせて来たんだろうって」

京太郎「…その後は、いじめは止めろ!!って立ち上がれれば最善だったんだろうけどな。すぐには無理。いじめるふりして庇うとか、蹴散らすふりして本当にいじめられるの回避させる、とかその程度しか出来なかった」

京太郎「…ダチもみんな俺と大して変わんなかったよ。中学上がって、ちょっと大人になったら、いじめグループは自然消滅。リア充グループもどきの誕生だ」

京太郎「…糞だったよ。いじめ過ぎて壊れそうになって、転校しちまった子も居た」

京太郎「…本当、いじめ、格好悪い、だ」

照「…それで、助けてくれたの?」

京太郎「…」

照「…今までいじめてた人達の分、いじめを無くそうって。いじめられっ子を助けようって」

京太郎「…どうなんだろうね。それでも結局、俺は今までいじめてきた奴らにとっては、ずっといじめっ子だ」

照「…」

京太郎「許してくれなんていえねーよ。俺だって昔俺をいじめてた奴らは、未だに許せない」

照「…」

京太郎「自分勝手だろ?」

照「…」

京太郎「…幻滅した?」

照「…それでも」

照「…私にとって、京ちゃんは、ヒーローだった」

京太郎「…」

照「…私が会った京ちゃんは、いじめられっ子でもいじめっ子でも無くて、私を助けてくれるヒーローだったから」

京太郎「…」

照「だから、もし京ちゃんが今までの事を悪かったと思って、私の私を助けてくれた事を誇りに思えるのなら」

照「…京ちゃんは、今までにいじめて来た子達に恨まれながら、私みたいに困ってる人達を助けていけばいいんじゃないかな」

京太郎「…」

照「そうしてる内に、もしかしたら、君にいじめられて来た子達の中でも、今の君を知って許してくれる、なんて事があるかもしれない」

京太郎「…俺」

照「…期待しちゃ駄目だよ。私はあのいじめっ子達が今後改心したって、簡単に許してあげれる自信は無いから」

京太郎「…ああ」

照「…でも、君が望むなら」

照「私は、君と一緒に、その子達に謝ってあげる」

京太郎「…照…ちゃん…」

照「…薬、効いてきたのかな?眠そうだよ」

京太郎「…る…ちゃ…」

照「今日はもう、おやすみ。…また来るから」

京太郎「まっ……て…俺…たえ…い…と……」

照「…ばいばい」

京太郎「…る…ゃ…」

バタン


615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 03:32:53.55 ID:4anUqhDwo

淡「…」

照「…と、言って別れたものの、その後私が京ちゃんに会う事は何年も無かったんだ」

誠子「どうして?」

照「咲が…妹が私と彼が会うのを良しとしなかったんだ。何度かこっそり病室に行こうとしても、常にアイツが病室に居たし、彼の退院後は彼にベッタリになった」

照「…私は、アイツに責められるのが怖かった。京ちゃんが怪我したのは、紛れもなく私のせいだったから。だから、文句も言わなかった」

照「…いや。それも実は言い訳で、京ちゃんに会うのが怖かったのかも知れない。その証拠に、公園に行くのを避けるようになった」

照「ついでに、進学校を白糸台に変えた。…まあ、これは私達姉妹の喧嘩が原因で元から危うかった両親の関係に亀裂が入って、別居が決まったって言うのも大きな原因ではあるんだけど」

照「次第に私もアイツとは険悪な関係になっていってね。妹とは、こっちに来るまでずっと険悪なままだったよ」

照「…だから、アイツが突然一人で東京に来た時は、驚いた」

照「『今までごめん』って、謝られたんだ」

照「京ちゃんが、妹にもさっきと同じ話をしたらしいんだ。話すのは2人目だったらしい」

照「それがアイツに心境の変化を与えたそうだ」

照「…けど、今度は私の方が苛立ってしまって。京ちゃんが傍に居るからって余裕ぶってるのかこの野郎って」

照「まるで、完全に妹に京ちゃんを取られてしまったような気になってしまったんだ」

照「…昔話はこんなとこかな」

淡「そんな話があったんだ…」

菫「なるほどね。そんなこんなで変な性格の歪み方はしたが、なんとかグレずに済んだ、と」

照「…」

菫「…ふう。少し疲れたな。照。それで、それが最近の挙動不審にどう繋がってるかだが」

照「ああ、それは…」

菫「長い話は却下だ。三行で話せ」

淡「エエエエエエエエエエエエ!!?」

菫「うるさいなぁ。何を驚いてるんだ淡は」

淡「いや、だって!さっきまでの話聞いて!ええ!?」

尭深「」カチカチ

淡「何スマフォ弄ってるんですか渋谷せんぱああああああああああああああああああい!!?」

誠子「それでさー。うん。うん。だから頼むよー。そっちだって悪い話じゃ…」

淡「いつの間に電話してるんですか亦野せんぱああああああああああああああああああい!!」

照「…」

淡「ああ!ほら!!宮永先輩黙りこくっちゃって…」

照「京ちゃんに会いに行った」

照「告られた」

照「テンパッて逃げた」

淡「本当に纏めちゃった!!」

菫「馬鹿だろお前」

淡「ひっでええええええええええええええええええええええええええ!!!」

照「…」ショボン

菫「…はぁ」

淡「ちょっと!!この人でなしども!!」

菫「なんださっきから五月蝿い淡。その人でなしてのは私達の事か」


616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 03:53:32.23 ID:4anUqhDwo

淡「あったりまえです!!」

照「…」

淡「あのですねえ!この鬼畜ども!折角宮永先輩が勇気出してこんなヘヴィなはなししてくれたのに、なんですかこの態度!畜生ですか!」

菫「って言われてもなぁ…いや、馬鹿だろ。なんだこの救いようのない青臭いコミュ障の昔話は。私なら恥ずかしくて墓の下まで持っていく」

淡「っきいいいいいいいいいいいいい!!」

菫「五月蝿いなぁ…」

淡「あああああああああああ!!」

菫「誠子」

誠子「アイアイサー」キュッ

淡「ゴフッ」

菫「もういいぞ。少しは血の気は収まったか?」

淡「血の気が引きました」

菫「よし。…で、誰に頼んだんだ」

誠子「ああ。最近内に良く取材に来る記者に」

淡「…は?」

誠子「スクープやるからって言ったら、今すぐ車で来ると」

淡「へ?」

菫「よし。尭深。清澄までの地図は」

尭深「バッチ」グー

菫「ん。それじゃあ、車来るまでに各自準備しておくように」

淡「…へ?」

菫「…照」

照「…」

菫「照!!」

照「」ビクッ

菫「お前も準備しろ。急げよ。これから清澄へ行くから」

照「…え」

菫「話は分かった。お前の凹んでる理由も分かった。ついでに解決法も分かった。だから解決に行く」

照「ちょ…」

菫「拒否権は無いぞ。今までお前には3年間散々振り回されてきたんだ。最後の最後で渾身の力で振り回してやる」

照「ま…」

菫「要は、お前がその『京ちゃん』に想いを伝え返せば全部解決なんだろう?簡単じゃ無いか」

照「ば、馬鹿言うな!そんな簡単な話しじゃ…」

菫「簡単ですぅー。お前が勝手にややこしくしてるだけじゃないか。テンパッて逃げてなければ今頃ハッピーエンドだろ?浮かれたお前を私がぶん殴ってそれで終わってたはずだろ?なんでこんな面倒な事にしてくれてるんだ。ふざけやがって」

照「む、無茶苦茶…」

菫「無茶苦茶なのはお前だ。『京ちゃん』の身になれ馬鹿。想い人に一世一代の懺悔したと思ったらいつの間にか蒸発されて、数年後に奇跡的に出会って思い切って大告白したら逃げられて…可哀想過ぎて泣きそうになったわ。アホか」

淡「言われてみれば…」

照「うぐ…」

菫「しかも、お前の話だと妹もその子が好きなんじゃないのか?よく今まで無事だったと思うよ。運の良さだ・け・は!流石だと言っておいてやる。馬鹿」

淡「確かに奇跡ですよね」


617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 04:08:28.59 ID:4anUqhDwo

照「おふ…」

誠子「先輩。車が来たみたいです」

菫「よし。それじゃあ行くか」

尭深「これ、カーナビです」スッ

菫「ありがとう。借りておくよ」

照「…」

菫「照」

照「はい」

菫「さっきの反論は」

照「ありません」

菫「ん。じゃあ行くぞ」

照「はい」

泡(あの宮永先輩が子羊のようだ…)

菫「じゃあ、誠子。尭深。明日の部活は任せた。私と照はサボりだ」

誠子「了解」

淡「…」

菫「…淡」

淡「は、はい!!」

菫「……お前も来るか?」

淡「…」

照「あの…菫。一応私がメイン…」

淡「…お願いします。私も連れて行って下さい。弘世先輩」

照「淡まで…」

菫「…ふ。いいだろう」

照「…」

菫「行くぞ。こんなのは、要は行動なんだ。さっさと行ってさっさと済ませるに限る。だろう?照」

照「はい」

誠子「今から行けば、最短で明日の日の出前くらいまでには長野に到達するでしょう」

菫「よし。わかった。なら、現地に着いたら即効連絡して呼び出せ。連絡先は勿論知ってるんだよな?」

照「さっき聞いたけど…日の出前に連絡って常識的にどうなの」

菫「お前が言うな」

淡「ばっさりだ…」

菫「さて…それでは諸君。…行くぞ!!」

照「…はい」

淡「…はい」


618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/04(土) 04:12:59.76 ID:4anUqhDwo

数時間前
長野→清澄の在来線の中

京太郎「…くー…くー…」

咲「…」

優希「…なあ、咲ちゃん」

咲「…なに?優希ちゃん」

優希「…私は、早く告白しちゃった方がいいと思うじぇ」

咲「え…」

優希「…ん。なんでもない」

咲「それってどういう…」

優希「まだ清澄まで時間あるよな?私は寝るじょ」

咲「あ…」

優希「おやすみ」

咲「…」

優希「…すー…すー…」

咲「…」

咲「…私…」

咲「私は…」

咲「…」

ガタン…ガタン…ガタン…


630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/04(土) 22:03:19.43 ID:igEXLOpGo

清澄駅ホーム

優希「さて…それじゃあ、私はさっさと帰るじょ。じゃあな、お前ら」

京太郎「…ん。おう…」

咲「うん…」

優希「…はぁ」

優希「じゃーーーあーーーなーーー!!」

京太郎「うおっ!?」ビクッ

咲「きゃっ!?」ビクッ

優希「ったく…な~に二人してテンション下げてるんだか」

咲「…」

京太郎「わ、悪い悪い…ああ、じゃあな。また明日…」

優希「…京太郎。もしかして」

京太郎「?」

優希「…ん。なんでもないじょ」

京太郎「?」

優希「咲ちゃん」

咲「…うん。また明日。ばいばい」

優希「…ん」

咲「…」

優希「…京太郎」

京太郎「なんだよ」

優希「もう暗いし、咲ちゃん一人で帰らすの、心配だじょ。お前、送ってってやれ」

咲「はっ…!?」

京太郎「…分かった」

優希「うっし!」

京太郎「お前はどうすんだよ」

優希「私のような強者はお前ごときの見送りは不要よ」

京太郎「なんだよそりゃ」

優希「ふっふっふ。…じゃあ、任せたじょ」

京太郎「…」

咲「ゆ、優希ちゃん…」

優希「咲ちゃん」

咲「…なに?」

優希「…」

咲「…」

優希「にひっ」

咲「あ…」

優希「じゃあね~~~~」タッタッタッタッタッ

咲「優希…ちゃん…」


631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/04(土) 22:13:09.19 ID:igEXLOpGo

京太郎「…」

咲「…」

京太郎「…」

咲「あ、あの…京ちゃ…」

京太郎「行こうぜ。咲」

咲「…うん」

京太郎「…」スタスタ

咲「…」スタスタ

京太郎「…」スタスタ

咲「…」スタスタ

京太郎「…」

咲(…沈黙が、重い。京ちゃんと二人っきりで歩いて、家まで送って貰って…本来は凄く嬉しいはずなのに、居心地が悪いよ)

京太郎「…」

咲(…さっき電車の中で優希ちゃんに言われた言葉が頭に響いてるから?)

咲(…早く告白した方が良いって…そんな、いきなり言われても、私は…どうすれば)

京太郎「…」

咲(それに、京ちゃん、さっきから元気が無い)

咲(ううん。正確には、さっき長野駅のホームでトイレに行ってから。あれから帰ってきた時、京ちゃん、目に見えて落ち込んでた)

咲「…」

京太郎「…咲」

咲(何かあったの?京ちゃん。電車の発車時間ギリギリに帰ってきて、電車に乗ったと思ったらすぐにふて寝みたいに眠っちゃって…ちょっと怖かったよ)

咲「…」

京太郎「咲?」

咲「あ…う、うん。なに?」

京太郎「お前んち、どっちだったっけって」

咲「え?」

京太郎「いや、お前んち行くの久しぶりだったから。ちょっと記憶曖昧で」

咲「あ、それは…」

咲「…あれ?」

咲「…わかんない」

京太郎「…お前に聞いた俺が馬鹿だった」

咲「むっ…」

京太郎「しっかし参ったなー」

咲「…う」

京太郎「どうすっかね」

咲「えっと…」

京太郎「仕方ねーなー。スマフォで確認すっか。住所は流石に覚えてるよな?」

咲「うん…って、馬鹿にしすぎ!」

京太郎「ははは…で、住所は?」

咲「あ、えっとね…」


632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/04(土) 22:21:24.29 ID:igEXLOpGo

咲「ん。この道見覚えあるよ。ここからなら大丈夫」

京太郎「そっか。じゃあもう地図は見なくて大丈夫か」

咲「けど、おかしいなぁ。いつも通ってる道のはずなのに…」

京太郎「それはあれだな。今がもう真っ暗だからだ」

咲「…」

京太郎「夜道は、いつもと違って見えるもんだ」

咲「…」

京太郎「ま、しかたねーよ」

咲「…なんか」

京太郎「ん?」

咲「なんか、優しいね。京ちゃん」

京太郎「…そうか?」

咲「うん。いつもなら絶対私の事からかい倒すのに」

京太郎「…」

咲「…なにかあったの?」

京太郎「…」

咲「その…さっき、の。長野駅で」

京太郎「んー…」

咲「…」

京太郎「まあ、な」

咲「…」

京太郎「…」

咲「…あの」

京太郎「…」

咲「…何があったか…聞いてもいい?」

京太郎「…」

咲「…」

京太郎「…」

咲「…」

京太郎「…どうすっかなー」

咲「…」

京太郎「ん~…」

咲「…」

京太郎「…誰にも言うなよ?」

咲「…」

京太郎「…実は、さっきさ」

咲「…うん」

京太郎「ふられちった」

咲「え…」


633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/04(土) 22:39:18.33 ID:igEXLOpGo

京太郎「…さっき、電車の待ち時間に。照ちゃんに、さ。告白しに行ったんだわ」

咲「…」

京太郎「…好きです!っつってさ。そしたら、泣かれちゃった。で、ごめんね!って言われて、そのまんま新幹線に乗ってっちまった」

咲「…」

京太郎「まさかあんだけ拒否られるとはなー。せめてお友達のままで…くらいだったらまだ良かったんだけど…いや。これもやっぱヘコむか」

咲「…」

京太郎「以上」

咲「…」

京太郎「…昔から、ずっと好きだったんだ。諦めかけてたんだけど、まさかの偶然の再開で、テンション上げすぎちまったんかね」

京太郎「そりゃ冷静に考えて、昔ちょっと一緒に遊んだガキなんかに今更告られてもどーせいっちゅーねんって感じだわな」

咲「…なにそれ」

京太郎「…悪い。キモかったか?引いた?」

咲「…」

京太郎「…そりゃそうだよな」

咲「…」

京太郎「…っと。着いたんじゃね?確かここだろ。お前んち」

咲「…」

京太郎「…じゃ、俺は帰るから」

咲「…って」

京太郎「さって…と。それじゃあ、また明日な。咲」

咲「待って…」

京太郎「お、今日はそう言えばまだまだオリンピックやってるよな。よし、ダッサイふられ男はコンビニ寄って菓子でも買って、自棄食いしながら朝まで生観戦…」

咲「待って!!」

京太郎「…どうした?」

咲「…ちょっと、待ってて…!!」

京太郎「…はぁ」

咲「いい!?待っててね!絶対待っててね!!絶対絶対!黙って帰ったら駄目だからね!!」

京太郎「お、おう…」

咲「っ!!」ダッ

バタン ダダダダダダ

ドタン バタン ドタン バタン ゲシッ                ウギャアアアアアアアア!!

京太郎「?」

バタン

咲「おまたせ!!」

京太郎「お、おう…」

咲「あ、あのね!?京ちゃん!」

京太郎「ああ」

咲「…きょ、今日、お父さんお仕事で帰って来れないんだって」

京太郎「え…?けど、お前んち電気点いて…」

咲「…消し忘れて出てっちゃったんだって。置き書きしてあった」


634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/04(土) 22:48:04.50 ID:igEXLOpGo

京太郎「いや、それはなんかおかしくな…」

咲「だ、だから!!!」

京太郎「はい」

咲「…せ、折角だから…わ、私。京ちゃんの自棄食いに付き合ってあげるよ」

京太郎「…」

咲「…うちでテレビ、一緒に見てかない?」

京太郎「咲…」

咲「…う、うち、さ。テレビ結構大きいし、お菓子も飲み物もいっぱいあるし、その、私の他には誰も居ないから大声出しても迷惑にならないし…」

京太郎「…」

咲「え、えっと…あ、そうだ。それに、今から家に帰ってたら見逃しちゃう競技も、今から私のうちで見たらいっぱい見れるし…」

京太郎「…」

咲「…ど、どう…かな?」

京太郎「…」

咲「あ、か、勘違いしないでよ!あくまで京ちゃんの残念会の自棄食いに付き合ってあげるのがメインなんだからね!」

京太郎「…」

咲「…って、わけなんですが」

咲「い、いかがでしょうか…」

京太郎「…はは。ありがとうな。…それじゃあ、お言葉に、甘えちまおう…かな」

咲「…」

京太郎「…なんて」

咲「う、うん!!じゃあ、入って!」グイッ

京太郎「おっとっと…」


640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/04(土) 23:02:35.46 ID:igEXLOpGo

長野行きの車の中

淡「」ソワソワ

照「…淡?」

菫「…どうした淡」

淡「えっと…その…ま、まだ長野には着かないんでしょうかね」

照「いや…まだまだだけど」

菫「やっと首都高を出たところだぞ」

淡「うぐぐぐ…」

照「どうしたの?」

淡「えっと…その…お、お小水が…」

照「ああ」

菫「淡。どんまい」

淡「ええええ!?」

菫「我慢しろ。事態は一刻を争うんだ。…最悪、黙っててやるから」

淡「お、鬼!悪魔!人でなし!」

菫「くー…」

淡「うわああああああん!寝たふりしたこの人ーーー!」

照「菫…それは流石に淡が可哀想…」

記者「って言うか、私の車の中でおしっこなんか漏らさないでよ。記事にしちゃうわよ」

淡「そんなんされたら自[ピーーー]るぅううううううう!!」

菫「仕方ないな…記者さん。次のパーキング停まってあげて下さい」

照「お願いします」

記者「もとからそのつもりだわよ…っていうか、もう着くわよ」

淡「ほっ…」

記者「はい、到着。行ってこーい」

淡「ありがとうございますううううう!!」タタタタ

記者「ついでに、悪いけど私もちょっとコンビニ行ってくるわ。眠気覚まし買ってくる」スタスタ

照「…」

菫「お前も行ってこい」

照「えっ…」

菫「気分転換も必要だろ。ついでに適当に菓子でも買ってくればいい」

照「…」

菫「今からソワソワしても、仕方ないだろ?今の内にちょっとリラックスしておきなさい」

照「…うん。じゃあ、ちょっと行ってっくる」

菫「あ、ついでにコーヒー買ってきてくれ。UCCのブラックのな。財布は出すの面倒だからお前の奢りでいいぞ」

照「…」

菫「なんだその顔。ほら、行け」シッシ

照「…はい」スタスタ


642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/04(土) 23:24:46.34 ID:igEXLOpGo

コンビニ

照「…菫、最近酷くない?」

照「…えっと。お茶と、お菓子買ってこう。あとは、菫のはなんだっけ。…あれ?ミルク入りのコーヒーだっけ。…あれ」

照「まあいいや。このカフェオレにしよう。ミルクと砂糖たっぷりのほうが美味しいし」

照「淡にもなんか買っていってあげよう。コーラでいいかな」

照「…消臭ガム買ってこう」

照「えっと、あと、あぶらとり紙も」

照「…ん?」

照「…あ。折角長野に行くんだし、時間有ったら久しぶりに実家に寄ってもいいかな。みんなに昔の話したら、すっきりしちゃった。咲とも仲直りしたい…」

照「…うん。それじゃあ、これを買っていこう」ヒョイヒョイヒョイ

照「あとは…」チラッ

照「…えっ?」

照「そ、そんな…」

照「なんでコレがここに…!!?」



車内

照「ただいま」

菫「おかえり」

照「はい、コーヒー」スッ

菫「サンキュ…って、これ、カフェオレ…はぁ。お前は…」

照「?」

菫「…まあいい。で?随分と大量に荷物を抱えているけど、どうしたんだ?適当に菓子でも…とは言ったが、車内で宴会でも始める気か」

照「ふふ…」

菫「…?久しぶりに笑ったな」

照「見ろ、菫」

菫「んあ」

照「奇跡だ」ガサガサ

菫「なにが…って」

照「じゃーん。東京ばな奈」

菫「…まあ、高速のコンビニって、たまに名物とか置いてるよな」

淡「すいませーん!おまたせしましたー」タッタッタ

記者「おらぁ!!気合入ったぁ!!」タッタッタ

照「2個はお土産。後は私が食べる」モックモック

淡「うわ…また東京ばな奈だ…」

菫「…見てるだけで胸焼けしそうだ。やっぱりブラックが良かったな」

記者「うおおおおおおお!!レッドブル8本効っくぅうううううう!こっから先はぶっとばすぞおおおおおおお!!」

淡「え…」

記者「振り切るぜ!!!!」

淡「なにを…」

ギュルルルルル  ブオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!


646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/04(土) 23:37:21.67 ID:igEXLOpGo

宮永家

咲「…」

京太郎「…」

咲「…」

京太郎「…」

咲「オリンピック、凄いね」

京太郎「ああ…」

咲「…お菓子、食べないの?」

京太郎「ん…まだいいや」

咲「そっか…」

京太郎「うん。もうちょっとテレビ見るのに集中する」

咲「…」

京太郎「…」

咲「……い」

京太郎「…咲?」

咲「…京ちゃんはズルイよ」

京太郎「…あ、ああ、悪い。お邪魔してる立場なのに、1番テレビ見やすい正面のソファに座っちまって」

咲「…」

京太郎「…あれ、そうじゃなくて?」

咲「…」

京太郎「咲?おーい」

咲「…ううん。その通り」

京太郎「ごめんごめん。今どけるから…」

咲「いいよ」

京太郎「え?」

咲「そのままでいい」

京太郎「…」

咲「…」スッ

京太郎「ちょ!?」

咲「…私が京ちゃんの隣に座るから」

京太郎「お、お前…!」ドキドキ

咲「」ピトッ

京太郎「あわわわわ」

咲「…ねえ」

京太郎「は、はい!?なんでしょう!!」

咲「…これって、今どっちが勝ってるの?」

京太郎「え?あ、テ、テレビか!?え、えっとな!これは…」

咲「…」


647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/04(土) 23:46:35.44 ID:iB5fn+uo0

そういえば初めのころはカツラかぶったり東京ばな奈やノドグロの干物買って帰ったりしてたんだよな、このスレ
思えば遠くまで来たもんだ


648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/04(土) 23:51:04.17 ID:igEXLOpGo

京太郎「それで、これは…こういうルールで…」

咲(…京ちゃん)

京太郎「で、これはこっちが…………で………」

咲(京ちゃん…)

京太郎「この大会のルールだと……で……………の場合は…」

咲(京ちゃん…!!)

咲(好き)

咲(大好き)

咲(大大大大大好きだよ)

京太郎「……だって…………ってルールで…俺の好きな………は……」

咲(愛してる)

咲(…けど、京ちゃん)

咲(私、私、私…!!)

咲「…」

咲(私は……っっっっっ!!)

咲「…ありがとう」ボソッ

京太郎「…へ?」

咲「…」

京太郎「…咲?」

咲「…」

咲(…私は、京ちゃんには告白しないよ)

咲「…」

京太郎「…寝ちまったのか?」

咲(好きだけど。愛してるけど。告白しないよ)

咲「…」

京太郎「…そっか。寝ちまったか…」

咲(うん。私は…眠ってしまったの)

京太郎「…」

咲「…」

咲(…京ちゃんの好きな人が、お姉ちゃんなのなら…)

咲(私は、京ちゃんに告白しないんだ)

咲(絶対に。絶対に告白してあげないんだ…)

咲(してあげないんだから…)


650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 00:10:09.62 ID:3N9T8QjYo

咲(…京ちゃんが、言っちゃったから悪いんだよ?)

咲(私が、それを知ってしまったから…)

咲(だから、告白しないんだよ)

咲(…京ちゃん、今私が身体を寄せた時に、ドキドキしてくれたでしょ?)

咲(…だから、告白してあげないんだよ)

京太郎「…咲」スッ

咲「…」

京太郎(…止めた。寝てる咲に何しようとしてんだ俺は。頭撫でるつもりか。さっきの今で。…馬鹿野郎。これ以上屑になる気か俺は)

京太郎「…はぁ」

京太郎(…咲がもたれ掛かってるし。動けないな)

京太郎(…俺も、寝よう)

京太郎「…」

咲(…京ちゃんが、お姉ちゃんを好きだから悪いんだよ)

咲(京ちゃんが、お姉ちゃんに告白したから悪いんだよ)

咲(…京ちゃんの中の私が、お姉ちゃんに負けてたって、知ってしまったから)

咲(…だから、私は、告白しないんだ。私は京ちゃんに告白しないよ。京ちゃんが私に告白してくれるなら応えてあげるけど)

咲(…お姉ちゃんに、負けたまんまじゃ、応えてあげないんだから)

咲(京ちゃんは寂しんぼだから、もしかしたら今私が本気で告白したら、応えてくれるかもしれないけど)

咲(…けど、それをしたら、お姉ちゃんにも、優希ちゃんにも顔向けが出来ないから)

咲(…だから)

咲(…だから、ねえ京ちゃん)

咲(…私、馬鹿だよね)

咲(…だけど、決めたんだ)

咲(…京ちゃんを、本気で惚れさせてやるって。お姉ちゃんに勝って、京ちゃんの告白に『しょうがないなー』言って応えてあげるって)

咲(それまで、京ちゃんの1番はお姉ちゃんで良いよ)

咲(けど、絶対に負けないから)

咲(…負け…)

咲(…怖いけど)

咲(不利かもしれないけど)

咲(今のままじゃ、お姉ちゃんがその気になったらあっという間に終わってしまうけど)

咲(…時間もないし、勝ち目も全然見えないないけど)

咲(…それでも、私はこんな不器用な戦い方をする自分を、誇りに思える。肯定できる。だから、闘う)

咲(…)

咲(…私)

咲(…馬鹿だなぁ)

咲「…」

京太郎「…すう…すう…」

咲「…」パチッ

京太郎「…すう…すう…」

咲「…京ちゃん?」


651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 00:13:33.66 ID:3N9T8QjYo

京太郎「…すう…すう…」

咲「…寝たの?」

京太郎「…すう…すう…」

咲「…寝たんだね」

咲「…」

咲「…京ちゃん」

咲「…待っててね」

咲「それと」

咲「ごめん」

咲「…あとは」

咲「…ばーか」

咲「…」

咲「…」チュッ

咲「…」

咲「…ほっぺただけは、貰っておくよ」

咲「…」

咲「…」

咲「…」

咲・京太郎「「…すう…すう…」」


652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/08/05(日) 00:18:43.19 ID:Az5lNwGOo

この咲さんは可愛い


656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 00:29:13.94 ID:3N9T8QjYo

未明
清澄

記者「着いたぁああああああああああ!!…すみません。体力の限界ですので休ませて下さい」

菫「…着いた、か。ご苦労さまです。ふう。流石に田舎だけあって清々しい空気だ」ノビー

淡「うぐぅ…」フラフラ

照「ごふぅ…」フラフラ

菫「なんだお前ら。随分とフラフラじゃないか」

淡「だって…あの激しい運転…」ヨロヨロ

照「…」

菫「情けない…これからが本番だというのに…」

淡「化物ですか先輩の体力」

照「えう…」

菫「…照?」

照「うぷ…」

菫「…おい」

照「…ごぷ」

菫「おい!」

淡「ちょ!?まさか…!」

記者「ま、待って宮永さん!せめて車の外に…」

照「えろろろろろ…」ゴッポォォ

記者「ぎゃああああああああああああああああああああ!!!」

淡「うわぁ…」

菫「やっちまいやがった…」ハァ

照「ギボジワルイ」ウルウル

記者「」

淡「高速の車の中であんなに甘いもの食べるから…」

菫「…おい。大丈夫か?」

照「まずい。死ぬ」

菫「参ったな…流石にこんな状態のコイツにターゲットを会わせるわけにもいかないし…」

淡「どこか、休める場所とかありませんかね」

記者「」

淡「…記者さん、真っ白になってます。…すみません。せめて安らかに…」ナームー

菫「この辺はとんでも無い田舎だしな。休憩出来そうな場所あるか?ホテルとか、カフェとか、マンガ喫茶とか」

照「…無い。間違いなく」フラフラ

菫「むむむ…」

淡「かと言って、宮永先輩のゲロまみれの車の中は…」

菫「却下だ」

照「その辺の道端でも大丈夫…」

菫「却下。虫が多い」


658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 00:40:12.27 ID:3N9T8QjYo

淡「じゃあ、どうしましょうか」

菫「…照」

照「なに…」

菫「…お前の家はどこだ」

照「…?」ポヘ?

菫「いや。お前の実家だよ。こんな時間に訪ねるのもアレだが、実家なら休憩くらい出来るだろうが」

淡「あ、ナイスアイディア」

照「えー…」

菫「なんだ。嫌そうな顔だな」

照「なんか咲に顔合わせにくいっていうか…」

菫「お前、今更なぁ…」

照「むぅ…」

菫「兎に角だ。この辺は虫多いし、暑いし、私はいい加減一刻も早くクーラーの効いた室内に行きたいんだよ」

淡「それが本音ですか」

照「菫、酷い」

菫「五月蝿い。いつまでも駄々捏ねてるとそのトコロテンのような頭をシェイクするぞ」

照「ごめんなさい」

淡(この人にだけは、本当に逆らわないようにしなければ…)

菫「分かったな?それじゃあ早く案内しろ。迷ったらシェイクだ」

照「はい」

淡「あの…」

菫「ん?」

淡「記者さんは…」

記者「」

菫「…記者さん」

記者「あ、は、はい…」

菫「今晩中には東京に戻りたいので、車の中綺麗にしておいて下さい」ニコッ

記者「…」

菫「ありがとうございます。では、よろしく。…さ、行くぞ、照」ズンズン

照「はい…」トボトボ

淡(哀れな…って)

淡「…」チラッ

記者「…」

淡「…えっと」

記者「…?」

淡「…よ、よろしくお願いします!」ペッコリン

記者「…」

淡「弘世先輩ー!宮永先輩ー!待ってくださいよー!」トテテテテ


659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/05(日) 00:43:21.59 ID:2vk25tvDO

淡ちゃんマジ天使


660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 00:52:26.35 ID:3N9T8QjYo

宮永家

京太郎「…ん」パチッ

咲「あ、起きた?」

京太郎「咲…」

咲「おはよ」

京太郎「…おはよう。今何時?」

咲「まだ5時前だよ」

京太郎「なんだよ。ぜんっぜん寝てねーじゃん…」

咲「ふふ…狭いソファーの上に二人だったからね。無理な体勢でよく寝れなかったのかも」

京太郎「」ドキッ

咲「京ちゃん?」ズイッ

京太郎「あ、ああ…なんでもない」

咲「そっか」

京太郎「お、おう…あ、そういえば今日学校じゃん。授業道具取りに行かなきゃ…」

咲「まだ結構時間はあるよ?」

京太郎「そうだけど、風呂入ってねーしシャワーくらい浴びてきてーし」

咲「…うちの浴びてく?」

京太郎「はぁ!?」

咲「…ふふふ。なんちゃって」

京太郎「お前なぁ…」

咲「あはは!」

京太郎「んじゃ、行くぞ。お邪魔しました…」

咲「ちょっと待って」

京太郎「なんだよ」

咲「私、早起きしたから、朝ごはん作ってたの」

京太郎「…」

咲「ついでだから、食べてかない?」

京太郎「…いいの?」

咲「うん。あと、私はもう食べたし、これからシャワー浴びてくるから」

京太郎「…」

咲「私が上がってきたら、一緒に学校行こ?」

京太郎「…」

咲「京ちゃんが家でシャワー浴びてる時間くらい、外で待ってるから」

京太郎「咲…」

咲「それじゃあ、行ってくるね。あ、ご飯は炊飯器から好きなだけよそって良いよ!おかわりもご自由に!」タタタタ

京太郎「…行っちまった」


661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 00:54:37.72 ID:3N9T8QjYo

京太郎「もう配膳されてるし」

京太郎「目玉焼きに、味噌汁に、肉じゃが?」

京太郎「…ま、いっか。折角だし、いただきますか」

京太郎「…」ゴソゴソ

京太郎「…」パクッ

京太郎「…ん」

京太郎「んまい」モグモグ


662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 01:05:04.45 ID:3N9T8QjYo

京太郎「…」モグモグ

京太郎「…」モグモグ

京太郎「…」モグモグ

京太郎「…」モグモグ

京太郎「…ごちそうさまでした」ペッコリン

咲「ふう。いいお湯だった」スタスタ

京太郎「ぶふっ!」

咲「あれ、どうしたの?京ちゃん」

京太郎「…いや、なんでもないです」

咲「そう?」

京太郎「…」

京太郎(すでに制服だけど…湯上りだから髪濡れてて艶っぺー!?)

京太郎(くっそ…!なんなんだよ昨日から!このぉ…咲の癖にぃい…!)

咲「…ご飯、どうだった?」

京太郎「ん。美味かったよ。ごちそうさま」

咲「そう。良かった。お粗末さま」ニコッ

京太郎「…」

咲「洗い物は帰ったらするから、じゃあ、もう出ようか」

京太郎「ん?あ、ああ…そうだな」


664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 01:20:02.44 ID:3N9T8QjYo

道端

照「あれ…えっと…」キョロキョロ

菫「…」

淡「…」

照「えーっと…こっちがあれで、あっちがそれで…えっと…」

菫「…おい。ジモティ」

照「あれ…」ウロウロ

淡「宮永先輩って…」

照「あ、こ、この道!この道なんだか見覚えがある!」

菫「当たり前だ」

淡「…さっきもこの道通りましたよ」

照「…困った。道が変わってる」

菫「お前の生まれ故郷は不思議のダンジョンか」

淡「ああ。それなんか納得しました」

照「あれ?なんで?あれ?」

淡「迷ったんですね…」

菫「まさか本気で生まれ育った故郷で道に迷う奴が居るとは…」

照「あううう…あ、こ、こっち…かも…」

菫「おい、淡。コインランドリー探せ。コイツ一回乾燥機で回してやる」

淡「落ち着いて下さい弘世先輩」

照「しまったな…どうやって私はこの町で生きてきたんだろう」

菫「本当にな…」

照「…キボジワルヒ」

淡「またですか!?」

菫「ほら、道端行け。幸いこの辺田んぼばかりだ。お前の酸っぱいゲロも肥料になろう」

照「オボロロロロロロ…」

淡「…私、なんだか泣けてきました」サスサス

菫「それにしても…ふう。どうしたものか。このままじゃ我々はこのド田舎で遭難してしまうかもしれん」

淡「人様の街を…」

照「…はぁ。はぁ」

淡「…あ、もう大丈夫ですか?」

照「ん」

淡「…なんか、この人随分大人しくなりましたね」

菫「そうだな。麻雀部では威張り腐ってる癖にな」

照「…」

淡「…」

菫「ん?何か言いたそうな顔だな」

淡「いえ。何も」

菫「そうか」

淡(逆にこの人は何故こんなに理不尽なのだろうか)


666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 01:28:14.62 ID:3N9T8QjYo

照「…っ」ピクッ

菫「…ん?」

淡「どうしたんですか?宮永先輩」

照「…ねえ、何か聞こえない?人の声…」

淡「え?ん…言われてみれば確かに」

菫「おお、丁度いいじゃないか。道を尋ねられる」

淡「あ、確かに」

照「…」

菫「良かった、これで遭難を免れられるぞ。早く道を押しえて貰って宮永家に行こう。流石に歩き疲れた」

照「…」

淡「そうですね。私もお腹すいちゃいましたし…シャワー借りられないでしょうか」

照「…」

菫「…照?」

照「…この声」

淡「…宮永先輩?」

照「…聞き覚えがある」

菫「は?何を…」

照「あっちだ…!」タッ

菫「あ。おい、照…!」

淡「えっ!?えっ!?えっ!?」

菫「淡!ぼさっとするな!追うぞ!」ダッ

淡「あ…は、はい!!」ダッ


667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 01:49:13.67 ID:3N9T8QjYo

咲「          」

京太郎「           」

咲「             」

京太郎「             」



淡「…そして、勢い良く走っていった割にコソコソ後ろをつけるんですね」コソコソ

照「…うん。あの子達が、妹の咲と、私の好きな人の須賀京太郎君」コソコソ

淡「良くあの遠距離で確認できましたね。今だって顔を確認出来るような距離じゃないのに」

照「二人は私の大切な人だもん」

淡「…そうですか」

菫「…何を話してるかは聞き取れないが随分親しげじゃないか。それにこんな時間に二人で歩いて…もう付き合ってるんじゃないのか?今は朝帰りに的な」

照「」ガーーーン

淡「弘世先輩!」

菫「いや、でもあれはどう見ても」

照「…」クスン

淡「ほらぁ。また凹んじゃったじゃないですかぁ…」

菫「面倒くさい…わかったわかった。まだ付き合ってない付き合ってない」

淡「…」

照「…そう、かな」

菫「ああ。大丈夫だ」

照「」ホッ

淡「信じた!?」

菫「しかし、それでもあの二人が随分仲良さそうなのは間違いないぞ」

照「あわわわわ」オロオロ

淡「面倒な人だなぁ…」

菫「どうする?照。まさかここで会うとは色々と手間が省けた感じではあるが…」

照「こ、心の準備まだ出来てないよ…」

菫「だよなぁ…」

照「ど、どどどどうしよう、ねえ、菫、淡…私…」

淡「それに、妹さんもいる前じゃ、ちょっと…」

照「そ、そうだよ。今は咲が居るし。駄目だよ。それにもし二人が本当に付き合ってたら私…」

菫「ったく…」ボリボリ

淡「…菫先輩?」

菫「…照。お前、そこでちょっと待ってろ」

照「…へ?」

菫「行くぞ。淡」

淡「へ?」

菫「私に考えがある。上手いことあの妹ちゃんをターゲットから引き離すぞ」

照「え?」

菫「照。私達がここまでするんだ。まさか私達の頑張りを無視してこのままウダウダしてるなんて情けない真似で終わるんじゃないだろうな」


671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 02:17:35.07 ID:3N9T8QjYo

淡「ちょ!?強引過ぎませんそれ!?」

菫「大丈夫、別に危害を加えるわけでは無いさ。ただちょっと照の告白までの時間稼ぎをさせて貰うだけだ」

淡「なんか怖いですよ。言っておきますけど、私は不良の真似事なんて絶対にしませんからね」

菫「馬鹿言うな、私がそんな真似するわけないだろ。なあ?照。お前ならわかるだろ」

照「い、妹に手を出すなよ…!」

淡「ほら、信用されてない!」

菫「あれ…おかしいな」

照「い、幾ら菫だって、咲に危害を加えるなら私だって…」

淡「信頼ってなんなんでしょうか…」

菫「めんどくせえなぁ…」

淡「そういうのが悪いんですって!」

菫「ったく。兎に角、行くぞ。照。このままそこで縮こまってたらもうどうなっても知らんぞ。どうしても妹が心配なら、告白の結末だけ着けてから来い」

淡「妹さん人質!?」

菫「今まで色んな事から逃げてばかりで、情けないと思わないのか」

照「…」

菫「いじめから逃げて、妹と向き合うことから逃げて、自分の気持から逃げて、挙句に好きな人からの告白からすら逃げて。次は何から逃げる気だ?麻雀か?学校か?人生か?」

照「…」

菫「一個でも最後まで立ち向かって見ろよ。お前、確かに麻雀はバケモノだけど、このままじゃ壁にぶつかったらそこで終わるぞ」

菫「…麻雀だけじゃなくてもさ。他になんにも取り柄の無いお前だけど、それでも逃げずに立ち向かえばなんとか打ち勝てるものだって今までの人生には幾らでもあったはずなんだよ」

照「…」

菫「立ち向かえ。お前がさっき妹を私から守ろうとしたろ。そんな風に立ち向かえ。一人が怖いなら私達に頼れ。お前が望むなら、私達が幾らでも力になってやるから」

菫「お前、長野は敵ばかりで、友達が居なかったって言ってたよな?じゃあ、今はどうだ?私は?淡は?誠子は?尭深?他の麻雀部やクラスの連中は?」

照「…」

菫「例えどれだけダメ人間のお前でも、友人の私達の力が有れば、お前、幾らでも強くなれるだろう?」

菫「だから、安心してぶつかってこい。戦うべき時に戦ってこい。勇気出してやりたい事、やるべき事やって、結果見届けて、自分の限界知ってこい」

菫「失敗したら笑ってやるから。一緒に泣いてやるから。成功したら一緒に喜んで笑ってやるから」

菫「…それで、私が困ってたら、お前が私を助けてくれればそれでいい」

照「…」

菫「逃げるな。たまには逃げてもいいけど、今だけは逃げるな。逃げるべき時は逃げていいから。今だけは絶対に逃げるな」

照「…」

菫「…行くぞ。淡」スッ

淡「あ…」

照「…」

淡「…宮永先輩」

照「…」

淡「私も、戦ってきます」

照「…」

淡「だから、待ってます」

照「…」

淡「…っ!」タタタタタ


672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/05(日) 02:27:14.94 ID:24Oo57/go

かっけえ


673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 02:36:46.52 ID:3N9T8QjYo

咲「それでね、京ちゃん…」

京太郎「…ん?」

咲「…京ちゃん?」

菫「おはよう、少年少女達」スタスタ

淡「えーっと…お、おはようございます」

咲「…?お、おはようございます…」

京太郎「…誰?」

菫「ああ、失礼。私は東京の白糸台高校というところの人間だよ。3年生にして麻雀部部長の弘世菫だ」

淡「お、同じく1年の大星淡です」

京太郎「…はぁ」

咲「えっ。白糸台って…お姉ちゃんの…」

京太郎「へ?」

菫「その通り。宮永照はうちのエースだ」

京太郎「えっ」

菫「そう。宮永照。…私達は親しみを込めて『照ちゃん』と呼んでいるがね」ニヤリ

淡(嘘ばっかり…)

京太郎「えっ!?」

咲「…何の用…ですか?」

菫「ん?何。大したことじゃない。これは恥ずかしながら今まで知らなかった事だが、我等が絶対的なエースに、なんと妹さんが居ると言うじゃないか」

菫「あの子は恥ずかしがり屋でなかなか自分の事を話さないから、まあ無理もないのだけれどね」

咲「…」

菫「それで、今日は君をスカウトに来た」

咲「は…」

京太郎「はぁあああああああああああああああああ!?」

淡(この人、悪役やったら板につくなぁ…)

菫「おや、何を驚いているんだい?」

京太郎「ふ、ふっざけんじゃねぇよ!!」

菫「至って真剣だが」

京太郎「尚更悪い!!」

菫「クククク。おや、何故だい?」

京太郎「何故って…全国前にしたこの時期に、王者がチャレンジャーの戦力引き抜きに来るって、どういう了見だってんだよ!」

菫「おや、と言うことは君達も全国に出るのか、初めて知ったよ。なにせ我々は王者なので、下々の者には興味が無い」

京太郎「この野郎…!!馬鹿にしやがって」

淡(初出場校はダークホースになりやすいって、いっつも入念に調べまくってる癖に)

菫「そう言われてもね。本当にこの子の存在を知ったのは最近なんだ」

京太郎「それは残念だったな!行くぞ咲!」

咲「あ、う、うん…」

菫「いいのかい?」

咲「…え、えっと…ごめんなさい…」

京太郎「だとよ!悪いけどお引き取り願おうか!王者様!!」


674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 02:55:49.42 ID:3N9T8QjYo

菫「本当にいいのかい?」

咲「…?」

京太郎「咲!耳貸すな!早く行くぞ」

咲「う、うん…」

菫「君の姉から、君宛てにと言って預かっている物があるんだが」スッ

咲「えっ…」

淡(あ…宮永先輩がコンビニで買ったっていう、妹さんへのお土産が入った袋。いつの間に)

菫「実は私もまだ中身を検めてはいないんだが…君にどうしても渡して欲しいと言われているんだが」

咲「…」

京太郎「咲!」

菫「…私と、サシで話をしないか。丁度すぐそこに神社がある。そこで二人きり、ゆっくりとな」

咲「…わかりました」

京太郎「咲!」

咲「大丈夫だよ。京ちゃん。この人、雑誌で見たことある。本当に白糸台の部長さんだ」

京太郎「けどよ…」

咲「…お姉ちゃんの名前を出したって言う事は、きっと本気でしたい話があるんだ。危ないことされるとも思えない」

菫「懸命な判断だ」

淡「ひ、弘世部長…?」

菫「なんだ?淡」

淡「い、いや…なんですかこの状況。サシで話って…私が一緒に来た意味一瞬で無くなっちゃったじゃないですか。私どうすればいいんですか」ヒソヒソ

菫「さあね」

淡「絶句です」

菫「…お前、昨日から言いたい事あったんじゃないのか?コイツに」

淡「…へ?」

菫「お前、東京には小学生の時に転校してきたんだって?」

淡「…」

咲「…あの」

菫「…ああ、すまない。ちょっと打ち合わせをね」

京太郎「…咲」

咲「大丈夫だよ。…待ってて、京ちゃん」

京太郎「…わかったよ」

菫「こいつは人質だ。私がこの子に危害を加えたら、コイツをいじめ殺して良いぞ」

淡「ふえっ!?」

京太郎「誰がんな事するかよ!」

菫「ふふ。そうだったか失礼。それじゃあ行こうか」スッ

咲「はい」スッ

京太郎「…」

淡「…」

京太郎「…」イライラ

淡「…」ダラダラ


675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/05(日) 02:58:20.86 ID:6X0o8we1o

これは……そういうことか!


676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/08/05(日) 03:15:43.22 ID:IbQpTLSY0

ここでまさかの伏線回収なのか…


677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 03:15:49.96 ID:3N9T8QjYo

京太郎「…」イライラ

淡(ど…)

淡(どどどど…)

京太郎「…」イライライラ

淡(どおおおおおおおおおおおおおおおしよおおおおおおおおおおおおおおおお!!!)

京太郎「…チッ」

淡「」ビクッ

京太郎「…あ?」

淡(なんか嫌な予感はしてたんです。確かにしてたんです。宮永先輩の話聴いてた時に、ちらっと確かに思ってたんです!)

淡(ま、まさか…まさか…まさか…!って!うっすらと嫌な予感はしてたけど、だけど、だけど!顔見た後にああ、やっぱりって思ったけど!だけど!)

淡(まさか、宮永先輩が好きになるような人だし、なんだかんだ言って人畜無害そうな感じの人だって思ったのに!信じたかったのに!)

淡(それでも一応なんか確かめなきゃいけないと変な使命感覚えてノコノコ付いてきたけど!)

淡(もうずっと前だし、名前も覚えてなかったし、顔もうろ覚えだったし!流石にトラウマ克服したと思ってたのに!!)

淡(思い出してしまったぁあああああああ!!この人だ!!間違いない!!5年2組の須賀京太郎だあぁあああああああああ!!!)

淡「」ガタガタ

京太郎「…おい」

淡「ひゃぃっ!!?」ビクッ

京太郎「…なんでそんなビビってんだよ」

淡「す、すみ、すみま、すみません…」ガタガタ

京太郎「…ん?」

淡(ひいいいいいい!)

京太郎「…アンタ、どっかで見たことあるような…」ジーッ

淡「そ、そうですか!?私アナタはじめて見ましたけど!お初にお目にかかると思いますけど!!けど!!」

京太郎「そうだっけ…まあ、確かにそうか。俺に東京の知り合いなんか居ないはずだし…」ブツブツ

淡(そしてとっさに誤魔化してしまったぁあああああ!ああああ!だから嫌だったんです!弘世先輩の鬼!悪魔!弘世菫!あの人が傍にいるならって一緒に飛び出したのに!)

淡(なんで私とコイツが二人きりになる状況作り出してくれちゃってるんですかぁあああああああああああああ!!?しかも敢えて挑発しまくって印象と機嫌悪くした後に!!)

淡「あわわわ…」ボソッ

京太郎「…ん?」

淡「ひゅっ…」

京太郎「…」

淡(し、しまった…この口癖」。『あわわわ』って、昔からの癖なんだった。下手に使ったら思い出されてしまう…)

京太郎「あわわわ…って…」

淡(手遅れ!?)ビックーーーン

京太郎「なあ、アンタ」

淡「は、はひ!?」

京太郎「悪い。さっき不意だったから、名前良く聞き取れなかったんだ。もう一回教えてくれるか」

淡「あわわわ…」

京太郎「そう、その口癖。なんか引っかかるっつーか…」

淡「…」

淡(うわああああん!どうしましょう宮永せんぱぁあああああい!!)


678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/08/05(日) 03:21:50.48 ID:Az5lNwGOo

あれ?どこに伏線あったっけ?


679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/08/05(日) 03:24:38.13 ID:IbQpTLSY0

伏線っていうか、
>菫「…お前、昨日から言いたい事あったんじゃないのか?コイツに」
で、昔京ちゃんがいじめてたのがあわわわって気づいた


680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 03:34:20.57 ID:3N9T8QjYo

淡「あのぉ…」

京太郎「ああ」

淡「そのぉ…」

京太郎「…」

淡「あー…」

京太郎「…」

淡「…」

京太郎「…」

淡「…」

京太郎「…」イライラ

淡(イライラしていらっしゃるぅううううううう!!)

淡(どうしようどうしようどうしようどうしよう)

淡(怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい)

淡(嫌。コイツからのいじめが耐えがたくて、わざわざ長野から東京まで転校してきたのに。もう二度とコイツに会う事なんて無いと思ったのに)

淡(いじめられるのが嫌で、地味な外見が原因なのかもって悩んだ挙句に怖い外見になろうとアイツの髪の色真似て染髪までしたのに)

淡(それが…それが、なんでこんな状況になってるの!?)

京太郎「なあ。答えろよ。オイ」イライラ

淡(いやああああああああああああああああああ!!何にも変わってないじゃないコイツ!!)

京太郎「なあ…アンタ」

淡(宮永先輩!コイツ、やっぱり駄目ですって!外見は確かにちょっと丸くなった…ってか柔和そうな顔にもなりましたけど、やっぱりコイツ悪い奴です!)

淡(正解です!告白に応えないで正解でしたよぉおおおお!宮永先輩がコイツ彼氏としてうちの部室に連れてきたりしたら、私ストレスで死にますから!!)

京太郎「…」

淡(無言で睨むなぁ!!あああああもうっ!逃げたい!逃げたい!逃げたい!逃げたい!逃げたい!逃げたい!逃げたい!逃げ…)

淡「…逃げ?」ピタッ

京太郎「…?」

淡「…」

京太郎「…なぁ「大星淡です」」

京太郎「…へ」

淡「大星淡です。覚えてませんか?この名前」

京太郎「大星…淡…」

淡「はい。まあ、見た目はこの通り大分大人っぽくセクシーになってたので、外見で気付かれないのは仕方ないかも知れませんが」

淡「…ってか、タメだし敬語使う必要ないよね。須賀京太郎」

京太郎「おお…ぼし…」

淡「思い出せないって言うなら自己申告すれば良いよ。その瞬間ぶん殴ってやる」

京太郎「…お前、まさか…」

淡「思い出した?」

京太郎「…俺が、昔いじめてた」

淡「正解。じゃあ、殴られても仕方ないって、自分でもわかってるよね?」

京太郎「は…」

淡「[ピーーー]!!」バキッ!!


682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/05(日) 04:03:49.02 ID:3N9T8QjYo

京太郎「いってぇ!?」

淡「ふん。思わず禁止用語を使ってしまいましたが。まあ、これで私の怒りはわかりましたね?この糞野郎」

京太郎「…大星」

淡「ったく…宮永先輩には、今度プリンの王様プリン・ア・ラ・モード奢ってもらわなけりゃ気が済みませんよ本当に」ブツブツ

京太郎「…あの」

淡「なんですか?この下郎」

京太郎「げろ…い、いや。その、待ってくれよ。お前には色々言いたい事も聞きたい事もあるんだ」

淡「私には聞きたい事も教えたい事もありませんが」

京太郎「…」

淡「…はぁ。なんですか?一個だけ聞いてあげます」

京太郎「…その、昔は、すみませんでした」

淡「はっ。別に今更貴方に謝罪されても私の心には響きません。自分の気を済ませたいなら、穴掘ってその中でごめんなさいって繰り返してればいいんじゃないですか」

京太郎「それでも、言わせて欲しいんだ。…あの頃は俺が馬鹿だった。大星が嫌がってるのに、くだらない理由でお前に嫌がらせ繰り返して」

淡「知りませんよ。いじめっ子の心境なんて聞きたくもありません」

京太郎「…」

淡「…けど、まあ、それでも貴方のお陰であるものもありましたし」ボソッ

京太郎「え?」

淡「…いくつか、教えてあげてもいいって思った事がありました。時間が無いので手短に」

京太郎「時間が無い…?」

淡「1つ。私は強くなりましたよ。貴方なんかよりずっと強く。もう負けません。いつだって相手になってやります」

京太郎「…」

淡「2つ。けど、私が貴方を許す事はありません。少なくとも現時点では、よっぽどの奇跡が起こらない限りは」

京太郎「…」

淡「3つ。でもまあ、私が自分より弱い奴を恐れる事はもう無いです。覚えておくといいですよ。私の心は健全です」

淡「そしてもう1つなんですが…」

淡「…照ちゃんは、我々だけでは面倒見切れません。貴方のせいで無駄に元気なので、とっとと保護義務を果たして下さい」

京太郎「へ?」

ドドドドドド

照「あわあああああああああああああああああ!!」バキイイイイッ

淡「ごふっ」

京太郎「」

淡「」ドサッ

照「京ちゃん!京ちゃん!?いきなり淡に殴られてたけど、大丈夫!?怪我は無い!?ちょっと淡!何話してた知らないけど、いきなり殴る事ないじゃない!!」ギューッ

京太郎「へ?へ?へ?照ちゃん?へ?」

照「京ちゃん!京ちゃん!京ちゃん!痛くない!?大丈夫!?ねえ!ねえ!ねえ!えええええええええん!!」

京太郎「えーっと…」チラッ

淡「…ふん。なんですか、もう話す事はありません」サスサス

京太郎「…まいったな…」

淡「…。あー、そうだ。じゃあ、もう一個だけ教えてあげましょう。これ、実は今までで一番重要な話かもしれないんですが」

淡「私はプリンが大好きです。以上。じゃあ、言いたい事言ったのでどっか行きます」ムクッ


683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/08/05(日) 04:11:12.74 ID:CRm+XZ3AO

あわあわマジ天使


685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/05(日) 04:43:21.41 ID:3N9T8QjYo

京太郎「ちょ、待てって、大星!お前さっきから何言って」

淡「嫌です。…宮永先輩。先輩には良く分かんないかも知れませんけど、私は勇気を出しました。なんか、今なら矢でも鉄砲でも来いって感じです」

照「淡?」

淡「勇気を出してみた先達としてアドバイスを言うとですね。勇気出すと、すっきりしますよ。気持ちいいです。モヤモヤが晴れます」

淡「あとは、宮永先輩次第だと思いますんで。じゃあ、頑張ってください」

照「…」

淡「では」スタスタスタ

照「…」

京太郎「…」

淡「あ、ところで須賀京太郎。余計な事言ったらぶっ殺しますから。私には完璧超人なりのイメージってもんがあるんで」

淡「…ふんっ」スタスタ

京太郎「…なんも言うなってか」

照「京ちゃん?」

京太郎「…照ちゃん。はは。半日ぶり…くらい?」

照「…うん。そうだね」

京太郎「…まさか、こんな早く再会する事になるとはなぁ」

照「…」

京太郎「…何か、用だった?」

照「…うん」

京太郎「落し物したとか」

照「…ちょっと違う」

京太郎「じゃあ、間違えて誰かのもの持ってっちゃったとか」

照「それもハズレ」

京太郎「忘れ物?」

照「それも、あるかな。でもちょっとハズレ」

京太郎「…」

照「…正解は、迷子。道を間違えちゃったんで、正しい道の歩き直し。そのスタート地点まで、歩いてる最中なの」

京太郎「…」

照「いっぱい、いっぱい、さ。私、迷っちゃったんだ」

京太郎「照ちゃん、方向音痴だしな」

照「本当だよ。だから、何回だって迷って、変な道行っちゃって。気付いたらいっつも暗い道だったり、険しい道だったり、寒い道だったり。心細くていっつも泣いていた」

照「…けど、昨日、今まで歩いて来た道をふと振り返って見て気付いたの。その度に誰かが私の腕を引いてくれたから、今私はここに居る」

照「行き先もわからずに歩いてきたけど、それでもなんとか道を踏み外さずに引っ張ってもらって、ここに居る」

照「さっきの偉そうな奴とか、生意気そうな奴とか、他にも東京には殺し屋みたいな奴とか、お茶ばっか飲んでる奴とか。後は、咲とか。他にもいっぱい。いっぱい手を引いてくれた」

照「…その中でも、京ちゃんは、私が1番怖い道を歩いてる時に、一緒に歩いてくれてたんだ。矢が降ってきても、爆弾降ってきても、なんでも無い振りして、傷だらけになって」

照「私、お姉さんなのにいっつも子供みたいにベソかいて道を歩いてたんだ。誰かに手を引っ張ってもらうまで蹲って。本当、頼りない子だったと思う」

照「…でも、それだけじゃ駄目なんだ」

照「私は方向音痴だから。この先もきっと誰かに手を引っ張って貰わなきゃ歩けない」

照「けど、この先はきっと、自分で行くべき場所を決めなきゃいけないんだ。暗い道を照らすのは、私がやらなきゃ駄目なんだ。歩くのは、自分の意志で歩かなきゃ駄目なんだ」


686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/08/05(日) 04:46:32.66 ID:XD5T1irXo

再構成で淡ルートあるで


 
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/05(日) 04:59:12.33 ID:3N9T8QjYo

照「一緒に歩いてく人を支えてあげたい。擦れ違う人を励ましてあげたい。迷った人を照らしてあげたい」

照「私を今まで支えてくれてきた人たちのように、今度は私が誰かを支えてあげたい。私が今此処に在れるように、誰かが其処に在れるようにしてあげたい。その為に、迷子から抜け出したい」

照「だから私は、戻ってきたの。この、君が居る街に」

照「…ねえ、君。名前、教えてくれるかな。私の名前は宮永照。東京の、白糸台高校に通う3年生。特技は麻雀。宝物は、妹の宮永咲」

照「…君が、いじめっ子から助けてくれた子」

京太郎「…っ!!」

照「…受かった高校。教えたよ」

京太郎「…お、俺っ!!」

京太郎「…俺は…!」

京太郎「…俺は、須賀京太郎!!長野の、清澄高校に通う、1年生!!麻雀部員だけど、麻雀は素人。ペットはカピバラ。好きな人は…!」

照「…」

京太郎「好きな人は…!!」

照「…うん」

京太郎「照ちゃんだよ!!!」

照「うん…!」

京太郎「…~~~~っ!!」

照「…やっと、迷子から抜け出せた」


689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/05(日) 05:09:31.01 ID:3N9T8QjYo

照「やっと、追いついた」

照「やっと、捕まえた」

照「やっと、隣を歩ける」

照「やっと、声を届けられる」

照「ねえ、京ちゃん。じゃあ、忘れ物、返すね」

京太郎「…」

照「…これは昨日の忘れ物だけど…」

照「…『私も好きです』って」

照「『私はすぐ迷子になるので、どうか私が迷わないよう、あなたの手を繋いで下さい』って」

照「『その代わり、私はあなたが道を見失いように、照らし続けます』って」

照「『どうか、私と一緒に道を歩いてください』」

照「『あなたの横で歩かせてください』」

照「『大好きです』って、言い忘れた言葉を。初めて会ったその瞬間から暖めていた想いを乗せて、あなたに渡します」

照「どうか、受け取ってください。京ちゃん、大好きだよ」

照「付き合おう」

照「…」

京太郎「…ありがとう」

京太郎「改めて…よろしくお願いします…!!」

照「…うんっ!!」


690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/05(日) 05:29:57.61 ID:3N9T8QjYo

神社の階段のてっぺん

淡「…はぁ」スタスタ

菫「ああ、淡。ご苦労」

淡「ご苦労って…なんですかその、計画通り…!!みたいな顔。なんですか。私の事どこまで知ってるんですか先輩は」

菫「いやあ、お前の親御さんからな?実は、入部に当たって、相談があったんだ。この部に不良系は入部することは有り得ないんでしょうかって」

淡「は…」

菫「素晴らしい親御さんじゃないか。お前が小学校の頃いじめられて転校してるのを気にして、色々手を尽くしてくれてたらしいぞ。お前、ちゃんと感謝しておけよ」

淡「」パクパク

菫「まあ、私も顧問の先生から聞いた話だが。そんな話を聞いたら私も少々気になってな。小学校やらの経歴は全部調べた。いやあ、まさか照と同じ地域出身だとは。魔境かここは」

淡「あわわわ…」

菫「はっはっは」

咲「…はぁ」

淡「…あ、妹さん…良かった。〆られて無かった」

菫「誰がんな事するか。照の買ってきた土産を二人で食ってたんだ。特等席の神社の階段の上から観戦しながらな」

淡「何を買って…って、うわ。東京ばな奈」

咲「…うええええ…京ちゃぁん…」モックモック

淡「しかも泣きながらもすっごい食べてるし」

菫「好物らしい」

淡「はぁ…」

咲「うええええええ…」グスグスモグモグ

淡「なんか、悪いことした気になってくるなぁ」

菫「お前が彼を殴った時、この子も飛び出しそうになってたんだぞ」クスクス

淡「それは…うん。ごめんね」

咲「いいの。全部話はきいたから。私が口挟める問題じゃ無いと思うし…」シクシクモグモグ

淡「…良かったら元いじめられっ子同士仲良くしましょうか。私が元いじめられっ子っていうのは、トップシークレットだけど」

咲「うん…うん…」シクシク

菫「お、もう全部食ったのか」

咲「…うええええ…もっとありません?」チラッ

菫「中々したたかな…照よりしっかりものじゃないか?この子。だがすまん。もう無い」

咲「うえええええええええ…!!」

菫「…はぁ」

淡「…今度、長野代表で東京来るんだっけ?日持ちしないけどマジキチレベルの美味しさって噂の東京ばな奈バウムブリュレ奢ってあげる」

咲「ううううう…ありがとうございますぅ…」シクシク

菫「…やれやれ」ナデナデ

淡「…あ」

菫「…む?」

咲「…ああぁ~!」


691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/05(日) 05:39:52.46 ID:3N9T8QjYo

照「…ねえ、京ちゃん」

京太郎「…ん?何だ?照ちゃん」

照「…キス…しよ」

京太郎「…え」

照「…いや?」

京太郎「い、いやじゃない…ってか、その…むしろ嬉しいくらいだけど…その…」

照「?」

京太郎「は、恥ずかし…」

照「ふふ…」

京太郎「わ、笑うなよ!」

照「可愛い」

京太郎「うう…なんだこれ。いきなり照ちゃんが大人になったみたいだ」

照「何言ってるんだ。私は京ちゃんより、2つもお姉さんなんだぞ?ちゃん付けじゃなくて、照さんって呼ぶべきだ」

京太郎「…照」

照「な!?」

照「なわわわわわ!?きょ、京ちゃん!?今、な、なんて…」

京太郎「付き合ってるんだし、呼び捨てでも良くねぇ?」

照「こ、この!馬鹿!」

京太郎「あははは!ごめんごめん。でもこんなんで動揺するようじゃまだまだだーね」

照「もうっ!もうっ!もうっ!」ポカポカ

京太郎「いって!あは!ごめんって!」

照「~~~~~っ!」

京太郎「で、えっと、なんだっけ。えーっと…」

照「…」

照「…キス…だよ」スッ

京太郎「…へ?」

照「キス」

チュッ


692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/05(日) 05:50:24.48 ID:3N9T8QjYo

照「…」

京太郎「…」

照「…」

京太郎「…」

照「…」

京太郎「…」

照「…」

京太郎「…」

照「…ぷは」

京太郎「…」カチコチ

照「…ふふふ。びっくりした?」

京太郎「…」

照「あー。これは完全に固まってるな。ふふふふふ」

京太郎「…」

照「どうだ。見たか。これが年上のお姉さんの実力だ。まいったか」

京太郎「…ハッ」

照「…ふふ。気付いた?京ちゃん」

京太郎「あ、あわわわわ」オロオロ

照「ふふふ。可愛いなぁ」

京太郎「て、照ちゃ…照ちゃん!」

京太郎「うわ…うわ…やっべえ…俺、今照ちゃんとキス…うわ…うっわ…やべ…うわ…顔あっつ…」

照「あはは。その反応、初キスだったかな?」

京太郎「な、なんだよ、その余裕っぽい反応!まさか照ちゃんコレが初じゃない!?」

照「いや、コレが初だよ」

京太郎「へ?」

照「…ふふふふ。顔アッツイ…駄目だ。もう立ってられない」チジコマリ

京太郎「…」

照「あうううう…恥ずかしい…」

京太郎「…えっと…」

照「マズイ。死ぬ。恥ずかしくて死ぬ。あう。あうううう…」キュー

京太郎(この生き物かわええ…)

照「と、ところで、京ちゃん?」クルッ

京太郎「あ、は、はい」

照「…は、初キス…どうだった?」

京太郎「どうって…」

照「その…き、気持ち良かったとか。男の子の唇って思ったより弾力有ってびっくりしたとか。そういうの」

京太郎(そういう感想だったのか照ちゃんは)


693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/05(日) 05:55:34.83 ID:3N9T8QjYo

京太郎「…あー。そうだなぁ」

照「うん。正直に言って」

京太郎「…まず、照ちゃんが近づいて来る度にどんどんいい匂いがして」

照「うん」

京太郎「すっげー胸がどきどきして」

照「うん」

京太郎「唇が触れた瞬間に、ものすごい柔らかい感触が唇を擽って」

照「うん」

京太郎「照ちゃんの体温を、今まで感じた事が無いくらい身近に感じられて、嬉しくなって」

照「…うんっ!」

京太郎「…」

照「…」

京太郎「…」

照「…京ちゃん?」

京太郎「…ほんのり、ゲロ臭かった」

照「…」

京太郎「…」

照「…」

京太郎「…ごめん」





終わりっ!!


707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/05(日) 13:50:00.63 ID:bBFnb2+uo

乙ー しかしこれは咲と淡ルートにも期待してしまうな


715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 20:10:09.98 ID:6eQ0Rb9Mo

さて、これで『照「京ちゃん、カッコよくなったね」京太郎「えっ!?」』の真ルートを完結とさせて頂きます

何度も浮気したりサッカーに気を取られたり、すみませんでした
完結までちょうど2ヶ月でした。こんな行き当たりばったりの拙いssにここまで根気強く追いかけて下さった皆様方は、本当に我慢強く付き合ってくれたと思います
本当にありがとうございました

ただ、まだこのスレでやったEURO企画の方のssが終わっておりません。それと、何故か一瞬でバレた、並行してやってた腐部屋シリーズの方も

特に前者はこのスレで決まったものですので、ちゃんと賞を取った人に分かるようにしたいと思っております
なので、ちゃんとやったよ!ってのを確認してもらえるように、vipで始める前にこのスレをアナウンス用に残しておきます
最低でもEUROの賞品ssが終わるまでは、もうちょっとだけこのスレを生き延びさせようかなと。あとは浮気してssやった場合の報告などもします
もし良かったら、たまにその確認にでも良いので来てくれると嬉しいです

718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 20:25:25.51 ID:6eQ0Rb9Mo

ちなみにうっすらと考えてる今後の予定としては、

腐部屋

京太郎×アラフォー

玄×灼→レジェンド

腐部屋(完結編)

って感じです。順番は適当に変わるかも知れませんが

それと五輪の優勝予想はしませんし、淡ルートも咲ルートもありません。自分のssで2回も3回も妹やら後輩やらに寝取られたら、照ちゃんが泣きます

ただ、ssちゃんとやったかの確認だけにこんなスレ来るのもあれだろうなーとは思いますので、見捨てられないように今までのssを踏まえた、後日談的な短篇を時たま投下します

本編はなんでか重い話になっちゃったので、緩い感じにします。マジでなんでこうなったかわからん

フザけた無法地帯ノリで適当に思いついたのを投下して行きますので、適当に読んで下さい

それじゃあ、今から考えて1レス投下するで


721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/05(日) 20:51:13.78 ID:6eQ0Rb9Mo

『今更かよ!!』

京太郎「…」モジモジ

照「…」モジモジ

菫「あー…ところで。青臭い青春してるお二人。そろそろいいだろうか」スタスタ

京太郎「おうわぁ!?」ビクッ

照「ひゃっ!?す、菫!いつの間に!」ビクッ

菫「…随分ディープな二人の世界を構築していたんだな。さっきお前らがキスしたあと、神社から降りてきたんだ」

淡「そんな風に言ったら、神様みたいですね。実際は社までの階段の上から降りてきただけですけど」

京太郎「お、おおぼし…」

淡「ああ~ん?何言ってるんですかこの糞野郎は。私の名前はおおぼしです。お・お・ぼ・し。この私の高貴な名前を間違えて覚えてたとか、マジムカつきますね。殺しますよ」

京太郎「あ、す、すみません…」

照「…淡?どうしたの?…さっきの手を出したのといい、もしかして、京ちゃんと、知り合い…だったの?」

淡「ええ。私も驚きましたけどね。まさかまさかの知り合いでした」

照「…まさか、元カノとか」

淡「ご心配なさらず。宮永先輩が思ってるような関係では多分絶対にありません。強いて言うなら、私とコイツの関係は敵同士です。宿敵です。倒すべき相手です」

照「きょ、京ちゃんに手を出さないで…」

淡「出しませんよ。手が穢れます。それにすでに私はコイツを超えたのが確定のようですし、眼中にありません」

京太郎「…」ズーーン

照「…京ちゃん凹んでる。…淡、ぶっとばす」

京太郎「…照ちゃん。いいんだ。俺が悪いんだから」

照「…そう?」

淡「ええ。そうです。コイツが悪いんです。まあ、理由は…いずれ話してあげてもいいですが、今はまだナイショですね」

咲「…お姉ちゃん」

照「あ。…咲」

咲「…」

照「…あ、え、えっと…その…これは…」

咲「…おめでとう。…お似合いだよ。二人とも」

照「…」

京太郎「…って、あー!」

咲・照「「ん?」」

京太郎「そういえば!驚愕の事実!」

咲「え?」

照「何?」

京太郎「二人!姉妹だったんだな!?」

咲・照・淡「「「…」」」

菫「…はぁ」

京太郎「道理で似てるとはなーんか思ってたんだ!なんだよもう!それならそうと早く言ってくれよ!めっちゃビビったぜ…って。あれ?皆さん…?…え。なんですかその『駄目だコイツ』みたいな冷たい目は」タジ…

京太郎「…や、やめて…すみません…ごめんなさい。そんな目で見ないで!いやあああああああ!変な趣味に目覚めちゃうううううううう!!いやああああああああああああ!!!」

淡「キモい!!死ねっ!!!」ゲシッ

終わり


729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/08/05(日) 21:05:27.81 ID:6eQ0Rb9Mo

『反省』

淡「おおほしって言おうとして言い間違えました。これも全て須賀京太郎のせいです。ぐぬぬぬぬ…」

終わり
 


794 :了解 :2012/08/14(火) 01:19:07.84 ID:cIhpsb+yo

思い出したかのように小ネタシリーズー『放課後』

照と京太郎が付き合う事になった日・その放課後
旧校舎にて

京太郎「…ふう。授業終わった。さて、今日も部活頑張ろうかね。…って、まあ、練習っつーより雑用なんですがねー」

京太郎「…ま、しょうがねーよな。もうすぐ全国が近いんだ。弱っちい俺でも、少しでもみんなの力になんなきゃな」

京太郎「…頑張ろ。色々と」

京太郎「…」

京太郎「…うん。行こう」

京太郎「ちわーっす」ガチャッ


和「あ、須賀君」

まこ「ようやっと来たか。いや、来てくれたか」

和「待ってましたよ」

京太郎「…へ?」

和「須賀君にお客さんです」

京太郎「お客さんって…」

照「…」チョコン

京太郎「て…」

照「…はろー」フリフリ

京太郎「照ちゃん!?」

まこ「京ちゃんに会いに来たーっつって、さっきいきなり来てな。どーしても帰る気配無いから、お前さんが来るの待っとったんじゃ…」

和「なんで現チャンピオンがここに…」

京太郎「え?…あれ?…マジで…?え?さっき、朝にあれから別れて、みんなで東京に帰るって…」

照「車がね。どうしても匂いがとれなくて。菫がこんな車で帰れるかー!って。匂いとり切れなかった罰として、私達は記者さんのお金で電車で帰ることになって」

京太郎「なんかよくわかんないけどすっげー気の毒な…」

照「でね。帰りの分の電車賃はもう貰ったから、私は明日の学校に間に合えばいいからってことで、今日は実家に泊まって、明日の朝一で帰る事にしたんだ」

京太郎「はあ…」

照「だから、もうちょっとだけ一緒に居れるよ」

京太郎「…」

照「ふふ…びっくりしたよ。まさか京ちゃんが麻雀部に入ってたなんてね」

京太郎「誰から聞いたんだ?」

照「菫が調べてたみたい」

京太郎「あのスケバン通り越して女帝みたいだった人か。こえー…」

照「ね。私が麻雀教えてあげようか」

京太郎「へ?」

照「ほら、私チャンピオンだし。すごく強いんだよ。ここの部員の人たちの話だと、京ちゃんまだ初心者らしいし…」

京太郎「そ、そりゃあ、教えて貰えるもんなら俺はありがたいけど…」チラッ

和「…一応言っておきますが、私達は同席出来ませんよ?県代表同士が練習試合出来ない大会規定がありますので」

京太郎「うん。知ってる。…って訳だけど。面子もいねーし」

照「…あ」

京太郎「…」
 

798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/08/14(火) 01:35:07.23 ID:cIhpsb+yo

照「しまった。忘れてた…」

京太郎「どーしよっか。何する?」

照「…あー。じゃあ、私、京ちゃんの後ろで見てても良い?京ちゃんの闘牌見てみたい」

京太郎「それも結構…」

和「堂々の敵情視察宣言とほぼ同義なんですが…」

照「…おおう。言われてみれば」

まこ「なんだかのー」

照「…」ショボン

和「目に見えて落ち込んでます…」

まこ「…仕方ない。京太郎、席に着きい」

京太郎「え?」

まこ「今おるはわしとお前と和だけ。サン麻じゃし、そうそう手の内明かすことにはならんじゃろ」

京太郎「え!?」

和「いいんですか?」

まこ「仕方なかろう。なんか死にそうな勢いで顔も青ざめてきとるし。角も元気無くなっとるし。その代わり東風戦一回じゃぞ」

照「!!」パアアア

まこ「その代わり、それで仕舞いじゃぞ」

和「まあ、仕方ないですね」

照「うん…!ありがとう広島弁の人!」

まこ「まあ、たまにはの」

和「それじゃあ、須賀君。席についてください。早速始めましょう」

京太郎「お、おう」

照「頑張って、京ちゃん!」

ガチャッ

「みんなー。おっつかれー!」

照「…あ、誰か来た?」

まこ「なんだ部長か。タイミングの悪い」

和「お疲れ様です。部長」

京太郎「お疲れっす」

久「んー。お疲れー。って…」

照「ん?」クルッ

久「…」

照「…」

久「うおぅ!?チャンピオン!?」ビクッ

照「ひっ!?」ビクッ

照(ヤ、ヤンキー!?) ←元いじめられっ子

久「えー!?うっそ!?なんで!?なんでこの人がこんなトコに!?えー?うっそ。マジで!?」

照(『なんでテメー如きがあたし等のシマに入って来てやがんだよ。テメー正気かコラ。あ!?ナメてんのかマジでおう』!?)

久「うわー。うわー。びびったー。こんなびっくりしたの久しぶりかも…誰かに会いに来たとか?」

照(『テメー、一人でこの部室に来るなんていい度胸じゃねーか。久しぶりに血が見てーぜ。地獄の鬼に会わせてやろうか』!?何言ってるのこの人怖い!!)


806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/08/14(火) 01:50:49.34 ID:cIhpsb+yo

照「」ガタガタ

まこ「なんか怯えちょる」

和「どうしてでしょう?」

京太郎(なんとなく理由分かるけど、言ったら怒られそうで言い出せない…)

京太郎「えーっと…その…その子、俺の連れでして…」

久「あら、そうだったの」

照「」サササッ

まこ(京太郎の背中に隠れた)

和(部長から逃げるように移動しました)

京太郎「…照ちゃん。紹介するよ。この人、うちの部長の竹井久」

久「竹井久です。はじめまして。チャンピオン。須賀君の知り合いだったのね」

照「…よ…ョロシク…」ボソボソ

久(なんだ。同じ宮永姓だから咲に会いに来たのかと思ったのに)

久(…ってか)

久(これって、確実に私、怖がられてるわよね)イヒッ

和(…部長が悪そうに笑ってます)

まこ(あ。これ碌な事にならん)

久「…」ウーーン

京太郎(なんか悪い事企んでる…)

照「」ブルブル

久「…うん」ボソッ

照「…?」

久「…おい、須賀ァ(ドスの利いた声で)」

照「ヒッ!?」ビクビクッ

京太郎「部長…」ハァ

久「なに女の前だからってぼけっと突っ立ってやがる。いつものヤツ買って来いやぁ」

京太郎「いつものヤツって…」

京太郎(この人は…)

照「あうう…」ガタガタ

久「あー…ほら。えっと…タバコと、酒と…えっと、あと、日本刀」

京太郎「日本刀!?」

和「いつもの!?」

まこ「どこにカチコミかます気じゃい!!」

照「あわわわわ」オロオロ

久「あはははは!」

京太郎「ってか、照ちゃんはこんなの信じるなよ…」

和「けど、部長って日本刀似合いそう…」

まこ「おどりゃぁすどりゃぁの世界で切った張ったしてそうな雰囲気は確かにあるが」

久「仁義無き広島弁使いに言われとーない!」

照「…へ?」


807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) [sage]:2012/08/14(火) 01:59:07.45 ID:Xw5fvBh00

消耗品感覚で凄いの出てきたwwww


808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/08/14(火) 01:59:12.57 ID:cIhpsb+yo

種明かし

久「ってわけでしたー」

まこ「コイツは…」

和「すみませんすみません」ペコペコ

照「…」ポカーーーン

京太郎「こういう人なんだ。敵に回さない方がいいぞ」

久「って、まあ、そういう事でしたー。…ごめんね?チャンピオン」

照「…」

まこ「いかん。放心状態じゃ」

和「これは…もうしばらく帰ってきそうにありませんね…」

久「ま、それならそっちのが好都合」

まこ「ん?」

久「流石にチャンプ相手にねー。サンマで東風戦一回とは言え、手の内見せるのはちょっとアレだしー。優勝までの最大のライバルでしょ?」

まこ「…ま、まあ…」

久「じゃ、こうして呆けちゃった以上、ご退場願うのが筋かなー」

まこ「…用心深いやっちゃなー」

和「けど、このままのこの人を一人帰らせるわけにもいかないような…」

照「」ポケーーーー

久「…ん。それもそうか。なら、須賀君」

京太郎「…へ?」

久「この人とはお知り合いなのよね?」

京太郎「…は、はい。まあ」

久「ん。なら、さ。今日はもう部活は良いから」

京太郎「…」

久「この子、おうち…だか、どこだか知らないけど、帰る場所に連れてってあげて」


(取り敢えず)終わり


830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/21(火) 03:05:17.35 ID:D8rn3fNvo

思い出したかのように小ネタシリーズー『かえりみち』

京太郎「…で、なんか部活から追い出されるみたいにして出てきた訳だけど…」

照「…」

京太郎「照ちゃん、この後…」

照「一回、うちに帰る」

京太郎「だよ、ね」

照「うん。お父さんにも一回会っておきたいし、咲にだって…」

京太郎「だよな。せっかくここまで来たんだしな」

照「うん…」

京太郎「…一緒に行こう。送ってくよ」

照「ありがとう」

京太郎「はは…まさかそんな事は無いと思うけど、万が一地元で迷子になられてもアレだしな」

照「…」

照「そ、そんなことは…無いと」

照「…思うよ」ボソッ (←小声)

照(今朝迷ったけど…流石に思い出したし)

京太郎「ん?」

照「なんでもない。行こう」

京太郎「おう」

照「…」

京太郎「…」

照「…」

京太郎「…照ちゃん?」

照「…ね、ねえ、京ちゃん」

京太郎「…ん?」

照「…手、つないでもいいかな」

京太郎「…へ?」

照「やっぱり迷子になるの、怖いから」

京太郎「…」

照「一緒に、歩いて行きたいの」

京太郎「…」

照「…だ、駄目…かな」

京太郎「ん。そうだな。じゃあ、手、繋ごうか」

照「うん。ありがとう」

京太郎「…ってかさー」

照「うん?」

京太郎「俺も照ちゃんの家、うろ覚えしー」

照「ええ!?けど、咲の家だし…」

京太郎「いやあ参った参った。咲の家だろ?ここしばらく行ってなかったしなー」

照「嘘だっ!」


831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/21(火) 03:15:05.70 ID:D8rn3fNvo

京太郎「ホントだって」

照「嘘くさい。だって、今朝先と一緒だったし」

京太郎「さーね?」

照「むう…」

京太郎「だから、さ」スッ

照「…ん?」

京太郎「照ちゃんが、俺の手引っ張ってってくれない?」

照「…」

京太郎「…駄目?」

照「…いいの?」

京太郎「んあ?」

照「私、実は帰り道、うろ覚えかも」

京太郎「俺も覚えてないし、おあいこだ」

照「道間違えるかも」

京太郎「ま、寄り道みたいなもんでしょ。地元だし」

照「迷子は情けないよ?」

京太郎「なんとかなるさ。ついでに面白いもん見っけたりしてな」

照「変なトコに行っちゃうかも」

京太郎「照ちゃんとなら、怖くない」

照「怖い人に会ったらどうする?」

京太郎「照ちゃんの腕、引っ張って逃げる」

照「何処に行く?」

京太郎「何処へでも」

照「そっか。なら、いいや」

京太郎「おう」

照「京ちゃんに手、引っ張ってもらえるなら、それでも良いな」

京太郎「最終手段ですよ?」

照「わかってる」

京太郎「ん。じゃあ、行くか」

照「うん」

照「帰ろう」

京太郎「行こう」

照「私の家へ」

京太郎「照ちゃんの家へ」

照「…」

京太郎「…」

照「…ふふっ」

京太郎「…なんて、あはは、やっぱ照ちゃんも文学少女だ。咲にノリがそっくり…」

照「えいっ!」ギュッ

京太郎「…っ!」」


832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/21(火) 03:20:03.47 ID:D8rn3fNvo

照「…」ギューッ

京太郎「…」

照「…」ギューッ

京太郎「て、照…ちゃん?」

照「私の前で他の子の話題出した罰」

京太郎「…」

照「…妹の咲だからって、許さないよ。私は嫉妬深いんだ」

京太郎「…」

照「だから、罰。京ちゃんはこのまま私をぎゅっ…と抱きしめる事」

京太郎「…」

照「じゃないと拗ねるから」

京太郎「…」

照「わかった?京ちゃん」

京太郎「…」

照「…京ちゃん?」

京太郎「…」

照「あれ?京ちゃ…」

京太郎「それ…」

照「…え?」

京太郎「もう罰でもなんでもねーよな」ギュッ

照「ひゃっ!?」




終わり


839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/21(火) 06:39:15.59 ID:D8rn3fNvo

香川真司マンチェスターユナイテッドデビュー記念小ネタシリーズ『うどん』

京太郎「そして、案の定迷ったという…どこの田んぼ道だここは」

照「あれ…?お、おかしいな。確かに思い出したと思ってたんだけど」

京太郎「あはは…ま、まあ、久しぶりに帰ってきたんだろ?仕方ない仕方ない」

照「うう…も、申し訳ない」

京太郎「いいって。こうして迷っても、照ちゃんと二人きりで歩けるんなら楽しいよ」

照「京ちゃん…」ジーン

京太郎「…」

京太郎(今のはちょっとクサすぎた…)カアアア

照「…うん。私も、楽しいよ」

京太郎「へ?あ、そ、そう?」

照「」コクコク

京太郎「…しかし、そろそろ真面目に軌道修正もしなきゃな。このままじゃ折角部活早退したのに、日が暮れちまう」

照「う…」

京太郎「それに、照ちゃんも歩きっぱじゃ疲れるだろ?」

照「…うん」

京太郎「よし。そうと決まったら、どこか人に道を聞けそうな場所は…」

照「人、歩いてないしね」

京太郎「お?なんだあそこ」

照「え?」

京太郎「ほら、あそこ。なんか旗が出てる」

照「本当だ。あれは…うどん屋?」

京太郎「うどん屋かぁ…そう言えば、腹減ったな」

照「確かに。私もちょっと小腹空いたかも」

京太郎「…寄ってかないか?ついでに道も聞けるかも」

照「うん。いいよ。行こうか」


店内

京太郎「おじゃましまーす」

店員(アフロ)「はいらっしゃーい!」

京太郎「えーっと…二人なんですけど、大丈夫ですか?」

店員「どうぞ空いてますよー。彼女さんとお二人ですか?」

照「かの…!?」ビクッ

京太郎「あ、はい」

照「ひゅあっ!?」クルッ

店員「可愛い彼女さんですねー」

照「ふぁう!?」クルッ

京太郎「えへへ。でしょ~。今日付き合い始めたばっかりなんですよ~」

照「ふうぅうっ!?」クルッ

店員「それはおめでとうございます!それならこのイカの天ぷらサービスしちゃいますよ」

京太郎「ラッキー!ありがとうございます!」


840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/21(火) 06:46:24.70 ID:D8rn3fNvo

店員「ところで、注文決まってます?」

京太郎「ああ、じゃあ、釜玉で」

照「私はぶっか…あっ!ざ、ざるで!!」

京太郎「?」

店員「わかりましたー」

照「…」カアアア

京太郎「どうした?照ちゃん。急に顔真っ赤にして」

照「な、なんでもっ!ないっ!よっ!」

京太郎「はあ…?」

店員「はいおまちー」

照「あ、来た!ほ、ほら京ちゃん、うどん来たよ!」

京太郎「あ、どうもー」

店員「どーぞどーぞ」

京太郎「…うん、美味い。イカの天ぷらも」

照「…。うん、本当だ。美味しいね」

店員「ありがとうございますっ!」

京太郎「驚いたな、こんなに美味い店が近くにあったなんて」

照「私もこっちに居た頃は知らなかった」

店員「最近始めたばっかりでしてね。宣伝が下手だったのか、まだあんまりお客さんも来てくれないんですよ。ガラガラでしょ?」

京太郎「確かに。勿体無い」

店員「だからこうしてお客さんについつい話しかけちゃうんですけどねー」

京太郎「あはは…」

店員「迷惑だったら引っ込んでますが。…もし良かったら、馴れ初めを聞いても?」

京太郎「あっ!聞いてくださいよ!俺が片思いしてたんです。それで、しばらく離れ離れになってたんだけど、色々あって偶然再会して…」

店員「へえ、中々運命的かつドラマチックじゃないですか」

照「そんな。私も京ちゃんのこと、好きだったんだよ?むしろ私の方が先に惚れてたと思うけど…」

店員「おお、流石お熱い!」

京太郎「いーや。それは無いね」

照「え?なんで?」

京太郎「だって、一目惚れだったもん」

照「…」

京太郎「…ね?俺の勝ち」

照「…ううん。残念。私の勝ち」

京太郎「へ?」

照「私、ね。京ちゃんに会う前から、京ちゃんのこと、きっと好きだったから」

京太郎「いや、それって反則だろ。そういう事言うなら、俺は照ちゃんの事前世から好きだったとか言っちゃうぞ」

照「いや、そういうのじゃなしに」

京太郎「?」

照「咲に、京ちゃんの話、聞いてたから」

京太郎「…」


841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/21(火) 06:46:55.19 ID:D8rn3fNvo

照「名前も知らない、顔もわからない、会ったことも無いその頃の『京ちゃん』だったけど」

照「その頃の『京ちゃん』は、私にとっては咲を救ってくれた恩人で、もうとっくに私のヒーローで、憧れの人で」

照「格好良い、初恋の人」

京太郎「…」

照「…だったの」

京太郎「…おうふ」

照「だから、私の勝ち」

京太郎「…参りました」カアアア

照「…は、恥ずかしいなぁ」カアアア

店員「…このわかめの天ぷらはサービスです」スッ





終わり


842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/21(火) 07:00:41.35 ID:smaBh7Cno

ニヤニヤ


843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/21(火) 07:23:17.22 ID:U67O4nm6o

かわいーなーもー!


903
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/09/05(水) 02:37:54.72 ID:Y9Lb1JP3o

お題『腐部屋のてるてるとここの照が遭遇したらどうなるのか見てみたい』

京太郎「…ちゃん。照ちゃん!」

照「…ん?」パチッ

照「…あれ?私…」

京太郎「やっと起きた」

照「…?」キョロキョロ

照(…ここ、どこ?)

京太郎「大丈夫か?うどん食って店出て、歩いてたらいきなり倒れたんだぞ?照ちゃん」

照(うどん?なんでうどんなんて…あれ?私、さっきまでネットしてて、眠くなっちゃって…ああ。やっちゃった。アミバとの口喧嘩中に寝落ちちゃったのか)

照(っていうことは、これは夢かな?ああ、嫌だなぁ。アイツに逃げたって思われてたら)

照(実際は私の優勢だったのに) ※劣勢でした

照「私は…」

照(取り敢えず早く起きなきゃ。変な体制で寝たら体痛くなるし、風邪ひいたら菫にも怒られる…)

京太郎「さっきの店の人に道も聞いたし、ようやく照ちゃんもわかる道に出て、家に帰れる…って、どうしたんだよそんな不思議そうな顔で…」

照(…ん?)

照「…イケメンだ」

京太郎「えっ」

照「…あれ?ここ…長野」キョロキョロ

京太郎「や、やだなぁ、照ちゃん。そんな、いきなりイケメンだなんて、ちょ、恥ずかし…」

照(あどけない感じの可愛い顔した、かなりのイケメン…)

照(この子なら…)

照「ねえ、少年」

京太郎「…はい?」

照「ちょっと質問に答えて欲しいんだけど」

京太郎「…どうしたの?照ちゃん」

照(なんで私の名前を?…まあいいや)

照「大事な話なんだけど」ジーッ

京太郎「う、うん」ドキッ

京太郎(な、なんだ?照ちゃん、なんだか急に雰囲気が…いつものポヤポヤじゃなくって、鷹みたいに鋭い…)

京太郎(こんな照ちゃんも新鮮で良い…!!)

照「挿すのと挿されるの、どっちが好み?」

京太郎「…は?」

照「掘るのと掘られるのでは?」ズイッ

京太郎「…おっしゃってる意味が分かりかねるのですが…」

照「ガチムチの男と、超絶美形な中性的な男、どっちが好み」ズズイッ

京太郎「て、照…さん?」

照「これは、とても大事なことだよ。ねえ、答えて。お願い…!!」ジーッ

京太郎(は、初めて見る…!こんなに力のある照ちゃんの瞳…!!)

京太郎(まるで、ネコ科の大型獣に獲物にされたような緊張感!…肉食系の照ちゃんとかなにそれエロい…!)

京太郎(…けど、なんか俺の本能が全身全霊を持って警報を鳴らしてるぞ!?誰だこの子は!!)


904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/09/05(水) 02:40:01.77 ID:Y9Lb1JP3o

照「ねえ」ズズイッ

京太郎「うぐぐ…」ズサッ

照「ねえ、君。ちょっと。何にもしないから、私と一緒に東京に行かない?」

照「上野駅のトイレに、君にピッタリなデートスポット知ってるんだ。あ、それとも、駅前のサウナに行こうか。大丈夫。足首にロッカーの鍵巻いて、声を掛けてくれた人にホイホイ付いて行ってホテルでその様子をカメラに納めてくれれば…」

京太郎「だ、だだだだだ、誰だお前は!!」

照「…誰?誰って…」

照「宮永照」

京太郎「嘘だっ!!!」

照「ほら、行こう」グイッ

京太郎「ちょっ!?いやぁあ!」

照「ほら、ほら。さあ。行くよ」グイグイ

京太郎「いやあああ!?なんか怖いいいいい!?」

照「不思議だな。普段だったら現実の知らない男の人相手にこんな事したら反撃が怖いから絶対出来ないのに、君にだったらこれぐらいしても大丈夫な気がするよ」ズーリズーリ

京太郎「うおおおおおっ!?なんだ!?照ちゃんなのにこの人力強ええ!?わけわかんねー!」

京太郎「…いや、俺の身体が照ちゃんに逆らうことを拒否してるのか!?おおおおいいいいい俺の身体!!ここは抗え!なんだかよくわかんねえけど、ここは抗わなきゃマズイ場面だあああ!!」

照「よいしょ。よいしょ。あとで動画をすこニャン達にも見せてあげよう。ふふ。私がこんな大手柄を立てたなんて知ったら、アミバは悔しがるぞ」ズーリズーリ

京太郎「いやああああああああああ!!!」

「ま、まて!!」

照「…ああ?」

照「きょ、京ちゃんに手を出すな!」

照「なんだお前は」

照「み、宮永照だ!」

照「宮永照は私だ」

照「違うよ!私だよ!」

照「私だって」

照「だから私…って、もういいよっ!京ちゃんに何をしようとしてたの!」

照「へえ、京ちゃんっていうのかこの子は。何って…ガチホモに目覚めさせるという崇高な使命が」

照「そんなの絶対にゆるさないよ!!」

照「…許さないだと?」

照「そ、そうだよ!京ちゃん嫌がってるじゃない!離してよ!」

照「嫌だね」

照「そ、それに、ホモ…だ、なんて、き、気持ち悪い」

照「なんだと?…お前、言ってはいけないことを言ったな」

照「くっ…!」ビクッ

照「ホモを気持ち悪い?ふざけるなよお前。私を本気で怒らせた。それに弱そうな外見をしているな。潰す」

照「わ、私だって負けないよ!不良っぽい外見してるけど、貴女だって十分弱そうだし!」

照「は?何言ってるんだお前。髪に変な角みたいな癖付けやがって。その角へし折ってやろうか」

照「そ、そっちこそ、どんなに凄んだって、なんだかポカーンとした雰囲気消せてないんだからね!」

照「良い度胸だ。ぶっ飛ばしてやる」ジリッ

照「わ、私だって…京ちゃんを守るためなら…」ジリッ


905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/09/05(水) 02:41:30.00 ID:Y9Lb1JP3o

京太郎(なんなんだこれは)

照「はああああ!!」

照「やああああ!!」

菫「ロン(ダブルラリアット)」ゴシャァ!!

照照「「ごふうっ!!?」」

京太郎「あ、今朝のスケバンの人」

菫「やあ、少年」

照「す、菫…?どうしてここに…」

照「あれ、帰ったんじゃ…」

菫「記者と淡は帰したが、私だけまだ残った」

照「それってもしかして、この異変を察知して、私が心配で…?」キラキラ

菫「いや。観光で」

照「…」

照「す、菫!助けて!なんか変な女が私の邪魔をするんだ!」

照「ち、違うよ菫!この変な女がいきなり京ちゃんを攫おうとして…」

菫「同じ声でしゃべるな。というか、分裂するな。酷く迷惑だ」

照「ぶん…」

照「れつ…?」

菫「なんだ。ドッペルゲンガーか?どっちかあるいはどっちも」

照照「「私、こんなヤツと全然似てない!!」」

京太郎「…」

菫「…めんどくさい」

京太郎「えーっと…俺、多分どっちがどっちかわかるっすけど…」

菫「おお、流石だな」

京太郎「は、はあ…」

菫「けど大丈夫だ」

京太郎「へ?」

菫「取り敢えず、二人共倒すから」

京太郎「たお…」

菫「ロン(腹パン)」ドゴォ!!

照照「「ごふううう!!?」」

照(菫は…)

照(夢のなかでも)

照(怖かった…)

照「」ドサッ

照「」バタッ


906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2012/09/05(水) 02:41:58.68 ID:Y9Lb1JP3o

照「…」

照「…あれ?」パチッ

京太郎「あ、起きた」

照「…京ちゃん?私…」

京太郎「照ちゃん、覚えてない?うどん食べ終わって、俺と店員さんがダベってる間に寝ちゃったんだよ」

照「え…」

京太郎「で、道も聞いたから、照ちゃんおぶってそのルート辿ってる最中」

照「あ…」

京太郎「もうすぐだぜ。家」

照「も、もう、いい…よ。降りるよ。私、自分で歩ける…」

京太郎「もうちょっと」

照「い、いいって…」

京太郎「いいじゃん」

照「だ、だけど…」

京太郎「こうして照ちゃんおぶってると、さ。照ちゃんの重みを感じて」

照「そ、それって、私が重いって事…?」プクッ

京太郎「ははは。ううん。そうじゃなくって…」

照「…じゃあなに」

京太郎「この重さが、この先俺が守んなきゃいけない人の重みかーって。噛み締めてるとこだから」

照「…カッコつけ」ギュッ

京太郎「…へへ」




終わり





 
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