1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 03:10:52.46 ID:GGZD5vCo0

※このスレッドは、datに沈んだ桃子「いつかまた……私と出会って下さいね」 マンゲファイアーの続きです。
  続き物が苦手な方はご注意下さい。今回も落ちたらさすがにSS速報に行きます。


担当「えー、東横さーん。東横桃子さーん」

シーン

担当「……東横さん、いませんねー?」

シーン

担当「……ふむ」

担当(出席確認の時に奇行に走る癖があり、内申が良くない少女ではあったが……)

担当(もう学校に来なくなって随分と経つな……)



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 03:15:56.40 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「ふむ……」

桃子「相変わらず、尋ね人みたいな感じにはなってないようっすね」

桃子「まあ、そんなことされたら、注目度上がっちゃうっすからねえ」

桃子「物理法則をねじ曲げて雨の影響すら回避させられてるっすもんねえ」

桃子「このくらい、想定内っすよ」

桃子「……最後に大暴れしたせいで、誘拐とでも思われたと予想してるっすけど…・・」

桃子「一体どうなってるんっすかねぇ……」

桃子「……」

桃子「たまには自宅に戻りたいっすけど……未練、できちゃうっすからね」



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 03:21:03.14 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「さて……必要な材料は買ったし……」

桃子「そろそろ戻るとするっす」

現在桃子は、長野の山奥に一人不法滞在している。

世界からステルスしつつある桃子にとって、不法滞在くらいはわけなかった。

しかしながら、透明人間ではないので、『明らかに認識されないとおかしな行動』を目前でしてスルーされるということはない。

そのような行動に出た場合、何らかしらのトラブルなどが発生し、その行動そのもの以外に注意を向けられてしまうのだ。

桃子「やっぱり人混みは緊張するっすねえ……」

下手な行動を取ると、そのトラブルで誰かに被害をもたらしかねない。

それゆえに、桃子は山の中で現在は暮らしていた。

桃子「まあ、でも、さすがにコイツは無人販売所じゃ売ってないっすからね~」



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 03:38:02.00 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「先輩と約束して別れてから、ずーっと研究してきたっす」

桃子「私のマン毛ファイアーは、マン毛の形を成していないと効果を発揮しない……」

桃子「ロープに数本編みこんだり、アルコールランプに沈めても効果が無い」

桃子「でも、これなら……」

桃子「一定のマン毛を溶かしこんで作り上げた、このマン毛キャンドルなら!」

桃子「着火部分は純正のマン毛だし、蝋の部分からしっかり手作り!」

桃子「ステルスモモ特性マン毛キャンドルならば!」

桃子「しっかり長時間視認して貰えるのは確認済みっす!」 フフン



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 03:55:51.63 ID:GGZD5vCo0
 
蝋燭には、様々な種類がある。

製法どころか原材料すらものによって大きく異なり、その定義は曖昧と言える。

即ちマン毛を主原料にしても蝋燭という物体は成り立つのである。

溶かした蜜蝋に愛液もしっかりと混ぜ込み熟成してある。

蝋は定期的に街まで買いに出かけており、その際にマン毛キャンドルの性能をテストしていた。

桃子「やはりこれが黄金比率っすね」

それでも、蝋で密度が薄まっている点と、マン毛としての原型が半分ほど崩れているのがあって、

マン毛を直火にかけたときほどの効果はない。

存在感がどんどん薄れているのもあって、一本では、半透明になってしまう。

昔のように踊りなどを付け加えないと幽霊と間違われるほどだ。

しかし、本数を重ねることで、その問題はクリアできる。

桃子「クリスマス会兼先輩のお誕生日会っすからね!」

桃子「歳の数だけこのマン毛キャンドルを挿せば、ちゃんと見てもらえるはずっす!」

桃子「マンゲファイアーの重ねがけっすよ~~!!」



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 04:07:00.01 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「マン毛キャンドルも大分完成してきたっすねー」

桃子「人前じゃマン毛でも燃やさない限り最初から持ってるモノ以外持てないっすからねえ」

桃子「全部独学なのがしんどいっすねえ」

桃子「内職も飽きるっすよ」

桃子「テレビも見られないっすし……」

桃子「っとと、それより」

桃子「えへへー」

桃子「ついでに買ってきたお洋服、着てみるっすよ~♪」



20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 04:16:36.88 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「おめかしモモっす!」

桃子「……」

桃子「とうとう鏡にも映らなくなってきたっすね……」

桃子「まさか自分の目でも鏡越しに見えないとは……」

桃子「服ごと消えるんっすねーやっぱり」

桃子「服だけ浮いてたら面白いんすけど、それだとただの透明人間で目立っちゃうっすもんねえ」 マンゲファイアー

桃子「おっ、いい感じっすねこれ」

桃子「これで先輩も悩殺っすよ!」

桃子「先輩の脳裏と股間に刻み込めるっすよ!」 ムフフフン



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 04:28:04.58 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「うーん……先輩へのプロポーズの言葉、どんなのがいいっすかねぇ」

桃子「ベタなのがいいっすかねえ、先輩ちょっと古風な所あるっすし」

桃子「毎朝私のために味噌汁を作って欲しいっす!」

桃子「……とか?」

桃子「でも私、朝はパン派なんっすよね~」

桃子「毎朝私のためにトースト焼いてほしいっす!とか……」

桃子「でもトーストとか、トースターに放り込むだけっすよね」

桃子「うーん、結構手間をかけるようなので、私がほしいもの……」

桃子「……」

桃子「……毎晩私のために子供を作って欲しいっす!」

桃子「うん、これっすね」



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 04:38:33.99 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「あー、待ちきれないっすねえ」

桃子「どんな一日にしようかなあ……」

桃子「マン毛キャンドルに囲まれてないと駄目っすから、ショッピングは難しいっすよねえ」

桃子「映画とかも見たいっすけど、やっぱりお喋りがしたいっすね」

桃子「あれからのこと、たくさん話したいっす」

桃子「大学のことも色々聞きたいところっすね~」

桃子「あの帽子のお友達とか元気にしてるんっすかね」

桃子「……蒲原元部長とか、今勉強してるんすかねえ」

桃子「たくさん……お喋りしたいっすねえ……」

桃子「もう先輩の隠し撮り動画に話しかけるのも疲れたっすよ……」



27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 04:49:02.89 ID:GGZD5vCo0
 
【誕生日当日】

桃子「ふう」

桃子「いい朝っすね~」

桃子「とりあえずマン毛キャンドルを鞄に詰めて……」

桃子「まだちょっと早いっすけど、街に出るとするっすかね」

桃子「先輩のお家が親御さんいなくなるまでまだあるし……」

桃子「少し、デパートでも見るとするっす」

桃子「いざトラブルが起きそうなら、まだわずかに残ったマン毛を燃やせばいいっすからね」

桃子「……下の毛用育毛剤とか出てないっすかねえ」



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 04:56:11.07 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「あー」

桃子「変なモノならドンキかなーって思ったっすけど……」

桃子「やっぱり育マン毛剤は置いてないっすねえ……」

桃子「デパートにも全然ないし……」

桃子「まあ、しばらくドンキで時間潰すとするっす」

桃子「ドンキの迷路みたいな構造なら、トラブルにもなりにくいはず」

桃子「元々人に見つかりにくいっすからね、無理やりミスディレクションになるようなトラブルが発生する心配はあんまりないっすよ」

桃子「……」

桃子「やっぱり一人で喋るのって寂しいっすね……」

桃子「独り言にツッコんでくれる蒲原元部長達の存在が懐かしいっす……」



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 05:03:02.57 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「……あれは……」

久「ふーむ」

久「このマッサージ器、どうなのかしらねえ」

桃子「上用っすか、下用っすか?」

久「……美穂子には大きすぎるかしら」

桃子「夜用っすね? 夜用なんっすね!?」

久「やっぱりイブらしく真っ赤なクリスマスカラーに染まるくらいのサイズがいいのかしら」

桃子「優しくしてあげるべきじゃないっすかね……」

桃子「……」

桃子「やっぱり聞こえてないっすねえ」

桃子「……それにしても、何で一人ぶつぶつ言ってるんすかねこの人」

桃子「まぁ私も人のことは言えないっすけど」



33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 05:08:25.51 ID:W+rd8McJ0

キャップにげて



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 05:15:55.34 ID:GGZD5vCo0
 
棟居「何をぶつぶつ言っているんだ?」

久「あら~~~お久しぶり」

久「学祭ではお世話になったわねー」

久「いやー、ちょっと悩んでて~~」

桃子「こ、この女っ……!」

桃子「独り言は、全てこのための布石……!」

桃子「私達のような暇人は高確率でドンキで遊ぶ!」

桃子「それを見越して、誰かしら暇な知人が通り掛かるのを待ってやがったっすね……!」

桃子「知人が露骨に困ってそうに呟いてたら思わず気にはしちゃうっすからね……」

桃子「しかも、わざわざ大人の玩具コーナーで張っていたってことは……」

久「そういえば…・・・」

久「今日は、学祭の時にいた目つきの悪い彼女さんは一緒じゃないの?」 ニコニコ

桃子(や、やっぱり!)

桃子(クリスマス前に恋人に飢えたあとが面倒な独り身でなく……)

桃子(既に恋人が居るやつを、後腐れなく一回ポッキリの浮気として食う気っすね!?)



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 05:26:04.32 ID:GGZD5vCo0
 
棟居「ああ」

棟居「あいつなら、デパートで買い物をしている」

久「あら、一緒に行かないの?」

久「倦怠期かしら?」

久「同じものばかり食べ続けてると飽きが来ちゃうものね」

久「それでも、捨てるのは嫌なんでしょ?」

久「そういう時は合間に違うものを挟むことによって、味に新鮮さが戻り食べられるようになるものなのよ?」 ウフフ

桃子「先輩のお友達さん、この人の話まともに聞いたら駄目っすよ」

桃子「何なら右目くらい潰していいっすよ、指で」

棟居「……あいにく、私とアイツはまだそんな冷えきった関係じゃないんでね」

棟居「おそらくクリスマスプレゼントを買いたいんだろう」

棟居「一緒に回られると困る、と言わんばかりだったから、適当に理由を付けて別行動を取ってあげたまでだ」

棟居「ドンキなら時間つぶしに最適だしな」

桃子「立ち読みしようにも近場の書店もコンビニもしっかりビニール紐で縛られてるっすもんねえ……」



37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 05:31:30.28 ID:GGZD5vCo0
 
久「あら、それは残念」

棟居「まったく……」

棟居「……」

棟居「傲慢な勘違いかもしれないが……」

棟居「私を狙っているのなら、無意味だぞ」

久「あら、ばれてた?」

棟居「そりゃあな」

久(まあ、貴女を狙っていたというか、一定の可愛さ持った娘は皆狙ってたって感じだけど)

桃子「うーん、何か蹴り飛ばした方がいい気がするけど、当たらないんっすよねえ……」

桃子「何かしらの見えざる力が働いて蹴りが当たらないか、あたっても気づかれないか……」

桃子「蹴りのダメージから私に気付くことのないように天井落ちてきて全身ダメージとかされても困るっすからねえ」

桃子「誰か代わりにこの女ひっぱたくべきっすよ」

久「じゃあ直球で言うわ、私と浮気しない?」

久「私ネコもタチもいけるし、SやMからマニアックなのもいけるわよ?」

桃子「ダメだこの人ひっぱたいても喜びそう」



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 05:40:27.95 ID:GGZD5vCo0
 
久「ちぇー」

久「浮気とかしたりしないのー?」

棟居「当然だろ……」

棟居「まったく、何か困ってるのかと思って声をかけて損をした」

久「人恋しくて困ってるわよぉ」

棟居「あのなぁ」

棟居「私達にそんな積み重ねなんてないだろうが」

久「あら、積み重ねないからこその退廃的快楽だってあるわよ?」

棟居「まったく……」 パカ

棟居「加治木からお前の恋人の番号聞いておいてよかったよ」 ピポパポペ

久「え」

棟居「密告はどうかと思ったが、まあ、これはこれで退廃的快楽があるな」

久「いやん待ってお姉さま」



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 05:48:08.93 ID:GGZD5vCo0
 
棟居「まったく……」 パタン

棟居「私はもう行くぞ」

棟居「そろそろアイツの買い物も終わるだろうしな」

桃子「いやー、相変わらず清澄の部長さんは軽いっすね……」

桃子「……」

桃子「この人も、蒲原元部長みたいに変な気配察知能力ありそうで怖いんっすよねえ」

桃子「私が無臭になっても何となくで臭いを察知しようと蒲原元部長が鼻をきかせた途端……」

桃子「大宇宙の意志なのか、必ず誰かが屁をこいて鼻を潰したりってことがあったっすから」

桃子「この人も意味の分からない第六感でこっちを見つけようとして、変なトラブルが発生しそうで怖いっすよ」

桃子「とりあえずこの二人からはもう離れ――――」

久「でもさあ、浮気したいと思ったこととかないの?」

棟居「しつこいぞ」

久「例えば、ゆみ相手にちょっとくらっと来たりとかさ」

桃子「!?」

桃子「……や、やっぱり、先輩との話のタネにするためにも、後をつけておきたいっすね!!」



41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 06:01:00.84 ID:GGZD5vCo0
 
恵「あ、大将」

棟居「ああ、お待t――」

久「お待たせー!」 ウフフフフー

棟居「……真っ先に駆け寄るのはまぁ良しとしよう」

棟居「何で今スムーズにハグしようとした」

久「痛い痛い思った以上にベアハッグ痛い強い痛いって!!」

恵「あ、あの、大将」

恵「この人って……」

棟居「ああ」

棟居「二年連続お前が負けた清澄高校の、去年私が負けた時の部長だった奴だ」

恵「うっ……トラウマが……」

棟居「学祭で声をかけられて半ば無理やりラインを交換させられててな」

棟居「さっきドンキでばったり会ったんだ」

久「いやー、運命ってやつね。赤い糸で結ばれてるのかしら」

棟居「そんな糸さっさと燃やすから帰っていいからなお前」



44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 06:17:41.66 ID:GGZD5vCo0
 
恵「ちょ、た、大将は、アレですからね」

恵「そ、その、わ、私が……」

桃子「あー……可哀想に」

桃子「半泣きじゃないっすか」

久(おちょくりすぎたかしら……)

恵「私が幸せにするんですからーーーー!!」

ざわ……

棟居「な……!」

久「ひゅーっ」

恵「あ……///」 カァァァァ

桃子「また豪快に告ったっすねぇ……」

桃子「ああ……先輩の熱い求愛を思い出すっす」

桃子「私は君がほしい――そう言ってくれた先輩も、こんな感じだったんっすかねー」

桃子「客観的な立場で見ると、なるほどこれは恥ずかしいっすね」



45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 06:30:50.59 ID:GGZD5vCo0
 
恵「え、ええとですね、これは、その……」 アタフタ

棟居「……」 ハァ

棟居「そういうのは、一応先輩として、こっちから言わねばとは思っていたんだがな」

恵「え……」

桃子「お? お?」

棟居「……クリスマスイブの前に、先手を打たれるとは思っていなかったぞ」

恵「そ、そそそそれって……」

久「貴女を愛してる……っていうことよ」 ギュッ



ゴスッ



久「ちょっとしたジョークじゃない何も本気で殴らんでも」

桃子「めちゃいい音したっすね」

久「めっちゃ注目集めちゃってるし鼻血止まらないし」

棟居「そうか、そのままわかった死ね」



46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 06:44:45.68 ID:GGZD5vCo0
 
久「まあ、しかし、これで無事二人はカップルなのね」

久「結果的に仲人になった私に感謝してもいいのよ」

棟居「はいはいありがとう」

久「リアクション冷たくない?」

棟居「ここまで相手してやってるだけ感謝されてもいいと思うんだが」

桃子「まあ、普通はシカトっすもんね」

久「じゃあ感謝の印に靴でも舐めるわ」

棟居「やめろ」

久「何ならもっと汚いところでも喜んで舐めるわよ?」

久「例えば」

棟居「言うな」

久「例えばマ」

棟居「言うなっつってんだろ!」

久「舐めようとしてるトコで膝はひどくない……?」 ハナヂドクドク

桃子「舐めようとしなきゃ膝なんて多分飛んでこなかったっすよ……」



48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 07:09:05.00 ID:GGZD5vCo0
 
久「まぁまぁ」

久「愛は障害があるほど燃え上がるし、平坦なだけじゃ飽きが来るわよ?」

久「たまには浮気も必要よ」

桃子「始まったばかりっすよこの二人」

久「何なら二人まとめて面倒見てあげるから」

恵「だ、だめです!」

恵「た、大将はもう私のなんでさぁ!」 バクバク

桃子「うーん、怯えてるっすねえ」

桃子「初々しいっすねえ」

桃子「私もこんな風に緊張したら先輩もドッキンばぐばぐしてくれるっすかねー」

久「まあまあ、寝取られも一度味わうとくせになるかもしれないわよ?」

久「そういうジャンルだってあるし」

恵「ひ、ひとのものをとったらどろぼう!」

久「泥棒扱いなんてなんだい、よ」

恵「捕まえてこの人」



49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 07:11:04.43 ID:aM3v5bOU0

ナチュラルに畜生な部長



50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 07:26:51.44 ID:GGZD5vCo0
 
智美「何か騒がしいなー」 ワハハ

桃子「げえっ、蒲原元部長!?」

桃子「もう12月でヤバいこの時期に……」

桃子「この人こそ捕まえてでも勉強させないとヤバいんじゃあ……」

佳織「あれ、あそこにいるのって……」

智美「あー、清澄の元部長だなー」 ワハハ

桃子「!?」

桃子「まさか勉強もしないでウィンターデートっすか!?」

桃子「うらやまけしからんっすね」

桃子「関係がどうなってるのか根掘り葉掘り聞きたいっすね」

桃子「視認されないし、尾行でしか情報手に入らないのが惜しいっすね……」



51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 07:38:01.59 ID:GGZD5vCo0
 
久「あら」

久「学祭ぶりね」

智美「そうだなー」

智美「一応浪人生だからな、ちょこちょこ勉強もしてたからそんなに出歩けなくてなー」

佳織「ちょこちょこ?」

恵「そんなに……?」

棟居「しっかりと勉強しろ」

桃子「絶対皆が思ってる以上の頻度で遊びに出歩いてるっすよねこれ」

智美「今日は、友達の誕生日だから、ちょっとだけ出てきたんだ」

久「ああ、今日はゆみの誕生日だもんね」

佳織「あ、ご存知だったんですね」

久「ええ」

久「ラインに冗談交じりでウインク投げキッス写メ送ったら既読放置されたわ……」

智美「悪い意味で大学生に染まってきてるなー」 ワハハ

桃子「元部長も悪い意味での浪人生に染まりつつある気がするっすけどね……」



62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 07:58:44.34 ID:GGZD5vCo0
 
智美「しかしすごい騒ぎだなー」

桃子「まあ、大声告白ショーからの、大きな音での殴打音っすからねえ」

桃子「おかげで本当に皆私に気付かない気付かない」

智美「思わず野次馬しちゃったぞー」

佳織「その、お、おめでとうございます」

恵「え、あ、いや///」

棟居「……あー、それより、だ」 コホン

棟居「加治木もいるのか?」

棟居「一声くらいかけておこうと思うのだが……」

桃子「ぐむむ……」

桃子「ま、まさか浮気云々とかいう話を真に受けて先輩と浮気する気じゃあ……」

智美「ゆみちんなら、さっきむっきーと育毛剤コーナー見てたぞ」

棟居「えっ」

久「額が広いの、気にしてたのね……確かにハゲの素質で満ちてたけど・・…」

桃子「誰か私の代わりにコイツ殴ってほしいんすけど」



63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 08:04:59.24 ID:GGZD5vCo0
 
久「……って、あれ?」

久「ゆみ、津山さんと二人なの?」

桃子「!?」

桃子「まさかの伏兵っすか!?」

智美「多分思ってるような関係じゃないぞー」 ワハハ

智美「……ま、色々あるのさ」

佳織「桃子さんは、午後から加治木先輩とデートなんです」

智美「だからその前に私らは私らで祝ってやろうってなってな」 ワハハ

智美「……それに……」

智美「モモとはゆみちん以外あんまり会えないみたいだしなー……」 ワハハ…

久「へ? そうなの?」

智美「……ああ」

智美「色々複雑なのさ」

智美「それで、モモに渡してほしいものや……伝えたい言葉をゆみちんに託しておこうかなと」 ワハハ

桃子「……」



64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 08:18:44.02 ID:GGZD5vCo0
 
久「それじゃ、私も会いに行こうかしら」

智美「え」

久「あら、駄目なの?」

棟居「しれっと言ってのける神経の図太さだけは評価する」

佳織「あっ」

久「ん?」

久「あら、向こうから来たのねー」

久「ゆ~~~み~~~~~」

桃子「……!」 ババッ

桃子「お、思わず隠れてしまったっす……」

桃子「ううう……もう長い間生先輩を絶ってたっすからねえ……」

桃子「欲望を抑える自信、ないっすよぉ」

桃子「さすがに体に触れようとすると色々不都合起きそうっすし……」

桃子「ああああああ早く夜が来て欲しいっす」 グッチュグッチュ



66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 08:25:48.44 ID:GGZD5vCo0
 
ウォォォォォォォォォォォォ

ゆみ「!?」 ビックゥ

久「何事!?」

佳織「あっちの方、すごい歓声上がってる……」

睦月「あ、こ、ここにいたんですか!」 タッタッタッタッタッ

睦月「た、大変です!」 ハァハァ

智美「どうしたーむっきー」

智美「トイレでも詰まらせたかー?」

睦月「ち、違いますよ! してきたのは小さい方ですから!」

ゆみ「落ち着け」

久「それよりどうかしたの?」

久「お姉さんに何があったのか話してごらんなさい」

ゆみ「人の可愛い後輩に手を出さないでくれよ?」

久「うわぁ普通に対応しただけなのにこの扱い」

智美「日頃の行いって大事だなー」 ワハハ



68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 08:55:31.42 ID:GGZD5vCo0
 
ちゃちゃのん「わぁ~~~~」

ちゃちゃのん「これが長野名物おやきかいのう!」 ハフハフ

ゆみ「……あれがどうかしたのか?」

佳織「……誰……?」

久「太もも舐めたい」

睦月「え、正気ですか。特に中堅務めた人」

睦月「去年インハイに出て、アイドル雀士としてテレビにも出てる佐々野いちごちゃんですよ!」

睦月「関西ローカルですけど、はやりんが司会務める番組にレギュラー出演してる、あの!」

ゆみ「……」

棟居「……わかるか?」

恵「いえ……」

睦月「ええーーーーー!?」

睦月「こっちでも深夜放送してるじゃないですか!」

睦月「ほら、麻雀での収支分だけスタッフに貰って日本旅行する、あの……!」

睦月「いちごちゃん、プロ麻雀煎餅でも何気に登場したんですよ!」



71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 09:04:19.98 ID:GGZD5vCo0
 
ゆみ「完全に煎餅で覚えただろお前」

睦月「番組自体も面白いんですよ!」

智美「そういえば、むっきー、ツイッターでよく番組の実況してたなー」

睦月「えっ」

佳織「そうなの……?」

智美「いっつもゲームやめて寝ようかなーってパソコン切ろうとするとタイムライン埋まっててさー」

ゆみ「ゲームやめろ勉強しろ」

睦月「えっ、ていうかID教えてな……えっ」

恵「これもロケっぽいっすねえ」

棟居「すごいカメラだな……」

恵「そんでもってすごい数のファンっすねえ」

ゆみ「久が既にあの輪に混ざって写メ撮ってるのが何よりの驚きだけどな」

棟居「フットワーク軽すぎるだろ……」

恵「あ、ローアングルから撮り過ぎてしょっぴかれた」

棟居「アホだな……」



75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 09:26:08.05 ID:GGZD5vCo0
 
久「……!」

智美「目で必死に助けを訴えてきてるな」

棟居「目線は完全に加治木だな」

ゆみ「……はぁ……」

ゆみ「わかったよ、連れとして頭下げてくる」

ゆみ「ったく、何で誕生日にこんなことを……」

智美「ワハハ、災難だったなー」

棟居「でもちゃんと行ってやるんだな」

ゆみ「まあ、大声あげて助け求めて撮影の邪魔するようだったら放置してたが……」

ゆみ「その辺ちゃんと気を使ってたしなあ……」

ゆみ「見捨てても夢見が悪いし、大人数で行くのも何だから、とりあえず代表して行ってくる」

智美「いーってらー」 ワハハ



77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 09:42:23.92 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「……」 ヒョコ

桃子「先輩、どっか行くんすかね」

桃子「……」

桃子(思わず忍び込んだトコがイベントで入ってる有名店だったっすからねえ)

桃子(ついつい、これが皆に認識されなくなる前の最後の悪事だから許されるかもーって思って……)

桃子(ちょこーっと、レシピ眺めちゃったっすよ)

桃子(先輩に、最後に作ってあげたいっすからね~~)

桃子(……まあ、難しそうすぎて、もう出来る気しないっすけど)

桃子(手の動き異常だったっすもんねえ)

桃子(レシピ探すのに時間食ったし、さすがにバッタンバッタン開いたら気づくからか)

桃子(パティシエさんどっか行っちゃってるっすからねえ)

桃子(これ以上居ると影響妨害になりそうっす)

桃子(そろそろ、ここから出――――)



79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 09:54:06.95 ID:GGZD5vCo0
 
桃子(なっ……あのテレビカメラ、こっちに向かってくる!?)

桃子(カメラの前を横切れるっすかね……)

桃子(反射の関係とか、映像の不具合とかで映像に映らないのは、電気屋で実験済みっすけど……)

桃子(生放送だとして、そのレベルの機材相手にも通じるのか……)

ちゃちゃのん「次は、あのお店じゃ~~~!」

ちゃちゃのん「昨日はちゃちゃのん、圧勝じゃったからなー」

ちゃちゃのん「ちょーっと、スイーツ食っても許されるじゃろーw」

スタッフ「いちごさん、あんま使いすぎると明日負けたら野宿ですよw」

ワハハハハハハ

桃子(ま、まずいっすよぉ!)

桃子(明らかにこの店を映してる……)

桃子(人間だけならあのアイドル崩れに注目が行ってて誤魔化せるかもしれないっすけど……)

桃子(カメラ相手となると別!)

桃子(部外者が関係者以外立ち入り禁止の扉から出てくるなんて、ちょっとした衝撃映像)

桃子(何かしらのミスディレクションが発生しない限り、間違いなく見つかるレベル!)



82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 10:13:20.55 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「くっ……」

桃子「さすがにまずいっすね……」

桃子「あれだけの人数の目をくらませるミスディレクションが発生するとなると……」

桃子「……下手したら、けが人くらい出ちゃうっすよ」

桃子「……」

桃子「しかたないっすね……」

桃子「口惜しいっすけど、練習用で作ってたマン毛キャンドルに火を点けるっす」

桃子「……マンドルって略したら何か卑猥なアイドルみたいっすねえ」

桃子「あのアイドルの娘も、芸能界の闇に染まってるんっすかね……」

桃子「……」

桃子「とと、そんな場合じゃないっすね」

桃子「火、火……と」



83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 10:32:51.26 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「先輩とのお祝いに使う分を除くと、これが最後のマン毛っす」

桃子「さらば、私のほぼ最後の毛!!」 


                   ,..._
          ,.r-、 ,ry    ヒ;;;::}
      ィt:、 ,:'::::// '''´     ,、.、  ,..,..._
      {:::}::}/::::r'ノィー::、    ヾ、゙、//::::jr;::、
     ,rヾ''"ゞ=' 'ヾ.....⊃'     ヽ''ヾ:、::;' `''",.=-、
     ー'’._ ,r'う {::jj ,.、、 _,...::::::''ヽ  ,.,´  {{::::::::ヽ.
    ,;'"'" ̄ヾ´,.., r::';;〃l'l::::;;:::::::f'_ ヾ'〃) `ヾ::::::/
   〈::::::::/ノ ヾ,jヽ='. ,,ヽへ-(ヾ::゙、 ゞ',.,.、 //::::/   マンゲファイアー
    ヾ:::::゙、゙、 {{) {:::jj' ",,,,、 c;、ヽ='  ゙、::゙;ヾヾ/_
    ヾ::::/:ノ ,,,,_ (:ヾ'''⊆|:::::|P,r,r:、 ,:'''7  ``' ゙/〃
     ゙ー' /:::::;}}`",.,rt:、゙´ //::::/ ゙ー',.r::::、  _`'’
     r:::、、ヾ-''n.く:::;:::゙、゙、 ヾー' { ̄:::::ノ!,ィ'r':::|
     |::::::| |''ヽ`_,,.`'ヘ;r'ノ,..-:、_ _ `='-'" | |:::::|
  ___.   |::::::| |_`__|`ii'"''" /7 i'i::l´______|_|:::::|
___|:::「____|:::::::`::::::::::::::::::::}}f´ヽ、`,..,゙、}:::::::::::::::::::::::::::|
 ̄ ̄ ̄| ̄|::::::::::::::::::::::::::ゞヾ;;;jj{{;;;ノ{{:::::::::::::::::::::::::::|
:::::: [][]::|:::::|:_i二二二ユ;;::「   ,...., ,f;ノ「 ̄ ̄ ̄「|::::||ヾ ̄ ̄ ̄
、,...... ._: |:::::|]]]]]]]]]]]]]]]'i||__ ヾ-’_|::::|_____」」;;;;||_ `ヽ、_
,I、ー'_,!::| :::|--------/'|::::::'゙、 ,i'j:::::::::::::::::::::::::| ヽ...|、`ヽ、 |lllll
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TTTTTTTTTTTTTT:::;' :|l'| ̄ ̄「「「ニ|ニf(二二..))\ `゙、===
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ニニニニニニニニ]' ::::|.|'|::::::::::::::|.|.|..|ヾ.| : :::::::::::::|゙、  `、!::::::  



85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 10:46:07.63 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「ふぁ!?」

桃子「な、なんっすか今の半端無い揺れは!?」

東横桃子は――――もはや、この世に痕跡を残せないくらい存在が薄れていた。

至近距離で観察しても気づかれないほど。

そして、気付かれなくてはおかしい状況になると、大宇宙の意志が働き気付きそうな者をミスディレクションする。

そこまでは、桃子も認識していたが――

末期である今、桃子の希薄な存在は更に上のものになっている。

それは、『そこにいた痕跡を残すことすら許されない』だ。

カメラに映ることはないし、電話やメールを媒介にして何かを残すことも出来ない。

例え下の毛を燃やしていたとしても、一定以上の存在記録は残せないのだ。

例えば加治木ゆみとのデートのように、個人的な思い出は残せる。

加治木ゆみとのプライベート写真のように、個人的な記録は残せる。

しかし、例えば下の毛燃やして世紀の大虐殺を行うといったような、世界中の人の記憶と記録に残す行動。

それは許されず、大宇宙の意志によって阻害される。

皆が『目の前にいてもスルーする』存在から逸脱することは許されていないのだ。



86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 10:57:42.04 ID:GGZD5vCo0
 
桃子は侮っていた。

そこまで存在感が磨り減った自分を、他人に認識させてくれるマンゲファイアーの威力を。

その圧倒的インパクトを。

デカパイ美少女が、手作りのマン毛キャンドルを燃やしながらいきなり扉を飛び出す。

ちょっとした衝撃映像である。それも、電波に乗せても大丈夫なタイプの。

佐々野いちごのリアクション次第では、有名深夜ローカルで、思いっきりピックアップされる可能性すらある。

多くの人の目に触れ、実況スレやツイッターで晒されることになるだろう。

そうなれば、ちょっとした有名人だ。

存在感を、取り戻せてしまう。

しかし、もう、桃子は存在感を得てはいけないのだ。

一生分の存在感を消費し尽くした桃子は、もはや穴の空いたバケツなのだ。

ガッバガバのバケツに水を並々注ぐわけにはいかないのだ。

神の見えざる手が、その未来を潰しにかかる。



87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 11:09:09.84 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「な、何事っすか!?」

思いっきり飛び出しても、誰もモモに注目しない。

テレビカメラはスクープを求め駆け出すし、人々は驚き戸惑っている。

棟居「でかかったぞ……」

佳織「何かの爆発……でしょうか……」

デパートで行われていた物産展。

その業者の1つが使用しているボンベの予備が、倉庫で爆発したようだった。

原因は、現状不明。

桃子には一生知る由が無いだろう。

そして、桃子の存在消滅の煽りを受けて、誰かが爆発の責任を取らされてしまうのだろう。

パティシエが、桃子が長時間厨房を好き放題出来るよう、理由は桃子には分からないがここから追い出されたように。

桃子が何かする度に、こうして誰かが煽りを受けてしまうのだ。

マン毛を、燃やさない限り。



88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 11:22:33.33 ID:GGZD5vCo0
 
恵「何か、爆発したっぽいっすよ」

棟居「はぁ?」

佳織「そ、そそそそれって不味いんじゃ……」

智美「まあ、よくはないだろうなー」 チンチロリン

佳織「何写メってるの!?」

智美「ツイートツイート」 ワハハー

睦月「あ、誘導始まりましたね」

智美「割りとみんなパニクってないなー」

智美「写真にも、トラブってるって感じが全然映らん」

睦月「目の前で火の手が上がったわけじゃないからですかね」

棟居「野次馬で見に行こうとして制止されてる人もいるくらいだしな」

棟居「まあ、パニックにならず避難できるならそれにこしたことはあるまい」

ちゃちゃのん「あ、あわわわわわわ」 ヒーン

棟居「……一部、ものすごくパニクってるのもいるがな……」

睦月(写メったら不味いかな……) キュン



89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 11:39:00.10 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「……」

桃子(パニックにはなってない……)

桃子(まあ、大パニックで死亡者多数とかになったら、大々的に報道もされるっすからね……)

桃子(……)

桃子「あ、蒲原元部長!」 マンゲファイアーナウ

智美「おお、モモ!」

智美「モモもいたのか!」

恵「……何で蝋燭?」

棟居「怪段から先は人が多いし、火は消した方がいいぞ」

桃子「それより!」 スティールマンゲバーン

桃子「先輩はどこっすか!?」 マンゲメラメラ

智美「ゆみちんなら、迷惑防止条例違反で連れて行かれたヒッサを迎えにどっか行ったなあ」



90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 11:43:57.15 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「ぐっ……」 マンゲボーボー

桃子「……」 マンゲファイアー

桃子「心配だから、私、見てくるっす!」 マンゲモエー

智美「あ、モモ!?」

桃子「これ、あげるっす!」 マンゲチンカ

桃子「……私からの、餞別っす」 ダッ

智美「あ、おい、モモ!?」

棟居「何故沈下した蝋燭なんかを……」

恵「……っていうか、これ……」 ウッ

睦月「……」

智美「……」

智美(モモ……)



92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 11:51:18.67 ID:GGZD5vCo0
 
桃子(嫌な予感がするっす……)

桃子(とてつもなく、嫌な予感が……)

桃子(パニック1つなってない状況が、逆に嫌な予感を感じさせるっす……)

桃子(……)

桃子「消防車……もう来たんっすか……」

桃子(……)

桃子(ステルス性能のテストで……)

桃子(ここは探検したことがある)

桃子(先輩達が説教されてるんだとしたら、奥の事務所のどこか!)

桃子(ステルスモードを全開にして、一気にそこまで駆けるッ!)



93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 12:00:51.24 ID:GGZD5vCo0
 
桃子(……)

桃子(さっきから事務所方面人いないっすね……)

桃子(スタッフ総出で慌てて避難誘導って感じっすか)

桃子(……)

ドンドンドンドンドン

桃子「?」

桃子「あそこのドア……」

桃子「爆発の衝撃で倒れたロッカーがドアを塞いじゃってるっすね……」

アケテーオネガーイ

桃子「この声……竹井さんっすか!?」

久「怪我してる子がいるのよ!」

桃子「!?」

桃子「せ、先輩、今助けるっす!」



94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 12:08:30.66 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「今……開けるっすよぉ!」

この時、室内の竹井久はドアノブを何度もひねりながら、体当たりを繰り返していた。

中からは外の様子が分からないのも、一層今の状態が危険であると久に思わせている。

それ故に全力で体当たりをしていたのだが――

久「うわっ!?」

桃子がロッカーをずらしたため、扉が開き、久がノブを握ったままバランスを崩す。

桃子「先輩!!」

そのまま久を気にせず突入した桃子により更に体が弾き飛ばされ、久が尻もちを突いた。

バキ、という音を立て、ドアノブが破損する。

久「あ、開いたわよ、ゆみ!」

事態をいまいち把握できていない――ステルス中のモモの仕業ゆえ把握できるはずもない――久。

怪我をしている久にそのことを伝え励まそうと振り返り、ゆみを担いで外に出すべく駆け寄った。

その際、勢い良く開かれた反動で、ドアが跳ね返り再び閉じてしまった。

がしゃん、という音に振り返り、久の顔が青く染まる。

『桃子が扉を開けたから、脱出できるようになった』という、桃子の行動が影響する未来が潰えた瞬間であった。



95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 12:11:02.53 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「先輩!! 先輩!!」

久「はあ!? ちょ、冗談でしょ!?」

桃子「ちょ、血が……!」

久「何なのよこれ! 誰もそんなピタゴラスイッチ求めちゃいないから!!」

桃子「一体何でこんな……!」

久「くっ……ノブが……」

久「ちょっと、誰か!!」 ドンドンドン

桃子「あああ先輩ぃぃぃ……」

久「ねえ、誰かいないの!?」 ドンドンドン

桃子「ど、どうしてこんなことに……」

久「どうなってるのよこれぇ!」 ドンドンドンドンドンドンドン

桃子「やかましいっすよ!」 マンゲファイアーキーーーック

久「あたーーーー!?」 ドゴォ



96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 12:14:38.38 ID:GGZD5vCo0
 
久「あれ!? モモちゃん!?」

桃子「何してるんっすか!」

桃子「っていうか、何でこんなことになってるんすか!」

久「あ、いや、その……」

久「アイドルだし、許されるかなーって」

久「ちょっとローアングラーしてたら警備員さんに声かけられて……」

桃子「それはそれで何してるんっすか」

久「そ、それで、ゆみにも一緒に来てもらって、誠心誠意を込めて謝ったのよ」

久「で、帰っていいってなったんだけど……」

久「私らの処遇話してたお偉いさんっぽい人が、物産展でトラブルがあったか何かで呼ばれて……」

桃子「あの爆発っすか……」

久「いえ、それより前に何かあったみたいで……」

桃子「……」

桃子(もしかして……私が厨房にあがって、パティシエを追い出した煽りっすか……?)

桃子(パティシエが調理中断するような何かがあって、ここのお偉いさんだかがソレを聞いた、と……)



98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 12:24:29.30 ID:GGZD5vCo0
 
久「で、こっちが出口かって確認して……」

久「そしたら、バタバタしてるし、もう帰りなさい、二度とするんじゃないって言われて……」

桃子「うん」

久「折角だからちょっと見学しようって半ば無理やりゆみとこの部屋に入ったのよ」

桃子「ほんっっとロクなことしてないっすね」

久「あ、悪意はなかったのよ」

久「盗撮はファンとしての応援の一環だったし」

久「探検についても何か盗ったりしようとしたわけじゃないから……」

久「……」

久「ま、まあ、少し迫ってみたりはしたけど……」

桃子「事と次第によっては貴女を殺して私も死ぬっすよ」

久「め、目が怖いわよ」



99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 12:30:11.44 ID:GGZD5vCo0
 
久「うう……」

久「でもホントに悪かったとは思ってるわよ……」

久「それで、何か大きな音がして……爆発、起きたじゃない」

桃子「……」

久「それで、そこの棚とかが倒れて……」

久「ゆみに、ガラスが……」

桃子「……っ」

桃子「これ……抜いたら不味いっすよね……」

久「……だと思う」

久「倒れた際に頭も打って気絶してるし……」

久「っていうか、さっきの音が本当に爆発なら、下手したら火の手もここまでくるんじゃ……」

桃子「……」



101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 12:39:51.83 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「……ああ」

桃子「ああ」

久「?」

桃子「……そうか」

桃子「これで……終わりなんっすね……」

久「は?」

久「いやいやいやいや」

久「確かにちょっと私テンパッてたわ」

久「ピヨってたけども!」

久「でも諦めるの早すぎない!?」

桃子「駄目なんっすよ……」

桃子「駄目なんっす」

桃子「私のせいで……」

桃子「このままだと、先輩は助からない……」



102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 12:48:45.81 ID:GGZD5vCo0
 
久「え?」

桃子「私を認識できるのは……マンゲファイアーを視認した人だけっす」

桃子「直接炎を見ていないと効果が無いのは、既に実験済み……」

桃子「背中越しにマンゲファイアーの炎のゆらめきを見ただけだと声しか聞こえなかったこともあるっす」

桃子「……この部屋は、外から中を確認できない」

桃子「レスキューの人も、スタッフの人も……」

桃子「私がいなければ、落ち着いたあと――」

桃子「もしくは本当にまずくなったあとこの辺を見回ってくれたかもしれないっすけど……」

桃子「私の炎を見るより先に、私のいるエリアは補足できないっす」

桃子「ましてや私は要救助者という『探しもの』そのものであり、印象に残らざるを得ないものっすからね……」

桃子「普通じゃ見失わないようなそんな対象、何らかが作用して見つからなくしてくるに決まってる」

桃子「呼びかけは、届かないんすよ」

桃子「例えマン毛を燃やしていようと」

桃子「……その揺らめきを見てない人にとっては、私はマン毛を燃やしていない時と同じ存在感なんすから……」



103 :ちょっとお昼ごはん食べるので少しばかり離席します。できれば保守よろしくおねがいします 2013/12/29(日) 12:51:13.39 ID:GGZD5vCo0
 
久「い、言ってる意味がよくわからないけど……」

桃子「……」

桃子「自分でも、そうだと思うっすよ」

桃子「竹井さんが理解できないのは無理ないっす」

桃子「先輩だって……」

桃子「私だって、理解し、受け入れるのには大分時間がかかったっすから」

桃子「……」

桃子「そして……」

桃子「蒲原元部長達も、遅れてだけど、そのことを受け入れてくれた……」

桃子「……」

桃子「だから……」

桃子「賭けっすけど、手はあるっす」



114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 14:30:43.33 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「私は誰にも気づかれない、見つけられない」

桃子「大きな爪あとを残せない」

桃子「だからこそ――それを活かす!」

ゴソゴソゴソ

久「!?」

久「何、その蝋燭……」

桃子「マン毛キャンドルっす」

久「マン……え? なに?」

桃子「とにかくこうして持ってきたのを並べるっす」



117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 15:06:00.38 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「このまま篭っていたら見つけてもらえないなら……」

桃子「ここをぶち壊せないなら!」

桃子「こうっす!!!!!!!!!!1」

マンゲファイアー

久「げえーーーーっ、蝋燭に火をつけた!?」



123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 16:08:33.41 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「うおおおおおおおおお」 グッチュグッチュグッチュグッチュ

久「な、なんという豪快で大胆な露出プレイッ!!」

久「あらゆる変態性癖をカバーしている私でもこのシチュエーションでの突然の自慰には結構たまげたッ!」

桃子「先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩」 ジュッポジュッポジュッポジュッポ

桃子「久々の生先輩いいいいいうううううううううううああああああああああ」 グチョグチョグチョ

久「す、すごいっ!」

久「まさに潮のヴォルケイノ!」

久「潮座流星群だわッ!!」



127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 17:11:05.12 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩」 ジュッポジュッポ

桃子「加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩」 ジュッポジュッポ

桃子「加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩」 ジュッポジュッポ

桃子「加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩」 ジュッポジュッポ

桃子「加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩」 ジュッポジュッポ

桃子「加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩」 ジュッポジュッポ

桃子「加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩」 ジュッポジュッポ

桃子「加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩」 ジュッポジュッポ

桃子「加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩加治木先輩」 ジュッポジュッポ

桃子「今度は私の番っすからね!!!!!」 ブシャアアアアアアアアアアアアアア



129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 17:46:01.76 ID:GGZD5vCo0
 
久「げえーーーーっ、輝く潮が!」

久「否ッ!」

久「愛液に含まれるグリコールがマン毛キャンドルへと降り注ぎ、炎を大きくしたぁ!?」

桃子「これだけの愛を爆発させた愛液ッ」

桃子「グリコールの占める濃度は圧倒的ッ!」

桃子「もはやガソリンと言っても過言じゃないっすよ!」

久「確かにこれならマン毛に灯した炎は外からでも見られるわね!」

久「部屋中炎まみれだけどさァァァァーーーーーーーッ」

久「どーすんの!? マジで!」

久「焼死って一番やばいのよ!?」



133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 18:31:09.00 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「確かに……普通ここにいたら命を落とすっす」

桃子「例え既に消防車がきていようと……」

桃子「でも!」

桃子「三人焼死、出火原因不明の大惨事――」

桃子「ニュースに少ないこの田舎で、そんな事件がそう容易く風化するはずがないっす」

桃子「もしも命を落とした場合ッ!」

桃子「少なくともこの近辺の人は皆この事件を認識するッ!」

桃子「ニュースに表示される私の顔写真と、名前をッ!」

桃子「それがありえないことは、今までのことから分かってるんっすよ……」

桃子「私は……爪あとを残せないっすからね……」

久「モモちゃん……?」



134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 18:44:20.05 ID:3ml3tYOgO

狂気が漂ってるな



135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 18:47:06.46 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「私だけ生き残る、という最悪の可能性もないっす」

桃子「確かに何の手も打っていなければ、このまま焼け落ちるまで火が消えず、お二人が死亡」

桃子「私は誰にも気付かれず二人を殺めた重荷を背負って生きていく……」

桃子「そんなことになっていたかもしれないっす」

桃子「でも……」

桃子「私は、蒲原元部長達に、先輩を探しに行くことを伝えたっす」

桃子「そして、ストーカー一歩ギリギリ手前くらいの先輩に賭ける執念だって知ってるっす!」

久「ギリギリ手前で止まれていると思ってるのってモモちゃんだけじゃあ……」

桃子「えっ」

久「……ごめん続けて」



137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 19:04:44.63 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「つまり、蒲原元部長達は、私の存在がないおかしさに気付くはずっす」

桃子「それは身元不明の死体に私達が揃ってなった場合でもそう」

桃子「元部長達が、私が命を落としたかもしれないからしっかり調べてくれと警察に主張してくれるかもしれないっす」

桃子「それでも、警察じゃ私の死体や姿を見つけられないでしょうけど……」

桃子「2人も死亡者が出れば、十分ローカルニュースは独占」

桃子「いないはずの死人を訴える人間が複数いれば、取材くらいはきてもおかしくないっす」

桃子「そうすると、このパターンでも東横桃子は多くの人の記憶と記録に残ってしまう……」

桃子「むしろ都市伝説になる可能性がある分だけ、こちらの方が後世に残る可能性は高い!」

桃子「つまり、大宇宙の意志は、このままだと私を殺すことは出来ないっす」

桃子「勿論、お二人のことも……!」

桃子「つまりこの炎は、私達を殺すことは出来ず、私達の居場所のみを皆に教えるんっすよ!」

久「な、なんだってーーー!!」



142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 20:01:10.05 ID:GGZD5vCo0
 
久「そ、それでも……」

久「あっつ!!」

久「何か洒落にならないくらい熱いし苦しいんだけど!?」

桃子「まあ、瀕死にくらいなってもおかしくないっすからね」

久「ちょおーーーーーー!?」

桃子「でもこのままだったら、先輩が失血死してたかもしれないっす」

桃子「多少のリスクを背負ってでもこうすべきっすよ」

久「そう言われると確かに……」

桃子「竹井さんも、先輩殺した重荷は背負いたくないっすよね……?」

久「た、確かに……」

久「こんなに追い込まれているっていうのに、そこまで考えてるなんて……」

久「なんという冷静で的確な判断力なの!!」



144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 20:16:53.98 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「……それと……」

桃子「1つ、お願いがあるっす」

桃子「……」

桃子「レスキュー隊がここに来たら……」

桃子「ここにいたのは、先輩達二人ってことにしておいてほしいっす」

久「え?」



148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 20:53:29.41 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「それなら、私の存在がきちんと消える」

桃子「その方法が、唯一私が綺麗に消えられる手段だから」

桃子「多分、それを約束してくれるなら、お二人は助かれるっす」

桃子「……だから……」

桃子「私と会ったことも、忘れてほしいっす」

桃子「それで……」

桃子「……」

桃子「先輩に浮気されるのは辛いっすけど……」

桃子「私の代わりに、先輩の誕生日、祝ってあげてくださいっす」 エヘ

桃子「……私に約束破られて、先輩、傷つくでしょうから」



153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 21:26:17.96 ID:GGZD5vCo0
 
久「え?」

久「いやいやいやいやいや」

久「ダメだって」

久「私はフラフラ浮気するようなやつだけど……」

久「ふたりとも、真面目に真摯に愛し合ってるんでしょ!?」

久「それなら、ちゃんと自分の言葉で伝えなきゃあ」

久「そうじゃなきゃ、絶対一生後悔するわよ!」

桃子「……そうっすね」

桃子「でも、私は」

桃子「法の壁を破っちゃうほど、先輩が大好きっすから」

桃子「面と向かったら……全部取り消したくなっちゃうっすよ」



157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 21:57:48.71 ID:aM3v5bOU0

悲しいさだめ



159 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 22:25:53.64 ID:GGZD5vCo0
 
久「でも……」

久「ごほっ」

桃子「はは……さすがに息苦しいっすねえ……」

桃子「助かるとは……思うっすけど……」

桃子「怪我くらいは……許して欲しいっす……」

久「ダメよ……」

久「私がちょっかいかけたかったのは……」

久「貴女を想っているときの……ゆみ……なんだから……」

久「……」

バタッ

桃子「ああ……」

桃子「私も……ちょっとくらくらしてきたっすねえ……」



162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 22:35:00.80 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「ねえ……先輩……」

桃子「綺麗でしょ……」

桃子「先輩の歳の数だけ、蝋燭、作ったんすよ……」

桃子「一緒に、誕生日、迎えたくて……」

桃子「もう、クリスマスも、お正月も、来年の全ての日も……」

桃子「一緒には、過ごせないっすけど」

桃子「最後に……思いっきり楽しい思い出を作りたかったから……」

桃子「先輩に、少しでも覚えていて欲しかったっすから……」

桃子「エゴって分かってたっすけど……」

桃子「ずっと……」

桃子「今日をとびきりいい日にして……」

桃子「最後に……想い、伝えようって……」



165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 22:52:11.57 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「もう……きっとこの声は届かないっすけど……」

桃子「この声と引き換えにこんなに美しい夜を届けるっす」

桃子「だから……」

桃子「先輩は、私の分も……」

桃子「……」

桃子「ねえ、先輩」

桃子「楽しかったっすね……色々……」

桃子「あんな楽しい日々は、今までなかったんっすよ……」



166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 22:54:46.89 ID:GGZD5vCo0
 
桃子「……こんなに苦しくても……」

桃子「それでも、本当に幸せだったっすから……」

桃子「もう、こんな先輩と近づけなくてもいい」

桃子「こんなに愛を注いでもらえなくてもいいから……」

桃子「だから……」

桃子「いつかまた……私と出会って下さいね」

桃子「……」

桃子「……メリークリスマス」

桃子「そして、お誕生日おめでとうございます」



167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/12/29(日) 22:56:06.00 ID:GGZD5vCo0
 











桃子「先輩……大好きっす……」
















       



2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/31(火) 21:35:26.68 ID:wK2CJPs1o
 
加治木ゆみが目を覚ました時、視界に入ったのは見知らぬ天井だった。

ついで顔を横に向けると、母親の姿が。

涙を流し悦ぶ母親に、何があったのかを聞く。

誕生日のあの日、デパートの爆発事故に巻き込まれ、病院に運ばれたらしい。

ガラス片が突き刺さり出血していたため入院を余儀なくされていたようだが、

運よく後遺症の類はなかったようだ。

近い内に退院も出来そうである。

淡々とその言葉を聞き、親に心配をかけた旨を謝罪する。

それから、友人達にも連絡を取った。

記憶の最後で一緒に行動をとっていた友人達は、どうやら全員無事だったようだ。

ガラス片を体に受ける遠因となった久も、髪の毛が焦げた程度で済んだらしい。

……まあ、本人は「ハゲた!!2000円札ハゲが出来た!!」と号泣したらしいけど。



3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/31(火) 22:05:50.09 ID:wK2CJPs1o
 
ゆみ「ふぅ……」

ゆみ「折角のクリスマスだと言うのに……」

ゆみ「まさか病院で過ごすはめになるとはな」

智美「ワハハ」

智美「遊びに来てあげたんだから感謝しろー」

ゆみ「見舞えよ、何病室でカード麻雀広げてんだ」

智美「私らは私らで暇だしな」

睦月「それロンです」

ゆみ「しかも私抜きでやってるし」

智美「ゆみちんはゆっくりして体力回復させてくれー」 ワハハ

ゆみ「っていうか勉強しろよお前」

智美「さー南入だー」

ゆみ「聞け」



4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/31(火) 22:46:54.86 ID:wK2CJPs1o
 
ゆみ「まったく……」

誰も何も言わなかった。

何かが欠けていることには気付いていたのに、誰も何も言えなかった。

ゆみ「……」

東横桃子。

彼女があの事故現場に居合わせたことは、智美達が既にゆみに告げている。

そして――

久『約束通り、レスキュー隊には嘘ついたけど……』

久から、聞いていた。

久『貴女には、伝えておくわ』

桃子が、如何にして、最後の毛と命を燃やし尽くしたのかを。

どのようにして、死人のためのマン毛を使い果たしたのかを。

久『あの娘は、ね――――』



5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/31(火) 22:53:59.62 ID:wK2CJPs1o
 
家に、帰ってきた。

久々に、自分の部屋に戻ってきた。

ここ最近は、桃子に会うのは、いつもこの部屋でだった。

本当は、誕生会も、ここでするつもりだったのに。

結局、自分が入院してしまったせいで、誕生会を行うことが出来なかった。

あんなに、桃子が楽しみにしていたのに。

ケーキだって棟居に作り方を聞き手作りしたし、クリスマスプレゼントも用意した。

桃子に言いたい言葉もあった。

全部、全部――

何の覚悟も持てないまま、唐突に、失くしてしまった。

ケーキは腐ってしまったし、プレゼントもあの火災で駄目になった。

桃子も――おそらくは、もう、視認することが出来ない。



6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/31(火) 23:04:36.26 ID:wK2CJPs1o
 
ゆみ「……」

部屋の隅に、ひしゃげた箱が置かれている。

久が置いていったらしい。

……桃子が、最後に持っていた荷物。

その中の1つだ。

ゆみ「……これは……」

虚ろな思考回路の元、なんとはなしに中身を開ける。

ガラス部分が破損していて原型があまりないが、それでもそれがコーヒーメーカーだということは分かった。

ゆみ「……プレゼント、か」

そういえば、コーヒーメーカーが欲しいと言ったような気がする。

確か、桃子と二人で回って、色んな人と交流したあの文化祭で。

楽しかったことを想い、胸が締め付けられる。



7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/31(火) 23:11:36.49 ID:wK2CJPs1o
 
ゆみ「モモ……」

コーヒーメーカーの中。

薄桃色の手紙が封入されていた。

すっかり焼け焦げて入るが、かろうじて読み解ける。

桃子『先輩、お誕生日おめでとうございます』

桃子『先輩と、一緒にコーヒー飲みたいっす! 夜明けでも、それ以外でも!』

桃子『だから……』

桃子『私は絶対、意地でも先輩を探し出してしつこくアピールしてやるっすから』

桃子『よかったら……また私を見つけ出してほしいっす』

桃子『そして……また、あったかい手で私の手を握り返して下さい』

きっと、何度も書き直したのだろう。

何と言葉を伝えようか、悩みに悩んだのだろう。

マン毛を練り込んだ蝋燭を全て使いきって以降、桃子は目撃されていない。

きっと、最初から、誕生日を最後に会えなくなる覚悟はしていたのだ。

きっと、その最後の日に、納得行く形で、次に繋がる形でお別れをしようと考えていたのだ。

なのに、そんな願いすら叶えてやることが出来なかった。

ゆみの命を守るため、最後の時間を使い果たし、人知れず、消えてしまった。



8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/31(火) 23:36:00.61 ID:wK2CJPs1o
 
ゆみ「モモ……」

ゆみ「今も……お前はここに居るのか……?」

手紙を、ぎゅっと強く握る。

桃子は、未だに、傍にいてくれているのだろうか。

ゆみ「もう……お前を感じることも出来ないよ、モモ……」

どれだけ嘆いても。

もう、ゆみでは桃子を見つけられない。

どれだけ愛しても。

どれだけ、後悔しても。

ゆみ「会いたいよ、モモ……」

ゆみ「モモ……私は……」

ゆみ「会いたいよお、モモォォォォ……」

膝から崩れ落ちる。

堰を切ったように涙が溢れ、感情が爆発する。



9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/31(火) 23:44:09.42 ID:wK2CJPs1o
 
どれだけの時間泣いていただろう。

両親にも、きっと慟哭は聞こえていたことだろう。

けれどもそっとしておいてくれた。

泣き疲れて、手に痛みをようやく感じる。

見ると、ぽたりぽたりと赤い雫が滴り落ちていた。

どうやら、砕けたガラスの細かな破片が手紙についていたらしい。

ゆみ「……モモ……」

ずっとこうしていても仕方ない。

それが分かっているから、モモのことで頭の中身を埋めながらも、

とりあえず床に落ちた血を拭こうとする。

ゆみ「あ……」

そして、見つけた。

希望の光を。



10 :以下、2014年まであと595秒。。。 2013/12/31(火) 23:50:05.44 ID:wK2CJPs1o
 
ゆみ「これ……」

桃子は、ここ最近ずっとこの部屋でデートをしていた。

その度に、マン毛を燃やし続けていた。

ゆみ「まさか、モモの……」

マン毛は、途中で燃え尽きていた。

しかし――その全てが灰になったわけではない。

マン毛は、常に“桃子が指で摘んでいた”のだ。

鉛筆が、全て鉛筆削りで削り切れて消滅はしないように。

マン毛もまた、その身全てを燃やし尽くさない。

マン毛を摘む桃子の指が防火シャッターのようになり、マン毛を燃やす炎を消していたのだ。

つまり、マン毛は、指に摘まれた部分のみ燃え残って落ちている。

ゆみの、この部屋に。

ゆみ「毛根、なのか……?」

それは、奇跡。

桃子の摘んでいた部分が、偶然にも毛根部分であって。

そして、たまたま部屋の掃除の魔の手を逃れたがゆえの奇跡。



11 :マンゲファイアーなんて来年に持ち越したくないと思ってスレ立てた意味とはなんだったのか終わらん 2013/12/31(火) 23:57:00.33 ID:wK2CJPs1o
 
ゆみ「お前は……」

毛根とは、種である。

種さえあれば、実りは必ず訪れる。

毛根さえ存在すれば、髪の毛はまた生える。

これは――――紛れもなく、希望である。

ゆみ「自分の命も危ないのに、存在感を捨ててでも、私を助けてくれたんだよな……」

勿論、そう簡単に培養できるわけではない。

マン毛の再生技術など、まだ確立されていない。

それでも。

ゆみ「なら……今度は、私の番だよな……」

可能性は、0ではない。

ここには確かに、希望の種があるのだから。

そして、大分使いきってしまい、成分も混ざり合ったので完成品とは程遠いものの、

参考になるマン毛キャンドルはここにあるのだ。

ゆみ「私が……絶対に、またお前を見つけ出してやる……!」

決意を新たに、ゆみは前を向く。

ゆみ「お前のマン毛は、私が絶対に再生してみせるッ!」

再び出会って、その手をしっかり握るために。



12 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/01(水) 00:58:35.34 ID:RmRQPXRPo
 

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13 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/01(水) 01:46:11.14 ID:RmRQPXRPo
 
ギィギィと、ロッキングチェアーが揺れる。

研究者として築いた財で改築された大豪邸。

その庭いっぱいに広がる畑を眺め、家主である老人が揺られている。

これが映画のラスト・シーンなら、彼女の視線の先には、元気に畑を駆ける孫娘でも居ることだろう。

しかし現実の老人は独身であり、子供すらいない。

それどころか、ずっと恋人すら居ない孤独な人生を送っていた。

それでも老人の顔は、愛しい人を見つめるような眼差しをしている。

先述の映画で例えるなら、今しがた昔の武勇伝を聞かせたばかりの孫を見つめるかのような眼差し。

退役した英雄という点では、老人は映画の主人公たる資格を得ていると言えるだろう。

だが決して、老人は自分をそのような存在だとは言わないだろう。

老人にとって、ノーベル賞を取ることも、『かつて失ったもの』を取り戻すための過程にすぎないのだ。

何かを得たり、生み出したり、守りぬくような主人公では決してないと、老人は思っていた。



14 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/01(水) 02:09:06.84 ID:RmRQPXRPo
 
シャーレの中で、パチパチと炎が燃える。

燃やされているのは、老人の前の前に広がる畑の収穫物。

「やっと……出来たよ……」

風に揺れる、黒色の畑。

マン毛のそよぐ音を聞きながら、老人が言葉を紡ぐ。

「今度こそ……ちゃんと、言わなくちゃな……」

老人が、小刻みに震える右手をゆっくり持ち上げる。

力の抜けつつあるはずの手が、空中で固定された。

そこには、何もないはずなのに。

まるでそこに目には見えない何かが居て、その手を取っているかのように。

老人の手は、マン毛畑に向かってしっかり伸びている。

「やっと……また、君を見つけた……」

ざぁ、と一陣の風が吹く。

マン毛を吹き抜ける風と共に、遠い記憶の中にある声が聞こえた気がした。

「約束通り……今度は、もう、離さないよ、モモ――――」



15 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/01(水) 02:23:51.82 ID:RmRQPXRPo
 
縮れもつれて絡み合っていた様々な想いが、目の前のマン毛畑のマン毛と一緒に風に解きほぐされていく。

老人は、愛しい人と引き離されても、決して諦めなかった。

愛しい人を、そして愛しい人のマン毛を長年追い続けた。



――私は、君のマン毛が欲しい!!



その想いだけを胸に、老人は生き続けてきた。

そうして生み出した畑を前に、今、老人の願いは成就したと言えよう。

成分も、完全に、愛しい人のソレである。



――また、絶対に、お前と、お前のマン毛をこの手に掴んで見せる……っ!



マン毛は、いつの間にかあらゆる場所に現れる神出鬼没な存在。

だから、きっと、老人の熱い想いに応えたのだろう。

諦めずにマン毛を探し続ければ、必ずマン毛に辿り着けるのだ。



16 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/01(水) 02:30:20.13 ID:RmRQPXRPo
 
シャーレの中のマン毛が、最後に一際大きくなり、そして静かに消えていった。

老人の手が、まるで支えを失ったように、がくんと落ちる。

その反動で、きぃきぃとロッキングチェアーが大きく揺れた。

「…………」

老人は、もうその目を覚まさなかった。

満足そうに笑む老人の頬を撫で、再び、優しい風が吹き抜ける。

愛で育ったマン毛畑だけが、手を取り駆け出す二人の少女を見つめていた。



17 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/01(水) 02:32:57.04 ID:RmRQPXRPo
 


――――待たせてすまない、モモ。



――――いいんすよ、また見つけてくれただけで、私は十分うれしいっす!



――――なあ、モモ。



――――はい?



――――私もお前が大好きだよ、モモ。



――――えへへ、ずうっと、一緒っすよ!!







カン!



18 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/01(水) 02:34:25.19 ID:RmRQPXRPo

投下終了です。
二度に渡りスレを落としすみませんでした。
からくりサーカス最終巻の表紙をマン毛畑と笑顔のかじゅモモで脳内再生して頂ければ幸いです。



19 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/01(水) 03:00:43.54 ID:VkqFy+8wo

新年早々悪夢を見れそうなオチ



20 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/01(水) 07:18:32.19 ID:PkzapBDw0

おっ、マン毛燃え尽きたか




 
からくりサーカス (43) (少年サンデーコミックス)




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