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1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/10(金) 21:50:24.81 ID:qzOvsLvE0




 ——学校・池のほとり——



フォス(あ、股間のおしろいが、また剥げてら)

フォス(……うーん……)


フォス(王にもらった貝殻のおかげで、ぼくの走りは劇的に早くなった。その点においてはボルツにだって負けないぞ)

フォス(ただ……足と足との摩擦が激しくて、すぐ股間のおしろいが落ちてしまう)

フォス(もちろん、別に何か不便があるわけじゃあないけど。とはいえ——)


 ——キラ、キラ……


フォス(うーん、股の間でぼくの緑がキラキラしとる。……だっせぇっ!)

フォス(ていうかメンドクサイんだよぉー、股の間とか、お尻とか、塗れてるんだか塗れてないんだかよくわかんないしさぁ……)

フォス「……いよし! ルチルにおしろいを塗ってもらおーっと」


 しゅたたたたたたたた……


ルチル「はぁ? 股間のおしろいを塗りなおせ、ですって?」

フォス「うん」

ルチル「……、あなた流のジョークですか?」

フォス「だって後ろのほうとか自分じゃよく見えないんだもん。塗りのこしがあったら嫌だし。……なんだよぉ、ぼくってそんなに変な事を言ってる?」

ルチル「変、だとは言いません。ただ……まったく普通だとも言いたがい。そんな部分のおしろいを、人に頼むなんて」

フォス「そうかなぁ……いつも体におしろい、塗ってもらってるじゃん」

ルチル「……、もしや……」

フォス「?」

ルチル「フォス。貴方は先日、足と一緒に大量の記憶を失った」

フォス「う、うん……」

ルチル「同時に貴方は、『暗黙の了解』だとか『なんとなくの共通認識』だとか、そういう社会的な概念をもまた、いくらか失ってしまったのかもしれません」

フォス「え、えぇ? ちょっとぉ、脅かさないでよぉ」

ルチル「まぁ、今回の件に関しては、取り立てて騒ぐほどの事ではないけれど……ただ一応、自分でも意識はしておきなさい。誰かと会話をしていたりして、何か妙な反応をされたりしたら、私に報告をすること」

フォス「わ、わかったよ……」

ルチル「じゃ、いらっしゃい。服を脱いで」

フォス「へ?」

ルチル「おしろい、塗りなおしてほしいのでしょう?」

フォス「え……。……。……やっぱ、いい」

ルチル「どうして」

フォス「いや、だって、なんかそれって変なんでしょ? やっぱり自分でやる」

ルチル「別にまったく変だとは言っていません。さぁ、あなたの新しい足のチェックもついでにやっちゃいますから。さっさと——ぬぎなさい!」

フォス「ちょ、いやっ……ぎゃーっ、えっちーーーっ!」

ルチル「何がエッチですか」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/10(金) 21:51:04.64 ID:qzOvsLvE0

 ……ぬりぬり……


フォス「うぅ、屈辱だ。あんまりな仕打ちだ、先生に言いつけてやるぅ……」

ルチル「お黙り。恥ずかしくなんてないくせに」

フォス「……ま、そーなんだけどさ」

ルチル「ほら、もっとしっかり四つん這いをして。お尻をあげて」

フォス「へーい。……ねぇ、やっぱ、恥ずかしがったほうがいい?」

ルチル「んー……どうでしょうね。私としても、いちいち恥ずかしがられるのはメンドクサイですし。そもそも、全員が恥ずかしがっているわけではありませんし」

フォス「そうなの?」

ルチル「イエローダイヤやレッドベリルは、まったく気にもしませんね」 

フォス「ふぅん。じゃあ、恥ずかしがるのは?」

ルチル「ジェードは特にメンドクサイし、ベニトアイトもあまり——」

フォス「あ、じゃあ、ルチルはどーなのさ」

ルチル「ノーコメント」

フォス「えぇ、何で」

ルチル「答えたくありませんので」

フォス「ったく名医先生は秘密がお好きだなぁ——……あ……」

ルチル「? なんです?」

フォス「……これを、聞いて、いいのかわからないけれど……」

ルチル「……?」

フォス「シンシャは——どうなのかな、って……」

ルチル「……。本人に聞いてみればいいのでは?」

フォス「絶対だめ」

ルチル「じゃ、私も答えません」

フォス「ケチー」

ルチル「さぁさぁ、後ろは終わった。今度はあおむけになって足を開く。さっさとしてください」

フォス「へーい」


 もぞもぞもぞ……


フォス「あのさー」

ルチル「?」

フォス「ぼくのおまたって、ちょっとだけ割れてない?」

ルチル「割れている?」

フォス「ほら、ここ、足と足のちょうど中間ぐらいに……前から後ろへ、溝が走ってる。前から気になってたんだけど、これって何なのかなって」

ルチル「あぁ……これは、ただの形態的な特徴です。耳や鼻と同じですよ。特に意味はありません」

フォス「そうなの?」



3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/10(金) 21:52:53.91 ID:qzOvsLvE0

ルチル「口や目はまだともかく——耳や鼻、これらは私たちの活動にとって何の役割もはたしていません。ただそこにあるからそこにある——それだけのことです」

フォス「ふぅん」

ルチル「あぁ、ちなみに」

フォス「?」

ルチル「お尻とお尻のわれめの間には、小さなおへそがあるんですよ。知らなかったでしょう」

フォス「えーっ、そうだったんだ」

ルチル「知らない者は多いでしょうね」

フォス「へぇーっ、ねぇねぇ、これ、博物誌に書いてもいい?」

ルチル「何を言っているんです。博物誌はもう中止でしょう」

フォス「……うぐぅ! うぅ、そうだったぁ……うぅ」

ルチル「……ふふ」

フォス「うるせー笑ってんじゃねぇ。どうせならもっと早く教えてよ……だからお前はヤブなんだ——」

ルチル「ふんっ」

フォス「ぎゃーっ、股間がえぐれるっ」

ルチル「まったく。しようのない子です」

フォス「子供あつかいすんなーっ」

ルチル「……ふふ」



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。






~学校・廊下~


フォス「ねーねーダイヤー」

ダイヤ「フォス。おはよう。どうしたの?」

フォス「んっとねー、お尻見せてほしーなーって」

ダイヤ「え、えぇ……!? どうして、お尻を……?」

フォス(うむ、なんとなく予想はしてたけど、やはりダイヤは恥ずかしがるタイプだと見える)

フォス「今日はさーお尻を見たい気分なんだよー」

ダイヤ「……っ、そんな、お尻だなんて……」

フォス「みたいみたいー」

フォス(ぼくはおしりの『おへそ』とやらを、一目見てみたいのだ。ルチルは絶対みしてくんなさそうだったしー。ダイヤなら、頼めばみせてくれるかも)

ダイヤ「……。……っ、フォス、ちょっとこっちへ来て……っ」

フォス「え、へ?」

ダイヤ「いいからっ!」

フォス「え、う、うん……」


 こっ、こっ、こっ、こっ、こっ……


ダイヤ「フォスほかの誰かにも、こんなこと言ったの?」

フォス「う、ううん、ダイヤにしか言ってないけど……」

ダイヤ「そう、ならいいけど」

フォス(……珍しい、ダイヤ、ちょっぴり怒ってる……?)

フォス(う、うーん、もしや、ダイヤにとっては、とってもいけないことなのかな)



5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/10(金) 23:07:23.53 ID:F2dIheZMO

割と脳内再生出来る




8: 1 2017/11/11(土) 13:55:46.96 ID:R/gYl4e7O

~ダイヤの自室~ 


ダイヤ「……。」 

フォス「……。」 

フォス(うぅ、沈黙が重い) 


フォス「あ、あのぉ」 

ダイヤ「どういうつもり?」 

フォス「へ」 

ダイヤ「フォスはぼくのこと、馬鹿にしてるの?」 

フォス「へっ、えっ、な、なんで」 

フォス(そーなるの!?) 

ダイヤ「ぼくだって、怒るときは怒るんだからっ」 

フォス「ダ、ダイヤ」 

フォス(しまった、ダイヤにお尻はタブーだったのかなぁ……もーっルチルのあほ! ヤブ! そーいう大事な情報は先に教えといてよ! ぼくはきおくそーしつなんだぞ!) 

フォス「ご、ごめんダイヤ!」 

ダイヤ「……。」 

フォス「ぼく、記憶と一緒に一般じょーしきも忘れちゃってるみたいで」 

ダイヤ「え?」 

フォス「あのね、昨日、ルチルに言われたことなんだけど——」 


 かくかくしかじか 


フォス「——というわけで、お尻についての感覚が、よくわかんなくって」 

ダイヤ「……。」 

フォス「だから、ごめん。ダイヤがそんなにお尻を嫌がるだなんて、思ってなくて……ごめんなさい!」 

ダイヤ「……。」 

ダイヤ「じゃあ、フォス——覚えてないの?」 

フォス「え?」 

ダイヤ「覚えて、ないの?」 

フォス「え、えと?」 

ダイヤ「なんにも、覚えてないのっ?」 

フォス「へ? あ、え?」 

ダイヤ「あの約束のことも、本当に何もかもっ!?」 

フォス(!!!??) 

フォス(や、約束!? うぁっ、ダイヤ、さっきよりももっともっと怒ってる! 僕、何か大切な約束を忘れちゃってる!?) 

ダイヤ「~~~~っ」プルプルプル 

フォス(わぁぁぁぁダイヤの頬っぺた、今にも破裂しちゃいそう!) 

フォス「ご、ごめん! ごめんなさい! もうしわけっ! で、できますればいま一度その約束をお教えてくださいまし! 次こそは必ずはたしてみせますゆぇー!」 

ダイヤ「………………」 

フォス「なにとぞ、なにとぞぉ」 

ダイヤ「……。」 

ダイヤ「……ハァ」 

フォス(お、落ち着いてくれたかな……?)



9: 1 2017/11/11(土) 14:00:32.81 ID:R/gYl4e7O

ダイヤ「そうよね。フォスが悪いわけじゃないものね」 

フォス「ダイヤ、お兄様」 

ダイヤ「はふ、ごめんね、フォス。駄目な僕を許してくれる?」 

フォス「ひぇ? はえ、はい。とんでもございません」 

ダイヤ「そう、よかった。ありがと」 

ダイヤ「……」 

ダイヤ「ハァ……」 


フォス(……。) 


フォス「……あのさ、ダイヤ」 

ダイヤ「うん?」 

フォス「僕が忘れてしまったダイヤとの約束……どうかお願いだから、もう一度、約束させてくれないかなぁ」 

ダイヤ「……。」 

フォス「こんな情けない僕だけど、ダイヤには本当に感謝してるんだ。だから、ダイヤとの約束は忘れたくないし、ちゃんと果たしたい」 

フォス「ごめんね。こんなときにしか素直になれなくて。それにまぁ、肝心のその約束を、僕は忘れちゃってるんだけど」 

フォス「むぅ、言えば言うほど、やっぱり情けないぞぼく」 

ダイヤ「……。……ふふ、そうだね、情けないね」 

フォス「おっしゃるとおりでございます」 

ダイヤ「ふふふ……。じゃあ、約束、本当に守ってくれるんだ?」 

フォス「え……は、はい。できる限り善処する所存でございやす」 

フォス(あぁ、なんか嫌な予感が……僕のことだ、てきとーな気持でとんでもない約束をしてたんじゃぁ……) 

ダイヤ「じゃあ、もう一度約束を伝えます。」 

フォス「どんとこいっ」 

ダイヤ「じゃあ入口のカーテン、しめてくれる?」 

フォス「え? う、うん」 


 しゃっ………… 


フォス「閉めたよ~……って、ダイヤ……?」 

ダイヤ「……。」 

 しゅる、しゅる…… 

フォス「ねぇ、どうして服を脱いでるの……?」 

ダイヤ「……。」 

 しゅる、しゅる……ふぁさ…… 

ダイヤ「もぅ、フォスの馬鹿。こんな恥ずかしいこと、二度も話させるんだから」 

フォス「ご、ごめんなさい? ていうか、むぉぉ、まぶしいっ、ダイヤ様のきらめく肢体」 


 キラキラ、キラ…… 


フォス「目がぁー」 

ダイヤ「いいから、さぁ、こっちに来て?」 

フォス(ダイヤはベッドに腰掛けると——あらわになった両足を、股間が裂けててしまいそうなくらいに開脚してくれた)



10: 1 2017/11/11(土) 14:06:07.25 ID:R/gYl4e7O


ダイヤ「ほら、見て」 

フォス「う、うん」 

フォス(煌く両足の間……ダイヤの腰部の中心へ、ぼくは吸い込まれるように顔を近づけてゆき……) 

フォス「ダイヤのここ、なんだかちょっぴり、亀裂の形状がぼくのとは違うね」 

ダイヤ「うん」 

フォス「僕のここは、まっすぐな裂け目が一本走ってるだけ。でもダイヤのここは——」 

ダイヤ「……。」 

フォス「少し開いてるみたいで、なんだか、まるで——」 

ダイヤ「……。」 

フォス「——何かを、押し込んだような……」 

 ——キィン 

フォス「んっ……、あ、なんか思い出しそう……やっぱりぼく、前にもおんなじことを教えてもらってるんだね」 

ダイヤ「そうだよ。忘れちゃうなんて、フォスの馬鹿」 

フォス「まことに申し訳ございません」 

ダイヤ「まぁしかたいもんね。さ、ここのおしろい、落として?」 

フォス「はぁい、失礼します」 

 ごし、ごし、ごし 

フォス「ぬぉっ、まぶしいっ」 

 キラキラキラ…… 

フォス「ダイヤ様は股間まで煌いておられる……さすがだぁ」 

ダイヤ「ほら、もっと顔を近づけてよく見て?」 

フォス「サングラスをください」 

ダイヤ「ありません」 

フォス「むぅー」 

 ……キラ、キラ、キラ…… 

フォス(んー、ちょっとだけ、目が慣れてきた) 

 ……キラ、キラ………… 

フォス(……。ん……?) 

フォス(なんか、奥のほうに——黒い影が見える?) 

フォス「ん? んんー?」 

ダイヤ「見えた?」 

フォス「えと、うん。なんか……黒い小石みたいなのが……。何これ?」 

ダイヤ「……。」 

フォス「身体に遺物が入り込んでるの? だったら、ルチルに頼んで早く取り除いてもらったほうが——」 

ダイヤ「ボルツなの」 

フォス「——へ?」 

ダイヤ「ボルツの欠片」 

フォス「!? ど、どーいうこと……? <キィン>あ、ああ~、前にも同じ質問してるね、ぼく……」 

ダイヤ「あはは。もう一度、教えてあげるね」 

フォス「うす、よろしくお願いしまっす……」



12: 1 2017/11/11(土) 17:44:41.24 ID:VRYPpCJ90

ダイヤ「うん。じゃあ、まずはぼく質問です」 

フォス「ふぇ?」 

ダイヤ「フォスは誰かを——」 


 ————シャ!! 


フォス&ダイヤ「!?」 

ボルツ「ダイヤいるか。明日の見回りのことなのだ、……が……」 

フォス&ダイヤ「~~ッ……」 

フォス(ぐぇっ……) 

ボルツ「……」 

フォス(こ、れは……非常によろしくない事態、なのでは……!) 

ダイヤ「……ボルツ……」 

ボルツ「……。邪魔をした。話はもういい。大したことじゃない」 


 ??しゃっ! コッ、コッ、コッコッ…… 


フォス「え、ちょ……」 

ダイヤ「……。」 

フォス「ダ、ダイヤ、どうしょう」 

ダイヤ「……。フォスは誰かを大切だって、心から感じた事はある?」 

フォス「は? いやいいや、今はそんな問答をしてる場合じゃ——」 

ダイヤ「いいの」 

フォス「いいの、って」 

ダイヤ「もしかすると、このほうが都合よいのかも、しれないから……」 

フォス「??」 

フォス(……ジェード、君がいつか言っていた通りだよ……ダイヤとボルツの二人の仲は……本当によくわからないや……) 

ダイヤ「それでね、フォス、どう……?」 

フォス(……っ、ああもぉ) 








 ——翌日昼・池のほとり—— 



フォス「おーい、クラゲども。おいしい草だぞー。ほれ食べろー」 


 ぱらぱら 


フォス(いいなぁ……お前らは何にも考えてなさそうでなぁ) 

フォス「おいクラゲさん達やい。自分の体じゃないものを自分の中に取り込むって、どんな感じなんだい?」 

フォス(……。) 

フォス「まったく、この世界はまだまだ僕の知らない事だらけだ……」 

イエローダイヤ(以下イエロー)「よぅ、フォス」 



13: 1 2017/11/11(土) 17:45:31.82 ID:VRYPpCJ90


フォス「イエローダイヤ……」 

イエロー「足の調子はどうだ。いいかげん、きちんと制御できるようになったか」 

フォス「まぁね、それなりに……」 

イエロー「そうか。まぁ、また止まれなくなった時はおにいさまを呼べ」 

フォス「うん……あのさ、ところで、ちょっと教えてほしいんだけど」 

イエロー「なんだ?」 

フォス「イエローのおなかには……いったい誰と誰が入ってるの?」 

イエロー「……、おお……直球だなぁ」 

フォス「おにいさまになら、受け止めていただけるかと思いまして……」 

イエロー「まぁ、受け止めてはやろう。ただし……投げ返してはやれないなぁ」 

フォス「そっかぁ」 

イエロー「誰から聞いた?」 

フォス「ダイヤ。……この奇行は、イエローダイヤが最初に始めたんだって」 

イエロー「奇行かぁ」 

フォス「世の中にこんな奇行があったなんて、僕はもうおったまげですよ……ねぇ、宝石たちはみんな、誰かを自分のおなかに入れてるの?」 

イエロー「どうだろうなぁ。腹の中に入れてもいいっていう相手が現れればそうするだろうし、そも、おなかに誰かを入れるなんて絶対無理っ……てやつもいるし。ま、あえて聞くことでもないしな」 

フォス「ふぅん。でも、痛くないの? おなかの中に自分じゃない宝石が入ってるなんて」 

イエロー「痛くはないが——異物感は、今でもあるなぁ」 

フォス「ぐぇ」 

イエロー「けど、悪い感じじゃあないんだぞ。『ここにあいつがいるんだな』って、実感できる」 

フォス「へ、へぇ……」 

フォス(イエローもこう見えて実は結構病んでるのかな……) 

イエロー「それに——互いの性質によっては——新しい宝石に代わることもある……らしい」 

フォス「そうなの?」 

イエロー「何千、何万年という長い時間と、絶え間なく与えられる圧力とで、互いの宝石の組成やインクルージョンが変化をおこす……らしい。先生の受け売りだ」 

フォス「何万年……ていうか、えっ、先生も知ってるんだ」 

イエロー「知っているというか——先生のおなかにはすべての宝石が入ってるんだぞ。この『奇行』の本当の始祖は、先生だ」 

フォス「へ!?」 

イエロー「みんなには秘密だぞ?」 

フォス「じ、じゃあ、ぼくの一部も!?」 

イエロー「たぶんな」 

フォス「……お、驚いた……」 

イエロー「だけど、嫌な気持ちはしないんじゃないか?」 

フォス「え……」 

フォス(……僕の体の一部が、先生のおなかの中に……) 

フォス(……。)



14: 1 2017/11/11(土) 17:47:37.60 ID:VRYPpCJ90


フォス「そうだね、嫌な気持には別に……ていうか、うん、むしろ少し——安心した、かも」 

イエロー「ほう」 

フォス「もしいつか僕が月人に連れていかれてしまっても……ぼくの一部は、先生とずっと一緒なんだね」 

イエロー「そういう事だ」 

フォス(……あ……) 

フォス「ちょっとだけ、分かったような気がするよ……」 

イエロー「ん」 

フォス「もしも自分が月人にさらわれてしまっても、残された誰かが寂しくないように。そして——」 

イエロー「……」 

フォス「月にさらわれてしまった自分も、一人で寂しくないように……。」 

イエロー「……。」 

フォス「……。」 

イエロー「なぁフォス。なぜ、収める場所が股間、下腹部なのか——分かるか?」 

フォス「……えっと……」 

フォス(……。あぁ、もしかして) 

フォス「そこが一番、砕け散ってしまう可能性が低いから……?」 

イエロー「正解。戦争で失う可能性がもっとも高いのは手や足。そして月人が攻撃してくるポイントは主に胸のあたり——ルチルの損傷個所統計結果でも明らかだ。下腹部は、損傷の可能性が最もすくない場所なんだよ」 

フォス「そういう事なんだ……ごめんなさい、奇行だなんて言って。訂正します」 

イエロー「ふふ……フォスはどうなんだ? 誰か、腹に入れたい相手はいるのか?」 

フォス「うーん、僕はなんにもしてこなかったからなぁ……」 

フォス(……。あれ?) 

フォス「あのさ」 

イエロー「?」 

フォス「シンシャは? シンシャも先生の中に、入ってるの?」 

イエロー「……。いいや、シンシャだけは……入っていない。入れられないんだ」 

フォス「……!」 

イエロー「先生もルチルも、何か方法を探ろうとはしているらしいが——やっぱり、難しいんだろうな……」 

フォス「……、そうなんだ……」 

フォス(……シンシャ……) 




 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 





~ちょっと時間がたって、南の草原~ 



フォス「さて——覚悟を決めて、今度こそダイヤとの約束を果たさねばっ」 

フォス(ぼくが、約束をちゃんと覚えている間にね!) 


 ——『あのね、ボルツがちゃんと、ぼくの一部をおなかにハメ入れてくれているかどうかを、確かめてほしいの。僕がきいても、はぐらかして答えてくれないから……』—— 


フォス「……ああ本当に、メンドクサイやっ……!」 


 しゅたたたたたたたた!! 



15: 1 2017/11/11(土) 21:14:18.90 ID:VRYPpCJ90

フォス「——やいやい! ここにいやがったかボルツ!」 

ボルツ「——……。」 

フォス「かんねんしやがれ、ボルツ!」 

ボルツ「……。」 

フォス「……。あのさ、あからさまな無視をされると、さすがにちょっと傷つくんだけどなぁ」 

ボルツ「ダイヤならいない」 

フォス「お、おうよ、知ってる」 

フォス(ボルツと二人だけになりたいって、ぼくが用事をでっち上げたんだからね) 

ボルツ「なら、なんだ」 

フォス「昨日の夜の、ことなんだけど」 

ボルツ「……。ダイヤがクズと何をしていようが、知ったことではない」 

フォス「ダイヤのお腹の中には、ボルツがいたよ」 

ボルツ「……っち……ダイヤめ、クズに余計な事を教えるな」 

フォス「百年ちょっと前に、二人で欠片を交換したんだってね。ダイヤがボルツにお願いをして」 

ボルツ「だからなんだ」 

フォス「ボルツはちゃんとお腹の中にダイヤを入れてるの? 教えてよ!」 

フォス(——直球! つーかぼくにはこれしかないし……!) 

ボルツ「答えるつもりはない」 

フォス「なんでだよ」 

ボルツ「お前には関係ない」 

フォス「ある! ダイヤから頼まれてんだよっ。つかさぁ、なんでダイヤに教えてあげないのさ。だったら最初から交換しなきゃいーじゃん!」 

ボルツ「ッ、クズの分際で、あれこれうるさいんだお前はっ……!!」 


 ——しゅらっッ…… 


フォス「むむっ」 

ボルツ「二度としゃべれないように、その口、砕いてやる」 

フォス「ひ、ひぇぇ~……なんていうと思ったかぁーーーっ!!」 

ボルツ「!?」 


 しゅたたたたた!! 




16: 1 2017/11/11(土) 21:14:48.95 ID:VRYPpCJ90


フォス「やーい! 悔しかったら捕まえてみろ!」 

ボルツ「アァ!?」 

フォス「ふはは、今の僕は逃げ足だけは誰にも負けないからなっ。ボルツがきちんと質問に答えるまで、ずーっとまとわりついてやる!!」 

ボルツ「なっ……」ビキビキ 

フォス「さぁかんねんして答えろ! ボルツはちゃんとお尻の奧にダイヤをいれてるのか! 証拠を見せろ! 尻だせー!!」 

ボルツ「……ッ、このクズがっ……!」 


 ばばばばばばば!!! 


フォス「ひぇ!」 


 しゅばばばばばば!! 


ボルツ「逃げるな!! 止まれ!」 

フォス「やなこった!!」 

 しゅばばばばば! 

フォス(うぉぉぉぉボルツはえええーっ、追いつかれはしないけど、けっこうギリじゃん……!) 




 しゅばばばばばばばばばばばばばばば……! 





 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 





ボルツ「くそっ、クズのくせに!」 

フォス「ふふふ、このまま何百年だって逃げ続けてやらぁ……!」 

ボルツ「貴様、日が暮れたら覚えていろ」 

フォス「……げ。それは考えてなかった」 

ボルツ「……バカか」 

フォス「……。」 

フォス(まじぃ……どうしよ) 

フォス「……えっとぉ……」 

ボルツ「……観念しろ」 


 しゅらぁっ…… 


フォス「ひぃぃぃ……!」



17: 1 2017/11/11(土) 21:15:36.68 ID:VRYPpCJ90

フォス(……っ) 

フォス「っ、わ、わかったっ!」 

ボルツ「あぁ?」 

フォス「僕のことは、もうボルツの好きにしてくれていい。だけどその代わりに、ダイヤの質問にだけは答えてあげてくれっ」 

ボルツ「……。バカが。なんの交渉にもなっていない」 

フォス「うぐっ。……っ、でも、だって、、ダイヤがかわいそうじゃないか……」 

ボルツ「……なにが」 

フォス「万が一どちらかが月に連れていかれてもお互いに寂しくないようにって、きっとそう思ったから、ダイヤはボルツと体を交換したかったんだ……」 

ボルツ「……。」 

フォス「だったら、ちゃんと無事に交換できてるんだってわからなきゃ……ダイヤが、安心して戦えないじゃないか……」 

ボルツ「……逆だ、バカ」 

フォス「……え?」 

ボルツ「安心したら、戦闘に気を抜く、妙な無茶をする。ダイヤにはそういう隙がある。……安心されてたまるものか」 

フォス「……ボル、ツ……?」 

ボルツ「……。お前は、逃げ足だけは確かに大したものだ。だが一芸に頼りすぎだ。もっと、頭を使ってものを考えることを覚えろ。わかったら、いいかげん……黙れ」 

フォス「へ」 


 ゴンッ!!! 


フォス(——ッ………………) 

フォス(あぁ……やっぱり……二人ともメンドクサイね、ジェード……) 








 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 



フォス「……んぁ?」 

ルチル「あぁ、やっと気が付きましたか」 

フォス「……ルチル……」 

ダイヤ「フォス、大丈夫?」 

フォス「ダイヤ……?」 

ダイヤ「ごめんね。私のせいで、またフォスに無茶を」 

フォス「僕……どうしたんだっけ」 

ルチル「貴方はボルツにちょっかいをかけすぎたんですよ。彼にこめかみを砕かれたんです」 

フォス「……あぁ、そっか……思い出した……」 

ルチル「『次またふざけたことをしたら、今度は股間を踏み砕く』だそうですよ。ボルツからの伝言です」 

フォス「ったく野蛮だなぁ……ま、含み抱かれたところで、ぼくのおまたには誰もいないから、別にかまわないけどさ……」 

ダイヤ「フォス……」 

ルチル「おバカ。貴方を直す私の苦労も考えてちょうだい」 

フォス「へぇへぇ、いつも苦労をおかけします、先生」 

ルチル「もぅ」



18: 1 2017/11/11(土) 21:17:40.83 ID:VRYPpCJ90

ダイヤ「本当に、ごめんなさいフォス。約束のことはもう忘れて。……そもそも、こんな事をあなたに頼んだ私がいけないんだわ」 

フォス「ううん、ぼくのほうこそ、役に立てなくて——」 

フォス(——……。) 


 ——安心したら、戦闘に気を抜く、妙な無茶をする。ダイヤにはそういう隙がある。……安心されてたまるものか—— 


フォス(……はぁ) 

フォス(いくら僕がバカだからって……あれがどういう意味だったかくらいはなんとなく分かる。) 

フォス(きっとボルツは、自分の股間に、本当はちゃんとダイヤを……) 

フォス(……でも、ボルツはダイヤのためを思って、それを言いたくないんだ……。ボルツのその気持を、ぼくはむげにはできないよ……) 

フォス「……。」 

ダイヤ「フォス?」 

フォス「……ん、なんでもない。ごめんね、約束を果たせなくて。ボルツのお尻は——見れなかったよ」 

フォス(本当にごめん、ダイヤ……) 

ダイヤ「ううん。ありがとう。ぼくのために頑張ってくれて。」 

ルチル「……ボルツの股間やお尻なら、おしろいの下を何度かみたことがありますが——」 

ダイヤ「え?」 

フォス「——っ、ル、ルチルっ、」 

フォス(駄目だ、ボルツは、言ってほしくないんだ——) 

ルチル「——どうせ真っ黒で、何もわかりませんよ」 

ダイヤ「……へ?」 

フォス「え……」 

ルチル「彼の結晶は透明度が、かなり低いんです。だからボルツのお尻は真っ黒です。あなたの一部がそこにはめ込んであったとしても——外から見た分には、分かりませんよ。」 

ダイヤ「そっか……」 

フォス「……いつか、ボルツが、きちんと教えてくれるといいね」 

ダイヤ「うん……」



19: 1 2017/11/11(土) 21:19:37.36 ID:VRYPpCJ90

 ~次の日・昼・池のほとり~ 



フォス(……。) 

フォス「何度見ても、つるっつるだなぁ。ぼくのおしり、ぼくの股間」 

フォス(……シンシャ、いつか君を、ぼくの股間に……) 

フォス「頼むぜ、名医……! なんとかシンシャの毒液を、ぼくの体内で保持する方法を……っ」 

ジェード「お、おい……何をやってるんだフォス……」 

フォス「あ、ジェード」 

ジェード「なんで下半身丸出しなんだ! あぁっ、そーいえばお前は足を失った影響で一般常識がどうのとルチルが——うわっ!?」 

フォス「あんたを待ってたんだよ議長さんよぉ!」 

ジェード「しがみつくな! 危ないだろ!」 

フォス「このままじゃダイヤに申し訳がたたんのですよぉ。せめて何かしら成果を見せたいんですよぉ」 

ジェード「何の話だ!」 

フォス「服をぬげ、尻見せろ……」 

ジェード「はぁ!?」 

フォス「お堅いジェード議長様のマル秘恋愛事情なら、きっとダイヤが喜んでくれるんだよー!」 

ジェード「何を言ってるんだ!? っ、おいバカ、離せ! いい加減にしろ!」 

フォス「議長の股間には誰がいるんだぁー!」 

ジェード「ぎゃーっ! ルチル! 助けてくれルチルーーーー!!」 




ボルツ「……。」 

 <ギャーギャー 

ボルツ「……阿呆が」 



~完~



20: 1 2017/11/11(土) 21:20:53.10 ID:VRYPpCJ90

ありがとうございました。 
話の練りが足らんとは思いますが、楽しめる部分があることを願います。



21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/12(日) 08:08:40.93 ID:H5Ge8+dwo







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