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1: ◆cgcCmk1QIM 2018/10/08(月)23:46:58 ID:qzl



◎事の発端


 冬休みのある日、白菊ほたるはついに何もかもが嫌になった。

 昨日まで耐えられていたのが嘘のように我慢が効かなかった。

 頭は沸騰し、涙は止まらない。

 グシャグシャに泣きながら、とにかく自分を取り巻く全てを捨てて逃げ出してしまおうと決心する。

 切欠はなんだったろうか。

 こんどこそはとアイドルになる夢を賭けてオーディションを受け、やっと所属できた三軒目の事務所も倒産したからか。

 しょげかえって鳥取に戻って久々に顔を合わせた家族と喧嘩をしてしまったからか。

 自分の不幸をよく知る故郷の人々が、自分の挑戦について口さがない噂をしていると知ってしまったからか。

 いや、もうそんなことはどうでもいい。

 とにかくもういい。

 ほたるの中で大事な何かが決壊していた。

 それが何なのかは、沸騰した頭ではまともに考えられなかった。

 だけどとにかく、もう、嫌になったのだ。

 ほたるは泣きながら貯金を全て引き出し、小さな鞄をひとつ持って列車に飛び乗った。

 自分に指される無数の後ろ指、両親にかける心配、物心ついた日からつきまとう不幸、無数の苦しい思い出