転載元 : https://hayabusa.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1363428277/

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 19:04:37.54 ID:wvtfrHg70

 ― 1995年、ある休日 ―



幹也「先輩、これお昼お腹空きませんか?」

白純「お腹空いたね……」

幹也「ですよね……」


幹也「この辺に、美味しいって評判の喫茶店……出来たらしいですよ」

白純「あっ、そっか……」

幹也「行きませんか」

白純「行きたいなぁ」


幹也「じゃあ今から行きましょう」

白純「……」



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 19:13:19.36 ID:wvtfrHg70

 ― アーネンエルベ ―


(カランカラーン…)


「いらっしゃいませー」


(ざわ……ざわ……)


白純(うっ……)

幹也「結構混んでますね……」

白純「そう、だね……」

幹也「えーと……どこか、空いてる席は……」キョロキョロ

白純「……」


白純(……正直、こういう騒がしい所は……苦手だな……)

幹也(……どこも一杯、か。……あれ? あそこ……)



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 19:15:40.05 ID:yKwDXXHF0

メイド考察か




8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 19:21:47.80 ID:wvtfrHg70

???「……」 

幹也「あの、すみません」 

???「はい?」クルッ 


???「―――――」 


白純(でも、彼となら……幹也と一緒なら、そう悪い気がしないのは……何でだろう……) 


???「―――遠……野、くん……?」 

幹也「え?」 

???「―――」 


???(いや……そんな訳、ないか……。彼が、こんな所に居るはずが……) 

幹也「あの……」 

???「――失礼。知り合いにあなたに似た人が居て……てっきり本人かと思って、ビックリしちゃいました」 

幹也「はぁ……」



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 19:30:54.01 ID:wvtfrHg70

???「で……何でしょうか?」 

幹也「あ、はい。あの……」 


白純(何でだろうな……ボクは、人間嫌いなのに……) 


幹也「先ぱーい」 

白純「ん? 見付かったかい」 

幹也「いえ……こちらの方が、待ち人が来るまで相席でも構わないって」 

白純「―――相席?」 

…… 

白純「すみません、ありがとうございます」 

???「いえ……気にしないで下さい。私も今来たばかりなんです」 

白純「……」 


店員「メニューはお決まりでしょうか?」 


幹也「あっ、はい。そうだな……」チラ



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 19:39:38.79 ID:wvtfrHg70

???「お先にどうぞ」 

幹也「すみません。……先輩は、何にします?」 

白純「―――じゃあ、この日替わりパイをひとつ」 

幹也「じゃあ僕は……」 


幹也「カレーライス、一つで」 

???「!?」 


店員「日替わりパイがおひとつ、カレーライスがおひとつ」 


幹也「じゃあ……えっと……」 

???「……パスタ」 


店員「?」 


知得留「カレー、パスタ……ひとつで」 

白純「!?」



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 19:47:51.83 ID:wvtfrHg70

店員「カレーパスタが一丁! ……注文は以上でよろしいでしょうか?」 


白純(カ、カレー……パスタ……だって!? そんな奇妙な食べ物が、この世に存在するのか!?) 

知得留「……」 

白純(この人は、一体……) 

…… 

幹也「はぇー……僕ってそんなに似てるんですか? その人に……」 

知得留「ええ。声もお顔も本当にそっくりです。最初は本当に本人かと思いましたよ」 

白純(……馴染んでる……) 


幹也「―――こんなことって、あるんですね」 

知得留「世の中には似た顔の人が三人居るって迷信……あれ、本当だったんですね」 

白純「……」 

幹也「……えっと。もしかして、今待ってるって言うのも、その人の事ですか?」 

知得留「――ええ。遠野志貴っていう……本当にあなたに似た人です」 

幹也「……シキ? ――珍しいですね。シキって名前の人、そうは居ないと思ってた……」



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 19:56:28.58 ID:wvtfrHg70

知得留「あなたのお知り合いにもシキさんが?」 

幹也「ええ……その人は、女性ですけど。……あ、申し遅れました、僕は黒桐幹也です」 

知得留「知得留です」 

白純「……知恵……?」 

知得留「知得留です」 

白純「――どうも。白純です」 


店員「お待たせいたっしゃー」 

幹也「おぉ……」 

知得留「わぁ……」キラキラ 

白純「……」 

白純(……何コレ……) 

店員「ご注文の品は以上でよろしいでしょうか?」 


白純(パ、パイの上に……カレーをかけてる……だと……!?)



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 20:03:14.50 ID:3WnWWRu/0

パスタ先輩…



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 20:08:45.65 ID:wvtfrHg70

幹也「わー……美味しそうですね、先輩」 

白純(幹也……それはひょっとしてギャグで言ってるのか!?) 


知得留「それでは皆さん、手を合わせて……」 

幹也「え? あ、はい」 

白純「―――」 


「いただきます!」 

…… 

幹也「あの……知得留さん。今のって―――」 

知得留「あ……すみません。あなた達くらいの年の人と食事をすると、つい反射的に……」 

幹也「――学校の先生か何かをなさってるんですか?」 

知得留「まあ――そんな所です」 

幹也(――見た感じ。僕らとそう歳も変わらない気がするんだけど―――この人、何歳くらいだろう……?) 

知得留「あー! 黒桐さん、今私の事『何歳くらいかな?』って考えたでしょう」 

幹也「いや、そんな……」ドキリ



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 20:17:28.67 ID:wvtfrHg70

知得留「……おや? 白純さんはお召し上がらないんですか?」 

幹也「―――先輩、どうしたんですか? どこか、具合が優れないとか……?」 

白純「ん……いや……。幾ら日替わりパイと言ってもその……」 

白純「こういうのが出てくるとは思わなくて……」 


知得留「……」ピクッ 

幹也「? 結構美味しそうに見えますけど、そのパイ……?」 

白純「んー……そうなんだろうけど。僕としてはブルーベリーとか、オレンジのパイがよかったな……」ハハ… 

幹也「……まあ、パイと言ったら普通はアップルパイとかそういう甘い感じの物を想像しますよね」 

白純「大体、カレーってジャンクフードじゃないか? あんまりパイには合わないような……」 



知得留「―――白純くん」 


瞬間。その場の空気が、凍りついた気がした。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 20:26:39.05 ID:wvtfrHg70

白純「はっ……はいっ!!」 

知得留「……ソコノスミデ、チョットオ話シマショウ?」 

白純「あ、いえ……結構です。ボクそういうの遠慮して……」 


(ぐいっ……ずるずる……) 


白純「あーっ……」 

幹也「……」 


「カレーを馬鹿にする人は許せませんので」 

「いいですか?」 

「カレーは四大河川文明に匹敵する第五の文明として古代インドに生まれ、アシュカ王の時代にカピラ城でシャカの生誕に(略)」 

…… 

知得留「―――」 

幹也「……あ、お帰りなさい。話、終わりました?」 

知得留「ええ、ばっちりです」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 20:34:52.14 ID:wvtfrHg70

白純「―――コクトークン」 

幹也「……はい?」 

白純「―――ボクハ、ガッコウヲヤメルヨ」 


幹也「ええっ!? 辞めるって……そんな……何で……!?」 

白純「―――ヤリタイコトガ、ミツカッタンダ」 

幹也「そ……そうなん、ですか……?」 


白純「……」フラフラ 

幹也(先輩……さっきから何か、瞳がカレー色のような……?) 


白純(カレーカレーカレー。くっくっくっく……♪) 


こうして先輩は学校を中退した。 

―――正気に戻ったのは、退学届けが受理された後だった。 

……



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 20:42:20.42 ID:wvtfrHg70

……その後…… 


幹也「傘アルよ」 

式「いいの、迎えが来るから」 

幹也「じゃあ、それまで。いいかな」 

式「……」 

幹也「うん」 

…… 

白純(何で……どうして、こんな……) 

…… 

幹也「フンフーンフフーン」 

式「……」 

…… 

白純(そ……そりゃあ……面白いことなんか何もなくて、愛着もない学校だったけど……だけど……) 

…… 

幹也「やりたい事が見つかったからって、いきなり辞めちまうんだもんなぁ……」



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 20:50:42.64 ID:wvtfrHg70

式「……」 

幹也「式も誘っただろ。どうして来なかったのさ」 

式「……驚いた。あれ、本気だったんだ」 

幹也「あったりまえだろう。何考えてるんだ、式は」 

式(……てっきり、社交辞令とばっかり……) 

…… 

白純(幹也と他愛もないお喋りをしたり―――彼女を、遠くから眺めたり。それだけで。それだけで、幸せだったのに……) 

白純「何でボクはこんな田舎に居るんだああぁあぁッ!!」 


知恵「―――勿論、わかっているでしょう?」 

白純「な……何で……ですか……?」 

知恵「……そんなの、決まっています」ニコリ 


知恵「あなたが、カレーの悪口を言ったからです」 

白純「そ……そんな……」



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 20:58:45.81 ID:wvtfrHg70

知恵「白純くんの危険(アンチカレー)思想が治るまで、先生、頑張りますからね!」 

白純(ボク……まだ、両儀さんに告白もしてないのに……) 


白純「ぎゃぎゃぎゃああぁああぁああ!!」 


――こうして、修行の日々が始まった! 


知恵「一秒間に、10皿のカレーを食べられるようになりましょう!!」 

白純(く………くっ、くるピーィ) 

…… 

織「よ、コクトー。待ったか。悪いな、秋隆を撒くのに手間がかかりすぎた」 

幹也「――」 

織「なんだ、一時間程度の遅刻で怒ってるのか。狭量だな、おまえ」 

幹也「え……っと。式……だよね、君」 

……



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 21:06:26.69 ID:wvtfrHg70

知恵「次は10分間皿にカレーを盛り続けて」 

知恵「10分間たべつづけなさいッ。それが出来たら家に帰してあげます」 

白純(げ~~、な……、なんてこった~~) 

…… 

織「じゃあな。俺はおまえの事が気に入ったから、近いうちにまた会うよ」 

…… 

「白純さーん、白純里緒さーん。診察室にお越し下さい」 

白純「……」 


???「初めまして。白純、里緒さんですね? 今日はどうなされましたか?」 

白純「その……食べ過ぎで、お腹が痛いんです……」 

???「食べ過ぎ、とは……。焼肉か何かに……?」 

白純「いえ……カレー、なんですけど……」 

???「そう……」 

……



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 21:14:49.09 ID:wvtfrHg70

織「コクトー。人を殺したいと思ったことはある?」 

幹也「今のところはないよ。殴ってやりたい、くらいが関の山」 

織「そう。けど、オレにはそれしかない」 

幹也「―――――え?」 

…… 

???「……はい、もう結構です」 

白純「……」 

???「レントゲンで見たところ、特に異常はありませんでした。……しかし」 

???「もしあなたがさっきおっしゃった量を本当に一人で食べたのなら、これは超人的な消化力という他はないでしょう」 

白純「……」ウゥ… 

???「……何か、あったんですか?」 

白純「いえ……どうして、ボクばかりこんな目に遭うんだろうと思って……」 

???「――白純さん」 

……



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 21:23:41.06 ID:wvtfrHg70

幹也「式。ご飯を一緒に食べよう」 

式「……なんて、こと」 

…… 

???「いいですか白純さん。こういうのは考え方次第で腹立たしくも愉快にもなるんです。要は受け止め方ひとつなんです」 

白純「―――」 

…… 

式「黒桐くん。私は異常者だって、理解してる?」 

幹也「うん、かなり普通じゃないね」 

式「でしょう。ならそれを認識すべきよ。私は普通に関われる人種じゃないんだから」 

幹也「付き合うのに普通も異常も関係ないよ」 

式「――――」 

…… 

???「バケツを逆さにぶっかけられながら子メイドさん! びしょ濡れのメイドさんが泣きそうになりながら、 
    それでも健気に、はぁはぁ!! メ・イ・ド~~~~♪♪♪!!!!」



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 21:31:45.57 ID:wvtfrHg70

白純「……」 

いい先生だな、と思った。人間嫌いの自分がこんな風に思うのは、ヘンなのだろうけど。 


???「それにしても白純さん…、すべすべなおててですねぇ…、決めも細かいしお手入れも実にいい感じです。はぁ~、さわさわ…」 


……前言撤回! 

白純「何だこの先生!?」(驚愕) 

…… 

式「織の言葉で伝わらないのなら、私から言ってあげる」 

式「このままだと、きっと私はあなたを殺すわ」 

幹也「―――」 

…… 

知恵「あの……すみません。うちの生徒の……白純くん、来ていますか?」 

看護婦「ええ、丁度今診察室で先生とお話中です。お見舞いですか?」 

知恵「ええ、まあ……」



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 21:38:50.89 ID:wvtfrHg70

知恵(お昼……少しオイタが過ぎちゃったかしら……。駄目な先生ね、私……) 

看護婦「何やら楽しそうに話してますよ。先生も行ってみてはいかがですか?」 

知恵「ええ……では、そうさせていただきます」 

…… 

知恵「すみませーん。知恵ですけどー。まーだ時間掛かりそうですかね?」 


「違う! メイドだけが萌えの全てじゃない!」 

知恵(……何の話をしているのでしょう?) 


???「君の肌は好きでしたがね……でも、お肌だけで女の子と通じるほど、世界は甘くないですよぉ~☆」 

知恵(何を言っているでしょうあの人達……)チラッ 


白純「そんな―――アナタの理屈!」 

???「それが萌えですよ、里緒くん!」



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 21:44:59.25 ID:wvtfrHg70

荒々しい口調とは裏腹に、楽しい会話だった。 


白純「それ(メイド萌え)しか知らないあなたが!」 

???「君とてその一人でしょう!!」 

白純「―――ッ!!」←和服メイド萌え 

知恵(まさか……) 


白純「それでもぉッ!!!」 


(がちゃ……) 


白純「守りたい幹也が……え?」 

???「……おや、こんばんは、知恵先生。どうかなされましたか?」 

知恵「……」 

???「白純さんのお見舞いですか? なら、あまり心配しなくても良いと思います」 

???「彼、外見に反してかなり丈夫な消化器官の持ち主ですから」クス



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 21:52:11.86 ID:wvtfrHg70

NO…後>>29誤字「こんばんわ」を「こんばんは」にしといて下さい 

白純「……」 

???「例えるならそう……超一流のフードファイターみたいな……食べることのプロ並ですね」 

白純(『食べる』……か……) 


知恵「何を言ってるんですかあなた達……」ニコニコ 


(がしっ……) 


白純「えっ……」 

この時気付いた。先生の瞳の色が変だ。……なんていうのか、カレーだ。 
煮込んだカレー鍋のように、瞳がぐるぐると渦を巻いている。 


知恵「何かカレーの話をしていたのでしょう? 私も仲間に入れてくださいよー」ニッコリ 

白純「何だこの先生!?」(驚愕) 


この後診察室は、メイド天国、カレー地獄。正に阿鼻叫喚。



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 22:00:25.12 ID:wvtfrHg70

―――で。結局自分が『メイド姿をしてカレーを食べる』ということで何とか落ち着いたのだけれど……。 
……何でそうなった???? 

…… 

???「あははっ、賑やかでしたねぇ。こんなに楽しい話は何度でもしたいものです」 

白純「えっと……ありがとうございました。イリヤ……さんでしたっけ?」 

イリー「いえいえ白純さん。――いえ、レオ。私の事はこれからイリーと。Drイリーとお呼びを~~!!!」 

白純(まださっきのノリを引き摺ってるよこの人……。でも……) 


イリー「それでは、お大事に」 

白純「あ、はい……」 

白純(『レオ』か……うん、悪くない。カッコいいあだ名だな……) 


白純「あの……先生」 

イリー「はい、何ですか?」



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 22:08:19.54 ID:wvtfrHg70

白純「―――ボクにも」 

白純「ボクにも、メイド服を着てもらいたい女―――いえ、人が居て……」 

白純「でもその子、気難しそうでとてもじゃないけど……こういうのって、何とかなりませんか?」 


イリー「白純さん。あなたは本当にその人にメイド服を着てもらいたいと願うのなら―――」 

イリー「叶うと信じましょう。……小細工抜きに真っ直ぐにぶつけられた言葉って……あんがい、伝わる物ですよ?」 

白純「……先生……」 

…… 

式「―――絶対ってなに。 
  おまえに私の何が理解できるんだ。 
  おまえは私の何を信じられるんだ」 

幹也「根拠はないんだ。けど、僕は式を信じ続けるんじゃないかな」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 22:14:51.43 ID:wvtfrHg70

幹也「……うん、君が好きだから、信じ続けていたいんだ」 

式「―――――」 

…… 

イリー「あっ! 勿論その時には私にも一声御かけを! 選り取り見取り取り揃えてますよぉ~~☆」 

白純「はい、お世話になります」 


……そして時は流れ…… 


……… 
…………… 
……………… 


式「コクトー、何か言ってよ。コクトー……」 

幹也「僕は……死に……たく、ない……」 

式「……」フッ… 


式「私は、おまえを犯(ころ)したい」



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 22:17:24.38 ID:yVLuuLeO0

らっきょssって少ないから嬉しい



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 22:23:58.45 ID:wvtfrHg70

幹也「――――っ」 

式「……っ」 

荒耶「―――たわけ。そのような―――」 



「ちょっと待ったあぁああぁあッ!!!」 



式・幹也・荒耶「!?」 



???「とああぁあぁああぁあああッ!!!」クルクルクル…シュタッ 


空中を舞うように大回転しながら、スタッと美しい着地を決めて見せたのは――― 



幹也「せ、先輩ッ?!?!」 

白純「……」 


約半年ぶりに見る、白純里緒の姿だった。



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 22:33:11.49 ID:wvtfrHg70

白純「久しぶり。半年ぶりかな、黒桐くん」 

幹也「――先輩」 

聞きたいことは色々あった。 
何故急に学校を辞めたのか? 今までどうしていたのか? どうしてここに居るのか?  
そして――― 


幹也「……何でメイド服を着てるんですか?」 

白純「……」 

先輩は淡く微笑むばかりで、質問には答えてくれなかった。 



幹也「先輩……」 

白純「黒桐くん、退がってろ」 

式「―――」 


幹也「せ……」 

返事をする暇は無かった。―――式は、その声より疾く幹也に飛び掛っていた。 
先輩は咄嗟に幹也の前に出るが―――



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 22:38:55.96 ID:wvtfrHg70

きぃん、と。 
金属と金属が擦れ合うような音がした。 


幹也「な―――」 

式「っ……」 

白純「――あれあれぇ? おっかしいなぁ……こんなモノかい? 両儀……式……」 


先輩の手の中にはいつの間にか……どこから取り出したものやら…… 


幹也「バッ、バット!?」 

式「――」バッ 


幹也「その格好で、どこにそんな物を隠してたんですか?!」 

白純「深く気にするな。―――さて、両儀さん」 

式「……」



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 22:46:02.29 ID:wvtfrHg70

白純「卑怯とは言うまいね。これ位得物に差がないと……ボクとキミじゃ話にならないんだ」 

幹也「……先輩。式は―――」 

白純「分かってる。―――手荒な真似は……しないッ!!」ダッ 

式「―――ッ」 


かくして―――着物の少女と、メイド服の少年は激突した。 
かに見えた。 


式「―――」 

蹴。 
蹴。 
斬。 
斬。 
突。 
蹴。 
突。 
見事なコンビネーションだった。 

「ぐえっ!」 

「……」 

ほんの一瞬で、先輩はボコボコだった。



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 22:53:35.21 ID:wvtfrHg70

白純(……くそぅ……やっぱり、強い……) 

式「―――」 

白純(でも―――負けられないんだ。幹也のためにも……彼女のためにも―――) 


幹也「だ、大丈夫ですか!? せん……」 

白純「―――なあ、黒桐くん。キミ、メイド服って、好きかい?」 

幹也「せ……先輩、何を―――」 


……続きは、言えなかった。こちらを見つめる瞳が、あまりにも真剣だったから―――。 

幹也「……」 

幹也「……よく、わかりません。そういう方面には明るくないもので……」 

白純「そうか……じゃあ質問の形を変えよう」 



白純「幹也。両儀さんのメイド姿、見たくないか?」 

幹也「え……?」



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 23:01:03.89 ID:wvtfrHg70

――体はカレーで出来ている。 


式「―――」 


白純「三秒以内に答えろッ! 返事は押忍かサーイエッサーだ!!!」 

幹也「サ……サーイエッサー!」 

……男はこういう時、ノリがいい。……半分、自棄だった。 


白純「声が小さいッ!!!」 

幹也「サー、イエッサー!!!」 


白純「――腹の底から声をだせぃッ!!!」 

幹也「サー!! イエッサー!!!!」 


白純「やかましいやあぁあぁ!!!!」 


何とも理不尽な男だった。



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 23:08:21.70 ID:wvtfrHg70

幹也「……、……」ハァ…ハァ… 


今、殺されようという時に、何故自分はこんなことをやっているのだろう? と幹也は思った。 


白純「み……幹、也……」ハァ…ハァ… 

幹也「……、……?」ハァ…ハァ… 


――唯の一度もアニメ化は無く、唯の一度もパスタは食べない。 


白純「――いい返事だッ!! ああ、僕も見たい!!」 

幹也「先輩―――」 

式(話が長いな……) 


白純「……幹也」 

幹也「なん、です……?}



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 23:16:24.22 ID:wvtfrHg70

白純「……幹也」 

幹也「なん、です……?} 


白純「―――見よう、絶対にッ。ボクたち―――二人でッ!!!」 

幹也「―――」 


――その体は、無限のカレーで出来ていた。 


…… 

――― 一目見た瞬間から、ボクは彼女に恋していた。 
奇跡のような少女だった。 
彼女は―――ボクの理想そのものだった。 
ボクは人間嫌いだったから―――周りを頑なに寄せ付けない彼女の在り方は、気高く孤高であるように見えた。 
……正直な話。人間嫌い同士で、友達になれるんじゃないかとも思った。「同類」って事で。



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 23:23:08.94 ID:wvtfrHg70

とんだ間違いだった。―――ボクは、幹也と何の気兼ねも無く話せた。それは本当に楽しかった。
―――彼女はそれをしなかった。やりたくても、出来なかった。 

…… 

白純「いや、メイド服だけなんか勿体無いッ!! 女子高の制服も着てもらおう! 
   イリー……いおや、ボクの調べだと浅上女学院って所のガメイドぽくていいらしい!! 要チェックだッ!!」 

白純「そもそも……うちは私立校だからなぁ……女子高生の制服が見れない共学なんてどうかしてるッ! 
   着物以外の両儀さんなんて、精々体育の時の体操服とスク水くらいしか拝めないッ!! 
   いや、子の二つで十分だという気持ちも分からなくは無いけどさ……。 
   それより!その体側服にしたってブルマじゃなくてジャージだし! くっそ、昨今の教育事情はどうなってんだ!?おかしいだろ!」 


式「」 

幹也「」 

荒耶「」



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 23:29:38.67 ID:wvtfrHg70

誰も声を挟めない……いわゆる、マシンガントークだった。 
そして…… 


幹也(……気のせいか? 何か、さっきから先輩を中心に……フリルとカチューシャで彩られた夢色メイド空間が広がってるような……) 

荒耶(これは……まさか……) 


…… 

その事がわかった時、ボクは理解した。 
―――彼女は絶対に、他人に興味を持ってはいけないのだと。 
興味を持ってしまっても、彼女は結局拒絶……いや、違うな。 
彼女は決して誰かに興味を持ってしまってはいけないから、周りを拒絶しなくてはいけなかったんだ。 
―――それは、何て悲しいことだろう。



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 23:38:51.78 ID:wvtfrHg70

……ボクは、彼女には決して手が届かない事がわかってしまった。 
興味を持った相手に話しかけてはいけない……ましてや、拒絶しなければいけないなんて、出来るはずも無かったから。 

だが。 
だが、それでも美しいと感じたんだ。 

だからこそ、その理想に憧れた。自分では成りえないから、その悲しさに涙した。 
手に入らないからこそ美しいものもある。 
もし、それを手にする者がいるとすれば、それは――― 


…… 


白純「体操服、スク水は既にクリアしている……後は、制服さえクリアすれば……」 

幹也(もうメイドも何も関係なくありません……?)



49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 23:45:16.39 ID:wvtfrHg70

白純「あっ、そうだ! キミにも何か意見は無いか、幹也?!」 

幹也「えっ、僕……ですか……?」 

白純「そうだよ。キミさ、幹也さ、さっきボクがブルマとかスク水って言う度に頭の中で両儀さんの事想像してただろ?」 


式「!?」 


幹也「い、いや……そんな事……」 

白純「見たいなら後でたっぷり見ればいい。あっ、そういえばキミさ、前に両儀さんのことウサギっぽくて可愛いって言ってたよな?」 


式「!!?」 


5時間もなにしてるんだろう……



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/16(土) 23:53:31.35 ID:wvtfrHg70

白純「……よし、こうしよう!! バニーさん、とかどうだ? それもウサ耳を付けて……」 

幹也「―――」 

白純「あ……でもな……バニーコスって、結構スタイルが良くないと着れなさそうだしな……。両儀さんの場合……あるかもなぁ……」 

幹也「なっ、何がですかッ!?」 


白純「いや、だから……横から、チラッと……」 


(バタッ……) 


ノックダウン……いや、二秒で跳ね起きたッ。 


幹也「―――先輩! やりましょうッ!! バニーさん、良いじゃないですかッ!!!」



52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 00:01:29.13 ID:+sF6XEPe0

白純「だろう!? ああ、キミが仲間で本当に良かった」 



「さっきから……、聞いていればメイドメイドとやかましい……」 


白純「……え?」 

式「―――」 


(ぱしっ……) 


式は左手で先輩の右腕を掴み、そのまま右手のナイフで先輩の喉を――― 


「――――え?」 


突かなかった。式の右手は、寸前で止められていた。 


―――どうして 


白純「―――ッ」 

必死に式から離れる。



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 00:08:43.85 ID:+sF6XEPe0

白純「……」 

式「……」 


白純「なんで」 

白純「なんで、本気でやらないんだ」 


式「―――」 

白純「今だって、オレを殺そうと思えば殺せたのに……」 


荒耶「そいつが相手でも殺せぬか。―――生存のための殺人なら良しとしよう。だが(略)」 


式「――私……」 

幹也「式……」 


式「―――っ……」ダッ 

幹也「式っ!」ダッ 

いつものように書き溜めが尽きました(絶望)



54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 00:17:33.92 ID:+sF6XEPe0

白純「あっ、逃がすかッ!!」ダッ… 


荒耶(―――まだアレを破壊するのは早い) 


荒耶「……」 

荒耶(―――結局。誰も私に反応しなかったか……) 


…… 


式「……、……」ハァ…ハァ… 

幹也「……、……」ハァ…ハァ… 


(がしっ……) 


式「……」ハァ…ハァ… 

幹也「……」ハァ…ハァ… 



式「どうして――――!」



58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 00:30:03.30 ID:+sF6XEPe0

今はさるって無いけどそのうちさるっちゃいそう… 


(ザー……) 


幹也「……」 

式「……コクトーといると苦しいのに。わたしにはてにはいらないものをみせつけるから、こんなにもわたしは不安定になってしまう」 


式「だから―――殺さなくっちゃ」 

幹也「……式」 


―――殺さなくっちゃ! 


式「……けど―――出来ないよ。おまえは、わたし達の、ユメだから……」 

幹也「―――ユメ……?」



60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 00:39:35.09 ID:+sF6XEPe0

式「おまえを消せないのなら―――わたしが、消えるしかない」フッ 

幹也「待っ―――!!」 



白純「馬鹿野郎おおぉおおぉ!!! てめぇいつまで夢を見てんだ!!! 自分でもわかってんだろ?! 
   悪いユメだって! 誰かに醒ましてほしいって!!! だから俺が来た!! 俺が醒ましに来たんだ!」 


幹也「先輩っ!?」 

式(またこいつか……)



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 00:46:58.03 ID:+sF6XEPe0

白純先輩が出てくるSSは大体落ちるんだよなぁ… 


白純「……」 

幹也「……」 

式「……」 


(ざーっ……) 


白純「……キミの考えてる事は大体分かるよ、両儀さん」 

白純「黒桐くんと居ると、君は苦しいから……それから逃れるために、彼を―――消してしまいたいんだろう?」 

白純「……で、今度はそれが出来ないから自分を消去する手段に出た、って訳だ……」 


式「……」



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 00:54:23.91 ID:+sF6XEPe0

白純「……これが、本当に最善の選択肢なのか? 本当に、これしか手段はないのか……?」 

式「……ええ、そうよ」 


白純「嘘だなッ!!」 

式「……っ」ビクッ 


白純「だってその証拠に、……アンタはさっきから泣いてるじゃないか!!」 

幹也「……!!」 

式「……はぁ? あなた、急に何を言いだしたの?」 


白純「……」 

幹也(先輩も……僕と……僕と同じことを……)



65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 01:05:04.34 ID:+sF6XEPe0

実際の所、両儀さんは頬を濡らしてなどいない。 
このような、どうしようもない非情な運命に巡り合わされているのに。 

でも、だからといって……涙が流れていないことになどなるものか。 
―――彼女だって、普通の生活に憧れるんだ。 
いつか、誰かと一緒に居られると、信じたかったんだ。 
それを自ら否定するような真似をして……それでも、自分の見たユメの形だけは守ろうとして……。 


白純(―――何て、悲しい)



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 01:17:56.12 ID:+sF6XEPe0

白純「……やれよ」 

式「……?」 


白純「もしアンタが、誰かを殺して満足するんなら……俺から殺れ」 

式「―――」 


幹也「……先輩」 

白純「……ごめん、少し短絡的過ぎたな」 

白純「でも……僕だって、殺されるんなら抵抗はする。みすみす殺されるなんて真っ平ごめんだ」



67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 01:30:16.52 ID:+sF6XEPe0

式「―――」 

白純「……だから」 

白純「だから、幹也を消したり……自分さえ死ねば、何とかなるなんて事……考えないでくれ」 

白純「それは……ユメを見る価値がないって思う事、誰かと一緒に居たいって願いを否定する事……」 

白純「アンタにとって、幹也はその程度の存在だったのか?!違うだろ?!」 


式「……」 


幹也「……先輩。どうして、そこまでして……」



69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 01:43:25.56 ID:+sF6XEPe0

白純「……」 

白純「もう、言っても……良いかな。実は……」 

白純「ボクも……両儀さんの事が好きだったんだよ……」 


式「……」 

幹也「……」 


白純「……驚かないね」 

幹也「さっき……先輩、式は泣いてる……って言いましたよね」 

白純「……」 

幹也「あれは……本当に式の事を見てないと、分からないと思います」 

白純「……」フッ… 


白純「それと、もうひとつ。―――僕は、キミの事も好きなんだ。幹也」 

幹也「……」 

式「……」



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 01:48:42.32 ID:MBwJl5l10

やっぱりホモじゃないか!



73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 02:00:29.47 ID:+sF6XEPe0

本当にどこに向かってるんだろう…… 


幹也「……友達として、ですよね?」 

白純「……さて」 


式「……」ピクッ 


白純「……ボク達は、取り戻すんだ。あの、三人で仲良く笑えた、あの幸せな日々を……」 

幹也(……そもそも僕達って、一堂に会するのこれが初めてじゃなかったっけ? あれ……過去を捏造してる……) 


式「……さっきから。知ったような口を、よくも―――」 

式「幹也も、おまえも……私の何を知っているというんだ」 


白純「……恋焦がれた相手を救う以上の義務がどこにあるって言うんだ」 


幹也「……」 

幹也「それって、式の事ですよね……?」 

白純「……さあ」



74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 02:12:47.25 ID:+sF6XEPe0

式「『誰かを殺して満足するんなら、俺から殺れ』……おまえはさっきそう言ったな?」 


(チャキ……) 


幹也「――――式?」 

式「ああ―――――分かった、今その望みを叶えてやる」 

白純「―――――」 


幹也「待っ―――」 


式「―――」ダッ 

白純「―――」 



(バコンッ……) 


……



75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 02:21:59.17 ID:+sF6XEPe0

(ドサッ……) 


幹也「―――――」 

白純「……」 


幹也「し……き……?」 

式「……」 


白純「……」 

白純(かわさなかったな……彼女は……) 


幹也「……先輩。あなたは……あなたが……」 

白純「……落ち着け、幹也」 

幹也「あなたが……式を殺した……?」 

白純「……そんな訳ないだろ。―――安心しろ、峰打ちだ」



76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 02:43:00.76 ID:+sF6XEPe0

幹也「……」 

白純「……」 


幹也「バットの峰ってどこですかああぁあぁッ?!?!」 


白純「き、気持ちだけで……一体何が守れるって言うんだ……」 

幹也「―――救急車ッ!! 110番ッ!!」 


式「……」 


白純(……これも誰かの筋書き通りになったって訳か? ―――ふざけるなッ!!) 


白純「両儀など知るか大極など知るか!  
   両儀家が喜ぶ式が、今後どれだけ生まれようとも、俺たちが全部、ブチ壊してやるぜえええッ!!!」 

幹也「―――誰に向かって言ってるんですかああぁあッ! 救急車ぁッ!!」 


……不幸中の幸いとでも言うべきか、先輩はバットをフルスイングしたわけではなかった。



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 03:05:13.65 ID:+sF6XEPe0

本人曰く、上手く気を失わせるギリギリの力加減をしたらしい……。端からは、思い切り殴ったようにしか見えなかったが……。 
まあ、後で考えてみれば――式を好いている彼が、そんな事をするはずは無いのだけど。……この時は、どうも冷静さを欠いていた。 


 ― 後日・病院 ― 


式「……」パチリ… 

式「……」 

式(……ここは……) 


幹也「おはよう、式」 


式「……?」



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 03:20:25.13 ID:+sF6XEPe0

幹也「僕のこと、わかる……?」 

式「……」 


式「黒桐幹也。フランスの詩人みたいだ」 

幹也「……」パァッ… 


式「――あれから何日経ったの?」 

幹也「……君が病院に運ばれてから、丸二日」 

式「何だ、意外に短いな……」 


式「……あいつは? あの白純とかいう男はどうなったの?」 

幹也「……先輩? 丁度今病院の表で……」 


「止めろぉっ! ボクを……行かせてくれぇッ!!」 


式「……」 

幹也「あはは……ちょっと今、両儀家の人と揉めてるみたい……」



80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 03:34:03.84 ID:+sF6XEPe0

「逃げたぞ!! 追えー!!」 


式「……騒がしい」 

幹也「……」ハハ… 

幹也「……さて。当たり前だけど、この二日間何も食べてなかったね、君」 

式「……」 


幹也「何か食べたいものでもある? 都合できる物なら持って来るよ: 

式「……本当に聞きたいのは、そんな事じゃないでしょう。はっきり言いなさい」 

幹也「……」 


幹也「いや……でも君は起きたばかりだし、身体にも悪いよ。何か食べたいものは」 

式「いいから。……そう簡単に食べ物に釣られると思わないことね」 

幹也(……食べ物に釣られやすいって、自覚あったんだ)



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 03:46:03.12 ID:+sF6XEPe0

式「……」 

幹也「じゃあ、聞くけど……」 


幹也「……織は今、どうしてるの?」 

式「……」 


幹也「……」 

式「―――その質問に答える前に、あなたに言っておくべき事がある」 


式「私は、今でもあなたを犯(ころ)したいと思っている」 

幹也「そう……」 


式「……やっぱり、驚かないのね」 

幹也「前にも似たようなこと言われたし……これももう言ったかな?」 


幹也「僕はもう髄まで君にいかれてるんだ。だから……殺されるって言われた程度で、離れてなんかあげない」



83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 04:03:32.33 ID:+sF6XEPe0

式「……」 

式「初耳よ、それ……」 

幹也「……あれ? そう……だったかな……?」 


式「……」ハァ… 

式「―――織は……寝てる。多分、今も夢を見てるんだと……思う」 

幹也「死んでしまったんじゃ……ないんだね?」 

式「ええ……ただ、いつ目覚めるか分からないだけ」 

幹也「……」 

式「……あなたからしたら、良い知らせなんじゃないの。織は……関わった人を殺さずに居られない殺人鬼なんだもの」 

……そうやって、遠回しに自分を責めているのか。 

幹也「そっか……なら、仕方がない」 

式「……」 

幹也「織が起きた時に、僕以外の人を殺そうとしないように……いつも、近くで見ている必要があるな」



84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 04:17:05.48 ID:+sF6XEPe0

式「……」 

式「……おまえって、ほんっ……とに馬鹿」 

幹也「ああ、よく言われる」 

式「……そんなに馬鹿だと、もう何を言われても気にならないんでしょう」 

幹也「その理屈は良く分からないけど……何か言いたい事があるの?」 


式「……」ハァ… 

式「両儀式(わたし)を壊した責任―――ちゃんと、取ってよ……」 

幹也「―――――」 


……正直、くらっときた。 


―――織が帰ってくるのがいつの日で、それからどうなるのか分からないけど。 
……そう、悪いことには転ばない気がした。 


……そして時は流れ……1996年、正月……



85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 04:30:13.47 ID:+sF6XEPe0

 ― 黒桐家 ― 


鮮花「兄さーーーん!!」ダダダッ 


鮮花「た・だ・い・まーーーーっっ!!!」 


(ば あ ん っ ! !) 


白純「はぅ~……二人ともかぁいいよぅ……。お持ち帰りぃ~☆」 


(ぎゅうぅぅ~) 


式「……コクトー。オレ、今割と本気でこいつに殺意持ってるんだけど……」←ウサ耳バニーコス 

幹也「抑えて抑えて……あ、鮮花。お帰り」←犬耳メイド 


鮮花「何だこの状況!?」(驚愕) 

―――これが、果てしなく続く鮮花激闘の道……その第一歩であった。 


白純先輩END



86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/17(日) 04:37:34.33 ID:+sF6XEPe0

さるさん食らわなくて良かった…先輩が主役の話かと思ったら結局式と幹也のイチャイチャになってた 
投槍でごめんなさい、読んでくれてありがとうございました、お疲れ様でした 

先輩ってその気になれば幹也から主役奪える器だと思った







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