転載元 : http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1551352156/

1: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:09:16.05 ID:JBXd8BjI

※黒澤ダイヤ×南ことり×小宮有紗



5: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:11:55.30 ID:JBXd8BjI

運命────、という言葉にどういったイメージを持つだろうか。

決められた道、巡り合わせ、確定事項、人により答えは様々だろう。

人はふとしたときにそういった運命を変えたいと強く願う。きっかけはなんでもいい。例えば…夕飯の前にこっそりプリンを食べて親に叱られたこと、でも。



10: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:13:55.79 ID:JBXd8BjI

「お客様!起きてください!終点ですよ!」

ダイヤ「ん…ここは…?」

「東京駅ですが…とにかく車庫に入るので降りてください!」

ダイヤ「…は?東京駅?」

一体何時間寝ていたのだろう。自分のことを知る人間がいないほど遠くへ行きたいと願ったが、まさかこんなところまで来るつもりはなかった。

精神的に疲弊していたとはいえ電車でこんなにもぐっすり眠ってしまうなんて…。とにかく降りなくては…。改札を通れるだろうか。手持ちは…とりあえずは問題なさそうだ。

状況が飲み込みきれないながらも、血圧の上がりきらない体でふらふらと立ち上がり電車を後にした。



13: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:15:21.02 ID:JBXd8BjI

無事改札を抜け、出口へ向かうことにした。前にAqoursとしてここに来たときは迷わないか不安でたまらなかったのに、何故か不思議なほど落ち着いている。

これからどうしようか…。所持金もあまりないしさすがに引き返した方がいいだろうか…。そもそも明日は学校、生徒会長が学校をサボったとなっては…。そんなことすら考える余裕がある。

結局駅の外へ出てしまった。仕方がないので右も左もわからないコンクリートジャングルを彷徨うことにした。

ふと時刻が気になりスマホで確認する。大量の着信が来ていたが、今は一度無視することにした。なんとなく面倒くさかったのだ。

時刻は22時を回っていた。高校生だとバレれば補導される時間だ。制服を着ていなくて本当に良かった。

ああ…わたくし、ついにグレてしまったのですね…。

今になってやってきた罪悪感と、夜の都会に昂ぶる感情が入り混じり、言い表せない感情が己を支配する。

明日の始発でこっそり帰ろう。とりあえず宿を探さないと…。柄にもなくこんな状況を楽観視しながら行くあてもなく歩きだした。



17: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:16:59.62 ID:JBXd8BjI

夜の街は慣れない。なにせ今まで真面目に生きてきたものだから、深夜徘徊などしたことがないのだ。

お腹が減ってきた。夕飯はなんだったのでしょう…。この辺は飲み屋街ですのね。わたくしでも入れそうなお店は…。

周囲を見回す。駅前のビルの雰囲気とは裏腹に案外安い作りの居酒屋もある。テラス席で大笑いするおじさんの声が響いていた。

さすがに居酒屋に入るわけにはいかず、途方に暮れていたときだった。

「へーいカノジョ~」

後ろから声をかけられた。相手は女性だったが少し萎縮した。

ダイヤ「は、はい…」

「わぁ~~~!美人さんだぁ~~!彼氏は?フラれて一人?」

「ちょっと失礼でしょ!酔っ払いは黙ってて!」

かなり酔っているようだった。介抱している方は…少し顔が赤いでしょうか。それにしてもこの酔っ払いさん、どこかで見たことが…。

「ごめんね酔っ払いがうるさくて…。お詫びと言ってはなんだけど暇なら飲みに行こうよ!見た感じ大学生でしょ?奢るからさ」

ダイヤ「え、わ、わたくしは…」

動揺して言葉が出ない。返答に困る。

ダイヤ「あ、あの!お名前は…」

咄嗟に出た言葉がそれだった。相手は少し意外そうな顔をして名乗った。

小宮「ん?名前?私は小宮有紗っていいます。よろしくね!でこっちは…」

ことり「南ことりで~~す!いぇ~い!」




20: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:18:23.72 ID:JBXd8BjI

小宮「ごめんね…まさか高校生だったとは…。あんまり大人びた顔だったからつい」 

ダイヤ「い、いえ!それよりご馳走になってしまって…」 

ことり「いいのいいの~!それより今日は飲み明かすぞ~♪」 

小宮「何言ってんの!それ飲んだら帰るからね!」 

ことり「え~有紗ちゃんもさっきまで2軒め行く気満々だったのに」 

小宮「あのときは私もちょっと酔ってたの!もう覚めたから!」 

小宮「まったく…売れっ子デザイナーがサイゼのストロングゼ○なんて…絶対ファンには見せられないよこんなの」 

ダイヤ「はは…」 

なんですのこの状況。街で突然出会った女性と深夜のサイゼリヤ。目の前には酔っ払った南ことり。夢でも見ているのでしょうか。 

μ’sのメンバーを生で見たらなんてことは日頃から考えていたことだったが、自分でも意外なほど落ち着いていた。



24: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:20:36.34 ID:JBXd8BjI

小宮「なんかこっちから声かけたのにうるさくてごめんね。遠慮しないでたくさん食べてね」 

ダイヤ「いえ!そういうわけには…」 

小宮「いいのいいの、ダイヤちゃん真面目なんだね。ピザでも追加しよっか」 

ダイヤ「しかし…そんなにご馳走になっては…」 

小宮「遠慮しないでって!私も食べたかったし一緒に食べよ」 

そういうと小宮さんはピザを注文した。店員が注文を確認して卓を去ると、小宮さんは少し考え込んだような顔をして口を開いた。 

小宮「…ねぇ、もしかして家出した?」



27: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:21:52.13 ID:JBXd8BjI

ダイヤ「い、家出!?まさかそんな…少し道に迷っただけで…」 

唐突に図星を突かれて言い訳が出てこない。そもそも今まで言い訳なんてしたことがあまりなかった。口の横のホクロを掻き必死に言葉を探す。 

小宮「あ!今露骨に目逸らしたでしょ!だってこんなところでこんな時間に一人で道に迷ってる育ち良さそうなJKなんていないでしょ普通…。やっぱり家出だったんだ」 

なんとなく、なんとなくこの人には勝てないと悟ってすんなり諦めた。それと同時に、この人になら正直になってもいいような気がした。 

ダイヤ「…はい、家出してしまいましたわ」 

小宮「うんうん、素直でよろしい。おうちはどこなの?」 

ダイヤ「沼津…ですわ」 

小宮「え!?沼津!?沼津って静岡?家出通り越して小旅行だよそれ!」 

ダイヤ「東京まで来るつもりはなかったのですが電車で寝てしまって…」 

小宮「どんだけ寝てたの…」



30: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:23:10.94 ID:JBXd8BjI

ことり「おうちがそんなに遠くなら今日はさすがに帰れないよね」 

小宮「急に入ってきた…もう酔い冷めてきた?」 

ことり「お水飲んだらだいぶね。それよりどうして家出したの?」 

ダイヤ「その…親と少し揉めてしまって…本当に些細なことだったのですが」 

ことり「なるほどねぇ、でも些細なことって家出するほどのことだったんじゃないの?」 

ダイヤ「自分でも何故家を飛び出してしまったのかわからないのです。どうにも抑えが効かなくなってしまって」 

小宮「まぁ真面目な子に限ってってよく言うしね」 

ことり「とりあえず今日は私の家に泊めるから、明日ゆっくり沼津に帰ろう?」 

ダイヤ「そんな!宿までお世話になるなんて…」 

ことり「いいっていいって♪ここで会ったのもきっと何かの縁だしね」 

小宮「ことりがJKを家に連れ込むなんて嫌な予感しかしない」 

ことり「何もしないよぉ~…」



35: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:25:26.41 ID:JBXd8BjI

ダイヤ「お、お邪魔します…」 

ことり「どうぞどうぞ~、自分の家だと思って寛いでね」 

そうは言われても落ち着かない。ここはあの南ことりの家なのだ。まさか自分の人生に南ことりの家に上がり込む日が来ようとは夢にも思っていなかった。 

イメージに合ういい香りのする部屋だったが、それと裏腹に部屋の隅に雑に積まれたファッション誌や使っていない布にどうしても目がいってしまう。 

ダイヤ「あの、これって…」 

ことり「あぁ、仕事柄知り合いからもらったりして溜まってっちゃって…。恥ずかしいもの見られちゃったね」 

ダイヤ「そうだったのですか。あの…」 

ことり「ことりでいいよ」 

ダイヤ「では…ことりさんはデザイナーをされているのですか?」 

ことり「うん。昔から服とか衣装を作るのが好きだったの」 

ダイヤ「その衣装というのはもしかして、みゅ、μ’sの衣装のことでしょうか!?」



38: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:26:50.47 ID:JBXd8BjI

ことり「…知ってたかぁ」 

バツの悪そうな笑顔を浮かべはにかむ。そんな表情はどこか幼いようにも感じた。 

ダイヤ「あ…その、ごめんなさい…」 

ことり「ううん、いいの。μ’sの南ことりとして売れても意味がないと思ったから隠してたんだけど、知ってる人は知ってると思ってたし」 

ことり「私がμ’sだって覚えてる人は今はもうそんなにいないと思ってたからちょっとびっくりしちゃった」 

ダイヤ「実はわたくし昔からμ’sのファンで、それがきっかけでスクールアイドルを始めたのです」 

ことり「え!?ダイヤちゃんスクールアイドルなの?」 

ダイヤ「はい、沼津の小さな高校ですが…」 

ことり「そっかぁ…スクールアイドルも随分増えたねぇ」 

ダイヤ「5年前のμ’sのドーム公演…、あれ以来スクールアイドルの数は爆発的に増えて今では5000ものグループがいると言われていますわ!」 

ダイヤ「さらにスクールアイドルの甲子園、ラブライブの決勝はアキバドームでの開催が恒例となり、その規模は年々大きくなっていますわ!」 

ことり「ふふ、ダイヤちゃん、スクールアイドルが大好きなんだね」 

ダイヤ「あっ…ごめんなさい、つい熱くなってしまって…」 

ことり「謝らないで。好きなことに夢中になれるのはいいことだし、私もそうだから」 

ことり「それに嬉しかったんだぁ。私たちがやってきたこと、無駄じゃなかったんだって」



41: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:28:06.21 ID:JBXd8BjI

ダイヤ「今ではたくさんのスクールアイドルたちがμ’sやA-RISEを目標にしているのです。わたくしたちもその一つでした」 

ダイヤ「しかしわたくしたちはμ’sの背中を追うのをやめ、自分たちだけの輝きを探すことにしました」 

ダイヤ「そうすることを選んだのはリーダーの千歌さん。わたくしたちはそんな千歌さんの意見を尊重し団結したのです」 

ことり「…………」 

ダイヤ「…ふと思うことがあるのです。わたくしはあのとき、何か出来ていたのか、と」 

ダイヤ「あのとき一つの道を選んだ千歌さんを支えられていたか…自信がないのです」 

ことり「それはどうして?」 

ダイヤ「それは…わたくしが道を選んで来なかったからでしょうか」 

ダイヤ「…わたくしの家は地元で代々続く網元の家系で、家に決められた道を、敷かれたレールの上を歩いてきたのです」 

ダイヤ「ですからいざ自分が道を選ぶとなったとき、誰かが道を選ぶ際に支えとなろうとしたとき、どうしたらいいのかわからなかったのです」



44: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:29:00.01 ID:JBXd8BjI

ことり「そっかぁ…その…まだ出会って間もない私が言うのも何だけど、ダイヤちゃんちょっと頑張りすぎてるんじゃないかな?」 

ダイヤ「わたくしが?頑張りすぎている…?」 

ことり「うん。頑張りすぎなのと考えすぎ。もっと気楽にやりたいことを自由にやってみればいいと思うんだけどなぁ」 

ダイヤ「しかし!わたくしにはやらねばならないことが山ほど…」 

ことり「聞いたよ。だからね、一度そこから離れてみようよ」 

ダイヤ「つ、つまりどういうことですの…?」 

ことり「それはね…」 

そう呟くとことりさんはわたくしの顔に手を添え顔を近づけてきた。反射的に後ろに下がろうとするも壁に阻まれた。 

心臓の鼓動が速くなり思わず目を閉じてしまった。やがて耳元で優しい声がした。 

ことり「おうち帰るの、やめちゃおっか」



47: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:30:42.88 ID:JBXd8BjI

翌朝 部室 

鞠莉「果南!ダイヤは!?」ガチャッ! 

果南「来てない…昨日の夜、ルビィちゃんから連絡もらってから朝まで内浦中を探し回ったけどいないし…鞠莉の方は?」 

鞠莉「私もホテルのスタッフやパパのSPたちを総動員させて探させたけど見つからなかったわ…」 

果南「そっか…もう内浦にはいないのかな…」 

鞠莉「ちかっちたちには?連絡した?」 

果南「うん。朝見つからなかったからさっき連絡して…」 

曜「ダイヤちゃん!」ガチャ 

鞠莉「曜!みんなも…」 

千歌「どうなってるの!?どういうことか説明して!」 

果南「私たちも詳しくは分からないよ…ただ昨日の夜にダイヤがお母さんと揉めて外に飛び出したみたいで…」 

花丸「まるたちも昨日の夜、ルビィちゃんからそっちに行ってないかって連絡が来たけど…」 

善子「誰も心当たりなし、ね…」 

梨子「そのルビィちゃんがまだみたいだけど…」 

ルビィ「みんな…遅くなってごめんね」 

千歌「ルビィちゃん!…と?」 

「皆さん初めまして。黒澤ダイヤとルビィの母です」 

「ち、父です…」 

鞠莉「ダイヤのパパとママ!?」 

果南「お久しぶりです…ってそんなことより!」



52: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:33:39.23 ID:JBXd8BjI

黒澤母「…ということです」 

善子「うわ、ホントに些細なことね…」 

梨子「夕飯の前にこっそりプリンを食べようとしただけなんて…」 

果南「でもそれが直接の原因とは思えないよ!きっと他に何かあったはず…」ウーン 

鞠莉「そうよ!いくらプリンが大好きなダイヤでもそれだけで家出なんて考えられないもの」 

千歌「いや、わからないよ。ダイヤさんプリンに命懸けてるからね」 

曜「そこまでじゃないと思うけど…」アハハ 

花丸「そもそもあの真面目なダイヤさんが夕飯前にプリンを食べようとするなんておかしいずら」 

黒澤母「…きっと原因は私たちなんです」 

鞠莉「というと?」



56: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:35:11.95 ID:JBXd8BjI

黒澤父「私たちは知っての通り網元の家系、長女であるダイヤを立派な後継に育てようと様々なことを強いてきた…」 

果南「それってダイヤが色々やってた習い事のこととか?」 

黒澤父「えぇ、ですがそれだけでなく私生活での振る舞いなども厳しく躾けてきました。ダイヤをどこに出しても恥ずかしくないように」 

鞠莉「あのねぇ…アンタたちダイヤをなんだと思ってるわけ?」 

黒澤父「…大切な娘です」 

鞠莉「どの口が言ってんのよ…ダイヤがそんな些細なことで家出するまで追い詰めて!ダイヤに何かあったらどうするつもりなの!?」 

果南「ちょっと鞠莉!落ち着いて!」 

黒澤母「わかってはいたんです。ダイヤにもっと好きなことをさせてあげたい…家のことを押し付けて申し訳ないとは思っているんです」 

鞠莉「だったら!」 

黒澤母「ですが!黒澤の家に生を受けた以上、これは避けられないことなのです…ダイヤには歩まねばならない道がある…」 

鞠莉「くっ…そんなの…絶対間違ってる…」 

ルビィ「…………」



57: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:36:38.55 ID:JBXd8BjI

ことり「ダイヤちゃーん、朝ごはんできたよー、起きてー」 

ダイヤ「んぅ…こ、ことりさん…すみません私、寝てしまって…」 

ことり「いいのいいの、よっぽど疲れてたんだね。ご飯にしよっか」 

ダイヤ「し、しかしそこまでお世話になるわけには…わたくしは帰らないといけませんし」 

ことり「だから昨日も言ったでしょ?おうち帰るのやめちゃおうって。しばらくはうちで面倒見るから」 

ダイヤ「ですが…」 

ことり「今から帰って学校に行くつもり?今から戻っても戻る頃には放課後だろうねぇ」 

ダイヤ「うそ…もう朝の10時…こんな時間に起きるなんて…」 

ことり「ふふ、ぐっすりだったよ。朝ごはん冷めちゃうから向こう行こう?」



61: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:38:09.58 ID:JBXd8BjI

「「いただきます」」 

ことり「お口に合うかわからないけど…」 

ダイヤ「…美味しい!ことりさん、料理もお上手ですのね」 

ことり「そんな、作れるのは簡単なものだけだよ」 

ことり「お洋服ばっかり作っててご飯とか作るのは得意じゃないし…そんなんだから結婚できないのかな?」 

ダイヤ「結婚!?アイドルに恋愛はご法度ですわよ!」 

ことり「私はもうスクールアイドルじゃありませーん」 

ダイヤ「…ふふっ」 

ことり「やっと笑ったね」 

ダイヤ「す、すみません…」 

ことり「ううん、ダイヤちゃん、昨日会ったときからずっと難しい顔してたから」 

ことり「それに今は結婚よりお仕事の方が大事です!」フンス 

ダイヤ「自分のことよりも大切で打ち込めるお仕事がある…羨ましいことです」 

ことり「ダイヤちゃんにだってあるでしょ?スクールアイドル」



63: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/02/28(木) 20:39:01.26 ID:JBXd8BjI

ダイヤ「それはそうですが、スクールアイドルは仕事ではありませんわ」 

ことり「そうきたかぁ…まだ高校生なんだもんね、若いって羨ましい」 

ダイヤ「そんな!ことりさんだってまだまだ…」 

ことり「やめて~!悪意の無さが刺さるからやめてぇ~!」 

ダイヤ「…?」 

ことり「と、とにかく!今はダイヤちゃんのことだよ!」 

ことり「きっと東京にいる間、ダイヤちゃんはいろんな人に出会うと思う。いろんな世界が広がってると思う」 

ことり「その中から一つでもダイヤちゃんがこれだ!って思えるものを見つけたと判断できたらおうちに帰してあげます!」 

ダイヤ「…その言い方だと誘拐犯みたいですわね」クスッ 

ことり「まぁ今は実際そんな感じなのかな…要求はダイヤちゃんの将来の夢です!」 

ダイヤ「ふふ、誘拐犯自らその要求を満たそうとするのですね」 

ダイヤ「では…お世話になります、ことりさん」 

ことり「うん、こちらこそよろしくね。ご飯食べたら連れて行きたいところがあるから一緒に行こう」



108: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 01:09:21.73 ID:Jt9KNtqW

「いらっしゃいませ~どうぞご覧くださ~い」 

ことり「う~ん…これもいい…でもこのアウターをメインにするならスカートは…」 

ことり「ダイヤちゃんダイヤちゃん!次はこれ着てみよっかぁ」ニコニコ 

ダイヤ「は、はぁ…」 

…一体何がどうなっているのか。この状況は何なのだろう。 

事の顛末は朝食後に遡る。 

ダイヤ『連れて行きたいところ?』 

ことり『うん、服屋さん、ダイヤちゃん着替え持ってきてないでしょ?』 

ことり『私の貸してもいいんだけどしばらく面倒見るんだし買いに行かないとね』 

ダイヤ『しかし!買いに行くとは言ってもわたくしそんなお金はないですし…着てきた服でどうにかしますわ』 

ことり『だ~め!女の子が毎日同じ服なんてダメだよ!お金なら私が出すから、ね?』ウワメ 

ダイヤ『うっ…いくらなんでもそこまでお世話になるわけには…』 

ことり『おねがぁい♡』ウルウル 

ダイヤ『はうぁあっ!』ズキュウウウゥン



109: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 01:10:20.89 ID:Jt9KNtqW

…そういうわけで押し負けたわたくしは、ことりさんに連れられ原宿の服屋さんで着せ替え人形にされている、というわけです。 

ことり「ん~!やっぱ思った通りだ!こっちも似合う!」 

ことり「このスカートも買わなくちゃ!」 

ダイヤ「あの、買いすぎでは…?」 

ことり「いいのいいの、ダイヤちゃんなんでも似合うし着せ替…一緒にお店回ってて楽しいから♪」 

ダイヤ「今着せ替えって言いかけましたわよね!?」 

ことり「……あぁ~!この服かわいい~!」 

ダイヤ「ちょっと!?」



110: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 01:11:21.60 ID:Jt9KNtqW

「ありがとうございました~」 

ことり「ふぃ~、買った買った」 

ダイヤ「あの、これ本当に全部わたくしがいただいていいんですの?」 

ことり「当たり前だよ、そのために買ったんだから」 

ことり「それにダイヤちゃんの服選んでるのすごく楽しかったから、なんだか有紗ちゃんの服選んでるみたいで」 

ダイヤ「そうですか…小宮さんともお洋服を買いに来るのですか?」 

ことり「うーんたまにね、でもそんなことしなくても有紗ちゃんのお洋服はお仕事で選んでるから」 

ダイヤ「お仕事?」 

ことり「あぁ、言ってなかったね、有紗ちゃん、私のブランドのモデルさんなの」 

ダイヤ「モ、モデルさん!?」



111: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 01:12:31.91 ID:Jt9KNtqW

ことり「うん、テレビとか雑誌で見たことない?結構出てると思うんだけど…」 

ダイヤ「テレビは滅多に見ないもので…雑誌もファッション誌とは縁がありませんでしたし」 

ダイヤ「ですから芸能人の方には少々疎くて…」 

ことり「そっかぁ、私も有紗ちゃんもまだまだ頑張らないとだ」 

ことり「ダイヤちゃんがスクールアイドル頑張ってるみたいにね」 

ダイヤ「…Aqoursのみなさんは今頃どうしてるでしょう」 

ことり「ダイヤちゃんのこと心配してるだろうね、連絡してないんでしょ?」 

ダイヤ「えぇ、着信はたくさん入っているのですが、なんだか連絡を取ったらまた帰らなくてはと思ってしまうのではないかと不安で」 

ダイヤ「メンバーの皆さんには全く関係のないいざこざで迷惑をかけてしまって…あちらへ戻るとき、わたくしはどんな顔をして帰ればいいのでしょう」



112: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 01:17:01.80 ID:Jt9KNtqW

ことり「…胸を張って帰ればいいと思うよ」 

ダイヤ「へ?」 

ことり「だってそのために来たんでしょ?まぁちょっと強引だったかもしれないけど…」 

ことり「ここでいろんなことを知っていろんな物を見て、ダイヤちゃんしか知らない世界を見つけて堂々と帰る、それが今のダイヤちゃんの目標なんだよ」 

ことり「それにそうやって心配してくれる仲間や家族がいるってすっごく幸せなことなんだよ?」 

ダイヤ「ですが…みなさんに迷惑をかけているのは事実です」 

ことり「わかるよ、私もそうだったから。周りの人に心配かけるのが嫌で一人で抱えて…」 

ことり「でも今はいっぱい迷惑かけて怒らせていいんだよ、他人に迷惑かけないで生きてる人なんていないんだから」 

ことり「みんなダイヤちゃんのことが大好きだから心配してるの、きっとこの程度でダイヤちゃんのことを嫌いになるような柔な絆じゃないはずだよ、スクールアイドルって」 

ダイヤ「…………」 

ことり「しんみりしちゃったね、甘いものでも食べに行こっか」



113: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 01:18:02.05 ID:Jt9KNtqW

鞠莉「ダイヤ…一向に連絡もよこさないし一体どこで何やってんのよ…」 

果南「今私たちが怒っててもしょうがないよ、ダイヤのお父さんの話を聞いてたらそりゃあのダイヤだって逃げ出したくなるだろうし」 

鞠莉「でも!あのクソ真面目なダイヤに限って私たちに連絡の一つもよこさないなんてことある?もし誘拐でもされてたら…」 

果南「う、それは…」 

鞠莉「やっぱり私、居ても立っても居られない…大切な仲間がいなくなって何もしないなんて私にはできない!」 

果南「それには賛成、ダイヤのこと心配なのは私も同じだしね」 

鞠莉「世界中片っ端から探してでも絶対にダイヤを連れ帰るわよ!」



114: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 01:18:35.86 ID:Jt9KNtqW

ことり「ただいま~」 

ダイヤ「お邪魔します」 

ことり「むぅ~、ダメだよ、今はここがダイヤちゃんのおうちなんだから『ただいま』だよ」 

ダイヤ「…ただいま帰りました」 

ことり「…いい」 

ダイヤ「え?」 

ことり「いい!家族が一人増えたみたいで!凄くいい!もう一回言って!」 

ダイヤ「も、もう一回!?」 

ことり「おねがぁい♡」 

ダイヤ「はうぅっ!…た、ただいま帰りました…」 

ことり「んん~~いい!有紗ちゃんにも見せてあげたいなぁ」 

ダイヤ「こんなもの見せてどうなさるおつもりですの!」



115: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 01:19:33.28 ID:Jt9KNtqW

ことり「ダイヤちゃん次これ!これ着よう!ね!」 

ダイヤ「い、今着ますから!あんまり見ないでください!」 

ことり「や~ん怒られちゃった~」 

帰宅早々、今日買った服を広げてのファッションショーが始まっていた。大量の紙袋から何着も服が出てくる。一体どれだけあるのか…。かれこれ1時間はこうしている。 

ダイヤ「まったく…小宮さんに服を着せるときもこんな感じなのですか?」 

ことり「そんなわけないよ~、お仕事中はピシッとしてるよ」 

ことり「ただ、ダイヤちゃんなんだか有紗ちゃんに雰囲気似ててつい熱くなっちゃうんだよね」 

ダイヤ「それは先程仰っていた小宮さんの服を選んでるようで楽しい、ということですか?」



116: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 01:20:58.29 ID:Jt9KNtqW

ことり「うん、実は今日買った服もだいたいが有紗ちゃんにも似合いそうな服なんだ、雰囲気も体系もそっくりだったから自然と寄っちゃって」 

ことり「もしかしたらダイヤちゃん、有紗ちゃんみたいにモデルさんになれちゃうかも?」 

ダイヤ「ええ!わたくしがモデルだなんてそんな…」 

ことり「案外やってみないとわかんないよ!写真は?撮られるのは好き?」 

ダイヤ「嫌いではないですが…被写体になると少し萎縮してしまうかもしれません」 

ことり「緊張することないんだよ、普段通りのダイヤちゃんでいいの」 

ダイヤ「そうは言われましても一体どういった感じなのか…想像もつきませんわ」 

ことり「…よし、それじゃあ明日は私の職場見学だね、有紗ちゃんがちょうど撮影だから立会いなの」 

ダイヤ「職場に!?お邪魔になるのでは…」 

ことり「いいからいいから!そうと決まればこの服早く全部着ちゃおう!」 

ダイヤ「全部!?まだやるんですの!?」



127: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:06:28.97 ID:0qQv+9Nk

ダイヤ「…………」スヤスヤ 

ことり「ダイヤちゃん寝たかな」 

ことり「さて、と。ダイヤちゃんのこと、色々調べないと…」スマホポチポチ 

ことり「えっと…浦の星女学院スクールアイドル部"Aqours"所属…3年生…生徒会長…」 

ことり「9人なんだ…」 

ことり「なになに…好きなスクールアイドルは……絵里ちゃんかぁ」 

ことり「近いうちに会えちゃうね、きっと」クスッ 

ことり「…………」ポチポチ 

黒澤 網元 検索 

ことり「株式会社黒澤漁業…漁船シェア国内トップ…国外進出…なるほど、確かに大きい家みたいだね」 

ことり「こんな家のお嬢様攫っちゃうなんて…あとが怖くなってきたかも」ピップルルルル 

『もしもし』 

ことり「もしもし海未ちゃん?久しぶり!」



128: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:09:13.15 ID:0qQv+9Nk

海未『ことり!お久しぶりです!』 

ことり「ふふ、まだ起きてたんだね」 

海未『今寝ようかと思っていたところです、それよりどうしたんですか?こんな時間に』 

ことり「うん、黒澤家って知ってる?沼津の…」 

海未『…よく知ってますよ、それがどうかしましたか?』 

ことり「ホントに!?そのことでちょっと聞きたいことがあるんだけど…明日の夜って空いてる?」 

海未『明日の夜、ですか…はい、空いてますよ。久々に私の家に来ませんか?私も用事で夜まで外に出ているので待ち合わせましょう』 

ことり「わぁ!楽しみ♪それじゃあ明日の夜7時に待ち合わせね」 

海未『はい、楽しみにしています、ではおやすみなさい』 

ことり「おやすみ~」ツーツーツー 

ことり「さて、もう一仕事っと…」 

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129: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:10:38.32 ID:0qQv+9Nk

「そっか~、あそこのお店いつも並んでるもんね~」パシャ 

小宮「そうなんですよ、だから入りづらくて…」クイッ 

翌日、ことりさんの職場に連れて来られた。本当に連れて来られてしまった。 

局所的に照明が当てられた薄暗い部屋は見渡す限り高価そうな機材で埋め尽くされていた。 

ダイヤ「す、すごい…」 

その部屋の中心で被写体となっているのは小宮さん。カメラマンは調子よく自然な表情を引き出し、小宮さんはシャッターに合わせポーズを変えていく。1枚1枚がテンポよく仕上がっていく様に思わず目が引かれてしまう。 

「はい、フルショット以上になります!お疲れ様でした!」 

小宮「は~いお疲れ様でした~」



130: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:11:55.23 ID:0qQv+9Nk

小宮「やっほ、ダイヤちゃん」 

ダイヤ「小宮さん…!お疲れ様でした!素敵でしたわ」 

小宮「やめてよ照れるから…それより聞いたよ、ことりの家に軟禁されてるんだって?」 

ダイヤ「な、軟禁て…お世話にはなっていますが」 

小宮「大丈夫?なんもされてない?」 

ダイヤ「着せ替え人形にはされましたわ」 

小宮「あちゃーやっぱりかぁ…ご愁傷様…」 

ことり「もう!有紗ちゃんもダイヤちゃんも人聞き悪いよぉ~」 

小宮「出たわね着せ替え女王、写真どうだった?」 

ことり「すごくいい表情してたよ、ポージングもなんだかいつもより気合入ってたみたいだし」 

小宮「ふふ、ダイヤちゃん来てたからね、お陰で頑張れたよ」



131: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:13:51.99 ID:0qQv+9Nk

ダイヤ「そんな、わたくしは何も…」 

小宮「お手本にならなきゃって張り切っちゃったよ、今日このあと写真撮るんでしょ?箱の撮影スケジュールに名前あったけど…」 

ダイヤ「…はい?」 

昨晩確かにそのような話はしたが、このあといきなり撮るなんて初耳だ。こういうことをするのは…。 

ことり「…………」メソラシ 

絶対この人だ。目を合わせてくれないのが何よりの証拠である。 

小宮「え?ことり言ってなかったの?」 

ことり「遠回しにそれっぽい話はしたよ、ただこれくらい強引にやらないとダイヤちゃんはモデルさんやってくれないかもって思って…ごめんね」 

小宮「はぁ…こういう強引なところは穂乃果ちゃん譲りなのかなぁ」 

ことり「ふふっ、そうかも、昔の私じゃ絶対考えられなかったよ」 

ことり「それよりダイヤちゃん本当に大丈夫?こんな形になっちゃったけど」



132: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:14:56.92 ID:0qQv+9Nk

正直心の準備はできていなかった。大掛かりな設備にも現場の雰囲気にもまだ馴染めていない。何より経験がないことが大きな不安だ。でも…。 

逃げていては何も始まらない。Aqoursに再入部したときにそう気付かされた。きっとここは新しい世界への入り口。一歩を踏み出す勇気があれば自分の運命を変えられるかもしれない。 

黒澤ダイヤ、背中を押され逃げるような女ではないはず────。 

ダイヤ「…大丈夫です、やりますわ」 

ダイヤ「確かに不安も多いですが、今わたくしがここで被写体になってどういう気持ちになるのか…そこに興味が湧いているのです」 

ダイヤ「ここに来なければ一生知ることのない世界だったかもしれない、わたくしも知りたいのです、未知の世界を」 

ことり「…そっか、ありがとう、新人モデルさん♪」 

ことり「黒澤さん15分後入りま~す、よろしくおねがいしま~す」



133: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:16:02.10 ID:0qQv+9Nk

ダイヤ「ど…どうでしょうか?」 

小宮「うわ!ダイヤちゃんめちゃくちゃ美人…」 

ことり「お化粧も気合入れちゃった♪服もすっごくよく似合ってるよ!」 

ダイヤ「でもこれ小宮さんの撮影で使うはずだった服では…?」 

ことり「うん、だからこそ似合うと思ったんだ、私の目に狂いはなかった…!」 

「南さん、ケツカッチンなんでちょっと巻きで…」 

ことり「あ、はいすみません、では黒澤さん入ります、ダイヤちゃんあの真ん中立って」 

ダイヤ「えと…この辺りでしょうか?」 

ことり「うんうん!様になってるよ!じゃあカメラさんお願いしま~す」



134: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:16:45.26 ID:0qQv+9Nk

ダイヤ「よ、よろしくお願いいたします!」ドキドキ 

「初めまして、ダイヤちゃんだったよね、初めてでドキドキしてるだろうけどリラックスしていこう。こちらこそよろしくね」 

ダイヤ「はい!」 

「どうかな?スタジオ立ってみた第一印象は」 

ダイヤ「そうですわね…思ってたより眩しいですわ」 

「ははっ、フレッシュな感想だね。照明さんトップライトちょっと強いかな~」 

「うん、これでちょうどいい、光が強いと顔が白飛びしちゃうからね。教えてくれてありがとう」 

ことり「っ……」ドキドキ 

小宮「あんたがドキドキしてどうすんの…」



135: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:18:16.86 ID:0qQv+9Nk

「じゃあ撮っていきます、ところでダイヤちゃん、スクールアイドルやってるんだって?」 

ダイヤ「はい、田舎の小さな学校ですが…」モジッ 

「そっかぁ、どう?楽しい?」パシャ 

ダイヤ「楽しい、なんて言葉では言い表せないですわ、わたくしの一部、生きがいのようなものです」ニコ 

「ふ~ん、スクールアイドルが大好きなんだねぇ、顔に出てるよ」パシャ 

ダイヤ「えっ」ササッ 

「あぁ!もったいない!今すごくいい顔してたのに」 

「恥ずかしがることはないよ、今の主役はダイヤちゃんなんだ、自信を持って」 

ダイヤ「は、はい…」



136: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:19:29.15 ID:0qQv+9Nk

「そうそう、肩の力抜いて…それにしてもいいなぁ、部活で仲間と切磋琢磨、もう何年前になるんだろ、羨ましいなぁ…あの頃に戻りたいよ」パシャ 

ダイヤ「そういうものなのでしょうか、大人の方は皆さんそう言いますが…」 

「大人になってみないとわからないかもなぁ、今ダイヤちゃんが過ごしてる青春っていうのは二度と戻ってこない」パシャパシャ 

「だからこそ輝けるこの時を大切にしてほしいな」パシャ 

ダイヤ「………」 

ことり「カメラさん!あんまりクサいこと言わないでください!ダイヤちゃん困ってますよ」 

「はは、こりゃ失礼、声かけは南さんに任せた方が良さそうかもなぁ」 

ことり「任されました♪ねぇダイヤちゃん、ダイヤちゃんには素敵な仲間がたくさんいるんだよね」 

ことり「私たちにも仲間のこと教えてほしいな、どんな人たちなの?」



137: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:21:48.32 ID:0qQv+9Nk

ダイヤ「…Aqoursのリーダーは千歌さん、このグループの発起人ですわ」 

ダイヤ「おっちょこちょいで前しか見えてなくて、放っておいたら何をするかわからなくて…」 

ダイヤ「手のかかる方ですがなんだかんだでやることはきっちりやってわたくしたちの手を引いてくれる、尊敬できるリーダーですわ!」 

ことり「うんうん、他には?」 

ダイヤ「曜さんは何でも卒なくこなし飄々としていますが、実はとても繊細な一面もあって…梨子さんは引っ込み思案ですが、胸の内に熱い情熱を秘めていますわ」 

ダイヤ「善子さんは普段訳のわからないことばかり言っていますが、本当はすごく真面目な方で誰よりもメンバーを気遣える…花丸さんも誰にでも思いやりを持って接する素晴らしい方です」 

「……!」パシャパシャ



138: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:23:06.09 ID:0qQv+9Nk

ダイヤ「鞠莉さんは誰よりもAqoursが大好きで、仲間やグループのことを第一に考え、信じられないようなことでも行動に移してしまう…」 

ダイヤ「果南さんはグループになくてはならないお姉さんのような存在…抜けているように見えて実は面倒見が良くて周りがよく見えていて…」 

ダイヤ「幼い頃からずっと一緒にいますが二人のの行動力にはいつも驚かされますわ、でもわたくしに知らない景色を見せてくれるのはいつも鞠莉さんと果南さんでした」 

「…………」パシャパシャ 

ダイヤ「そして…ルビィ、わたくしの大切な妹、手のかかる妹でいつもオドオドしていますが、芯の強い子で思いの外頑固な…わたくしのたった一人の自慢の妹ですわ」 

ことり「いい仲間に巡り会えたね、みんなのこと本当に大好きなんだね!」 

ダイヤ「はい!Aqoursの皆さんかけがえのない大切な大切な仲間です!この仲間たちと出会えたことがわたくしの誇りだと…胸を張って言えますわ!」ニカッ 

「…!!」パシャパシャパシャッ



139: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:25:05.44 ID:0qQv+9Nk

「…ふぅ、いい笑顔だ!素敵な仲間の話をありがとう」 

「今日はこのまま終わろう、お疲れ様でした!すごく良かったよ!」 

ダイヤ「お疲れ様でした!」パアァ 

「撮った写真、見ていくかい?」 

ダイヤ「ぜひ!」 

「よーし、えっと…これが最初の方。緊張して強張ってるね」アハハ 

ダイヤ「こんな顔してましたのね…わたくし…」 

ことり「どんな顔?わ、正面からだとホントに引きつってる…」ヒョコ 

ダイヤ「ピギャッ、下から出てこないでくださいな!」 

小宮「でもことりが声かけしてからは別人だったよね~、一気に緊張が解けたのが見てるこっちにまで伝わってきたよ…ホラこれ、すごいいい顔してる」



140: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:26:55.02 ID:0qQv+9Nk

ことり「わぁ~!ダイヤちゃんかわいい!」 

ダイヤ「んなっ、かわいくなど…」 

ことり「いいの、ダイヤちゃんはかわいいよ?自信持って」 

ことり「…っと、時間押してるんだったね、私はこの後もう一件用があるから悪いけど先に帰ってて」 

小宮「じゃあダイヤちゃん、ご飯食べて帰ろうよ、私も今日はもうフリーだし」 

小宮「ダイヤちゃん頑張ったから今日は奢ってあげる」 

ダイヤ「…では、お言葉に甘えて」 

小宮「それじゃお先に失礼します」 

ダイヤ「ありがとうございました!失礼いたします」



141: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:28:37.32 ID:0qQv+9Nk

「いやぁ、素人の子を撮るなんて久しぶりだったからつい僕も緊張してしまいましたよ」 

ことり「ちょっと言い方!でもいい写真撮れてましたよ」 

「南さんの助け舟のお陰です、全く流石ですよ…一発で笑顔にしましたもんね」 

ことり「えっへん、これからはダイヤちゃん専属声かけ師に転身しようかな?」 

「何言ってるんですか…にしても凄いですねこの子、終盤の笑顔には何かダイヤの原石のようなものを感じましたよ」 

「ダイヤだけに」 

ことり「…………」 

「…………」 

ことり「…まぁそうですね、実際ポーズも表情も服のイメージとはあまり合ってませんが、この自信に満ちた誇らしげな表情…きっとこの子にしかないものだと思います」 

「間違いないですね、どこで見つけてきたんだ…こんな金の卵…」 

ことり「ふふ、内緒です♪」



142: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:30:37.25 ID:0qQv+9Nk

「お待たせ致しました、ワイルドステーキになります、ごゆっくりどうぞ」ジュワアアァァ~~ッッ!!! 

ダイヤ「すごいですわ…入店してから10分も待たずにステーキが出てくるなんて…いただきます」 

小宮「いきなりステーキすごいよね~、どういう仕組みなんだか…あっつ!」 

小宮「油跳ねるから気をつけて…」 

ダイヤ「あっつ!」 

小宮「あはは、なんか似てるね、私たち」 

ダイヤ「ことりさんにも同じことを言われましたわ」 

小宮「道理で私の服があんだけ似合ってたわけだ、改めてどうだった?初めての撮影」 

ダイヤ「…まぁ、すごく緊張はしました、あのスタジオにいた方全員がわたくしの表情一つに魂を込めているように思えて」 

ダイヤ「ですがなんというか、スッキリしましたわ、あんな風に笑えたのは久しぶりかもしれません」



143: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:33:08.15 ID:0qQv+9Nk

小宮「そっか、楽しんでくれたなら良かった」 

ダイヤ「それに写真を撮った後、自分の表情をあんなに見たのも初めてでしたわ、なんだか不思議な感覚でした」 

小宮「あーそれわかるなぁ、私もモデル始めたての頃はそんな感じだったよ」 

ダイヤ「やはり初めは緊張したのですか?」 

小宮「まぁね、私前から女優もやってたから撮られ慣れてはいたんだけど、いざ正面からカメラ向けられると…ね」 

ダイヤ「それを聞いて少し安心しました」 

小宮「んーでも今日のダイヤちゃんほどじゃないかなぁ」ニヤニヤ 

ダイヤ「んなっ!蒸し返さないでください!」 

小宮「いいじゃん、私と同じ気持ちになってくれてたの、ちょっと嬉しかったし」



144: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:34:47.71 ID:0qQv+9Nk

小宮「私ね、初めはモデルなんかやるつもりなかったんだよね」 

小宮「でもスタジオでことりと出会って、楽しそうに服選んでることりを見てたら、なんだか私まで楽しくなってきちゃって」 

小宮「気がついたら自然に笑顔になってる自分がいた、不思議だよ、ことりの魔力は」 

ダイヤ「……」 

小宮「今じゃやってよかったって胸張って言えるよ、やってなかったらことりとも出会えなかったしきっと後悔してた」 

小宮「ダイヤちゃんはどう?今日何もしないで帰ってたら後悔したと思う?」 

ダイヤ「…はい、カメラの前はわたくしが全く知らない世界でした、その世界に一歩踏み出せてなければ、と考えると確かに後悔していたと思います」 

小宮「うんうん、やっぱり何もやらないで後悔するのは嫌だよね」 

小宮「っとここまでが導入で…」 

ダイヤ「…?」 

小宮「じゃーん!見てこれ!」 

ダイヤ「なになに…ミナリンスキープレゼンツ 読者モデルコンテスト?」 

小宮「これ、出てみない?」



145: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:36:15.25 ID:0qQv+9Nk

ダイヤ「わたくしが出るんですの!?」 

小宮「うん、どうかな?」 

ダイヤ「え、本当にわたくしに言ってるんですのよね」 

小宮「ダイヤちゃん以外に誰がいるのよw」 

ダイヤ「いえ、そう言われましても急すぎて…このミナリンスキーというのは?」 

小宮「それはことりのブランドで出してる雑誌の名前ね、ファッション誌には読者モデルっていう一般の方のモデルがいるの」 

小宮「このコンテストに優勝すればブランドの専属モデルになれる権利を獲得できる…」 

小宮「まぁ要するに、あと1週間でここに立つ準備を整えて旋風吹かせてやろうぜってこと」 

ダイヤ「そんな無茶な…!今日初めて職業体験レベルのモデルをやったド素人ですよ?」



146: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/01(金) 23:37:26.56 ID:0qQv+9Nk

小宮「んー私はダイヤちゃんならできると思うけどなぁ」 

ダイヤ「一体何を根拠に…」 

小宮「だってさっきできてたもん、そりゃポージングとかはぎこちなかったけど、でも本当に大切なのってそこじゃない」 

小宮「撮影を楽しめたダイヤちゃんなら自分で気が付けると思うよ」 

小宮「私はそこに何か光るものを見た気がする、きっとことりもそうなんじゃないかな」 

小宮「今日みたいにスタッフだけじゃない。たくさんの観衆、テレビの前の視聴者、その人たちの視線を全て独り占めできたら…きっともっと楽しいだろうね」 

小宮「…さっきも言ったけど、やらないで後悔するより、やって後悔したほうがいい、そこだけは見失わないでほしいかな」 

ダイヤ「………」 

小宮「一晩考えてみてよ。ダイヤちゃんは一歩踏み出す勇気を持ってるよ。そっくりさんの私が保証する」ニシシ



151: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 01:55:10.97 ID:kGvTUBFP

「「「「「おけぇりなせぇ!お嬢!」」」」」 

海未「……」手スッ 

ことり「あはは…相変わらずすごいね…」 

海未「せめて客人を招くときにはやめてもらいたいものです…どうぞこちらへ」 

ことり「おじゃましま~す」 

ことり「わぁ、すごい料理!」 

海未「ことりが家に来ると聞いて今朝急いでもてなしの準備をしたのです」 

ことり「大げさだよ~」 

海未「いいではないですか、久しぶりだったので少々張り切らせてもらいました」 

ことり「ふふ、海未ちゃんらしいね、じゃあ…」 

「「乾杯」」



152: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 01:55:49.29 ID:kGvTUBFP

海未「ほう、そんなことになっていたとは…」 

ことり「うん…それで黒澤家のことを知りたくて、どんなお家なの?」 

海未「…黒澤漁業は元々静岡、内浦の地主でした。今でもその名残が残っているかと思われます」 

海未「やがて地の利を生かし漁業に事業展開し、漁業関係者ではその名を知らない者はいないほど全国的に大きな存在となっています」 

海未「私の家は知っての通り警備を専門に行っていて、家の者を派遣したことも何度かあります」 

ことり「それで…?」 

海未「まぁ、簡単に言うと非常にお堅い家です、私が言えたものではないかもしれませんが」 

海未「聞くところによるとその黒澤ダイヤさん、次期当主だそうでどこに出しても恥ずかしくないよう厳しく躾けられている、とのことです」 

ことり「やっぱり…」 

海未「私が知っているのはこの辺りまででしょうか、力になれましたか?」 

ことり「うん…家出の理由に確信が持てたよ」



153: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 01:56:23.49 ID:kGvTUBFP

海未「そうですか…ときに、ことり。なぜこのようなことを?」 

ことり「…放っておけなかったからかな、なんだか昔の海未ちゃん見てるみたいで」 

海未「私ですか?」 

ことり「うん、海未ちゃん高校卒業してスタイリスト目指そうとしてた時期があったでしょ」 

海未「そんなこともありましたね…結局家業を継ぐことにして諦めてしまった夢ですがね」 

ことり「あのときの海未ちゃん、頑張りすぎててすごくつらそうで…見てられなかったから」 

海未「その節はご心配をおかけしました…」 

ことり「ダイヤちゃんもね、お家のことも学校のこともいっぱい頑張って、頑張りすぎて、自分の将来を潰そうとしてた…」 

ことり「海未ちゃんのときは私は何もできなかったから、今度こそしっかり背中を押してあげたくて」



154: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 01:57:51.77 ID:kGvTUBFP

ことり「…でも、本当にこれでいいのかなぁ」 

ことり「私がやってること、間違ってないかなぁって正直すごく不安なんだ」 

ことり「本人の前ではそんなそぶり絶対見せられないけど…」 

海未「…確かにやってることは誘拐ですから正しいこととは言えないでしょう、今頃あちらでは大騒ぎになっていることだと思います」 

海未「警察にも連絡が行っているかもしれませんね、ですが…」 

海未「自分で決めたことに疑問を持ったらおしまいです、最後までやり遂げてください、私たちがμ’sから、穂乃果から教わったはずです」 

海未「過去の償いのつもりでやっていたなら、そんな気持ちは捨てて純粋にダイヤさんの背中を押してあげればいいと思います。自信を持って」 

海未「それが背中を押す人間の責任というものです」 

ことり「…海未ちゃんらしいね」 

海未「ふふ、そうですか?ことりからダイヤさんの話を聞いたとき、私は嬉しかったのです。夢を追いかけていたことりが誰かの夢を応援する存在になれたと」 

海未「警察がなんですか!黒澤家がなんですか!園田の力を甘く見ないでください」



155: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 01:58:31.40 ID:kGvTUBFP

ことり「海未ちゃん…ありがとう」 

海未「あなたならできますよ、ことり」 

海未「最後まで自分を信じて…」 

ことり「……っ」ギュッ 

海未「こうして抱きつかれるのも久しぶりですね」ナデナデ 

ことり「…海未ちゃん」 

海未「はい」 

ことり「ちょっと太った?」 

海未「ここで言うことですかそれ!」



156: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 01:59:51.99 ID:kGvTUBFP

ことり「ただいま~」 

ダイヤ「おかえりなさい、お疲れ様でした」 

ことり「や~ん出迎えられるのもいい~」 

ダイヤ「何言ってるんです…それより相談したいことが…これなんですが」 

ことり「ん?あぁ、ミナコンかぁ、これがどうしたの?」 

ダイヤ「…小宮さんから出演のオファーを受けました」 

ことり「え!?じゃあ出るの!?有紗ちゃんも隅に置けないなぁ…」 

ダイヤ「まだ悩んでいます、わたくしがこれに出る意味があるのかと…」 

ことり「そっかぁ…ダイヤちゃんはどうしたいの?」 

ダイヤ「推薦された以上、期待には応えたいのですが…」



157: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 02:03:00.57 ID:kGvTUBFP

ことり「ううん、そうじゃない。他人の期待とかそういうのじゃなくて、ダイヤちゃん自身がどうしたいのか。大切なのはそこだよ」 

ダイヤ「…わたくしは今日、改めて新たな世界に足を踏み入れることの楽しさを学びました」 

ダイヤ「そしてまた一つ新たな世界がわたくしの前に広がろうとしている、これを見送れば後悔するかもしれない」 

ダイヤ「出たいかどうかというより、後悔したくないのです。出ないという選択肢を取りたくない…これがわたくしの今の気持ちです」 

ことり「なんだ、答えはもう出てるじゃん」 

ダイヤ「え?」 

ことり「出ようよ、意味なんてやり遂げてからあとで考えればいい。やってみなきゃ何も見えないよ」 

ことり「ダイヤちゃんの意思がそのチャンスを掴みたがってるなら…逃さないであげてほしいな」



158: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 02:03:50.88 ID:kGvTUBFP

ダイヤ「わたくしは…この好機をモノにしたい!ここに来て自分がどれだけやれるのか、その可能性を知りたいのです」 

ことり「その意気だよ!ダイヤちゃんならきっとなんだってやれるよ!」 

ことり「確かに時間がなくて突貫工事になっちゃうけど、出来る限りのことをやってみよう!」 

ダイヤ「ことりさん…わたくし、頑張りますわ!」 

ことり「うん!一緒に頑張ろう!明日からまた忙しくなるぞ~」ルンルン 

ダイヤ「…ふふ」 

いつの間にかわたくしを巣食っていた不安は消え失せ、モデルになりたいと思う自分がいた。今はとても清々しい。もしかしたら気づかないふりをしていただけなのかもしれない。 

ここに来て良かったと…ようやくそう思えたのは背中を押してくれた方々のお陰。ここに来なければ見られない景色、出会えない人々、この先もきっとたくさんの出会いがあると思うと胸の高鳴りが止まらない。 

絶対にやり遂げて見せますわ、胸を張って帰れるその日までもう少しだけ待っていてください…皆さん。



163: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:09:11.73 ID:kGvTUBFP

「じゃあ次は遠くを眺める感じで…あの橋の方、そうそう!いい感じ!」パシャパシャ 

読者モデルコンテストに参加することになってから3日、ことりさん、小宮さん、スタッフの方々の協力のもと、本物のモデルさんの撮影の合間を縫っての猛特訓が始まった。今日は小宮さんの屋外撮影のロケに同行している。 

ポージングは基礎から、状況に応じたカメラの写り方、表情の作り方、服の見せ方など、やることは山積みである。 

小宮「初めに比べたらエラい違いだよ、上手くなったね、ダイヤ」 

そうそう、小宮さん、いえ、有紗さんが呼び捨てで呼んでくださるようになった。それに乗じてわたくしも呼び方を変えた。なんだかグッと距離が縮まったような気がしてむず痒くなる。 

ダイヤ「ありがとうございます!あの、引きの撮影のときなのですが…」 

コンテストはランウェイを歩く形式で行われる。センターステージまで歩き、ポージングをし、後ろを振り返り戻る。予選エントリーの中から勝ち抜いた5人が決勝に駒を進める、という方法で開催される。 

簡単に言うととても大掛かりなオーディションである。 

小宮「見せたい服がそのスキニーなら引き気味に撮るときは脚が目立つようなポーズを取るといいかも。例えばこの柵使って…」 

ランウェイの美しい歩き方ももちろん練習している。重要なところだったのでここにはコーチが付いてくれたのだが、そのコーチがまさかわたくしの憧れの方だったとは。3日前の衝撃は未だに鮮明に覚えている。



164: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:10:50.06 ID:kGvTUBFP

-3日前- 

小宮「どう?緊張してる?」 

ダイヤ「ほ、本当にいるんですの…?この扉の奥に…エ、エ…」アワアワ 

ことり「あはは…これ対面したらどうなっちゃうんだろう」 

小宮「まぁここでこうしててもしょうがないしとりあえず中入ろっか、失礼しまーす」ガチャ 

ことり「わぁ!久しぶり~!」 

「あら小宮さん、ことりも。久しぶりね。で、そちらの方が例の…」 

ダイヤ「あわわ…まさか本当に、本当にこの世に存在していたなんて…」 

「はじめまして、あなた、名前は?」 

ダイヤ「く、くろ、くろさわだいやですすわ」カミカミ 

「緊張しすぎよ、私は絢瀬絵里」 

絵里「よろしくね」ニコ



165: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:11:42.67 ID:kGvTUBFP

絵里「視点は高く、前をしっかり見て!そうそう」 

ただ歩くだけがこんなに難しいなんて。思ってたよりも全身運動になる。普段使わない筋肉まで使ってこの仕事の大変さを改めて痛感した。 

絵里さんの指導は厳しくもとてもわかりやすく綿密で、初心者の自分でも吸収が早かった。もっとも絵里さんが『振り付けを覚える感覚で』と言ってくれたのでそこで幾分か気が楽になったのだが。 

絵里「実際の会場はもっと大きいわよ、身体を大きく見せないと」 

ダイヤ「はい!」 

絵里さんは高校を卒業した後ロシアに渡り、そこでスカウトされ舞台やモデルの勉強をしていたらしい。日本に戻って凱旋公演を行った際、有紗さんに出会って親交を深めたそう。 

絵里さんが有紗さんを苗字で呼んでいるのは、妹の亜里沙さんと紛らわしいからだそうだ。 

絵里「そうそう、歩幅は大きく、でもまっすぐ。綱渡りのイメージを忘れないで!自信を持って!」 

心強いコーチのおかげで練習に一層身が入る。上達していくのが自分でも分かって楽しくて仕方がない。 

絵里「よし、いい感じね!一旦休憩にしましょう」



166: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:12:32.05 ID:kGvTUBFP

絵里「お疲れ様、まさか一日でここまで上達するなんて…本当にモデル経験ないの?」 

ダイヤ「あ、ありませんわ、絵里さんのご指導のおかげです…」 

絵里「私は外野から野次を飛ばしてるだけよ、あなたの上達スピードには眼を見張るものがある…才能開花って感じね」 

ダイヤ「才能、なのでしょうか。自分でそう言うにはまだ自信がなくて」 

絵里「じゃあ自分に自信が持てるまでしっかり練習しないとね、まだまだ厳しくいくわよ!」 

ーーーーーー 
ーーーー 
ーー



167: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:13:10.27 ID:kGvTUBFP

「はい、ダイヤちゃんお疲れ様!今日はここら辺で終わっとこうか」 

ダイヤ「ありがとうございました!」 

「うん、写真そっちのパソコンに送ってあるから有紗ちゃんと見ておいてね」 

小宮「待ってました!鑑賞会スタート!」 

ダイヤ「鑑賞会って…」 

小宮「おぉ!これなんかいいじゃん!なんていうか画になってるよ」 

ダイヤ「確かに…!見せたいポイントもはっきり写ってますわ!」 

小宮「ホント上手くなったよね~、それにしてもいい表情するなぁ」 

写真に写った自分の表情をまじまじと見る、これだけは未だに不思議な感覚だ。しかし初めて撮られたあの日と比べると、自分でもはっきりと差が分かるほどに慣れてきているのがわかる。 

いつしか写真をチェックする時間が心地よいものとなっていた。撮った写真の数だけ自信が満ちてくる、そんな気がしたからだ。 

そんなひとときに割って入るように、後ろから震えた声が聞こえた。 

「…見つけたよ、ダイヤ」



168: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:14:43.40 ID:kGvTUBFP

その声は聞き馴染んだものだった。幼い頃からずっとずっと聞いてきた声。顔を合わせなくても表情も感情も全て伝わってしまう。 

ダイヤ「…鞠莉さん、果南さん」 

鞠莉「ダイヤ…連絡もよこさないでこんなところで…一体何やってたのよ!」ガシッ 

ダイヤ「っ!」ビクッ 

鞠莉「無事で良かった…」ポロポロ 

ダイヤ「鞠莉さん…果南さんも…ごめんなさい」 

果南「…まぁ、無事だったから良かったけど」 

果南「とにかくどういうことか説明してよ、私たちすっごい心配したんだから」



169: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:15:21.59 ID:kGvTUBFP

全てを話した。押さえつけられるのが嫌で家を飛び出したこと、ことりさんや有紗さんに出会ったこと、連絡を取らなかった理由、ことりさんの家にお世話になっていること…新しい目標を見つけたこと。 

言いにくいことのはずなのに言葉が溢れて止まらない。きっとこの二人に話したくてたまらなかったのかもしれない。 

鞠莉「…何があったかはわかった、でも私たちにはあなたが必要なの!一緒に内浦に帰るわよ」 

ダイヤ「それは…できません」 

鞠莉「どうして!三日四日前に見つけた目標がそんなに大事!?スクールアイドルとどっちが大事なの!?」 

ダイヤ「同じくらい大事だからです!やっと見つけたわたくしの大切な目標を…夢を…そんな風に言わないで…!」 

鞠莉「あなたねぇ、頑固にも程があるわよ!みんな心配してるのよ!?」 

ダイヤ「…鞠莉さんまでわたくしを押さえつけるつもりですの?」 

鞠莉「そ、そんなつもりじゃ…」



170: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:16:10.91 ID:kGvTUBFP

果南「ダイヤ、私たちきっとダイヤに頼りすぎてた。きっと私たちが思ってた以上に無理してくれてたんだよね…気づいてあげられなくてごめんね」 

果南「でもやっぱり私たち、ダイヤがいないとダメなんだよ!9人でAqours、私たちはいつだってそうしてきたじゃん!」 

ダイヤ「…そんなことはわかっています、わたくしだって好きでみなさんに心配をおかけしていたわけではありません」 

ダイヤ「そうしてでも見たい世界があったのです…みなさんがわたくしを気にかけてくださっていたことも全部…全部!わかっています!わたくしもつらいのです…」 

果南「それなら!」 

ダイヤ「お引き取りください…わたくしはまだ帰るわけにはいかない」 

鞠莉「ダイヤ!」 

ダイヤ「帰って!」ポロポロ



171: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:17:18.58 ID:kGvTUBFP

ダイヤ「うっ…う…」ポロポロ 

小宮「…良かったの?あれで」 

ダイヤ「わかりません…悪いのはわたくしなのにあんな態度を取ってしまって…大切な友達を傷つけてしまったかもしれません」 

小宮「…本当にあの子達が大切なんだね、ダイヤは」 

小宮「まぁ…私たちも無理やり付き合わせちゃってるみたいなところがあったから…そこはごめん」 

ダイヤ「謝らないでください…夢を教えてくれたあなたに謝られたらわたくし…」 

小宮「ダイヤ……」



172: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:18:15.71 ID:kGvTUBFP

その夜のウォーキング練習には全く身が入らなかった。 

絵里「1、2、3、4!歩くテンポがズレてるわ!リズムを大切に!」 

ダイヤ「………」スタスタ 

絵里「その顔は何!?やる気あるの!?」 

ダイヤ「………」ポロポロ 

絵里「えっ、ちょ…泣くことないじゃない…」 

ダイヤ「うっ……ぐす…う…」ポロポロ 

絵里「…はぁ、一旦切り上げましょう」



173: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:19:12.43 ID:kGvTUBFP

絵里「落ち着いた?はいコーヒー」 

ダイヤ「ありがとうございます…」 

絵里「その…ちょっと言いすぎたわ、ごめんなさい」 

ダイヤ「いえ…それで泣いたわけでは…」 

絵里(よ、よかった…) 

絵里「それじゃあ何か嫌なことでもあったの?」 

ダイヤ「…わたくしを探しにきた親友に酷い言葉を浴びせ…帰らせてしまいました」



174: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:20:07.93 ID:kGvTUBFP

絵里「そっか、そんなことが…」 

絵里「あなたの事情はことりから聞いているわ。話を聞いたとき呆れたわよ…」 

絵里「でも硬い殻を破るにはいい機会かもしれないって思う自分もいて、結局喜んで協力することにしたの」 

絵里「私もあなたくらいの頃は硬い殻に閉じこもっていたから」 

ダイヤ「そうなんですの?」 

絵里「ええ。それはもうカタブツ生徒会長なんて言われるくらいにね」クスッ 

絵里「でもね、本気で正面からぶつかってくれた人がいて、私は殻を破ることができた」 

絵里「そのとき思ったの、ぶつかり合うことって決して悪いことじゃないんだなってね」 

ダイヤ「そう、なのでしょうか」 

絵里「ええ、お互い傷つけあってもいいの、衝突して、お互い腹を割って話して…最後に分かり合えればそれでいいのよ」 

絵里「次に会ったらあなたの想いをぶつけてみなさい、きっと分かり合えるはずよ」



175: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:20:53.05 ID:kGvTUBFP

「お待たせしました!生とカルーアミルクになります!ごゆっくりどうぞ!」 

ことり「そっかぁ…ついに来たかぁ」 

絵里「悪役みたいなこと言うのね、ダイヤちゃんお家で一人じゃないの?」 

ことり「実際悪役だからね…ダイヤちゃんなら今日は有紗ちゃんのお家に泊まるって」 

絵里「そう…で?どうするつもりなの?」ゴクゴク 

ことり「どうするも何もこのまま面倒見るよ」 

ことり「結局私たち大人の都合でまたダイヤちゃんを傷つけてしまったことは反省しないとだけど…」 

ことり「海未ちゃんに言われたの、自分で決めたことに疑問持ったら終わりだって、自信を持てって」 

絵里「海未がそんなことをねぇ…まるで誰かさんがいいそうなセリフね」 

ことり「そうだね…穂乃果ちゃん、どこで何やってるんだろう」



176: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:23:09.09 ID:kGvTUBFP

絵里「さぁ…ね、でも私たち、知らないうちに穂乃果の影響を受けているみたいね」 

絵里「あなたがここまで強引にダイヤを引き止めてるのも、やっぱりそれなのかしら?」 

ことり「有紗ちゃんにも同じようなこと言われた気がするなぁ…」 

絵里「ふふ、小宮さんもあなたのことしっかり見てるのね」 

絵里「私もさっきダイヤと話してて穂乃果のことを思い出したの」 

絵里「きっとあの場にいたのが穂乃果でも同じことを言っていたと思う」



177: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:23:55.56 ID:kGvTUBFP

ことり「ぶつかり合うことは悪いことじゃない、かぁ…確かにそうかもね」 

ことり「せめてものお詫びのつもりでダイヤちゃんたちがぶつかり合う機会を設けてあげられたらなぁ…」 

絵里「そうねえ…あ、いいこと思いついた」 

絵里「あのね…ゴニョゴニョゴニョ…」 

ことり「ええ~!そんなことして大丈夫なの!?」 

絵里「大丈夫よ、エリーチカに任せなさい!早速海未に連絡よ!」



178: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:25:48.62 ID:kGvTUBFP

ダイヤ「お風呂、貸していただいてありがとうございます」 

小宮「いえいえ~湯加減どうだった?」 

ダイヤ「ちょうどよかったですわ、おかげさまで」 

小宮「そっか…あのさ、やっぱりコンテスト誘ったこと謝らせてよ、ごめんね」 

ダイヤ「…有紗さんは何も悪くありませんわ、わたくしが勝手に」 

小宮「私の気が収まらないの、あのときはなんだか自分の分身を見てるみたいでつい嬉しくなっちゃって」 

ダイヤ「そうですか…でもわたくしも嬉しかったのですよ」 

ダイヤ「ことりさんが言っていた、新しい景色が見えるというのが確信に変わって」 

小宮「そっか…よかった!あぁスッキリした」



179: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:26:54.17 ID:kGvTUBFP

小宮「私ね、あのときちょっと悔しかったの」 

ダイヤ「え?」 

小宮「ダイヤのお友達にあんなこと言われて、あのコンテストのこと何も知らないクセにーって」 

ダイヤ「わたくしもです、ついカッとなってしまって…」 

小宮「うん、でもダイヤが言い返してくれて嬉しかったよ、同じ気持ちなんだって」 

小宮「ありがとう」 

ダイヤ「有紗さん…」ニコ 

小宮「よし!うじうじタイム終わり!明日からまた頑張ろう!」 

小宮「見返してやろうよ!ぐうの音も出ないくらいさ」ニシシ 

ダイヤ「そうですわね!わたくしにあんなこと言ったことを後悔させてあげましょう!」



180: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:28:24.96 ID:kGvTUBFP

同日夜 黒澤家 

黒澤母「そうですか、ダイヤは無事だったのですね」 

黒澤母「よかった…」ポロポロ 

黒澤父「ダイヤを見つけてくださってありがとうございます」 

黒澤父「しかしダイヤが一人でそんなに遠くまで…私たちの知らないところでダイヤも成長していたということか」 

鞠莉「…ダイヤはまだ帰る気はないらしいわ、だから連れ帰っては来なかった」 

果南「連れ帰って来れなかったっていうか、帰れって怒鳴られちゃったんですけどね」 

果南「私たち、ダイヤに怒鳴られてハッとしたんです」 

果南「知らず知らずのうちに私たちもダイヤを押さえつけていたのかもしれない…って」



181: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:30:57.60 ID:kGvTUBFP

鞠莉「きっとダイヤを傷つけていたのは私たちもなんじゃないかなって、ダイヤの涙を見て思ったの」 

黒澤母「前にも申したように私たちもダイヤを抑圧している自覚はあります…こんな形で痛感することになるとは思いませんでしたが」 

黒澤父「でもそんなダイヤにも、君たちのような素敵な仲間がいるから大丈夫だと心のどこかで安心していたのかもしれない」 

黒澤父「皮肉なもので人間は失って初めて気付く…」 

黒澤父「大切な娘がいなくなって、いなくなってしまった原因を自分なりに考えて、果たして家を継がせることがそんなに大切なことなのか、と思い知らされたんだ」 

黒澤父「…もうやめにしないか、母さん、あの子を自由にしてやろう」 

黒澤母「あなた…」



182: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:32:23.57 ID:kGvTUBFP

果南「私たちからもお願いします、ダイヤはもうたくさん頑張ってきたと思います…」 

鞠莉「お願いします、もう泣いているダイヤを見たくないの」 

ルビィ「ルビィからもお願い!」ガラッ 

黒澤母「ルビィ!いつからそこに?」 

ルビィ「ごめんなさい、最初から全部聞いちゃった」 

ルビィ「おねえちゃんが頑張ってるのはルビィが一番近くで見てきたからわかるの」 

ルビィ「お家やみんなのために頑張ってるおねえちゃんも大好きだけど、やっぱりおねえちゃんには笑っていてほしい」 

ルビィ「おねえちゃんが帰って来ないなんて、そんなの嫌だよ!」 

黒澤母「ルビィ…」 

黒澤母「…はぁ、わかりました、ダイヤにちゃんと謝らないとね」 

黒澤母「ダイヤも無事らしいしもう少し様子を見ましょう」 

黒澤父「母さん…!」



183: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:33:43.54 ID:kGvTUBFP

黒澤母「ただ、家族にもお友達にもこんなに心配をかけたのはいただけないわね」 

鞠莉「そう!そこよ!マリーたちがどんだけ心配したか!」 

果南「そうだね、私たちに相談もなしに一人であんなことやってたのは私もちょっとムカついたしね」 

鞠莉「帰ってきたら一発ぶん殴ってやるんだから!」 

果南「それ親父さんたちの前で言うことじゃないでしょ…」 

黒澤父「はっはっはっ、本当に君たちが友達でダイヤは幸せ者だよ」 

黒澤父「これからもダイヤをよろしく、ありがとう」 

ルビィ「……」ニコ



184: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:35:13.67 ID:kGvTUBFP

読者モデルコンテスト 予選当日 楽屋 

ダイヤ「………………」ソワソワ 

ことり「緊張してる?」 

ダイヤ「見ての通りですわ」ソワソワ 

ことり「あはは…今までやってきたことを信じて歩くだけだよ、大丈夫」 

ことり「ダイヤちゃんが17年間、自信を持って生きてきた生き様を、歩んできた道を、そのまま体現すればいいんだよ」 

ダイヤ「わたくしが歩んできた道を…?」



185: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:36:25.15 ID:kGvTUBFP

ことり「うん、わたくしが歩んできた道に後悔はないって、堂々と!」 

ことり「それになんたってこの天才デザイナー、南ことりの目に止まった金の卵なんだから!」フンス 

ダイヤ「天才って自分で言っちゃうんですのね」クスッ 

ことり「えへへ、ダイヤちゃんと一緒にいて私も自分に自信が持てるようになったから」 

ことり「その笑顔、忘れないでね」 

ダイヤ「わかってますわ!黒澤ダイヤ、夢を叶えて参ります」 

ことり「ふふ、楽しみにしてるよ、それじゃあ私は審査員だからもう行くね」 

ことり「…ランウェイで待ってるよ」



186: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:37:34.82 ID:kGvTUBFP

司会「さぁ!次はエントリーナンバー28番!現役女子高生の黒澤ダイヤさんです!」 

ダイヤ「……見ていてください、ことりさん」スタスタ 

わたくしの人生は決して楽しいことばかりではなかった。辛いこともたくさん経験して、いつも誰かのために頑張って。 
誰かの期待に応えることはすごく楽しくて。誰かの笑顔を見たくて頑張って来られた。 

でも今日は違う。わたくしはわたくしのためにこの道を歩く。自分の人生に、ことりさんたちと出会ってからの時間に、後悔がないと証明するために。 

わたくしはわたくしの道を歩む────。 

ワアアアァァァ…



187: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:38:29.88 ID:kGvTUBFP

テレビ『まさに彗星の如く現れた美女!予選をトップで通過しました!』 

テレビ『黒澤ダイヤ、彼女は一体何者なんだ~!?明日の決勝から目が離せません!!』 

鞠莉「…と、いうわけでダイヤは家出した先でモデルさんになってましたとさ」 

善子「なってましたとさ、じゃないわよ!無事でよかったけど…どうすんのよこれ!」 

果南「どうするもこうするも、明日この大会が終わるまではダイヤは帰ってこない」 

花丸「ダイヤさん、スクールアイドルやめたりしないよね…?」 

鞠莉「それはないはずよ、ただムカつくのは…」 

千歌「私たちに内緒でこんなことをやってたってこと?」 

鞠莉「Yes、人に散々心配かけといて…」



188: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 10:40:23.49 ID:kGvTUBFP

梨子「でもそれってダイヤさんなりの精一杯の抵抗だったんじゃないかな」 

曜「そうだね、行動で示すってなんかダイヤさんっぽい!」 

果南「あんなに堂々と歩かれたら悔しいけど私たちの負け…なのかもね、鞠莉」 

鞠莉「そうね…」 

ルビィ「みんな大変!家のポストにこんなものが!」ガラッ 

浦の星女学院スクールアイドル部"Aqours"へ 

脅 迫 状 

Aqoursのメンバーの一人、黒澤ダイヤは私たちが手厚く保護しているわ。何も危害は加えていないから安心してちょうだい。 

ところでダイヤが出てるコンテスト、優勝したらどうなるか知ってるかしら?もし優勝したらダイヤはあなたたちの元には戻らないかもね。 

阻止したければ決勝の日の昼、所定の場所に全員で来ること。お父様とお母様もね。ダイヤ、いえ、人質に会わせてあげるわ。 

楽しみに待ってるわ。



193: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 15:12:42.85 ID:kGvTUBFP

>>189誤字してた 

果南「くそっ!やられた…!」 

善子「どういうことよ!戻って来られないってどういうことなのよ!」 

ルビィ「このコンテストの優勝者はミナリンスキーっていう雑誌の専属モデルになる権利がもらえるの」 

千歌「それってつまり…ダイヤさんがモデルになるって言ったらずっと向こうにいるってこと?」 

梨子「多分そういうことね…このままじゃダイヤさん本当にいなくなっちゃうよ!」 

鞠莉「取り返しに行くわよ…私たちのダイヤを!」 

花丸「そうずら!このままじっとなんてしてられないよ」 

曜「でも相手は大人だよ!私たちだけで行って大丈夫かな?」 

鞠莉「そこは抜かりないわ、小原家の精鋭部隊を連れて行く、戦車も戦闘機も全部出動させるわよ!ルビィもお願いできる?」 

ルビィ「もちろんだよ、お父さんとお母さんにお願いしてみる!」 

千歌「決まりだね、決勝は明日、絶対にダイヤさんを取り返そう!」



192: 名無しで叶える物語(茸) 2019/03/02(土) 14:38:09.78 ID:WQ3c3OMM

ダイヤさんがモデルの線は考えたことなかったなあ 
面白い



196: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2019/03/02(土) 16:58:06.94 ID:/UCZBLy4

これはハラショー



201: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 21:28:34.13 ID:kGvTUBFP

終演後 楽屋 

ことり「ダイヤちゃんおめでとう!あとお疲れ様!」 

ダイヤ「ありがとうございます。いかがでしたか?」 

ことり「良かったよ~!練習してたウォーキングもポージングも最高の仕上がりだったと思う!」 

ことり「目の前でポージングされたときなんて感動して泣きそうになっちゃったよ…」ウルウル 

ダイヤ「そんな、褒めすぎですわ」 

ダイヤ「でもわたくしも自信を持って最高の演技ができました!」 

ダイヤ「有紗さんや絵里さんにも見ていただきたかった…」 

小宮「ちゃんと見てたよ、ダイヤ」ガチャ 

絵里「お疲れ様、ダイヤ」 

ことり「お、噂をすれば」



202: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 21:30:28.75 ID:kGvTUBFP

ダイヤ「二人とも!どうでしたか?」 

絵里「ひときわ輝いて見えたわ、初めてのランウェイで雰囲気に飲まれずあそこまでやれるなんて…」 

絵里「とってもハラショーだったわよ」ニコ 

ダイヤ「っっ///」ジーン 

小宮「出たハラショー!でも確かにハラショーな演技だったよ、ダイヤ」 

小宮「師匠としても鼻が高いなぁ~」 

ダイヤ「ふふ、でも歩いたのはこのわたくしですわ」エヘン 

小宮「お、言うようになったねぇ~」



203: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 21:31:30.24 ID:kGvTUBFP

絵里「ただ油断は禁物よ、これに甘んじずに明日も最高の演技をしないと勝てない」 

ことり「確かに予選残った5人はダイヤちゃん含めてもかなりの粒ぞろいだったよね」 

ダイヤ「そうですわね…もう一度気を引き締めねば」 

小宮「まぁ明日は決勝なわけだけど、それともう一つ大事なことがあるよね、ことり」 

ことり「…………」 

小宮「ことりから言うんでしょ?」 

絵里「………」 

ことり「……あのね、ダイヤちゃん」 

ダイヤ「はい?」 

ことり「…明日の決勝が終わったら、ダイヤちゃんをお家に帰そうと思います」



204: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 21:32:57.75 ID:kGvTUBFP

ことり「前に言ったよね?ダイヤちゃんが本当にやりたいことを見つけたって判断できたらお家に帰すって」 

ことり「演技してるダイヤちゃんを見て思ったんだ、あぁ、もう私がいなくても大丈夫だなぁ…って」ウルウル 

ダイヤ「…実はわたくしも同じことを思っていました」 

ダイヤ「明日の決勝が終わったら内浦に帰りたい、と予選を歩く前からお伝えしようと思っていたのです」 

ダイヤ「決勝を控えていながらこのようなことを言うのは何ですが、もう十分過ぎるくらい色々なことを教わりました」 

ダイヤ「わたくしの夢はこのコンテストでしか味わえない景色を見ること、そして背中を押してくださったみなさんの笑顔を見ることでした」ウルウル 

ダイヤ「みなさんを満足させる演技ができたのでもう思い残すことはない…の、です……」ポロポロ 

ことり「泣かないでよ…せっかく堪えてたのに…」ポロポロ



205: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 21:33:57.16 ID:kGvTUBFP

ことり「ありがとうダイヤちゃん…私のわがままに付き合ってくれて…エグッ、ありがとう…」ギュー 

ダイヤ「あなたのわがままに付き合ったつもりはありません…最初からわたくしの意志ですわ…」ギュー 

ことり「ホント…生意気言うようになったね…」 

小宮「ダイヤ、私ね、強引にコンテストに出させちゃったかなってちょっと後悔してたんだ」 

小宮「だけど…ダイヤの言葉を聞いて、ランウェイを歩くダイヤを見て、あの日出演の提案をして良かったなって安心できた」 

小宮「…私もまた一つかけがえのない経験をさせてもらえた、ダイヤがついてきてくれたおかげだよ。ありがとう」 

ダイヤ「有紗さん…わたくしの方こそ、本当に感謝してもしきれませんわ。本当にありがとうございます」 

小宮「さって、このまましんみりしててもしょうがない!ダイヤと最後の夜ごはんだし今日は焼肉だー!」



206: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 21:35:52.77 ID:kGvTUBFP

「「「「「いただきまーす」」」」」 

絵里「タン塩もーらい♪」 

小宮「あ!それ私が育てたやつ!」 

絵里「ふふ、取った者勝ち、希ルールよ」 

ことり「治安悪いよ!仲良くしようよ~」 

海未「ところで私までご一緒させてもらって良かったのですか?」 

ことり「うん、共犯者だし♪明日のことも話さないといけないし」 

海未「その言い方はどうにかならないのですか?」 

ダイヤ「……」オズオズ



207: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 21:37:25.30 ID:kGvTUBFP

絵里「ダイヤ?お肉なくなっちゃうわよ?」 

ダイヤ「い、いえ、まあそうなんですが…」チラッ 

海未「?」 

ことり「なるほどねぇ」 

ことり「ダイヤちゃん、海未ちゃんいて緊張してる?」 

ダイヤ「当たり前ですわ!μ’sの方なんですのよ!」 

絵里「私たちもμ’sなんだけどな~」 

ダイヤ「初対面に弱くて…」 

海未「"元"μ’sですよ、聞いていた通り、確かにどことなく私と似ている気がしますね」 

ダイヤ「あの!海未さんにお会いしたら聞きたいことがあったのです」 

海未「なんですか?」 

ダイヤ「その…合宿で遠泳10キロやったって本当なのですか…?」



208: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 21:39:07.09 ID:kGvTUBFP

小宮「え、マジで?」 

海未「……そ、それは」 

ダイヤ「わたくしたちの合宿でも取り入れたのですが出来たのは一人だけで…皆ついてこれなかったもので」 

ダイヤ「疑ってるわけではないのですが…」 

海未「…………本当です」シレッ 

絵里「嘘よ」 

ことり「うちの園田が大変ご迷惑をおかけ致しました…」ペコペコ 

海未「なんですかその謝り方!」 

ダイヤ「そうだったのですか…」シュン 

絵里「海未、ダイヤいじけちゃったじゃない」



209: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 21:41:26.44 ID:kGvTUBFP

海未「……あ、明日のことですが!」 

絵里「話逸らすの下手ね」 

小宮「まぁまぁ、遅かれ早かれ話すんだから。続けて」 

海未「まずは…いえ、ここは提案者の絵里から言った方がいいでしょう」 

絵里「そうね、じゃあ代わって私が」 

絵里「ダイヤよく聞いて、明日はAqoursのみんな、そしてあなたの親御さんが東京までお迎えに来るわ」 

ダイヤ「え!?」 

小宮「前にダイヤを探しに来た友達と揉めたことがあったでしょ?あの日に持ち上がった案なんだけど」 

小宮「私たちがダイヤを振り回しちゃったせいでああなってしまったから、ちゃんとぶつかり合って仲直りする機会を設けてあげたいってことでね」 

小宮「ダイヤの親御さんにも謝罪しないといけないし」



210: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 21:43:33.71 ID:kGvTUBFP

ことり「でも、ただ仲直りするだけじゃ面白みに欠けるでしょ?だから一芝居打つことにしたんだ、今の立場を利用してね」 

ダイヤ「今の立場…?」 

ことり「うん、私はダイヤちゃんを誘拐した誘拐犯、有紗ちゃんたちはその共犯者。つまり…」 

ことり「ダイヤちゃんには人質役になってもらいます♪」 

ダイヤ「はいぃ~!?」 

絵里「コンテストの優勝者に送られる権利は覚えてる?」 

ダイヤ「ええ。ミナリンスキーの専属モデルになれるんでしたわよね」 

絵里「そう、それを利用して脅迫状を送ったの。あなたの家にね」 

絵里「コンテストに優勝したらダイヤは正式にモデルになってここに残ることになるかもしれない…阻止したくば明日の昼、海未の家まで来いってね」 

ダイヤ「なんてことしてくれたんですの!?」



211: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 21:46:00.72 ID:kGvTUBFP

小宮「あーあ、もう真っ黒だよ、誘拐に脅迫って…」 

海未「大丈夫です、その程度ならいくらでも揉み消せます」 

小宮「一番真っ黒だったのは海未ちゃんの家だったか…」 

絵里「決勝の直前で申し訳ないけど、このタイミングしかなかったの」 

絵里「それに立ち直ったとは言っても、仲間を傷つけてしまったことはまだ悔やんでいるんでしょう?」 

ことり「だからこそ決勝の前にちゃんと仲直りしてスッキリして悔いのない演技をしてもらいたいと思ったんだけど…」 

ことり「どうかな?協力してくれる?」



212: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 21:46:58.93 ID:kGvTUBFP

ダイヤ「…はぁ、皆さんには心底呆れました。わたくしが憧れたμ’sはイメージとかけ離れていたのですね」 

ダイヤ「まったく、どこまでぶっ飛んでいるのですか、あなたたちは」 

ことり「ダ、ダイヤちゃん…?」 

ダイヤ「…ふふっ」 

ダイヤ「嬉しいです。会って間もないわたくしのためにこんな素敵なサプライズを用意していただけるなんて」 

ダイヤ「ここに来てから毎日驚きの連続で、もう驚くことにも慣れてしまいましたわ」クスッ 

ダイヤ「人質役、全うさせていただきますわ!」



213: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 21:49:18.03 ID:kGvTUBFP

その日の夜は海未さんの家に5人で泊まることになった。玄関先ですごい数の黒服の方に出迎えられましたが…海未さんの家って一体…。 

明日は決勝、そしてAqoursのみなさん、お父様、お母様に久しぶりに会う…。久しぶりに会うだけなのに、なぜか後者の方が緊張する。 

なんとなくソワソワして寝付けないので縁側で夜風に当たることにした。少し体が冷えてきたと思ったときだった。 

ことり「へーいカノジョ~」 

後ろから声をかけられた。 

ダイヤ「…ことりさん、有紗さん」 

小宮「こんなところにいたんだ、体冷えるよ、はいブランケット」 

ダイヤ「ありがとうございます」 

ダイヤ「…初めて会ったあの日のことを思い出していました」 

ダイヤ「わたくしはあの日のわたくしから変われただろうか…そう自問自答していたところです」



214: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 21:50:15.37 ID:kGvTUBFP

ことり「答えはどうだった?」 

ダイヤ「変われました。今なら胸を張ってあの日の自分にそう伝えられます」 

ことり「そっか」ニコ 

ダイヤ「ことりさんの言っていた通りでした。わたくしはここに来てたくさんの方に出会い色々な世界を知れました」 

ダイヤ「絵里さん、海未さん、スタッフさんたち、有紗さん、ことりさん、みなさんから多くのことを教わって、たくさん背中を押していただいて」 

ダイヤ「どこかで諦めていたわたくしに、一歩踏み出す勇気をくださったのは紛れもなくみなさんです」 

小宮「ううん、ダイヤは最初から勇気があったよ」 

ダイヤ「へ?」 

ことり「そうそう、だって家出したんでしょ?真面目なダイヤちゃんが家出って、かなり勇気がいることだと思うけどなぁ」



215: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 21:56:16.94 ID:kGvTUBFP

ことり「そういえばちゃんと聞いてなかったね、家出したきっかけはなんだったの?」 

ダイヤ「…言わなきゃダメですか?」 

ことり「聞きたいなぁ」 

ダイヤ「そ、その…夕飯の前に…冷蔵庫のプリンを食べたら…お母様に叱られてしまって…」 

小宮「あはは!ホントに些細なことだった!」 

ことり「会ったとき些細なことなんて誤魔化してたけどここまで小さいことだったんだね…なんか意外」 

ダイヤ「笑わないでください!まぁあのときは無性に腹が立ってそのまま飛び出して…」 

ダイヤ「ここにたどり着いて、自分が自由になれないことを人のせいにしようと思ったこともありました」 

ダイヤ「でもそれは違いました。わたくしは諦めて運命に従うことしかできない自分に腹が立っていたのだと…そう気づくことができましたわ」



216: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 21:57:43.93 ID:kGvTUBFP

ダイヤ「だからこそ今ならあの日の自分を許せる…むしろきっかけをもぎ取ったあの日の自分には感謝したいくらいです」 

ことり「家出も悪くないでしょ?」 

ダイヤ「ええ、悪くありません」クスッ 

小宮「遅咲きの反抗期かぁ、青春だなぁ~」 

ダイヤ「反抗期だなんてそんなたいそうなものではありませんわよ」 

小宮「それもそっか、年頃だもんね」 

小宮「…明日、しっかりみんなとぶつかって絶対勝とうね」 

ことり「私たちが着いてるからね」 

ダイヤ「心強いです、もちろんそのつもりですわ」 

ことり「ふふっ、それじゃあおやすみ、早く寝るんだよ」 

ダイヤ「ことりさんたちは?」 

ことり「大人はもう少し作戦会議♪」 

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217: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 21:58:44.86 ID:kGvTUBFP

ことり「ダイヤちゃん、支度できた?」 

ダイヤ「まだもう少し…到着がギリギリになるかもしれないことを考えると、今のうちにヘアアレンジもしておきたくて」 

ことり「ふっふっふ、お姉さんに任せなさい♪」 

小宮「あんたは審査員なんだから手貸しちゃダメでしょ!」 

ことり「ちぇ~、あ、海未ちゃん!ダイヤちゃんのヘアアレンジお願いしていい?」 

海未「もちろんです!久々に血が騒ぎます!」 

『あー、あー、我々は浦の星女学院スクールアイドル部"Aqours"!』



218: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:00:09.62 ID:kGvTUBFP

ことり「もう来たかぁ、思ってたより早かったなぁ」 

絵里「拡声器まで使っちゃって…いよいよそれっぽくなってきちゃったわね」 

ことり「海未ちゃん、何分あればできる?」 

海未「そうですね、ある程度仕上がっていたので残りは10分あればできます」 

鞠莉『えー、あなたたちは完全に包囲されてマース!こちらには戦闘兵も戦車も戦闘機もあるわ!大人しく投降してダイヤを渡しなさい!』 

小宮「うわ、物騒な…」 

絵里「外を黒服の皆さんで固めてもらっていてよかったわね、ことり、時間稼ぎに行くわよ」 

ことり「うん!」



219: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:00:57.31 ID:kGvTUBFP

ことり『あー、あー、高いところから失礼、ようこそAqoursのみなさん、初めまして、南ことりです』 

千歌「うわー!本物だー!しかも横にいるの絵里さんだよ!」 

梨子「喜んでる場合じゃないでしょ!」 

鞠莉『あなたがBOSSね、早くダイヤを出しなさい』 

ことり『あー、えーっと…ダイヤちゃん…じゃなかった、人質は今かわいくなる準備をしています、乙女の変身タイムを邪魔しちゃ、めっ、ですよ』 

絵里「締まらないわね…」 

絵里『絢瀬絵里よ、脅迫状の送り主は私よ、読んでもらえたみたいで嬉しいわ』 

絵里『こちらの要求はただ一つ、人質の要求を飲むこと、これだけよ』 

梨子「なにそれ…」 

絵里『あなたたちが戦車まで投入して強行突破を試みるならこちらにも考えがあるわ』ポチッ 

ウィ~ン 

曜「なんだろこれ、風船?」



220: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:01:51.60 ID:kGvTUBFP

絵里『あなたたちの足元のその巨大風船、空気を風船が割れるギリギリまで入れてあるわ』 

絵里『そこから一歩でも動いてみなさい、風船に空気を入れるわ…割れたらどうなるかわかるわよね?』 

果南「卑怯だぞー!」 

絵里『ふふ、なんとでも言いなさい』 

海未「絵里、ダイヤさんの準備整いました」 

絵里「オッケー、お疲れ様、海未」 

絵里『人質の準備ができたみたいね、それでは感動の再会といこうかしら』 

小宮「…ダイヤ、頑張れ。ちゃんとぶつかっておいで」 

ダイヤ「…はい」



221: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:03:05.17 ID:kGvTUBFP

ダイヤ『みなさん、お久しぶりです』 

ルビィ「おねえちゃん!」 

鞠莉『ダイヤ!大丈夫!?何もされてない!?』 

ダイヤ『何もされていませんわ、むしろお世話になってしまって…』 

善子「ふざけないでよ!私たちがどれだけ心配したかわかってるの!?」 

ダイヤ『わかっています。わたくしが言っても信じてもらえないかもしれませんが、みなさんの着信を無視していたのは心が痛かったですわ』 

花丸「なんで連絡してくれなかったの!」 

ダイヤ『…あなたたちともし連絡を取ればきっと帰りたくなってしまう。わたくしにはここでどうしてもやり遂げねばならないことがあるのです』 

千歌「それがモデルさんってこと?」 

ダイヤ『はい』



222: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:04:40.64 ID:kGvTUBFP

果南『ダイヤ、私たちが怒ってるのは心配かけられたこともそうだけど、そんなことより…』 

果南『なんで私たちに教えてくれなかったの!ダイヤのやりたいことだったら私たち応援する!一人で遠くへ行かないでよ!』 

ダイヤ『せいぜい三日四日前にできたものと罵ったわたくしの夢を応援するとでも言うのですか?』 

鞠莉『それは…悪かったわ、あのときは言い過ぎた』 

鞠莉『私はあのときダイヤに怒鳴られて気付かされた、知らず知らずのうちにダイヤを苦しめていたのかもしれないって』 

鞠莉『でもやっぱりAqoursにはダイヤがいないとダメなんだよ!私はダイヤと一緒にスクールアイドルやりたい!』 

鞠莉『だからそこから降りてきて!』 

ダイヤ『…………』



223: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:05:36.72 ID:kGvTUBFP

ルビィ『おねえちゃん!』 

ダイヤ『…ルビィ』 

ルビィ『ルビィね、おねえちゃんが全部背負い込んで頑張ってるのをいつも近くで見てた』 

ルビィ『見てたけど見ない振りをしてたのかもしれない…おねえちゃんが頑張ってくれるものなんだって心のどこかで安心してた!』 

ルビィ『でもこれからはみんなで分け合おうよ!ルビィたちは大切な家族で大切な仲間でしょ?』 

ルビィ『悩んでることがあったらルビィたちに相談してよ!一人で抱え込まないで!』 

ダイヤ『…………』



224: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:06:39.73 ID:kGvTUBFP

黒澤母『ダイヤ…」 

黒澤母『全くあなたは…黒澤の人間ともあろう者がこんなに多くの方々に迷惑をかけて!』 

黒澤母『…と、以前の私ならそう言っていたでしょうね』 

黒澤父『ダイヤが居なくなって気づいたんだ、私たちがダイヤに背負わせてきたものがどれほど重いものだったか』 

黒澤父『気づかないうちにダイヤの将来を潰そうとしていた…親失格だ』 

黒澤父『…今まで済まなかった』 

黒澤母『あなたあの日、なんて言って家を飛び出したか覚えてる?』 

ダイヤ『…………』



225: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:07:56.91 ID:kGvTUBFP

黒澤母『お母様はわたくしを愛していない、そう言ったのです』 

黒澤母『ダイヤ、子供を愛していない親なんていないのです』 

黒澤母『あなたは私たちのかけがえのない大切な…大切な娘です』 

黒澤母『それはあなたがどんな子であろうとも揺るがないことです』 

黒澤母『ですから…戻ってきてはくれないでしょうか?』 

絵里『はぁ、さっきから聞いてればダイヤを返せ返せって一方的に…』 

絵里『初めに言ったはずよ、我々の要求は人質の要求を飲むことだと』 

絵里『これから人質に要求を話させるわ、耳をかっぽじってよーーく聞きなさい』 

絵里「ダイヤ、頑張って」



226: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:08:46.86 ID:kGvTUBFP

ダイヤ『…まず、みなさんにご心配をおかけし、傷つけてしまったことをお詫びさせてください』 

ダイヤ『本当にごめんなさい』 

ダイヤ『わたくしはここに来てたくさんのことを学びました』 

ダイヤ『人と本気でぶつかり合うことを恐れて抱え込んでいたわたくしに、本気でぶつかり合うことの大切さを、絵里さんが教えてくれました』 

ダイヤ『挑戦することを諦めていたわたくしに、新しい世界へ飛び込む勇気を、有紗さんが教えてくれました』 

ダイヤ『誰かに心配や迷惑をかけることはあってはならないと思っていたわたくしに、心配や迷惑をかけずに生きている人はいないと、ことりさんが教えてくれました』 

ダイヤ『そして今、もっともっとみなさんを頼っていいんだとみなさんは言ってくれました』 

ダイヤ『…嬉しかった』



227: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:09:52.28 ID:kGvTUBFP

ダイヤ『裏切りにも等しい行為をしたわたくしを追って来てくださった…わたくしの居場所はやっぱりAqoursなんだと、そう思わされましたわ』 

ダイヤ『だからもしみなさんが許してくださるのであれば、これからはみなさんをもっと頼らせてほしい、もっとわがままも言ってみたい、腹を割って話したいのです』 

ダイヤ『…仲直り、してくださいますか?』 

果南『…ズルいよダイヤ、私たちが言おうとしてたこと、先に言っちゃうなんて』 

鞠莉『ま、まぁ?こういうのはちょっと照れくさいけど…その…』 

鞠莉『……許す』 

ダイヤ『みなさん…!』ウルッ 

ダイヤ『では…わたくしの要求、もといわがままを聞いてくださいますか?』 

果南『うん、言ってみて』 

ダイヤ『コンテストの決勝に出演させてください…これを終えたら必ず内浦へ帰ります』 

ダイヤ『わたくしの小さくて大きな夢の集大成なのです…!』



228: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:10:54.57 ID:kGvTUBFP

果南「だってさ、みんなどう?」 

千歌「そんなの決まってんじゃん、もちろんオッケーだよ!」 

花丸「マルもダイヤさんがランウェイを歩くところ、見てみたいし!」 

鞠莉「ダイヤのパパとママはどう?」 

黒澤母「…娘の数少ないわがままを聞いてやれないで何が親ですか」 

黒澤父「うむ、娘の晴れ舞台だ、応援しないわけにはいかないだろう」 

鞠莉『こっちは全会一致の賛成よ、さあ早くダイヤを解放…いや、コンテスト会場に送り届けなさい!』 

ことり『…いいの?もしダイヤちゃんが優勝したらここに残ることになるかもしれないんだよ?』 

ルビィ『構いません…だってルビィたちはおねえちゃんを信じてるから』



229: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:11:57.36 ID:kGvTUBFP

絵里「…これ以上続けても無意味ね」 

ことり「そうだね、悔しいけど私たちの完敗だね」 

ことり『え~、これより我々は投降し人質を解放する、我々の敗北だ』 

ことり『ダイヤちゃんを…よろしくね』 

絵里『これより我々は会場へ向かう、あなたたちもそのチケットを握って必ず来ること。いいわね?』ヒラヒラ 

海未「4人とも、急いでください、もう開演まであまり時間がありません」 

ことり「よ~し!飛ばしていくよ~!」



230: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:23:28.32 ID:kGvTUBFP

読者モデルコンテスト 決勝 楽屋 

海未「…よし、なんとかメイクまで間に合いました」 

絵里「ハラショー!スタイリストを海未に頼んで正解だったわね」 

ダイヤ「わぁ…これがわたくし?」 

海未「せっかくの晴れ舞台なんです、気合いを入れさせてもらいましたよ」 

ダイヤ「海未さん…色々とお世話になりました、本当にありがとうございました」 

海未「いいんです、私も昔の夢が少しだけ叶いましたから」ニコ 

ダイヤ「それから、その…絵里さん、今までご指導ありがとうございました」 

絵里「何よ急に改まって…楽しかったわよ、私も」



231: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:24:13.28 ID:kGvTUBFP

ダイヤ「あの日、絵里さんが励ましてくださらなければわたくしはここにはいなかったと思います」 

ダイヤ「本当に感謝しています」 

絵里「ちょっとやめてよ、泣いちゃうじゃない…」ウルッ 

絵里「そう言ったからには見せてもらうわよ、この1週間で叩き込んだウォーキングの全てを」 

絵里「この絢瀬絵里が教えたんだから半端な真似したら承知しないわよ?」ニコ 

ダイヤ「はい!しっかり見ていてください!」 

海未「ところでことりと小宮さんは?先程から姿が見えませんが」 

絵里「外でお話中よ」



232: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:25:36.62 ID:kGvTUBFP

黒澤母「娘が大変お世話になりました」 

小宮「いえ、そんな…こちらこそご心配をおかけして大変申し訳ございませんでした」 

ことり「本当にすみませんでした」 

黒澤父「本来なら警察に通報するところでしたが…娘を後押ししてくれたこと、そして我々の不甲斐なさに免じて今回は何もしません」 

ことり「ありがとうございます…」 

黒澤父「いえいえ、こちらこそお礼を言いたいんです。娘の殻を破ってくれてありがとうございました」 

小宮「ダイヤさん、こっちにいる間いつもお父様とお母様を心配していました」 

ことり「お父様とお母様を呼んでうなされながら謝ってる…そんな夜もあったんです」 

ことり「ダイヤちゃんはお二人のことが本当に大好きですよ、私が保証します♪」 

黒澤母「南さん…!ありがとうございます!」 

ダイヤ「…!お父様、お母様」ガチャ



233: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:27:09.96 ID:kGvTUBFP

黒澤母「ダイヤ…綺麗ね」 

黒澤父「大きくなったな、ダイヤ」 

ダイヤ「や、やめてください…お化粧が落ちてしまいますわ」ウルウル 

黒澤母「あなたの夢、私たちにもしっかり見せてね」 

黒澤父「今のお前は世界の誰よりも輝いてる、自信を持って行ってこい」 

ダイヤ「ありがとうございます…ぜひ最後まで見ていてください」



234: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:27:53.76 ID:kGvTUBFP

ダイヤ「…二人とも、本当にお世話になりま…」 

ことり「だーめ、そういうのは全部終わった後だよ」 

小宮「そうそう、湿っぽいのはあとでね、もう私たちからは何も言うことはないよ」 

小宮「できる全てを発揮して全力で楽しんでね!」 

ダイヤ「はい!」 

小宮「それじゃあ私たちは審査員だから先に行くね」 

ことり「…ランウェイで待ってるから」 

ダイヤ「…ええ、また後でお会いしましょう」



235: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:28:38.92 ID:kGvTUBFP

黒澤父「ダイヤ、お前ももう時間じゃないのか」 

ダイヤ「そうですわね、それでは行って参ります」スタスタ 

黒澤母「ダイヤ!」 

ダイヤ「…?」 

黒澤母「これが終わったら早く家に帰ってきなさい」 

黒澤母「抹茶プリン、冷えてるわよ」 

ダイヤ「…はい!」



236: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:30:07.45 ID:kGvTUBFP

司会「続いてはエントリーナンバー5番、予選で圧倒的なパフォーマンスを魅せた黒澤ダイヤさんの登場です!」 

ダイヤ「皆さん…見ていてください」スタスタ 

幅約3メートルの細長い道。以前のわたくしなら臆して、きっとこの道の端を歩いていたことでしょう。ですが…。 

胸張って!もっと堂々と! 

ランウェイの上ではあなたが主役!もっと真ん中を歩いていいのよ 

歩いてるときも表情を意識して!顔上げて! 

…ふふ。絵里さんの声が聞こえてくるようです。 
絵里さん、どうでしょうか。わたくし、堂々と真ん中を歩けていますか? 

絵里「…ハラショー」



237: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:31:23.82 ID:kGvTUBFP

ダイヤ「……」スタスタ 

センターステージ、モデルが最も輝く場所。全員の注目を最も集める場所。 

ここに立てることがわたくしは誇らしい…! 

ダイヤ、ポージングは最も目立たせたい場所を自然に強調するの。 

この写真、すごくいい表情だよ~ 

次はもっとクールに…や~んカッコいい~ 

ダイヤのチャームポイントはね… 

ダイヤ「……」クイッ 

自信に満ちたその表情だよ



238: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:32:01.10 ID:kGvTUBFP

「おお、これは…」 

「服ではなく顔を強調するポージング…斬新ですね」 

「ですが…あくまで強調してほしいのは服…どうですか南さん…南さん?」 

ことり「…いい表情(かお)だね」ポロポロ 

小宮「…………素敵だよ、ダイヤ」ボソッ 

ダイヤ「……」ニコ 

ダイヤ「………」クルッスタスタ



239: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:34:01.35 ID:kGvTUBFP

…ランウェイは人生。己が歩んできた道。 

一見平坦な道に見えるが、ここに至るまで色々なことがあった。 

辛いこと、楽しいこと、様々な経験、様々な出会い。 

それら全てが積み重なって作られたこの道を歩んできてよかったと…後悔はなかったと…自信を持って歩くきたい。 

これからも色々なことが起こる道だろう。でもそこから逃げずに、信じ合える仲間と共にこの道を歩んでいきたい…! 

それがわたくしのわがまま、ここで見つけた大切な道です! 

司会「黒澤ダイヤさん、演技終了です!素晴らしい演技でした!」 

司会「さぁ、結果が出たようです…ミナリンスキープレゼンツ 読者モデルコンテスト、優勝者は……!!」 

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240: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:40:34.92 ID:kGvTUBFP

ことり「忘れ物はない?」 

ダイヤ「はい、買っていただいた服しかありませんので」クスッ 

小宮「それにしてもこんなに買ったんだ…何着あるのよ…」 

ダイヤ「全くですわ、毎晩着せ替え人形にされて大変だったのですから」 

小宮「初めて会ったときの嫌な予感の正体はこれか…」 

ことり「もう!ダイヤちゃんだって慣れてきて満更でもなかったくせに…」 

ダイヤ「ふふっ、おかげさまで服を着るのが早くなったんですのよ」 

小宮「っと、話してる余裕なかったね、新幹線乗り遅れちゃうよ!」



241: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:41:46.47 ID:kGvTUBFP

東京駅 

ことり「本当にこんなものでいいの?」 

ダイヤ「ええ、一生大切にします」 

ことり「や~んプロポーズみたい~♡」 

小宮「何言ってんの…ダイヤ、元気でね」 

ダイヤ「はい。有紗さんもお元気で。お世話になりました。本当に楽しかったですわ」 

小宮「こちらこそ楽しかったよ!絶対また会おうね!今度はそっちに遊びに行くからさ」 

ダイヤ「ええ、お待ちしております」 

ことり「ダイヤちゃん」ギュッ 

ことり「今までよく頑張ったね」 

ダイヤ「っっ!」ブワッ 

ダイヤ「…本当に、ほんと、う…に…お世話になりました…」ポロポロ 

ことり「うん、うん…!私の方こそありがとう…!」ポロポロ



242: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:43:22.65 ID:kGvTUBFP

ことり「もう~!泣かないでよ…最後くらい笑顔でお別れしたかったのに」 

ダイヤ「ことりさんも泣いているではありませんか」クスッ 

ダイヤ「それに最後ではありませんわ、絶対にまた会えます、なんたってわたくしたち3人は…」 

ダイヤ「運命の出会いなのですから」 

14バンセンマモナクハッシャイタシマース 

ダイヤ「…では行きますね」 

ことり「ダイヤちゃん!」 

ことり「これ!お家帰ったら読んで!」 

ことり「それから帰ったらちゃんとおかえりって言うんだよ!」 

ダイヤ「はい…では」 

ダイヤ「またお会いましょう」



243: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:44:59.11 ID:kGvTUBFP

プォーン! 

ことり「…行っちゃったね」 

小宮「うん、寂しくなるね」 

小宮「娘を送り出したみたいな…そんな気持ちだよ」 

ことり「うん…」 

ことり「私たちもダイヤちゃんから大切なことをいっぱい教わった、大切なことをいっぱい思い出した気がするよ」 

小宮「そうだね…まぁ、いつまでも感傷に浸っててもしょうがないし今日は飲みいこっか!」 

ことり「いいね!お店はもちろん…」 

「「10日前のところ!」」



244: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:46:25.73 ID:kGvTUBFP

ツギハーイズミトシーパラダイス~ 

今度は寝なかった。公共交通機関で寝ると大変なことになるというのは東京に行って最初に学んだことだ。 

家までの道を歩く。久々の帰宅路だ。辺りはすっかり暗くなっていて、こんなに暗かっただろうかと思いながら、静かな、見慣れた道を歩く。 

バス停から家までそう距離はないため、5分程度で暗闇に自宅が姿を現した。自分の家に帰ってきたはずなのになぜか落ち着かない。 

玄関の灯りが点いていて少しだけ涙腺が緩んでしまう。グッと堪え意を決して扉を開けた。 

ダイヤ「………」ガラガラガラッ 

ルビィ「…おかえり、おねえちゃん!」 

黒澤父「おかえり、ダイヤ」 

黒澤母「おかえりなさい」 



ダイヤ「…ただいま帰りました」ニコ 

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245: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:48:09.61 ID:kGvTUBFP

家出美少女へ 

この手紙を読んでいるってことはもうお家に帰ったんだよね。ちゃんとおかえりは言った?久しぶりのお家はどう? 

私の家はきっとがらーんとしていると思います。たくさん買った服がなくなって、敷布団を敷かなくてよくなって。 

ダイヤちゃんがいなくなって。 

いなくなったときのことを考えるだけで、心にぽっかり穴が空いたような気がしてやりきれなくなります。 

一緒にいた時間は短いけど、私にとってそれだけダイヤちゃんはかけがえのない存在なんだってことを痛感します。 

私はダイヤちゃんを攫ってから自分なりに色々やってみたつもりだったけど、本当にそれが正しいことなのか不安でした。 

だけど今日の予選の演技を見て、楽しそうなダイヤちゃんの表情を見て、自分のやってきたことが間違ってなかったんだって思うことができました。 

ダイヤちゃんは私にお世話になってばっかりだとか思ってるかもしれないけど、私もダイヤちゃんに救われてたの。 

ありがとう。



246: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:49:08.11 ID:kGvTUBFP

伝えたいことはたくさんあるのに、こうして手紙にすると上手く書けません。適切な言葉が中々出てきません。 

だからいつかまた会ってちゃんとお話しできるときに、この手紙で伝えたかったことを話します。必ず会いに行きます。今度は私が内浦までダイヤちゃんを攫いに行きます。約束です。いや、犯行予告です。 

そのときは初めて会ったときのように急に後ろから声をかけるから準備しといてね。 

ダイヤちゃんのランウェイが幸多きものでありますように。 

誘拐犯 南ことり



247: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:50:37.09 ID:kGvTUBFP

鞠莉「ん~!これもいいわね!ダイヤ次これ着て!」 

ダイヤ「ちょっと!わたくしは着せ替え人形じゃありませんのよ!」 

鞠莉「いいじゃないこんなに服あるんだから!ね!」 

ダイヤ「これじゃ東京にいたときと何も変わりませんわ~!」 

鞠莉「決勝でビリだったからもっとお洋服のお勉強しないとダメでしょ?」 

果南「鞠莉!それイジっていいの?」 

ダイヤ「いいのです、わたくし、あのステージに一つも後悔はありませんので」 

鞠莉「ポージングが服を際立たせないから減点対象になったんだっけ?ケチだよね…」 

ダイヤ「ええ、でもあれでよかったのです」 

ダイヤ「あのポージングが一番わたくしらしくて好きでしたから」



248: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:51:40.93 ID:kGvTUBFP

果南「にしてもあのダイヤがファッション誌読むなんてね~、私には全然わかんないや」ペラ 

ダイヤ「それはことりさんが帰り際にくださったものですわ、わたくしが買ったわけではありませんの」 

ダイヤ「表紙にはμ’sのお三方と有紗さんのサイン入り!世界に一つだけですわ!」 

果南「ふ~ん…お、ダイヤだ!へぇ~綺麗に写ってるもんだね」 

鞠莉「どれどれぇ~?ワオ!ダイヤかわいい!コピー取っちゃお!」 

ダイヤ「ちょっ!待ちなさい鞠莉さん!返しなさい!」 

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249: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:54:33.75 ID:kGvTUBFP

ある晴れた日。なんとなく散歩がしたくなって外に出た。ただの散歩だというのに訳もなく格好に気合いを入れてしまった。 

人通りの少ない見慣れた町を一人歩く。景色を見ながらここは写真映えしそうだ、と考えてしまう自分がいた。 

海をゆっくり眺めたくなって堤防に腰をかけようとしたときだった。 

「へーいカノジョ~」 

後ろから声をかけられた。聞き慣れた、でも少し懐かしくも感じるあの声だ。 

「ちょっと!久しぶりに会うのに第一声それなの?」 

「いいのいいの、スカウトごっこだから」 

「初めましてぇ、あんまり綺麗だったから見惚れちゃって…よかったらモデルさん、やってみませんか?」 

まるで初めて会ったときのようだ。あのときは動揺して言葉が出なかったが今は違う。二人に会ったときのためにずっと用意していた言葉がある。 

ダイヤ「…お名前は?」 

小宮「私は小宮有紗っていいます、よろしくね!でこっちは…」 

ことり「南ことりで~す!」



250: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/03/02(土) 22:56:14.39 ID:kGvTUBFP

おしまい。駄文失礼致しました。 
読んでくださった方、保守してくださった方、本当にありがとうございました。



254: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2019/03/03(日) 08:22:19.97 ID:Q2cTW17R

乙でした 
ダイヤさんやことりちゃんが自分の魅力を 
積極的に使ったら最強だろうなあ



256: 名無しで叶える物語(茸) 2019/03/03(日) 14:37:32.69 ID:KAZzR/Wd

おつです 
憧れの存在との出会いが人生を変える出会いって素敵だと思う



267: 名無しで叶える物語(茸) 2019/03/05(火) 18:50:17.47 ID:mcMoWbEq

超異色な組み合わせなのに濃厚な描写で引き込まれてしまった






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