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1: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 10:57:28 ID:LNY0bUAM

男「まったく・・・遅いんだよ」

女「おっ待たせー藤川優クーン」

優「何でフルネームなんだよ、彩」

彩(あや)は俺の会社の先輩で、俺の彼女でもある
歳は俺より1個上の30歳
一応上司のため会社では敬語を使わなくてはならない
まったくめんどうくさい

彩「まーまーいいじゃん!で、今日はどっちの家行く?」

優「どっちでもいいけど、俺の部屋汚いよ」

彩「知ってるしー、何回行ったと思ってんの
  ま、汚いの嫌だからあたしんちね」

優「ん、行こうか」



2: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 11:02:04 ID:LNY0bUAM

・・・・・・・・・・・・・・



    ガチャ



優「ただい・・・ 彩「ストーップ!!」

優「?」

彩「あたしが先!!」タタタッ クルッ
 「はい!おかえりなさい!!」

優「はいはい、ただいま」

彩「フフフー」

優「何ニヤニヤしてんだ?どっちが先でも一緒だろ?」

彩「いーの!何か新婚さんみたいじゃーん♪」

優「ッ!」



3: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 11:07:08 ID:LNY0bUAM

彩「わっかんないかなー」

優「まったく」

彩「うーん、優は結婚とか憧れないの?」

優「全然」

彩「ハァー、1年も付き合っておいて結婚する気起きない?」

優「起きねーよ、まだ1年だろーが」

彩「むー・・・私としては早く結婚したいんだけどなー」

優「そうだな、もう三十路だしな」

彩「歳の事は言わないでっ!それに優だってもう29じゃん」

優「・・・・・・・そーなんだよ、な」

彩「?」



4: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 11:11:02 ID:LNY0bUAM

彩「どうしたの?何か隠し事でもあんのー?ダメだよ浮気は、
  それに優は嘘ついてもすぐばれるんだから」

優「うっせ!それに浮気なんかしねーよ」
 「んなことよりホラ、飲むぞ」

彩「ハーイッ」

優 彩「「カンパーイ!!」」




5: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 11:16:37 ID:LNY0bUAM

・・・・・・・・・・・・




彩「スー・・・・スー・・・・」

優「ホント酒弱いなコイツ・・・・・・・・・・・・ホラ、風邪引くぞ」ソッ

そう言って彩に毛布をかけてやる

優(29・・・・・・もう29か・・・・・)

俺は、彩が大好きだ。コイツの代わりなんて他にいない。
ちょっとロマンチックに言うと運命の人。
そんな感じだ。
だから、俺は彩に嘘はつかないし、浮気もしない。
・・・・・・・つもりだが
実は、俺は彩に一つだけ嘘をついている。



7: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 11:27:48 ID:LNY0bUAM

優「ハァ・・・・・・」

その事を考えると、苦しくなる。
だから、普段は全く考えないようにし、できればこれからも考えたくない。
が、もう29だ、そういう訳にもいかない。
俺がついている一つの嘘、いや隠し事と言うべきか
それは『呪い』である。
しかも先祖代々受け継がれてきたとても由緒ある呪い。

内容、一つ目
この呪いは、とれない。
今まで数々の先祖達がこの呪いを解こうと試行錯誤したが、
取れたものはいない。
また、中には名立たる住職や神主達に解呪を依頼した者もいたが
結果は同じだった。

二つ目
俺の一族は子を一人しか生せない。
どうやっても二人目以降は生まれなかった。
それと、ついでに生まれてくるのは男児ばかり。



8: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 11:34:17 ID:LNY0bUAM

三つ目
これが一番辛い。
俺の一族の血を引く者は30歳までしか生きる事ができない。
30歳を迎えた瞬間死んでしまう。
俺の父もそうだった、俺がまだ幼かった頃、
朝起きると死んでいた。
安らかに。

とまあこんな感じだ
何故こんな呪いがかかってしまったか、俺は知らない。
ちなみに俺の一族は母(53)と俺だけ。
母は呪いの真相を知っているそうだが、
俺は今まで聞いてこなかった。


何故なら



9: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 11:39:24 ID:LNY0bUAM

優「・・・・・死にたく・・・・ねぇよ・・・・・ッ!」ギュッ




・・・・・・・・そう、思ってしまったからである。
俺は呪いの事を幼い頃から知っていた。
だから、冷めていた。
人生に。
諦めや絶望にも近かったかもしれない、
『このまま生きてもどうせ・・・』
『ならもういっそこのまま死んで・・・』
なんて思ってた、ずっと。
ただズルズルと生きて、
つまらない人生を過ごしていた。




彩と出会うまで



10: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 11:45:26 ID:LNY0bUAM

彩は俺に様々な感情を抱かせた。
嫉妬、照れ、憧れ、恐れ、
胸がグッと熱くなって、苦しくなる・・・




この気持ちが『恋』なんだ、と実感した。




それからだ、俺が死にたくないと思い始めたのは。
・・・だから、俺は逃げていたんだ。
彩が、彼女がいとおしすぎて。



11: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 11:50:00 ID:LNY0bUAM

もっと早く彼女と会っていれば、
そう感じることが多々ある。

呪いを彼女に打ち明けるか・・・

彼女に何も告げず、去るか・・・

俺は、後者を選ぶ。
彼女に、この呪いを背負わせる訳にはいかない。





・・・・・だから・・・・俺は・・・・・


優「・・・バイバイ、これ以上一緒に居ると
  ・・・・・・余計辛くなる・・・・・」



12: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 11:55:02 ID:LNY0bUAM

・・・・・・・・・・・




会社




彩「う~ん、朝優君居なかったな・・・・
  どこ行っちゃったんだろ?先に来てんのかな・・・」

「ちょ、ちょっと!彩!!」

彩「あ、おはよー、どしたの?そんな慌てて」

「藤川君退社ってどういうこと?」

彩「・・・・・・・・・・・え?」



13: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 11:59:58 ID:LNY0bUAM

・・・・・・・・・・・・・・・・




優「ただいまー・・・・・・・」

母「・・・・・・・・おかえり」
 「・・・・・・いい人は、見つかったのかい?」

優「ん・・・・・いや・・・・・
  終わらせようかと思って、俺の代で」

母「・・・・・・・・・・・そうかい」

優「・・・・・・・・・・・・・・・飯ある?」

母「フフッ・・・・あんたは昔っから・・・
  マイペースと言うかなんと言うか・・・・」

優「・・・考えすぎて腹減ったんだよ・・・」



14: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 12:03:43 ID:LNY0bUAM

母「はいはい、簡単にでいいね」

優「おう・・・・サンキュ」

簡単に、なんて言っても母さんはしっかり手の込んだ料理を作ってくれる

優「・・・・・・・・・・・ゴメンな」

母「何言ってんだい、謝る必要なんて無いよ
  悪いのはあんたの先祖達なんだから」

優「・・・・・・・・・ああ」



15: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 12:07:27 ID:LNY0bUAM

・・・・・・・・・・・・・・




優「・・・・・ごちそうさま」コトッ

母「はい、お粗末さま」

優「・・・・・・・・・・・・・・」

母「さっきも言ったけど、気に病む必要はないよ
  ・・・・それに、あんたが決めた事だろ?」

優「・・・・・・そうだな
  ・・・・・・・・・・聞かせてよ、呪いの、話」

母「・・・・・・・そうだね、一応話しておこうか」



16: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 12:18:22 ID:LNY0bUAM

・・・・・・それは遡る事数百年、江戸末期の頃。

あるところに、とある大名がいた。
その大名の領地はすばらしいものだった。
土地はよく肥え、市場も賑わい、民は明るく、まさに楽園のようだった。
しかし、楽園にもたった一つ欠点があった。
それは、化け物が住み着いている、といわれている山だ。

そこで、大名は自分の弟に化け物退治を命じた。
弟はかなり腕の立つ武士で
評判は他国に行き渡る程の兵だった。
弟は、兄や、領民、愛する妻の為なら、
と、快く引き受けた。



17: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 12:24:25 ID:LNY0bUAM

兄は言った
「お前なら無事に帰って来ると信じている。そしてその暁には、大量の褒美をとらせようぞ」

それに対し、弟は
「いえ、褒美など要りません。民を思えばあたりまえの事。その代わり、私が帰って来た時は盛大に祭りを開きましょう」

と答えた。

そう契りを交わし、弟は旅立った。



18: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 12:28:59 ID:LNY0bUAM

化け物は強く、並大抵の者ではまともに戦えないほどだった。
しかし、弟は恐れる事無く立ち向かった。


三日三晩続いた、まさに『死闘』
激しい戦いの末立っていたものは




弟だった。



19: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 12:33:23 ID:LNY0bUAM

弟は勝ったのだ。
あの不気味な化け物に。


しかし、弟も満身創痍、
もはや息をするのも苦痛だった。




最後の力を振り絞り、弟は山を降りた。
もうあと少し。
町が近づいてくる。




・・・・・が、弟の体力は底を尽きた。



20: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 12:44:00 ID:LNY0bUAM

「・・・・・・これまで、か・・・・・」
その呟きさえ、声にならない。


弟の頭の中に様々な人物が現れる。
出迎えてくれる領民、自分を労ってくれる仲間達、功績を褒め称えてくれる兄
そして何より、愛する妻の顔が、
強く強く思い浮かばれる。




『死にたくない』『死ねない』
その想いが、頭を支配する。
足に、手に、腰に、指に、力が入る。
妻への想いが、体を支配する。
動く、体が動く。



弟は、ゆっくり、ゆっくりと歩みを進める。



21: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 12:49:31 ID:LNY0bUAM

『これなら、大丈夫。帰れる、会える。皆に、妻に。』
弟はそんな希望を、いや、確信を胸に抱いて・・・

一歩、また一歩と歩みを進める。





もう、あと少し。
その時だった。
目の前に、人影が現れた。




見覚えのある人物、兄だった。



22: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 13:01:24 ID:LNY0bUAM

弟は安堵した。
このままでも帰れはしたが、やはり不安がある。


『助かった、もう大丈夫だ・・・』
弟の目から、安堵の涙が溢れ出た。
弟は兄にすがりついた。

「よくやった。弟よ。お前は我が一族の誇りだ。」
兄は言った。
弟の胸に喜びが込み上げる。
「・・・・・・お前は、死なねばならぬ。」
・・・・・え?
「領民の為・・・・いや、我が一族の繁栄の為。」
・・・何だ?・・・・何て、言った・・・?今、何と・・・・
「お前は、強すぎる。もはや人とは思えん。」

兄は恐れていた。
はるかに人を超えた力を持つ弟を。



23: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 13:07:45 ID:LNY0bUAM

弟は、最初こそタチの悪い冗談だ・・・
と思っていたが、
兄の眼を見ているうちに理解した。

兄は本気だ。
本気で俺を殺す気だ。

この下種が。
俺はこんな下種に良い様に使われていたのか。
腹が立つ。
兄に、愚かな自分自身に、それ以上に我が一族全員に。

悔しい。悔しい。悔しい。

許さない、絶対に。



25: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 14:04:27 ID:LNY0bUAM

「なに、心配するな。お前は勇敢に化け物と戦い、死力を尽くし、相打ちに持っていった。
 と言う事にしといてやる。
 領民から崇められ、歴史にも名を残すかもしれんぞ?」

この男はどこまで・・・・!!

弟は兄を強く睨んだ。
よほど恐ろしかったのだろう。
兄はブルッと身震いをした。

「ど、どうした・・・まだ何かあるのか・・・?」

弟が兄に向けて発した殺気に、
兄の顔が引きつった。

「・・・・・・・あぁ、なるほど。そういうことか。」

『・・・なんだ、この男は・・・何を言っている・・・・?』

兄が次に発した一言が、弟を戦慄させる。



26: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 14:13:19 ID:LNY0bUAM

「・・・・・・・・・・・・嫁か」

『!!・・・やめろ、やめろ!あいつだけは・・・・・!!』

「任せておけ、すぐにお前の後を追わせてやる。
 嫁も『死して尚、夫を愛し、自らも共に命を絶った良妻』として尊敬されるさ」

・・・残酷だ。あまりに・・・・・。
何故、俺はこんな奴に殺されなくてはならない!
妻も殺される。
無知で哀れな俺の為に!!

「この事は、お前とお前の嫁以外の我が一族全員が知っている。
 私が裏切られる事は無い。安心して逝け。」

そう言って、兄は笑った。



27: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 14:22:34 ID:LNY0bUAM

・・・一族?一族全員で、こんな事を・・・・?
・・・ふざけるな、馬鹿げてる。
誰も反対する者は居なかったのか。

そして、ニヤニヤと下種な笑いを浮かべる兄に、自分を裏切った一族に、
弟は気が狂うほどの怒りを覚えた。

許さない 許せない 殺す 殺す

呪ってやる この一族を 末代まで

俺が味わった 己の無力さを 味わわせてやる

愛するものを 傷付け 苦しめる

この気持ちを 貴様らに・・・・・!!



28: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 14:32:55 ID:LNY0bUAM

その後、兄は弟を領内の古井戸に投げ入れ、弟の嫁も殺した。

嫁を殺した次の日から、異変が起こった。

一族の者が次々と死んでいったのである。

それも30歳以上の、一族の血を引く者のみ。

一族は全滅した。まだ幼い男児を一人とその母を残して。

皆、後悔した。あんな馬鹿なことをしなければ・・・と。

だが、もう遅い。弟の怒りは止められない。

そして、一族は廃れ、その幼かった男児が成人すると、他所から嫁をもらい、

一人子を生み、その子がまた・・・・・と、ひっそりと血を繋いでいった。



29: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 14:38:24 ID:LNY0bUAM

優「・・・・なんつーか・・・まあ、呪われて当然だな」

母「・・・・・・・そうね、まったく馬鹿なことを」

優「ん~・・・・呆れて怒る気にもならん」

母「・・・・・・・・・・受け入れるしか、無いのかもしれないね」

優「・・・・・・・・・もう、終わらすよ」
 「こんな思いは、もう十分だ」

母「・・・」

優「・・・・・ちょっと出てくる・・・遅くなるかも」

俺はやるせなくなって、家を出た。
外はもう真っ暗だった。



30: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 14:44:22 ID:LNY0bUAM

・・・・・・・・・・・・・・




優「・・・・・・・・・っと」

俺は土手に寝転がった。

ここは凄くいい場所だ。
川の音、星の光、草の匂い、土の感触、
すべてが心地いい。

昔からのお気に入りの場所だ。
此処は頭の中をスッキリさせてくれる。
辛い事、嫌な事、全てを忘れさせてくれる。



31: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 14:49:19 ID:LNY0bUAM

・・・・・・・・が、
今回に限りそうはならなかった。

優「・・・・・・・・ハァ」

あいつの事ばかり考えてしまう。
あいつの声、ぬくもり、優しさ、髪、目、しぐさ、匂い、
全てがくっきり思い出される。

そう、まるで、そこにいるかのように・・・・・・・

優「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・彩?」

彩「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハイ」



32: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 14:54:28 ID:LNY0bUAM

優「え!?ちょ、へ!?うえええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」

彩「ちょ、もうっ、うるさいっ!!」

優「いや、だって!おまっ!何でココに!?」

彩「もー、落ち着いて」

優「う・・・・・・・・・・・・・よ、よし、落ち着いた」

彩「・・・・・・住所、調べた」

優「・・・・・・・・・どうやって」

彩「会社の情報を私的に使った」

優「・・・・・・犯罪」



33: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 15:02:28 ID:LNY0bUAM

彩「いい、もうやめた、仕事」

優「ハァ!?何やってんだよ!!それに、仕事辞めても犯罪は犯罪!!」

彩「うっさい!それは優だよ!!なにやってんの!?
  勝手に会社辞めて!!何も言わずに出てくなんて!!」

優「う・・・・・・・それは・・・・・事情があったんだよ」

彩「知ってるよ、『呪い』の事でしょ?」

優「そうだよ!・・・・・・・・って、え?」

彩「聞いた、お義母さんから」

優「・・・・・・・・・そうか」

彩「そう」

優「・・・・・・・・・・どうすんだ、仕事辞めて」

彩「結婚する」

優「・・・・・・・・・・・・・・・・・誰と」

彩「優」



34: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 15:07:09 ID:LNY0bUAM

優「・・・・・・・・・言うと思ったけど」

彩「以心伝心だね」

優「うっさい」

彩「阿吽の呼吸」

優「だまれ」

彩「・・・・・・」

優「・・・・・・・解けないんだぜ?コレ」

彩「知ってる」

優「子供一人しかつくれねーんだぞ?」

彩「それでいい、どうせ、後一年だし」

優「そうだ、後一年しかない」

彩「一年もあるじゃん」



35: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 15:12:26 ID:LNY0bUAM

優「お前は・・・・・・・・・・ったく」

彩「私は、大丈夫。呪いで優の事嫌いになんかならない。
  それに、優の後追ったりしない」

優「・・・・・」

彩「・・・・・・だから、結婚してください」

優「・・・・・・・・・・逆だろ、普通」ギュッ

彩「ん・・・・・・・・・・よろしく、優」ギュウウウウウウッ

優「こちらこそ・・・・・・藤川彩さん」

彩「・・・・・・・・・・・・・えへへ」

優「何笑ってんだよ」

彩「・・・藤川、になったんだなぁ・・・・と思って」

優「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おう」



36: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 15:17:28 ID:LNY0bUAM

彩「・・・・それに、夢にまで見た結婚だもん」

優「ホントに・・・俺で良かったのか?」

彩「優じゃなきゃ・・・・・・・・・・ダメ」

優「う・・・・・・・・///」




こうして、俺達は結婚した。

しかし、彩が呪いをまったく気にしないとは・・・・・

もっと早く言っておけば良かった。

・・・・・・・でも、もう後悔はしない。

これからの、二人の日々を大切にしよう・・・・・



37: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 15:22:48 ID:LNY0bUAM

彩「よろしくお願いします!!」

母「こちらこそ、こんな息子でよろしければ・・・
  ・・・それと、あなたのご両親は・・・」

彩「いません、一昨年亡くしました。
  その時支えてくれたのが優さんなんです。
  だから、優さんをこれから支えていくのは私です」

母「・・・・・・・・・良い子ね」

優「おう、自慢の嫁だ」




かくして、俺達は最大の難関(?)を乗り越えた。



38: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 15:28:15 ID:LNY0bUAM

・・・・・・・・・・・・・・・・・




彩「・・・・・・・明日、だね・・・・誕生日」

優「・・・・・・・・・・・・・・・おう」ナデナデ

彩「ん・・・・・・・泣かないよ」

優「・・・・・・・・・・俺もだ」

彩「今日は・・・・ずっと一緒だよ」

優「・・・・・わかってる、それに『今日』じゃなくても、ずっと一緒だ」

彩「うん・・・・・・・・・・・・・大好き」

優「・・・・・・・・・・・愛してる」

彩「・・・・・浮気すんなよ、あっちで」

優「しねーよ、バカ」

彩「・・・・・・・・・・・ならいい」



39: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 15:30:02 ID:LNY0bUAM

優「さ・・・・・・・・・寝ようか」

彩「・・・・・・・・・・・おや、すみ」

優「おやすみ」




この一年、本当に楽しかった。
夢のようだった。



40: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 15:36:23 ID:LNY0bUAM

春は二人で花見行ってさ。

 なんかポワーーーッとしてんだ、空気が。

 すっげぇ、一面ピンク色でさ、地面なんか絨毯みたいになってんだ。

 まるで違う世界に来たみたいになって、
 
 めちゃくちゃ気持ちよくて、テンション上がっちゃって、

 はしゃぎ過ぎちゃったのはちょっと反省。



41: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 15:45:37 ID:LNY0bUAM

夏もいろいろあった。
 
 BBQしたり、海行ったり・・・・
 
 でも一番は夏祭りだな。

 わたあめ二人で分けて食べて、金魚すくいですぐ穴あけちゃって

 射的でぬいぐるみ取って、くじ引きで剣当てて

 ドーンドーンっていっぱい花火が打ちあがってさ。

 『綺麗』って二人で同じこと言ったな。

 でも一番綺麗なのはお前なんだ
 
 ふと横見たら凄く可愛くて

 離れたくないって思った。



42: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 15:52:58 ID:LNY0bUAM

秋は引きこもってた。

 たまには家でゴロゴロしようって・・・

 それが予想以上に楽しくて

 家から出られなくなった。

 ただくだらない事喋ったり、二人でゲームしたりしてただけなのに。

 お前といるとどこでも桃源郷になるんだって思った。

 『時よ止まれ』って本気で願った。
 
 考えてみると
 
 秋が一番二人一緒に居たかもしれないな。



43: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 15:57:42 ID:LNY0bUAM

冬はちょっときつかった。

 久しぶりに外出たら凄く寒くて

 二人ずっとくっついてた。

 どこのバカップルだよ。

 スキー行って、雪合戦して、雪だるま作って

 正月は初詣に行った。

 五円入れて

 『ずっと一緒に居られますように』って

 俺も同じだよ、バカ。



44: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 16:01:58 ID:LNY0bUAM

・・・・・・・・・もう悔いは無いかな。

いろんなとこ行って・・・初めてのこともたくさんあって・・・

いっぱい話して・・・いっぱい遊んで・・・

いっぱいケンカして・・・いっぱい愛し合った・・・






・・・お前がいたおかげで

・・・本当に本当に良い人生だった。



45: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 16:09:08 ID:LNY0bUAM

最後に一つ、『嘘』をついた。

俺の人生でお前についた二つ目の『嘘』

優「・・・・・ゴメンな」

そう言い残し、俺は外に出た。
『最後まで一緒に』は居られない。
やらなきゃならない事があるから。







彩「・・・・・・・・・・・どうしてすぐばれる嘘つくんだよ、
  ・・・グスッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・バカッ」



46: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 16:11:20 ID:LNY0bUAM

・・・・・・・・・・・




   バタンッ




俺は車を降り、少し歩く。
暗い森の中、茂みを掻き分け・・・・



47: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 16:16:34 ID:LNY0bUAM

優「・・・・あったあった・・・こんな所に入れられたのか・・・」

そこは、あの古井戸。
呪いを掛けた張本人が眠っている。

優「いっかつい井戸だな」

そう言って俺は近づき、
覗き込む。

優「おー、いかにも何か出そうだなー」

暗く、深い井戸の中、
いまもあいつは一族を憎んでいるのだろう。



48: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 16:26:46 ID:LNY0bUAM

優「ったく、ウジウジウジウジ何百年も呪いやがって!!
  おかげで俺の人生滅茶苦茶だってんだ!!
  なんだお前!!寂しいのか!!辛いのか!!悔しいのか!!

  俺もだバカヤロー!!!!

  待ってろ、そっち行って説教してやる、話し相手にもなってやるよ!」

俺は、井戸に飛び込んだ。

「・・・だから、俺の嫁に手ぇ出すんじゃねーぞ」



・・・まったく、呪いのせいで滅茶苦茶だ、

小さいときから、ずっとずっと・・・

・・・・ただ、あいつに出会えた、

生まれてきて、良かった。



49: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 16:30:48 ID:LNY0bUAM

・・・・・・・・・・・・・・・





まったく、優は最後までカッコつけてたね。

それに、バカ。

心配させないようにだか何だか知らないけど、

嘘つかないって言ったのに。

彩「・・・でも、そういうとこ、大好きなんだよなぁ・・・・・」



50: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 16:36:15 ID:LNY0bUAM

・・・『零人』(れいと)、あなたの息子の名前です。

あなたが居なくなった後、この子に気がつきました。

いい名前でしょ?

先祖の呪いとか、しがらみとか、関係なく

ゼロからのスタート。

そんな思いを込めて、この名前をつけました。

あなたに見せたかった。

きっと立派に育てていきます。

だから、見守っていてください。



51: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 16:37:35 ID:LNY0bUAM


彩「私の・・・・・大好きな人・・・・・・・・」







  



 ~fin~



52: ◆Gtl06Eqcy6 2013/10/12(土) 16:39:12 ID:LNY0bUAM

『一族の呪いの話』終了です。

見てくださった皆様、ありがとうございました。



54: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/10/12(土) 18:56:41 ID:IoLFfLP2


すっごい切ないけど、一気読みでした。



55: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/10/13(日) 00:01:20 ID:5sylk/TQ

乙 なんかスゴくいい話だ






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