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    カテゴリ:モバマス・デレステSS > シリアス

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    転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1480175925/

    1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/27(日) 00:58:46.08 ID:Oy6YgigW0

    はじめに。

    アイドルマスターシンデレラガールズの二次創作ではありますが、厳密な意味でアイドルは一切でてきません、
    佐久間まゆも例外ではありません。

    そして、アイドルという少女、ではなくて、アイドルと言う概念を書いたお話になります。



    そのうえで、お付き合いいただけたのでしたら幸いです。





    3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/27(日) 01:00:41.87 ID:Oy6YgigW0

     波紋が生まれた。 

     音声情報が届いた。

     『それ』が生まれた。
     
    「君は、佐久間まゆだよ」
     佐久間……まゆ? それは何だろう。現在持っている情報を参照しても、その存在は認識できない。

    「君と言う存在は、佐久間まゆと言うんだ」
    「私が佐久間まゆ、ですか?」
     再び届いた音声情報。それにあわせて、私の存在は定義されていく。

     佐久間まゆ。
     宮城県仙台市出身の十六歳の少女。誕生日は九月七日、趣味はお料理と編み物。
     一目惚れした■を追って、都会に出てきた恋する少女。
     アイドルのプロデューサーである■の傍にいるために、自身もアイドルとなった。

     まゆが『佐久間まゆ』として目覚めました。



    4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/27(日) 01:02:02.62 ID:Oy6YgigW0

     目の前は真っ黒な世界。手を伸ばしても何もなく、ただ混じり気のない黒だけが広がっています。
     時折、遠くで光が瞬きますが、すぐに消えてしまいます。
     まゆは、どこに居るのでしょうか?
     プロデューサーは、どこに居るのでしょうか?
    「さあ、おいで」
     また、声が聞こえてきます。それに応じて、世界が更新されました。
     黒い海は消え、殺風景な部屋の中に一人の人間が居る視覚情報が入ってきます。
    「見えるかい?」
    『はい』
     口を動かしたけれど、音声情報は出てきません。かわりに、付箋のようなウィンドウにまゆが言いたかった言葉が映し出されます。
    『まゆの、声は?」
    「ごめんよ、音声情報のサルベージは完成していないんだ」
     人間は申し訳なさそうにぺこりと頭を下げます。
     どうしてでしょう。その姿を見ると、まゆの演算領域にノイズが走ります。ざわつく……まるで、心がざわつくような。
     心? 心とは、なんですか?
    『そんな……』
     言葉を出すけれど、顔を伏せたあの人には伝わりません。また、まゆの演算領域……思考回路と定義された場所にノイズが走ります。



    5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/27(日) 01:02:58.12 ID:Oy6YgigW0

    「さて、いつまでもこうしている訳にはいかないか」
     顔を上げると、あの人はまゆを真っすぐに見つめます。
    「もう気が付いているとは思うけれど、今の君の体は、以前の『佐久間まゆ』の物とは違う」
    『そうなんですか?』
     よくわかりません。
    「いや、以前にも君の体があったかは分からない……まあ、それは今の君にはあまり関係がないか」
     わざとらしく咳払いすると、あの人は部屋の隅を指示します。
    「デバイスをあそこに移動させるんだ。そうすれば視界も変わるはずだ」
     デバイス。言われてすぐに理解できませんでいた。すぐに情報を収集すると、操作方法が記録されました。
    『こうですね』
     まゆの視界が動きます。映像情報を更新すると、大型の筐体の隣に立つあの人が見えました。きっと、あの端末は、さっきまでまゆが居たところでしょうか。
    「次に、立体映像を表示して欲しい」
     言われたように実行します。すると、まゆの姿が部屋の中に浮かびました。
    『これが、まゆですか?』
    「そう、キミは、佐久間まゆだ」
     まゆは、『佐久間まゆ』。
    「佐久間まゆと言う存在のアーカイブから再現した、『佐久間まゆ』と定義された存在だ」



    6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/27(日) 01:03:45.42 ID:Oy6YgigW0

     『佐久間まゆ』と手議された存在。

     数世代前、地球には『佐久間まゆ』と言うアイドルが居たそうです。
     華やかなステージで歌い、ファンの人たちに愛を伝える一人の少女。その存在は情報として遥か未来にも残っています。
     それは、ほんの興味は湧いたということであの人は再現してみたそうです。

     それが、今のまゆ。

     電子頭脳で思考パターンを再現され、ホログラムだけで実態のない、まだ不完全な『佐久間まゆ』です。
     まだ、この世界について何もわかりません。
     けれど、まゆは存在していてよかったと思っています。
     だって、生まれた初めて見た視覚情報。『あの人』の、解放されたかのような笑顔。それが見れただけで、まゆの思考回路はエラーを生んだからです。
     でも、なんでエラーが生まれてよかったと思うのだろう?
     まだわからないことばかりです。




    【■■「私が、佐久間まゆ、ですか?」】の続きを読む

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    転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491839053/

    1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/11(火) 00:44:13.88 ID:TewfYlwY0

    わたしは、東京のある駅にいました。人をお迎えにあがるのでもなく、古本屋に出向いくのでもなく、ただ、駅の冷たいベンチに座って、改札口をぼうっと眺めていました。





    2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/11(火) 00:45:35.88 ID:TewfYlwY0

    これは私の、ひそかな娯楽です。他愛のない、ごっこ遊び。今日は人間をきらいな女を気取って、誰かを待っていました。いえ、待っている“ふり”なのですが……。



    3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/11(火) 00:47:17.69 ID:TewfYlwY0

    この“ごっこ”を始めたのは、お仕事が忙しくなり始めた頃でした。心当たりのない誰かのために、身を粉にして働くようになった頃、わたしはつかの間、こうして別人になりきって気をまぎらわすのです。



    4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/11(火) 00:47:48.73 ID:TewfYlwY0

    ですが今日のごっこは、わたしにしては上出来で、出来すぎてきました。人間をきらいな、いえ、人間をこわがる女のふりは。



    5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/11(火) 00:49:08.05 ID:TewfYlwY0

    私は、あまりお仕事が好きではありません。清楚で前向きな女のふりをして、かけらほどもない感謝の言葉を世間様に述べて、歌いたくもない歌を歌って、踊りたくもないダンスを、精一杯踊っていると、なんだか、自分ほどの嘘つきが世界中にいないような、苦しい気持ちになって、死にたくなります。



    8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/11(火) 09:44:21.70 ID:TewfYlwY0

    世の中がいやなくせに、世間様に媚びを売る女。最低の女。そんな考えが頭のなかをぐるぐると回って、私はとうとう自分がいやになります。そして、こんな不埒な女に喜んで、手を叩いている世の中が、いっそう、きらいです。



    9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/11(火) 09:44:55.53 ID:TewfYlwY0

    改札口からは、表情のない人々が吐き出されて、わたしの前を通り過ぎ、思い思いの方向へ散っていきます。わたしに声をかける人はいません。




    【鷺沢文香「待つ」】の続きを読む

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    転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492357011/

    1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/17(月) 00:36:52.16 ID:5I2Isvu00

     世界で一番ドレスが似合う女(ひと)が死んだ。死因は大量の睡眠薬を、大量のお酒で服用したこと。事故とも自殺ともつかない死に方だったから、アイドル達の間では様々な噂が飛びかっていた。
     トップアイドルとしての重責に耐えられなくなった。大酒飲みだったから、健康上の問題を抱えていた。痴情のもつれ、果てには他殺説まで、とにかく色々。
     この件で一番ショックを受けていたのは、高垣さんのプロデューサーだった。なにせ、彼女の遺体を発見したのは、ほかならぬ彼自身だったのだ。
     そのプロデューサーは女性のように華奢で小柄な人で、その見た目通りと言うべきか、繊細で傷つきやすい。この前も、他の担当アイドルに慰めてもらっていた。 






    2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/17(月) 00:39:33.25 ID:5I2Isvu00

     快活という言葉が服を着て歩いているような女の子、未央ちゃんが言った。彼女に一生懸命慰めてもらえるなんて、幸せ者…とも言えないか。
    「いや、俺のせいなんだ。トップアイドルになったからって、目を離すべきじゃなかったんだ」
     彼は高垣さんが総選挙で2位になった後、新人の育成のために担当を外れることになっていた。その件で高垣さんは事務所のえらい人に直談判したり、プロデューサーと口論になることもあったらしい。
    「あっ、そう言えばプロデューサー、スーツ買い換えた?
     前のも英国紳士みたいでかっこよかったけど、今のは若々しく見えるね! 
     よく似合ってるよ!」
     未央ちゃんは露骨に方向転換を図った。でも、それはとどめの一撃だった。



    3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/17(月) 00:41:25.33 ID:5I2Isvu00

     私は事務所に入ったばかりで、高垣さんと話したことは2、3度くらいしかない。けれど、彼女はシンデレラガールに選ばれるべきアイドルだったと思う。順位が安定して高いとか、そういうことじゃなくて、とにかく、誰が見ても素敵な女性(ひと)だった。キャリアは長いけど、それで私達後輩に威張ったりすることはないし、むしろ温かい目で見守ってくれていたと思う。大人としての落ち着きがある一方で、子どもらしい無邪気さもあって、親しみやすい女性だった。
     そんな女性を最初から一番近くで見続けて、その最期も見てしまうなんて、彼じゃなくてもつらいだろう。



    4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/17(月) 01:05:38.65 ID:5I2Isvu00

    「高垣さんのプロデューサー、つらいでしょうね」
     私は、助手兼私のプロデューサーさんに話しかけた。事務所の中では珍しい常識人なのに、担当アイドルはみんな変わり者という苦労人だ。私を除いて。
    「だろうな。今はそっとしておくしかない。下手に刺激して、奴まで高垣さんの後を追ったら困る」
     私の助手は目の下を揉みながら答えた。大きなクマができている。高垣さんの死から2週間たったけど、事務所は今も対応に追われている。2年先まで詰まっていた彼女のスケジュールの処理、蟻のようにむらがってくる取材、ファンからの抗議、そして遺族への謝罪。プロデューサーさんも、あちこちに頭を下げたり、記者にもみくちゃにされたりしている。



    5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/17(月) 09:39:06.37 ID:fepYuCQ4o

    oh……




    【安斎都「ドレスが似合う女」】の続きを読む

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    転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1495368262/

    1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/21(日) 21:04:23.21 ID:xsmWJuXh0

    性役割逆転系時代劇 江戸中期ぐらい  





    2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/21(日) 21:17:07.54 ID:xsmWJuXh0

     連年の不作のあおりを受け、美城藩は慢性的な財政難に陥っていた。

     それをきっかけとして、家老千川ちひろと大目付東郷あいの派閥争いは顕在しつつあった。

     執政会議において、千川は倹約令を唱えた。

     未納分の年貢と負債を残らず取り立て、それができぬ地主や百姓は土地を没収。

     同時に藩が手に入れた土地は富商に引き受けさせ、見返りとして貸付を増やしてもらう。



    3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/21(日) 21:29:51.16 ID:xsmWJuXh0

     つまるところ、倹約というよりは藩が土地売買に手を染めるようなものだった。

     これに東郷は異を唱えた。

    「不作でもっとも困窮している者達を、さらに痛めつけてどうするんだい?」

     これに対して千川派の人間達は、それは感情論だと非難した。

     しかし実のところ、東郷は単なる感傷で口を挟んだのではなかった。

     千川は昨年、藩主の江戸参上に同行した。

     そこで主とともに藩の財政に響きかねないほどの遊興をし、領地に戻ってからも無為な散財を行なっている。

     勘定奉行は千川の息がかかっていたために、今まで咎める者がいなかった。

     だが東郷は執政会議を機に、藩主と老中千川を暗に批判したのである。絞り上げる人間が間違っているぞ、と。



    4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/21(日) 21:36:27.28 ID:xsmWJuXh0

     藩内は千川派と東郷派に真っ二つに割れた。

     流血沙汰こそまだ起こっていないが、中立という安易な立場が許されぬほど、対立は深まっている。

     本田未央は一応東郷派に属しているが、率直な所政治に興味はない。

     それどころか千川派の者の邸宅で酒を貰っている始末である。



    5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/21(日) 21:42:03.48 ID:xsmWJuXh0

    「大変なことになっちゃったねえ」

     まるで他人事のように、未央はつぶやいた。話し相手は、若くして馬廻の長を勤める渋谷凛である。

    「政治は政治屋にまかせて、私達はできることをやろうよ。権力争いの走狗になって死ぬなんて、馬鹿馬鹿しい」

     凛は血累によって千川派に属していたが、未央と同じく政治に興味はない。

     両者は派閥も家柄もちがっていたが、無二の親友であった。




    【【モバマス時代劇】本田未央「憎悪剣 辻車」】の続きを読む

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    転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1495288477/

    1: ◆VA.qz1m5do 2017/05/20(土) 22:54:37.64 ID:CJH08mYvO

    『意味がわかると怖い緒方智絵里』

    最近、芸能界絡みで殺人事件が頻繁に起こっている。被害者は全員男性、しかも揃ってお偉方

    その犯行はとても残虐で、死体はどれも見るに耐えないカタチになっているという

    犯行現場は路上だったりホテルの個室だったりと規則性はない

    その現場には被害者を惜しみ、多くの花が並べられている

    しかし奇妙なことにその中には必ず大量のシロツメクサ、つまりクローバーの花が敷き詰められていた。他の現場でも同様にクローバーの花がどっさりと供えられていた





    2: ◆VA.qz1m5do 2017/05/20(土) 22:57:54.36 ID:CJH08mYvO

    モバマスssです、トレース、キャラ崩壊、暗い展開が苦手な方はご注意ください。



    3: ◆VA.qz1m5do 2017/05/20(土) 22:58:41.36 ID:CJH08mYvO

    その現場には被害者を惜しみ、多くの花が並べられている

    しかし奇妙なことにその中には必ず大量のシロツメクサ、つまりクローバーの花が敷き詰められていた。他の現場でも同様にクローバーの花がどっさりと供えられている

    偶然にも俺はそのクローバーの供えられるところを見掛けた。花の主は見た目10代の若い少女だった。赤みがかかった髪色と、ツインテールがとても愛らしい

    周りから変な目で見られても仕方ないのによくやるもんだとある意味で感心した

    とても温厚そうな娘だった。涙は見せず、優しい笑顔で花を供え、手を合せて帰っていく。恩師か誰かだったのだろうか



    4: ◆VA.qz1m5do 2017/05/20(土) 23:00:12.01 ID:CJH08mYvO

    私も花を供えにと思い現場へ向かうと、ちょうどその少女と会った


    その娘はいつものようにクローバーを供えている


    ふと気になって話しかけてみた


    「どうして毎回クローバーの花を?」


    少女は優しく微笑んでこう答えた


    「クローバーって、幸せのシンボルだと思うんです。だから、向こうでも幸せでいてくれたらなって思って意味を込めて」


    そう答える彼女の表情は、優しく、しかしどこか儚げで切なそうだった




    【『意味がわかると怖い緒方智絵里』】の続きを読む

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    転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1495291279/

    1 : ◆Q/Ox.g8wNA 2017/05/20(土) 23:41:19.75 ID:+Ss3TMHXO

    注・U149Pを石黒P(149ろP)としています。独自設定注意。





    2 : ◆Q/Ox.g8wNA 2017/05/20(土) 23:41:40.47 ID:+Ss3TMHXO

    2017年、×月○日 橘ありす



    今日は346プロのアイドル全体ミーティングが有りました。

    そのミーティングの最後にモバPさんが、

    「私事ですが…」

    と前置きした上で、一般女性との婚約を発表しました。


    途端に巻き起こる、歓声と喚声。 悲鳴に似た様な声まで聞こえてきます。


    モバPさんの担当のアイドルさん達が様々な反応を見せる中、モバPさんは背の大きい武内Pさんや、
    何時もチンピラにしか見えない恰好をしている内匠Pさん、私達第三芸能課のアイドル達の担当をしている石黒Pさん、
    後、アシスタントの千川ちひろさんからの祝福を受け、嬉しそうに照れ笑いを浮かべています。

    ちひろさんが少し寂しそうな顔をしていたと感じたのは気のせいでしょうか……。

    なんにせよおめでたい事ですね、周りの反応はさておいて、祝福したいと思います。




    3 : ◆Q/Ox.g8wNA 2017/05/20(土) 23:42:09.56 ID:+Ss3TMHXO


    2017年、×月×日 橘ありす



    昨日のモバPさんの婚約発表から一夜が明けました。


    主に彼の担当するのアイドル達の反応は様々でした。

    こうしてざっと見ただけでも、爪を噛む女性、ハイライトを無くして虚空を見詰める女の子、
    一点床だけを見つめて何かをブツブツ呟く少女、どなたも厄満点の粒揃いです。

    私、橘ありすは先述の様に第三芸能課に所属していますので、第一芸能課のモバPさんとはあまり接点がありません。

    なので、モバPさんが婚約された、と言われても、特に感情の変化は無いのですが…、
    コレがとんでもない事を意味しているのは彼女たちの様子を見て良く理解できました……。


    彼女たちの粘ついた視線を一身に受けながら、モバPさんはいつも通りに鼻歌交じりに仕事を片付けています。


    何か良くない事が起こらなければ良いのですが……、彼の無事を祈らざるを得ません…。







    【【モバマスSS】 禁断の果実 【短編】】の続きを読む

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    1 : ◆Q/Ox.g8wNA 2017/05/17(水) 06:48:36.62 ID:dRDsfzYEO

    春の訪れを感じさせる日差しが差し込む中、私は見知らぬ病院の一室で目を覚ましました。

    むくりと起き上がり、ベッドに腰かけながらボーっと室内を見渡す私。

    白一色で統一された室内には暖かい光が降り注ぎ、目を細めないと眩しいくらいです。

    ぐるりと見渡した室内にはコレと言って気を引く物もありませんが、
    ベッドサイドのテーブルに置いてある身だしなみを整える為のピンクの卓上鏡だけが色彩を放ち、やけに目につきす。

    何気なくその鏡を手に取り覗き込むと、見慣れた何時もの自分のパジャマ姿とは違う、
    入院患者用の薄緑色の病衣こそ着ていましたが、そこに映る寝ぼけ眼の自分の顔と、
    いつも朝起きた時に整えるのに苦労する、ちょっとボサボサの髪の毛は何も変わり有りません。

    ただ一ついつもと決定的に違うのは、その頭に念入りに巻かれた包帯でした。

    「なんだろう、これ…」

    恐る恐る、その覚えの無い包帯の巻かれた額辺りに手を伸ばすと、
    鈍い痛みが頭全体に走り、私は慌ててその手を放したのです――



    ※※ ※※ ※※ ※※  






    2 : ◆Q/Ox.g8wNA 2017/05/17(水) 06:49:04.45 ID:dRDsfzYEO

    私の名前は島村卯月。

    都内にある346プロと言う芸能事務所でアイドルをしています。

    そんな私が何故一人病室で横たわっているのか…、まずその説明からしなくちゃダメですよね?

    とは言っても私自身、詳しく説明できるほど鮮明に覚えているわけでは無いのですが…。



    私はある日、自分の勤めているプロダクションの階段の踊り場から、足を踏みはずして転落したそうです。

    幸いにも直ぐ病院に運ばれ、一時は危険な状態にまで陥ったそうですが、何とか無事意識を取り戻しました。


    しかし、私は意識こそ取り戻せましたが、その時大事なものを失ってしまっていたのです。





    3 : ◆Q/Ox.g8wNA 2017/05/17(水) 06:49:30.10 ID:dRDsfzYEO

    目を覚ましたときに私の周りには大勢の人が居ました。

    私の顔を心配そうに覗き込む人たち。

    私が目を覚ましたのを見て、口々に喜びの声を挙げるその人達の顔には、誰一人として見覚えがありませんでした。


    私は恐怖と不安の余り、つい、聞いてしまったのです。

    安堵の表情を浮かべ私の無事を喜ぶその人達に向けて、

    「あの……申し訳ありません…。皆さんはどちら様でしょうか……??
    どなたか私の知り合いの方を呼んでくださるとありがたいのですが……」

    と――



    その瞬間、その場に居た皆が――

    父が、母が、親友のアイドル達が―― 

    そして長年連れ添ってきたプロデューサーが――


    絶望と戸惑いの中で、私が現在置かれている状態を知ったのです――



      ――私は、自分の大事な人たちの記憶を、全て、無くしていたのです――




    ※※ ※※ ※※ ※※






    【【モバマスSS】 最高の友達 【性格改変あり、閲覧注意】】の続きを読む

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    転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1493943211/

    1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 09:13:31.95 ID:JsiGlSge0

     初めて彼女のことを知ったのは一〇年前……彼女が一二歳の頃でした。

     色んな新人アイドルが出演していたイベントで、どこか不安げに、端の方に立っていた女の子……それが彼女、白菊ほたるを初めて見た瞬間です。

     彼女に対する第一印象は「辛気臭い。幸が薄そう」などという失礼極まりないものでした。

     しかし、実際、あの頃の彼女はただ見ているだけで気分が落ち込んでくるような女の子ではありました。

     顔はかわいいしパフォーマンスも悪くない。そのはずなのに、どうしてかまったく惹かれない。

     何故か。それは彼女に笑顔がなく、愛嬌がないからでした。彼女より容姿も技術も明らかに劣っているアイドルたちは笑顔と愛嬌をせいいっぱい振りまいているのに、彼女にはそれがなかった。明らかに悪目立ちしていました。  






    2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 09:14:17.40 ID:JsiGlSge0

     観客の中に知り合いがいたので、僕は彼女のことについて尋ねました。彼女のことを知っているか、と。すると彼は彼女について、色んなことを……『噂』のようなものも教えてくれました。

     曰く、彼女は『不幸』だと。実力がないことはないのに、いつもいつも彼女は不幸にさらされる。所属していた事務所が倒産したことは何回あったか。事務所を移籍したことが何回あったか。それだけではなく、日常でも不幸にさらされているらしい。

     だからあんなに辛気臭い顔をしているのか、と思いました。そして同時に、どうしてまだアイドルを続けているのだろうか、と思いました。そんな暗い顔をして、いるだけで空気を重くして……正直に言いますと、その頃の僕は『早くアイドルをやめればいいのに』とすら思っていました。きっとアイドルには向いていない。疫病神とすら呼ばれているのだから、こんな世界からは今すぐ手を引くべきだ、と。何より、僕が応援していたアイドルが彼女の不幸に『巻き込まれる』のが嫌だった、ということもありました。

     しかし、彼女がアイドルを辞めることはありませんでした。僕が知ってからも、彼女は事務所を移籍することがありました。何度事務所を移籍しても、彼女はアイドルを続けていました。彼女を見るたびに僕は「またあの子がいる」と思っていました。「まだ辞めていないのか」と。



    3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 09:14:48.08 ID:JsiGlSge0

     ……その頃でしょうか。僕は自分が彼女に注目していることに気づきました。彼女から目が離せない。イベントなどでも些細な不幸にさらされて、また暗い顔をして……でもアイドルを続けている。そんな彼女から、目が離せなくなっていました。

     いつからか、僕は彼女を応援するようになっていました。自らの不幸に立ち向かい、あきらめず、アイドルとして活動する彼女を応援するようになっていました。

    「どんなに不幸でも、ファンの人を、幸せにしたい。だから、そのために、トップアイドルになりたいんです」

     これを聞いたのはいつだったでしょうか。何かのイベントだったかと思います。その時の会場の反応は苦笑でした。嘲笑とも言えるかもしれません。お前なんかがトップアイドルになれるわけがない……観客の、いえ、イベントの司会者、他の出演者、そのほとんどがそう思っていたでしょう。

     でも、彼女は――いつもは自信なさげにしている彼女が、暗い彼女が、そう言った時だけは、まっすぐに前を見ていました。強く、強く、まっすぐに。……きっと、この時だったのだと思います。僕が、彼女のファンになったのは。



    4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/05(金) 09:15:26.03 ID:JsiGlSge0

     それから時が経ち、彼女は今の事務所に移籍しました。その事務所は所属しているアイドルがどんどん人気になっている途中の、まさしく『波に乗っている』事務所でした。その事務所のアイドルのファンで、彼女を知る者の中には『やめてくれ』と言う者もいました。自分の応援しているアイドルに彼女の『不幸』が伝染しないか、と恐れていたのでしょう。

     僕が思っているのは逆でした。彼女の不幸が伝染するのではなく、あの事務所の『幸福』が彼女に伝染しないか、と。今度こそ、彼女が幸せになってくれることを願いました。

     その結果は……みなさんご存知の通りです。今の事務所でも、彼女の不幸体質がなくなったわけではありませんでした。しかし、彼女の担当プロデューサーの力もあって……いつものように、彼女は自らの不幸と戦って、戦って、戦って……白菊ほたるは、人気のあるアイドルになっていきました。

     彼女にとって、今の事務所に、担当プロデューサーに出会ったことがいちばんの幸運だったのでしょう。思えば、今までの事務所は事務所からして悪かったのです。ライブ衣装はほとんど私服。いくら新人アイドルにしたって、ひどい扱いであった、と思います。そう思えば、彼女が所属していた事務所が毎回のように倒産していたのは彼女のせいではなく、その事務所自体の問題だったのでしょう。彼女の『不幸』が伝染したのではなく、単に彼女が『不幸にも』そんな事務所にばかり所属することになっていた、と。……もちろん、彼女自身に問題がなかったか、と言えば、そうは思いません。あの頃の彼女は暗く、華がなく、辛気臭かった。その経歴からすればおかしくもないのでしょうが、そういった彼女の態度も一因であった、ということは否定できないでしょう。

     ……失礼、少し話が脱線しました。今の事務所に所属してからの話に戻りましょう。




    【白菊ほたるが幸せになることを許せなかったファンの話。】の続きを読む

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    転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1493203901/

    1: ◆QvnU2bZOt7kP 2017/04/26(水) 19:51:41.85 ID:AP18dBY+0

    ちひろ「最近一寸様子が変だったんですよ。同じYシャツを着続けていて顔も髪も洗った形跡が無い

    仕事よりもボーっとしている時間の方が長いし、呼びかけてもなかなか返事が返ってこない

    たまたま通りかかった今西部長がPがボソッと発した「死にたい」の独り言を聞いて慌てて

    Dr.林のメンタルクリニックへ連れて行った結果、一ヶ月の休職の診断書がでました」

    茜「早速お見舞いに行ってPを励ましてきます!!」

    ちひろ「茜ちゃんの元気を分けてあげたら、きっとPさんも良くなります。頑張って下さい」





    2: ◆QvnU2bZOt7kP 2017/04/26(水) 19:52:37.51 ID:AP18dBY+0

    ピンポピンポピンポピンポーーン(連打)

    ガチャ!

    茜「鍵が開いてますね!Pさん無用心ですよ!!」

    茜「Pさんベッドで横になっていますね!寝てるんですか?いや、目が開いています!分かりました!!寝起きでぼんやりしているだけですね!!!」

    茜「Pさん!鬱は甘えです!」

    茜「さぁさぁ、仕事行きますよ~!!」

    茜「元気ですかー! 元気があれば何でも出来る!! いくぞー!!!!」

    茜「全身全霊、全力全身ですっ!!!!」

    茜「体力が続く限り進みましょうっ」

    茜「今日もベストを尽くしましょうっ!!」

    茜「走りますか!走りますよね、P!!こんな良き日こそ、ともに汗を流し、太陽に向かって叫びましょう!!!」

    茜「全力アターーーーック!!!」

    茜「夕日に向かって走りましょう!!」

    茜「P! 熱くなって汗をかきましょうっ!!」

    茜「暑苦しくてすみません!!! でも、もっと熱く生きます!!!!」

    茜「努力は絶対に報われますっ!!!」

    茜「ハァハァハァ…熱くなりすぎましたが…もっと熱くいきます!!!」

    茜「要は気合の問題ですっ!!」




    【茜「デレP(以下P)が鬱病?」】の続きを読む

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    転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1493129606/

    1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/25(火) 23:13:26.51 ID:diQk9yXt0

    三作目なので初投稿です。


    ※ちょっといやなお話です。





    2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/25(火) 23:13:56.18 ID:diQk9yXt0

     Pちゃん、と諸星きらりが声を掛けてきたのは、夜の七時のことだった。

    「なんだ、まだいたのか……早く帰りなさい。今日くらい、家でゆっくりすべきだろう」

    「うん。でも、ちょっとだけ。お話くらいならいいでしょお?」

     彼女がそう言うのも理解できないわけではなかった。名残惜しさは他ならぬ自分自身も持っていた。

     言葉を交わしたいと望んでいたのは、彼女だけではなかったということだ。

    「……分かった。でも、本当に早めに切り上げよう。明日にも差し支えるんだから」

    「うんっ。ありがと、Pちゃん」

     彼女は屈託なく笑った。少女時代と変わらぬ笑顔だった。



    3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/25(火) 23:14:38.65 ID:diQk9yXt0

    「それで、何を話す? 今なら餞別に、どんな質問にも答えるけど」

    「えっ、えっ、な、何にでも!?」

    「そう。何にでも」

     その気持ちは嘘じゃなかった。どうせ最後だからと、何か特別なものを与えたかったのだ。今まで何も与えられなかった分。

     きらりはうーんうーんと唸りながら頭を悩ませていた。いきなりどんな質問でも、と言われても、急には思い浮かばないのかもしれない。

    「うにににに……あっ! じ、じゃあアレ! Pちゃんのお給料!」

    「24万8千円」

    「え゛っ!? ……ほんと?」



    4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/25(火) 23:15:25.94 ID:diQk9yXt0

    「嘘」

    「うそじゃーん!」

    「質問に答えるとは言ったよ。でも本当のことを答えるとは言ってないからね」

     そう言ったら、彼女はむぇーと唇を尖らせた。ちょっと意地悪だったかもしれない。

     だけど真っ先に給料のことを聞かれても、真面目に答える気にはなれないのも事実だった。

    「それが本当に聞きたいこと? きらりが話したいって言ってたのはそんなことだったの?」

    「……ううん。きらりがしたいのは……もっと普通の、なんでもない……思い出話だよ」

    「なら、思い出話を始めようか」

     そうして、僕らは昔語りを始める。




    【きらり「諸星をやめる日」】の続きを読む

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