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2005年01月02日

反発を呼ぶクライトンの新作小説

Michael Crichton(マイケル・クライトン)さんの新作小説「State of Fear(直訳すれば恐怖状態)」が叩かれているなあ。この小説は、環境保護論者と環境保護を訴える科学者が悪役になっていて、正義の味方が、壊滅的な天候をもたらす機械を作る環境保護論者たちのもくろみを暴くという筋立てのようだ。

出版はHarper Collins(ハーパーコリンズ)という会社。これはNews Corpというメディア会社の子会社で、News Corpといえば、天下にとどろく保守派Rupert Murdoch(ルパート・マードック)さんの会社だ。

すなわちCrichtonさんの新作は、保守派最右翼のMurdochさんが環境保護コミュニティに対して放つ政治的メッセージというのが、批判の軸になっている。

一方The Times UKは、Crichtonさんのインタビューを掲載し、地球温暖化は根も葉もない話だという論旨を展開している。もちろん、TimesもMurdochさんの会社だ。

常々考えることだが、小説はあくまでもエンターテインメントで、啓蒙書でもなければ思想書でも無い。しかしSFなどの分野では、専門的で高度な教育を受けた著者が多く、その影響力は比較的強いといわざるを得ない。それゆえに、この本を出版する意図として、もし政治的な目的があるのだとしたら、それは許せないとか腹立たしいとかじゃなく、ただただ哀しいばかりだ。

もちろん環境保護を訴える者たちの中には、環境保護を道具として利用しているだけの人もいるだろう。かといって、地球温暖化は状況が顕著になるまで放っておいたら、対処が難しくなるので、避けるつもりなら早手回しの対応は必須といえる。

Crichtonさんは地球温暖化を放っておけとか、温室効果は嘘とかいうことではなく、上出のインタビューで温暖化が進んでいるという話は、根も葉もない話だという立場を取っている。

個人的には、温暖化による地球環境の破綻を、人類が受け入れられるのならば、それもまた地球という惑星に生まれた生命系のひとつの到達点だろうと考える。悲観的な皮肉とかじゃなく、生命の目的が自己種の拡散にあるのなら、地球環境というゆりかごを消費して、外の世界へと踏み出してゆくことも選択肢としてはあり得るだろう。

環境保護は、自分の育った世界を残しておきたいという感傷なのか、今後ともこの世界で生きていきたいという生物種としての希求なのか、これをない交ぜにして語ることが、一番混乱をもたらすといえる。

ただし、今の環境は安泰であると考えるのは、ちょっと論外かな。温暖化論議で大事なのは、今後変わりゆく環境に対し、どういう姿勢を取るのかという点だ。



Posted by dpr_japan at 20:21│Comments(0)TrackBack(0)Science

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