12月13日付の読売新聞に興味深い記事がありました。
3科学誌は商業主義…ノーベル受賞者が「絶縁」

2013年のノーベル生理学・医学賞を受賞した米カリフォルニア大バークレー校のランディ・シェックマン教授が,今後は3大科学誌(通称CNS = Cell, Nature, Science)に論文を投稿しないことを明らかにしました。
曰く,「商業主義的な体質で科学研究の現場をゆがめている」とのこと。

学術誌の在り方は常に論争の種。
インパクトファクターが偏重されるために,話題性を重視した論文ばかりが採用されるという話はよく耳にします。
また,こういった学術誌の論文の中には,再現性の取れない実験も少なくないとか。
今年はわが国では研究不正の話題で盛り上がりましたが,海外でも論文や学術誌の在り方について疑問が出ているのも事実のようです。

とはいえ,若手研究者にとってCNSに論文を掲載することは大きな夢。
今後もインパクトファクター主義が続くかはわかりませんが,歴史や権威のある学術誌に載せたいという傾向は続くでしょう。

また,こういった商業主義が批判される昨今だからこそ,いわゆる学会誌の類の今後の発展が望まれます。
日本の学会も近年は相次いで英文誌を発行しています。

例えば2013年1月からは日本神経学会がNeurology and Clinical Neuroscienceという英文学術誌を発行。
2014年1月からは,日本救急医学学会がAcute Medicine & Surgeryという英文学術誌を出版します。

これらの学会誌が有用なものになるかはわかりませんが,「派手さはなくても質の高い研究」が掲載されるようなものに育って欲しいものと思います。