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年末年始の読書記事でも触れたように、無料で使える統計ソフト Rの勉強を始めました。

今までは主にSigmaPlotJMPという統計ソフトを使用していました。と言っても自前で揃えているわけではなく、学内にあるインストールされたPCを競って利用しているという状況です。値段が非常に高い(約10万円)ため個人で購入して使用するにはハードルが高すぎますが、かといってエクセルの統計機能はあまりにも貧弱すぎて、学会発表や論文執筆に使うことはためらわれます。そこで、無料で使える統計ソフトRに興味を持ち始めたいうわけです。

無料で様々な統計解析をできるという心強いソフトですが、初心者にとって使いにくいという欠点があります。市販のソフトウェアはマウスを使って好きな解析を選択していくだけで結果を得ることができますが、Rは自分でプログラミングをして解析する必要があります。果たして全国でどれだけの医学生がプログラミングを学んだ経験があるのでしょうか?自分はJAVAやC言語すら触ったこともありません。

Rは世界的に広く使用されているため、プログラミングの方法を解説するウェブ講座もたくさん公開されています。ただ、英語で使い方を説明されてもとっつきにくいので日本語の書籍を購入して勉強しようと思いつきました。

……と、そんなときにある人から教えてもらったのが、EZRというソフトウェアでした。

市販ソフトのようにコマンドを選択するだけで、Rを動かすためのプログラムが入力され実行されるという非常に便利なソフトウェア。自治医科大学内科学講座血液学部門の神田善伸先生が開発され、こちらのサイトにて無料でダウンロードすることができます。


EZRでやさしく学ぶ統計学〜EBMの実践から臨床研究まで〜

こちらの書籍は神田善伸先生自身が執筆されたEZRの入門書。
付属CD-ROMからRとEZRをインストールすることができ、EZRだけでなくRの初歩的な使い方も含めゼロから学べます。プログラミングに全く興味がなくすぐに統計解析を始めたいという人は、第4章・第5章のRに関するところをスキップしても問題ありません。統計解析に使いたいデータ(エクセルなど)を用意し、それをインポートするだけで早速始めることができてしまいます。

医学研究でよく使う統計解析はたいてい網羅されています。
・t検定
・Mann-Whitney 検定
・カイ二乗検定
・Fisherの正確確率検定
・多変量解析(ロジスティック回帰)
・分散分析(ANOVA)
・ピアソンの積率相関係数
・スピアマンの順位相関係数
などなど、ここに挙げたのはほんの一例。
今までSigmaPlotを用いて行っていたものが同じくらいの簡便さで行えます。こんな便利なソフトが無料で、しかも日本語で使えるなんて信じられない!


EZRの解説書には他に新谷歩先生の執筆されたものがあります。
みんなの医療統計 12日間で基礎理論とEZRを完全マスター!
みんなの医療統計 多変量解析編 10日間で基礎理論とEZRを完全マスター!
一冊目は統計学の初歩から学にたい人向け、そして多変量解析が必要な方は二冊目も、ということになります。臨床医学論文では多変量解析を頻繁に使うため、多くの人は2冊購入して一通り学べるということになります。そうすると神田先生のEZRでやさしく学ぶ統計学〜EBMの実践から臨床研究まで〜の方がコストパフォーマンスが高いと言えそうです。とりあえずこちらを利用してEZRに慣れたところで、必要に応じて新谷先生の著書の購入を検討します。

EZRでやさしく学ぶ統計学〜EBMの実践から臨床研究まで〜でRの使い方も学べるので、EZRだけでなくRにも慣れてきたらRの教科書も買おうかなと。プログラミングはほんと未知の領域ですが、新しいことに挑戦するのはいつだって楽しいこと。2018年の目標に一つにします。