2006年04月21日

あれから

e8867d0e.JPG1ヶ月が経ちました。

友達がいきなり有名人になるって体験したことがありますか?
僕はあります。
いきなり彼は指名手配されて、報道番組に写真が出て、しまいには両親と感動の再会。

不思議な気分でブラウン管を眺めていました。

僕は彼の友人で、松井といいます。


五十嵐が行方をくらまして1ヶ月が経ちました。
せっかく家族が再会出来たのに。
あいつに何があったのか僕には分かりません。
もしかしたら、もう会えないのかもしれないし、もしかしたら、あの変なモヒカン頭をからかうことも出来ないかもしれません。


なんだか不思議です。

僕は奴の行方が知りたくなって、でもどうしたって分からなくて、ある探偵さんに奴の行方を追ってもらうことにしました。
その探偵さんは名探偵だそうです。
自分で言ってるんだから間違いないんだ。

探偵さんはなんだかニンニク臭かったけど。


これからはここに彼の調査報告を載せてもらう予定です。

彼の名前は江戸川ガーリック。
自称名探偵だ。


2006年03月23日

緑の塔の下で

e32d991f.JPGまたあの夢だ。

またあの《女》が現れて、同じ森を走った。

しばらく走ると森の彼方に緑の塔が見える。
俺と《女》はそこを目指す。
また「ハァレルゥヤ!」の声がして、全身漆黒の騎士が現れる。騎士の額には「2」と赤く光る烙印が押されている。
奴は銀色に光る妖刀で切りかかってくるが、俺たちはただ逃げるしかない。

右腕がひどく疼いた。

見ると俺の右腕のドラゴンが右手から這い出してきて、黒い騎士を瞬く間に飲み込んでしまう。
ドラゴンは俺は乗せて空を駆ける。
まんが日本昔ばなしじゃんとか思うけど、気がつくと《女》がいない。
ドラゴンが言う。
「女を捜せ」
お前が置いてきたんじゃん!
などとは言えない。食べられちゃうから。

緑の塔に暗雲がたちこめている。
俺とドラゴンはどす黒い雲を突き抜けてFly Away!


目が覚めるとオリジナルラブの『女を捜せ』が流れていた。
とりあえず女を捜す前に今日の飲み会だ。


2006年03月22日

タイミング

2ca4d6f0.jpg要するに何が気まずいって、何であのタイミングであんなこと言ったのかってことで、ソラが言うには「ちょっとタイミング的にあれだよね」ってことらしい。
じゃあどのタイミング?とか思うが、勢いも大事なんだと思う。

まあ、気持ち伝えたし、ソラもまんざらでもないっぽいけど、なんかモヤモヤする。

このやるせないモヤモヤをどうしたらいいんだ。
この気持ちを吹き飛ばすくらいの大爆発を期待したりしなかったり。
とりあえず今度のカラオケで大爆発してみるか。


2006年03月19日

8e38b2ca.JPGまた夢を見た。
例の夢。
俺が追いかけているのは誰か分からないが《女》だということが分かった。
黒ずくめの《女》だ。
《女》は長い髪を風に揺らしながら鬱蒼とした森の中を駆けていく。
時折木漏れ日が《女》を入ってくるが顔までは分からない。
その森はどす黒い空気が渦巻いていて、樹木はどれも凄まじい形相をしている。
俺は《女》を追いながら森の奥深くにたどり着く。
そこには一層大きくて太くて陰鬱な木が立っている。
木が大声で歌う。

「ハァレルゥヤ!」

《女》が振り返る。
何か言っているけど、聞こえない。
何?俺に何を伝えたいんだ?
すると木から枝が素早く伸びてきて俺の心臓を貫く。



そこで目が覚めた。
起きたら松井からメールが入っていた。
来週飲み会らしい。
ソラも来るのか。
一昨日の件で気まずいけど、軌道修正もアリだ。


2006年03月15日

ヘリコプターと五歳の俺

dbe04964.jpg部屋の模様替えをしていたら古びたダンボールが出て来て、開けてみると中には幼い頃の荷物が入っていた。
写真は俺が幼稚園の頃にかぶっていた帽子で、額のヘリコプターは母親が縫い付けてくれたはずだ。小さい頃のことはあまり覚えてないけどヘリコプターは今でも好きだ。俺がIT業界で成功したら自家用ヘリを買いたい。

俺の父親は五十嵐栄之進、母親は英子という。
二人との思い出は5歳までしかない。
ある日突然いなくなったからだ。
その頃の記憶が曖昧になっているんだけど、別に恨んだり憎んだりはしてない。と言えなくもない。どっちなんだろう。そのへんの感情も曖昧だ。

トリノ五輪で韓国の選手が生き別れた親を探しているという報道があった。彼のもとに「私の息子だ」という連絡が殺到していた。
俺も五輪出れば良かった。カーリング息子くらいにはなれたんじゃないか。
でももし両親がいきなり目の前に現れてもどんな顔していいのか分からない。
その場面がまったく想像出来ない。

別に本当に会うわけじゃないから考えたって仕方ないんだけど。


2006年03月08日

春一番の吹いた夜

42c4f5a2.JPG 明大前の駅前にソラのおじさんである陸雄さんがやってる飲み屋があって、その名も『宙 SORA』だったりして、俺もちょくちょく顔を出す。
 ソラが小さい頃にソラの家に世話になっていたという陸雄さんはめちゃくちゃ饒舌な高倉健みたいな顔をしていて渋い。そして器用な包丁さばきを見せる。


 昨日もソラと一緒に顔を出して、陸雄さんもいつも以上にテンションが高く、なんか全体的にいいムードでこれは帰りに告ってやろうかと勇んでたら俺がトイレに行ってる間に電話があったとかでソラのやつ帰りやがった。好機を逸した二死満塁見逃し三振気分に意気消沈。しかし陸雄さんはノリノリで全然帰してくれなくて結局終電を逃して二駅分を歩いて帰る。
 うちの近くの駐車場を突っ切りながら、家の前でソラが待ってたりしたらラッキー、つうかありえねえけど告る。とか妄想していると春一番が吹きまくっている中、うちの前に立っていたのはソラじゃなくてひょろっとした男だった。
 なんだか薄気味悪い奴。そいつがいきなり喋り出して俺はびびった。
「あのね、あのね、チンチクリンですか?」
 俺は気持ち悪いからそいつを無死して通り過ぎようとしたら、いきなり肩を掴んで「女にしてあげようか!」と言い出すので俺はそいつを突き飛ばして逃げた。
 しばらくして戻ってみるともうそいつはいなかった。
 ホモの変質者だろうか。気持ち悪い。

 春はおかしな奴が増えるっていうし。


2006年03月06日

邪悪な風

932ac138.JPG少しお休みしてしまった。

どうやら風邪をひいていた。

自分のことだから「どうやら」ってのもおかしいんだけど誰かに「風邪だ」って宣告されたわけでもないし、やはり俺の中で「だるい」→「風邪かもしれない」→「だいぶ風邪っぽくなってきた」→「どうやら風邪をひいたらしい」という過程があった上での「どうやら」だ。
簡単に言えば、健康というよりは逆に風邪をひいたんだと思う。
この「逆に」は…、もういいや、考えるが面倒になってきた。

昨日はバイトに行こうと思ったんだけど新宿駅東口から地上に出た途端に「ダメだー」となったUターン。自宅で不貞寝る。

どうやら比較的熱があった。
「どうやら」は先の考え方だがここでの「比較的」は何と比較しているかと…、だからこれ疲れる。
疲れるのとか努力とか頑張りとか、そういう類のことが嫌いだ。
そういう時はただ不貞寝る。面倒な事はすべてシャットアウトして寝る。だから風邪も拒否るに限る。そもそも風邪って何?くらいの意気込みの方がちょうどいいのだ。

夜。
俺がバイト休んだのを心配してソラが来てくれた。
「これ食べて元気になりなよ」
そう言って渡されたのは大きめのデコレーションケーキで生クリームたっぷりの上にチョコレートで『龍、元気ニナレバ』と書かれていた。なんか変な文体だ。ケーキ屋のバイトの子が日本人じゃなくてイマイチ伝わらなかったのだと言う。何を言っても「大丈夫!僕分かるよ!」しか言わなかったらしいが、クリームを扱う手首のグラインドがやけに艶めかしかったらしい。
ソラは「早く食べなよ」と言い出し、食えないなんて言える雰囲気でもなく手をつけた。ソラは俺が全部食べ終えるのを満足そうに眺めると帰っていった。

あとで全部出しちゃったけど。

いや、嬉しかったんだけど。


2006年03月01日

僕らの世界

7cef708b.JPG僕がクロ。
可憐がシロ。

でも僕は
戦うことを拒んだ
逃げてばかりの
弱い弱いクロ。


そして僕らの世界は灰色に染まる。



2006年02月28日

女を捜せ

f5e20529.JPG友達の松井はバイト先が一緒なんだけど、今日主任から「髪が長い」と怒られていたのは本番が近いからだ。
松井は役者をやっていて3月に池袋で芝居をするらしい。
それで髪を伸ばしているんだそうだ。
きっと江口洋介みたいな役なんだろう。

たまには見に行ってやるかと思ったら、松井に「オリジナルラブの『女を捜せ』を聴いとけ」と言われた。
だから聴いた。
なかなかかっこいい曲だ。
江口洋介が女を捜して泥まみれになる話なんだろうか。
もちろんここでいう『泥』は隠語だ。
解る人だけ解ればいい。


2006年02月25日

ババコン

d0cb038d.JPG俺はババコンである。
ババコンと云っても婆さんたちとコンパするわけじゃない。
ファザコンとかマザコンの婆ちゃんバージョンでババコン。
英語にすると「グランマザコン」になるのかもしれないが地名を付けたりすると「グランマザコン上北沢」ってマンションみたいになっちまう。ちょっと鉄骨の足りなそうな名前だったりする。

俺は小学校に上がる前から妹の可憐と施設にいたんだけど、毎日曜に面会に来てくれる母方の婆ちゃんが大好きだった。
婆ちゃんは当たり前だけどお袋によく似ていた。
婆ちゃんが来ると何をするわけじゃないけど、一緒に飯を食ったり学校のことを話したりする。可憐は婆ちゃんの膝の上に寝ころんでるのが好きで、婆ちゃんがいる時だけよく笑った。
ずっと俺は婆ちゃんの名前を「聖子」だと聞かされていた。その頃松田聖子が全盛期で子供ながらに婆ちゃん流行りの名前だなと思っていたら実は「ルキノ」という名前だった。何で嘘の名前を?と疑問に思ったが、後から聞いたらルキノより聖子の方が俺たちに“ウケる”と思っていたんだそうだ。
「聖子」より「ルキノ」の方が断然かっこいいし、そもそも名前なんて記号だから何だっていいのだ。


今日バイト先の名誉会長だとかいう社長のお母さんの告別式があった。90に手が届く手前で大往生だったそうだ。
会ったこともない人だけど、写真の中の“名誉会長”は優しい顔をした婆さんだった。

急に婆ちゃんのことを思い出したのも、そんなことがあったからかもしれない。

ルキノ婆ちゃんが天国に召されて10年が立とうとしている。