ハンチョウ 第1話のあらすじ その9

ハンチョウこと安積(佐々木蔵之介)は、取り調べでトヨ(市原悦子)に、隣の住人で、トヨと同棲のような状態にあった志村という男性について聞いた。

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トヨの口から語られる、志村との日々は、一人暮らしの老人の悲哀というには、あまりに切ないものだった。

トヨからお金を借りてはパチンコに通う志村。負けるとかわいく舌を出し、明日こそは勝つから、という言葉で全てを許すトヨ。


主人が死んでから、他に親しい人もいないトヨにとって志村こそが生きるための唯一の生き甲斐だったのだ。お金のため、利用されるためのつきあいだったとしても。

そして、志村の最期はトヨが看取ることになり、またトヨは元の一人暮らしになってしまった。

 

同じ頃、桜井(山口翔悟)と村雨(中村俊介)は、ストリートミュージシャンの男性に事情を聞きに行っていた。

警察と聞いて顔色を変えた男性。横谷という名前は知らないと言いながらも、隙を見て逃げだそうとする。取り押さえた桜井に対して、自分は殺していない。ただ、倒れて既に死んでいる女性のバッグからはみ出した財布を見て、ついそれを持ち逃げしてしまっただけだと言った。

身重の妻を抱え、ストリートミュージシャンとアルバイトをこなしながら、裕福ではない生活に、つい魔が差してしまった。男性はそう供述した。

 

ハンチョウは、横谷殺しの犯人がストリートミュージシャンだと勘違いしたトヨが、この男性をかばうために偽証していると確信した。おそらく、男性が殺すところを見たのではなく、お金を抜いた財布を工事現場に放り投げるのを見たのだろうと。


ハンチョウはトヨに対してその考えを話すが、トヨは

「たった一度の親切で身代わりになってたらカラダがいくつあっても足りない。」

といって否定する。


しかし、執拗なハンチョウの問い詰めに


「アタシがいいっていってんだからいいじゃないの。」

「あの子たちはまだ若いの。私はもう老い先短い。」

「ひとりぼっちはいや。

 どうせ死ぬなら誰かのために死にたい。」

「それでいいの、それでいいのよ。それで・・・」


と、取り調べ自体を拒否してしまう。
そう、トヨはハンチョウの読み通り、ストリートミュージシャンの男性が財布を放り投げるところを目撃していたのだ。そのときは何か分からなかったものの、翌日、家にやってきたハンチョウと水野(黒谷友香)が横谷さんが何者かに殺され、財布を奪われたと聞いたとき、昨晩の光景から男性が犯人だと推測し、夜になるのを待って、工事現場の財布に自分の指紋を付け、そのまま自首したのだ。

 


一方、村雨は犯行現場に落ちていたエクステのことを思い出していた。エクステだらけの場所・・・そう、殺された横谷さんの息子が勤務しているホストクラブ・・・そこに何か手がかりがあるかも。

一同がホストクラブに向かうと、店の前では横谷さんの息子と、水商売とおぼしき女性が何かもめていた。村雨が息子に警察だと告げると、息子は逃げようとする。しかし、先ほどまでもめていた女性がそれをとめ、泣き出す。あきらめる息子。

 


事件の真相は意外なものだった。
事件現場となった公園で、横谷さんは息子と出くわしたものの、その場で息子が一緒にいた女性と結婚したいと思っていることを告げた。宝石商として実業家のプライドがあった横谷さんは、いかにも水商売風の女性に対して、どこのお店の人なの、うちの息子にちょっかい出さないで、とののしる。
それに対して激高した息子ともみ合いになり、弾みで後ろに倒れた横谷さんは石に頭をぶつけて死んでしまった。つまり、全ては不幸な事故だった。

 


・・・数日後。


公園で子供がはしゃいでいる子供。隣でうつろな目でブランコを漕ぐトヨ。そこへ表われるハンチョウ。


生きる気力をなくしてしまったかに見えるトヨに対して、ハンチョウは
「村雨が聞いてきたのだけど、息子さんが今度、孫をつれてトヨさんのところに顔を出そうと思ってるそうですよ。」

と告げた。

 

その日の午後。ハンチョウは一人、署の留守番をしていた。

水野(黒谷友香)、須田(塚地武雅・ドランクドラゴン)、黒田(賀集利樹)、桜井はトヨのアパートに集まり、ワイワイガヤガヤとお昼をごちそうになっていた。トヨは忙しくおかずをはこびながらも、久々に賑やかになった部屋で嬉しそうにしていた。

村雨もアパートの近くまで、ドーナツを持って来ていた。一人になったトヨのことを心配して来たのだが、その必要もなさそうだと苦笑いすると、そのままアパートを素通りしていく。


なにはともあれ、一人の老人の無実を証明することができた。事件の真相を解明することができた城南署のメンバーはみんな笑顔だった。

 



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